JPH11290897A - 脱水ケーキの処理方法 - Google Patents

脱水ケーキの処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、産業廃棄物として捨てられてきた無機
汚泥脱水ケーキ、たとえば、砕石洗浄排水の凝集処理に
伴って発生する脱水ケーキ等の無機汚泥脱水ケーキを物
理的、化学的に処理し、路盤材料、盛土材料、築堤材
料、埋め戻し材料、裏込め材料などとして再利用出来る
ようにする方法を提供する。 【解決手段】 無機汚泥脱水ケーキを必要に応じ解砕し
た後、水溶性高分子、とりわけ、カルボキシル基を含む
水溶性合成高分子を加えてパドルミキサー等の混合機に
より混合造粒し、つぎに、セメント系固化剤及び/又は
石灰系固化剤及び/又は生石灰を加えて、同じくパドル
ミキサー等の混合機により混合、整粒し、さらに、分級
工程を経た生成物を堆積、養生することからなる脱水ケ
ーキの処理方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機汚泥脱水ケー
キの処理方法、とりわけ、砕石場の砕石洗浄排水の凝集
処理に伴って発生する脱水ケーキの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】砕石工場やダム工事現場から大量に発生
する砕石洗浄排水は、通常、凝集剤を加えてシックナー
に導き、そこでSS分(浮遊懸濁物)を沈降分離し、沈
降スラッジはフィルタープレスで脱水し、上澄み液は、
放流または洗浄水として再利用する方法が採用されてい
る。ここで発生する脱水ケーキは産業廃棄物に該当する
から、捨て場の確保がむずかしく、また、捨て場があっ
ても処分費が高くついて採算を圧迫する要因になってい
る。浚渫汚泥脱水ケーキ、土木工事に伴う濁水処理の結
果生じた脱水ケーキ、石材加工に伴う濁水処理の結果生
じた脱水ケーキなども、同様に捨て場の確保がむずかし
く、また、捨て場があっても処分費が高くついて問題に
なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来、産業
廃棄物として捨てられてきた無機汚泥脱水ケーキ、たと
えば、砕石洗浄排水の凝集処理に伴って発生する脱水ケ
ーキ等の無機汚泥脱水ケーキを物理的、化学的に処理
し、路盤材料、盛土材料、築堤材料、埋め戻し材料、裏
込め材料などとして再利用出来るようにする方法を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機汚泥脱水
ケーキを必要に応じ解砕した後、水溶性高分子、とりわ
け、カルボキシル基を含む水溶性合成高分子を加えてパ
ドルミキサー等の混合機により混合造粒し、つぎに、セ
メント系固化剤及び/又は石灰系固化剤及び/又は生石
灰を加えて、同じくパドルミキサー等の混合機により混
合整粒し、さらに、分級工程を経た生成物を堆積、養生
することからなる脱水ケーキの処理方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】脱水工程から得られる無機汚泥脱
水ケーキの形状は、脱水機の種類で異なる。例えば、ス
クリュープレスから発生する脱水ケーキは、はじめから
解砕された状態で存在するが、フィルタープレスから発
生する脱水ケーキは、小さいもので50cm角、大きいも
ので200cm角、厚み1〜5cmの盤状をしており、その
ままでは混合機に投入出来ない。そこで、投入可能な大
きさ、例えば、30cm角またはそれ以下の大きさに解砕
してからパドルミキサー等の混合機に投入する。解砕の
方法としては、フィルタープレスのケーキの落ち口に帯
鉄製のカッターを長手方向に数本もうけ、ケーキが落下
するとき、そのカッターに当たる事で解砕される方式が
簡便であるが、より積極的な解砕の方法としては、多軸
(3軸または4軸)のロータリーハンマーを有する解砕
機、例えば、奥多摩工業社製のS−4Rや、回転するク
シ刃と固定刃により解砕を伴う特開平4−281900
号記載の方法などを用いるのがよい。
【0006】必要に応じ解砕を終えた脱水ケーキは、次
にパドルミキサー等の混合機に送られ、そこで水溶性高
分子と混合される。水溶性高分子と混合が進むにつれ
て、造粒される。水溶性高分子として使用できるのは、
天然系では、ガム類またはその誘導体類、でんぷんまた
はその誘導体類、アルギン酸ソーダ、半合成系では、セ
