JPH11281522A - 振動特性解析方法及び装置 - Google Patents

振動特性解析方法及び装置

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JPH11281522A
JPH11281522A JP10084567A JP8456798A JPH11281522A JP H11281522 A JPH11281522 A JP H11281522A JP 10084567 A JP10084567 A JP 10084567A JP 8456798 A JP8456798 A JP 8456798A JP H11281522 A JPH11281522 A JP H11281522A
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Japan
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matrix
characteristic
equation
simultaneous linear
mode
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Withdrawn
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JP10084567A
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English (en)
Inventor
Akio Nagamatsu
昭男 長松
Mitsuo Iwahara
光男 岩原
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】被試験物に対する振動試験によって得た周波数
応答関数から同定したモード特性により該被試験物の振
動特性解析を行う方法及び装置の提供。 【解決手段】モード特性を、正規化された固有モードの
一般直交性を表す式及び運動方程式に代入して特性行列
の各要素を求めるための各連立一次方程式を作成し(S
1,S4)、これらの連立一次方程式から、該特性行列
の対称性を利用して該特性行列の各要素を削減した各連
立一次方程式に変形し(S2,S5)、被試験物の不減
衰多自由度ばね・質量系物理モデルの各要素と該特性行
列の各要素とを対応させる変換行列により、各連立一次
方程式における該特性行列の各要素を該物理モデルの各
要素の数に削減した各連立一次方程式に変形し(S3,
S6)、これらの連立一次方程式を合成した連立一次方
程式を最小二乗法により解いて該物理モデルの各要素を
算出する。(S7,S8)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は振動特性解析方法及
び装置に関し、特に不減衰系のモード特性から、その系
の特性行列を求める振動特性解析方法及び装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】まず、不減衰多自由度系ばね・質量モデ
ルのすべての点を参照して求めた固有モード形状(以
下、固有モードと略称する)、つまり、固有モードが質
量正規固有モードであるとき、そのモデルと同じ自由度
の特性行列を求める従来の方法について説明する。
【0003】不減衰多自由度系ばね・質量モデルの運動
方程式は、次式で与えられる。
【数1】
【0004】ここで、[M],[K]はそれぞれ質量行
列、剛性行列であり、Ωr,{φr}はそれぞれr次の不
減衰固有角振動数、実固有モードを表す。固有モード
{φr}は質量行列により正規化されているとする。
【0005】固有モード{φr}が質量で正規化されて
いるとすると、固有モードの一般直交性から、次式が成
り立つ。
【数2】
【数3】
【0006】ここで、[φ]は採用するすべての次数の
固有モードを並べた固有モード行列で、行数は自由度
数、列数は採用するモードの数である。右辺の[I]は
a行na列の単位行列、[Ω]はモード特性の固有振動
数Ωrを対角成分に並べた大きさna行na列の対角行列
である。
【0007】式(2),(3)より次式が求められる。
