JPH11281339A - コンプトン散乱による板厚測定装置 - Google Patents

コンプトン散乱による板厚測定装置

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JPH11281339A
JPH11281339A JP10083340A JP8334098A JPH11281339A JP H11281339 A JPH11281339 A JP H11281339A JP 10083340 A JP10083340 A JP 10083340A JP 8334098 A JP8334098 A JP 8334098A JP H11281339 A JPH11281339 A JP H11281339A
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和範 手島
Yoshio Kobayashi
義雄 小林
Eiichi Yanagisawa
栄一 柳沢
Kazuo Idegami
和夫 井手上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンプトン散乱を利用して板厚を測定する場
合に、板厚増加による放射線強度の飽和に影響されるこ
となく、正確に板厚測定をする。 【解決手段】 X線源1から板2に斜めに一次X線3を
照射すると、一次X線3が板2を透過することにより、
二次X線4が発生する。X線検出器5の検出面5aに
は、格子上スリット6が配置されている。このため、二
次X線4のうち、板の厚さ方向(e〜f)で発生して検
出面5aに向かい直進する成分のみが、格子上スリット
6を透過してX線検出器5にて検出される。信号処理装
置7は、X線検出器5で検出した検出幅(位置e〜fの
距離に対応する)と、入射角度θを基に、板2の板厚T
を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンプトン散乱によ
る板厚測定装置に関し、測定精度の向上を図るように工
夫したものである。なお、コンプトン散乱は、放射線
(X線やγ線)が物体を透過する際に、原子に衝突して
電子に吸収されずに跳ね返される時に発生する。
【0002】
【従来の技術】鋼板等で作られた煙道においては、排ガ
スによる腐食等によって減肉すると、強度的な問題が生
じる。そこで、煙道内に入ることなく外部から保温材な
どの障害物を介して板厚を検査し、問題個所を特定・補
修する必要がある。かかる事情、つまり、外部から板厚
を検査して問題個所を特定・補修する必要があること
は、煙道の他に、燃焼炉などの立ち入りが困難な構造物
についても同様である。
【0003】従来の金属板厚さ測定法としては、超音
波,渦電流を利用した測定法があるが、このような測定
法では、金属板の表面にセンサを接近させて測定する必
要がある。かかる従来の測定法で板厚測定をするために
は、プラントを停止して煙道内に人が入って内側から測
定するか、煙道の外側にある保温材を剥がして測定する
必要がある。
【0004】また、放射線の透過を利用した測定法で
は、放射線発生源または、計測器を煙道内に持ち込む必
要がある。このため、測定に時間がかかることや保温材
の再施工が必要となる等の問題があった。
【0005】更に、従来では図10に示すような技術が
あった。即ち、板01の表面に向けてX線源02から一
次X線03を照射すると、コンプトン散乱により板01
から二次X線(散乱X線)04が発生する。この二次X
線(散乱X線)04の強度(あらゆる方向に散乱する放
射線の総量)を、X線センサ05により検出する。板0
1の板厚と、二次X線(散乱X線)04の総強度は、図
11に示す関係であることが判っているため、X線セン
サ05により、二次X線(散乱X線)04の総強度を検
出することにより、板厚を検出することができる。
【0006】ところが、図10に示す従来技術では、図
11に示すように、板厚が増加するにつれて二次X線強
度が飽和する傾向にあり、板厚が厚くなると測定精度が
低下するという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の各技術では、プラントを停止する必要があったり、煙
道内に人や計測機器が入る必要があったり、厚い板厚に
なると測定精度が低下したりするという問題があった。
【0008】本発明は、上記従来技術に鑑み、散乱する
放射線を利用して板厚計測をする場合に、板の厚さの増
