JPH11286449A - α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物 - Google Patents
α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物Info
- Publication number
- JPH11286449A JPH11286449A JP10104064A JP10406498A JPH11286449A JP H11286449 A JPH11286449 A JP H11286449A JP 10104064 A JP10104064 A JP 10104064A JP 10406498 A JP10406498 A JP 10406498A JP H11286449 A JPH11286449 A JP H11286449A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- glucosidase
- inhibitor
- food
- action
- starch
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Seasonings (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】小腸粘膜刷子縁に存在するα−グルコシダーゼ
に対して適度な阻害作用を有し、食品素材、甘味料、飼
料等の飲食物に用いることができて、肥満、糖尿病の予
防なα−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含む糖
組成物ならびに飲食物を提供する。 【解決手段】α−メチル−D−キシロシドを有効成分と
し、その糖組成物はシュークロース、澱粉および澱粉よ
り生じるオリゴ糖から選ばれた一種あるいは二種以上の
消化性糖類に対し、α−メチル−D−キシロシドを0.
01〜10重量%含有せしめた。
に対して適度な阻害作用を有し、食品素材、甘味料、飼
料等の飲食物に用いることができて、肥満、糖尿病の予
防なα−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含む糖
組成物ならびに飲食物を提供する。 【解決手段】α−メチル−D−キシロシドを有効成分と
し、その糖組成物はシュークロース、澱粉および澱粉よ
り生じるオリゴ糖から選ばれた一種あるいは二種以上の
消化性糖類に対し、α−メチル−D−キシロシドを0.
01〜10重量%含有せしめた。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はα−グルコシダーゼ
の活性を阻害し、シュークロースや澱粉および澱粉より
生じるオリゴ糖類の消化を不活発にし、その結果、血糖
値の急激上昇抑止作用・肥満防止作用を有するα−グル
コシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する糖組成物な
らびに同糖組成物を含む食品、食品素材、甘味料、飼料
等の飲食物に関する。
の活性を阻害し、シュークロースや澱粉および澱粉より
生じるオリゴ糖類の消化を不活発にし、その結果、血糖
値の急激上昇抑止作用・肥満防止作用を有するα−グル
コシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する糖組成物な
らびに同糖組成物を含む食品、食品素材、甘味料、飼料
等の飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】シュークロースと澱粉は人体に摂取され
る炭水化物のうちで最も割合が多く、80%以上になる
といわれている。摂取されたシュークロースは途中の消
化器官で分解されずに小腸に達し、一方、澱粉は唾液や
膵液中のα−アミラーゼによりマルトースおよびイソマ
ルトースに加水分解されて小腸に達する。シュークロー
スやマルトース、イソマルトース等の2糖類もしくはそ
の他の多糖類は、小腸粘膜刷子縁に存在するα−グルコ
シダーゼの作用により単糖類に加水分解され、小腸壁で
吸収される。
る炭水化物のうちで最も割合が多く、80%以上になる