ルロース誘導体類たとえばカルボキシルメチルセルロー
スなどである。また、カルボキシル基を含む水溶性合成
高分子としては、アクリル酸またはその塩とアクリルア
ミドとの共重合体、マレイン酸またはその塩と酢酸ビニ
ルとの共重合体、アクリルアミドの単独重合体を部分加
水分解したもの、アクリル酸ソーダの単独重合体などを
使用できるが、好ましくはアクリル酸またはその塩とア
クリルアミドとの共重合体が良い。共重合体の重合度は
100万以上、好ましくは500万以上である。
【0007】水溶性高分子の添加量は、脱水ケーキから
水分を除いた重量(無水重量)に対し外割りで天然系の
場合にあっては、0.1〜2.6重量%、好ましくは
0.2〜1.3重量%、半合成系の場合にあっては、
0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜1.3重量
%、合成系の場合にあっては、0.02〜0.7重量
%、好ましくは0.05〜0.4重量%である。それ以
上では経済的に合わないし、それ以下では粒状化しな
い。なお、水分の重量については、JIS A 1203「土の含
水量試験方法」に従って測定した。水溶性高分子は、粉
末で添加してもよいし、水溶性高分子の微粒を適当な液
体に高濃度で分散させたものを添加してもよい。また、
天然系、半合成系、合成系の水溶性高分子を適宜、組み
合わせて使用しても良い。原料となる脱水ケーキの水分
が不足し造粒できない場合は、若干量の水分を補足す
る。
【0008】粒状化した脱水ケーキは、さらに、パドル
ミキサー等の混合機でセメント系固化剤及び/又は石灰
系固化剤及び/又は生石灰と混合される。本発明で用い
るセメント系固化剤としては、ジオライトシリーズ(秩
父小野田社製)、アサノクリーンセットシリーズ(日本
セメント社製)、UKCシリーズ(宇部興産社製)など
を挙げることが出来る。また、石灰系固化剤としては、
マスターズシリーズ(奥多摩工業社製)、グリーンライ
ムシリーズ(宇部マテリアルズ製)、リョウコウライム
シリーズ(菱光石灰工業社製)などを挙げることが出来
る。固化剤としては、セメント系固化剤、石灰系固化
剤、生石灰のうちから一種を選択して用いてもよいし、
これらを二種以上組み合わせて用いても良い。石灰系固
化剤や生石灰と混合すると水溶性高分子は水に不溶の形
にかわり、安定性が向上する。固化剤の添加量は、無機
汚泥脱水ケーキから水分を除いた重量(無水重量)に対
し、1〜13重量%、好ましくは2〜10重量%であ
る。ここでいう添加量は、セメント系固化剤、石灰系固
化剤、生石灰のうちから一種を選択して用いる場合は、
その一種の添加量であり、これらを二種以上組み合わせ
て用いる場合は、その合計した量である。1重量%未満
では必要な強度が得られないし、13重量%をこえると
経済的に成り立たなくなるばかりでなく、造粒後の粒子
同士が二次的に固結し、大きな塊となって、最終の分級
工程ではじかれる可能性が高まる。固化剤と混合される
前の中間処理物の粒度は、40mm以上の粗い塊を10%
以上含むが、パドルミキサーでセメント系固化剤及び/
又は石灰系固化剤及び/又は生石灰と混合が進むにつれ
整粒され、殆どが10mm以下の小粒状になる。
【0009】水溶性高分子や固化剤と混合するためのパ
ドルミキサーは、バッチ式でも連続式でも良い。連続式
の場合、1台のものを両方の目的に、すなわち、前半を
水溶性高分子との混合用として、後半を固化剤との混合
用として使用してもよいし、2台のミキサーを準備し、
水溶性高分子との混合用、固化剤との混合用に使い分け
ても良い。なお、混合機としては、造粒性能に優れたパ
ドルミキサーを用いることが好ましいが、これに限定さ
れるわけでなく、リボンミキサー、ドラム式混合機、パ
ン型ミキサーなどを用いて混合を行ってもよい。とくに
固化剤との混合用には、より簡単な混合装置、たとえ
ば、バイブレーテングシュート、邪魔板付シュートな
ど、水溶性高分子で造粒された粒子表面を固化剤で被覆
できる装置であれば、どんなものでも使用できる。ま
た、水溶性高分子との混合、固化剤との混合の両方にパ
ドルミキサーを用いる場合、いずれか一方のみパドルミ
キサーを用いる場合もあるが、特に両方の混合工程に用
いることが好ましい。
【0010】固化剤と混合された処理土は、振動篩で所
定の粒度以上の粒をカットしてからヤードに運ばれ、堆
積養生される。分級後の処理物の粒子の大きさは、粒径
1mm以上が80重量%以上、好ましくは95重量%以上
