JPH11292271A - 孔明き部品の供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 供給通路が開口している仮止室に一時係止さ
れた孔明き部品を供給ロッドの進出方向に伸びているガ
イド板に沿って供給ロッドで押出して目的箇所へ供給す
ると共に供給ロッドがエアシリンダで作動させられる形
式のものにおいて、供給ロッドのストロークが長くなっ
た時、供給ロッドの進出速度が低下して部品が供給ロッ
ドから外れることがある。 【解決手段】 ガイド板８の供給ロッド７の進出側の位
置に制動機能を果たす磁石２３が設置され、供給ロッド
７の進出速度が低下しても部品１は磁石２３で制動を受
けるので、供給ロッド７のガイドロッド９が十分な長さ
にわたって部品の孔２内を貫通し、前述の部品外れが防
止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】この発明は、供給通路が開口
している仮止室に一時係止された孔明き部品を、供給ロ
ッドの進出方向に伸びているガイド板に沿って供給ロッ
ドで押出して、目的箇所へ供給する形式のものにおける
孔明き部品の供給装置に関している。

【０００２】

【従来の技術】図５、図６は従来の技術を示す部分的な
縦断側面図であり、図５から説明すると、孔明き部品１
は、ねじ孔が明いた鉄製のプロジェクションナットであ
り（溶着用の突起は図示を省略してある）、外形を平面
的に見ると四角い形でその中央にねじ孔２が開口してい
て、それは仮止室３に一時係止されている。供給通路４
を形成する供給管は断面が矩形で、それにほぼ直交する
位置関係でガイド筒６が供給管５に溶接されている。円
形断面のガイド筒６内には同じく円形断面の供給ロッド
７が摺動可能な状態で挿入されている。供給通路４の前
方の位置にガイド板８がガイド筒６に溶接された状態で
配置されている。このようにして供給管５、ガイド筒
６、ガイド板８が主たる構成部材になって供給ロッド７
の進出方向に開放した仮止室３が形成されている。ま
た、仮止室３を形成するために、供給管５の端部におい
て上下の板部材を切除し、下側がナット１が出て行く出
口部分、上側がガイド筒６に連通する部分とされ、した
がって供給管５の端部は左右の板部材がフォークのよう
になって伸びた形状になっていて、その先端部にガイド
板８が密着した状態になっている。この点は後述の図４
に示されている。

【０００３】供給ロッド７は、小径でねじ孔２を貫通す
るガイドロッド９と大径でガイド筒６内を摺動している
主ロッド１０と両ロッド９、１０の境界部に形成された
押出し面１１から構成されている。この押出し面１１は
供給ロッド７の中心軸線に直交する平面とされている。
ガイド板８には磁石１２が埋設され、仮止室３内の部品
１を吸引力で一時係止している。ガイド板８は供給ロッ
ド７の進出ストローク方向に若干伸ばしてある。また、
供給ロッド７はエアシリンダ（図示されていない）のピ
ストンロッドによって形成されており、それによって進
退ストロークがなされる。さらに、供給管５には図示し
ていないが合成樹脂製の柔軟なホースの一端が接続さ
れ、その他端はパーツフィーダに接続されている。

【０００４】この従来技術の作動を説明すると、初期の
状態は供給ロッド７がガイド筒６内に収容される所まで
後退していて、ガイドロッド９の先端部も仮止室３から
後退した筒所に位置している。ナット１が供給通路４を
移動してくると、仮止室３に入り磁石１２に吸引されて
ガイド板８の内面に吸着されて、仮止室３内に一時係止
がなされる。その後、供給ロッド７が進出してくると、
ガイドロッド９がねじ孔２を貫通し、この状態が図５に
示してある。さらに、供給ロッド７が進出すると、押出
し面１１がナット１の上面に当たって、磁石１２の吸引
力に打ち勝ってナット１をガイド板８の内面に沿って送
り出して行く。供給ロッド７の進出速度は、図５のよう
にほぼ下方にナット１を送り出す場合には、ナット１の
落下速度と同じかまたはそれよりも若干速く設定してあ
る。なお、この従来技術における各部の寸法等は、ナッ
ト１の縦、横、厚さ、ねじ孔の内径がそれぞれ１２ｍ
ｍ、１２ｍｍ、５ｍｍ、６ｍｍである。そして、主ロッ
ド１０とガイドロッド９の直径はそれぞれ１０ｍｍと
４．５ｍｍである。供給ロッド７のストローク長さはエ
アシリンダのピストンストローク長さで設定されるもの
で、ここでは６００ｍｍである。したがって、供給ロッ
ド７自体の長さも仮止室３から突き出た長さが６００ｍ
ｍになるように設定してあり、そのうちガイドロッド９
の長さは１００ｍｍに設定してある。図５には図示され
ていないが、エアシリンダのピストンの直径は１８ｍｍ
であり、このように細身のエアシリンダにするのは、ス
ペースをすこしでも少なくするためである。

