JPH11287286A - 建物の免震装置 - Google Patents

建物の免震装置

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Publication number
JPH11287286A
JPH11287286A JP10190198A JP10190198A JPH11287286A JP H11287286 A JPH11287286 A JP H11287286A JP 10190198 A JP10190198 A JP 10190198A JP 10190198 A JP10190198 A JP 10190198A JP H11287286 A JPH11287286 A JP H11287286A
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JP
Japan
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moving block
building
track rail
seismic isolation
guide device
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Withdrawn
Application number
JP10190198A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Michioka
英一 道岡
Yoshio Taki
義夫 滝
Yoshihiko Ueno
善彦 上野
Kazuo Ishihara
和男 石原
Yoshikazu Suga
嘉一 菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THK Co Ltd
Original Assignee
THK Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】建物の免震装置を単純な構造、低コストであり
減衰装置の取付スペースを必要とせず、かつメインテナ
ンスを必要としないものとする。 【解決手段】 地盤32と建物31との間に配置される
建物の免震装置100を軌道レール142,162と移
動ブロック141,161とを備える曲線案内装置14
0,160を備えており、曲線案内装置140,160
はボールBによる循環案内機構を備え、上記軌道レール
142,162は軸方向に沿って断面形状を連続的に変
えることにより、移動ブロック141,161が軌道レ
ールの中央位置から両端方向に移動したとき移動ブロッ
ク142,162の移動抵抗が上記中央位置より大きく
なるようにして、曲線案内装置140,160自体に振
動の減衰特性を備えるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の免震装置に
係り、特に他に減衰装置を必要とせず、構造を簡単にす
ることができる建物の免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地震動の性質を考慮して、その影
響をできるだけ小さく抑えるように特に配慮を施した免
震構造を採用した建物があり、このような免震建物とし
て、地盤と建物との間に地震よって構造物に伝達される
力をできるだけ小さくする免震装置を組み込んだものが
ある。
【0003】このような免震装置は、例えば、図21
(1),(2)に示すように、建物31を基礎32に固
定することなく、基礎32と建物31との間に、建物3
1が基礎32上を移動することができる案内装置33を
組み込み、一定以上の地震力が作用すると、建物31が
案内装置33上を移動し、一定以上の力が建物31に作
用しないようにするものである。
【0004】この免震装置に使用される案内装置33と
して、鋼製のコロやボールを用いて曲線案内装置や、三
次元案内装置を構成する方法も提案されている。
【0005】このような案内装置としては、下向きに凸
状に形成した円弧面で形成した案内部を設け、この案内
部に沿った形状に形成した建物の下端部と上記案内部と
の間に、鋼製のコロを配置していたもの(特開平6−3
46627号参照)や、基礎に下向きに凸状となる球面
状の案内部を設け、この案内部に沿った形状に形成した
建物の下端部と上記案内部との間に、鋼製の球体を配置
していたもの(特開平5−24823号)がある。
【0006】このような曲線案内装置や三次元案内装置
を使用した免震装置33にあっては、地震等の振動がな
い状態においては、建物は三次元案内装置等の定常位置
に安定的に位置するし、地震等が発生して地盤が振動し
ても、地盤と建物との間は三次元案内装置等により振動
が絶縁され、建物に大きな振動を伝わらないものとする
ことができる。
【0007】そして、地盤の振動がおさまった後に、建
物の地盤に対する振動は減衰されていき、建物は三次元
案内装置の定常位置に安定する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
免震装置は、地盤と建物との間の振動を絶縁する案内装
置を設ける他、建物の地盤に対する振動を減衰させる減
衰装置を設ける必要がある。従来この減衰装置として、
ゴム等の弾性体、あるいは油圧ダンパを使用するものが
ある。
【0009】しかしながら、従来の免震装置には案内装
置に加えて減衰装置を設ける必要があるため以下の問題
点がある。 減衰装置を取付けるため、免震装置の構造が複雑と
なる。 減衰装置のコストが加わり、免震装置が高価なもの
となる。 減衰装置を備えるから大きなものとなり、広い取付
スペースを必要とする。 減衰装置は建物の使用期間と同じだけの長期間にわ
たってその減衰特性を一定に保持しなければならずメイ
ンテナンスが必要である。
【0010】そこで、本発明は、単純な構造、低コスト
であり減衰装置の取付スペースを必要とせず、かつメイ
ンテナンスを必要としない建物の免震装置を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本出願において
上記の課題を解決する建物の免震装置は以下のものであ
る。
【0012】本発明の請求項1に記載の建物の免震装置
は、地盤と建物との間に配置される建物の免震装置であ
って、上記免震装置は、軌道レールと移動ブロックとを
備える直線案内装置又は曲線案内装置を備えており、上
記案内装置は転動体による循環案内機構を備え、上記軌
道レールは軸方向に沿って断面形状を連続的に変えるこ
とにより移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端
方向に移動したとき移動ブロックの移動抵抗が中央位置
より大きくなるようにしたものである。ここで、転動体
は、ボール或いはローラを使用することができる。
【0013】請求項1に記載の建物の免震装置によれ
ば、地震時に地盤の振動は免震装置の案内装置の案内運
動により略絶縁され、建物には直接は伝達されない。建
物は案内装置の摩擦により振動は伝わるが、地震波の振
幅より小さな振幅で振動することとなる。このため建物
の振幅及び加速度地盤の振幅及び加速度より小さなもの
となり、建物には破壊的な振動は加わらない。
【0014】そして、本免震装置によれば、軌道レール
が軸方向に形状が変えられることによって、移動ブロッ
クが中央位置にあるとき転動体移送抵抗を所定の値とさ
れ、移動ブロックが中央位置から両端方向のいずれかに
移動したとき移動ブロックの移動抵抗を中央位置の値よ
り大きくなるものとされている。このため、建物の振動
に伴って移動ブロックが軌道レールに沿って中央位置か
ら両端方向に振動すると、移動ブロックの移動時の抵
抗、即ち転動体及び軌道レールの弾性変形、転動摩擦等
によって、建物の振動のエネルギーは熱エネルギーとし
て大気、地盤に放出されて、建物の振動は直線または曲
線案内装置自体によって減衰される。
【0015】つまり、直線または曲線案内装置は案内装
置としての機能をなすとともに、減衰装置(ダンパ)と
しての機能をなす。従って、本発明に係る建物の免震装
置には他の装置としての減衰装置を設ける必要はなく、
建物の振動を減衰させることができる。
【0016】また、軌道レールや移動ブロックに磨耗や
錆による寸法変化が発生することは極めて少ないので、
従来例に示した他の装置のようにメインテナンスを行な
うことなく、減衰特性を長期間にわたって一定に保つこ
とができる。
【0017】請求項2に記載の建物の免震装置は、請求
項1に記載の建物の免震装置において、軌道レールの断
面形状は、軌道レールに形成され転動体で挟まれる転動
溝の間隔寸法を軌道レールの軌道方向における中央部分
に比べてその両端部分に向けて大きく形成し、移動ブロ
ックが軌道レールの中央位置から両端方向に移動したと
き転動体の予圧が移動ブロックが中央位置にあるときよ
り大きくなるようにし、移動ブロックの移動抵抗が中央
位置より大きくなるようにした建物の免震装置である。
ここで、転動溝の間隔寸法は、軌道レールを挟んで形成
される転動溝に転動体が接触する個所の間の寸法を言
い、各図中においてWで示した寸法を意味する。
【0018】請求項2に記載の建物の免震装置によれ
ば、移動ブロックが軌道レールの中央部にある時は転動
体の転動体が挟む転動溝の間隔寸法は小さく、転動体の
予圧が小さいので移動ブロックの移動抵抗は小さい。ま
た移動ブロックが軌道レールの中央部から端部に向け移
動したときには、転動体が挟むレール間の寸法が大きく
なり、転動体への予圧が中央部より大きくなる。そし
て、転動体の予圧が大きくなると、転動体と転動溝が変
形することによって転動体の転がり抵抗が増加するとと
もに、転動体としてボールを使用した場合にはボール各
部のボール転動溝に対する回転半径の相違に基づいて生
ずる差動滑りによる抵抗が増加して、軌道レール上での
移動ブロックの移動抵抗が大きくなる。このとき、転動
体が挟む転動溝の幅寸法の大きさの増加の程度、変化の
状態を所定の値に設定することにより、移動ブロックに
所望の移動抵抗を付与することができる。また、転動体
としてボールを使用した場合には、転動体が挟むレール
の寸法変化に対して転動体の予圧の変化が大きく、転動
溝間の寸法の寸法変化で大きな抵抗が付与できる。
【0019】従って、請求項2に記載の建物の免震装置
によれば、上述した請求項1に記載の作用をなす他、転
動体が挟むレールの間隔寸法の増加量の大きさや増加特
性を設定することにより、所望の減衰特性を得ることが
できる。尚、前記のように、転動体としてボールを使用
した場合、ボールが転走するボール転動溝の形状は、ボ
ールの半径寸法と略同一半径としたサーキュラ形状と、
