JPH1128954A - スライドシートの給電構造 - Google Patents

スライドシートの給電構造

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JPH1128954A
JPH1128954A JP9196382A JP19638297A JPH1128954A JP H1128954 A JPH1128954 A JP H1128954A JP 9196382 A JP9196382 A JP 9196382A JP 19638297 A JP19638297 A JP 19638297A JP H1128954 A JPH1128954 A JP H1128954A
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seat
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slider
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Tachi S Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成の複雑化を伴うことなく、ロングレール
タイプのシートスライド装置のモータに対する給電を可
能とする。 【構成】 ランナ12に一体的に固定されたスライダ76
が、ガイドレール14の中空の給電ダクト78に対してスラ
イド自在に配設されている。そして、給電ダクト78のボ
ディサイドカプラ88に一端の結線された可撓性導電線86
が、給電ダクトのほぼ全域でのスライダ76のスライドを
保障可能とする長さに形成されて、給電ダクトの内部に
収納されるとともに、可撓性導電線の他端が、スライダ
76に設けられたシートサイドカプラ90に対して結線され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガイドレールを
長尺化することで広範囲でのスライドを確保する、いわ
ゆるロングレールタイプのシートスライド装置を備えた
スライドシートの給電構造に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、自動車のフロントシート等に
おいて一般的に知られているシートスライド装置を、フ
ロントシートの後方に配設されたセカンドシート、サー
ドシート等の多列のリヤシートに装着する構成が、ミニ
バンや1BOX 車等のRV車に代表されるような多目的自動
車において広く採用されている。このように、セカンド
シート、サードシート等のリヤシートにシートスライド
装置を装着することにより、様々なシートアレンジや、
リヤシートスペースにおける荷物スペース(ラゲージス
ペース)の拡大化等が、いずれも容易に可能となる。
【0003】この種のシートスライド装置として、たと
えば、車床等に固定されたガイドレール(ロアレールと
も称する)に、シートの載置、固定されるランナ(アッ
パーレールとも称する)を、スチールボールやローラ等
からなる転動子を介してスライド自在に組み付けた構成
が知られている。そして、ガイドレールを、長尺の、い
わゆるロングレールとすることによって広範囲でのスラ
イドを確保したロングレールタイプの構成が、リヤシー
トのシートスライド装置として提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、公知のロン
グレールタイプのシートスライド装置は、一般に、手動
でロック、ロック解除を行う、いわゆるマニュアル式と
なっている。しかし、セカンドシート、サードシート等
のリヤシートは、通常、二人掛け、三人掛けのベンチシ
ートであるため、シート自体が重く、女性や高齢者ある
いは子供等のような非力な着座者にとっては、操作の困
難性を招く虞れがある。
【0005】ここで、モータの駆動のもとでランナをス
ライド可能とする、いわゆるパワー式に、このロングレ
ールタイプのシートスライド装置を構成することが考え
られる。このようなパワー式のシートスライド装置とし
て、たとえば、特開平08−238962号公報に開示のよう
な、モータに連動して回転するリードスクリューに対す
るナットの螺進、螺退のもとでランナのスライドを得る
構成が知られている。
【0006】しかしながら、公知の構成においては、通
常、モータがシートサイドに配設されるため、ランナの
