JPH11291491A - インクジェットヘッド駆動回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電素子の充放電を利用したインクジェット
ヘッド用駆動回路における消費電力を低減させる。 【解決手段】 インク吐出から次のインク吐出までの
間、すなわち図ではｔ２からｔ１’までの間、従来は圧
電素子を一定の電圧ＶＨで充電状態に維持していたの
を、ｔ３−ａからｔ４−ａ間，ｔ３−ｂからｔ４−ｂ
間，ｔ３−ｃからｔ４−ｃ間でそれぞれ示すように、次
のインク吐出に問題を生じない時間だけ充電を停止する
期間を設けることにより、消費電力の低減化を図る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、圧電素子の変形
によってインクを吐出させるタイプのインクジェットヘ
ッドから、押し打ち駆動方式によりインクを吐出させる
インクジェットヘッド駆動回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気機械変換素子として圧電素子を用
い、その変形によって生じる力でインクを吐出させるタ
イプのインクジェットヘッド方式の開発が、従来より行
なわれている。図２はインクジェットヘッドの一般的な
例を示す概略断面図である。同図において、１はインク
タンク、２はインク供給路、３はインク加圧室、４はイ
ンクノズル、５はインク加圧室の外側に設けられた振動
板、６はこの振動板５に貼付けられた圧電素子であり、
振動板と圧電素子によりいわゆるバイモルフが形成され
ている。また、７は圧電素子６の表面に形成された表面
電極、８は圧電素子６の反対の面に形成された裏面電
極、９はこれら表面電極７と裏面電極８との間に電圧を
印加するための駆動回路である。

【０００３】このような構成において、圧電素子６にパ
ルス状の電圧を印加すると、圧電素子６がその厚さ方向
に膨張するとともに長さ方向に収縮し、振動板５がイン
ク加圧室３の内側方向にたわむ。これにより、インク加
圧室３の容積が減少し、それに伴って生じた圧力波によ
りインクノズル４のインクがインク滴となって、図の符
号ａで示す方向に噴射される。

【０００４】その動作について、図３，図４を参照して
説明する。なお、図３は図２のインクジェットヘッドの
駆動回路例、図４はその動作を説明するタイムチャート
をそれぞれ示す。時刻ｔ１より前には圧電素子６は、ス
イッチング素子Ｔ１と抵抗Ｒ１を通して電圧ＶＨに充電
されている。このとき、圧電素子６の変形量は最大とな
り、図２に示すインク加圧室３の容積は最小となる。次
に、時刻ｔ１においてスイッチング素子Ｔ１がオフ，ス
イッチング素子Ｔ２がオンとなることにより、圧電素子
６に充電されていた電荷は、抵抗Ｒ１とスイッチング素
子Ｔ２を通して放電されて圧電素子６の変形量が減少
し、インク加圧室３の容積が増大する。増大した体積に
見合うインクがインクタンク１より供給され、インク加
圧室３はインクで満たされた状態となる。