ボールの半径寸法より大きい2つの円弧からなるゴシッ
クアーチ形状とを採用することができる。このとき、前
記サーキュラ形状と、前記ゴシックアーチ形状とを比較
するとゴシックアーチ形状の方が同一の予圧によって発
生するボールのボール転動溝に対する差動滑り量がサー
キュラー形状のボール転動溝より大きいため、移動ブロ
ックの移動抵抗の変化の度合いが大きい。
【0020】請求項3に記載の建物の免震装置は、請求
項2に記載の建物の免震装置において、上記軌道レール
は転動溝間の間隔寸法を変更して研削形成されて形成さ
れ、移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向
に移動したとき転動体の予圧が移動ブロックが中央位置
にあるときより大きくなるようにし、移動ブロックの移
動抵抗が中央位置より大きくなるようにした建物の免震
装置である。
【0021】請求項3に記載の建物の免震装置によれ
ば、転動溝間の幅寸法が変更されることにより、移動ブ
ロックが中央位置にあるとき転動体の予圧が小さくなり
移動抵抗が小さいものとなる。そして、移動ブロックが
中央位置から両端方向に向け移動したとき、移動ブロッ
クと軌道レールとの間の寸法が変化することにより、転
動体の予圧が大きくなり、すでに述べたように請求項3
の発明に記載の発明においても移動ブロックの移動抵抗
が大きくなる。
【0022】これにより、案内装置自体に減衰機能を与
えることができ、免震装置に特に他の減衰機構を設ける
必要はない。また、本発明に係る免震装置は、軌道レー
ルの幅寸法の変更は、軌道レールの研削加工時に数値制
御研削装置を制御して、転動溝を研削する砥石の追い込
み量を軌道レールの中央部において深く、両端部に向か
って次第に浅く研削するように研削の程度を変えること
によって実現できる。更に、軌道レールや移動ブロック
に磨耗や錆による寸法変化が発生することは極めて少な
く、従来例に示した他の装置のようにメインテナンスを
行なうことなく、減衰特性を長期間にわたって一定に保
つことができる。
【0023】請求項4に記載の建物の免震装置は、上記
請求項2に記載の軌道レールを両外側に配置された2つ
の取付基準面を備えた取付部材と、この取付部材の取付
基準面に取り付けられ、移動ブロックの転動体が転動す
るレール部材とから形成されたものとし、該レール部材
は、取付部材の取付基準面との間に隙間部材を配置して
湾曲されて取付部材に取り付けられ、移動ブロックが軌
道レールの中央位置から両端方向に移動したとき転動体
の予圧が移動ブロックが中央位置にあるときより大きく
なるようにし、移動ブロックの移動抵抗が中央位置より
大きくなるようにしたものである。
【0024】請求項4に記載の建物の免震装置によれ
ば、軌道レールは2つの取付基準面を備えた取付基準部
材に別部材としてのレール部材が取付基準部材とレール
部材との間に隙間部材を設けて湾曲して取り付けられて
構成される。従って、本発明に係る免震装置によれば、
大規模な免震装置を作成するにあたって必要となる幅広
の軌道レールは、幅広の取付基準部材の取付基準面に2
本のレール部材を取付けることにより作成することがで
きる。
【0025】ここで、取付基準部材は、レール部材が取
り付けられるだけであるから、一般的な鋳物材等を使用
することができる他精密加工、熱処理等が不要であるか
ら、その幅を広くしてもそれほどコストは嵩まない。一
方、レール部材は、転動体の転動により磨耗等が発生し
ないように高精度の研削加工や熱処理を行える特殊材で
構成する必要があり材料費及び加工費が嵩むが、本発明
に係る建物の免震装置では、レール部材を小さな幅のも
のとすることができ、材料費、加工費を嵩まないものと
することがきる。従って、軌道レール全体を特殊材で形
成するのに比べて製造が容易となり、またコストを低減
できる。
【0026】更に、請求項4に記載の発明によれば、レ
ール部材の湾曲状態の調整は、隙間部材の厚さ、取付位
置を調整することにより容易におこなえる他、取付基準
部材の製作精度をそれほど高くしなくとも、レール部材
と取付基準部材との間に配置する隙間部材の寸法取付位
置を調整することにより、高精度の軌道レールを製作す
ることができる。よって、軌道レール全体を特殊材で形
成して形成の精度を高めて転動溝間の間隔寸法を精密に
設定するのに比べて製造が容易となり、製造コストを低
減することができる。
【0027】請求項5に記載に建物の免震装置は、上記
請求項2に記載の起動レールを両外側に配置された2つ
の取付基準面を備えた取付部材と、この取付部材の取付
基準面に取り付けられ、移動ブロックの転動体が転動す
るレール部材とから形成されるものとし、該取付部材の
取付基準面は湾曲形成され、レール部材は湾曲されて取
付部材に取り付けられ、移動ブロックが軌道レールの中
央位置から両端方向に移動したとき転動体の予圧が移動
ブロックが中央位置にあるときより大きくなるように
し、移動ブロックの移動抵抗が中央位置より大きくなる
ようにしたものである。
【0028】請求項5に記載の建物の免震装置によれ
ば、軌道レールは2つの湾曲した取付基準面を備えた取
付基準部材に別部材としてのレール部材が湾曲して取り
付けられることにより構成される。従って、本発明に係
る免震装置によれば、大規模な免震装置を作成するにあ
たり必要となる幅広の軌道レールは、幅広の取付基準部
材の取付基準面に2本のレール部材を取付けることによ
り作成することができる。
【0029】請求項5に記載の発明によれば、軌道レー
ル全体を特殊材で形成し、軌道レールに直接転動溝を形
成形するにあたり、精密に形成の精度を高めて転動溝間
の間隔寸法を設定するのに比べて、請求項4に記載の発
明と同様に、製造が容易となり、コストを低減できる。
【0030】請求項6に記載の建物の免震装置は、請求
項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載
の建物の免震装置を地盤に固定される軌道レールと移動
ブロックとを備える直線案内装置又は曲線案内装置から
なり、上記直線案内装置又は曲線案内装置は転動体によ
る循環案内機構を備え、上記軌道レールは軸方向に沿っ
て、断面形状を連続的に変えることにより移動ブロック
が軌道レールの中央位置から両端方向に移動したとき移
動ブロックの移動抵抗が上記中央位置より大きくなるよ
うにした下側案内装置と、この下側案内装置に交叉させ
て重ねられ、建物に固定される軌道レールと上記下側案
内装置の移動ブロックに接続される移動ブロックとを備
える直線案内装置又は曲線案内装置からなり上記直線案
内装置又は曲線案内装置は、転動体による循環案内機構
を備え、上記軌道レールは、軸方向に沿って、断面形状
を連続的に変えることにより移動ブロックが軌道レール
の中央位置から両端方向に移動したとき移動ブロックの
移動抵抗が上記中央位置より大きくなるようにした上側
案内装置とから構成したものである。
【0031】請求項6に記載の建物の免震装置によれ
ば、下側案内装置と上側案内装置とは、互いに交叉する
方向に重ねられており、2つの移動方向を組み合わせた
平面あるいは三次元的な運動をするので、地震で地盤が
どのような方向に振動しても、交叉する2つの移動案内
装置の移動方向の重ね合わせによってどの様な方向に沿
ってでも建物の振動を低減し、また振動を減衰させるこ
とができる。
【0032】また、建物に複数の免震装置を配置するに
際して、各免震装置は、どのような方向にでも振動を低
減、減衰させることができるので、それぞれの場所に取
付ける免震装置の取付方向を厳密に一致させなくとも、
建物は任意の方向に自由に振動しうるものとできる。
【0033】請求項7に記載の建物の免震装置は、請求
項6に記載の下側案内装置の移動ブロックと、上側案内
装置の移動ブロックとの間に、各案内装置間の傾斜を許
容して接続する傾斜吸収部材を設けたものである。
【0034】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
に係る上下二段の免震装置を建物に複数取り付けた場合
において、傾斜吸収部材により上下の案内装置は自由に
その相対的な傾斜を変えることができる。ここで、建物
が水平方向に移動する場合、上側及び下側の両案内装置
における軌道レールと移動ブロックとの相対移動の組み
合わせによって、建物の振動は軽減され、また減衰され
る。
【0035】この場合、建物が下側の案内装置に案内さ
れるときには、地盤に固定されている軌道レールに沿っ
て下側案内装置の移動ブロックが移動して、移動ブロッ
ク建物に対して傾斜した状態となる。また、建物が上側
の案内装置に案内される状態において、建物に固定され
ている軌道レールは、下側案内装置の移動ブロックに固
定されている上側案内装置の移動ブロックに沿って移
動、即ち、移動ブロックは軌道レールに沿って相対的に
移動して、移動ブロックは建物に対して傾斜した状態と
なる。傾斜吸収部材は、上述した上下の移動装置の間に
発生する建物と両移動ブロックの建物に対する傾斜を吸
収し、両軌道レールを平行に保つことができるものとし
て、建物を地盤に対して常に平行に保ちながら振動を低
減し、また振動を減衰させることができるものとする。
【0036】請求項8に記載の建物の免震装置は、請求
項1乃至請求項7記載の直線案内装置又は曲線案内装置
を幅方向に複数列設けたものである。
【0037】請求項8に記載の建物の免震装置によれ
ば、免震装置は移動ブロックの移動方向に直交する方向
に幅広に取り付けられることとなり、地盤及び建物にに
安定した状態でとりつけることができ、免震装置を安定
的に配置することができる。また建物の荷重が分散され
て負荷されるので、建物の免震装置はより大きな荷重を
担うことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る建物の免震装置
の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】〔実施の形態に係る免震装置の使用状態〕
本発明の各実施の形態に係る建物の免震装置33は、図
20及び図21に示すように、建物31と地盤32との
間に複数台設けられ、建物の地震による振動を軽減し、
かつ減衰する。各実施の形態に係る免震装置33は、図
20に示すように、上下の案内装置35,36の曲線案
内の組み合わせにより、所定の半径の球面上を振動し、
この球面の中心Oをそれぞれの免震装置の直上になるも
のとされている。
【0040】また、各免震装置33は、地盤32に取り
付けられる下側案内装置35と、この下側案内装置35
と交叉する方向に建物31に取り付けられる上側案内装
置36とを備え、水平面の全方向で振動絶縁及び減衰を
行なうものである。