加による感度低下を防止して検出精度を向上させること
のできるコンプトン散乱による板厚測定装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、測定対象物である板に向けて一次放射線を
照射する放射線発生源と、前記一次放射線が前記板を透
過する際にコンプトン散乱により発生した二次放射線を
検出する放射線検出器と、前記放射線検出器の検出面に
配置されており、前記板の厚さ方向から発生して前記検
出面に向かって真っ直ぐに進行してくる二次放射線のみ
を通過させるようにスリットが形成されているスリット
部材と、前記放射線検出器により検出した二次放射線の
分布幅と、前記一次放射線が板に入射するときの入射角
とを基に、前記板の板厚を演算する信号処理装置と、を
有することを特徴とする。
【0010】また本発明の構成は、測定対象物である板
に向けて一次放射線を照射する放射線発生源と、前記一
次放射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱により
発生した二次放射線を検出する放射線検出器と、前記放
射線検出器の検出面に配置されており、前記板の厚さ方
向から発生して前記検出面に向かって真っ直ぐに進行し
てくる二次放射線のみを通過させるようにスリットが形
成されているスリット部材とが一体に形成された検出ヘ
ッド部と、この検出ヘッド部を前記放射線発生源を回転
中心として回転できると共に、検出ヘッド部を前記板に
向けて前後方向移動させることのできる支持部と、前記
放射線検出器が第1の位置にあるときにこの放射線検出
器が検出する放射線強度と、前記放射線検出器が第1の
位置から回転して更に前後方向に移動したときに放射線
検出器が検出する放射線強度とが等しくなるように、検
出ヘッド部を回転・移動させ、検出ヘッド部の前後移動
量と回転径とを基に、前記一次放射線が板に入射すると
きの入射角度に対するズレ角度を演算するズレ角度検出
機能と、前記放射線検出器により検出した二次放射線の
分布幅と、入射角とを基に、前記板の板厚を演算する板
厚検出機能とを持った信号処理装置と、を有することを
特徴とする。
【0011】また本発明の構成は、前記スリット部材の
各スリットには、多孔穴レンズを挿入していることを特
徴とする。
【0012】また本発明の構成は、測定対象物である板
に向けて一次放射線を照射する放射線発生源と、前記一
次放射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱により
発生した二次放射線の強度を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器の検出面に配置されており、焦点が前
記一次放射線の光軸に一致しているコーン状スリット
と、前記放射線検出器を前記一次放射線の光軸に平行な
方向に移動させることができるよう支持する支持部と、
前記放射線検出器を移動させているときに、この放射線
検出器により二次放射線を検出している間における移動
距離を検出し、この移動距離と前記一次放射線が板に入
射するときの入射角とを基に、前記板の板厚を演算する
信号処理装置と、を有することを特徴とする。
【0013】また本発明の構成は、前記放射線発生源
は、X線またはγ線を発生することを特徴とする。
【0014】また本発明の構成は、前記放射線検出器
は、マイクロチャンネルプレートまたはイメージングイ
ンテンシファイアで形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。
【0016】図1は本発明の第1の実施の形態に係る板
厚測定装置を示す。同図に示すように、X線源(放射線
源)1は測定対象である板2の板厚測定点に向けて、一
次X線3を入射角度θとなるように斜めに照射する。照
射された一次X線3は、板2の上面2aの位置eにて板
2に入射し、板2中を透過し、板2の下面2bの位置f
にて板2から外部に出射する。一次X線3が板2を位置
eから位置fまで透過する過程で、コンプトン散乱によ
り二次X線4が発生する。
【0017】X線検出器(二次元放射線検出器)5は、
その検出面5aが板2の上面2aに対して斜めに対向す
る状態で配置されている。このX線検出器5としては、
X線やγ線に対して高感度なマイクロチャンネルプレー
トやイメージングインテンシファイア等を用いている。
しかも、本実施例で用いるX線検出器5は、位置分解機
能、即ち、検出面5aのうち、どの位置にX線が入射し
