JPH11287390A - プラスチック管用補修装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体流れを遮断する措置を講じる必要がな
く、作業時間の大幅な短縮を図りつつ、内部流体の外部
への漏れ出しを確実に防止して所定の補修を容易かつ安
全に行なえ、かつ、作業コストの低減が図れるようにす
る。 【解決手段】 プラスチック管１０の外周面に沿って湾
曲する内周面２ａを有し、その内周面２ａ側にヒータ３
を埋設してなるプラスチック製の板状補修部材２の全体
を覆うように該補修部材２の外側に配置された半割筒状
固定治具本体４と、この固定治具本体４をプラスチック
管１０に固定保持させる固定保持具５と、ヒータ３への
電力供給装置８とを備えているとともに、固定治具本体
４の内周面に、板状補修部材２の外周を取り巻いてプラ
スチック管１０の外周面に密着する環状のシール部材９
を付設している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガス管などの既設
管に生じた傷を補修する場合に用いられるプラスチック
管用補修装置に関し、詳しくは、ポリエチレンやポリプ
ロピレン等のようなポリオレフィン系樹脂からなるプラ
スチック管の損傷部を覆うように該管の外周面に配置さ
れたプラスチック製の板状補修部材と、この板状補修部
材の全体を覆う半割筒状の固定治具本体と、この固定治
具本体をプラスチック管に固定保持させる固定保持具
と、上記板状補修部材の内周面側に埋設されているヒー
タへの電力供給装置とを備えているプラスチック管用補
修装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プラスチック製の板状補修部材を用いて
プラスチック管の損傷部を補修する場合、その補修中に
内部流体が損傷部から外部へ漏洩しないようにするため
に、損傷部の管軸方向の両側をスクイズオフなどにより
閉塞して内部流体の流れを遮断したり、あるいは、損傷
部の前後に亘ってバイパス管路を施工したりして損傷部
の発生個所への流体流れを遮断する措置を講じるのが一
般的である。しかし、このように流体流れを遮断した状
態で補修を行なう場合は、補修にとりかかる前に流体流
れの遮断措置が必要であり、補修作業全体として多大な
手数と時間が費やされるという難点がある。

【０００３】この点に鑑み、従来、例えば実開平３−１
２０９２号公報に示されているように、補修部材の内面
側に損傷部の表面に当接して該損傷部を閉塞する充填材
を設け、この充填材を損傷部表面に当接させて閉塞した
状態でヒータへ通電し、補修部材をプラスチック管に融
着接合することで、管内の流体流れを遮断することな
く、所定の補修を行なえるようにしたものが提案されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような充填材を持つ従来の補修部材による補修による場
合は、損傷部の表面に単に充填材を当接させるだけであ
るから、充填材が少しでも傾いたり、位置ずれしたりし
ていると、流体漏れが生じやすく、また、融着時には溶
融した部分に流体圧がかかるために損傷部を完全な閉塞
状態に維持することが難しい。その結果、補修部材の周
囲外側に流体が漏れ出しやすく、特にガスの場合、補修
個所がガス雰囲気になり、周囲から引火の可能性があ
り、それゆえに、補修に用いる融着装置自体にも防爆対
策が要求され、構造的に複雑でコストアップを招くとい
う問題があった。

【０００５】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、流体流れを遮断する措置を講じる必要がなくて作業
の簡略化および作業時間の大幅な短縮を図りつつ、内部
流体の外部への漏れ出しを確実に防止して所定の補修を
容易かつ安全に行なうことができるプラスチック管用補
修装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るプラスチック管用補修装置は、プラス
チック管の外周面に沿って湾曲する内周面を有し、その
湾曲内周面側にヒータが埋設されているプラスチック製
の板状補修部材の外側から該補修部材の全体を覆う半割
筒状の固定治具本体と、この固定治具本体を上記プラス
チック管に固定保持させる固定保持具と、上記ヒータへ
の電力供給装置とを備えてなるプラスチック管用補修装
置において、上記半割筒状の固定治具本体の内周面に上
記補修部材の外周を取り巻いてプラスチック管の外周面
に密着する環状のシール部材を付設していることを特徴
とするものである。

