JPH11283875A - 固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサとその製造方法

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JPH11283875A
JPH11283875A JP8383198A JP8383198A JPH11283875A JP H11283875 A JPH11283875 A JP H11283875A JP 8383198 A JP8383198 A JP 8383198A JP 8383198 A JP8383198 A JP 8383198A JP H11283875 A JPH11283875 A JP H11283875A
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electrolytic capacitor
edt
solid electrolytic
oxidizing agent
fine powder
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Akihiro Shimada
晶弘 島田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合反応の効率を高め、金属ペレットの表面
に均一な固体電解質層を形成することができる、信頼性
の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供する。 【解決手段】 誘電体酸化皮膜を有する金属ペレット
を、EDTまたは所定の濃度のEDT溶液に所定時間浸
漬して、誘電体酸化皮膜上にEDTを付着させた後、前
記金属ペレットを、所定の微粒粉を添加した所定の濃度
の酸化剤水溶液に所定時間浸漬し、酸化剤をEDTに付
着させ、その後、水、温水、有機溶剤等で洗浄し、乾燥
させる。そして、上記EDTまたはEDT溶液に浸漬〜
乾燥までの工程を所定回数繰り返す。その後、カーボ
ン、銀ペーストを塗布し、銀接着剤で陰極端子を引き出
し、樹脂外装してエージングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレンジオキシ
チオフェン(以下、EDTと記す)を化学酸化重合する
ことによって固体電解質層を形成した固体電解コンデン
サに係り、特に、その重合方法に改良を施した固体電解
コンデンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、導電性高分子を電解コンデンサの
固体電解質として利用し、高周波領域でのインピーダン
スの低減を図った固体電解コンデンサの開発が行われて
いる。このような固体電解コンデンサは、陽極酸化皮膜
を有するアルミニウム、タンタル等の皮膜形成金属に、
固体電解質を付着した構造を有している。従来、この種
の固体電解コンデンサの固体電解質には、主に硝酸マン
ガンの熱分解により形成される二酸化マンガンが用いら
れていた。しかし、この硝酸マンガンの熱分解の際に要
する高熱と、発生するNOxガスの酸化作用などによっ
て、誘電体であるアルミニウム、タンタル等の金属酸化
皮膜が損傷を受け、そのため、固体電解コンデンサとし
て耐電圧は低下し、漏れ電流が大きくなり、誘電特性を
劣化させる等、極めて大きな欠点があった。
【0003】そこで、電導度が高く、誘電体皮膜との付
着性の良い導電性高分子化合物が、電解コンデンサの固
体電解質として着目されるようになった(特公平7−2
2077号、特開平2−15611号等)。なお、この
導電性高分子化合物の代表例としては、ポリチオフェン
が知られている。なお、ポリチオフェンとしては、チオ
フェン、3−メチルチオフェン、3,4エチレンジオキ
シチオフェン等のチオフェン化合物の重合体、またはそ
れらの共重合体、混合物などが用いられる。
【0004】ここで、導電性高分子化合物としてポリチ
オフェンを用いた固体電解コンデンサの従来の製造方法
について説明する。すなわち、アルミニウム、タンタル
等の皮膜形成金属ペレットを、EDTと酸化剤の混合溶
液に浸漬した後に、この金属ペレットを前記混合溶液か
ら引き上げ、空気中で重合する。その後、室温で溶剤を
定量的に除去し、カーボン、銀ペーストを塗布した後、
銀接着剤で陰極を引き出し、樹脂外装してエージングを
行う。
【0005】このように従来の固体電解コンデンサの製
造方法において、金属ペレットを混合溶液から引き上げ
て空気中で重合させるのは、空気中において混合溶液の
溶媒を蒸発させ、混合溶液中の酸化剤の濃度を高くする
ことにより、重合反応を進行させるためである。なお、
EDTと酸化剤の混合溶液は、通常、以下のように調製
されている。例えば、モノマーとしてEDT10wt