【０００５】一方、図６に示した従来技術は、前述のよ
うな磁石１２を止めて開閉板１３上にナット１を載せて
仮止室３内に一時係止を図るもので、開閉板１３は供給
管５に架設した軸１４を中心にして開閉する。図示して
いないが軸１４にはコイルばねが巻き付けてあり、これ
によって閉じた位置を維持するようになっている。ガイ
ドロッド９の貫通をさせるために開閉板１３には右方に
開放したＵ字型の切欠き１５が設けてある。この場合の
作動は前述の作動から容易に理解できるので、詳細な説
明は省略してある。

【０００６】

【発明が解決しようとする問題点】通常、この程度の寸
法のナット１を供給するときには、供給ロッド７のスト
ローク長さは１５０〜２００ｍｍ程度が多いのである
が、上述のようにストローク長さが６００ｍｍにもなる
と、次のような問題が発生する。すなわち、空気作動式
のエアシリンダのピストン面積が相当小さいので、受圧
面積が十分に確保することができず、長尺で質量の高い
供給ロッド７の駆動力としては不足気味であり、したが
って供給ロッド７の進出速度を高めることが行いにくく
なる。これは、工場に配給されている空気圧（たとえば
６ｋｇｆ／ｃｍ^２）に限度があるので、圧力制御では解
決することができない。一方、ピストンストロークが長
いと、図７に示されているようにストローク開始直後は
ピストン速度が急激に高まり、少しストロークすると今
度は急激に低下し、その後は一定速度になる。このよう
な現象が発生するのは、長尺で質量の大きい供給ロッド
であると共にエアシリンダの内面とピストンとの間の潤
滑油に粘着抵抗があるから、作動空気が初期の間はエア
シリンダ内に入ってもただちに供給ロッドを移動させる
ことができず、エアシリンダ内の空気圧力が高くなり、
それが一定値に達すると急激に始動するためである。特
に、潤滑油の粘着現象はエアシリンダを長時間停止させ
ておくと発生しやすい問題である。したがって、ピスト
ンに作用する初期圧力は高くなり供給ロッドの初速が図
７のように高くなるのである。このような速度特性を有
する供給ロッドが進出すると、非常に速度が高い時期に
押出し面がナットに密着してナット移動がなされるが、
その直後には供給ロッドに進出速度が急激に低下するの
で、ナットだけがガイドロッド上を先行的に滑動し、し
たがって、ガイドロッド９の先端が目的箇所に到達する
までにナット１がガイドロッド９から外れてしまうこと
になる。それを防止するためには、ガイドロッド９の長
さを前述のように１００ｍｍもの長尺なものにしなけれ
ばならなくなる。このように長尺にすると、今度は細長
いガイドロッド９を中心軸線に沿って高精度のもとに製
作する必要に迫られ、製作上の困難性が非常に高くなる
のである。しかも、わずかな外力でガイドロッド９の先
端位置に狂いが発生し、部品供給にエラーが発生する。

【０００７】

【問題を解決するための手段とその作用】本発明は、以
上に述べた問題点を解決するために提供されたもので、
請求項１は、供給通路が開口している仮止室に一時係止
された孔明き部品を供給ロッドの進出方向に伸びている
ガイド板に沿って供給ロッドで押出して目的箇所へ供給
すると共に供給ロッドがエアシリンダで作動させられる
形式のものにおいて、供給ロッドは小径で部品の孔を貫
通するガイドロッドと大径の主ロッドと両ロッドの境界
部に形成した押出し面を有し、ガイド板の供給ロッドの
進出側の位置に制動機能を果たす磁石が設置してあるこ
とを特徴とするもので、供給ロッドの初期の進出速度が
高くて部品だけが先行的にガイドロッド上を滑動して
も、部品はガイド板に設置した磁石でガイド板の内面
（滑動面）に吸引されるので、そこで制動を受けること
となり、したがって部品は押出し面に密着するか、ある
いはガイドロッドの貫通長さが十分に長い状態が維持さ
れて、前述のような部品外れが発生したりしない。

【０００８】

【発明の実施の形態】そこで本発明の実施の形態を図１
から図４にしたがって説明するが、図５および図６で説
明した部材と同じ機能を果たす部材については、図中に
同じ符号を記載して詳細な説明は省略してある。ガイド
筒６にエアシリンダ１６が結合され、そのピストンロッ
ドが主ロッド１０を形成している。ガイド筒６は鉛直線
に対して約３０度傾斜しており、ガイド筒６が静止部材
１７にブラケット１８を介して固定されている。ピン１
９を有する固定電極２０上に鋼板部品２１が載置され、
その上方に可動電極２２が配置されている。供給ロッド
７が進出してナットのねじ孔２にガイドロッド９が貫通
した状態でピン１９の直近まで来て停止すると、ナット
１はガイドロッド９を滑動してピン１９の方へ移行させ
られて、ナット供給が完了する。なお、符号２９および
３０はエアシリンダに対する作動空気の供給管と排出管
である。