スライド範囲が電源とモータとを接続する接続ケーブル
による制限を受けやすいとともに、スライド範囲の拡大
化に伴って長くなった接続ケーブルの処理等の問題も生
じることから、ロングレールタイプのシートスライド装
置のパワー化が困難となっている。
【0007】この発明は、構成の複雑化を伴うことな
く、ロングレールタイプのシートスライド装置における
給電を可能としたスライドシートの給電構造の提供を目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明によれば、シートの載置、固定されるラン
ナを、床面に固定されるガイドレールに対し、転動子を
介してスライド自在に組み付けて、スライドシートのシ
ートスライド装置が形成されるとともに、このランナに
一体的に固定されたスライダが、ランナのスライド範囲
にわたる長さでガイドレールに沿って配置、固定された
中空の給電ダクトに対し、スリット状の開口を介してス
ライド自在に組み付けられている。
【0009】そして、給電ダクトの前後のいずれかの端
部サイドでの保持を経て電源に一端の結線された可撓性
導電線が、給電ダクトのほぼ全域でのスライダのスライ
ドを保障可能とする長さに形成されて、給電ダクトの内
部に収納されるとともに、可撓性導電線の他端が、シー
トスライド装置の駆動源としてシートサイドに配設され
たモータに対し、スライダでの保持を経て結線されてい
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】図1、図2に示すように、この発明に係る
スライドシートの給電構造10においては、ランナ12をガ
イドレール14にスライド自在に組み付けてなるシートス
ライド装置16が、シート(リヤシート)18の左右の離間
位置に、それぞれ配置、装着されている。
【0012】なお、図2に示すように、この発明の実施
の形態においては、フロントシート(図示しない)の後
方に配設される多列のリヤシート18、たとえば、2列目
のセカンドシート18-2nd、3列目のサードシート18-3rd
を、シートスライド装置16の装着されたスライドシート
として例示する。
【0013】このシートスライド装置16においては、リ
ヤシート18の載置、固定されるランナ12が、溝19の内部
への配設(埋設)のもとで車床等の床面20に固定された
ガイドレール14に対し、転動子を介してスライド自在に
組み付けられている。そして、図3、図4に示すよう
に、このシートスライド装置16においては、枢軸22を回
転中心とする車輪状のローラ24が、転動子としてランナ
12に回転自在に設けられている。
【0014】たとえば、ランナ12が、拡開した一対の縦
壁12a を下端に一体に有して形成されている。そして、
車輪状のローラ24が、ランナ12の前後(図3中の左右)
に離反した前後位置、および、縦壁12a での左右の対称
位置(図4中の左右位置)における、各縦壁、ブラケッ
ト26間への枢軸22の架設、軸支により、ランナの前後、
左右の4ヶ所でそれぞれ回転自在に取り付けられてい
る。
【0015】この構成によれば、リヤシート18からラン
ナ12に作用する上方からの荷重をこの回転自在なローラ
24が受けるため、ガイドレール14に対するランナの円滑
なスライドが容易に確保できる。
【0016】なお、ここでは、車輪状のローラ24として
転動子を例示しているが、ガイドレール14に対するラン
ナ12のスライドを促す構成であれば足りるため、この車
輪状のローラに限定されず、たとえば、公知のシートス
ライド装置において一般的に使用される棒状ローラ(こ
ろ)、スチールボール等を、転動子として利用してもよ
い。
【0017】また、図3に示すように、このシートスラ
イド装置16においては、たとえば、ランナ12の前後端
(図中の左右端)の保護部材として機能するランナエン
ド28が、ランナの各端末にそれぞれ固着されている。ラ
ンナエンド28は、通常、合成樹脂材料や硬質の合成ゴム
材料等から成形され、その内面に形成された対応する凹
部29への各端末の嵌入によって、ランナ12に固着可能と
なっている。
【0018】そして、図3に加えて図5を見るとわかる
ように、モータの駆動に連動して回転するナット32が、
たとえば、前後方向でのほぼ中央位置で、ランナ12に、
回転自在に配設、保持されている。
【0019】ナット32は、ランナの一対の縦壁12a 間に
配設され、たとえば、縦壁間に架設、固定された前後一
対の保持片34による、スラストベアリング36を介した狭
