JPH11279205A - ヒアルロン酸類製剤の分解抑制方法 - Google Patents

ヒアルロン酸類製剤の分解抑制方法

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JPH11279205A
JPH11279205A JP11985498A JP11985498A JPH11279205A JP H11279205 A JPH11279205 A JP H11279205A JP 11985498 A JP11985498 A JP 11985498A JP 11985498 A JP11985498 A JP 11985498A JP H11279205 A JPH11279205 A JP H11279205A
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JP
Japan
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acid
hyaluronic acid
hyaluronic
sodium
hyaluronate
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JP11985498A
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English (en)
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Nobuhiko Mori
信彦 森
Katsuhiro Kawai
功裕 河合
Toshihiko Umeda
俊彦 梅田
Hiroyuki Kitagawa
広進 北川
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NIPPON TENGANYAKU KENKYUSHO KK
Denka Co Ltd
Nitten Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
NIPPON TENGANYAKU KENKYUSHO KK
Denki Kagaku Kogyo KK
Nitten Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩又はヒアルロ
ン酸とヒアルロン酸塩の混合物を含有する水性製剤にお
いて、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸のナトリウム塩又は
その両者を使用する際に、起こりがちなヒアルロン酸類
の分解による分子量低下を抑制する方法を提供する。 【解決手段】 ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩又はその
両者と、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム又はそ
の両者を含む水性製剤に、エチレンジアミン四酢酸、ジ
エチレントリアミン五酢酸、トランス−1,2−ジアミ
ノシクロヘキサン四酢酸、グリコールエーテルジアミン
四酢酸、クエン酸及びこれらの塩からなる群より選らば
れた少なくとも1種を配合する。更に、水性製剤が眼科
用剤、耳鼻科用剤或いは軟膏剤の主薬である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒアルロン酸、ヒ
アルロン酸塩又はヒアルロン酸とヒアルロン酸塩の混合
物(以下、ヒアルロン酸類という)を含有する水性製剤
において、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸のナトリウム塩
又はデヒドロ酢酸とデヒドロ酢酸ナトリウム塩の混合物
(以下、デヒドロ酢酸類という)を使用する際に認めら
れるヒアルロン酸類の分解による分子量低下を抑制する
方法を提供するものである。
【0002】
【従来技術】ヒアルロン酸は、1934年にMeyer
とPalmerによってウシ硝子体から見出された生体
成分であり、その基本構造はD−グルクロン酸とN−ア
セチル−D−グルコサミンからなる2糖単位が直鎖状に
結合した構造を有し、酸性ムコ多糖類に属する。その後
の研究により、関節液、鶏冠、臍帯、胎盤、皮膚、靭帯
など動物の種々の組織からも見出されている。1942
年Balazsらはヒアルロン酸を関節疾患治療薬とし
て使用することを提案した。最近では、変形性膝関節
症、肩関節周囲炎などの整形外科領域、皮膚用保湿剤と
しての皮膚科領域、白内障等の手術における手術補助
剤、角膜乾燥症などの眼科領域において医薬品として使
用されている。
【0003】一方、デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナト
リウムは通常食品、化粧品及び医薬品等の防腐剤として
も利用されている。医薬品への添加物として、デヒドロ
酢酸は経口投与剤に、デヒドロ酢酸ナトリウムは経口投
与剤、外用剤、殺虫剤、眼科用剤及び耳鼻科用剤につい
てその用途が認められている(医薬品添加物事典、同追
補1995)。デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナトリウ
ムは角膜や皮膚或いは粘膜に対する刺激がほとんどな
く、防腐効果に優れている。このようにデヒドロ酢酸類
の防腐効果は優れているものの、ヒアルロン酸類を主剤
とする水性製剤に添加した場合には、主剤の糖鎖構造が
分解しその分子量低下による粘性の低下が認められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ヒアルロン酸類は用途
に応じ好ましい粘性(分子量)があり、前もって用途に
相応しい粘性のヒアルロン酸類を用いているため、経時
的に粘性が著しく低下することは医薬品の耐久性の面で
好ましくない。本発明者らは、デヒドロ酢酸類を添加し
たヒアルロン酸類を含有する水性製剤における粘性低下
防止方法につき鋭意検討し、ヒアルロン酸類にデヒドロ
酢酸類を添加した溶液であっても、分子量低下による粘
性の低下を抑制する技術を見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は上記課
題を解決することを目的とし、その構成は、ヒアルロン
酸、ヒアルロン酸塩又はその両者と、デヒドロ酢酸、デ
ヒドロ酢酸ナトリウム又はその両者を含む水性製剤に、
エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢
酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、クエン酸及び
