JPH11289897A - 動物の排泄物用処理材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性及び脱臭性が高くて衛生的であり、軽
量であり、少量で尿を多く吸収し、かつ尿を吸収した時
に壊れ難い団塊物を形成する固化性をも持ち、簡単に処
理して処分できる経済性を有するペットの排泄物用処理
材を提供する。 【解決手段】 粉砕した多孔性軽石又は粉砕したガラス
質凝灰岩系鉱物の焼成物の少なくとも１種と粉砕した膨
潤力１８（ｍｌ／２ｇ）以上のベントナイトを混合し造
粒したことを特徴とする動物の排泄物用処理材。嵩比重
が０．５〜０．７ｇ／ｃｍ³ であることが好ましい。前
記多孔性軽石又は粉砕したガラス質凝灰岩系鉱物の焼成
物の少なくとも１種と前記ベントナイトとの重量比を
６：４〜４：６とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、動物、特にペット
等の小動物の排泄物用処理材に関する。さらに詳しく
は、粉砕した軽石又は粉砕したガラス質凝灰岩系鉱物の
焼成物に粉砕したベントナイトを混合し造粒することに
よって、猫や犬等のペットの排泄物を速やかに吸収固化
して、簡便に効率良く処理でき、かつ軽くて持ち運び易
い、改良された小動物の排泄物用処理材に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】ペットの排泄物の処理は、通常砂、クレ
ー、ゼオライト、ベントナイト等の鉱物質粉粒体に排泄
物を吸収させることにより行われてきた。しかしなが
ら、これらの処理材は吸水能や固化性の点で劣ったりし
て、排泄物によって湿った不衛生な状態の排泄物部分を
容易に取り除いて処分することが困難であった。また、
排泄物の悪臭を除去する目的で吸着能のあるゼオライト
を単独又はベントナイトなどの鉱物質に混合して使用す
ることが知られている。しかし、ゼオライトの添加量が
少ないと脱臭力が劣り、多くすると効果は上がるが、反
面尿を吸収した場合、べとべとの状態になり、ペットの
毛や足に付着しやすくなる欠点がある。そのため、ペッ
トが処理材の上を歩くと、足の爪の間にそれの粉末が挟
まったり、又は付着した状態になり、歩き廻る習性から
粉末をまき散らして住居環境を汚す問題があった。

【０００３】従って、１回でも排泄がなされた後の処理
材は衛生上好ましくないため、排泄の都度処理材の全量
を廃棄して新しい処理材に交換することが必要になるの
で、処理材の費用が嵩み、経済性が良くないという問題
を有している。また、これらの処理材は輸送時又は使用
中に壊れて粉化し易いため、その粉末が飛散して周囲の
環境が不衛生になる問題点を有していた。これらの点を
改良するものとして、粘土鉱物のベントナイトが吸水す
ると団塊化して脱臭する無機質ベントナイトと、悪臭を
吸着して脱臭する機能性のゼオライトなどの鉱物質を混
合して造粒する方法が一般的に知られている。これら市
場に流通している鉱物質の処理材は、一般にその重量が
重いため、運搬の取扱いが容易でない難点があった。