たのかを検出することのできる機能を有している。
【0018】前記X線検出器5の検出面5aには、多段
の格子状スリット(スリット部材)6が配置されてい
る。この格子状スリット6は、例えば鉛板とプラスチッ
クフィルムを多段に積み重ねて形成されている。この格
子状スリット6は、そのスリットの向きが、板の厚さ方
向から発生する二次X線4のみを通過させる方向に向く
ように、つまり、入射位置eから出射位置fの間で発生
した二次X線4のうち検出面5aに向かって真っ直ぐに
進行してくる二次X線4のみを通過させる方向に向くよ
うに、配置されている。なお、図1においてφは、二次
X線4のうち検出面5aに向かって真っ直ぐに進行して
くるX線成分の出射角度を示している。
【0019】このため、例えば深さtのp点において
は、透過距離aだけ透過して減衰した一次X線3がコン
プトン散乱することにより二次X線4が発生し、この発
生した二次X線4のうち、X線検出器5に向かって進行
する成分は、透過距離bだけ透過することにより減衰
し、格子状スリット6を通過して、X線検出器5に入射
する。なお、発生した二次X線のうち、X線検出器5に
向かって直進していない成分は、スリット6により排除
される。なお、スリットピッチ分の誤差を取り除くた
め、任意のスリットを通過するX線強度が最大になるよ
うに、位置調整をしている。
【0020】また前記X線検出器5は、その検出面5a
のうち、格子状スリット6の各スリットに対応した位置
を、スリット番号として位置認識することができる。そ
して、このX線検出器5は、二次X線4が通過してきた
スリットの本数を検出して(スリット番号を検出し
て)、二次X線4の分布幅(これは位置eから位置fま
での距離に対応している)を検出することができる。
【0021】格子状スリット6の各スリットを通過する
二次X線4の強度は板厚によって決まるので、図2に示
すように、指数的に変化し、下面2bでの二次X線強度
はゼロとなる。このため、前述したように、X線検出器
5は、二次X線4が通過してきたスリットの本数を検出
して(スリット番号を検出して)、二次X線4の分布幅
(これは位置eから位置fまでの距離に対応している)
を検出することができるのである。つまり、本実施の形
態では、各スリットを通過してくる二次X線4の総強度
を厚さ検出のために利用しているわけではなく、スリッ
トのうち二次X線4が入射しているものと入射していな
いものを判定し、二次X線4が入射しているスリットの
本数を離散的にカウントして、二次X線4の分布幅を検
出しているのであり、この点において従来技術に対して
技術的思想が大いに異なっている。
【0022】信号処理装置7は、X線検出器5により検
出した二次X線4の分布幅(これは位置eから位置fま
での距離、即ち板の厚さ方向の長さに対応している)
と、入射角度θを基に、板2の板厚Tを演算する。かく
して、板2の板厚Tを正確に検出することができる。
【0023】なお図3に示すように、格子状スリット6
のX線透過部分(各スリット)に、アルミニュウム等の
X線屈曲体に多孔穴をあけて形成した多孔穴レンズ8を
挿入してもよい。このように多孔穴レンズ8を挿入する
ことにより、X線の集光性を高めて分解能を向上させつ
つ、板2の上面2aからの二次X線の進入を抑制して板
厚方向のX線測定分解能の精度向上を図ることができ
る。なお、図3において、6aは鉛板、6bは多孔穴で
ある。
【0024】次に本発明の第2の実施の形態に係る板厚
測定装置を図4を参照して説明する。第2の実施の形態
では、一次X線3の入射角度を検出して、この入射角度
が設定した入射角度になるように傾き誤差を補正して厚
さ測定をするようにしたものである。このような工夫を
した理由は、煙道を形成する板2の外側は、保温材とそ
れを保護するための薄い鋼板で覆われているため、板2
の上面(表面)2aが見えないので、外部から見ただけ
では、正確な入射角度を検出することができないからで
ある。
【0025】図4に示すように、第2の実施の形態に係
る板厚測定装置では、X線源1と、検出面15aに格子
状スリット6が配置されているX線検出器15とが一体
となった検出ヘッド部10が形成されている。この検出
ヘッド部10は、支持部11により支持されており、X
線源1を回転中心として検出ヘッド部10が回転できる
とともに、検出ヘッド部10全体が前後方向に移動する
ことができるように支持されている。
【0026】X線検出器15は、X線検出器5と同様な
位置分解機能と、入射した二次X線4の強度を検出する