これらの塩からなる群より選らばれた少なくとも1種を
配合することを特徴とし、水性製剤が眼科用剤、耳鼻科
用剤或いは軟膏剤の主薬であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるヒアルロン酸
類は、通常ヒト及び動物の治療に用いられているもので
あり、一般に多くは鶏冠由来或いは微生物培養法由来の
ものである。ヒアルロン酸は遊離の状態でも、塩として
も、また遊離酸と塩との混合物としても使用され、その
由来を限定するものではない。ヒアルロン酸塩として
は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びバリ
ウム塩等が挙げられる。また、ヒアルロン酸類の分子量
は特に限定されるものではない。
【0007】本発明に用いられるデヒドロ酢酸類の濃度
は、充分な防腐効果が認められる濃度であれば特に限定
されるものではない。デヒドロ酢酸類の添加濃度はその
用途により異なるが、デヒドロ酢酸ナトリウム0.2〜
0.01%、好ましくは0.15〜0.01%である。
【0008】キレート剤にはエチレンジアミン四酢酸や
ジエチレントリアミン五酢酸に代表されるポリアミノカ
ルボン酸類、クエン酸のようなオキシカルボン酸類など
があり、種々の金属イオンと安定な錯体を形成すること
から、金属イオン濃度の測定、金属イオンのマスキング
或いは金属イオンの分離・精製などに用いられている。
医薬品においては、エチレンジアミン四酢酸の二ナトリ
ウム塩であるエデト酸ナトリウム、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウムとカルシウムの複塩であるエデト酸カ
ルシウム二ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、
クエン酸及びクエン酸ナトリウム等が安定化剤、防腐剤
或いは保存剤として認められている。
【0009】キレート剤の添加濃度も、キレート剤の種
類及び濃度により異なるが、通常0.5〜0.001%
である。本発明においては、医薬品添加物として使用を
認められている濃度以下であれば特に限定されるもので
はない。
【0010】眼科用剤は液剤である点眼剤及び洗眼剤と
眼軟膏剤に大別され、この他に眼科手術補助剤が含まれ
る。点眼剤は結膜嚢に適用する無菌の外用剤であり、化
学的に安定であること、著しく酸性またはアルカリ性で
ないこと、涙液とできるだけ等張であることなどが要求
されることから、通常防腐剤、安定化剤或いは緩衝剤等
が添加されて供給される。眼粘膜に刺激のないpHの範
囲は5〜8であり、薬効、刺激性及び安定性を満足する
適切なpHが選択される。緩衝剤にはリン酸塩、ホウ酸
或いはそのナトリウム塩、ε−アミノカプロン酸等が用
いられ、等張化の目的には主に塩化ナトリウムが用いら
れる。
【0011】耳鼻科用剤は一般外用剤に分類される液剤
であり、点鼻液及び点耳液が挙げられる。点鼻液は通常
滴剤、噴霧剤、洗浄剤の形で用いられ、鼻粘膜への刺激
を低減するために等張或いはやや高張の液である。また
鼻腔内の分泌液のpHは通例5.5〜6.5であり、点
眼剤と同様に薬効、刺激性及び安定性を満足する適切な
pHが選択される。
【0012】軟膏剤は皮膚外用剤の主軸たる製剤であ
り、調製に用いる基剤により油脂性軟膏、乳剤性軟膏及
び水溶性軟膏に分類される。薬品が化学的に安定であり
刺激性が少ないことが要求されることに加え、使用期間
が長く、その間頻繁に蓋が開けられることから防腐効果
を有することが必要である。防腐剤としてパラオキシ安
息香酸エステル類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリ
ウム及びソルビン酸等が使用されている。
【0013】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例1及び比較例1 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量200万) 1.0g 塩化カリウム 1.5g 塩化ナトリウム 5.0g ホウ酸 5.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g エデト酸ナトリウム 0.2g 蒸留水を加えて全量1000ml
【0014】上記処方中、ヒアルロン酸ナトリウムを除
く全てを900mlの蒸留水に溶解させた。溶解後、ヒ
アルロン酸ナトリウムを溶解液に加え、さらに蒸留水を
加えて全量を1000mlとし、ヒアルロン酸ナトリウ
ムを撹拌溶解させた。このヒアルロン酸ナトリウム含有
溶液をロ過滅菌後にバイアルに充填して点眼剤を製造し
た。得られた点眼剤のpHは6.0であった。エデト酸
ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にし
て比較例1の点眼剤を製造した。得られた点眼剤のpH
は6.0であった。
【0015】実施例2及び比較例2 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量100万) 1.0g 塩化カリウム 1.5g 塩化ナトリウム 5.0g ホウ酸 5.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g エデト酸ナトリウム 0.2g 蒸留水を加えて全量1000ml 上記処方を用いて、実施例1と同様にして点眼剤を製造
した。得られた点眼剤のpHは6.0であった。エデト
酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例2と同様に
して比較例2の点眼剤を製造した。得られた点眼剤のp
Hは6.0であった。
【0016】実施例3及び比較例3 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量200万) 1.0g 塩化カリウム 1.5g 塩化ナトリウム 7.0g e−アミノカプロン酸 2.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g エデト酸ナトリウム 0.1g 蒸留水を加えて全量1000ml 上記処方を用いて、実施例1と同様にして点眼剤を製造
した。得られた点眼剤のpHは6.2であった。エデト
酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例3と同様に
して、比較例3の点眼剤を製造した。得られた点眼剤の
pHは6.2であった。