%、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄(以
下、FePTSと記す)36wt%、溶剤としてブチル
アルコール54wt%を混合する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の固体電解コンデンサの製造方法には、以
下に述べるような問題点があった。すなわち、従来の製
造方法においては、金属ペレットのエッジ部に形成され
るポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと
記す)の量が少なく、PEDTが金属ペレット上の酸化
皮膜を完全に覆う状態になっておらず、このPEDT層
の表面にカーボン、銀接着剤を塗布してコンデンサを形
成した場合、酸化皮膜が覆われていない部分を通じて電
流が流れるため、漏れ電流(LC)が増大したり、場合
によっては、カーボンと酸化皮膜とが接触して、ショー
トが発生するという問題があった。
【0007】この原因としては、以下の点が考えられ
る。すなわち、固体電解質層を形成する場合に、金属ペ
レットをEDTと酸化剤の混合溶液に浸漬した後、この
混合溶液から引き上げて空気中で重合させているため、
金属ペレットに付着した混合溶液が、直方体の金属ペレ
ットの各面において、液体の表面張力により球状になろ
うとする。その結果、金属ペレットのエッジ部における
混合溶液の付着量が他の部分に比べて少なくなるため、
特に、金属ペレットのエッジ部に形成されるPEDTの
量が少なくなり、PEDTが金属ペレット上の酸化皮膜
を完全に覆うことができないためと考えられる。
【0008】従って、従来の固体電解コンデンサの製造
方法を用いて、PEDT層により金属ペレット上の酸化
皮膜を完全に覆うためには、重合時間を長くしたり、重
合回数を増やす必要があり、効率が良くなかった。
【0009】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたもので、その目的は、高
効率の重合反応によって、金属ペレットの表面に均一な
固体電解質層を形成した、優れた電気特性を有する固体
電解コンデンサを提供することにある。また、本発明の
別の目的は、重合反応の効率を高め、金属ペレットの表
面に均一な固体電解質層を形成することができる、信頼
性の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、重合時間の短縮及び重合回数の削減を図り
つつ、良好なPEDT層を形成することができる固体電
解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結
果、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】すなわち、EDTまたはEDT溶液あるい
は酸化剤溶液に種々の微粒粉を添加してみたところ、微
粒粉を添加しない場合に比べて重合時間を短縮でき、重
合回数が少なくても良好なPEDT層を形成でき、さら
に、漏れ電流(LC)及びショートの発生を低減できる
ことが判明した。
【0012】なお、添加する微粒粉として必要とされる
条件は、(1)モノマー、酸化剤等と反応しないこと、
(2)溶液中での分散性が良いこと、例えば、溶液中で
沈降、凝集等しないこと、(3)電気的絶縁性を有する
ことである。なかでも、SiO2 、Al2 3 、TiO
2 、金属酸化物、アエロジル(日本アエロジル株式会社
製、主成分はSiO2 )、ガラスパウダー、ポリマー粉
末等を用いることが望ましい。
【0013】また、添加する微粒粉の粒径は1nm〜1
00μmであることが望ましい。その理由は、粒径が1
nm以下の微粒粉を製造するのは、技術上、非常に困難
であり、また、添加する微粒粉の粒径が100μm以上
であると、微粒粉が沈降してしまうからである。さら
に、EDT中に残留、分散した微粒粉は、誘電体酸化皮
膜に付着し、この粒子上にPEDTが形成されることに
なるが、この微粒粉が大きいと、結果的に均一なPED
T層を得ることができないからである。
【0014】さらに、微粒粉の添加量は、被添加物であ
るEDTまたは所定の濃度のEDT溶液あるいは酸化剤
溶液に対して0.05wt%〜5wt%であることが望
ましい。この適用範囲は、微粒粉の添加量を変えて試験
した結果から得られたものである。すなわち、後述する
ように、微粒粉の添加量が0.05wt%未満では、所
望の効果が得られず、5wt%以上では、微粒粉が分散
せずに沈降してしまうからである。なお、本発明者が試
験したところでは、微粒粉が沈降しても特に悪影響はな
いことが確認されている。また、微粒粉が凝集しない限
り、添加する微粒粉は単一でなくても良く、二種類以上
の微粒粉を添加しても同様の効果が得られる。
