JPH11286833A - 結晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法 - Google Patents

結晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法

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JPH11286833A
JPH11286833A JP9162098A JP9162098A JPH11286833A JP H11286833 A JPH11286833 A JP H11286833A JP 9162098 A JP9162098 A JP 9162098A JP 9162098 A JP9162098 A JP 9162098A JP H11286833 A JPH11286833 A JP H11286833A
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JP
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silicon carbide
fiber
carbide fiber
crystalline silicon
weight
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JP9162098A
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Hiroyuki Yamaoka
裕幸 山岡
Kiyoshi Kumakawa
潔 熊川
Masaki Shibuya
昌樹 渋谷
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い力学的特性、良好な耐アルカリ性、優れ
た耐熱性を有し、かつ品質の一定した結晶性炭化ケイ素
系繊維を大量に製造できる方法を提供する。 【解決手段】 非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維を
1600〜2100℃の範囲の焼結温度まで加熱して結
晶性炭化ケイ素系繊維を製造するに際し、800℃から
該焼結温度までの温度域の少なくとも一部又は全域を減
圧下で加熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い力学的特性、
良好な耐アルカリ性、優れた耐熱性を有し、かつ品質の
一定した結晶性炭化ケイ素系繊維を大量に製造できる方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素系繊維は、その優れた耐熱性
及び力学的特性を生かして、プラスチックス又はセラミ
ックスの強化繊維として利用されている。炭化ケイ素系
繊維としては、比較的低い温度、例えば1300℃以下
の温度での加熱処理によって得られる、非晶質又は微結
晶質の繊維(以下この繊維を「非晶質炭化ケイ素系繊
維」という。)が広く知られており、各種マトリックス
の強化繊維として実用に供されている。
【0003】この非晶質炭化ケイ素系繊維及びその製法
については既に多くの提案がされている。例えば、特公
昭58−38535号公報には、ケイ素及び炭素を主な
骨格成分とする有機ケイ素重合体を紡糸し、紡糸繊維を
酸化性雰囲気中で低温加熱して不融化し、不融化繊維を
高温焼成して炭化ケイ素系繊維を製造する方法が開示さ
れている。また、特公昭62−52051号公報には、
ケイ素−炭素−チタン−酸素からなる炭化ケイ素系繊維
が開示されており、特公昭58−5286号公報には、
ポリカルボシランのケイ素原子の一部をチタン原子と酸
素原子を介して結合させたポリチタノカルボシランを紡
糸し、紡糸繊維を不融化し、不融化繊維を焼成して、上
記のケイ素−炭素−チタン−酸素からなる炭化ケイ素系
繊維を製造する方法が開示されている。
【0004】上記の非晶質炭化ケイ素系繊維を、焼結助
剤の作用のもとにさらに高温、例えば1500℃以上の
温度で加熱処理することにより、炭化ケイ素粒子を焼結
させた結晶性炭化ケイ素系繊維の開発が行われている。
そして、この結晶性炭化ケイ素系繊維についても、いく
つかの提案がされている。例えば、米国特許52683
36号明細書には、ホウ素を0.2重量%以上含有する
密度が2.9g/cm3 以上である、結晶性炭化ケイ素
系繊維が開示されている。さらに、米国特許53669