持により、ランナ12に回転自在に保持されている。
【0020】ここで、図3、図5に示すように、このシ
ートスライド装置16においては、たとえば、入力歯車と
なるウォーム38と、ウォームに噛合するウォームホイー
ル39と、ウォームホイールに対し一対の平歯車40、41 を
介して連動(回転)可能に連結された出力歯車となる第
1直交歯車42との組み合わせを備えた駆動機構44が、ラ
ンナ12に配設されている。
【0021】この駆動機構44は、たとえば、ギヤボック
ス46に収納されて予めユニット化される。そして、駆動
機構の第1直交歯車42の噛合可能な対応する第2直交歯
車48が、ナット32に一体的に回転可能に設けられ、この
第1直交歯車を第2直交歯車の垂直上部に噛合可能に、
ギヤボックスが、ガイドレール14の上方位置で、切欠き
50を介してランナ12に配置、固定される。
【0022】なお、この実施の形態においては、略円筒
体の内周面にナット32が設けられるとともに、この円筒
体の外周面に、第2直交歯車48が形成されている。
【0023】図3に示すように、駆動機構のウォーム38
は、非円形の回り止め形状、たとえば略四角形状の凹部
52を持つ連結端38a をその一端に一体的に有して形成さ
れ、この凹部への連動ワイヤ54の回転軸54a の嵌入によ
り、ウォームがモータ56に連動可能に連結されている
(図2参照)。
【0024】このような構成では、モータ56の回転力
が、連動ワイヤ54を介して駆動機構のウォーム38に伝達
され、ウォームに連動して、ウォームホイール39が対応
方向に回転する。すると、平歯車40、41 を介した回転力
の伝達により、第1直交歯車42が、対応方向に回転し、
これに連動して、第2直交歯車48とナット32とが、ラン
ナ12に対する一定位置で、対応方向に一体的に回転す
る。
【0025】また、図2ないし図4に示すように、ガイ
ドレール14は、スリット状の開口58を上面に有する断面
略矩形状に成形されて、床面(車床等)20に設けられた
溝19の内部に配設、固定、つまりは溝を介して床面に埋
設されている。そして、図3に加えて図6を見るとわか
るように、この発明においては、ナット32の螺合可能な
リードスクリュー60が、ガイドレール14の内部で、ガイ
ドレール上面の開口58に沿って配置、固定され、このリ
ードスクリューに対する一対の縦壁12a の跨設、およ
び、ナット32の螺合を伴って、ランナ12がガイドレール
に組み付けられている。
【0026】なお、図5に示すように、ランナ12に設け
られた第2直交歯車48は、ガイドレール14へのランナの
組み付けのもとでガイドレールの内部に配置されるた
め、駆動機構の第1直交歯車42は、ガイドレールの開口
58を介して第2直交歯車に噛合される。
【0027】たとえば、図1、図6に示すように、前後
一対のエンドキャップ62が、ガイドレール14の各端末に
それぞれ嵌着され、このエンドキャップ間に、リードス
クリュー60が架設、固定されている。リードスクリュー
60は、各端末に非円形の回り止め部60a を有し、この回
り止め部の形状に対応する回り止め形状を部分的に持つ
エンドキャップの挿通孔64への回り止め部の挿通、およ
び、この延出端への止めナット66の螺着によって、リー
ドスクリューはガイドレール14に対して回転不能、かつ
軸線方向に移動不能に取り付けられる。
【0028】このエンドキャップ62は、ガイドレール14
に対するランナ12のスライドを規制する機能を有するた
め、ガイドレールの前後端に位置するエンドキャップ間
が、ランナのスライド範囲(スライド距離)として、通
常規定される。そして、合成ゴム等からなる、いわゆる
ラバーダンパー68を、対応する一対の係止ピン70、係止
孔72の嵌着のもとでエンドキャップ62間の内方サイドに
それぞれ配置、固定すれば、ランナ12のスライド限度位
置における、エンドキャップへのランナの衝突の際の衝
撃が吸収できるため、安全性が向上する。
【0029】ここで、図1、図4に示すように、この発
明のスライドシートの給電構造10においては、たとえ
ば、ブラケット74を介してランナ12に一体的に固定され
たスライダ76が、ガイドレール14に沿って配置、固定さ
れた中空の給電ダクト78に対し、スリット状の開口80を
介してスライド自在に組み付けられている。
【0030】給電ダクト78は、スリット状の開口80を側
面に有する断面略矩形状で、ガイドレール14に対するラ
ンナ12のスライド範囲に対応する長さに成形されて、た