【数4】
【数5】 これらのモード特性[Ω],[φ]を求めれば、この式
(3)より特性行列[M],[K]を得ることができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、式
(4),(5)が解けるのは、モード特性[φ]が正方
行列の場合のみであり、求める特性行列[M],[K]
の自由度数と等しい数のモード特性が必要である。ま
た、式(4),(5)は、モード特性[φ]が正方行列
である場合でも、必ずしも解けるとは限らない。
【0009】振動実験で得られる周波数応答関数(FR
F)の数が数十(50)程度になることは普通であり、
この場合、数十自由度の特性行列を求めるためには、そ
れと同じ個数のモード特性が必要になる。多数のモード
特性を精度良く求めることは、一般には困難である。
【0010】したがって本発明は、被試験物に対する振
動試験によって得た周波数応答関数から同定したモード
特性により該被試験物の振動特性解析を行う方法及び装
置において、より少ない個数のモード特性から、より多
くの自由度数の特性行列を求めることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明に係る振動特性解析方法の原理を図1により
説明する。第1のステップ(S1) 被試験物に対する振動試験によって得た周波数応答関数
から例えば実験モード解析により同定したモード特性
を、正規化された固有モードの一般直交性を表す後述の
式(6),(7)に代入して特性行列の各要素(成分)
を求めるための第1の連立一次方程式(後述する式(1
6),(17))を作成する。この場合、該モード特性
が固有振動数と固有モードから成り得るものであり、該
特性行列が質量行列と剛性行列から成り得るものであ
り、減衰は無視できるほど小さな値であると仮定する。
【0012】第2のステップ(S2) 該第1の連立一次方程式から、該特性行列の対称性を利
用して該特性行列の各要素を削減した第2の連立一次方
程式(後述する式(20),(21))を作成する。
【0013】第3のステップ(S3) 該被試験物の不減衰多自由度ばね・質量系物理モデルの
各要素と該特性行列の各要素とを対応させる変換行列に
より、該第2の連立一次方程式における該特性行列の各
要素を該物理モデルの各要素の数に削減した第3の連立
一次方程式(後述する式(27),(33))を作成す
る。すなわち、バネと質点モデルから得られたモード特
性を擬似実験モード特性とするものである。
【0014】第4のステップ(S4) 該モード特性を該一般直交性を表す後述の式(6),
(7)に代入する代わりに運動方程式に代入して特性行
列の各要素を求めるための第4の連立一次方程式(後述
する式(41))を作成する。すなわち、固有モードの
直交性だけでは十分な精度の解が得られないので、同時
に多自由度の運動方程式も利用する。
【0015】第5のステップ(S5) 該第4の連立一次方程式から、該特性行列の対称性を利
用して該特性行列の各要素を削減した第5の連立一次方
程式(後述する式(42))を作成する。
【0016】第6のステップ(S6) 該被試験物の不減衰多自由度ばね・質量系物理モデルの
各要素と該特性行列の各要素とを対応させる変換行列に
より、該第5の連立一次方程式における該特性行列の各
要素を該物理モデルの各要素の数に削減した第6の連立
一次方程式(後述する式(49))を作成する。
【0017】第7のステップ(S7) 該第3及び第6の連立一次方程式を合成した式(後述す
る式(50))を作成する。第8のステップ(S8) 該第7のステップで合成した連立一次方程式を最小二乗
法により解いて該物理モデルの各要素(後述する式(5
2))を算出する。
【0018】第9のステップ(S9) 該第8のステップで算出した該物理モデルの各要素から
該変換行列(後述する式(24),(30))を用いて
該特性行列の各要素を算出する。このようにして、特性
行列の大きさより遙かに少ない固有モード数から特性行
列を求めることができる。
【0019】なお、上記のステップS1〜S9に加えて
さらに、該固有モードと、該第9のステップで算出した
該特性行列の各要素から計算した固有モードとによりマ