43号明細書には、ケイ素、炭素、チタン及び/又はジ
ルコニウム、及びホウ素のような焼結助剤からなる結晶
性炭化ケイ素系繊維が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】非晶質炭化ケイ素系繊
維は、優れた耐熱性及び力学的特性を有している一方
で、耐アルカリ性が充分ではないこと、及び1300℃
を超える高温においては繊維中の酸素がCOガス及び/
又はSiOとして脱離し、β−SiC結晶の急激な成長
による力学的特性の低下が生じることが指摘されてい
る。
【0006】炭化ケイ素系繊維の耐アルカリ性を試験す
る方法が、ジャ−ナル・オブ・アメリカン・セラミック
・ソサイアティ、78[7]1992−96(199
5)に記載されている。この試験方法は、炭化ケイ素系
繊維を塩化ナトリウムの室温における飽和水溶液に浸漬
した後乾燥し、ついで、空気中、1000℃で2時間加
熱処理した後に、その力学的特性を測定する方法(以下
この方法を「耐アルカリ試験」と言う。)である。
【0007】この耐アルカリ試験法は炭化ケイ素系繊維
のNaClに対する耐久性を調べるために行われる加速
試験法である。この文献には、炭化ケイ素系繊維を耐ア
ルカリ試験法に供した場合、繊維が酸化による著しい分
解を受け、繊維表面にはトリジマイト(鱗珪石塩)の結
晶相が生成し、またその近傍ではβ−SiCの結晶粒の
成長も認められ、繊維の力学的特性に重大な悪影響を及
ぼすことが記載されている。
【0008】さらに、前述の焼結炭化ケイ素粒子からな
る結晶性炭化ケイ素系繊維は、1300℃を超える温度
においても優れた力学的特性を示す一方で、耐アルカリ
性が良好でないという、非晶質炭化ケイ素系繊維と同様
の解決すべき課題を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機ケイ
素重合体にアルミニウム及びホウ素、あるいはイットリ
ウム及び/又はマグネシウムを特定割合で導入した有機
ケイ素重合体から得られる炭化ケイ素系繊維は、150
0℃以上の高温で繊維中のSiC結晶が効果的に焼結
し、上記のアルミニウム及びホウ素をそれぞれ単独で用
いた場合に比較して、両者を併用することにより、低い
濃度でもきわめて高い強度及び弾性率を有する結晶性炭
化ケイ素系繊維を与えることを見い出した。また、こう
して得られる結晶性炭化ケイ素系繊維は、アルミニウム
の存在によって、優れた耐アルカリ性を示すことも明ら
かとなった。さらに、炭化ケイ素系繊維を800℃から
焼結温度までの温度域の少なくとも一部又は全域を減圧
下で加熱処理することにより、機械的特性がさらに向上
し、しかも品質の一定した結晶性炭化ケイ素系繊維を大
量に製造できることを見い出した。
【0010】本発明によれば、非晶質又は微結晶質炭化
ケイ素系繊維を1600〜2100℃の範囲の焼結温度
まで加熱して結晶性炭化ケイ素系繊維を製造するに際
し、800℃から該焼結温度までの温度域の少なくとも
一部又は全域を減圧下で加熱処理することからなる、結
晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法が提供される。
【0011】本発明においては、非晶質又は微結晶質炭
化ケイ素系繊維を1600〜2100℃、好ましくは、
1800〜2000℃の範囲の焼結温度まで加熱するに
際し、800℃から該焼結温度まで、好ましくは、10
00℃から1600℃までの温度域の少なくとも一部又
は全域を減圧下、好ましくは、300Torr以下、よ
り好ましくは、100Torr以下、さらに好ましく
は、10Torr以下で加熱処理する。減圧下では、繊
維の熱分解が低温で起こるため、粒成長を生じることな
く分解させることができる。また、熱分解によって生じ
たCOガス等は焼結を阻害するが、減圧下ではこれらの
ガスの分圧を下げることができる。
【0012】本発明における非晶質又は微結晶質炭化ケ
イ素系繊維としては、Alを0.05〜3重量%、好ま
しくは0.1〜1重量%、及びBを0.05〜0.4重
量%、好ましくは0.05〜0.15重量%含有し、さ
らに余剰の炭素を1重量%以上、好ましくは1.5〜
2.5重量%含有する炭化ケイ素系繊維が用いられる。
【0013】また、Alを0.05〜3重量%、好まし
くは0.1〜1重量%、Yを0.05〜3重量%、好ま
しくは0.1〜1重量%及び/又はMgを0.05〜3
重量%、好ましくは0.1〜1重量%、及び余剰の炭素
を1重量%以上含有する非晶質又は微結晶質炭化ケイ素
系繊維を用いることもできる。この場合、Bを0.1重