とえば、ガイドレール14の内方サイドの側面、つまり左
右のガイドレールの対向面に固定されている。そして、
給電ダクト78の開口端縁の遊挿可能な一対の溝82を上下
に有する側面略H 形状のスライダ本体84の挿着により、
スライダ76は給電ダクトに対してスライド自在に組み付
けられている。
【0031】そして、この発明においては、可撓性導電
線86が、ボディサイドおよびシートサイドでの各端部の
保持を経て、給電ダクト78の内部に収納され、この可撓
性導電線を介して、電源、たとえば自動車のバッテリー
(図示しない)からの電流をモータ56に供給(給電)可
能としている(図2参照)。
【0032】この発明の実施の形態においては、給電ダ
クト78の前後のいずれかの端部、たとえば前端に、ボデ
ィサイドカプラ88が配置、固定されるとともに、スライ
ダ76から延出した形態として、シートサイドカプラ90が
設けられている。そして、このボディサイドカプラ88へ
の電源(バッテリー)の結線、および、シートサイドカ
プラ90へのモータ56の結線によって、電源、モータ間が
電気的に接続可能となっている。
【0033】図7を見るとわかるように、可撓性導電線
(フレキシブルブスバーとも称する)86は、たとえば、
0.1mm 厚程度の銅板92をポリアミドやジュラネクス等か
らなる外覆樹脂94でラミネートして形成され、この各端
末に、外覆樹脂から延出された銅板の延出端としてなる
接続端86a が設けられている。そして、この可撓性導電
線86の一端が、ボディサイドカプラ88に結線される。
【0034】図1、図8を見るとわかるように、ボディ
サイドカプラ88は、たとえば、一対の接続ピン96および
この接続ピンに電気的に一体の対応する接続端子98を有
するカプラ本体100 を備えている。そして、可撓性導電
線86の一端の接続端86a を、この接続端子98の対応サイ
ドに、はんだ付け等によって固着し、この接続部分をカ
バー102 で覆ってカプラ本体100 にねじ止めすることに
より、給電ダクト78の端末に嵌着可能なボディサイドカ
プラ88が形成される。
【0035】ボディサイドカプラ88に一端の結線された
可撓性導電線86は、図1に示すように、略U 形状に折り
曲げられて給電ダクト78の内部に収納される。そして、
この可撓性導電線86の他端は、スライダ76での保持を経
て、シートサイドカプラ90に結成されている。
【0036】図8に示すように、スライダ76は、一対の
ターミナル端子104 をスライダ本体84に有して形成さ
れ、このターミナル端子に、可撓性導電線86の他端の接
続端86a が、はんだ付け等によって固着される。そし
て、このターミナル端子104 に一端の固着された接続ケ
ーブル106 を介して、シートサイドカプラ90が可撓性導
電線86の他端に結線される(図1参照)とともに、この
接続部分をカバー108 で覆ってスライダ本体84にねじ止
めすることによって、スライダ76が形成される。
【0037】なお、図1を見るとわかるように、シート
サイドカプラ90は、上述したボディサイドカプラ88と同
様に、一対の接続ピン109 を備え、この接続ピンと一体
の接続端子(図示しない)に、接続ケーブル106 が結線
される。
【0038】図2に示すように、モータ56からの接続ケ
ーブル110 の端末に、シートサイドカプラ90に対応する
モータサイドカプラ112 が結線され、このシートサイド
カプラ、モータサイドカプラ間の嵌着により、モータと
可撓性導電線86との間、つまりはモータと電源との間が
電気的に接続可能となっている。
【0039】そして、たとえば、このモータ56からの接
続ケーブル110 の途中位置に介在されたマニュアルスイ
ッチ114 によるモータの駆動制御によって、モータの正
転、逆転、つまりはリヤシート18の前進、後退が切り換
え可能となっている。
【0040】マニュアルスイッチ114 として、たとえ
ば、1つのOFF ポジションと2つのONポジションとを有
する自動復帰型のシーソー式切り換えスイッチが利用で
き、2つのONポジションの選択により、モータ56の正
転、逆転、つまりはランナ12のスライド方向(前進、後
退)が任意に切り換え可能となっている。
【0041】なお、マニュアルスイッチ114 は、着座者
の操作可能な位置、たとえば、シートクッション116 の
側面等に配置される(図2参照)。
【0042】上記のように、この発明のスライドシート