【０００７】上記構成の本発明によれば、板状補修部材
をその湾曲内周面が補修すべきプラスチック管の損傷部
を覆うように管の外周面に沿わせた姿勢に配置した上、
この板状補修部材の外側から該補修部材の全体を覆うよ
うにセットした半割筒状固定治具本体を固定保持具を介
してプラスチック管に固定することにより、上記半割筒
状固定治具本体の内周面に付設されている環状のシール
部材が補修部材の外周を取り巻くようにプラスチック管
の外周面に密着して、たとえ損傷部から流体が漏れ出し
ていても、それが補修部材の周囲外側に漏れることを防
止することが可能である。それゆえに、補修作業の前に
プラスチック管内の流体流れを遮断する措置を講じる必
要がなく、補修作業の簡略化および作業時間の大幅な短
縮が図れる。また、環状シール部材によって補修個所の
周囲外側への流体の漏れ出しを確実に防げるために、内
部流体がガスの場合であっても、周囲からの引火の可能
性がなく、補修に用いる融着装置の防爆対策も不要とな
る。さらに、上記シール部材が補修作業に反復して使用
される固定治具本体側に付設されているので、シール部
材を補修の度に消費される補修部材側に付設する場合に
比べて、作業コストの低減が図れる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明の第１の実施の形態
によるプラスチック管用補修装置の全体構成を示す斜視
図、図２は補修状態の正面図、図３は補修状態の縦断側
面図であり、このプラスチック管用補修装置１は、ポリ
エチレンやポリプロピレン等のようなポリオレフィン系
樹脂からなるプラスチック管１０の外周面に沿って円弧
状に湾曲する内周面２ａを有し、その湾曲内周面２ａ側
にヒータ３を埋設した上記プラスチック管１０と同様な
ポリオレフィン系樹脂からなるプラスチック製板状補修
部材２の外側から該補修部材２の全体を覆う半割筒状の
固定治具本体４と、この固定治具本体４とほぼ同一形状
を有し対向フランジ部４ａ，５ａ同士を雄ねじ部材６と
雌ねじ部７とで固定連結することにより上記固定治具本
体４および補修部材２をプラスチック管１０に固定保持
可能な半割筒状の固定保持具５と、図４に明示するよう
に、上記ヒータ３の両端部から立上げられて上記固定治
具本体４に形成した端子引出し孔４ｂ，４ｂから固定治
具本体４の外周にまで引き出された端子３ａ，３ａを介
して上記ヒータ３に電力を供給する通電用装置、すなわ
ち、電源８とを具備している。

【０００９】上記板状補修部材２は上記プラスチック管
１０に生じた損傷部１１を覆うことが可能な大きさで例
えば矩形状に形成されているとともに、上記ヒータ３
は、渦巻き状に巻回配置して上記板状補修部材２の内周
面２ａ側に埋設された電熱線からなり、また、上記半割
筒状の固定治具本体４および固定保持具５はポリカーボ
ネイトなどの熱硬化性樹脂から形成されている。さら
に、上記固定治具本体４に形成の端子引出し孔４ｂ，４
ｂから固定治具本体４の外周にまで引き出された端子３
ａ，３ａの外周部およびそれに続く固定治具本体４の内
周面とこれに対向する補修部材２の外周面との間にはシ
ール部材９Ａが介在されている。

【００１０】そして、上記半割筒状固定治具本体４の内
周面４ｂには、上記矩形状の板状補修部材２の外周を取
り巻くようにして、ゴムリングや充填材もしくは粘土等
からなり上記プラスチック管１０の外周面に密着するシ
ール部材９を矩形環状に付設している。

【００１１】次に、上記のような構成のプラスチック管
用補修装置１を用いてプラスチック管１０に生じた損傷
部１１を補修する補修作業要領について説明する。図２
および図３に示すように、上記板状補修部材２をその湾
曲内周面２ａが補修すべきプラスチック管１０の損傷部
１１を覆うように該プラスチック管１０の外周面に沿わ
せた姿勢に配置し、この板状補修部材２の外側から該補
修部材２の全体を覆うように半割筒状固定治具本体４を
板状補修部材２の外周面に当接させるとともに、該半割
筒状固定治具本体４に径方向で対向するプラスチック管
１０の外周面側に半割筒状固定保持具５を当接し、か
つ、両者４，５の対向するフランジ部４ａ，５ａ同士を
雄ねじ部材６と雌ねじ部７とで固定連結することにより
上記固定治具本体４、固定保持具５および補修部材２を
プラスチック管１０に固定する。