【0015】続いて、本発明の固体電解コンデンサの製
造方法について説明する。すなわち、誘電体酸化皮膜を
有する金属ペレットを、EDTまたは所定の濃度のED
T溶液に所定時間浸漬して、誘電体酸化皮膜上にEDT
を付着させた後、前記金属ペレットを所定の濃度の酸化
剤溶液に所定時間浸漬し、酸化剤をEDTに付着させ、
酸化剤溶液中で酸化重合を行わせる。その後、水、温
水、有機溶剤等で洗浄し、乾燥させる。この際に、ED
Tまたは所定の濃度のEDT溶液、あるいは、酸化剤溶
液の少なくともいずれか一つに、所定の微粒粉を添加す
る。そして、上記EDTまたはEDT溶液に浸漬〜乾燥
までの工程を所定回数繰り返す。その後、カーボン、銀
ペーストを塗布し、銀接着剤で陰極端子を引き出し、樹
脂外装してエージングを行う。この場合、金属ペレット
を、EDTまたはEDT溶液と酸化剤溶液に交互に浸漬
する回数は1〜20回、好ましくは3〜10回、酸化剤
水溶液に浸漬する時間は5分〜5時間、好ましくは15
分〜3時間である。
【0016】ここで、本発明に用いられる酸化剤のう
ち、水溶液系としては、ペルオクソ二硫酸及びそのNa
塩,K塩,NH4 塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム
(IV)アンモニウム、硫酸鉄(III) 、硝酸鉄(III) 、塩化
鉄(III) 等が挙げられる。また、有機溶剤系としては、
有機スルホン酸の第二鉄塩、例えば、ドデシルベンゼン
スルホン酸鉄(III) 、p−トルエンスルホン酸鉄(III)
等が挙げられる。ここで、有機溶剤としては、γ−ブチ
ロラクトン、及び、ブタノール、プロパノールなどの一
価のアルコールが挙げられる。なお、酸化剤溶液の濃度
は、5〜60wt%、酸化剤溶液の温度は、−15〜6
0℃が好ましい。
【0017】また、EDTの溶媒としては、一価アルコ
ール(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール等)が用いられる。なお、EDT溶液として
は、任意の濃度のものを用いることができる。
【0018】次に、陽極に使用する弁作用を有する金属
としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンあ
るいはこれら金属を基質とする合金等の弁作用を有する
金属を使用することができる。また、陽極は、これら金
属の多孔質焼結体、エッチング等で表面処理された板
(リボン、箔等を含む)、線等、その形状は特に限定さ
れない。さらに、この金属ペレットの表面に誘電体酸化
皮膜を形成する方法としては、従来から公知の方法を用
いることができる。例えば、タンタル粉末の焼結体を使
用する場合には、リン酸水溶液中で陽極酸化して、焼結
体に酸化皮膜を形成することができる。
【0019】(効果)上述したような本発明の固体電解
コンデンサの製造方法によると、金属ペレットをEDT
またはEDT溶液に浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬し、
この酸化剤溶液中で酸化重合を行わせる。この際に、所
定の微粒粉をEDTまたはEDT溶液、あるいは酸化剤
溶液の少なくともいずれか一つに添加することによっ
て、単位時間あたりのPEDTの収量を増加させること
により、反応効率を大幅に向上させることができるの
で、重合時間を短縮し、重合回数を削減しても、良好な
電解コンデンサを得ることができる。なお、所定の微粒
粉を添加することにより、反応効率が大幅に向上するの
は、ポリマーの核形成が粒子上に生じることにより、反
応が大幅に促進されるためと考えられる。
【0020】さらに、酸化剤溶液中で酸化重合を行わせ
るので、直方体の金属ペレットの各面及びエッジ部に形
成されるPEDT層が均一化されるため、従来から問題
になっていた、金属ペレットのエッジ部においてPED
T層が薄くなるということがなく、均一なPEDT層が
得られるので、コンデンサの漏れ電流(LC)を低減す
ることができ、また、ショートの発生も防止することが
できる。
【0021】また、EDT溶液と酸化剤溶液をそれぞれ
別個に調製するため、酸化剤溶液の濃度・量とは独立し
て、任意の濃度のEDT溶液を使用することが可能とな
る。さらに、EDTと酸化剤の混合溶液の寿命を考慮す
る必要がないため、固体電解質層の形成工程を高精度
で、信頼性の高いものとすることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明による固体電解コンデンサの製
造方法の一実施例、及びその製造方法によって得られた
固体電解コンデンサの電気的特性を示す。なお、実施例
1として、微粒粉の添加量を0.05wt%とし、重合
時間を1時間、重合回数を3回とした製造方法によって
得られた電解コンデンサを用い、実施例2として、微粒