の給電構造10においては、電源とモータ56との間に介在
される可撓性導電線86が、中空の給電ダクト78の内部に
収納されるとともに、この可撓性導電線の各端末のう
ち、モータの結線されるサイドの端末がスライダ76での
保持を経て、モータに結線されている。
【0043】そして、可撓性導電線86は、給電ダクト78
に対するスライダ76のスライドを保障可能な長さに形成
されるとともに、略U 形状に折り曲げられて給電ダクト
内に収納されているため、図9(A) に示すように、ボデ
ィサイドカプラ88寄りにスライダの位置するときは、可
撓性導電線が、折れ重なる部分を多くしながら、給電ダ
クト78の内部における配設長を短縮させる。これに対
し、図9(B) に示すように、ボディサイドカプラ88に対
する逆サイド寄りにスライダの位置するときは、可撓性
導電線が、折れ重なる部分を少なくしながら、給電ダク
ト78の内部における配設長を延長させる。
【0044】つまり、この発明によれば、電源を給電ダ
クト78の前端のボディサイドカプラ88に結線するととも
に、モータ56からの接続ケーブル110 を、ランナ12、ひ
いてはリヤシート18と一体的にスライドするスライダ76
のシートサイドカプラ90に結線すれば足りるため、電源
とボディサイドカプラと間の接続ケーブル、および、モ
ータとモータサイドカプラとの間の接続ケーブルの長さ
は、いずれも一定化される。そして、給電ダクト78に対
するスライダ76のスライドに追従して、可撓性導電線86
の配設長が給電ダクト内で伸縮するにすぎないため、電
源とモータとの間を長い接続ケーブルで直接的に接続す
ることなく、電源からモータへの電流の供給、つまりは
給電が可能となる。
【0045】そのため、ガイドレール14の長さの延長に
よりランナ14のスライド範囲を長く確保した、いわゆる
ロングレールタイプのシートスライド装置16のパワー化
が、この発明においては容易かつ十分に可能となる。
【0046】このように、ロングレールタイプのシート
スライド装置16をパワー化すれば、ランナ12、つまりは
リヤシート18のスライドが、マニュアルスイッチ114 の
操作のもとで得られるため、たとえリヤシートが重量の
重いベンチシートであっても、その操作力はマニュアル
スイッチに対する操作力のみで足りる。従って、操作性
が向上し、非力な女性、高齢者、子供等でも、シートス
ライド装置16によるリヤシート18のスライド操作が容易
に行える。
【0047】そして、スライダ76を給電ダクト78にスラ
イド自在に配設するとともに、可撓性導電線86を給電ダ
クト内に収納すれば足りるため、給電構造10、ひいては
シートスライド装置16の構成の複雑化を招くことがな
い。
【0048】更に、この発明は、可撓性導電線86を利用
した結線であり、パンタグラフ式等に代表されるような
摺動接点方式でないため、接触抵抗および電気的ノイズ
等に起因する接触障害を伴わない給電が容易に可能とな
る。
【0049】ここで、この発明の実施の形態において
は、可撓性導電線86を、略U 形状に折り曲げて給電ダク
ト78に収納しているが、可撓性導電線は、スライダ76の
スライドに追従してその配設長を伸縮させれば足りるた
め、これに限定されず、蛇腹状での折畳み、伸張のもと
で配設長を伸縮可能に、可撓性導電線を給電ダクト内に
収納してもよい。
【0050】しかしながら、可撓性導電線86を略U 形状
に折り曲げて給電ダクト78に収納すれば、給電ダクトに
対するスライダ76のスライドに追従したその配設長の伸
縮が適切、容易に確保できるため、給電ダクト内での可
撓性導電線の高い安全性が、この構成においては十分に
得られる。
【0051】また、この発明の実施の形態においては、
給電ダクト78をガイドレール14の左右間の内方サイドに
固着した構成を具体化しているが、これに限定されず、
左右の外方サイドの側面に、給電ダクトを固着する構成
としてもよい。更に、左右のガイドレール14のいずれか
に限定されず、左右双方のガイドレールに給電ダクト78
を固着し、これに対応してスライダ76を配置する構成と
してもよい。
【0052】ところで、この発明の実施の形態において
は、シートスライド装置16が、固定のリードスクリュー
60に対するナット32の回転のもとで、ガイドレール14に
対するランナ12のスライドを得る構成であるため、図2
に示すように、1本のリードスクリュー、つまりは左右
の一サイドのガイドレールに対して、2以上のランナを
配設しても、これらのランナは個別に作動できる。