機能とを合わせもっている。
【0027】信号処理装置17は、信号処理装置7と同
様に、X線検出器15により検出した二次X線4の分布
幅と入射角度θを基に板2の板厚Tを演算する機能を有
している。更に信号処理装置17は、X線検出器15に
より検出したX線強度を記憶・比較すると共に、検出ヘ
ッド部10の前後移動量を検出して、後述する演算をし
て、ズレ角度αを求める機能を有している。
【0028】一次X線3の入射角度θに対するズレ角度
αを検出するときには、X線検出器15により、入射し
た二次X線4の強度を検出する機能を用いる。ズレ角度
αを検出するには、まずX線検出器15をセンサ位置I
に位置させて、X線検出器15に入射するX線強度を測
定する。
【0029】次に、検出ヘッド部10を、X線源1を回
転中心として、180°回転して、X線検出器15をセ
ンサ位置IIに位置させる。この状態で(180°の回
転後)、検出ヘッド10全体を前後方向に移動させ、X
線強度が、センサ位置IのときのX線強度と等しくなっ
たら前後移動を停止させる。この停止した位置をセンサ
位置IIIとする。
【0030】センサ位置IIからセンサ位置IIIまで
の前後移動量がYであった場合には、信号処理装置17
は、次式の演算をしてズレ角度αを求める。なお、Dは
回転径であり予め決まっている。 α=tan Y/D
【0031】上述したようにしてズレ角度αを検出した
ら、このズレ角度αだけ検出ヘッド部10の角度を補正
し、一次X線3の入射角度θを正確に初期設定角度に合
わせることができる。入射角度θが初期設定角度になっ
たら、第1の実施の形態と同様な動作をして、板2の板
厚を測定する。
【0032】このように第2の実施の形態では、ズレ角
度αを求めて、板2に対する入射角度の補正ができるの
で、精度向上を図ることができる。
【0033】次に本発明の第3の実施の形態に係る板厚
測定装置を図5を参照して説明する。同図に示すよう
に、X線源1は板2に対して斜めに一次X線3を照射
し、一次X線3の照射によるコンプトン散乱により二次
X線4が発生する。
【0034】X線検出器25は、入射する二次X線4の
強度(総強度)を検出する機能を有している。つまり、
検出面25aに入射する二次X線4の強度信号を全面に
わたって積分して、X線強度を検出している。このX線
検出器25は、支持部20に支持されて、一次X線3の
光軸に平行な方向に移動することができるようになって
いる。
【0035】またX線検出器25の検出面25aには、
多層のコーン状スリット26が配置されており、このコ
ーン状スリット26の焦点が、一次X線3の光軸に一致
するように配置されている。このように、コーン状スリ
ット26の焦点を、一次X線3の光軸に一致させている
ため、板2の上面2aからの二次X線の進入を抑制して
板厚方向のX線測定分解能の精度向上を図ることができ
るようにしている。
【0036】信号処理装置27は、X線検出器25が二
次X線4を検出している間におけるX線検出器25の移
動距離を検出すると共に、この移動距離と、入射角度と
から、板2の板厚Tを演算する。
【0037】第3の実施の形態では、X線検出器25及
びコーン状スリット26を、支持部20に沿い、一次X
線3の光軸と平行に移動させていく。このとき、コーン
状スリット26の焦点が、位置eと位置fとの間にある
ときには、X線検出器25は二次X線4を検出して検出
信号を出力する。したがって、X線検出器25を移動さ
せていった時に、検出信号が出力されている間での、X
線検出器25の移動距離を信号処理装置27で検出す
る。この検出した移動距離が、位置eと位置fとの距離
に対応する。
【0038】信号処理装置27は、X線検出器25の移
動距離(位置eと位置fとの距離に対応する)と、入射
角度θとを基に、板2の厚さTを演算する。
【0039】図6は本発明の第4の実施の形態に係る板
厚測定装置の要部を示す。本実施の形態では、放射線発
生源としてγ線源31を用いており、このγ線源31は
一次γ線(エネルギーE1 )33を出力する。また、放
射線検出器として、エネルギー分解能を有する半導体や
ガス検出型の一次元または二次元のγ線検出器35を用
いている。このγ線検出器35の検出面35aには、ス
リット36を配置している。なお、ガンマ線検出器35
により検出した二次γ線(エネルギーE2 )34の分布
幅を基に、板2の板厚を検出する信号処理装置は図示省
略している。
【0040】この第4の実施の形態では、γ線検出器3