【0017】実施例4及び比較例4 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量100万) 1.0g 塩化カリウム 1.5g 塩化ナトリウム 7.0g e−アミノカプロン酸 2.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g エデト酸ナトリウム 0.1g 蒸留水を加えて全量1000ml 上記処方を用いて、実施例1と同様にして点眼剤を製造
した。得られた点眼剤のpHは6.2であった。エデト
酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例4と同様に
して、比較例4の点眼剤を製造した。得られた点眼剤の
pHは6.2であった。
【0018】実施例5及び比較例5 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量200万) 1.0g 塩化カリウム 1.5g 塩化ナトリウム 4.0g ホウ酸 5.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g クエン酸ナトリウム 5.0g 蒸留水を加えて全量1000ml 上記処方を用いて、実施例1と同様にして点眼剤を製造
した。得られた点眼剤のpHは6.2であった。エデト
酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例5と同様に
して、比較例5の点眼剤を製造した。得られた点眼剤の
pHは6.2であった。
【0019】実施例6及び比較例6 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量100万) 1.0g 塩化ナトリウム 6.0g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g エデト酸ナトリウム 0.1g 蒸留水を加えて全量1000ml 上記処方を用いて、実施例1と同様にして点鼻液を製造
した。得られた点鼻液のpHは6.0であった。エデト
酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例6と同様に
して、比較例6の点鼻液を製造した。得られた点鼻液の
pHは6.0であった。
【0020】実施例7及び比較例7 ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量200万) 0.4g デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2g エデト酸ナトリウム 0.5g 蒸留水 50ml マクロゴール軟膏を加えて全量を100gとした。 デヒドロ酢酸ナトリウム及びエデト酸ナトリウムを40
mlの蒸留水に溶解させた。溶解後、ヒアルロン酸ナト
リウムを溶解液に加え、さらに蒸留水を加えて全量を5
0mlとし、ヒアルロン酸ナトリウムを撹拌溶解させ
た。このヒアルロン酸ナトリウム含有溶液及びマクロゴ
ール軟膏を水浴上で約60℃に加温した後、両者を合わ
せ室温で固まるまでかき混ぜ、プラスチック容器に納め
た。エデト酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例
7と同様にして、比較例7の軟膏を製造した。
【0021】試験方法 点眼剤処方である実施例1〜5及び比較例1〜5をバイ
アルに密封後、60℃で5日間保存した。保存後の液に
つき、日本薬局方第十三改正 一般試験法に記載の粘度
測定法により極限粘度を求めた。極限粘度よりLaur
entの式に従い分子量を算出し、ヒアルロン酸の分解
抑制効果を比較した。結果を表1に示した。点鼻液処方
である実施例6及び比較例6については、点眼剤処方の
場合と同様に比較し、その結果を表1に併記した。軟膏
処方である実施例7及び比較例7をプラスチック容器に
入れ、40℃で2週間保存した。保存後軟膏中のヒアル
ロン酸を抽出し、日本薬局方第十三改正一般試験法に記
載の粘度測定法により極限粘度を求め、点眼剤処方の場
合と同様に分解抑制効果を比較し、その結果を表1に併
記した。なお、表1は保存後の分子量の保存前の分子量
に対する割合を%で示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】ヒアルロン酸類にデヒドロ酢酸類を添加
した水性製剤に、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレン
トリアミン五酢酸、クエン酸又はこれらの塩を添加する
本発明により、ヒアルロン酸類の分解が抑制され、保存
性のよいヒアルロン酸類含有製剤の製造に関しきわめて
有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 俊彦 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 北川 広進 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩又はその
    両者と、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム又はそ
    の両者を含む水性製剤にキレート剤を配合することを特
    徴とするヒアルロン酸類を含有する製剤中のヒアルロン
    酸類の分解抑制方法。
  2. 【請求項2】 キレート剤が、エチレンジアミン四酢
    酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トランス−1,2−
    ジアミノシクロヘキサン四酢酸、グリコールエーテルジ
    アミン四酢酸、クエン酸及びこれらの塩からなる群より
    選らばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項1記載のヒアルロン酸類を含有する製剤中のヒアルロ
    ン酸類の分解抑制方法。
  3. 【請求項3】 水性製剤が眼科用剤である請求項1又は
    2記載のヒアルロン酸類を含有する製剤中のヒアルロン
    酸類の分解抑制方法。
  4. 【請求項4】 水性製剤が耳鼻科用剤である請求項1又
    は2記載のヒアルロン酸類を含有する製剤中のヒアルロ
    ン酸類の分解抑制方法。
  5. 【請求項5】 水性製剤が軟膏剤の主薬である請求項1
    又は2記載のヒアルロン酸類を含有する製剤中のヒアル
    ロン酸類の分解抑制方法。
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Cited By (5)

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