【0053】たとえば、フロントシートの後方に配置さ
れた2列のリヤシート18を図2に例示する。この場合に
おいては、前方のシートがセカンドシート18-2nd、後方
のシートがサードシート18-3rdと称される。そして、こ
れらのためのセカンドシート用ランナ12-2nd、サードシ
ート用ランナ12-3rdが、左右のガイドレール14に対して
それぞれ組み付けられている。
【0054】このような構成によれば、1本のガイドレ
ール14がセカンドシート18-2nd、サードシート18-3rdに
共通して使用できるため、自動車1台当たりのガイドレ
ールの本数が削減できる。従って、自動車へのシートス
ライド装置16、ひいてはガイドレール14の組み付け時に
おける作業性が向上する。
【0055】なお、この場合においては、給電ダクト78
の前後端の双方にボディサイドカプラ88を配設し、セカ
ンドシート18-2ndに対応する可撓性導電線86の一端を前
端のボディサイドカプラに、サードシート18-3rdに対応
する可撓性導電線の一端を後端のボディサイドカプラ
に、それぞれ結線してもよい。しかし、これに限定され
ず、給電ダクト78の前後端のいずれか一方に設けられた
共通のボディサイドカプラ88に、セカンドシート18-2nd
に対応する可撓性導電線86の一端、サードシート18-3rd
に対応する可撓性導電線の一端を結線してもよい。
【0056】ここで、この発明の実施の形態において
は、可撓性導電線86の一端、他端が、ボディサイドカプ
ラ88、シートサイドカプラ90を介して、電線およびモー
タ56にそれぞれ結線されているが、可撓性導電線の各端
末が給電ダクト78のいずれかの端末、およびスライダ76
にそれぞれ保持されれば足りるため、各カプラを介した
結線に限定されず、たとえば、給電ダクトの端末、スラ
イダでの保持を経た上で、可撓性導電線の各端末を電源
およびモータにそれぞれ直接的に結線する構成としても
よい。
【0057】しかしながら、このようにボディサイドカ
プラ88、シートサイドカプラ90を設ければ、自動車室内
へのリヤシート18の取り付けと電気結線とが個別に行え
るため、作業の簡素化のもとでの作業性の向上がはから
れる。
【0058】また、この実施の形態においては、シート
スライド装置16の駆動源としてのモータ56を電源に接続
するための給電構造10として具体化しているが、電源か
らの電流をモータに給電する目的に限定されず、他のモ
ータ、たとえば、シートリフター、リクライニング装
置、ランバーサポート、およびヘッドレスト等の駆動源
となるモータのための給電に、この発明を応用してもよ
い。
【0059】そして、上述したように、この発明の給電
構造10においては、接触抵抗および電気的ノイズ等に起
因する接触障害を伴わない給電が可能となるため、この
ような接触障害を嫌う信号伝送ラインへの適用も、十分
に可能となる。そのため、ロングレールタイプのシート
スライド装置16を備えたスライドシートであっても、マ
イコンによるオート制御が可能となり、マイコンの利用
範囲が十分に拡張される。
【0060】また、この発明の給電構造は、多目的自動
車等の多列のリヤシートに適するとはいえ、これに限定
されず、たとえば、通常のスライド範囲のスライドシー
ト、および、電車、飛行機、船舶等に挿着されるスライ
ドシートに、この発明を応用してもよい。
【0061】上述した発明の実施の形態は、この発明を
説明するためのものであり、この発明を何等限定するも
のでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施さ
れたものも全てこの発明に包含されることはいうまでも
ない。
【0062】
【発明の効果】上記のように、この発明に係るスライド
シートの給電構造によれば、接続ケーブルによる制限を
受けることなく、またその長い接続ケーブルの処理の困
難性を招くことなく、ロングレールタイプにおけるパワ
ー化が容易かつ十分に可能となる。
【0063】従って、構成の複雑化を伴うことなく、ロ
ングレールタイプのシートスライド装置のパワー化が行
え、このパワー化に伴うシートスライド装置の操作性の
向上により、リヤシートが、非力な女性、高齢者、子供
等においても容易に操作可能となる。
【0064】また、スライダを給電ダクトにスライド自
在に組み付けるとともに、可撓性電線を給電ダクト内に
収納すれば足りるため、構成の複雑化を招くことがな
い。
【0065】更に、ボディサイドカプラ、シートサイド