といわれている。摂取されたシュークロースは途中の消
化器官で分解されずに小腸に達し、一方、澱粉は唾液や
膵液中のα−アミラーゼによりマルトースおよびイソマ
ルトースに加水分解されて小腸に達する。シュークロー
スやマルトース、イソマルトース等の2糖類もしくはそ
の他の多糖類は、小腸粘膜刷子縁に存在するα−グルコ
シダーゼの作用により単糖類に加水分解され、小腸壁で
吸収される。
【0003】前記α−グルコシダーゼは、多糖類を構成
する糖類の非還元末端のα−グルコシド結合を加水分解
する酵素の総称であり、マルトースおよびマルトオリゴ
糖類を単糖類に加水分解するマルターゼや、シュークロ
ースおよびイソマルトースを単糖類に加水分解するスク
ラーゼ−イソマルターゼ複合体などを含む。
する糖類の非還元末端のα−グルコシド結合を加水分解
する酵素の総称であり、マルトースおよびマルトオリゴ
糖類を単糖類に加水分解するマルターゼや、シュークロ
ースおよびイソマルトースを単糖類に加水分解するスク
ラーゼ−イソマルターゼ複合体などを含む。
【0004】α−グルコシダーゼ阻害剤は、小腸粘膜刷
子縁に存在するマルターゼやスクラーゼなどの作用を阻
害し、食後の血糖値の急激な上昇およびそれに続くイン
スリン値の急激な上昇を抑制することが知られている
(例えば、特開昭52-122342 号公報、特開昭57-200335
号公報、特開昭57-59813号公報参照)。
子縁に存在するマルターゼやスクラーゼなどの作用を阻
害し、食後の血糖値の急激な上昇およびそれに続くイン
スリン値の急激な上昇を抑制することが知られている
(例えば、特開昭52-122342 号公報、特開昭57-200335
号公報、特開昭57-59813号公報参照)。
【0005】このようなα−グルコシダーゼ阻害剤のう
ち、インスリン比依存型糖尿病(略語:NIDDM )用の経
口糖尿病治療薬としてアカルボースやボグリボースが従
来から用いられている。しかし、医薬品として用いられ
るアカルボースやボグリボースは阻害作用が強いため、
その投与量は極めて少量でかつ厳密性が要求され、具体
的な投与量は例えば経口投与の場合には一回当たり50
〜150mg、また食品や食品素材、飼料などに添加し
て使用する場合には全炭水化物含量の約0.005%で
ある。
ち、インスリン比依存型糖尿病(略語:NIDDM )用の経
口糖尿病治療薬としてアカルボースやボグリボースが従
来から用いられている。しかし、医薬品として用いられ
るアカルボースやボグリボースは阻害作用が強いため、
その投与量は極めて少量でかつ厳密性が要求され、具体
的な投与量は例えば経口投与の場合には一回当たり50
〜150mg、また食品や食品素材、飼料などに添加し
て使用する場合には全炭水化物含量の約0.005%で
ある。
【0006】投与量が多いと、阻害剤の作用によって小
腸で分解吸収されなかった糖類が大腸で発酵し、腹部膨
満、放屁の増加、軟便、下痢などの副作用を起こすこと
があり、肝機能障害を惹き起したり、劇症肝炎で死亡者
も出ているという報告もあり、安全性に関してはかなり
問題がある。
腸で分解吸収されなかった糖類が大腸で発酵し、腹部膨
満、放屁の増加、軟便、下痢などの副作用を起こすこと
があり、肝機能障害を惹き起したり、劇症肝炎で死亡者
も出ているという報告もあり、安全性に関してはかなり
問題がある。
【0007】上述のようにアカルボースやボグリボース
は極めて小なる投与量でα−グルコシダーゼの活性を阻
害するので、投与量を厳密に管理することのできる医薬
品としての価値は高いが、使用量にさほど厳密さが要求
されない食品や食品素材、甘味料への添加は前記副作用
のおそれがあることから適当でない。
は極めて小なる投与量でα−グルコシダーゼの活性を阻
害するので、投与量を厳密に管理することのできる医薬
品としての価値は高いが、使用量にさほど厳密さが要求
されない食品や食品素材、甘味料への添加は前記副作用
のおそれがあることから適当でない。
【0008】医薬品として投与されるα−グルコシダー
ゼ阻害剤に対し、阻害作用は緩慢ではあるが、副作用が
殆どない物質として例えばL−アラビノースやD−キシ
ロース等の糖類や、キシリトール、アラビトール、エリ
スリトール等の糖アルコール類、ヌクレオチド、ヌクレ
オシドおよび核酸の塩基が従来から知られており、これ
