JP3654925B2 - 砕石洗浄スラッジの改質方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は山砕石等からコンクリート骨材を生産する場合に発生する砕石洗浄スラッジの改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
山砕石等からコンクリート用骨材を生産する場合には、一般に砕石等を水にて洗浄して泥分や微粉を除去して使用する。特に細骨材(砕砂)は、水洗して微粒子を極力分級して使用している。こうした洗浄水に含まれるスラッジは、沈澱させ脱水後に処分するか、フィルタープレス等により機械的強制脱水してケーキ状にして処分されている。
【0003】
この種のスラッジは、一般に採石量の8〜15%にも達する。そこで処分としては安定した表土と混入させたり、あるいは表土と互層に埋立廃棄処理したりしている。しかし、砕石砕砂生産においては大量にスラッジが発生し、環境対策を含めて安定的な有効利用が強く求められている。なお、従来技術としては、例えば特開平2−137750号に示されるように、砕石,砕砂へ一部分混入して使用するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、含水分の多いスラッジにセメント粉末をどのようにして入れるか、あるいは100kgf/cm2 以上の高圧にて加圧成型時にどのようにして水分除去をするのか等の未解決部分を残している。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、環境対策を含めて安定的な有効利用が可能で、かつ連続的に大容量処理の可能な砕石洗浄スラッジの改質方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の[請求項1]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、砕石生産時における含水分15〜35%の洗浄スラッジと、前記洗浄スラッジに対して重量比で3〜6%のセメント又はセメント系固化材及び砕石集塵粉とを混合した後、前記混合物をロッド式混練機にて混練し、前記混練後の混練物に砕石集塵粉を散布しつつドラム式造粒機により造粒した後、養生する一連の前記各工程を経過したものである。
【0006】
本発明の[請求項2]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、砕石生産時における含水分15〜35%の洗浄スラッジと、前記洗浄スラッジに対して重量比で7〜13%のセメント又はセメント系固化材及び砕石集塵粉とを混合した後、前記混合物をロッド式混練機にて混練し、前記混練後の混練物に砕石集塵粉を散布しつつ回転する一対のローラ間に強制的に押し込んで造粒した後、養生する一連の前記各工程を経過したものである。
【0007】
本発明の[請求項3]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、[請求項2]において、前記セメント等の粉体には、重量比で3%以下の繊維物を混入するようにした。
【0008】
本発明の[請求項4]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、[請求項2]において、前記回転する一対のローラは円周方向に数条の溝を有し、前記溝は楕円形の半円溝として帯状に成型し排出口にて短寸法に切断するようにした。
【0009】
本発明の[請求項5]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、[請求項2]又は[請求項3]において、前記造粒品は成型造粒後に篩により粒度調整し、造粒不良品及び小片を除去した後、除去物を造粒工程へ戻して再造粒するようにした。
【0010】
【作用】
本発明の[請求項1]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、スラッジが水にて溶解せず造粒を保ち、主に埋立材や裏込め材として利用でき、植樹や低層建物等に支障のない程度に改質できた。
【0011】
本発明の[請求項2],[請求項3]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、路床盤材や埋戻し材として適当な程度に改質できた。
【0012】
本発明の[請求項4]に係る造粒方式は、楕円形の半円溝が合さった状態になるので、米状に成型された製品が得られる。
【0013】