【００１２】この状態で、電源８から端子３ａ，３ａを
介して上記板状補修部材２の内周面側に埋設のヒータ３
に電力を供給し該ヒータ３を発熱させることによって、
ヒータ３の周囲を溶融させてプラスチック管１０の外周
面と板状補修部材２の内周面２ａとが融着接合され、所
定時間経過後、電源８をオフして融着部を冷却すること
で上記損傷部１１が補修部材２により補修されることに
なる。

【００１３】このような補修作業時において、上記板状
補修部材２をプラスチック管１０の外周面に沿わせた姿
勢に配置して、これを固定治具本体４および固定保持具
５を用いてプラスチック管１０に固定するだけで、上記
補修部材２の外周を取り巻く状態で固定治具本体４の内
周面４ｂに付設されている矩形環状のシール部材９がプ
ラスチック管１０の外周面に密着して、たとえ損傷部１
１から流体が漏れ出していても、それが補修個所の周囲
外側に漏れることは確実に防止することが可能となり、
したがって、プラスチック管１０内の流体流れを遮断し
たり、パイパス管路を施工したりする措置を不要とし、
補修作業全体の簡略化および作業時間の短縮化を図りつ
つも、補修個所の周囲外側への流体の漏れ出しをなくし
て、所定の補修作業の安全性を確保することができる。

【００１４】なお、固定治具本体４に形成の端子引出し
孔４ｂ，４ｂから固定治具本体４の外周にまで引き出さ
れた端子３ａ，３ａの外周部およびそれに続く固定治具
本体４の内周面とこれに対向する補修部材２の外周面と
の間もシール部材９Ａによってシールされているので、
流体が端子引出し孔４ｂ，４ｂから外部に漏れ出すこと
も防止することが可能である。

【００１５】図５は本発明の第２の実施の形態によるプ
ラスチック管用補修装置の全体構成を示す斜視図であ
る。この第２の実施の形態では、上記板状補修部材２の
内周面２ａ側に埋設するヒータ３として、所定のキュリ
ー温度を有する磁性合金線を網状に編んでなる磁性合金
ヒータを用いるとともに、上記板状補修部材２の全体を
覆う半割筒状の固定治具本体４をプラスチック管１０に
固定保持させるための固定保持具５として、固定治具本
体４のフランジ部４ａに係止可能な係止具５Ａとプラス
チック管１０の外周に巻付け可能なチェーン５Ｂとから
なるものを用い、かつ、上記ヒータ３への通電用装置と
して、上記固定治具本体４の外側に配置されるワークコ
イル１３とこのワークコイル１３に高周波電力を供給す
る高周波電源１４とからなる電力供給装置を用いる。

【００１６】この第２の実施の形態による場合は、プラ
スチック管１０の損傷部１１を覆うように該プラスチッ
ク管１０の外周面に沿わせた姿勢に配置した板状補修部
材２の外側から該補修部材２の全体を覆うように半割筒
状固定治具本体４を板状補修部材２の外周面に当接させ
るとともに、該半割筒状固定治具本体４を係止具５Ａ付
きチェーン５Ｂを介してプラスチック管１０に固定した
上、固定治具本体４の外周にワークコイル１３を配置
し、このワークコイル１３に高周波電源１４から高周波
電力を供給することによって、板状補修部材２の内周面
２ａ側に埋設されている磁性合金ヒータ３に電磁誘導に
よりうず電流が生じ、表皮効果により磁性合金ヒータ３
を急激に発熱させてキュリー温度付近でプラスチック管
１０の外周面と板状補修部材２の内周面２ａとを融着接
合して所定の補修を行ない、このような補修作業時にも
上記第１の実施の形態と同様に、上記補修部材２の外周
を取り巻く状態で固定治具本体４の内周面４ｂに付設さ
れている矩形環状のシール部材９がプラスチック管１０
の外周面に密着して、流体が補修個所の周囲外側に漏れ
出ることを確実に防止することが可能である。