ック値を求めるとともに使用モード数を変えることによ
り複数のマック値の平均値を求め、該平均値の中で最も
1に近いモード数を最適値として選択する第10のステ
ップを備えることができる。
【0020】上記の振動特性解析方法を実施するための
装置としては、被試験物を加振するための打撃試験用ハ
ンマーに取り付けられた力検出用センサと、該被試験物
の任意の場所に取り付けられて該被試験物の該打撃試験
用ハンマーの加振による応答を測定する測定センサと、
該力検出用センサ及び該測定センサの各出力信号を受け
て周波数応答関数を求め、該周波数応答関数から該被試
験物のモード特性を同定する演算装置と、を備えた振動
特性解析装置を用いることができ、本発明では特に該演
算装置が、該モード特性を、正規化された固有モードの
一般直交性を表す式に代入して特性行列の各要素を求め
るための第1の連立一次方程式を作成し、該第1の連立
一次方程式から、該特性行列の対称性を利用して該特性
行列の各要素を削減した第2の連立一次方程式を作成
し、該被試験物の不減衰多自由度ばね・質量系物理モデ
ルの各要素と該特性行列の各要素とを対応させる変換行
列により、該第2の連立一次方程式における該特性行列
の各要素を該物理モデルの各要素の数に削減した第3の
連立一次方程式を作成し、該モード特性を該一般直交性
を表す式に代入する代わりに運動方程式に代入して該第
1から第3の連立一次方程式に対応する第4から第6の
連立一次方程式を順次作成し、該第3及び第6の連立一
次方程式を合成し、該合成した連立一次方程式を最小二
乗法により解いて該物理モデルの各要素を算出し、該算
出した該物理モデルの各要素から該変換行列を用いて該
特性行列の各要素を算出することを特徴としたものであ
る。
【0021】この振動特性解析装置においても、上記の
本発明方法と同様に、該モード特性が固有振動数と固有
モードから成り、該特性行列が質量行列と剛性行列から
成るものとすることができる。
【0022】さらに、該演算装置は、該固有モードと、
該第9のステップで算出した該特性行列の各要素から計
算した固有モードとによりマック値を求めるとともに使
用モード数を変えることにより複数のマック値の平均値
を求め、該平均値の中で最も1に近いモード数を最適値
として選択することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図2は、本発明に係る振動特性解
析方法の実施に使用される振動特性解析装置の構成を概
略的に示したもので、まずスキーの構造部材板を被試験
物(供試体)1とこの被試験物1を加振するための打撃
試験用ハンマー2とを用意する。
【0024】そして、ハンマー2には力検出用センサ3
を取り付け、また該被試験物1の任意の場所に該ハンマ
ー2の加振による振動応答の3次元(x,y,z)方向
加速度を検出するための加速度計4を取り付ける。
【0025】そして、加速度計4の出力信号と力検出セ
ンサ3の出力信号とをFFT演算装置(実験モード解析
装置)5に与えてFFT処理を行い周波数応答関数デー
タ(FRF:コンプライアンス)を求めモード特性を計
算してパーソナルコンピュータ6に出力する構成を有し
ている。
【0026】この場合、加振実験は通常、ハンマー2に
よる被試験物1の加振場所を固定して行い、加速度計4
は逐次移動させて複数の応答関数を演算装置5に与える
ようにする。なお、被試験物1は柔らかいバネ(図示せ
ず)等により固定されている。
【0027】このような振動特性解析装置の演算装置5
のアルゴリズムが図3に示されており、まず、ハンマー
2で被試験物1を或る位置又は他の計測点位置で加振す
ると(ステップS1)、この加振力はセンサ3によって
検出され、また加速度応答は加速度計4によって計測さ
れて共にFFT装置5に実験データD1として取り込ま
れる。
【0028】FFT装置5では、高速フーリエ変換を行
って実験データD1によりFRF(周波数応答関数)デ
ータC1を求める。そして、このようにして求めたFR
FデータC1からパーソナルコンピュータ6は、固有値
計算によりモード特性(固有振動数と固有モード)を同
定する演算を実行し(ステップS2)、正確な固有振動
数、固有モード形状等のモード特性データD2を得るこ