【０００９】ガイド板８は、従来技術で示したものより
もやや長く供給ロッド７の進出方向に伸ばされており、
ガイド板８の供給ロッド７の進出側の位置に制動機能を
果たす磁石２３が設置してある。ガイド板８のストロー
ク方向の長さは供給ロッド７の初速の大きさによって設
定される。ガイド板８の具体的な構造を図２について説
明すると、厚板２４に孔２５を明けてここに磁石２３を
はめ込み、厚板２４の両側にカバー板２６、２７を溶接
してある。ナット１は滑動面２８（前述の内面）に沿っ
て移動させられる。ナット１に対する磁石の吸引力を高
めるために、厚板２４、カバー板２６、２７、ガイド筒
６、供給管５およびロッド７等の部材は非磁性材料であ
るステンレス鋼で製作してある。他の材料としては、ア
ルミニューム、銅合金、合成樹脂などを単独または組み
合わせて使用することができる。なお、図示の実施形態
における各部の寸法等は、ナット１の縦、横、厚さ、ね
じ孔の内径がそれぞれ１２ｍｍ、１２ｍｍ、５ｍｍ、６
ｍｍである。そして、主ロッド１０とガイドロッド９の
直径はそれぞれ１０ｍｍと４．５ｍｍであり、ガイドロ
ッド９の長さは５０ｍｍである。また、供給ロッド７の
ストローク長さは６００ｍｍに設定してあり、エアシリ
ンダ１６のピストン（図示されていない）の直径は１８
ｍｍである。ガイド板８が仮止室３から突き出ている長
さは５０ｍｍであり、仮止室３の開放端から磁石２３ま
では４５ｍｍである。この４５ｍｍという距離は、前述
のように供給ロッドの初速の大小に応じて変化するので
ある。

【００１０】本実施形態の作動を説明すると、供給ロッ
ド７が進出してガイドロッド９がナットのねじ孔２を貫
通し、押出し面１１がナット１の上面に当たると、ナッ
ト１は磁石１２の吸引力に打ち勝って押し出されて一時
係止から移動させられるが、供給ロッド７の初期の進出
速度が急激に低下しナット１が先行することによって一
旦ナット１が押出し面１１から少し離れても、ナット１
は磁石２３に吸引されて制動を受けるので、押出し面１
１がナット１に再び密着してこのままの状態が維持され
るか、あるいはその後若干ナット１が先行してもガイド
ロッド９が十分な長さにわたってねじ孔２を貫通した状
態で進出する。このような状態で供給ロッド７の進出が
なされるので、供給ロッド７の進出速度が低下しても、
ガイドロッド９の先端が目的箇所に到達するまでは確実
にガイドロッド９の貫通状態が維持されて、前述のよう
なナット先行による外れの問題が解消される。上述の作
動においては押出し面１１とナット１との密着がストロ
ーク中長い期間にわたって維持されるという要素を有し
ていることになる。

【００１１】

【効果】本発明によれば、部品に制動を付与して部品外
れの問題が解消される現象は上述の通りであるが、さら
に、部品制動によって押出し面と部品の密着がストロー
ク中長い期間にわたって維持され、あるいはガイドロッ
ドの部品に対する貫通長さが十分に確保できることによ
って、供給ロッドのストローク長さが著しく長くなって
もガイドロッドの長さを短く設定することができ、した
がって、前述のガイドロッドのセンタリング加工精度を
高めることが容易になり、しかも何等かの外力がガイド
ロッドに作用しても、ガイドロッドが短いことによりそ
の先端精度が容易に狂ったりしないのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す縦断側面図である。

【図２】ガイド板の一部を示す縦断側面図である。

【図３】図１の（３）−（３）断面図である。

【図４】図１の（４）−（４）断面図である。

【図５】従来技術を示す部分的な縦断側面図である。

【図６】他の従来技術を示す部分的な縦断側面図であ
る。

【図７】供給ロッドの進出速度の特性を示すグラフであ
る。

【符号の説明】

４ 供給通路 ３ 仮止室 １ 孔明き部品 ７ 供給ロッド ８ ガイド板 ２ 孔 ９ ガイドロッド １０ 主ロッド １１ 押出し面 ２３ 磁石

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 供給通路が開口している仮止室に一時係
   止された孔明き部品を供給ロッドの進出方向に伸びてい
   るガイド板に沿って供給ロッドで押出して目的箇所へ供
   給すると共に供給ロッドがエアシリンダで作動させられ
   る形式のものにおいて、供給ロッドは小径で部品の孔を
   貫通するガイドロッドと大径の主ロッドと両ロッドの境
   界部に形成した押出し面を有し、ガイド板の供給ロッド
   の進出側の位置に制動機能を果たす磁石が設置してある
   ことを特徴とする孔明き部品の供給装置。