量%までの割合で含有してもよい。
【0014】非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維中の
アルミニウムの割合が3重量%を超えると、焼結後の繊
維の繊維において、多くのアルミニウムが焼結SiC結
晶の粒界に遍在するために、粒界破壊が優勢に起こるよ
うになって、高い強度が得られないと共に、高温におけ
る力学的特性の低下が顕著になる。この繊維中のアルミ
ニウムの割合が0.05重量%未満であると、充分に焼
結した結晶性繊維が得られなくなる。非晶質又は微結晶
質炭化ケイ素系繊維中のホウ素の割合が0.4重量%を
超えると、得られる結晶性炭化ケイ素系繊維の耐アルカ
リ性が極端に低下し、逆にその割合が0.05重量%よ
り少ないと、充分に焼結した結晶性繊維が得られなくな
る。一方、イットリウム及び/又はマグネシウムが共存
する場合には、ホウ素の含有量を低減させても十分な焼
結性並びに優れた耐アルカリ性を発現させることができ
る。
【0015】また、非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊
維は、酸素を8〜16重量%含むことが好ましい。この
酸素は、これらの繊維を後の工程において加熱する際
に、前述の余剰炭素をCOガスとして脱離させるのに重
要な役割を演じる。
【0016】上記の非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊
維は、例えば、以下のような方法で調製することができ
る。まず、例えば、「有機ケイ素化合物の化学」化学同
人(1972年)に記載の方法に従って、1種類以上の
ジクロロシランをナトリウムによって脱塩素反応させて
鎖状又は環状のポリシランを調製する。ポリシランの数
平均分子量は通常300〜1000である。本明細書に
おいて、ポリシランは、上記の鎖状又は環状のポリシラ
ンを400〜700℃の範囲の温度に加熱することによ
り、あるいは上記の鎖状又は環状のポリシランにフェニ
ル基含有ポリボロシロキサンを添加して250〜500
℃の範囲の温度に加熱することよにって得られる、一部
にカルボシラン結合を有するポリシランも包含する。ポ
リシランは、ケイ素の側鎖として、水素原子、低級アル
キル基、アリ−ル基、フェニル基あるいはシリル基を有
することができる。
【0017】フェニル基含有ポリボロシロキサンは、特
開昭53−42330号公報及び同53−50299号
公報に記載の方法に従い、ホウ酸と1種類以上のジオル
ガノクロロシランとの脱塩酸縮合反応によって調製する
ことができ、その数平均分子量は通常500〜1000
0である。
【0018】ついで、ポリシランに対して、アルミニウ
ムのアルコキシド、アセチルアセトキシド化合物、カル
ボニル化合物、又はシクロペンタジエニル化合物の所定
量を添加し、不活性ガス中、通常250〜350℃の範
囲の温度で1〜10時間反応することにより、紡糸原料
であるアルミニウム含有有機ケイ素重合体を調製するこ
とができる。アルミニウムの化合物の使用量は、ポリシ
ラン1g当たり、通常0.14〜0.86ミリモルであ
る。また、イットリウム及び/又はマグネシウムを含有
させる場合には、アルミニウム化合物とともに、イット
リウム及び/又はマグネシウム化合物を添加する。
【0019】アルミニウム含有有機ケイ素重合体を、溶
融紡糸、乾式紡糸のようなそれ自体公知の方法によって
紡糸して、紡糸繊維を調製する。つぎに、この紡糸繊維
を不融化処理して不融化繊維を調製する。不融化方法と
しては、一般に行われている空気中での加熱、あるいは
空気中での加熱と不活性ガス中での加熱を組合せた方法
が好ましく採用されうる。
【0020】不融化繊維を、窒素、アルゴンのような不
活性ガス中、800℃から1500℃の範囲の温度で加
熱処理して、本発明の結晶性炭化ケイ素系繊維の前駆繊
維である、非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維が調製
される。
【0021】次いで、前述したように、非晶質又は微結
晶質炭化ケイ素系繊維を1600〜2100℃の範囲の
焼結温度まで加熱するに際し、800℃から該焼結温度
までの温度域の少なくとも一部又は全域を減圧下で加熱
処理することによって、本発明の結晶質炭化ケイ素系繊
維が調製される。
【0022】本発明により得られる結晶性炭化ケイ素系
繊維は、SiCの焼結構造からなり、密度が2.7g/
cm3 以上であり、強度及び弾性率が、それぞれ、2.