とができる。
【0029】このようにして得られたモード特性から特
性行列(質量行列[M]及び剛性行列[K])を求める
本発明方法について以下に説明する。
【0030】1.連立一次方程式の作成 上記の式(2),(3)はそれぞれ次式のように表すこ
とができる。
【数6】
【数7】
【0031】上記の式(6)の左辺を展開すると次式の
ようになる。
【数8】 同様に式(7)の左辺を展開すると次式のようになる。
【数9】
【0032】ところで、
【数10】 で表わせるので、行列[{φj}{φiT]の各列を転置
して順に横に並べ変えた行ベクトル{AMi,j, {A
Ki,j}を次式のように定義する。
【数11】
【0033】これにより、式(2),(3)と、式
(6),(7)と、式(8),(9)を比較して次式が
得られる。
【数12】
【数13】
【0034】ここで、{m}と{k}は、次式のように
特性行列[M]と[K]の各要素を縦に並べた列ベクト
ルであり、要素数はn2 fである。
【数14】
【数15】
【0035】すべてのモード数iとjについて式(1
2),(13)を求め、それらの、行ベクトル
{AMi,j},{AKi,j}と右辺の値を縦に並べて合成す
ると下記の連立一次方程式が作成できる。
【数16】
【数17】
【0036】なお、行列[AM],[AK]の大きさは、
行数が採用モード数の二乗n2 a、列数が自由度数の二乗
2 fである。
【0037】2.対称条件の付加 次に、特性行列の対称条件を付加することによって、式
(16),(17)の連立一次方程式の未知数を減らす
方法について説明する。
【0038】特性行列[M],[K]は対称行列である
から次式の関係がある。
【数18】
【0039】ある定数係数a1,2を考えたとき、上記
の式(18)が成り立つならば、
【数19】 として、係数を一つにすることができる。
【0040】このように、対称成分であるmi,j
j,i、ki,jとkj,iの係数は足し合わせて一つの未知
数にかかる係数とすることができるから、特性行列
[M],[K]の対称条件は、行列[AM],[AK]そ
れぞれの、mi,jとmj,i、ki,jとkj,iに対応する列を
足し合わせることによって付加することができる。この
とき、連立一次方程式(16),(17)の右辺のベク
トルの値は当然変化しない。
【0041】式(16),(17)では、列ベクトル
{m}と{k}の未知数の並びは、式(14),(1
5)のように並べることに決めてあるから、mi,j,k
i,jに対応する行列[AM],[AK]の列はそれぞれ第
j+(i−1)nf列、mj,i、kj, iに対応する行列
[AM],[AK]の列はそれぞれ第i+(j−1)nf
列である。
【0042】対称条件は、i≠jであるすべての(i,
j)の組みについて、これら2つの列を足し合わせるこ
とによって付加する。
【0043】ところで、このような方法で対称条件を付
加すると、連立方程式(16),(17)の中に全く同
じ式が現れるので、その同じ式のうち、どちらか一方を
連立方程式に使用する式から除く必要がある。
【0044】連立一次方程式(16),(17)の左辺
の係数行列[AM],[AK]の各行と、その各行に対応
する右辺のベクトル{bM}と{bK}の各要素の組み
は、式(12),(13)のi,jについて作られる式
からできている。
【0045】同式において、mi,jとmj,i、ki,jとk
j,iにかかる係数は、式(8),(9)から分かるよう
に、足し合わせると同じ値になる。
【0046】従って、対称条件を付加する過程でmi,j
とmj,i、ki,jとkj,iに対応する2つの列を足し合わ
せると、連立方程式の係数行列の中に全く同一の行が現
れることになる。また、i≠jのときの式(12),
(13)の右辺の値は0であるから、対称条件を付加し
て同一になった行に対応する右辺のベクトル{bM}と
{bK}の要素の値も同じになる。
【0047】従って、対称条件を付加した後の連立一次
方程式(16),(17)の、式(12),(13)の
(i,j),(j,i)についての式は全く同じになる
ので、どちらか一方を連立方程式に使用する式からは除
かなければならない。
【0048】対称条件を付加し、それによって現れる同