【0041】そして、本免震装置33の下側案内装置3
5と上側案内装置36との間には、建物31との間の傾
きを許容する傾斜吸収部材34が設けられている。この
傾斜吸収部材34としては球面継手、自在継手、ゴム等
の弾性体等により構成したものを使用することができ
る。尚、各免震装置33の設置個所は、建物の振動特性
等を考慮して建物ごとに定められる。
【0042】このように傾斜吸収部材34を設けること
により、各免震装置33は建物32の振動を建物31を
水平状態に保ったまま軽減し、振動を減衰することがで
きる。
【0043】〔第1の実施の形態〕以下、本発明に係る
建物の免震装置の第1の実施の形態について説明する。
図1乃至4は第1の実施の形態に係る建物の免震装置1
00を示す図であり、図1は正面図、図2は図1のII矢
視図、図3は図1のIII 部の拡大図である。
【0044】本例の免震装置は、図1及び図2に示すよ
うに、地盤32に固定される基台110と、基台110
の上側に配置され、円弧状の軌跡を有する下側曲線案内
装置140と、下側曲線案内装置140の上方に配置さ
れ円弧状の軌跡で上記下側曲線案内装置140の運動平
面と略直角に交叉する運動平面を有する上側曲線案内装
置160と、下側曲線案内装置140と上側曲線案内装
置160との間に位置し下側曲線案内装置140と上側
曲線案内装置160とを接続する傾斜吸収部材130
と、上側曲線案内装置160上に固定され建物31を積
載する移動台120とから構成されている。
【0045】本例においては、傾斜吸収部材130は十
字の結合部材を備えた結合部材から構成されており、下
側曲線案内装置140と上側曲線案内装置160との間
の傾斜を許容するようになっている。本例における傾斜
吸収部材としては、この例以外に、球面軸受、ばね、ゴ
ム等の弾性体などでもよい。
【0046】本例では、下側曲線案内装置140及び上
側曲線案内装置160は、同一の構成からなり、互いに
移動ブロック141,161が傾斜吸収部材130を介
して接続された構成となっている。
【0047】次に上側及び下側の曲線案内装置140,
160について図3を参照して説明する。以下の説明に
おいては下側案内装置140を図示して説明するが、上
側案内装置160は図3を上下対称としたものになり、
括弧内の符号は上側案内装置160の各構成要素の符号
及び説明を示す(以下第1乃至第5の実施の形態の説明
について同じ)。
【0048】本例では、下側(上側)曲線案内装置14
0(160)は、垂直方向に所定の曲率で湾曲して形成
された軌道レール142(162)と、軌道レール14
2(162)に多数のボールBを介して摺動自在に支持
された無限ボール循環路を形成した移動ブロック141
(161)とから構成されている。
【0049】軌道レール142(162)は、断面略矩
形で垂直方向に所定曲率をもって円弧状に形成されてい
る。軌道レール142(162)は、曲率中心Oが垂直
方向の上方(下方)にあり、曲率半径がRに設定されて
おり、軌道レール142(162)の上面142a(下
面162a)が凹面、下面142b(上面162b)が
凸面になっている。
【0050】図3に示すように、軌道レール142(1
62)の左右両側面142c(162c),142d
(162d)には、所定曲率の円弧に沿って上下一対の
ボール転動溝143,144(163,164)が形成
されている。移動ブロック141(161)は連結部1
45(165)とその両側から下方(上方)に向けて垂
下(立設)された左右一対の袖部146,147(16
6,167)とを有して下面側(上面側)に凹部を備え
ている。そして、移動ブロック141(161)の両袖
部146,147(166,167)には、前記軌道レ
ール142(162)のボール転動溝143,144
(163,164)に対応する位置に所定半径の円弧
(半径R)に沿って、上下一対のボール転動溝148,
149(168,169)が形成されている。
【0051】また、移動ブロック141(161)に
は、上記上下一対のボール転動溝148,149(16
8,169)に隣接して、かつ、これらボール転動溝1
48,149(168,169)に対応して上下一対の
無負荷ボール穴150,151(170,171)が形
成されている。移動ブロック141(161)の前後両
端面は内面側に前記ボール転動溝148,149(16
8,169)と無負荷ボール穴150,151(17
0,171)の各端部間を互いに連結して無限循環通路
を形成するボール方向転換通路を有した蓋体152,1
52(172,172)が取付けられている。そして、
上記多数のボールBは、各無限循環通路内を循環し、軌
道レール142(162)のボール転動溝143,14
4(163,164)と移動ブロック141(161)
のボール転動溝148,149(168,169)との
間で荷重を負荷しながら転走するようになっている。
【0052】上記ボール転動溝143,144(16
3,164)、148,149(168,169)は、
その横断面形状をボール半径よりも大きい半径の単一の
円弧として曲面状に形成されたサーキュラー溝からな
り、各ボール転動溝143,144(163,16
4)、148,149(168,169)はボールBが
接触転動する接触面を一面のみ有している。
【0053】ボールBと相対向するボール転動溝14
3,148(163,168)又は144,149(1
64,169)の接触点とを結ぶ接触角線は、荷重作用
方向に対していずれも45°の角度に設定されている。
従って、この例によれば、移動ブロックは、軌道レール
に上下左右の全ての方向に荷重を担うことができ、建物
の重量により加わる上下方向の荷重の他、地震時の急激
な振動により加わる建物の慣性による水平方向の荷重を
も担うことができる。
【0054】そして、本例に係る建物の免震装置100
では、軌道レール142(162)の断面形状は、軌道
レール142(162)の軌道軸方向における中央部分
に比べてその両端部分において、転動体であるボールが
挟む軌道レール142(162)の間隔が広く形成され
ている。これにより、移動ブロック141が軌道レール
の中央位置にあるとき移動抵抗が所定のものとされると
ともに、移動ブロック141(161)が中央位置から
移動したとき移動ブロック141(161)の移動抵抗
が中央位置より大きいものとされている。
【0055】即ち、本例では、軌道レール142(16
2)は、軌道レール142(162)の左右両側面14
2c(162c),142d(162d)に設けられた
上下一対のボール転動溝143,144(163,16
4)のレール幅を挟む間隔寸法Wをレールの長さ方向の
中央部において所定の間隔寸法(W=w)とし、軌道レ
ール142(162)の両端において上記所定の値より
予め定めた増加値(δw)だけ増した間隔寸法(W=w
+δw)となるように連続的に増加させられたものであ
る。
【0056】この場合には、ボールBがボール転動溝1
43,144(163,164)を転動しつつ軌道レー
ル142(162)を幅方向で挟む寸法が、軌道レール
142(162)の中央部に比べて両端方向に向かって
大きくなっていき、移動ブロック141(161)が軌
道レール142(162)の中央部から両端に移動する
に従って、ボールBへの予圧が軌道レール142(16
2)の中央部に比べて両端方向に向かって大きくなっ
て、移動ブロック141(161)の移動抵抗が中央部
に比べて両端方向に向かって大きくなっていく。
【0057】そして、移動ブロック141(161)が
移動する際に、移動ブロック141(161)の移動時
の抵抗、即ち転動体及び軌道レール142(162)の
弾性変形、転動摩擦等によって、建物31の振動のエネ
ルギーは熱エネルギーとして大気、地盤32に放出され
て、建物31の振動は曲線案内装置140(160)自
体によって減衰される。この軌道レール142(16
2)は、ボール転動溝143,144(163,16
4)を研削加工で形成する際に、NC制御される研削装
置の砥石の追い込み量を軌道レール142(162)の
中央部において深く、両端部に向かって次第に浅く研削
するように研削の程度を変えることによって実現でき
る。
【0058】また、上記増加値δwの大きさは及び増加
の特性は、必要とする免震装置の大きさ、減衰特性等に
よって決定すればよい。
【0059】本実施の形態では、上述したような上下の
曲線案内装置の移動ブロック141,161同士が傾斜
吸収部材としての結合部材130で結合されている。
【0060】図4はこの結合部材130を示している。
この結合部材130は、一対のヨーク部材131,13
2と、この一対のヨーク部材を連結する直交した2つの
軸線Lx,Lyに沿う十字軸143とから構成されてい
る。
【0061】ヨーク部材131,132は、それぞれ移
動ブロック141,161に固定されるフランジ131
a,132aと、該フランジ131a,132aに一体
に形成されたヨーク131b,132bとから構成され
ている。前期十字軸133の軸端部はヨーク131b,
132bの穴131h,132hに回転自在に挿入さ
れ、これにより上下一体のヨーク部材131,132は
連結される。
【0062】上記の構成からなる傾斜吸収部材によれ
ば、上下の移動ブロックのあいだで回転を防止すること
ができ、また上下の移動ブロックのあいだで相互に姿勢
を変更することができ、更にヨーク131b,132b
に対して自由に十字軸133の軸端部が挿入されている
ため上下の移動ブロックが分離されることがなく、しっ
かりと連結することができる。
【0063】従って、本例に係る建物の免震装置100
によれば、案内装置140,160自体に減衰機能を与
えることができ、免震装置に特に他の減衰機構を設ける
必要はない。
【0064】また、転動体が挟むレール142(16
2)の間隔寸法(W)の増加量(δw)の大きさや増加
特性を設定することにより、所望の減衰特性を得ること
ができる他、軌道レール142(162)の幅寸法の変
更は、軌道レール142(162)の研削加工時に研削
装置を制御して、研削の程度を変えることによって実現
できる。
【0065】更に、時間的に軌道レール142(16
2)に錆や磨耗によって寸法変化が発生することは極め
て少なく、従来例で示したダンパのようなメインテナン
スを行なうことなく、減衰特性を長期間にわたって一定
に保つことができる。そして、本例では、傾斜吸収手段
は、上述した上下の移動装置の間に発生する建物と両移
動ブロックの建物に対する傾斜を吸収し、両軌道レール
を平行に保つことができるものとして、建物を地盤に対
して常に平行に保ちながら建物を地盤に対して移動でき
るものとしている。
【0066】従って、地震で地盤32がどのような方向