5により、エネルギー強度がE2 のγ線(つまり、1回
散乱して発生した二次γ線34)のみを選択して検出す
るようにしているので、多重散乱成分(2回目以降に散
乱して発生した成分)をキャンセルすることができ、計
測精度を向上させることができる。その理由を以下に説
明する。
【0041】図7に示すように、入射γ線に対して散乱
γ線は、散乱角εをもって散乱する。このとき、図8に
示すように、散乱後のエネルギーは散乱角εによって変
化する。このため例えば、図6に示すような経路で散乱
が発生すると、図8に示すように、(1)まずエネルギ
ーE1 のγ線により、エネルギーE2 ,E3 ,E5 のγ
線が発生し、(2)エネルギーE3 のγ線によりエネル
ギーE4 のγ線が発生すると共に、エネルギーE5 のγ
線によりエネルギーE6 のγ線が発生する。
【0042】このため、図6に示すように、γ線検出器
35には、エネルギーE1 ,E4 ,E6 のγ線が入射す
る。一方、γ線エネルギーは、図9に示すごとく分布し
ているので、γ線検出器35により、エネルギー強度が
2 のγ線(つまり、1回散乱して発生した二次γ線3
4)のみを選択して検出することにより、多重散乱成分
(2回目以降に散乱して発生した成分、上記例ではエネ
ルギー強度がE4 ,E 6 のγ線)をキャンセルすること
ができ、計測精度を向上させることができるのである。
【0043】なお、スリット36と一次元のγ線検出器
35との組合せの代わりに、アパーチャーと0次元のγ
線検出器との組合せを用いるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】以上実施の形態と共に具体的に説明した
ように、本発明では、測定対象物である板に向けて一次
放射線を照射する放射線発生源と、前記一次放射線が前
記板を透過する際にコンプトン散乱により発生した二次
放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器の
検出面に配置されており、前記板の厚さ方向から発生し
て前記検出面に向かって真っ直ぐに進行してくる二次放
射線のみを通過させるようにスリットが形成されている
スリット部材と、前記放射線検出器により検出した二次
放射線の分布幅と、前記一次放射線が板に入射するとき
の入射角とを基に、前記板の板厚を演算する信号処理装
置と、を有する構成とした。
【0045】かかる構成として、二次放射線の分布幅を
利用して板厚検出をしているため、板厚増加による放射
線強度の飽和があっても、この飽和に影響されることな
く、板厚を正確に検出することができる。
【0046】また本発明では、測定対象物である板に向
けて一次放射線を照射する放射線発生源と、前記一次放
射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱により発生
した二次放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線
検出器の検出面に配置されており、前記板の厚さ方向か
ら発生して前記検出面に向かって真っ直ぐに進行してく
る二次放射線のみを通過させるようにスリットが形成さ
れているスリット部材とが一体に形成された検出ヘッド
部と、この検出ヘッド部を前記放射線発生源を回転中心
として回転できると共に、検出ヘッド部を前記板に向け
て前後方向移動させることのできる支持部と、前記放射
線検出器が第1の位置にあるときにこの放射線検出器が
検出する放射線強度と、前記放射線検出器が第1の位置
から回転して更に前後方向に移動したときに放射線検出
器が検出する放射線強度とが等しくなるように、検出ヘ
ッド部を回転・移動させ、検出ヘッド部の前後移動量と
回転径とを基に、前記一次放射線が板に入射するときの
入射角度に対するズレ角度を演算するズレ角度検出機能
と、前記放射線検出器により検出した二次放射線の分布
幅と、入射角とを基に、前記板の板厚を演算する板厚検
出機能とを持った信号処理装置と、を有することを構成
とした。
【0047】かかる構成として、ズレ角度を演算できる
ので、このズレ角度分だけ入射角度を補正することによ
り、正確に板厚検出ができる。しかも、板が保温材等で
覆われていても、確実にズレ角度の演算ができるので、
保温材を剥がす等の作業が不要になる。
【0048】また本発明では、前記スリット部材の各ス
リットには、多孔穴レンズを挿入した構成とした。かか
る構成としたため、放射線の集光性を高めて分解能を向