じ式のどちらか一方を消去したあとの連立方程式を次式
とする。
【数20】
【数21】
【0049】ここで、{m'}と{k'}は、対称条件を
付加した形の未知数ベクトルで、特性行列の中の対称の
位置にある2つの要素のうちどちらか一方が未知数とし
て要素に入っている。ここでは、未知数を表すベクトル
{m'}と{k'}とは、次式のように、求める特性行列
[M],[K]の要素のうち、上三角部分の要素から成
り、また対角成分から右上の成分へと順に並ぶように定
義する。
【0050】
【数22】
【数23】
【0051】対称条件は、ここではこのように未知数が
並ぶように付加するとする。未知数ベクトル{m'}と
{k'}の要素数(行数)は、特性行列の上三角部分の
要素の個数と等しいから、どちらもnf(nf+1)/2
である。
【0052】行列[A'M],[A'K]は、式(2),
(3)の右辺の行列の上三角部分の要素数に等しくなる
から行数がna(na+1)/2に削減され、特性行列の
上三角部分の要素数と等しくなるから列数がn2 fからn
f(nf+1)/2に削減された行列となる。
【0053】3.物理モデルによる制約条件と変換行列 ここまでは、特性行列の要素そのものが未知数となる連
立一次方程式(20),(21)の作成方法について説
明した。このような連立方程式(20),(21)によ
っても特性行列の各要素を求めることはできるが、有限
要素法(FEM)と組み合わせて使用する場合には特性
行列より被試験物のばね・質量モデルの方が使用し易
い。
【0054】例えば、有限要素法として「ナストラン」
を使用する場合、特性行列の形でデータを入力しようと
すると、ナストランの内部言語であるDMAPを使用し
て特性行列を入力するためのプログラムを作成しなけれ
ばならないが、ばね・質量モデルであれば通常の如く有
限要素の形態で入力できることになる。
【0055】そこで、さらに各測定点に質量を配置し、
被試験物の(大まかな)形状から予めどの測定点とどの
測定点とを結ぶかを決めておき(結合条件)、測定点間
の結合条件を設定した物理モデルを作成し、その物理モ
デル上の質量やばねの剛性の値を未知数とする連立一次
方程式の作成方法を説明する。
【0056】3.1 剛性についての変換 まず、物理モデル上での剛性の値を未知数とする連立一
次方程式の作成方法について説明する。設定した物理モ
デル上での剛性の値を未知数とするベクトルを{k"}
とする。このベクトル{k"}は、剛性の値を縦に並べ
たベクトルである。
【0057】ここで、ベクトル{k"}と上記の式(2
3)におけるベクトル{k'}を関係付ける変換行列
[TK]を定義する。ベクトル{k"}と{k'}は、変
換行列[TK]によって次式のように変換されるものと
する。
【数24】
【0058】変換行列[TK]は行数がnf(nf+1)
/2で上記の式(20),(21)と同じであるが、列
数が設定した物理モデル上の剛性の個数と等しい数にま
で削減された行列であり、物理モデル上の剛性の値が、
剛性行列のどこにどのように入るのかを示した行列であ
るともいえる。
【0059】式(24)を式(21)に代入すると次式
となる。
【数25】
【0060】ここで、行列[A"K]を、
【数26】 と定義して式(25)に代入すると次式が得られる。
【数27】
【0061】これは、物理モデル上での剛性の値
{k"}を未知数とする連立一次方程式である。また、
これは同時に測定点間同士の結合条件を利用して、制約
条件を付加していることにもなる。
【0062】具体的な、変換行列[TK]の作成方法に
ついて説明する。変換行列[TK]は式(24)のよう
にベクトル{k"}を{k'}に変換する行列である。
【0063】例えば図4に示すような4自由度ばね・質
量物理モデルについて考えてみる。モデル上の結合の数
が「5」であるから、ベクトル{k"}の要素数および
変換行列[TK]の列数は「5」である。
【0064】ベクトル{k"}を、
【数28】 と並べることにすれば、変換行列[TK]は次式で与え
られる。
【数29】
【0065】なお、上記の式(28)の添字で、測定点
同士ではない剛結合の部分は便宜的に0を使用してい
る。
【0066】3.2 質量についての変換 次に、上記の物理モデル上での質量の値を未知数とする