5GPa以上及び300GPa以上であるという優れた
力学的特性を有している。さらに、この結晶性炭化ケイ
素系繊維は、耐アルカリ試験後の強度保持率が50%以
上である。
【0023】本発明により得られる結晶性炭化ケイ素系
繊維は、ケイ素及び炭素を主成分とし、焼結助剤成分と
してのアルミニウム及びホウ素、あるいはイットリウム
及び/又はマグネシウムから構成される。これら成分の
好ましい割合は、Si:55〜70%、C:28〜45
%、Al:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.2
5%、B:0.06〜0.5%、特に0.06〜0.1
9%である。また、イットリウム及び/又はマグネシウ
ムが共存する場合には、Si:55〜70%、C:28
〜45%、Al:0.06〜3.8%、特に0.13〜
1.25%、Y:0.06〜3.8%、特に0.13〜
1.25%及び/又はMg:0.06〜3.8%、特に
0.13〜1.25%である。この場合、Bを0.2%
までの割合で含有してもよい。
【0024】アルミニウムの割合が過度に少ないと、結
晶性炭化ケイ素系繊維の耐アルカリ性が低下し、その割
合が過度に高くなると高温における力学的特性が低下す
るようになる。ホウ素の割合が過度に少ないと、充分に
焼結した結晶性繊維とならず、繊維の密度が低下するよ
うになり、逆に、その割合が過度に高いと、繊維の耐ア
ルカリ性が低下するようになる。一方、イットリウム及
び/又はマグネシウムが共存する場合には、ホウ素の含
有量を低減させても十分な焼結性並びに優れた耐アルカ
リ性を発現させることができる。
【0025】この結晶性炭化ケイ素系繊維は、少量の酸
素及び余剰の炭素を含むことがあるが、いずれも2重量
%以下であることが好ましい。本明細書において余剰の
炭素とは、繊維中に含有されるSiに対してSiCとし
て存在し得る化学量論的組成量を超えて存在する炭素を
意味する。この結晶性炭化ケイ素系繊維の繊維径につい
ては特別の制限はないが、通常は、50μm以下であ
る。
【0026】この結晶性炭化ケイ素系繊維の形態につい
ては特別の制限はなく、連続繊維又は連続繊維を切断し
たチョップ状短繊維であってもよく、連続繊維から編織
された平織、朱子織、多軸織、三次元織等の織物または
不織布であってもよい。
【0027】また、この結晶性炭化ケイ素系繊維を不織
布又は織物の形態で用いる場合、結晶性炭化ケイ素系繊
維は、弾性率が非常に高く、これを出発原料として不織
布又は織物を作製するのは困難であるので、製織性良好
な非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維を、予め不織布
又は織物形状物に成形しておき、それぞれの繊維組成に
応じた加熱処理を行って結晶化させることで、不織布又
は複雑な形状を有する織物状の結晶性炭化ケイ素系繊維
を得ることができる。尚、加熱処理により、この織物は
一般に、10〜20%の体積収縮を起こすので、予め、
原料繊維の収縮率を考慮して織物の寸法を決定すること
が望ましい。
【0028】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示す。以下におい
て、特別の言及がない限り、「部」及び「%」は、それ
ぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0029】参考例1 ナトリウム400部を含有する無水キシレンに、窒素ガ
ス気流下にキシレンを加熱還流させながら、ジメチルジ
クロロシラン1034重量部を滴下し、引き続き10時
間加熱還流し沈澱物を生成させた。この沈澱をろ過し、
メタノ−ル、ついで水で洗浄して、白色のポリジメチル
シラン420部を得た。
【0030】参考例2 ジフェニルジクロロシラン750部及びホウ酸124部
を窒素ガス雰囲気下にn−ブチルエ−テル中、100〜
120℃で加熱し、生成した白色樹脂状物をさらに真空
中400℃で1時間加熱することによって、フェニル基
含有ポリボロシロキサン530部を得た。
【0031】実施例1 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン4部
を添加し、窒素ガス雰囲気中、350℃で5時間熱縮合
して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有機ケ
イ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアルミニ
ウム−トリ(sec−ブトキシド)7部を加え、窒素ガ
ス気流下に310℃で架橋反応させることによって、ポ
リアルミノカルボシランを得た。
【0032】このポリアルミノカルボシランを245℃
で溶融紡糸した後、空気中140℃で5時間加熱処理し
た後、さらに窒素中300℃で10時間加熱して、不融
化繊維を得た。不融化繊維を窒素中1500℃で連続焼
成し、非晶質炭化ケイ素系繊維を得た。この非晶質炭化
ケイ素系繊維の化学組成は、Si:56%、C:30
%、O:13%、Al:0.6%、B:0.05%であ
った。
【0033】この非晶質炭化ケイ素系繊維を焼成炉に仕
込み、炉内を真空ポンプで10-2Torrまで減圧にし
た。次いで、1500℃まで昇温し、1時間保持した。
次に炉内にアルゴンガスを導入して圧力を常圧にし、1
900℃まで昇温し、1時間保持して、結晶性炭化ケイ
素系繊維を得た。得られた結晶性炭化ケイ素系繊維の化
学組成は、Si:67.8%、C:31.%、O:0.