上させることができる。
【0049】また本発明では、測定対象物である板に向
けて一次放射線を照射する放射線発生源と、前記一次放
射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱により発生
した二次放射線の強度を検出する放射線検出器と、前記
放射線検出器の検出面に配置されており、焦点が前記一
次放射線の光軸に一致しているコーン状スリットと、前
記放射線検出器を前記一次放射線の光軸に平行な方向に
移動させることができるよう支持する支持部と、前記放
射線検出器を移動させているときに、この放射線検出器
により二次放射線を検出している間における移動距離を
検出し、この移動距離と前記一次放射線が板に入射する
ときの入射角とを基に、前記板の板厚を演算する信号処
理装置と、を有する構成とした。
【0050】かかる構成としたため、放射線検出器の移
動距離と入射角度から、板厚を正確に検出することがで
きる。
【0051】また本発明では、前記放射線発生源は、X
線またはγ線を発生したり、前記放射線検出器は、高感
度なものとするため、マイクロチャンネルプレートまた
はイメージングインテンシファイアで形成されている構
成とした。このようにすることにより、板厚測定がより
正確に実行できる。
【0052】このように本発明では、燃焼炉や煙道な
ど、人やロボットが立ち入ることのできない構造物の内
壁(板)が腐食などで板厚が減少しても、放射線を燃焼
炉や煙道の外部から照射することにより板厚測定を正確
に行うことができる。したがって、従来の測定方法とは
異なり、煙道内に人が入る必要がなく、また、煙道の外
側にある保温材を剥がすことなく、板厚の測定が正確に
できる。併せて、プラントの停止をすることなく、板厚
測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンプトン散
乱による板厚測定装置を示す構成図。
【図2】スリット番号と二次X線強度との関係を示す特
性図。
【図3】多孔穴レンズを備えた格子状スリットを示す構
成図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るコンプトン散
乱による板厚測定装置を示す構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るコンプトン散
乱による板厚測定装置を示す構成図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るコンプトン散
乱による板厚測定装置の要部を示す構成図。
【図7】入射γ線と散乱γ線と散乱角との関係を示す説
明図。
【図8】散乱によってエネルギーが変化することを示す
特性図。
【図9】γ線検出器に入射する散乱γ線のスペクトルの
一例を示す特性図。
【図10】従来の板厚測定装置を示す構成図。
【図11】板厚と散乱X線強度との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 X線源 2 板 2a 上面 2b 下面 3 一次X線 4 二次X線 5,15,25 X線検出器 5a,15a,25a 検出面 6 格子状スリット 26 コーン状スリット 7,17,27 信号処理装置 8 多孔穴レンズ 10 検出ヘッド部 11 支持部 20 支持部 31 γ線源 33 一次γ線 34 二次γ線 35 γ線検出器 35a 検出面 36 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳沢 栄一 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 井手上 和夫 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物である板に向けて一次放射線
    を照射する放射線発生源と、 前記一次放射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱
    により発生した二次放射線を検出する放射線検出器と、 前記放射線検出器の検出面に配置されており、前記板の
    厚さ方向から発生して前記検出面に向かって真っ直ぐに
    進行してくる二次放射線のみを通過させるようにスリッ
    トが形成されているスリット部材と、 前記放射線検出器により検出した二次放射線の分布幅
    と、前記一次放射線が板に入射するときの入射角とを基