【０００５】次に、時刻ｔ２においてスイッチング素子
Ｔ１がオン，スイッチング素子Ｔ２がオフとなることに
より、スイッチング素子Ｔ１と抵抗Ｒ１を通して、圧電
素子６は電圧ＶＨになるまで充電される。このとき、再
びインク加圧室３が押されて容積が減少し、この力によ
ってインクノズル４の先端からインク滴が吐出する。ヘ
ッドを所定量ずつ移動させながら上記動作を繰り返すこ
とにより、文字，イメージ等を形成（記録）することが
できる。なお、スイッチング素子Ｔ１のオン，オフは、
図３に示すスイッチング素子Ｔａのベースに所定の信号
Ｉ１を入力することにより、また、スイッチング素子Ｔ
２のオン，オフはそのベースに所定の信号Ｉ２を入力す
ることにより、それぞれ行なうようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
駆動回路では、インク吐出のための駆動波形（図４のｔ
１〜ｔ２間）を圧電素子に印加した後（ｔ２から次の駆
動波形のｔ１’までの間）、圧電素子を充電状態に保っ
ておくため常時一定の電圧を印加している。このため、
電圧印加のための電力消費が、インク吐出と次のインク
吐出の間で常時発生しており、装置の消費電力が増加し
発熱するという問題が生じている。また、圧電素子に短
絡モードの故障が生じると、過大電流が常時駆動回路に
流れ続けることとなり、発熱によって駆動回路が焼損に
至るおそれがある、という問題もある。したがって、こ
の発明の課題は、インク吐出と次のインク吐出までの間
の消費電力を低減するとともに、圧電素子故障時の駆動
回路の焼損を回避することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
べく、この発明では、インクノズルに連通するインク加
圧室に対応して電気機械変換素子としての圧電素子を設
け、この圧電素子の充放電により前記インク加圧室に圧
力を与え、前記インクノズルよりインク滴を吐出するイ
ンクジェットヘッド駆動回路において、インク吐出から
次のインク吐出までの間、前記圧電素子を間欠的に充電
するようにしている。上記の如くすることにより、消費
電力を低減させるとともに、圧電素子故障時の駆動回路
焼損を回避する。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１はこの発明の実施の形態を説
明するためのタイムチャートである。同図からも明らか
なように、ｔ１からｔ２までの間はインクを吐出する期
間を示し、図示のようなパルスによってインクが吐出さ
れるのは従来の場合と同様であり、時刻ｔ２以降の動作
が従来例と異なっている。すなわち、時刻ｔ２において
圧電素子の充電を開始し、十分に充電したと見なし得る
ｔ３−ａの時点で、スイッチング素子Ｔ１をオフとして
圧電素子の充電を停止し、その後、圧電素子に充電され
た電荷が、圧電素子自身の漏れ電流、または駆動回路の
漏れ電流等によって徐々に放電され、圧電素子の端子電
圧が一定値にまで下がるｔ４−ａの時点で再び充電を開
始し、十分に充電したと見なし得るｔ３−ｂの時点で、
スイッチング素子Ｔ１をオフとして圧電素子の充電を停
止する動作を、次の吐出タイミングとなる時刻ｔ１’ま
で繰り返すものである。

【０００９】充電を停止する、例えば時刻ｔ３−ａから
ｔ４−ａまでの期間に低下する電圧は、圧電素子の静電
容量，圧電素子自身の漏れ電流，および駆動回路の漏れ
電流等によって決まる或る一定の勾配となるので、この
電圧降下分が吐出に影響を与えない範囲内となるよう、
充電を停止する時刻ｔ３−ａからｔ４−ａまでの時間を
決定することが必要である。また、間欠的に充電する時
間、例えば時刻ｔ４−ａからｔ３−ｂまでの間に上昇す
る電圧は、圧電素子の静電容量と駆動回路の充電電流で
決まる勾配に従うので、十分に充電されたと見なせる電
圧値に応じて間欠的充電時間を決定すれば良い。

【００１０】なお、インク吐出の繰り返し周期が短い場
合、ｔ４−ａに達する前にｔ１’のタイミングが来てし
まうこともあり得るが、その場合でも、この間に充電を
停止する期間を確保できる限りは、省電力効果を期待す
ることが可能である。

【００１１】

【発明の効果】この発明によれば、インク吐出と次のイ
ンク吐出の間は、圧電素子に対し間欠的に充電電流を流
すようにしたので、その間の消費電力が低減されるだけ
でなく、圧電素子故障時の駆動回路の焼損が回避される
という利点がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を説明するためのタイム
チャートである。

【図２】インクジェットヘッドの一般的な例を示す概略
断面図である。

【図３】図２に示すインクジェットヘッドの駆動回路例
を示す回路図である。

【図４】図２の動作を説明するためのタイムチャートで
ある。

【符号の説明】

１…インクタンク、２…インク供給路、３…インク加圧
室、４…インクノズル、５…振動板、６…圧電素子、７
…表面電極、８…裏面電極、９…駆動回路、Ｔ１，Ｔ
２，Ｔａ…スイッチング素子、Ｒ１…抵抗。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクノズルに連通するインク加圧室に
   対応して電気機械変換素子としての圧電素子を設け、こ
   の圧電素子の充放電により前記インク加圧室に圧力を与
   え、前記インクノズルよりインク滴を吐出するインクジ
   ェットヘッド駆動回路において、 インク吐出から次のインク吐出までの間、前記圧電素子
   を間欠的に充電することを特徴とするインクジェットヘ
   ッド駆動回路。