3%、Al:0.8%、B:0.06%であった。この
繊維の密度は3.02g/cm3 であり、緻密なSiC
の焼結構造からなっていた。
【0034】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性はつぎのとおりであった。 試験前 試験後 引張強度(GPa) 3.0 2.5(強度保持率:83.3%) 弾性率 (GPa) 420 420 耐アルカリ試験後の繊維表面はきわめてきれいな状態を
保っていることが観察された。
【0035】比較例1 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン20
部を添加し、窒素ガス雰囲気中、350℃で10時間熱
縮合した後、空気中160℃で9時間加熱処理して不融
化繊維を得た。この不融化繊維を窒素中1500℃で連
続焼成し、非晶質炭化ケイ素系繊維を得た。この繊維を
1900℃のアルゴン中で連続加熱処理して、結晶性炭
化ケイ素系繊維を得た。
【0036】得られた繊維の化学組成は、Si:62
%、C:37%、O:0.5%、B:0.3%であり、
原子比では、Si:C:O=1:1.4:0.014で
あった。この繊維の引張強度及び弾性率は、それぞれ、
1.3GPa及び205GPaであり、アルミニウムが
共存する実施例1の繊維に比較して、いずれも低い値を
しめした。この結晶性炭化ケイ素系繊維を耐アルカリ試
験に供したところ、繊維同士の癒着が起こり、強度測定
が出来なかった。
【0037】比較例2 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部を、窒
素ガス中、470℃で4時間熱縮合して、高分子量のポ
リカルボシランを得た。このポリカルボシラン100部
を溶解したキシレン溶液にアルミニウム−トリ(sec
−ブトキシド)10部を加え、窒素ガス気流下に320
℃で架橋反応させることによって、ポリアルミノカルボ
シランを得た。このアルミノカルボシランを255℃で
溶融紡糸した後、空気中150℃で6時間加熱処理した
後、さらに窒素中300℃で10時間加熱して不融化繊
維を得た。
【0038】この不融化繊維を窒素中1400℃で連続
焼成し、非晶質炭化ケイ素系繊維を得た。この繊維を1
800℃のアルゴン中で連続加熱処理して結晶性炭化ケ
イ素系繊維を調製した。得られた繊維の化学組成は、S
i:66%、C:32%、O:0.3%、Al:1.1
%であり、原子比では、Si:C:O:Al=1:1.
13:0.013:0.017であった。この繊維の引
張強度及び弾性率は、それぞれ、1.8GPa及び29
4GPaであり、ホウ素が共存する実施例1の繊維に比
較して、低い値を示したものの、SiCの結晶構造から
なっていた。この結晶性炭化ケイ素系繊維を耐アルカリ
試験に供した後の引張強度及び弾性率は、それぞれ、
1.3GPa及び245GPaであり、引張強度の保持
率は72%であった。
【0039】実施例2 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン0.
5部を添加し、窒素ガス雰囲気中、410℃で5時間熱
縮合して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有
機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアル
ミニウム−トリ−(sec−ブトキシド)4部、及びマ
グネシウムアセチルアセトネート3部を加え、窒素ガス
気流下に310℃で架橋反応させることによって、アル
ミニウム並びにマグネシウムが導入された変成ポリカル
ボシランを得た。
【0040】この変成ポリカルボシランを255℃で溶
融紡糸した後、空気中150℃で3時間加熱処理し、さ
らに窒素中300℃で9時間加熱して、不融化繊維を得
た。不融化繊維をアルゴン中1450℃で連続焼成し、
非晶質炭化ケイ素系繊維を合成した。この非晶質炭化ケ
イ素系繊維の化学組成は、Si:53wt%、C:33.
4wt%、O:13wt%、Al:0.34wt%、B:0.