    に、前記板の板厚を演算する信号処理装置と、を有する
    ことを特徴とするコンプトン散乱による板厚測定装置。
  2. 【請求項2】 測定対象物である板に向けて一次放射線
    を照射する放射線発生源と、前記一次放射線が前記板を
    透過する際にコンプトン散乱により発生した二次放射線
    を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器の検出面
    に配置されており、前記板の厚さ方向から発生して前記
    検出面に向かって真っ直ぐに進行してくる二次放射線の
    みを通過させるようにスリットが形成されているスリッ
    ト部材とが一体に形成された検出ヘッド部と、 この検出ヘッド部を前記放射線発生源を回転中心として
    回転できると共に、検出ヘッド部を前記板に向けて前後
    方向移動させることのできる支持部と、 前記放射線検出器が第1の位置にあるときにこの放射線
    検出器が検出する放射線強度と、前記放射線検出器が第
    1の位置から回転して更に前後方向に移動したときに放
    射線検出器が検出する放射線強度とが等しくなるよう
    に、検出ヘッド部を回転・移動させ、検出ヘッド部の前
    後移動量と回転径とを基に、前記一次放射線が板に入射
    するときの入射角度に対するズレ角度を演算するズレ角
    度検出機能と、前記放射線検出器により検出した二次放
    射線の分布幅と、入射角とを基に、前記板の板厚を演算
    する板厚検出機能とを持った信号処理装置と、を有する
    ことを特徴とするコンプトン散乱による板厚測定装置。
  3. 【請求項3】 前記スリット部材の各スリットには、多
    孔穴レンズを挿入していることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2のコンプトン散乱による板厚測定装置。
  4. 【請求項4】 測定対象物である板に向けて一次放射線
    を照射する放射線発生源と、 前記一次放射線が前記板を透過する際にコンプトン散乱
    により発生した二次放射線の強度を検出する放射線検出
    器と、 前記放射線検出器の検出面に配置されており、焦点が前
    記一次放射線の光軸に一致しているコーン状スリット
    と、 前記放射線検出器を前記一次放射線の光軸に平行な方向
    に移動させることができるよう支持する支持部と、 前記放射線検出器を移動させているときに、この放射線
    検出器により二次放射線を検出している間における移動
    距離を検出し、この移動距離と前記一次放射線が板に入
    射するときの入射角とを基に、前記板の板厚を演算する
    信号処理装置と、を有することを特徴とするコンプトン
    散乱による板厚測定装置。
  5. 【請求項5】 前記放射線発生源は、X線またはγ線を
    発生することを特徴とする請求項1または請求項2また
    は請求項4のコンプトン散乱による板厚測定装置。
  6. 【請求項6】 前記放射線検出器は、マイクロチャンネ
    ルプレートまたはイメージングインテンシファイアで形
    成されていることを特徴とする請求項1または請求項2
    または請求項4のコンプトン散乱による板厚測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008145300A (ja) * 2006-12-11 2008-06-26 Sharp Corp 蛍光体層厚み判定方法および発光装置の製造方法
JP2015232557A (ja) * 2014-05-12 2015-12-24 一般財団法人電力中央研究所 非破壊検査方法およびその装置
CN117109492A (zh) * 2023-10-23 2023-11-24 北京华力兴科技发展有限责任公司 一种高精度x射线测试方法
CN117109488A (zh) * 2023-10-23 2023-11-24 北京华力兴科技发展有限责任公司 一种高精度x射线测厚仪

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CN117109488B (zh) * 2023-10-23 2024-01-23 北京华力兴科技发展有限责任公司 一种高精度x射线测厚仪
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