本発明の[請求項5]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法は、不良品が除去されて造粒工程へ戻される。したがって無駄なく資源の回収がなされる。
【0014】
【実施例】
以下図面を参照して実施例を説明するが、基本的な考え方としては、高含水の砕石洗浄スラッジにセメント等を均一的に混入して用途に応じて改質し、有効利用を図るものである。
本発明の[請求項1]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法の実施例を説明する。図1は[請求項1]に係る実施例図であり、この場合は埋立材あるいは裏込め材として用いる場合を示し、スラッジの含水分を15〜35%として使用するものである。先ず、スラッジの脱水を行なうが、一般的には中圧(ポンプ押込圧力10kgf/cm2 〜30kgf/cm2 )押込みのフィルタープレス機を使用して低含水分とする。
【0015】
図1において投入工程(A)によりスラッジケーキはホッパ1へ投入され、解砕後ベルトコンベア2にて混練工程(C)のロッド式混練機3に移送される。この場合ベルトコンベア2の途中にある計重機4にて移送量が計量され、その信号によって混合工程(B)の固化材及び砕石集塵粉の量を決定して混合機5にて混合される。そして、これがロッド式混練機3に移送されて混練される。なお、微小の水分調整はセメント粉と共に砕石製造時に発生する集塵粉の添加によって行なわれる。
【0016】
この場合、集塵粉(乾式,砕砂併用時は分級した微粉)とセメント等の粉末を一定比率で予め混合して使用し、少量添加するセメント粉の増量化を図り、均一な分散性を高めるものとする。この場合、セメント系固化材は重量比で6%以下、好ましくは3〜6%とする。次いで混練後の材料は造粒工程(D)のドラム式造粒機6によって造粒する。なお、造粒径は20〜15mmとするが特定せず、大小混合粒とする。なお、造粒機は今回はドラム式を用いたが、パン型でも可能である。
【0017】
造粒後はコンベアにて養生工程(E)となるが、造粒後の養生はコンクリートの強度発現を十分に行なわせると共に、用途に応じ経済性を加味して行なう。本実施例のように埋立材あるいは裏込め材として使用する場合は、造粒後1〜3日間屋内にて自然養生させる。
【0018】
造粒時の粒径調整及び割れ防止対策としては、本実施例の場合、円筒ドラムの転動による造粒であるため、造粒機の入口へ集塵補集粉を少量散布し水分調整して粒径の大きさ調整をする。なお、含水分が多いと粒径は大きくなり、少ないと粒径は小さいものとなる。本実施例によれば埋立材や宅地造成材裏込め材料として利用でき、植樹や低層建物等、建築に支障のない程度にスラッジを改質できる。
【0019】
本発明の[請求項2]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法の実施例を以下に説明する。図2は[請求項2]に係る実施例図であり、この場合は主に路床盤材又は埋戻し材として用いる場合を示し、スラッジの含水分を15〜35%として使用するものである。なお、スラッジの脱水は図1に示す[請求項1]の場合と同様である。
【0020】
図2において図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。本実施例で図1と異なる部分は、混合工程(B)においてセメント系固化材の重量比を7〜13%にすると共に、砕石集塵粉を用いるようにした点及び造粒工程(一点鎖線で囲まれた部分)、更に養生条件を変えた点である。
【0021】
したがって作用において、ロッド式混練機3で混練後は押込みスクリュー7にて強制的に溝付き加圧ローラ9を経由させ帯状に成型しカッティングして造粒する。なお、加圧ローラは円周方向に数条の溝を有し、この溝は楕円形の半円溝となっている。又、造粒後は振動篩機8にて粒度調整し、不良品は不良品戻しコンベアにて再度溝付き加圧ローラ9へ戻す。その他の良い製品はコンベアにて養生工程(E)に入る。この部分が[請求項4]である。この場合、造粒後屋内で1晩(12時間)製品上へ防水シートにより覆い、内部へは低圧蒸気を送って養生させ、更に養生後は更に5日間自然養生させる(但し、寒冷時は3日間屋内養生)。
【0022】
造粒時の粒径調整及び割れ防止対策
本実施例の場合、使用目的が路床盤材や埋戻し材であるため、締め固めを要する上に所定の粒度分布を必要とする。そのため造粒に際しては溝付きローラの溝サイズを大小組合せて行なうが、一対のローラが回転する時のローラへの付着力により中心部分より分割される現象が生ずる。これは造粒物の付着力よりローラ表面への付着力が大きいためである。