【０００４】最近、紙や木粉を用いたペット用排泄物用
処理材が提案されているが、軽くてかつ燃えるごみとし
て処分できることは、都心部の使用者にとって好都合な
ことである。しかしながら、これらの処理材の基本的機
能性については、鉱物質のそれよりも吸水性、脱臭性及
び排尿がかかった際に固まりとなって固化する能力が遙
かに劣っており、固化した部分だけを掬い取って捨てら
れる経済性を含めて使用者の処理材に対する満足度はか
ならずしも十分とは言えないものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した欠
点を解消し、吸水性及び脱臭性が高くて衛生的であり、
軽量であり、少量で尿を多く吸収し、かつ尿を吸収した
時に壊れ難い団塊物を形成する固化性をも持ち、簡単に
処理して処分できる経済性を有するペットの排泄物用処
理材を提供することを課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、吸水性及び
脱臭性が高い材料として各種物質を調べ、かつその物質
同士が相互にくっついて団塊物になる性質を備えると共
に吸水性及び脱臭性もある物質との組合せを検討したと
ころ、粉砕した軽石粉末又は粉砕したガラス質凝灰岩系
鉱物の焼成物が吸水性及び脱臭性の高い材料として優れ
ており、これらの結合剤としてベントナイトを組み合わ
せることにより、優れた排泄物用処理材を得ることがで
きることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本
発明は、次の手段により前記課題を解決することができ
た。 （１）粉砕した多孔性軽石又は粉砕したガラス質凝灰岩
系鉱物の焼成物の少なくとも１種と粉砕した膨潤力１８
（ｍｌ／２ｇ）以上のベントナイトを混合し造粒したこ
とを特徴とする動物の排泄物用処理材。 （２）嵩比重が０．５〜０．７ｇ／ｃｍ³ であることを
特徴とする前記（１）記載の動物の排泄物用処理材。 （３）前記多孔性軽石又は粉砕したガラス質凝灰岩系鉱
物の焼成物の少なくとも１種と前記ベントナイトとの重
量比を６：４〜４：６とすることを特徴とする前記
（１）又は（２）記載の動物の排泄物用処理材。 （４）前記の混合し造粒されたものが重炭酸カルシウム
を添加混合されたものであることを特徴とする前記
（１）〜（３）のいずれか１項記載の動物の排泄物用処
理材。 （５）皿型転動造粒機により造粒成形されたことを特徴
とする前記（１）〜（４）のいずれか１項記載の動物の
排泄物用処理材。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明で用いる、軽量硬質の粉砕
した軽石粉末又は粉砕したガラス質凝灰岩系鉱物を７０
０〜８００℃で焼成したものは、ガラス質に富む、多孔
性のもので、その嵩比重が０．５〜０．７ｇ／ｃｍ³ の
軽い軽石状粉末である。これらは吸水性及び保水性が高
く、ガス吸着性にも優れている。従来の尿を吸収したゼ
オライトはべとついて周りに付着しやすくなるのに対し
て、前記の焼成物はさらっとした状態でべとつきもな
く、周りに全く付着せず、悪臭を吸着して消臭する優れ
た消臭効果のあるものである。前記の焼成物は、ゼオラ
イトと同程度の消臭能力を有するので、優れた消臭効果
を与える。

【０００８】従来の天然ベントナイトを粉砕したもの
は、いったん吸水すると、粘着力を生ずることによって
一つの塊となる。この塊は指で押すと崩れやすいが、練
りが加えられるとさらに団塊化しやすい性質を持ってい
る。一般にベントナイトのＮａ型粉末は膨潤性がＣａ型
粉末よりも高い。これらベントナイトの膨潤力が１８
（ｍｌ／２ｇ）以上のものを用いることで、優れた粘結
剤及び固化剤として機能させるものである。本発明の前
記焼成物等と組み合わせることにより粒状製品に成形す
るときのベントナイトの使用量は、重量比が４０％未満
では尿を吸収したときの粘着力が小さくなり、団塊状に
固化したものは弱い。また重量比が７０％を越えると、
これらの機能性は増すが、嵩比重は大きくなりやすい傾
向にある。本材は、使用量の範囲を調整して粒状製品と
して成形する際、固形化するとともに保水したとき団塊
状化させる目的の成形性及び固形性の素材として満足さ
せる最も優れたものである。

【０００９】本発明においては、該排泄物処理用基材に
ついてさらに他の物質を添加することができる。上記添
加剤としては例えばシラスバルーン、パーライト、ゼオ
ライト、珪藻土、カオリン、重炭酸カルシウム、活性白
土などの無機物の微粉末が１００〜２００メッシュ（１
４０〜７４μｍ）のものを挙げることができる。本発明
において、排泄物用処理材を成形するに際しては、白色
度が９０％以上、３００メッシュ（＝４３μｍ）以上の
粉末の重炭酸カルシウムを、該排泄物処理用基材の主材
に重量比５〜２０％、好ましくは１０％前後を添加混合
することにより、加水中の水分を速やかに吸収して、球
状成形物の締まりを改善する優れた改良補助材となる。
さらに、乾燥された成形物は無添加のものより尿の吸収
効率を改善させるとともに白色度を高める効果があり、
商品性を向上させることができる。

【００１０】本発明においては、排泄物用処理材を造粒
する際の成形助剤として、水溶解性のＰＶＡ、ＣＭＣ、
でん粉、パルプ排液、ポリアクリル酸ソーダなどの他
に、水溶解性高分子を使用することができる。また、排
泄物用処理材を造粒する方法としては、ａ．機械的に攪
拌しながら水を添加して転動造粒する方法、ｂ．加圧成
形により造粒する方法などが挙げられる。前記ａの方法
の具体例としては、リボンミキサー、ナウターミキサ
ー、Ｖ型混合機、ニーダー、万能混合ミキサーなどの機
械的混合装置に該処理材の粉粒体を入れて攪拌、或いは
転動造粒機の回転機の上で転動しながら水を均一になる
ように添加することにより容易に造粒物が得られる。水
を添加する方法としては一般に水をスプレーしながら粉
粒体に加水又は吸湿させる。バインダーとしては、水以
外に必要に応じて水溶解性のＰＶＡ、でん粉、パルプ排
液などを水に溶解して使用する。