らの物質については特開平6-65080 号公報、特開平8-23
973 号公報、特開平8-289783号公報に開示されている。
ゼ阻害剤に対し、阻害作用は緩慢ではあるが、副作用が
殆どない物質として例えばL−アラビノースやD−キシ
ロース等の糖類や、キシリトール、アラビトール、エリ
スリトール等の糖アルコール類、ヌクレオチド、ヌクレ
オシドおよび核酸の塩基が従来から知られており、これ
らの物質については特開平6-65080 号公報、特開平8-23
973 号公報、特開平8-289783号公報に開示されている。
【0009】上述の糖類、糖アルコール類、塩基はα−
グルコシダーゼの阻害作用が弱いので、所要の阻害作用
を得るにはかなりの量を使用しなければならず、例えば
食品への添加物として使用する場合には食品のコストが
高くなるという問題があり、また、味質も損なわれる。
グルコシダーゼの阻害作用が弱いので、所要の阻害作用
を得るにはかなりの量を使用しなければならず、例えば
食品への添加物として使用する場合には食品のコストが
高くなるという問題があり、また、味質も損なわれる。
【0010】比較的阻害作用の高いD−キシロースやL
−アラビノースなどの還元糖に関しては、グルコースや
シュークロースと比較して、メーラード反応による褐変
反応の反応性が高く、甘味料として加工食品に利用する
場合には食品の色合いを損なうことがある。
−アラビノースなどの還元糖に関しては、グルコースや
シュークロースと比較して、メーラード反応による褐変
反応の反応性が高く、甘味料として加工食品に利用する
場合には食品の色合いを損なうことがある。
【0011】また、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸
の塩基も阻害作用が弱くて多量の添加を必要とするた
め、コストの面、味質の面で問題があり、使用に際して
大きな制約を受けることになる。
の塩基も阻害作用が弱くて多量の添加を必要とするた
め、コストの面、味質の面で問題があり、使用に際して
大きな制約を受けることになる。
【0012】血糖値の上昇を抑制する物質としては、上
述のα−グルコシダーゼ阻害剤の他に、糖質の吸収その
ものの抑制作用を有するギムネマシルベスタやギムネマ
イノドラムの抽出物があり、これら抽出物を原料とする
飲食物が特開昭61-5023 号公報、特開昭63-208532 号公
報、特開平3-172156号公報に開示されている。
述のα−グルコシダーゼ阻害剤の他に、糖質の吸収その
ものの抑制作用を有するギムネマシルベスタやギムネマ
イノドラムの抽出物があり、これら抽出物を原料とする
飲食物が特開昭61-5023 号公報、特開昭63-208532 号公
報、特開平3-172156号公報に開示されている。
【0013】ギムネマシルベスタやギムネマイノドラム
の抽出物は、摂取量を誤ると副作用として血糖値が下が
りすぎたり、あるいは吸収されない糖類が大腸に達し、
下痢などの症状を惹き起こすおそれがあった。
の抽出物は、摂取量を誤ると副作用として血糖値が下が
りすぎたり、あるいは吸収されない糖類が大腸に達し、
下痢などの症状を惹き起こすおそれがあった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のα−グルコシダ
ーゼ阻害剤は、食品、食品素材、甘味料として使用する
場合、極く少量で強い阻害作用があるために副作用が生
じるおそれがあったり、逆に多量に使用しなければ効果
が得られずコスト高になったり、味質が損なわれるとい
った問題を有し、適当な範囲の添加量において充分な阻
害作用の得られるα−グルコシダーゼ阻害剤はなかっ
た。また、α−グルコシダーゼ阻害剤は小腸に達するま
でに各消化器官において分解されない安定性も要求され
る。
ーゼ阻害剤は、食品、食品素材、甘味料として使用する
場合、極く少量で強い阻害作用があるために副作用が生
じるおそれがあったり、逆に多量に使用しなければ効果
が得られずコスト高になったり、味質が損なわれるとい
った問題を有し、適当な範囲の添加量において充分な阻
害作用の得られるα−グルコシダーゼ阻害剤はなかっ
た。また、α−グルコシダーゼ阻害剤は小腸に達するま
でに各消化器官において分解されない安定性も要求され