カプラを設ければ、自動車室内へのリヤシートの取り付
けと電気結線とが個別に行えるため、作業の簡素化のも
とでの作業性の向上がはかられる。
【0066】そして、このように、ボディサイドカプ
ラ、シートサイドカプラを設けることによって、信号伝
送ラインへの適用も十分に可能となる。そのため、ロン
グレールタイプのシートスライド装置を備えたスライド
シートであっても、マイコンによるオート制御が可能と
なり、マイコンの利用範囲が十分に拡張される。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートスライド装置の内方サイド前方から見
た、この発明に係るスライドシートの給電構造の、一部
破断の概略斜視図である。
【図2】リヤシートおよびシートスライド装置の概略斜
視図である。
【図3】外方サイドから見た、シートスライド装置の一
部破断の概略斜視図である。
【図4】図3の線A−Aに沿った断面図である。
【図5】図3の線B−Bに沿った断面図である。
【図6】シートスライド装置のガイドレールを主体とし
た、一部破断の概略の分解斜視図である。
【図7】ボディサイドカプラの分解斜視図である。
【図8】スライダの分解斜視図である。
【図9】給電ダクトに対するスライダ、および可撓性導
電線の概略の作動図である。
【符号の説明】 10 スライドシートの給電構造 12 ランナ 14 ガイドレール 16 シートスライド装置 18 リヤシート(スライドシート) 76 スライダ 78 給電ダクト 86 可撓性導電線 88 ボディサイドカプラ 90 シートサイドカプラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートの載置、固定されるランナを、床
    面に固定されるガイドレールに対し、転動子を介してス
    ライド自在に組み付けてなるシートスライド装置の装着
    されたスライドシートであり、 前記ランナに一体的に固定されたスライダが、ランナの
    スライド範囲にわたる長さで前記ガイドレールに沿って
    配置、固定された中空の給電ダクトに対し、スリット状
    の開口を介してスライド自在に組み付けられ、 前記給電ダクトの前後のいずれかの端部サイドでの保持
    を経て電源に一端の結線された可撓性導電線が、給電ダ
    クトのほぼ全域での前記スライダのスライドを保障可能
    とする長さに形成されて、給電ダクトの内部に収納され
    るとともに、可撓性導電線の前記一端に対する他端が、
    前記シートスライド装置の駆動源としてシートサイドに
    配設されたモータに対し、スライダでの保持を経て結線
    されたスライドシートの給電構造。
  2. 【請求項2】 給電ダクトの前後のいずれかの端部にボ
    ディサイドカプラが固定され、このカプラを介して、可
    撓性導電線の一端が電源に対して結線されるとともに、 可撓性導電線の他端に結線されたシートサイドカプラ
    が、スライダから延出され、このカプラを介して、この
    可動性導電線の他端をモータに対して結線する請求項1
    記載のスライドシートの給電構造。
  3. 【請求項3】 シートの載置、固定されるランナを、床
    面に固定されるガイドレールに対し、転動子を介してス
    ライド自在に組み付けてなるシートスライド装置の装着
    されたスライドシートであり、 前記ランナに一体的に固定されたスライダが、ランナの
    スライド範囲にわたる長さで前記ガイドレールに沿って
    配置、固定された中空の給電ダクトに対し、スリット状
    の開口を介してスライド自在に組み付けられ、 前記給電ダクトの前後のいずれかの端部への固定のもと
    でボディサイドカプラが配設され、このカプラに一端の
    結線された可撓性導電線が、給電ダクトのほぼ全域での
    前記スライダのスライドを保障可能とする長さに形成さ
    れて、給電ダクトの内部に収納されるとともに、 シートサイドカプラが、可撓性導電線の前記一端に対す
    る他端への結線を経て、前記スライダに設けられたスラ
    イドシートの給電構造。
  4. 【請求項4】 可撓性導電線が、給電ダクト内で略U 形
    状に折り曲げられた請求項1ないし3のいずれか記載の
    スライドシートの給電構造。
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