【００１１】さらに、前記ａの方法においては、添加す
る水の量は、鉱物の無機質の種類により異なるが、通常
は２５〜４０％、好ましくは３０％前後である。添加す
る水の量が多過ぎると、造粒物が柔らかくなって形が崩
れたり、造粒物同士がくっついたりする。この場合、造
粒物を乾燥すれば問題ないが、期待する大きさの粒径の
歩留りが悪くなる他に、乾燥効率も悪くなって熱エネル
ギーを多く必要とするので、不経済である。逆に、添加
する水の量が少な過ぎると、造粒が十分に行われなくな
る。ｂの方法の具体例としては、適当な形と大きさのペ
レット状に加圧成形する方法、又は押し出し成形機にか
けて成形する方法が挙げられる。上記において、加圧は
通常常温下で行うが、必要に応じ加温（３０〜３００
℃）、加湿（１００％）下で行っても差し支えない。

【００１２】本発明は、必要に応じて、消臭剤、芳香
剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、界面活性剤、ブロッキン
グ防止剤、ペットが好むマタタビなどを各々０．０１〜
１０％含有させることができる。これらの薬剤は、本発
明の排泄物用処理材中に存在していればよく、予め造粒
の際の鉱物に添加してもよい。本発明は、容器中に本発
明の処理材の粒状物を敷き詰めて、ペットの簡易トイレ
用として用いられる。このトイレに猫などの動物が排泄
をすると、排泄物の尿を急速に吸収してひと塊の固化物
となる。その部分を容易に摘まみ取ることもできるし、
簡単に掬い取って廃棄することができるので、極めて便
利である。また、排泄物用処理材は吸収率と固化率が高
いため、多量の尿を吸収固化することになり結果とし
て、使用量が少なくて済み経済的である。次に、本発明
の処理材の具体的な製造方法について説明する。無機質
の前記焼成物粉末４０〜６０重量％とベントナイトの粉
末６０〜４０重量％からなるものを必須成分とし、必要
に応じて抗菌剤などの他の成分を混合した後、皿型転動
造粒機上で加水しながら粒状に成形する。次いで、それ
を乾燥機ロータリーキルンで乾燥することにより、本発
明の排泄物用処理材が得られる。

【００１３】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。 実施例１ １００メッシュ（１４０μｍ）のガラス質凝灰岩系鉱物
焼成物粉末６０重量部をリボンミキサーでそれを湿らす
程度に水を噴射しながら混合したものを、パン型造粒機
に定量的に供給する。転動するパン型造粒機の皿上で、
前記の水で均一に湿らされた鉱物焼成物粉末に、膨潤力
１８（ｍｌ／２ｇ）以上を示す、２００メッシュ（＝７
４μｍ）以上の粉砕ベントナイト中級品４０重量部を定
量的に供給して同時に水を噴射しながら造粒して多孔質
粒状体を成形した。これを乾燥機ロータリーキルンで乾
燥させて低水分の球状の固い成形品を得た。

【００１４】実施例２ 粒径が１ｍｍ以下のガラス質凝灰岩系鉱物焼成物粉末６
０重量部をリボンミキサーで、それを湿らす程度に水を
噴射しながら混合したものを、パン型造粒機に定量的に
供給する。転動するパン型造粒機の皿上で、この水で均
一に湿らされた焼成物粉末に、膨潤力１８（ｍｌ／２
ｇ）以上を示す２００メッシュ（＝７４μｍ）以上の粉
砕ベントナイト中級品４０重量部を定量的に供給して水
を噴射しながら造粒して多孔質粒状体を成形した。これ
を乾燥機ロータリーキルンで乾燥させて低水分の嵩比重
が０．５〜０．７ｇ／ｃｍ³ である、軽い球状の固い成
形品を得た。これを放冷してから整粒機にかけて粒径１
〜６ｍｍの完成品を得た。

【００１５】実施例３ 膨潤力１８（ｍｌ／２ｇ）以上を示す２００メッシュ
（＝７４μｍ）以上の粉砕ベントナイト中級品４０重量
部と、白色度９０％以上で３００メッシュ（＝４３μ
ｍ）以上の重炭酸カルシウム１０重量部をリボンミキサ
ーで均一に混合する。一方、粒径が１００メッシュ（＝
１４０μｍ）以上のガラス質凝灰岩系鉱物の粉末をリボ
ンミキサーで濡らす程度に加水混合したものを、パン型
造粒機に定量的に供給する。先にベントナイトと重炭酸
カルシウムを均一に混合したものを、パン型造粒機に定
量的に供給しながら水を噴射して造粒を行い、多孔質粒
状体を成形した。これを乾燥機ロータリーキルンで乾燥
させ、低水分の外観が白い球状の固い成形品を得た。こ
れを放冷してから整粒機にかけて粒径１〜６ｍｍの完成
品を得た。