に振動しても、交叉する2つの移動案内装置140,1
60の移動方向の重ね合わせによってどのような方向に
沿ってでも建物31を水平に保ちながら振動を低減し、
また振動を減衰させることができる。
【0067】〔第1の実施の形態の変形例〕次に、本発
明に係る曲線案内装置の第1の実施の形態の変形例を図
5を参照して説明する。図5は本発明に係る建物の免震
装置の変形例の図1のIII 部に相当する部分の拡大図で
ある。以下上記の実施の形態例と同様の作用をなす要素
は同一の符号を用いて説明する。
【0068】本例における軌道レール142(162)
および移動ブロック141(161)の主要構成は、図
1乃至図4に示す例と同様であるが、ボール転動溝の構
成のみが異なる。
【0069】即ち、本例の建物の免震装置100では、
図5に示すように、上下の各曲線案内装置の軌道レール
142(162)の上側ボール転動溝143(下側ボー
ル転動溝163)はレール上面142a(下面162
a)に形成され、移動ブロック141(161)の上側
ボール転動溝143(下側ボール転動溝163)は連結
部145(165)の下面(上面)に形成されている。
また、軌道レール142(162)の左右両側面142
c,142d(162c,162d)には、下側ボール
転動溝144(上側ボール転動溝164)が形成されて
いる。移動ブロック141(161)の両袖部147,
148(167,168)には、軌道レール142(1
62)の下側ボール転動溝144(上側ボール転動溝1
64)に対応する位置に下側ボール転動溝149(上側
ボール転動溝169)が形成されている。その他の構成
は図1乃至図4に示す例と同様である。
【0070】この例では、ボールBと相対向する上側ボ
ール転動溝143,148(下側ボール転動溝163,
168)の接触点を結ぶ接触各線は鉛直方向(荷重作用
方向)に設定されている。またボールBと相対向する下
側ボール転動溝144,149(上側ボール転動溝16
4,169)の接触点とを結ぶ接触角線は、荷重作用方
向に対しては水平線に対して30°の角度に設定されて
いる。
【0071】本例に係る建物の免震装置によれば、建物
の荷重が軌道レールの上面(下面)で転動するボールに
垂直方向に負荷されるので、上述した第1の実施の形態
の建物の免震装置と同程度の規模の装置でより高い建物
荷重を担うことができる。
【0072】〔第2の実施の形態〕以下、本発明に係る
建物の免震装置の第2の実施の形態について説明する。
図6及び図7は第2の実施の形態に係る建物の免震装置
200を示す図であり、図6は正面図、図7は図6のVI
I 矢視図である。
【0073】本例の免震装置は、図6及び図7に示すよ
うに、地盤に固定される基台210と、基台210の上
側に2台並列に配置され、円弧状の軌跡を有する下側曲
線案内装置240,240と、下側曲線案内装置24
0,240の上方に2台並列に配置され円弧状の軌跡で
上記下側曲線案内装置240,240の運動平面と略直
角に交叉する運動平面を有し、建物に固定された移動台
220に取り付けられた上側曲線案内装置260,26
0とを備えて構成されている。
【0074】本例では、2台の下側曲線案内装置24
0,240及び2台の上側曲線案内装置260,260
は同一の構成からなり、各下側曲線案内装置240はそ
れぞれ軌道レール242と、この軌道レール242に沿
って移動する移動ブロック241とからなり、また各上
側曲線案内装置260はそれぞれ軌道レール262と、
この軌道レール262に沿って移動する移動ブロック2
61とからなる。
【0075】本例では、2台の下側曲線案内装置24
0、240の2台の移動ブロック241,241は結合
板281で連結され、また2台の上側曲線案内装置26
0,260の2台の移動ブロック261,261は結合
板282で連結されており、下側曲線案内装置240,
240と上側曲線案内装置260,260との間に位置
し下側曲線案内装置240と上側曲線案内装置260と
を接続する傾斜吸収部材である結合部材230が上記両
結合板281,282の間に固定されて結合されてい
る。尚、結合部材は図4に基づいて説明したものと同一
の構成を有するものである。
【0076】本例において、上下それぞれの曲線案内装
置240,240、260,260は、図1乃至図3に
基づいて説明した第1の実施の形態の建物の免震装置1
00を構成する曲線案内装置140(160)と全く同
一の構成を備えるため、その詳細な説明は省略する。ま
た、本例において、各曲線案内装置240,260は、
図4に基づいて説明した第1の実施の形態の変形例と同
様のものを採用することができる。
【0077】本実施の形態に係る建物の免震装置によれ
ば、曲線案内装置を並列に設けるようにしたので、免震
装置は移動ブロックの移動方向に直交する方向に幅広に
取り付けられることとなり、地盤及び建物にに安定した
状態でとりつけることができ、免震装置を安定的に配置
することができる。また建物の荷重が分散されて負荷さ
れるので、建物の免震装置はより大きな荷重を担うこと
ができる。
【0078】〔第3の実施の形態〕以下、本発明に係る
建物の免震装置の第3の実施の形態について説明する。
図8乃至図10は第3の実施の形態に係る建物の免震装
置300を示す図であり、図8は正面図、図9は図8の
IX矢視図、図10は図8のX部の部分拡大図である。
【0079】本例の免震装置は、図8及び図9に示すよ
うに、地盤32に固定される基台310と、基台310
に取り付けられ、円弧状の軌跡を有する下側曲線案内装
置340と、下側曲線案内装置340の上方に配置され
円弧状の軌跡で上記下側曲線案内装置340の運動平面
と略直角に交叉する運動平面を有し、建物31に固定さ
れた移動台320に取り付けられた上側曲線案内装置3
60とを備えて構成されている。
【0080】本例では、下側曲線案内装置340及び上
側曲線案内装置360は、同一の構成からなり、両曲線
案内装置340,360は軌道レール342,342
と、この軌道レール342,362に沿って移動する移
動ブロック341,361とから構成されている。
【0081】また、基台310は地盤32に固定される
基部311と、この基部311に立設された立設部31
2から断面略T字状に形成され、立設部312の一側部
には段部313が形成されており、上記下側曲線案内装
置340の軌道レール342が係止固定されている。
【0082】更に、移動台320は、建物31に固定さ
れる基部321とこの基部321から吊架された吊架部
322から断面略T字状に形成され、吊架部322の一
側部には段部323が形成されており、上記下側曲線案
内装置360の軌道レール342が係止固定されてい
る。
【0083】そして、本例では、下側曲線案内装置34
0の移動ブロック341は取付部材381に取り付られ
ており、また上側曲線案内装置360の移動ブロック3
61は取付部材382に取り付けられている。両取付部
材381,382は、上記移動ブロック341,361
の一側面が取り付けられる垂直部381a,382aと
上記移動ブロック341,361の上面又は下面が取り
付けられる水平部381b,382bと、から構成され
た断面略L字形の部材である。
【0084】本例では、上側曲線案内装置340と上側
曲線案内装置360とは、結合部材330で結合されて
いる。尚、この結合部材330は、上記両取付部材37
1,372の間に配置されて固定されている。尚、結合
部材は図4に基づいて説明したものと同一の構成を有す
るものである。
【0085】次に上側及び下側曲線案内装置340(上
側曲線案内装置360)について説明する。本例では、
下側(上側)曲線案内装置340(360)は、垂直方
向に所定の半径で湾曲して形成された軌道レール342
(362)と、軌道レール342(362)に多数のボ
ールBを介して摺動自在に支持された無限ボール循環路
を形成した移動ブロック341(361)とから構成さ
れている。
【0086】軌道レール342(362)は、図10に
示すように、断面略矩形で垂直方向に所定半径をもって
円弧状に形成されている。軌道レール342(362)
は、中心Oが垂直方向の上方(下方)にあり、半径がR
に設定されており、軌道レール342(362)の上面
342a(下面362a)が凹面、下面342b(上面
362b)が凸面になっている。そして、軌道レール3
42(362)の一側面342c(362c)は基台3
10(移動台320)に取り付けられている。
【0087】図10に示すように、軌道レール342
(362)の上下面342a,342b(362a,3
62b)には、所定半径の円弧に沿って上下各2列のボ
ール転動溝343,344(363,364)が形成さ
れている。移動ブロック341(361)は連結部34
5(365)とその上下端両から側方に向けて突出する
上下一対の袖部346,347(366,367)とを
有して側面側に凹部を備えている。そして、移動ブロッ
ク341(361)の両袖部346,347(366,
367)には、前記軌道レール342(362)のボー
ル転動溝343,344(363,364)に対応する
位置に所定半径の円弧(半径R)に沿って、上下一対の
ボール転動溝348,349(368,369)が形成
されている。
【0088】また、移動ブロック341(361)に
は、上記上下各2列のボール転動溝348,349(3
68,369)に隣接して、かつ、これらボール転動溝
348,349(368,369)に対応して上下一対
の無負荷ボール穴350,351(370,371)が
形成されている。移動ブロック341(361)の前後
両端面は内面側に前記ボール転動溝348,349(3
68,369)と無負荷ボール穴350,351(37
0,371)の各端部間を互いに連結して無限循環通路
を形成するボール方向転換通路を有した蓋体352,3
52(372,372)が取り付けられている。そし
て、上記多数のボールBは、各無限循環通路内を循環
し、軌道レール342(362)のボール転動溝34
3,344(363,364)と移動ブロック341
(361)のボール転動溝348,349(368,3
69)との間で荷重を負荷しながら転走するようになっ
ている。
【0089】上記ボール転動溝343,344(36
3,364)、348,349(368,369)は、
上述したサーキュラー溝からなる。そして、ボールBと
相対向するボール転動溝343,348(363,36
8)又は344,349(364,369)の接触点と
を結ぶ接触角線は、荷重作用方向(垂直方向)に対して
いずれも45°の角度に設定されている。
【0090】従って、この例によれば、移動ブロック3
41(361)は、軌道レール342(462)に上下
左右の全ての方向に荷重を担うことができ、建物の重量