【００１７】また、図６は本発明の第３の実施の形態に
よるプラスチック管用補修装置の全体構成を示す斜視図
である。この第３の実施の形態では、上記板状補修部材
２の全体を覆う半割筒状の固定治具本体４をプラスチッ
ク管１０に固定保持させるための固定保持具５として、
半割筒状の固定保持具本体５Ｃと該本体５Ｃの周方向両
端部に連なり上記固定治具本体４の両側フランジ部４
ａ，４ａに嵌係合する嵌込み部５Ｄ，５Ｅとを有すると
ともに、一方の嵌込み部５Ｄにブラケット５Ｅに支持さ
れた軸５Ｆの周りに回転自在なレバー５Ｇを軸支し、こ
のレバー５Ｇの回転操作により該レバー５Ｇの基端部に
形成されたカム面５Ｈを上記嵌込み部５Ｄ内に配置され
バネ５Ｉによってカム面５Ｈ側に付勢された直線状の押
圧部材５Ｊに当接させることにより、固定治具本体４を
プラスチック管１０に固定保持可能としたものを用いた
ものである。

【００１８】この第３の実施の形態による場合も、固定
治具本体４をプラスチック管１０に固定するだけで、上
記第１および第２の実施の形態の場合と同様に、補修部
材２の外周を取り巻く状態で固定治具本体４の内周面４
ｂに付設されている矩形環状のシール部材９がプラスチ
ック管１０の外周面に密着して、流体が補修個所の周囲
外側に漏れ出ることを確実に防止することが可能であ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、板状補
修部材の湾曲内周面が補修すべきプラスチック管の損傷
部を覆うように管の外周面に沿わせた姿勢で、該板状補
修部材の外側から該補修部材の全体を覆うようにセット
した半割筒状固定治具本体を固定保持具を介してプラス
チック管に固定するだけで、環状のシール部材を補修部
材の外周を取り巻くようにプラスチック管の外周面に密
着させて内部流体が補修部材の周囲外側に漏れることを
確実に防止することができる。したがって、補修作業の
前にプラスチック管内の流体流れを遮断したり、バイパ
ス管路を施工するなどの手数および時間のかかる措置を
講じる必要が全くなく、補修作業全体の簡略化および作
業時間の大幅な短縮を実現てきる。また、環状シール部
材を用いて補修個所の周囲外側への流体の漏れ出しを確
実に防げるために、内部流体がガスの場合であっても、
周囲からの引火の可能性がなくて作業の安全性を確保で
きるとともに、補修に用いる融着装置に対する防爆対策
も不要であり、さらに、上記シール部材を補修作業に反
復して使用される固定治具本体側に付設することで、シ
ール部材を何回もの補修作業に転用することができ、シ
ール部材を補修の度に消費される補修部材側に付設する
場合に比べて、補修作業に要するコストの著しい低減を
図ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態によるプラスチック
管用補修装置の全体構成を示す斜視図である。

【図２】補修状態を示す正面図である。

【図３】補修状態を示す縦断側面図である。

【図４】要部の拡大縦断側面図である。

【図５】本発明の第２の実施の形態によるプラスチック
管用補修装置の全体構成を示す斜視図である。

【図６】本発明の第３の実施の形態によるプラスチック
管用補修装置の全体構成を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ プラスチック管用補修装置 ２ 板状補修部材 ２ａ 内周面 ３ ヒータ ４ 半割筒状固定治具本体 ５ 固定保持具 ８ 電力供給装置 ９ 矩形環状のシール部材 １０ プラスチック管 １１ 損傷部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 秀和 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タビニルパイプ工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック管の外周面に沿って湾曲す
   る内周面を有し、その湾曲内周面側にヒータが埋設され
   ているプラスチック製の板状補修部材の外側から該補修
   部材の全体を覆う半割筒状の固定治具本体と、この固定
   治具本体を上記プラスチック管に固定保持させる固定保
   持具と、上記ヒータへの電力供給装置とを備えてなるプ
   ラスチック管用補修装置において、 上記半割筒状の固定治具本体の内周面に上記補修部材の
   外周を取り巻いてプラスチック管の外周面に密着する環
   状のシール部材を付設していることを特徴とするプラス
   チック管用補修装置。