粉の添加量を0.5wt%とし、その他の条件は実施例
1と同様にして得られた電解コンデンサを用いた。
【0023】また、比較例1として、酸化剤溶液に微粒
粉を添加せずに重合反応を行う方法によって得られた電
解コンデンサを用い、比較例2として、比較例1と同様
に酸化剤溶液に微粒粉を添加せずに、重合時間及び重合
回数を増加させた方法によって得られた電解コンデンサ
を用いた。さらに、比較例3として、微粒粉の添加量を
0.03wt%とし、重合時間を1時間、重合回数を3
回とした製造方法によって得られた電解コンデンサを用
いた。
【0024】[1.使用試薬例] モノマー:エチレンジオキシチオフェン(EDT) モノマー溶液の溶媒:一価アルコール(例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t
ert−ブチルアルコール等) 酸化剤:水溶液系、有機溶剤系を問わない。例えば、ペ
ルオクソ二硫酸アンモニウム、ペルオクソ二硫酸ナトリ
ウム、硫酸鉄(III) 、硝酸鉄(III) 、塩化鉄(III) 、硝
酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸
セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)アンモニウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸鉄(III) 、p−トルエンスルホン
酸鉄(III) 微粒粉:SiO2 、Al2 3 、TiO2 、金属酸化
物、アエロジル(日本アエロジル株式会社製、主成分は
SiO2 )、ガラスパウダー、ポリマー粉末等
【0025】[2.適用条件] 酸化剤溶液濃度:5〜60wt% 酸化剤溶液温度:−15〜60℃ 微粒粉の粒径:1nm〜100μm 微粒粉の濃度:0.05wt%〜5wt%
【0026】[3.製造方法]タンタルペレット(30
kCV/g,40FV,3.6μF,Aサイズ)を、室
温で5分間、50%EDTのメチルアルコール溶液に浸
漬する。次に、このタンタルペレットを酸化剤水溶液
(30wt%ペルオクソ二硫酸アンモニウム水溶液)に
浸漬し、室温で1時間放置して重合する。なお、実施例
1における酸化剤水溶液には、微粒粉としてアエロジル
(日本アエロジル株式会社製、AEROSIL200、
平均粒径…12nm、SiO2 の含有量…99.9%以
上)が、0.05wt%の割合で添加され、実施例2に
おける酸化剤水溶液には、同じアエロジルが、0.5w
t%の割合で添加されている。その後、10分間水洗
し、100℃で20分間乾燥する。この操作を3回繰り
返し、カーボン、銀ペーストを塗布した後、銀接着剤で
陰極端子を引き出し、その後、樹脂で封止し、105
℃,16Vで1時間エージングを行った。
【0027】[4.比較例1]比較例1としては、酸化
剤水溶液に微粒粉を添加せずに、重合反応を行った電解
コンデンサを用いた。なお、重合時間、EDT溶液に浸
漬〜乾燥の操作の回数等、その他の条件は上記実施例と
同様である。
【0028】[5.比較例2]比較例2としては、酸化
剤水溶液に微粒粉を添加せずに、重合反応を行った電解
コンデンサを用いた。なお、比較例1と異なり、酸化剤
水溶液に浸漬する時間を3時間、EDT溶液に浸漬〜乾
燥の操作を6回繰り返した。その他の条件は上記実施例
と同様である。
【0029】[6.比較例3]比較例3としては、微粒
粉の添加量を0.03wt%とし、重合時間及び重合回
数等、その他の条件は上記実施例と同様の方法によって
得られた電解コンデンサを用いた。
【0030】[7.比較結果]本発明の製造方法により
得られた実施例1及び実施例2と、比較例1乃至比較例
3の電気的特性を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、比較例1におい
ては、漏れ電流(LC)が0.17と高く、10例中5
例にショートが発生したが、実施例1及び実施例2にお
いては、漏れ電流(LC)はそれぞれ0.05、0.0
4と大幅に低減され、ショートの発生もなかった。これ
は、実施例1及び実施例2においては、酸化剤水溶液に
微粒粉を添加したことにより、この微粒粉の粒子上にポ
リマーの核が形成されることにより重合反応が促進され
るため、形成されるPEDT量が多くなり、金属ペレッ
トを十分に被覆することができたためと考えられる。
【0033】一方、比較例1と同様に酸化剤水溶液に微
粒粉を添加せず、重合時間及び重合回数を増加させた比
較例2においては、ほぼ実施例と同様の結果が得られ
た。これは、酸化剤水溶液に微粒粉を添加しない場合で
あっても、重合時間を長くし、重合回数を多くすれば、
実施例1及び実施例2と同様の効果が得られることを示
している。換言すれば、本実施例のように酸化剤水溶液