01wt%、Mg:0.30wt%であった。
【0041】この非晶質炭化ケイ素系繊維を焼成炉に仕
込み、炉内を真空ポンプで10-2Torrまで減圧にし
た。次いで、1500℃まで昇温し、1時間保持した。
次に炉内にアルゴンガスを導入して圧力を常圧にし、1
900℃まで昇温し、1時間保持して、結晶性炭化ケイ
素系繊維を得た。得られた結晶性炭化ケイ素系繊維の化
学組成は、Si:67.4%、C:31.4%、O:
0.2%、Al:0.60%、B:0.01%、Mg:
0.38%であった。この繊維の密度は3.02g/c
3 であり、緻密なSiCの焼結構造からなっていた。
【0042】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性はつぎのとおりであった。 試験前 試験後 引張強度(GPa) 2.70 2.11(強度保持率:78.1%) 弾性率 (GPa) 390 390 耐アルカリ試験後の繊維表面はきわめてきれいな状態を
保っていることが観察された。
【0043】実施例3 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン0.
2部を添加し、窒素ガス雰囲気中、420℃で5時間熱
縮合して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有
機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアル
ミニウム−トリ−(sec−ブトキシド)4部、及びイ
ットリウムアセチルアセトネート4部を加え、窒素ガス
気流下に300℃で架橋反応させることによって、アル
ミニウム並びにイットリウムが導入された変成ポリカル
ボシランを得た。
【0044】この変成ポリカルボシランを265℃で溶
融紡糸した後、空気中155℃で3時間加熱処理し、さ
らに窒素中300℃で10時間加熱して、不融化繊維を
得た。不融化繊維をアルゴン中1450℃で連続焼成
し、非晶質炭化ケイ素系繊維を合成した。この非晶質炭
化ケイ素系繊維の化学組成は、Si:52.5wt%、
C:34.5wt%、O:12wt%、Al:0.35wt
%、B:0.005wt%、Y:0.56wt%であった。
【0045】この非晶質炭化ケイ素系繊維を焼成炉に仕
込み、炉内を真空ポンプで10-2Torrまで減圧にし
た。次いで、1500℃まで昇温し、1時間保持した。
次に炉内にアルゴンガスを導入して圧力を常圧にし、1
900℃まで昇温し、1時間保持して、結晶性炭化ケイ
素系繊維を得た。得られた結晶性炭化ケイ素系繊維の化
学組成は、Si:68.1%、C:30.6%、O:
0.1%、Al:0.60%、B:0.01%、Y:
0.60%であった。この繊維の密度は3.00g/c
3 であり、緻密なSiCの焼結構造からなっていた。
【0046】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性はつぎのとおりであった。 試験前 試験後 引張強度(GPa) 2.8 2.24(強度保持率:80.0%) 弾性率 (GPa) 392 392 耐アルカリ試験後の繊維表面はきわめてきれいな状態を
保っていることが観察された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維を1
    600〜2100℃の範囲の焼結温度まで加熱して結晶
    性炭化ケイ素系繊維を製造するに際し、800℃から該
    焼結温度までの温度域の少なくとも一部又は全域を減圧
    下で加熱処理することを特徴とする結晶性炭化ケイ素系
    繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維が、
    Alを0.05〜3重量%、Bを0.05〜0.4重量
    %、及び余剰の炭素を1重量%以上含有する炭化ケイ素
    系繊維である請求項1記載の結晶性炭化ケイ素系繊維の
    製造方法。
  3. 【請求項3】非晶質又は微結晶質炭化ケイ素系繊維が、
    Alを0.05〜3重量%、Yを0.05〜3重量%及
    び/又はMgを0.05〜3重量%、及び余剰の炭素を
    1重量%以上含有する炭化ケイ素系繊維である請求項1
    記載の結晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】800℃から焼結温度までの温度域の少な
    くとも一部又は全域を300Torr以下の減圧下で加
    熱処理する請求項1〜3記載の結晶性炭化ケイ素系繊維
    の製造方法。
  5. 【請求項5】1000℃から1600℃までの温度域の
    少なくとも一部又は全域を減圧下で加熱処理する請求項
    1〜4記載の結晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011231438A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Gunze Ltd 丸編みされた結晶性炭化ケイ素系繊維構造物で強化された炭化ケイ素系複合材料

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