【００１６】試験例１ 前記実施例１〜３で得られた処理材の性状を調べるため
にその吸収性等を調べた。比較のために造粒して成形さ
れた市販品やガラス質凝灰岩系鉱物の粉末又はベントナ
イト粉末単独のものについても同様に試験した。 （試験方法） （１）吸収倍率 排泄物用処理材を１リットル容積のガラスビーカーの５
００ｍｌ目盛りに水平になるように入れてならした。人
工尿２５ｍｌを、ビュウレットを用いて処理材の表面の
中央部に約２ｃｍの高さから５秒間かけて滴下した。次
いで、滴下してから３分後に吸収して固まった部分をピ
ンセットで崩れないように取り出し、固まった部分の重
量を測定して、吸収率を次式により求めた。 吸収率（％）＝〔２５／（Ｗ−２５）〕×１００ ただし、Ｗ：吸収後の動物の排泄物用処理材の重量

【００１７】（２）吸収後塊の強度 吸収率と同じ操作を行い、得られた試料の団塊状になっ
たものが壊れるまでの強度をプッシュプルゲージで測定
した。対照の市販品の固化率（ｋｇｆ）が０．４０前後
であることを基準として評価した。 （３）脱臭性 該動物の排泄物用処理材６０ｍｌをポリカップ（内径８
０ｍｍ×高さ４０ｍｍ）に入れ、その上に０．２５％の
アンモニア水５ｍｌ、０．１２％のトリメチルアミン水
５ｍｌ、０．０１５％のメチルメルカプタン塩の水溶液
５ｍｌを滴下した３種類の試料を２．６リットル容積の
ガラス製デシケータに入れて密栓した。静置３０分後
に、ガス検知管を用いてデシケーター内の各々の残留ガ
ス濃度を測定して評価した。夫々の測定結果を第１表及
び第２表に示す。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【表２】

【００２０】第１表に示したように、実施例１、２、３
の本発明の動物の排泄物用処理材は、ペットがまき散ら
さない程度の嵩比重０．５０〜０．６５ｇ／ｃｍ³ のも
のであり、軽すぎもせず、また一般ベントナイト破砕粒
の１．０ｇ／ｃｍ³ 以上のように重くもないもので、ペ
ットに対して理想的な嵩比重になっているといえる。吸
収率については、従来の市販品の対照例に比べて、遙か
に優れて高く、従って臭いをその中に閉じ込めて脱臭す
る機能性を十分発揮しているものである。また、第２表
に示したように、実施例のいずれもが従来の市販品の対
照例に比べて脱臭効果が高く、優れた結果を得ている。

【００２１】

【発明の効果】本発明の動物の排泄物用処理材は、べと
つきがなく、嵩比重が軽く、尿の高い吸収性と固化性を
有し、吸着脱臭性に優れている。その他にも、尿を吸収
して速やかに固化し、固化した部分のみが少量であるた
め、選択的にその部分のみを掬い取って処分できるこ
と、白色度が高いため清潔感があること、嵩比重が小さ
いので、持ち運びや取扱が便利であること、及び経済性
が確保できることなどで、あらゆる面で満足度が高いも
のである。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉砕した多孔性軽石又は粉砕したガラス
   質凝灰岩系鉱物の焼成物の少なくとも１種と粉砕した膨
   潤力１８（ｍｌ／２ｇ）以上のベントナイトを混合し造
   粒したことを特徴とする動物の排泄物用処理材。
2. 【請求項２】 嵩比重が０．５〜０．７ｇ／ｃｍ³ であ
   ることを特徴とする請求項１記載の動物の排泄物用処理
   材。
3. 【請求項３】 前記多孔性軽石又は粉砕したガラス質凝
   灰岩系鉱物の焼成物の少なくとも１種と前記ベントナイ
   トとの重量比を６：４〜４：６とすることを特徴とする
   請求項１又は請求項２記載の動物の排泄物用処理材。
4. 【請求項４】 前記の混合し造粒されたものが重炭酸カ
   ルシウムを添加混合されたものであることを特徴とする
   請求項１〜３のいずれか１項記載の動物の排泄物用処理
   材。
5. 【請求項５】 皿型転動造粒機により造粒成形されたこ
   とを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項記載の動物
   の排泄物用処理材。