る。
【0015】ところで、シュークロースは世界中で最も
多く利用され、古来から日常的に慣れ親しんできた味質
を有する甘味料であり、甘味以外の味と調和してさらに
好ましい味を作り出すこともできるという特長を有して
いる。
多く利用され、古来から日常的に慣れ親しんできた味質
を有する甘味料であり、甘味以外の味と調和してさらに
好ましい味を作り出すこともできるという特長を有して
いる。
【0016】しかし、シュークロースは急激な血糖値の
上昇を惹き起こし、インスリンの分泌が刺激されること
から、肥満の原因物質として敬遠されたり、糖尿病患者
はシュークロースの摂取が極端に制限される。
上昇を惹き起こし、インスリンの分泌が刺激されること
から、肥満の原因物質として敬遠されたり、糖尿病患者
はシュークロースの摂取が極端に制限される。
【0017】シュークロースやマルトースなどの消化性
糖類にα−グルコシダーゼ阻害剤を添加して甘味料とす
れば、血糖値の急激な上昇を抑制することや肥満を防止
することができるが、甘味料として使用する場合には、
元の糖類の味質を損なうことなく、かつ加熱による褐変
がほとんどなくて食品の色合いを生かすことができなけ
ればならない。
糖類にα−グルコシダーゼ阻害剤を添加して甘味料とす
れば、血糖値の急激な上昇を抑制することや肥満を防止
することができるが、甘味料として使用する場合には、
元の糖類の味質を損なうことなく、かつ加熱による褐変
がほとんどなくて食品の色合いを生かすことができなけ
ればならない。
【0018】
【本発明の目的】本発明は小腸粘膜刷子縁に存在するα
−グルコシダーゼに対して適度な阻害作用を有し、食品
素材、甘味料、飼料等の飲食物に用いることができて、
肥満、糖尿病の予防が可能であり、また糖尿病等の患者
に適した糖類化合物を主体とするα−グルコシダーゼ阻
害剤および同阻害剤を含む糖組成物ならびに飲食物を提
供することを目的としている。
−グルコシダーゼに対して適度な阻害作用を有し、食品
素材、甘味料、飼料等の飲食物に用いることができて、
肥満、糖尿病の予防が可能であり、また糖尿病等の患者
に適した糖類化合物を主体とするα−グルコシダーゼ阻
害剤および同阻害剤を含む糖組成物ならびに飲食物を提
供することを目的としている。
【0019】なお、本発明において「適度な阻害作用」
とは、炭水化物量(全糖質量)に対し0.01〜10重
量%のα−グルコシダーゼ阻害剤が炭水化物とともに摂
取される場合に、小腸におけるα−グルコシダーゼ阻害
作用(率)が10〜90%であることを指す。
とは、炭水化物量(全糖質量)に対し0.01〜10重
量%のα−グルコシダーゼ阻害剤が炭水化物とともに摂
取される場合に、小腸におけるα−グルコシダーゼ阻害
作用(率)が10〜90%であることを指す。
【0020】
【本発明の手段】本発明者らは、食品の素材として用い
ることのできる広範な各種糖類や糖誘導体についてα−
グルコシダーゼ阻害作用があるかどうかを検討した結
果、α−メチル−D−キシロシド(以下α−MXと略称
する)がアカルボースなどの従来のα−グルコシダーゼ
阻害剤よりは阻害作用は弱いが、従来から阻害作用を有
することが知られている糖類に比してα−グルコシダー
ゼを強く阻害することを発見した。
ることのできる広範な各種糖類や糖誘導体についてα−
グルコシダーゼ阻害作用があるかどうかを検討した結
果、α−メチル−D−キシロシド(以下α−MXと略称
する)がアカルボースなどの従来のα−グルコシダーゼ
阻害剤よりは阻害作用は弱いが、従来から阻害作用を有
することが知られている糖類に比してα−グルコシダー
ゼを強く阻害することを発見した。
【0021】しかして本発明に係るα−グルコシダーゼ
阻害剤は、α−MXを有効成分とするものとしてあり、
その糖組成物はシュークロース、澱粉および澱粉より生
じるオリゴ糖から選ばれた一種あるいは二種以上の消化
性糖類に対し、α−MXを0.01〜10重量%含有す
るものとしてある。
阻害剤は、α−MXを有効成分とするものとしてあり、
その糖組成物はシュークロース、澱粉および澱粉より生
じるオリゴ糖から選ばれた一種あるいは二種以上の消化
性糖類に対し、α−MXを0.01〜10重量%含有す
るものとしてある。
【0022】前記糖組成物中において、α−MXが0.