に微粒粉を添加することにより、単位時間あたりのPE
DTの収量を増加させることができ、重合時間の短縮
(添加しない場合の約1/3)及び重合回数の削減(添
加しない場合の約1/2)が可能となるといえる。
【0034】また、比較例3においては、比較例1と同
様に漏れ電流(LC)が0.15と高く、10例中4例
にショートが発生した。このことから、酸化剤水溶液に
添加する微粒粉の量が少ないと、所望の効果が得られ
ず、重合時間の短縮及び重合回数の削減はできないこと
が判明した。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高効率の重合反応によって、金属ペレットの表面に均一
な固体電解質層を形成した、優れた電気特性を有する固
体電解コンデンサを提供することができる。また、本発
明によれば、重合反応の効率を高めることができるの
で、重合時間の短縮及び重合回数の削減を図ることがで
きる。また、重合反応の効率が向上することによって、
金属ペレットの表面に均一な固体電解質層を形成するこ
とができる、信頼性の高い固体電解コンデンサの製造方
法を提供することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性高分子化合物を形成するモノマー
    と酸化剤溶液を化学酸化重合することによって、誘電体
    酸化皮膜を形成した金属ペレットの表面に固体電解質層
    を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、 前記モノマーあるいは酸化剤溶液の少なくともいずれか
    一方に、所定の微粒粉を添加し、 前記金属ペレットを、前記モノマーと酸化剤溶液のそれ
    ぞれに交互に浸漬し、 前記モノマーと酸化剤溶液の化学酸化重合を、前記酸化
    剤溶液中で行うことを特徴とする固体電解コンデンサの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記微粒粉が、SiO2 、Al2 3
    たはTiO2 の微粒粉の少なくとも一種であることを特
    徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記微粒粉の濃度が、前記モノマーある
    いは酸化剤溶液に対して0.05〜5wt%であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解
    コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記微粒粉の粒径が、1nm〜100μ
    mであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記モノマーが、エチレンジオキシチオ
    フェン(EDT)である請求項1乃至請求項4のいずれ
    か一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 導電性高分子化合物を形成するモノマー
    と酸化剤溶液を化学酸化重合することによって、誘電体
    酸化皮膜を形成した金属ペレットの表面に固体電解質層
    を形成して成る固体電解コンデンサにおいて、 前記モノマーあるいは酸化剤溶液の少なくともいずれか
    一方に、所定の微粒粉を添加し、 前記固体電解質層が、前記金属ペレットを前記モノマー
    と酸化剤溶液のそれぞれに、所定回数交互に浸漬して重
    合することにより形成されたものであることを特徴とす
    る固体電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 前記微粒粉が、SiO2 、Al2 3
    たはTiO2 の微粒粉の少なくとも一種であることを特
    徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 前記微粒粉の濃度が、前記モノマーある
    いは酸化剤溶液に対して0.05〜5wt%であること
    を特徴とする請求項6または請求項7に記載の固体電解
    コンデンサ。
  9. 【請求項9】 前記微粒粉の粒径が、1nm〜100μ
    mであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいず
    れか一に記載の固体電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 前記モノマーが、エチレンジオキシチ
    オフェン(EDT)である請求項6乃至請求項9のいず
    れか一に記載の固体電解コンデンサ。
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