により加わる上下方向の荷重の他、地震時の急激な振動
により加わる建物の慣性による水平方向の荷重をも担う
ことができる。
【0091】そして、本例に係る建物の免震装置300
では、軌道レール342(362)は軸方向に沿って、
断面形状を連続的に変えられることにより、移動ブロッ
ク341(361)が軌道レール342(362)の中
央位置にあるとき、移動抵抗が所定のものとされるとと
もに、移動ブロック341(361)が中央位置から移
動したとき移動ブロック341(361)の移動抵抗が
中央位置より大きいものとされている。
【0092】本例では、軌道レールは、軌道レール34
2(362)の上下両側面342a(362a),34
2b(362b)に設けられたボール転動溝343,3
44(363,364)のレール幅を挟む上下の間隔寸
法Wをレールの長さ方向の中央部において所定の間隔寸
法(W=w)から、軌道レール342(362)の両端
において上記所定の値より予め定めた増加値(δw)だ
け増した間隔寸法(W=w+δw)となるようにされて
いる。
【0093】即ち、この場合には、ボールBが軌道レー
ル342(362)を上下方向で挟む寸法が、軌道レー
ル342(362)の中央部に比べて両端方向に向かっ
て大きくなっていき、移動ブロック341(361)が
軌道レール342(362)の中央部から両端に移動す
るに従って、ボールへの予圧が軌道レール342(36
2)の中央部に比べて両端方向に向かって大きくなっ
て、移動ブロック341(361)の移動抵抗が中央部
に比べて両端方向に向かって大きくなっていく。
【0094】そして、移動ブロック341(361)が
移動する際に、移動ブロック341(361)の移動時
の抵抗、即ち転動体及び軌道レールの弾性変形、転動摩
擦等によって、建物31の振動のエネルギーは熱エネル
ギーとして大気、地盤32に放出されて、建物31の振
動は直線または曲線案内装置自体によって減衰される。
【0095】この軌道レール342(362)は、軌道
レール342(362)にボール転動溝343,344
(363,364)を研削加工で形成する際に、NC制
御される研削盤の砥石の追い込み量を軌道レール342
(362)の中央部において深く、両端部に向かって次
第に浅く研削するように研削の程度を変えることによっ
て実現できる。
【0096】ここで、上0増加値δwの大きさ、増加傾
向は、必要とする免震装置の大きさ、減衰特性等によっ
て決定される。
【0097】従って、本例に係る建物の免震装置300
によれば、案内装置340,360自体に減衰機能を与
えることができ、免震装置300に特に他の減衰機構を
設ける必要はない。また、転動体が挟むレール342
(362)の間隔寸法(W)の増加量(δw)の大きさ
や増加特性を設定することにより、所望の減衰特性を得
ることができる他、軌道レール342(362)の幅寸
法の変更は、軌道レール342(362)の研削加工時
に研削装置を制御して、研削の程度を変えることによっ
て実現できる。
【0098】更に、時間的に軌道レール342(36
2)に錆や磨耗によって寸法変化が発生することは極め
て少なく、従来例で示したダンパのようなメインテナン
スを行なうことなく、減衰特性を長期間にわたって一定
に保つことができる。
【0099】そして、本例では、連結部材330、上述
した上下の移動装置340,360の間に発生する建物
と両移動ブロック341,361の建物に対する傾斜を
吸収し、両軌道レール342,362を平行に保つこと
ができるものとして、建物31を地盤32に対して常に
平行に保ちながら建物を地盤に対して移動できるものと
している。従って、地震で地盤32がどのような方向に
振動しても、交叉する2つの移動案内装置340,36
0の移動方向の重ね合わせによってどのような方向に沿
ってでも建物31を水平に保ちながら振動を低減し、ま
た振動を減衰させることができる。
【0100】〔第3の実施の形態の変形例〕次に第3の
実施の形態の変形例を説明する。図11は、本発明に係
る建物の免震装置の変形例の図8のX部に相当する部分
の拡大図である。以下、上記第3の実施の形態例と作用
をなす要素は同一の符号を用いて説明する。
【0101】本例における軌道レール342(36
2)、移動ブロック341(361)、結合部材330
等の主要構成は、図8乃至図10に示した例と同様であ
るが、ボール転動溝の構成のみが異なる。
【0102】即ち、本例の建物の免震装置では、図11
に示すように、上下の各曲線案内装置の軌道レール34
2(362)のうち、建物の荷重が直接負荷される上面
(下面)に形成されるボールBが転走するボール転動溝
343(363)は3列形成され、またこのボール転動
溝343(363)に対向する移動ブロック141(3
61)の上側の袖部346(下側の袖部366)に形成
されたボール転動溝343(363)も3列形成され、
このボール転動溝343(363)と無限循環通路を形
成する無負荷ボール穴350(370)も3列形成され
ている。その他の構成は図8乃至図10に示す例と同様
である。
【0103】本変形例に係る建物の免震装置によれば、
負荷が掛かる側のボール列の数を3列と多くしているの
で、荷重が分散されて負荷され、より大きな荷重を担う
ことができる。
【0104】〔第4の実施の形態〕以下、本発明に係る
建物の免震装置の第4の実施の形態について説明する。
図12乃至図14は第1の実施の形態に係る建物の免震
装置400を示す図であり、図12は正面図、図13は
図12のXIII矢視図、図14は図12のXIV 部の拡大図
である。
【0105】本例の免震装置は、図12及び図13に示
すように、地盤32に固定される基台410と、基台4
10の両側壁に2台並列に配置され、円弧状の軌跡を有
する下側曲線案内装置440,440と、下側曲線案内
装置440,440の上方に2台並列に配置され円弧状
の軌跡で上記下側曲線案内装置440,440の運動平
面と略直角に交叉する運動平面を有し、建物31に固定
された移動台420に取り付けられた上側曲線案内装置
460,460とを備えて構成される。本例では、2台
の下側曲線案内装置440及び2台の上側曲線案内装置
460は、同一の構成からなり、2台の下側曲線案内装
置440はそれぞれ軌道レール442と、この軌道レー
ル442に沿って移動する移動ブロック441とからな
り、上記2台の上側曲線案内装置460はそれぞれ軌道
レール462と、この軌道レール462に沿って移動す
る移動ブロック461とから構成される。
【0106】本例では、基台410は地盤32に固定さ
れる基部411と、この基部411の中央部に立設され
た立設部412から断面略T字状に形成され、立設部4
12の両側部には段部413が形成されており、上記2
台の下側曲線案内装置340の2本の軌道レール442
が係止固定されている。また、移動台420は建物31
に固定される基部421と、この基部421から吊架さ
れた吊架部422から断面略T字状に形成され、吊架部
422の両側部には段部423が形成されており、上記
下側曲線案内装置360の軌道レール342が係止固定
されている。
【0107】本例では、2台の下側曲線案内装置44
0、440の2台の移動ブロック441,441は結合
板481で連結され、また2台の上側曲線案内装置46
0,460の2台の移動ブロック461,461は結合
板482で連結されている。両取付部材481,482
は、上記移動ブロック441,461の上面又は下面が
取り付けられる水平部481a,482aと、この水平
部481a,482aの両端から突設されその内側面に
上記移動ブロック441,461の一側面が取り付けら
れる垂直部481b,482bとから構成された断面略
コ字形の部材である。
【0108】また、本例では、上側曲線案内装置440
と上側曲線案内装置460とは、結合部材430で結合
されている。尚、この結合部材430は、上記両取付部
材481,482の間に配置されて固定されている。
尚、結合部材430は図4に基づいて説明したものと同
一の構成を有するものである。
【0109】本例において、上下それぞれの曲線案内装
置440,440、460,460はそれぞれ上述した
第3の実施の形態の建物の免震装置を構成する曲線案内
装置340(360)と全く同一の構成を備えている。
即ち、図14に示すように、各軌道レール442(46
2)の上下面442a,442b(462a,462
b)には、所定半径の円弧に沿って上下各2列のボール
転動溝443,444(463,464)が形成されて
いる。
【0110】移動ブロック441(461)は連結部4
45(465)とその上下端両から側方に向けて突出す
る上下一対の袖部446,447(466,467)と
を有して側面側に凹部を備えている。そして、移動ブロ
ック441(461)の両袖部446,447(46
6,467)には、前記軌道レール442(462)の
ボール転動溝443,444(463,464)に対応
する位置に所定半径(R)の円弧に沿って、上下一対の
ボール転動溝448,449(468,469)が形成
されている。
【0111】また、移動ブロック441(461)に
は、上記上下各2列のボール転動溝448,449(4
68,469)に隣接して、かつ、これらボール転動溝
448,449(468,469)に対応して上下一対
の無負荷ボール穴450,451(470,471)が
形成されている。移動ブロック441(461)の前後
両端面は内面側に前記ボール転動溝448,449(4
68,469)と無負荷ボール穴450,451(47
0,471)の各端部間を互いに連結して無限循環通路
を形成するボール方向転換通路を有した蓋体452,4
52(472,472)が取り付けられている。そし
て、上記多数のボールBは、各無限循環通路内を循環
し、軌道レール442(462)のボール転動溝44
3,444(463,464)と移動ブロック441
(461)のボール転動溝448,449(468,4
69)との間で荷重を負荷しながら転走するようになっ
ている。
【0112】上記ボール転動溝443,444(46
3,464)、448,449(468,469)は、
上述したサーキュラー溝からなる。そして、ボールBと
相対向するボール転動溝443,448(463,46
8)又は444,449(464,469)の接触点と
を結ぶ接触角線は、荷重作用方向(垂直方向)に対して
いずれも45°の角度に設定されている。従って、この
例によれば、移動ブロック441(461)は、軌道レ
ール442(462)に上下左右の全ての方向に荷重を
担うことができ、建物の重量により加わる上下方向の荷
重の他、地震時の急激な振動により加わる建物の慣性に
よる水平方向の荷重をも担うことができる。