01重量%未満であると、α−グルコシダーゼに対する
阻害作用が充分でなく、20重量%以上であると味質に
影響がある。
01重量%未満であると、α−グルコシダーゼに対する
阻害作用が充分でなく、20重量%以上であると味質に
影響がある。
【0023】なお、α−MXと同じキシロース誘導体と
してβ−メチル−D−キシロシド(以下β−MXと略称
する)があり、同β−MXはα−グルコシダーゼの活性
を阻害することが特開平8-23973 号公報に開示されてい
るが、図1に示すようにβ−MXとα−MXは立体化学
構造上、別の物質であることは明らかであり、また、β
−MXのα−グルコシダーゼ阻害作用は、α−MXより
弱いものであることが判明した。
してβ−メチル−D−キシロシド(以下β−MXと略称
する)があり、同β−MXはα−グルコシダーゼの活性
を阻害することが特開平8-23973 号公報に開示されてい
るが、図1に示すようにβ−MXとα−MXは立体化学
構造上、別の物質であることは明らかであり、また、β
−MXのα−グルコシダーゼ阻害作用は、α−MXより
弱いものであることが判明した。
【0024】
【実施例1】1−1:糖類、メチル化糖誘導体によるス
クラーゼ、マルターゼ阻害作用 市販ラット小腸アセトン粉末 (Sigma)に生理食塩水
(0.9%(W/V)塩化ナトリウム溶液)を加え懸濁
液(100mg/ml)とし、超音波処理(60秒、3
回)後、遠心分離(10,000rpm、10分)し、
上清を粗酵素液とした。基質液としてシュークロース、
マルトースそれぞれ2%(W/V)の溶液を使用した。
クラーゼ、マルターゼ阻害作用 市販ラット小腸アセトン粉末 (Sigma)に生理食塩水
(0.9%(W/V)塩化ナトリウム溶液)を加え懸濁
液(100mg/ml)とし、超音波処理(60秒、3
回)後、遠心分離(10,000rpm、10分)し、
上清を粗酵素液とした。基質液としてシュークロース、
マルトースそれぞれ2%(W/V)の溶液を使用した。
【0025】被検液の糖類として和光純薬工業(株)製
のL−アラビノースおよびD−キシロースの各1%(W
/V)溶液を使用し、また、メチル化糖誘導体として米
国ファンスティール ラボラトリーズ社(Pfanstiehl L
aboratories, Inc. )製のα−MX、α−メチル−D−
ガラクトシド、α−メチル−D−グルコシド、β−メチ
ル−D−グルコシド、α−メチル−D−マンノシド、β
−MXの各1%(W/V)溶液を使用した。反応液の組
成は、スクラーゼの場合、0.1Mマレイン酸緩衝液
(pH6.0)130μl、シュークロース溶液200
μl、各被検液20μlおよび粗酵素液50μlを混合
し、計400μlとした。
のL−アラビノースおよびD−キシロースの各1%(W
/V)溶液を使用し、また、メチル化糖誘導体として米
国ファンスティール ラボラトリーズ社(Pfanstiehl L
aboratories, Inc. )製のα−MX、α−メチル−D−
ガラクトシド、α−メチル−D−グルコシド、β−メチ
ル−D−グルコシド、α−メチル−D−マンノシド、β
−MXの各1%(W/V)溶液を使用した。反応液の組
成は、スクラーゼの場合、0.1Mマレイン酸緩衝液
(pH6.0)130μl、シュークロース溶液200
μl、各被検液20μlおよび粗酵素液50μlを混合
し、計400μlとした。
【0026】マルターゼの場合、マレイン酸緩衝液17
0μl、マルトース溶液200μl、各被検液20μl
および粗酵素液10μlを混合し、計400μlとした
(スクラーゼ、マルターゼいずれの場合も、基質に対し
て各糖類あるいは各メチル化糖誘導体を5重量%添加し
た)。
0μl、マルトース溶液200μl、各被検液20μl
および粗酵素液10μlを混合し、計400μlとした
(スクラーゼ、マルターゼいずれの場合も、基質に対し
て各糖類あるいは各メチル化糖誘導体を5重量%添加し
た)。
【0027】37℃、60分反応させた後、沸騰湯浴中
で5分加熱し反応を停止し、酵素反応で生成したグルコ
ース量を、グルコースオキシダーゼ法で測定した。酵素
阻害作用は、被検物質無添加の反応における生成グルコ
ース量をコントロール(C)とし、各被検物質添加反応
における生成グルコース量をサンプル(S)とし、以下
の計算式で求めた。 酵素阻害作用(%)=(C−S)/C×100 各糖類およびメチル化糖誘導体の阻害作用を表1に示
す。
で5分加熱し反応を停止し、酵素反応で生成したグルコ
ース量を、グルコースオキシダーゼ法で測定した。酵素
阻害作用は、被検物質無添加の反応における生成グルコ
ース量をコントロール(C)とし、各被検物質添加反応
における生成グルコース量をサンプル(S)とし、以下
の計算式で求めた。 酵素阻害作用(%)=(C−S)/C×100 各糖類およびメチル化糖誘導体の阻害作用を表1に示
す。
【0028】
【表1】 本発明のα−MXは試験した糖類や糖誘導体の中で、最
も強くスクラーゼおよびマルターゼ活性を阻害すること
がわかった。 1−2:α−MXの唾液アミラーゼ、膵液アミラーゼ、
人工胃液、小腸消化酵素に対する分解性 以下の(1) 〜(4) の各分解反応試験により生成する還元