連立一次方程式の作成方法について説明する。設定した
物理モデル上での質量の値を並べたベクトルを{m"}
とする。ここでベクトル{m"}と{m'}を関係付ける
変換行列を[TM]とする。
【0067】ベクトル{m"}と{m'}は変換行列[T
M]によって次式のように変換されるとする。
【数30】
【0068】変換行列[TM]は、行数がnf(nf
1)/2であり上記の式(20),(21)と同じであ
るが、列数は基本的には設定した物理モデルの自由度n
fにまで削減される。ここでの計算例では、変換行列
[TM]の列数は全てnfである。
【0069】式(29)を式(20)に代入すると次式
となる。
【数31】
【0070】ここで、行列[A"M]を、
【数32】 と定義して式(30)に代入すると次式が得られる。
【数33】
【0071】これは、物理モデル上での質量の値
{m"}を未知数とする連立一次方程式である。また、
これで同時に制約条件を付加したことになる。具体的
な、変換行列[TM]の作成方法は上記の剛性の場合と
同様に図4により考えてみる。
【0072】物理モデル上の質量の数が「4」(=
f)であるから、ベクトル{m"}の要素数および変換
行列[TM]の列数は「4」である。ベクトル{m"}
を、モデルの質量に付した番号の順に並ぶように、
【数34】 とすると、変換行列[TM]は次式のように表わされ
る。
【0073】
【数35】
【0074】4.運動方程式の利用 上記の式(27),(32)による連立一次方程式によ
っても物理モデルの各要素を求め、これと変換行列とに
よって特性行列の各要素を求めることはできるが、運動
方程式を用いていないためやはり十分な精度の解を得る
ことができない。そこで、次に運動方程式を用いた連立
一次方程式の作成方法について説明する。
【0075】4.1 運動方程式からの連立一次方程式の作
成 特性行列を決定する条件として運動方程式を利用する方
法について説明する。多自由度系のr次の固有モードの
運動方程式は式(1)で示したとおりである。
【0076】この式(1)のr=1からr=naまでの
式から、対称条件を加えて未知数を物理モデル上の質量
と剛性の値とした連立一次方程式を作成する。式(1)
を展開すると次式による列ベクトルができる。
【数36】
【0077】この式(36)の第i行を抜き出して変形
すると次式のようになる。
【数37】
【0078】従って、
【数38】
【0079】式(36)をモード数i=1からi=nf
について全て式(38)の形に変形し、一つの式にまと
めると次式のようになる。
【数39】
【0080】式(39)の左辺の係数行列を[AEr]と
し、この行列[AEr]の左半分を[AEMr]、右半分を
[AEKr]とすると次式が得られる。
【数40】 また、行列[AEr],[AEMr],[AEKr]それぞれを
r=1からr=naについて求め、それらを縦に並べた
行列をそれぞれ[AE],[AEM],[AEK]とすると
次式のようになる。
【数41】
【0081】このようにして、運動方程式(1)から特
性行列の各要素{m},{k}を未知数とする連立一次
方程式(41)が作成される。なお、行列[AE]はna
f行2nf列、行列[AEM]と[AEK]はnaf行nf
列の行列である。
【0082】4.2 対称条件 次に式(41)に上記2の対称条件と同様に、特性行列
の対称位置にある2つの要素にかかる係数を足し合わせ
ることによって特性行列の対称条件を付加する。ただ
し、ここでは上記2のように、2つの式が同一になるこ
とはない。
【0083】行列[AE],[AEM],[AEK]に、そ
れぞれ対称条件を付加した行列を[A'E],
[A'EM],[A'EK]とすると次式のようになる。
【数42】
【0084】なお、行列[A'E]はnaf行nf(nf
1)列、行列[A'EM],[A'EK]はnaf行nf(nf
+1)/2列である。行列ベクトル{m'},{k'}は
それぞれ式(22),(23)と同じベクトルで、特性
行列の上三角部分の要素を対角要素に近い順から並べた
ベクトルである。
【0085】4.3 物理モデルによる制約条件と変換行列 次に、行列[A'EM]と[A'EK]それぞれに、上記3.