【0113】そして、本例に係る建物の免震装置400
では、軌道レール442(462)は軸方向に沿って、
断面形状を連続的に変えられることにより、移動ブロッ
ク441(461)が軌道レール442(462)の中
央位置にあるとき、移動抵抗が所定のものとされるとと
もに、移動ブロック441(461)が中央位置から移
動したとき移動ブロック441(461)の移動抵抗が
中央位置より大きいものとされている。
【0114】即ち、本例では、軌道レールは、軌道レー
ル442(462)の上下両側面442a(462
a),442b(462b)に設けられたボール転動溝
443,444(463,464)のレール幅を挟む上
下の間隔寸法Wをレールの長さ方向の中央部において所
定の間隔寸法(W=w)から、軌道レールの両端におい
て上記所定の値より予め定めた増加値(δw)だけ増し
た間隔寸法(W=w+δw)となるようにされている。
【0115】この場合には、ボールBがボール転動溝4
43,444(463,464)を転走しつつ軌道レー
ル442(462)を上下方向で挟む寸法が、軌道レー
ル442(462)の中央部に比べて両端方向に向かっ
て大きくなっていき、移動ブロック441(461)が
軌道レール442(462)の中央部から両端に移動す
るに従って、ボールへの予圧が軌道レールの中央部に比
べて両端方向に向かって大きくなって、移動ブロック4
41(461)の移動抵抗が中央部に比べて両端方向に
向かって大きくなっていく。
【0116】そして、移動ブロック441(461)が
移動する際に、移動ブロック441(461)の移動時
の抵抗、即ち転動体及び軌道レールの弾性変形、転動摩
擦等によって、建物31の振動のエネルギーは熱エネル
ギーとして大気、地盤32に放出されて、建物31の振
動は直線または曲線案内装置自体によって減衰される。
【0117】この軌道レール442(462)は、ボー
ル転動溝を研削加工で形成する際に、NC制御される研
削盤の砥石の軌跡を制御することにより実現できる。ま
た、上記増加値δwの大きさは、必要とする免震装置の
大きさ、減衰特性等によって決定される。
【0118】従って、本例に係る建物の免震装置400
によれば、案内装置440,460自体に減衰機能を与
えることができ、免震装置400に特に他の減衰機構を
設ける必要はない。
【0119】尚、上記第3の実施の形態例と同様に、ま
た、転動体が挟むレール442(462)の間隔寸法
(W)の増加量(δw)の大きさや増加特性を設定する
ことにより、所望の減衰特性を得ることができる他、軌
道レール442(462)の幅寸法の変更は、軌道レー
ル442(462)の研削加工時に研削装置を制御し
て、研削の程度を変えることによって実現できる。
【0120】更に、時間的に軌道レール442(46
2)に寸法変化が発生することは極めて少なく、メイン
テナンスを行なうことなく、減衰特性を長期間にわたっ
て一定に保つことができる。
【0121】また、本実施の形態に係る建物の免震装置
によれば、曲線案内装置を並列に設けるようにしたの
で、免震装置が平面的な広がりを持ち、免震装置を安定
的に配置することができ、また荷重が分散されて負荷さ
れるので、より大きな荷重を担うことができる。
【0122】〔第4の実施の形態の変形例〕次に第4の
実施の形態の変形例を説明する。図15は、この例に係
る建物の免震装置の変形例の図12のXIV 部に相当する
部分の拡大図である。以下、上記第4の実施の形態例と
作用をなす要素は同一の符号を用いて説明する。
【0123】本例における軌道レール442(46
2)、移動ブロック441(461)、結合部材430
等の主要構成は、図12乃至図14に示した例と同様で
あるが、ボール転動溝の構成のみが異なる。
【0124】即ち、本例の建物の免震装置では、図15
に示すように、上下の各曲線案内装置の軌道レール34
2(462)の上面に形成されるボール転動溝443
(463)は3列形成され、このボール転動溝443
(463)に対向する移動ブロック141(161)の
上側の袖部446(466)に形成されたボール転動溝
443(463)も3列形成され、このボール転動溝4
43(463)と無限循環通路を形成する無負荷ボール
穴も3列形成されているている。その他の構成は図12
乃至図14に示す例と同様である。
【0125】本変形例に係る建物の免震装置によれば、
負荷が掛かる側のボール列の数を多くしているので、荷
重が分散されて負荷されるので、より大きな荷重を担う
ことができる。
【0126】〔第5の実施の形態〕以下、本発明に係る
建物の免震装置の第5の実施の形態について説明する。
図16乃至図18は第5の実施の形態に係る建物の免震
装置500を示すものであり、図16は正面図、図17
は図16のXVII矢視図、図18は図16のXVIII 部の拡
大図である。
【0127】本例の免震装置は、図16及び図17に示
すように、地盤32に固定される基台510と、基台5
10の上側に配置され、円弧状の軌跡を有する下側曲線
案内装置540と、下側曲線案内装置540の上方に配
置され円弧状の軌跡で上記下側曲線案内装置540の運
動平面と略直角に交叉する運動平面を有し、建物31に
固定された移動台520に取り付られた上側曲線案内装
置560とを備える。
【0128】本例では、2台の下側曲線案内装置540
及び2台の上側曲線案内装置560は、同一の構成から
なり、下側曲線案内装置540はそれぞれ幅広の軌道レ
ール542と、この軌道レール542に沿って移動する
移動ブロック構造体541とからなり、上記上側曲線案
内装置560は軌道レール562と、この軌道レール5
62に沿って移動する移動ブロック構造体561とから
なる。
【0129】本例では、下側曲線案内装置540と上側
曲線案内装置560とは、上記両移動ブロック構造体5
41,561を結合部材530を固定することにより結
合されている。
【0130】次に上側及び下側の曲線案内装置540,
560について説明する。軌道レール542(562)
は、断面形状を厚さ寸法より幅寸法が大きい矩形形状と
されており、垂直方向に所定半径をもって円弧状に形成
されている。軌道レール542(562)は、中心Oが
垂直方向の上方(下方)にあり、半径がRに設定されて
おり、軌道レール542(562)の上面542a(下
面562a)が凹面、下面542b(上面562b)が
凸面になっている。
【0131】図18に示すように、軌道レール542
(562)の左右両側面542c(562c),542
d(562d)には、所定半径の円弧に沿って上下一対
のボール転動溝543,544(563,564)が形
成されている。
【0132】移動ブロック構造体541(561)は、
連結部581(591)とその両側より下方に向けて垂
下する左右一対の袖部582,583(592,59
3)とを有して下面側(上面側)に凹部を備えたブロッ
ク保持体580(590)と、この袖部582,583
(592,593)の内側にボルト546(566)で
固定された2つのブロック本体547,547(56
7,567)とから構成されている。
【0133】そして、各ブロック本体547(567)
には、前記軌道レール542(562)のボール転動溝
543,544(563,564)に対応する位置に所
定半径(R)の円弧に沿って、上下一対のボール転動溝
548,549(568,569)が形成されている。
【0134】また、各ブロック本体547(567)に
は、上記上下一対のボール転動溝548,549(56
8,569)に隣接して、かつ、これらボール転動溝5
48,549(568,569)に対応して上下一対の
無負荷ボール穴550,551(570,571)が形
成されている。また、移動ブロック541(561)の
前後両端面は内面側に前記ボール転動溝と無負荷ボール
穴の各端部間を互いに連結して無限循環通路を形成する
ボール方向転換通路を有した蓋体(図示していない)が
取り付けられている。尚、図17中符号555,556
は、2つのブロック本体547,547(567,56
7)の間隔調整用のボルト及びナットを示している。
【0135】そして、上記多数のボールBは、各無限循
環通路内を循環し、軌道レール542(562)のボー
ル転動溝543,544(563,564)とブロック
本体547(567)のボール転動溝548,549
(568,569)との間で荷重を負荷しながら転走す
るようになっている。
【0136】上記ボール転動溝543,544(56
3,564)、548,549(568,569)は、
ボール半径よりも大きい半径で曲面状に形成されたサー
キュラー溝からなり、各ボール転動溝543,544
(563,564)、548,549(568,56
9)はボールBが接触転動する接触面を一面のみ有して
いる。
【0137】本例では、ボールBと相対向するボール転
動溝543,548(563,568)又は544,5
49(564,569)の接触点とを結ぶ接触角線は、
荷重作用方向に対していずれも45°の角度に設定され
ている。従って、この例によれば、移動ブロック541
(561)は、軌道レール542(562)に上下左右
の全ての方向に荷重を担うことができ、建物の重量によ
り加わる上下方向の荷重の他、地震時の急激な振動によ
り加わる建物の慣性による水平方向の荷重をも担うこと
ができる。
【0138】そして、本例に係る建物の免震装置500
では、軌道レール542(562)は軸方向に沿って、
断面形状を連続的に変えられることにより、移動ブロッ
クが中央位置にあるとき転動体移動抵抗が所定のものと
されるとともに、移動ブロックが中央位置から移動した
とき移動ブロックの移動抵抗が中央位置より大きいもの
とされている。
【0139】本例では、軌道レール542(562)
は、軌道レール542(562)の左右両側面542c
(562c),542d(562d)に設けられた上下
一対のボール転動溝543,544(563,564)
のレール幅を挟む間隔寸法Wをレールの長さ方向の中央
部において所定の間隔寸法(W=w)から、軌道レール
の両端において上記所定の値より予め定めた増加値(δ
w)だけ増した間隔寸法(W=w+δw)となるように
したものである。
【0140】即ち、この場合には、ボールBが軌道レー
ル542(562)を幅方向で挟む寸法が、軌道レール
542(562)の中央部に比べて両端方向に向かって
大きくなっていき、移動ブロック541(561)が軌
道レール542(562)の中央部から両端に移動する
に従って、ボールBへの予圧が軌道レール542(56
2)の中央部に比べて両端方向に向かって大きくなっ
て、移動ブロック541(561)の移動抵抗が中央部
に比べて両端方向に向かって大きくなっていく。
【0141】そして、移動ブロック541(561)が