糖量をSomogyi-Nelson法で測定した。 (1) 唾液アミラーゼに対する分解性 1%(W/V)のα−MXを溶解した1mM塩化カルシ
ウムを含むトリス-塩酸緩衝液(pH6.0)1ml
に、ヒト唾液アミラーゼ(タイプIX、Sigma)84U/
gを添加し、37℃、30分反応させた後、沸騰湯浴中
で5分加熱し反応を停止させた。 (2) 人工胃液に対する分解性 50mM塩化カリウム−塩酸溶液(pH2.0)1ml
に、1.5%(W/V)のα−MX液2mlを入れ、3
7℃、60分反応させた後、水酸化ナトリウム溶液で中
和した。 (3) 膵液アミラーゼに対する分解性 1%(W/V)のα−MXを溶解した1mM塩化カルシ
ウムを含むトリス−塩酸緩衝液(pH6.0)1ml
に、ブタ膵液アミラーゼ(ベーリンガーマンハイム)1
7U/gを添加し、37℃、300分反応させた後、沸
騰湯浴中で5分加熱し反応を停止させた。 (4) 小腸消化酵素に対する分解性 上記実施例1で調製した粗酵素液を用い、2%(W/
V)のα−MX溶液200μl、0.1Mマレイン酸緩
衝液(pH6.0)150μlおよび粗酵素液50μl
を混合し、37℃、60分反応後、沸騰湯浴中で5分加
熱し反応を停止させた。
も強くスクラーゼおよびマルターゼ活性を阻害すること
がわかった。 1−2:α−MXの唾液アミラーゼ、膵液アミラーゼ、
人工胃液、小腸消化酵素に対する分解性 以下の(1) 〜(4) の各分解反応試験により生成する還元
糖量をSomogyi-Nelson法で測定した。 (1) 唾液アミラーゼに対する分解性 1%(W/V)のα−MXを溶解した1mM塩化カルシ
ウムを含むトリス-塩酸緩衝液(pH6.0)1ml
に、ヒト唾液アミラーゼ(タイプIX、Sigma)84U/
gを添加し、37℃、30分反応させた後、沸騰湯浴中
で5分加熱し反応を停止させた。 (2) 人工胃液に対する分解性 50mM塩化カリウム−塩酸溶液(pH2.0)1ml
に、1.5%(W/V)のα−MX液2mlを入れ、3
7℃、60分反応させた後、水酸化ナトリウム溶液で中
和した。 (3) 膵液アミラーゼに対する分解性 1%(W/V)のα−MXを溶解した1mM塩化カルシ
ウムを含むトリス−塩酸緩衝液(pH6.0)1ml
に、ブタ膵液アミラーゼ(ベーリンガーマンハイム)1
7U/gを添加し、37℃、300分反応させた後、沸
騰湯浴中で5分加熱し反応を停止させた。 (4) 小腸消化酵素に対する分解性 上記実施例1で調製した粗酵素液を用い、2%(W/
V)のα−MX溶液200μl、0.1Mマレイン酸緩
衝液(pH6.0)150μlおよび粗酵素液50μl
を混合し、37℃、60分反応後、沸騰湯浴中で5分加
熱し反応を停止させた。
【0029】上述した(1) 〜(4) の分解性試験から得た
分解率は表2に示すとおりであり、α−MXは唾液アミ
ラーゼ、膵液アミラーゼ、人工胃液、小腸消化酵素に対
する分解性はみられなかった。
分解率は表2に示すとおりであり、α−MXは唾液アミ
ラーゼ、膵液アミラーゼ、人工胃液、小腸消化酵素に対
する分解性はみられなかった。
【0030】
【表2】 表2の結果から、α−MXを経口摂取した場合、それぞ
れの消化器官で分解されずに小腸に達するものと推測さ
れる。
れの消化器官で分解されずに小腸に達するものと推測さ
れる。
【0031】
【実施例2】α−MXのスクラーゼ、マルターゼ阻害作
用の濃度依存性 α−MX溶液を適宜希釈し0.02〜2%(W/V)の
濃度に調整したものを被検液として用い、前記実施例1
の1−1と同様に反応し、生成したグルコース量を測定
した。
用の濃度依存性 α−MX溶液を適宜希釈し0.02〜2%(W/V)の
濃度に調整したものを被検液として用い、前記実施例1
の1−1と同様に反応し、生成したグルコース量を測定
した。
【0032】図2に示したように、α−MXは従来から
阻害作用のあることが知られているD−キシロースやL
−アラビノースと比較して、これらよりもかなり強い阻
害作用を有することがわかった。
阻害作用のあることが知られているD−キシロースやL
−アラビノースと比較して、これらよりもかなり強い阻
害作用を有することがわかった。
【0033】
【実施例3】本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を甘味
料に添加した例 グラニュー糖(シュークロース)に対してα−MXの粉
末を0.5重量%混合したテーブルシュガーを作成し、
同テーブルシュガーへの加熱による褐変反応および味質
テストを行った。 (1) 褐変反応 本テーブルシュガーの10%(W/V)水溶液と、同濃
度のグラニュー糖水溶液をそれぞれ加熱して着色を比較
したところ、両者に殆ど差異は認められなかった。 (2) 味質テスト 本テーブルシュガー5gをコーヒー100mlに添加し
たものと、グラニュー糖5gを同じくコーヒー100m
lに添加したものについて味質を比較したところ、特に
差異は認められず良好であった。
料に添加した例 グラニュー糖(シュークロース)に対してα−MXの粉
末を0.5重量%混合したテーブルシュガーを作成し、