と同様に変換行列[T M]、[TK]を左から掛けること
によって、設定した物理モデル上の質量と剛性の値を未
知数とする連立一次方程式を作成する。
【0086】式(30),式(24)より次式が得られ
る。
【数43】
【0087】式(43)を式(42)に代入すると次式
のようになる。
【数44】
【0088】従って、
【数45】
【0089】次に、行列[A"EM],[A"EK],
[A"E]を
【数46】
【数47】
【数48】 と定義して、式(45)に代入すると次式のようにな
る。
【数49】
【0090】これは物理モデル上の質量と剛性の値
{m"},{k"}を未知数とする連立一次方程式であ
る。なお、行列[A"EM]は行数がnaf、列数が設定
した物理モデル上の質量の数であって、すべてnfであ
る。また、行列[A"EK]は行数がn af、列数が設定
した物理モデル上の結合条件の数と等しい行列である。
【0091】5.式の合成 ここで、以上の連立一次方程式(27),(33),
(49)を合成する必要があり、その結果、次式が得ら
れる。
【数50】
【0092】この式(50)の係数行列を[A"T]、右
辺のベクトルを{b'T}と置くと次式となる。
【数51】
【0093】これは、物理モデル上の質量と剛性の値
{m"},{k"}を未知数とする連立一次方程式であ
り、十分な数のモード特性を採用すれば、未知数の数よ
りも式の数が多いので、これは最小二乗法の形になって
いる。
【0094】従って、式(51)より、
【数52】 となり、未知数ベクトル{m"}と{k"}が求められ
る。
【0095】このようにして求められたベクトル
{m"}と{k"}を、式(24),(30)に代入すれ
ば特性行列[M],[K]の各要素を求めることができ
る。
【0096】ここで、与えた固有モードベクトルと、同
定された特性行列から計算した固有モードベクトルとの
関係を表すマック(Modal Assurance Criterion) の値
を考慮する。
【0097】マック値とは2つのモードベクトルの平行
度を表すパラメータであり、次式で定義される。
【数53】
【0098】ここでは{φC}は与えた固有モードベク
トルで{φe}は同定した特性行列から計算した固有モ
ードベクトルである。このマック値が“1”に近くなる
ほど、これら2つのベクトルが平行に近く、良い結果で
あるといえる。
【0099】一方、上記のようにして、モード特性から
特性行列を求めるためにばね・質量モデルを求めること
ができたが、ばね・質量モデルを求める場合には,使用
するモード数が問題になる。使用するモード数の最適値
を求めるために,さらに次のようにマック値(MAC)
を利用する。すなわち、モード数を順次増加させて,平
均マック値を計算する。例えば「13」質点のばね・質
量モデルを求める場合のモード数と平均マック値を下記
の表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】平均マック値は零から“1”までの値をと
るので、この平均マック値が最大となっている「10」
個の採用モードが最適数になる。この10個の固有モー
ドを使用して計算した13質点のばね・質量モデルから
算出した周波数応答関数と真の周波数応答関数の比較を
図5に示す。
【0102】このグラフより1〜6次までの固有モード
特性が正確に表現できていることが分かる。さらに高次
の固有モード特性まで正確に表現するためには,モデル
の質点を増加させれば良い。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る振動
特性解析方法及び装置によれば、該モード特性を、正規
化された固有モードの一般直交性を表す式及び運動方程
式に代入して特性行列の各要素を求めるための各連立一
次方程式を作成し、これらの連立一次方程式から、該特
性行列の対称性を利用して該特性行列の各要素を削減し
た各連立一次方程式に変形し、被試験物の不減衰多自由
度ばね・質量系物理モデルの各要素と該特性行列の各要
素とを対応させる変換行列により、各連立一次方程式に
おける該特性行列の各要素を該物理モデルの各要素の数
に削減した各連立一次方程式に変形し、これらの連立一
次方程式を合成した連立一次方程式を最小二乗法により
解いて該物理モデルの各要素を算出し、さらに該変換行
列を用いて該特性行列の各要素を算出するように構成し
たので、特性行列の大きさより遙かに少ない固有モード
数から特性行列を求めることが可能となった。
【0104】また、ばね・質量モデルを求める場合に
は、使用するモード数が問題になるので、その最適値を
求めるために平均マック値を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動特性解析方法及び装置の原理
を説明するためのフローチャート図である。
【図2】本発明に係る振動特性解析装置の実施例を示し
たブロック図である。
【図3】本発明に係る振動特性解析装置におけるモード
特性データを演算するための手順を説明するためのフロ
ーチャート図である。
【図4】本発明に係る振動特性解析方法及び装置の実施
例として用いられる4自由度ばね・質量モデルを示した
図である。
【図5】本発明に係る振動特性解析方法及び装置の実施
例として用いられる13質点のばね・質量モデルから算