【0023】
そこで造粒物中へ短い繊維物を混入し、内部付着力を増大させると共に、造粒物の強度アップを図ることにより、成型物の割れは解消する。これが[請求項3]である。なお、短繊維材の混入方法は、セメント等の粉体物と予め混合しておいてスラッジと混練するものとする。又、成型造粒物の割れ又は端材片は、製品の強度に悪影響を及ぼすものであり除去する必要がある。造粒直後の養生コンベア出口に振動篩機を設置し、微振動の網により小片は取り除き、造粒機入口へ戻し再造粒化させることにより、不良材の発生を抑える方式とする。本実施例によれば路床盤材あるいは埋戻し材として使用するのに十分な強度のスラッジ改質材料が得られる。
【0024】
上記各実施例にみられるように、スラッジの改質には少量のセメント又はセメント系固化材を均一的に混合混練することが安定した品質を確保するために必要であり、フィルターケーキの如く粉体との混合性の悪いものには、鋼製のロッドを円筒内に充填し回転させるロッドによる混練機を使用する。こうすることにより、セメント材は使用量が少なくてもスラッジケーキに均一的に混練され改質効果があがる。砕石洗浄による発生スラッジは採石山の開発当初を除き、有機性の不純物は少量(10%以下)で大部分は砕石粉末であり、スラッジの改質は発生状態のままで使えばよく(加熱又は焼成,殺菌等は行なわない)、低コストな製造方法である。各種混合機による性能比較によりロッド式混練機を用いることにした。
【0025】
次に、土質選定基準を第1表に示し、本発明によるものを第2表に示す。なお、表に示す第1種土質材料とは河川堤防用を除いた全てに適用できるものであり、第2種土質材料とは埋戻し以外の全て、更に第3種土質材料とは埋戻し及び路床以外の全てに採用できるものである。なお、第3表は各土質材料の適用性の目安を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば高含水の砕石洗浄スラッジにセメント等を所定量添加して均一に混入し、混練して改質するようにしたので、用途に応じた適用範囲に拡大でき、無駄なく経済性の高い資源の回収が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の[請求項1]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法を示す実施例図。
【図2】本発明の[請求項2],[請求項3],[請求項4],[請求項5]に係る砕石洗浄スラッジの改質方法を示す実施例図。
【符号の説明】
A 投入工程
B 混合工程
C,C−1 混練工程
D,D−1 造粒工程
1 ホッパ
2 ベルトコンベア
3 ロッド式混練機
4 計重機
5 混合機
6 ドラム式造粒機
7 押込みスクリュー
8 振動篩機
9 溝付き加圧ローラ
Claims (5)
- 砕石生産時における含水分15〜35%の洗浄スラッジと、前記洗浄スラッジに対して重量比で3〜6%のセメント又はセメント系固化材及び砕石集塵粉とを混合した後、前記混合物をロッド式混練機にて混練し、前記混練後の混練物に砕石集塵粉を散布しつつドラム式造粒機により造粒した後、養生する一連の前記各工程を経過したことを特徴とする砕石洗浄スラッジの改質方法。
- 砕石生産時における含水分15〜35%の洗浄スラッジと、前記洗浄スラッジに対して重量比で7〜13%のセメント又はセメント系固化材及び砕石集塵粉とを混合した後、前記混合物をロッド式ドラム混練機にて混練し、前記混練後の混練物に砕石集塵粉を散布しつつ回転する一対のローラ間に強制的に押し込んで造粒した後、養生する一連の前記各工程を経過したことを特徴とする砕石洗浄スラッジの改質方法。
- 請求項2記載の砕石洗浄スラッジの改質方法において、前記セメント等の粉体には、重量化で3%以下の繊維物を混入することを特徴とする砕石洗浄スラッジの改質方法。
- 請求項2記載の砕石洗浄スラッジの改質方法において、前記回転する一対のローラは、円周方向に数条の溝を有し、前記溝は楕円形の半円溝として帯状に成型し排出口にて短寸法に切断することを特徴とする砕石洗浄スラッジの改質方法。
- 請求項2又は請求項3記載の砕石洗浄スラッジの改質方法において、前記造粒品は成型造粒後に篩により粒度調整し、造粒不良品及び小片を除去した後、前記除去物は造粒工程へ戻して再造粒することを特徴とする砕石洗浄スラッジの改質方法。
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