同テーブルシュガーへの加熱による褐変反応および味質
テストを行った。 (1) 褐変反応 本テーブルシュガーの10%(W/V)水溶液と、同濃
度のグラニュー糖水溶液をそれぞれ加熱して着色を比較
したところ、両者に殆ど差異は認められなかった。 (2) 味質テスト 本テーブルシュガー5gをコーヒー100mlに添加し
たものと、グラニュー糖5gを同じくコーヒー100m
lに添加したものについて味質を比較したところ、特に
差異は認められず良好であった。
【0034】
【作用、効果】α−MXは唾液、胃液、膵液等によって
分解、消化されることなく小腸に達し、また小腸消化酵
素によっても消化されることがなく、小腸粘膜刷子縁に
存在するα−グルコシダーゼの活性を阻害する。
分解、消化されることなく小腸に達し、また小腸消化酵
素によっても消化されることがなく、小腸粘膜刷子縁に
存在するα−グルコシダーゼの活性を阻害する。
【0035】また、α−MXはアカルボースなどの医薬
品として用いられている阻害剤に比べて阻害作用が小で
あり、副作用を惹き起こすおそれが殆どなくて飲食品に
安全に使用することができる。しかもα−MXはD−キ
シロースなどの糖類に比べると阻害作用が大であって食
品へ大量に添加する必要がなく、食品の味質を損なわれ
たり、あるいはコスト高になるおそれが殆どない。さら
に、α−MXは加熱による褐変化反応が大ではないの
で、加工食品に添加しても食品の色合いを損なわれな
い。
品として用いられている阻害剤に比べて阻害作用が小で
あり、副作用を惹き起こすおそれが殆どなくて飲食品に
安全に使用することができる。しかもα−MXはD−キ
シロースなどの糖類に比べると阻害作用が大であって食
品へ大量に添加する必要がなく、食品の味質を損なわれ
たり、あるいはコスト高になるおそれが殆どない。さら
に、α−MXは加熱による褐変化反応が大ではないの
で、加工食品に添加しても食品の色合いを損なわれな
い。
【0036】したがって、α−MXを有効成分とする本
発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は味質が低下したりコ
ストが高くなったりすることなく、しかも安全に食品素
材、甘味料、飼料等の飲食物に用いることができ、血糖
値の急激な上昇や肥満を防止することができる。
発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は味質が低下したりコ
ストが高くなったりすることなく、しかも安全に食品素
材、甘味料、飼料等の飲食物に用いることができ、血糖
値の急激な上昇や肥満を防止することができる。
【図1】本発明に係るα−グルコシダーゼ阻害剤たるα
−メチル−D−キシロシドの化学構造をβ−メチル−D
−キシロシドの化学構造と比較して示す図。
−メチル−D−キシロシドの化学構造をβ−メチル−D
−キシロシドの化学構造と比較して示す図。
【図2】本発明に係るα−グルコシダーゼ阻害剤たるα
−メチル−D−キシロシドの阻害作用の濃度依存性を示
し、(A)はスクラーゼに対する濃度依存性、(B)は
マルターゼに対する濃度依存性をそれぞれ示すグラフ。
−メチル−D−キシロシドの阻害作用の濃度依存性を示
し、(A)はスクラーゼに対する濃度依存性、(B)は
マルターゼに対する濃度依存性をそれぞれ示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 9/26 C12N 9/26 Z
Claims (3)
- 【請求項1】α−メチル−D−キシロシドを有効成分と
するα−グルコシダーゼ阻害剤。 - 【請求項2】シュークロース、澱粉および澱粉より生じ
るオリゴ糖から選ばれた一種あるいは二種以上の消化性
糖類に対し、請求項1記載のα−グルコシダーゼ阻害剤
を0.01〜10重量%含有する糖組成物。 - 【請求項3】請求項2の糖組成物を含有し、血糖値の急
激上昇抑止作用・肥満防止作用を有する飲食物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10104064A JPH11286449A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10104064A JPH11286449A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11286449A true JPH11286449A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=14370751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10104064A Pending JPH11286449A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11286449A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017195870A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | 株式会社ハートテック | 血糖値上昇抑制の加工食品 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10104064A patent/JPH11286449A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017195870A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | 株式会社ハートテック | 血糖値上昇抑制の加工食品 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0560284B1 (en) | Prophylactic and remedial preparation for diseases attendant on hyperglycemia, and wholesome food | |
CA1340744C (fr) | Methode pour la reduction de l'apport calorique utilisant des oligosaccharides fructosyles comme produits sucrants, et les produits ou boissons alimentaires ou dietetiques renfermant | |
JP3580900B2 (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤を含む糖を主体とする組成物を有効成分とする食品及び飼料 | |
US6042823A (en) | Enzyme composition and use thereof | |
TW200838548A (en) | Pharmaceutical composition comprising a pyrazole-O-glucoside derivative | |
Oku et al. | D-sorbose inhibits disaccharidase activity and demonstrates suppressive action on postprandial blood levels of glucose and insulin in the rat | |
TWI303992B (ja) | ||
JP2639726B2 (ja) | 水溶性食物繊維およびその製造法 | |
EP1340504A1 (en) | Remedies for diabetes | |
JP2002012547A (ja) | 糖質分解阻害剤、インスリン分泌抑制剤及び健康飲食物 | |
KR20190051706A (ko) | 당 대사 조절용 효소 조성물 | |
US10702545B2 (en) | Slowly digestible, sustained-type energy supplying agent | |
JPH0823973A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤、それを含む糖組成物、甘味料、食品、及び飼料 | |
JPH11286449A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤および同阻害剤を含有する 糖組成物ならびに飲食物 | |
KR20080084982A (ko) | 식품중의 사용가능한 칼로리 함량의 감소 및 체중의치료학적 감소를 위한, 특히 지방과다증(비만)의 경우에사용하기 위한 제제 | |
JPH0965836A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤、それを含む糖組成物、甘味料、食品及び飼料 | |
JPH09104624A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤、それを含む糖を主体とする組成物、甘味料、食品及び飼料 | |
JP2000239293A (ja) | マルトオリゴ糖誘導体及びその用途 | |
JP2006104100A (ja) | ポルフィランの低分子化分解物からなるα−グルコシダーゼ阻害剤。 | |
WO2003094927A1 (fr) | Procede d'inhibition de l'absorption de d-glucose et inhibiteur d'absorption de d-glucose | |
JP5598643B2 (ja) | 二糖類水解酵素活性阻害剤 | |
JP3187914B2 (ja) | アミラーゼ阻害物質 | |
JP4373671B2 (ja) | マルトオリゴ糖誘導体及びその用途 | |
JP2000186044A (ja) | 糖質分解酵素阻害剤及びそれを含有する食品又は医薬品 | |
AU2005242204A1 (en) | Remedies for diabetes mellitus |