出した周波数応答関数と真の周波数応答関数との比較グ
ラフ図である。
【符号の説明】
1 供試体(被試験物) 2 打撃試験用ハンマー 3 力検出用センサ 4 加速度計 5 FFT演算装置 6 パーソナルコンピュータ 図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被試験物に対する振動試験によって得た周
    波数応答関数から同定したモード特性により該被試験物
    の振動特性解析を行う方法において、 該モード特性を、正規化された固有モードの一般直交性
    を表す式に代入して特性行列の各要素を求めるための第
    1の連立一次方程式を作成する第1のステップと、 該第1の連立一次方程式から、該特性行列の対称性を利
    用して該特性行列の各要素を削減した第2の連立一次方
    程式を作成する第2のステップと、 該被試験物の不減衰多自由度ばね・質量系物理モデルの
    各要素と該特性行列の各要素とを対応させる変換行列に
    より、該第2の連立一次方程式における該特性行列の各
    要素を該物理モデルの各要素の数に削減した第3の連立
    一次方程式を作成する第3のステップと、 該モード特性を該一般直交性を表す式に代入する代わり
    に運動方程式に代入して該第1から第3の連立一次方程
    式に対応する第4から第6の連立一次方程式を順次作成
    する第4から第6のステップと、 該第3及び第6の連立一次方程式を合成する第7のステ
    ップと、 該第7のステップで合成した連立一次方程式を最小二乗
    法により解いて該物理モデルの各要素を算出する第8の
    ステップと、 該第8のステップで算出した該物理モデルの各要素から
    該変換行列を用いて該特性行列の各要素を算出する第9
    のステップと、 を備えたことを特徴とする振動特性解析方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 該モード特性が固有振動数と固有モードから成り、該特
    性行列が質量行列と剛性行列から成っていることを特徴
    とした振動特性解析方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、 さらに、該固有モードと、該第9のステップで算出した
    該特性行列の各要素から計算した固有モードとによりマ
    ック値を求めるとともに使用モード数を変えることによ
    り複数のマック値の平均値を求め、該平均値の中で最も
    1に近いモード数を最適値として選択する第10のステ
    ップを備えたことを特徴とする振動特性解析方法。
  4. 【請求項4】被試験物を加振するための打撃試験用ハン
    マーに取り付けられた力検出用センサと、該被試験物の
    任意の場所に取り付けられて該被試験物の該打撃試験用
    ハンマーの加振による応答を測定する測定センサと、該
    力検出用センサ及び該測定センサの各出力信号を受けて
    周波数応答関数を求め、該周波数応答関数から該被試験
    物のモード特性を同定する演算装置と、を備えた振動特
    性解析装置において、 該演算装置が、該モード特性を、正規化された固有モー
    ドの一般直交性を表す式に代入して特性行列の各要素を
    求めるための第1の連立一次方程式を作成し、該第1の
    連立一次方程式から、該特性行列の対称性を利用して該
    特性行列の各要素を削減した第2の連立一次方程式を作
    成し、該被試験物の不減衰多自由度ばね・質量系物理モ
    デルの各要素と該特性行列の各要素とを対応させる変換
    行列により、該第2の連立一次方程式における該特性行
    列の各要素を該物理モデルの各要素の数に削減した第3
    の連立一次方程式を作成し、該モード特性を該一般直交
    性を表す式に代入する代わりに運動方程式に代入して該
    第1から第3の連立一次方程式に対応する第4から第6
    の連立一次方程式を順次作成し、該第3及び第6の連立
    一次方程式を合成し、該合成した連立一次方程式を最小
    二乗法により解いて該物理モデルの各要素を算出し、該
    算出した該物理モデルの各要素から該変換行列を用いて
    該特性行列の各要素を算出することを特徴とした振動特
    性解析装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、 該モード特性が固有振動数と固有モードから成り、該特
    性行列が質量行列と剛性行列から成っていることを特徴
    とした振動特性解析装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、 該演算装置が、さらに、該固有モードと、該第9のステ
    ップで算出した該特性行列の各要素から計算した固有モ
    ードとによりマック値を求めるとともに使用モード数を
    変えることにより複数のマック値の平均値を求め、該平
    均値の中で最も1に近いモード数を最適値として選択す
    ることを特徴とした振動特性解析装置。
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