で、かつ、粒径20mm以上が20重量%以下、好ましく
は10%重量以下であるように調整するのが良い。
【0011】養生期間は、3〜7日間である。養生につ
れ粒子内部でポゾラン反応が進行し、改良土の強度が上
昇する。強度は、同じ添加量で比較すると、セメント系
固化剤がもっとも強く、石灰系固化剤、生石灰の順にや
や弱くなる。
【0012】本発明における無機汚泥脱水ケーキとして
は、砕石工場やダム工事現場から大量に発生する砕石洗
浄排水を処理した場合に生じる脱水ケーキが好適に用い
られるが、浚渫汚泥脱水ケーキ、土木工事に伴う濁水処
理の結果生じた脱水ケーキ、石材加工に伴う濁水処理の
結果生じた脱水ケーキなども用いられる。本発明では、
改良土をもっぱら有価物として再利用することにあり、
その具体的用途としては、路盤材料、盛土材料、築堤材
料、埋め戻し材料、裏込め材料などへの利用が考えられ
る。特に好ましくは、路盤材料への利用である。例え
ば、路盤材料としての利用を考えた場合、処理土は、ク
ラッシャーラン、粒度調整砕石、再生路盤材などと混合
して用いるから、材料分離が起きにくい粒度分布が求め
られるほか、配合比を高くしても混合後の修正CBR値
やPIが規格値内におさまるよう、処理土自体の強度を
できるだけ高める必要がある。本発明における分級後の
処理物の粒の大きさ、すなわち、1mm以上が80重量%
以上で、かつ、20mm以上が20重量%以下という基準
は、CBR値を高く保つことが出来、かつ、クラッシャ
ーラン、粒度調整砕石、再生路盤材などと混合した場
合、材料分離が起きにくい粒度の分布として決められた
ものである。一方、盛土材料、築堤材料、埋め戻し材
料、裏込め材料などに利用する場合には、改良土をその
まま用いることが多いから、建設発生土利用技術マニュ
アル(土木研究センター発行)の土質区分基準に適応す
る品質(コーン指数等)が求められる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。 実施例1〜5 砕石洗浄排水処理からでた脱水ケーキ(水分率23%)
2キログラム(水分460g、無水部分1540g)を
卓上型の混練機にとり、アクリルアミドとアクリル酸ソ
ーダの共重合物(東亜合成社製A−140)の粉末を2
グラム(脱水ケーキ無水部分に対し0.13重量%)添
加し、3分間、練り混ぜた。次に、生石灰または石灰系
固化剤(奥多摩工業社製マスターズ582)またはセメ
ント系固化剤(秩父小野田セメント社製ジオライト1
0)を脱水ケーキ無水部分に対して1.3〜13重量%
添加して1分間練り混ぜた。さらに処理物を篩にかけて
1mm以下および10mm以上をカットした。こうして得ら
れた処理物を3日間、室内で野積み養生後、15cmモー
ルドに詰め、JIS A 1210締固め試験法に従い、2.5K
gランマーで3層67回突き固め、さらに、室内養生を
6日間、水浸養生を4日間行い、JISA1211路床
土支持力比試験方法に基づきCBR値を測定した。結果
は表1の通りであった。
【0014】
【表1】 「石灰系」は、奥多摩工業社製の石灰系固化剤マスター
ズ582を表す。「セメント系」は、秩父小野田社製の
セメント系固化剤ジオライト10を表す。
【0015】実施例6〜9 砕石洗浄排水処理からでた脱水ケーキ(水分率23%)
2キログラム(水分460g、無水部分1540g)を
卓上型の混練機にとり、インド産天然グアガム(三栄薬
品貿易扱い品)またはアルファー化でんぷん(日澱化学
社製)またはアルギン酸ソーダ(日本触媒社製試作品)
またはカルボキシメチルセルロース(日本製紙社製14
00LC)を所定量添加し、3分間、練り混ぜた。次
に、生石灰を脱水ケーキ無水部分に対して3.9重量%
添加して1分間練り混ぜた。さらに処理物を篩にかけて
1mm以下および10mm以上をカットした。こうして得ら
れた処理物を3日間、室内で野積み養生後、15cmモー
ルドに詰め、JIS A 1210締固め試験法に従い、2.5K
gランマーで3層67回突き固め、さらに、室内養生を
6日間、水浸養生を4日間行い、JIS A 1211路床土支持
力比試験方法に基づきCBR値を測定した。結果は表2
の通りであった。
【0016】
【表2】 (注)いずれも生石灰を脱水ケーキ無水部分に対して
3.9重量%使用した。
【0017】実施例10 砕石洗浄排水処理からでた脱水ケーキ(水分率22%)
2キログラム(水分440g、無水部分1560g)を