移動する際に、移動ブロック541(561)の移動時
の抵抗、即ち転動体及び軌道レールの弾性変形、転動摩
擦等によって、建物31の振動のエネルギーは熱エネル
ギーとして大気、地盤32に放出されて、建物31の振
動は直線または曲線案内装置500自体によって減衰さ
れる。
【0142】本例に係る建物の免震装置によれば、他の
部材を設けることなく免震装置に減衰特性を付加するこ
とができる他、大規模な免震装置を作成するにあたり必
要となる幅広の軌道レールに取り付ける幅広の移動ブロ
ックを移動ブロック構造体としてブロック保持体とブロ
ック本体とで構成したから、精密加工を必要とするブロ
ック本体は比較的小さなものですみ、製作コストを低減
できる。
【0143】〔第5の実施の形態の変形例〕次に、第5
の実施の形態の変形例を説明する。図19はこの例に係
る建物の免震装置の変形例の図16のXVIII 部に相当す
る部分の拡大図である。以下上記の実施の形態例と同様
の作用をなす要素は同一の符号を用いて説明する。
【0144】本例における曲線案内装置540(56
0)の構成は、図16至図18に示す例と同様である
が、軌道レール541(561)の構成のみが異なる。
即ち、本例の建物の免震装置では、軌道レール541
(561)は、基板510(移動板520)の上面51
1(下面521)から上方に向け突出形成され、両外側
に設けられた取付基準面613,613(623,62
3)を備えた取付部材612(622)にレール部材6
11,611(621,621)をボルト614,61
4(624,624)で取り付けることにより構成して
いる。
【0145】この例では、上記取付基準面613,61
3(623,623)はそれぞれ平面をなし、相対向す
る取付基準面613,613(623,623)は平行
に形成されている。また、本例では、各レール部材61
1(621)の側面615(625)には上下一対のボ
ール転動溝543,544(563,564)が形成さ
れている。
【0146】そして、本例では、取付部材612(62
2)と、レール部材611(621)との間には隙間部
材617(627)が挟まれて、レール部材611(6
21)が取付部材612(622)に取り付けられてい
る。
【0147】隙間部材617(627)の厚さと取り付
け個所は、ボール転動溝543,544(563,56
4)のボールBが挟む間隔寸法Wをレールの長さ方向の
中央部において所定の間隔寸法(W=w)から、軌道レ
ールの両端において上記所定の値より予め定めた増加値
(δw)だけ増した間隔寸法(W=w+δw)となるよ
うに定めるものとしている。
【0148】これにより、上記第5の実施形態例と同様
に移動ブロックが軌道レールの中央部から両端に移動す
るに従って、ボールへの予圧が軌道レールの中央部に比
べて両端方向に向かって大きくなって、移動ブロックの
移動抵抗が中央部に比べて両端方向に向かって大きくな
っていく。
【0149】尚、隙間部材を挿入して湾曲形成させるレ
ール部材は、取付部材の両側に取り付ける2つのレール
部材のうち一方のレール部材であってもよい。
【0150】本例に係る免震装置によれば、大規模な免
震装置を作成するにあたり必要となる幅広の軌道レール
は、幅広の取付基準部材の取付基準面に2本のレール部
材を取り付けることにより作成することができる。
【0151】ここで、取付基準部材はレール部材が取り
付けられるだけであるから一般的な鋳物材を使用するこ
とができるため、取付基準部材の幅を広くしても、それ
ほどコストは嵩まない。一方、レール部材は、転動体の
転動により磨耗等が発生しないように高精度の研削加工
や熱処理を行える特殊材で構成する必要があり材料費及
び加工費が嵩むが、本発明に係る建物の免震装置では、
レール部材を小さな幅のものとすることができ、材料
費、加工費を嵩まないものとすることがきる。従って、
軌道レール全体を特殊材で形成するのに比べて製造が容
易となり、またコストを低減できる。
【0152】また、レール部材の湾曲状態の調整は、隙
間部材の厚さ、取付位置を調整することにより容易にお
こなえる他、取付基準部材の製作精度をそれほど高くし
なくとも、レール部材と取付基準部材との間に配置する
隙間部材の寸法、取付位置を調整することにより、高精
度の軌道レールを製作することができる。よって、軌道
レール全体を特殊材で形成して形成の精度を高めて転動
溝間の間隔寸法を精密に設定するのに比べて製造が容易
となり、製造コストを低減することができる。
【0153】〔変形例の他の例〕本発明では取付部材の
取付基準面を湾曲形成して、ボールが転動溝を介して軌
道レールを幅方向で挟む寸法を、軌道レールの中央部に
比べて両端方向に向かって大きく形成することができ
る。即ち、取付部材の2つの取付基準面間の幅寸法Aが
軌道レールの長さ方向の中央部(A=a)より軌道レー
ルの両端において予め定めた増加値(δa)だけ増した
間隔寸法(A=a+δa)となるように湾曲して形成し
ておくのである。
【0154】この取付基準面に両側面615,616が
平行に形成され、ボール転動溝が形成されたレール部材
611(621)を密着させて取り付けると、レール部
材611(621)は湾曲された状態となり、移動ブロ
ック541(561)が軌道レール622(642)の
中央位置から両端方向に移動したときボールBの予圧が
移動ブロック541(561)が中央位置にあるときよ
り大きくなるようになって、移動ブロック541(56
1)の移動抵抗が中央位置より大きくなるようにするこ
とができる。
【0155】尚、湾曲形成させる取付基準面は、取付部
材の両側に形成された2面の取付基準面の内一方の取付
基準面であってもよい。
【0156】更に、本発明では取付部材の取付基準面を
平面で且つ互いに平行に形成し、この取付基準面に両側
面615,616が平行に形成されたレール部材を取り
付け、その後ボール転動溝の研削時に研削盤を制御し
て、ボール転動溝の研削深さを軌道レールの案内方向に
従って変えて、ボールが軌道レールを幅方向で挟む寸法
を軌道レールの中央部に比べて両端方向に向かって大き
く形成することができる。
【0157】また、上記各変形例では取付部材612
(622)は基板510(移動板520)と一体に形成
したが、取付部材612(622)は基板510(移動
板520)と別部材として、基板510(移動板52
0)に取り付けるようにしてもよい。
【0158】尚、上記第1乃至第4の実施の形態におい
て、軌道レールは一体の連続した構成として説明した
が、軌道レールと移動ブロックの組立において、移動ブ
ロックが軌道レールの端部から挿入しにくい場合には、
軌道レールを中央部付近で分割したものとして、移動ブ
ロックの両側から軌道レールを挿入し、軌道レールを軌
道或いは移動台に固定して軌道レールを接続するように
してもよい。
【0159】更に、上記各例において、建物の免震装置
の上下の案内装置は曲線案内装置として説明したが、上
下の案内装置のうち一方或いは両方を直線案内装置とし
て構成することができる。この場合には、案内装置の製
造コストを低減することができ、建物の免震装置をより
安価なものとすることができる。
【0160】また、上記各実施の形態において、ボール
転動溝の断面形状はボールの直径寸法と略同一直径とし
たサーキュラ形状して説明したが、ボール転動溝の断面
形状をボールの直径寸法より大きい2つの円弧からなる
ゴシックアーチ形状とすることができる。ボール転動溝
の断面形状をゴシックアーチ形状にすると、サーキュラ
ー形状にしたときに比べてボールが挟む軌道レール間の
寸法の変化に対する抵抗の変化の度合いが大きいものと
なる。
【0161】そして、上記各実施の形態においては、転
動体としてボールを例として説明したが、転動体として
ローラを使用することができる。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は以上のよ
うな構成及び作用を備えるので次効果を有する。
【0163】 軌道レールが軸方向に形状が変えられ
ることによって、移動ブロックが中央位置にあるとき転
動体移送抵抗は所定の値とされ、移動ブロックが中央位
置から両端方向のいずれかに移動したとき移動ブロック
の移動抵抗は中央位置の値より大きくなるものとされて
いる。このため、建物の振動に伴って移動ブロックが軌
道レールに沿って中央位置から両端方向に振動すると、
移動ブロックの移動時の抵抗、即ち転動体及び軌道レー
ルの弾性変形、転動摩擦等によって、建物の振動のエネ
ルギーは熱エネルギーとして大気、地盤に放出されて、
建物の振動は直線または曲線案内装置自体によって減衰
される。従って、建物の免震装置の直線または曲線案内
装置は案内装置としての機能をなすとともに、減衰装置
(ダンパ)としての機能をなし、他の減衰装置を必要と
しないので設置スペースが少なくてすみ、また、費用が
嵩まない。
【0164】 軌道レールの形状を所定のものとする
こと、例えば転動体が挟む転動溝の幅寸法の大きさの増
加の程度、変化の状態を所定の値に所定の状態に設定す
ることにより、移動ブロックに所望の大きさの移動抵
抗、及び所望の移動抵抗の増加特性パターンを付与する
ことができ、建物の免震装置の減衰特性を所望のものに
設定できる。従って、建物の固有振動数、方向による振
動特性、地震波の方向的特性により特性の異なる軌道レ
ールを組み合わせることにより、適切な対処が可能とな
る。
【0165】 軌道レールや移動ブロックに磨耗や錆
が発生に起因する寸法変化が発生することは極めて少な
いので、特別のメインテナンスを行なうことなく減衰特
性を長期間にわたって一定に保つことができる。従っ
て、メインテナンスの手間、費用をかけることなく、建
物の耐用年数と同程度の耐久性を期待することができ、
信頼性が高い。
【0166】そして、各請求項に係る発明は以下の効果
を奏する。
【0167】請求項1に記載の建物の免震装置によれ
ば、地震時に地盤が振動した場合には、地盤の振動は免
震装置の案内装置の案内運動により略絶縁され、建物に
は直接は伝達されず建物には破壊的な振動は加わらない
ものとすることができる他、建物の振動は移動テーブル
の移動抵抗により直線または曲線案内装置自体によって
減衰される。従って、本発明に係る建物の免震装置には
他の装置としての減衰装置を設ける必要はなく、建物の
振動を減衰させることができる。
【0168】請求項2に記載の建物の免震装置によれ
ば、移動ブロックが軌道レールの中央部にある時は転動
体の転動体が挟む転動溝間の寸法は小さく転動体の予圧
が小さく移動ブロックの移動抵抗は小さい。また移動ブ
ロックが軌道レールの中央部から端部に向け移動したと
きには、転動体が挟む転動溝間の寸法が大きくなり、転