卓上型の混練機にとり、アクリルアミドとアクリル酸ソ
ーダの共重合物を2グラム(脱水ケーキ無水部分に対し
0.13重量%)添加し、3分間、練り混ぜた。次に、
生石灰または石灰系固化剤(奥多摩工業社製マスターズ
582)を脱水ケーキ無水部分に対して3.8重量%添
加して1分間練り混ぜた。処理物を3日間、室内で野積
み養生後、生成物の粒度分布を測定した。結果を表3に
示す。
【0018】
【表3】
【0019】実施例1〜9が示すように、フィルタープ
レスから排出された無機汚泥脱水ケーキを必要に応じ解
砕した後、パドルミキサーで水溶性高分子を加えて混合
造粒し、つぎに、同じくパドルミキサーでセメント系固
化剤、または石灰系固化剤、または生石灰を加えて混
合、整粒し、さらに、分級工程を経た生成物を数日間程
度、堆積、養生することにより、強度に優れた粒状の改
良土を得ることができる。また、実施例10より、同様
の方法で改良した改良土は、その74重量%以上が1m
m以上9.52mm以下の粒状になっており、これを砕
石に混合して路盤材料とする場合は粉末に比べて分離が
起きにくいし、盛土材料、築堤材料、埋め戻し材料、裏
込め材料などとして利用する場合も、ハンドリング性が
よいこと、水浸透性、通気性が高いことなどすぐれた特
徴を有するから、高い費用を払って産業廃棄物として処
分することに比較し、得られる経済効果は限りなく大き
い。
【0020】
【発明の効果】浚渫汚泥脱水ケーキ、土木工事に伴う濁
水処理の結果生じた脱水ケーキ、石材加工に伴う濁水処
理の結果生じた脱水ケーキなどの脱水ケーキを、産業廃
棄物として処理する必要がなくなり、これらを盛土材
料、築堤材料、埋め戻し材料、裏込め材料などとして有
効利用することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機汚泥脱水ケーキに水溶性高分子を加
    えて混合し、つぎにセメント系固化剤、石灰系固化剤、
    及び生石灰からなる一群から選ばれた一以上を加えて混
    合し、さらに、分級工程を経た生成物を堆積、養生する
    ことを含む脱水ケーキの処理方法。
  2. 【請求項2】 上記水溶性高分子が、ガム類、ガム類の
    誘導体類、でんぷん、でんぷんの誘導体類、アルギン酸
    ソーダ、及びセルロース誘導体類からなる一群から選ば
    れた一以上である請求項1に記載の脱水ケーキの処理方
    法。
  3. 【請求項3】 上記水溶性高分子が、カルボキシル基を
    含む水溶性合成高分子である請求項1に記載の脱水ケー
    キの処理方法。
  4. 【請求項4】 上記水溶性高分子の添加量が、上記無機
    汚泥脱水ケーキの無水部分に対し、天然系の場合にあっ
    ては0.1〜2.6重量%、半合成系の場合にあっては
    0.1〜2.0重量%、合成系の場合にあっては0.0
    2〜0.7重量%である請求項1〜3のいずれかに記載
    の脱水ケーキの処理方法。
  5. 【請求項5】 上記セメント系固化剤、石灰系固化剤、
    及び生石灰からなる一群から選ばれた一以上の総添加量
    が、上記無機汚泥脱水ケーキの無水部分に対し、1〜1
    3重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の脱水ケ
    ーキの処理方法。
  6. 【請求項6】 上記無機汚泥脱水ケーキが、砕石場の砕
    石洗浄排水の凝集処理に伴って発生する脱水ケーキであ
    る請求項1〜5のいずれかに記載の脱水ケーキの処理方
    法。
  7. 【請求項7】 上記分級工程後の処理物の粒子の大きさ
    が、粒径1mm以上が80重量%以上で、かつ、粒径20
    mm以上が20重量%以下である請求項1〜6のいずれか
    に記載の脱水ケーキの処理方法。
  8. 【請求項8】 上記水溶性高分子との混合と、上記セメ
    ント系固化剤、石灰系固化剤、及び生石灰からなる一群
    から選ばれた一以上との混合とのいずれか一方又は両方
    の混合に、パドルミキサーを使用する請求項1〜7のい
    ずれかに記載の脱水ケーキの処理方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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