動体への予圧が中央部より大きくなり、軌道レール上で
の移動ブロックの移動抵抗が大きくなる。従って、この
免震装置によれば、上述した請求項1に記載の作用をな
す他、転動体が挟む転動溝の間隔寸法の増加量の大きさ
や増加特性を設定することにより、所望の減衰特性を得
ることができる。
【0169】また、請求項3に記載の建物の免震装置に
よれば、転動溝間の幅寸法を軌道レールの研削加工時に
研削装置を制御して、研削の程度を変えることによって
容易に実現できる。更に、軌道レールに寸法変化が発生
することは極めて少なく、メインテナンスを行なうこと
なく、減衰特性を長期間にわたって一定に保つことがで
きる。
【0170】請求項4及び請求項5に記載の建物の免震
装置によれば、幅広の軌道レールを、幅広の取付基準部
材の取付基準面に2本のレール部材を取り付けることに
より容易に作成することができる。そして、元々安価な
取付基準部材の幅を広くするのでコストは嵩まないし、
コスト高のレール部材を小さな幅のものとすることがで
き、幅広の軌道レールを安価に製造できる。
【0171】更に、請求項4に記載の発明によれば、移
動ブロックの移動抵抗量の調整を隙間部材の厚さ、取付
位置を調整することにより容易に且つ高精度に行なうこ
とができる。
【0172】請求項6に記載の建物の免震装置によれ
ば、交叉する2つの移動案内装置の移動方向の重ね合わ
せによってどの様な方向の地盤の振動に対しても建物の
振動を低減し、また振動を減衰させることができる。ま
た、建物に複数の免震装置を配置するに際して、各免震
装置は、どのような方向にでも振動を低減、減衰させる
ことができるので、それぞれの場所に取り付ける免震装
置の取付方向を厳密に一致させなくとも、建物は任意の
方向に自由に振動しうるものとできる。
【0173】請求項7に記載の発明によれば、上下の案
内装置は自由にその相対的な傾斜を変えることができる
から、建物に複数の請求項6に係る上下二段の免震装置
を取り付けた場合において、地震で建物が振動したと
き、それぞれの免震装置において上下の案内装置の軌道
レールを平行に保つことができ、建物を水平に保ちなが
ら振動を低減し、また振動を減衰させることができる。
【0174】請求項8に記載の建物の免震装置によれ
ば、免震装置は移動ブロックの移動方向に直交する方向
に幅広に取り付けられることとなり、地盤及び建物にに
安定した状態でとりつけることができ、免震装置を安定
的に配置することができる。また建物の荷重が分散され
て負荷されるので、建物の免震装置はより大きな荷重を
担うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る建物の免震装置の第1の実施の
形態を示す一部断面正面図である。
【図2】図1に示した建物の免震装置の図1のII方向か
らの部分断面図である
【図3】図1に示した建物の免震装置の曲線案内装置の
III 部の拡大図である。
【図4】図1に示した免震装置に使用する傾斜吸収部材
の構造を示す分解斜視図である。
【図5】本願発明に係る建物の免震装置の第1の実施の
形態の変形例を示す図1のV部に相当する部分の拡大図
である。
【図6】本願発明に係る建物の免震装置の第2の実施の
形態を示す一部断面正面図である。
【図7】図6に示した建物の免震装置の図4のVII 方向
からの部分断面図である
【図8】本願発明に係る建物の免震装置の第3の実施の
形態を示す一部断面正面図である。
【図9】図8に示した建物の免震装置の図8のIX方向か
らの部分断面図である
【図10】図8に示した建物の免震装置の図8のX部の
拡大図である。
【図11】本願発明に係る建物の免震装置の第3の実施
の形態の変形例を示す図8のX部に相当する部分の拡大
図である。
【図12】本願発明に係る建物の免震装置の第4の実施
の形態を示す一部断面正面図である。
【図13】図12に示した建物の免震装置の図12のXI
II方向からの部分断面図である。
【図14】本願発明に係る建物の免震装置の図12のXI
V 部の拡大図である。
【図15】本願発明に係る建物の免震装置の第4の実施
の形態の変形例を示す図12のXIV 部に相当する部分の
拡大図である。
【図16】本願発明に係る建物の免震装置の第5の実施
の形態を示す一部断面正面図である。
【図17】図15に示した建物の免震装置の図15のXI
I 方向からの部分断面図である。
【図18】図15に示した建物の免震装置の図15のXV
III 部の拡大図である。
【図19】第5の実施の形態の変形例を示す図15に示
した建物の免震装置の図15のXVIII 部に相当する部分
の拡大図である。
【図20】本発明に係る建物の免震構造の概略を示す図
である。
【図21】建物の免震構造の概略を示す図である。
【符号の説明】
31 建物 32 地盤 100、200、300、400、500 免震装置 110、210、310、410、510 基板 120、220、320、420、520 移動台 130、230、330、430、530 傾斜吸収部
材(結合部材) 140、240、340、440、540 下側案内装
置 141、241、341、441 移動ブロック 142、242、342、442、542 軌道レール 160、260、360、460、560上側案内装置 161、261、361、461 移動ブロック 162 262、362、462、562 軌道レール B ボール(転動体)
フロントページの続き (72)発明者 石原 和男 東京都品川区西五反田3丁目11番6号 テ イエチケー株式会社内 (72)発明者 菅 嘉一 東京都品川区西五反田3丁目11番6号 テ イエチケー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤と建物との間に配置される建物の免震
    装置であって、 上記免震装置は、 軌道レールと移動ブロックとを備える直線案内装置又は
    曲線案内装置を備えており、 上記直線案内装置又は曲線案内装置は転動体による循環
    案内機構を備え、 上記軌道レールは軸方向に沿って断面形状を連続的に変
    えることにより、移動ブロックが軌道レールの中央位置
    から両端方向に移動したとき移動ブロックの移動抵抗が
    上記中央位置より大きくなるようにした建物の免震装
    置。
  2. 【請求項2】軌道レールの断面形状は、軌道レールに形
    成され、転動体で挟まれる転動溝の間隔寸法を軌道レー
    ルの軌道方向における中央部分に比べてその両端部分に
    向けて大きく形成し、 移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向に移
    動したとき転動体の予圧が移動ブロックが中央位置にあ
    るときより大きくなるようにし、移動ブロックの移動抵
    抗が中央位置より大きくなるようにした請求項1記載の
    建物の免震装置。
  3. 【請求項3】上記軌道レールは、転動溝間の間隔寸法を
    変更して研削形成されて形成され、 移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向に移
    動したとき転動体の予圧が移動ブロックが中央位置にあ
    るときより大きくなるようにし、移動ブロックの移動抵
    抗が中央位置より大きくなるようにした請求項2記載の
    建物の免震装置。
  4. 【請求項4】上記軌道レールは、両外側に配置された2
    つの取付基準面を備えた取付部材と、 この取付部材の取付基準面に取り付けられ、移動ブロッ
    クの転動体が転動するレール部材とから形成され、 該レール部材は、取付部材の取付基準面との間に隙間部
    材を配置して湾曲されて取付部材に取り付けられ、 移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向に移
    動したとき転動体の予圧が移動ブロックが中央位置にあ
    るときより大きくなるようにし、移動ブロックの移動抵
    抗が中央位置より大きくなるようにした請求項2記載の
    建物の免震装置。
  5. 【請求項5】上記軌道レールは、両外側に配置された2
    つの取付基準面を備えた取付部材と、 この取付部材の取付基準面に取り付けられ、移動ブロッ
    クの転動体が転動するレール部材とから形成され、 該取付部材の取付基準面は湾曲形成され、レール部材は
    湾曲されて取付部材に取り付けられ、 移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向に移
    動したとき転動体の予圧が移動ブロックが中央位置にあ
    るときより大きくなるようにし、移動ブロックの移動抵
    抗が中央位置より大きくなるようにした請求項2記載の
    建物の免震装置。
  6. 【請求項6】地盤に固定される軌道レールと移動ブロッ
    クとを備える直線案内装置又は曲線案内装置からなり、
    上記直線案内装置又は曲線案内装置は転動体による循環
    案内機構を備え、上記軌道レールは軸方向に沿って、断
    面形状を連続的に変えることにより移動ブロックが軌道
    レールの中央位置から両端方向に移動したとき移動ブロ
    ックの移動抵抗が上記中央位置より大きくなるようにし
    た下側案内装置と、 この下側案内装置に交叉させて重ねられ、建物に固定さ
    れる軌道レールと上記下側案内装置の移動ブロックに接
    続される移動ブロックとを備える直線案内装置又は曲線
    案内装置からなり上記直線案内装置又は曲線案内装置
    は、転動体による循環案内機構を備え、上記軌道レール
    は、軸方向に沿って、断面形状を連続的に変えることに
    より移動ブロックが軌道レールの中央位置から両端方向
    に移動したとき移動ブロックの移動抵抗が上記中央位置
    より大きくなるようにした上側案内装置とからなる請求
    項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載
    の建物の免震装置。
  7. 【請求項7】上記下側案内装置の移動ブロックと、上側
    案内装置の移動ブロックとの間には、各案内装置間の傾
    斜を許容して接続する傾斜吸収部材を設けた請求項6記
    載の建物の免震装置。
  8. 【請求項8】直線案内装置又は曲線案内装置を幅方向に
    複数列設けた請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6、又は請求項7に記載の建物の
    免震装置。
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