JPH11276189A - 非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖の製造方法

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JPH11276189A
JPH11276189A JP8369498A JP8369498A JPH11276189A JP H11276189 A JPH11276189 A JP H11276189A JP 8369498 A JP8369498 A JP 8369498A JP 8369498 A JP8369498 A JP 8369498A JP H11276189 A JPH11276189 A JP H11276189A
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chitin
water
partially deacetylated
deacetylated chitin
oligosaccharide
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JP8369498A
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English (en)
Inventor
Kimihiko Sato
公彦 佐藤
Shinichi Yoshida
晋一 吉田
Toru Otsuki
徹 大槻
Yoshimori Takamori
吉守 高森
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Sanei Kogyo KK
Tottori Prefectural Government
Original Assignee
Sanei Kogyo KK
Tottori Prefectural Government
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 4量体以上の多量体のオリゴ糖が簡単に、し
かも効率良く得られると共に、コストダウンを図ること
ができる非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質
とする酵素によるオリゴ糖の製造方法を提供する。 【解決手段】 脱アセチル化度が5乃至90%の非晶質
の水溶性部分脱アセチル化キチン2を基質とし、この水
溶性部分脱アセチル化キチン2を、リゾチーム3、キチ
ナーゼ4、又はキトサナーゼ5により加水分解する。前
記水溶性部分脱アセチル化キチン2を、リゾチーム3、
キチナーゼ4、又はキトサナーゼ5により加水分解した
後、N−アセチル化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脱アセチル化度
が5〜90%、即ちN−アセチル−D−グルコサミンと
D−グルコサミンとを構成単位とし、N−アセチル−D
−グルコサミン単位の含量が10〜95%、D−グルコ
サミン単位の含量が90〜5%である非晶質の水溶性部
分脱アセチル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、キチン又はキトサンの7
量体や8量体のオリゴ糖が抗ガン、抗エイズ作用がある
というラットを用いた研究が報告されてから、この分野
の研究が盛んに行われている。
【0003】キチン又はキトサンのオリゴ糖を得るため
の従来のこの種の技術としては、例えば、(1) 図7の模
式図のように表されるキチン7を、図8に示すように、
キチナーゼ4又はリゾチーム3で加水分解する方法、
(2) 図7の模式図のように表されるキトサン9から、図
9に示すように、バチルス属に属する微生物により生産
されるキトサナーゼ5を用いてキトサンオリゴ糖を製造
する方法(特公昭62−30103号公報参照)、(3)
キトサン溶液をペクチナーゼを主成分とする酵素剤で処
理してキトサンオリゴ糖を製造する方法(特公平1−2
91799号公報参照)、(4) 図10に示すように、キ
チン7又はキトサン9を濃塩酸により加熱加水分解する
方法、(5) キトサン分解酵素(キトサナーゼ)をキトサ
ンに作用させる際、反応液のpHを酵素の至適pHより
も低くすることにより特異的に高重合度のキトサンオリ
ゴ糖を得る方法(特公平4−108396号公報参
照)、(6) キトサン分解活性を有する酵素(キトサナー
ゼ)によるキトサン分解反応を、膜透過率が最大に調整
された限外濾過器内で行って高級キトサンオリゴ糖を含
むキトサンオリゴ糖混合物を生成させる方法(特開平5
−68580号公報参照)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1) の方法においては、図8のように、基質となるキチ
ン7が強固な結晶構造を有し、しかも水に溶解しないた
め、キチナーゼ4又はリゾチーム3との親和性が低く、
キチンオリゴ糖の効率的な生産が困難であるという問題
点がある。
【0005】上記(2) や(3) の方法においては、図9の
ように、キトサン9が2量体10や3量体11にまで分
解する又は分解すると考えられるため、多量体のオリゴ
糖を得るのが困難であるという問題点がある。
【0006】上記(4) の方法においては、図10のよう
に、キチン7とキトサン9のいずれをも分解できるが、
生成物のほとんどはグルコサミン(D−グルコサミン)
であり、オリゴ糖の収量が低いという問題点がある。ま
た、80〜100℃程度の高温にまで加熱の必要がある
と共に、排水処理にコストがかかるため、製造コストが
高いという問題点がある。
【0007】上記(5) 及び(6) の方法においては、所定
段階で反応を止める必要があるために反応時間等の条件
を厳密に制御する必要があると共に、酵素として安価な
リゾチームを用いた場合、有効に反応できないためにコ
ストダウンを図りにくいという問題点がある。
【0008】この発明は、以上のような事情や問題点に
鑑みてなされたものであり、4量体以上の多量体のオリ
ゴ糖が簡単に、しかも効率良く得られると共に、コスト
ダウンを図ることができる非晶質の水溶性部分脱アセチ
ル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖の製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段とするところは、第1に、脱アセチル化度が5乃
至90%の非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基
質とし、この水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチ
ーム、キチナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解す
ることにある。
【0010】第2に、脱アセチル化度が5乃至90%の
非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とし、こ
の水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチーム、キチ
ナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解した後、N−
アセチル化することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて説明する。図1(a) 乃至(d) に示すように、
この実施形態に係るキチンオリゴ糖1の製造方法は、脱
アセチル化度が5〜90%の非晶質の水溶性部分脱アセ
チル化キチン2を基質とし、この水溶性部分脱アセチル
化キチン2を、加水分解酵素としてリゾチーム3、キチ
ナーゼ4、又はキトサナーゼ5により加水分解して部分
脱アセチル化キチンオリゴ糖6を生成させた後、N−ア
セチル化するものである。
【0012】前記水溶性部分脱アセチル化キチン2は、
N−アセチル−D−グルコサミン単位(図1(a) 中の
●)の含量が10〜95%、D−グルコサミン単位(図
1(a)中の○)の含量が90〜5%であり、ランダムに
脱アセチル化された非晶質物質である。そのため、脱ア
セチル化度が5〜90%とされたこの水溶性部分脱アセ
チル化キチン2は、冷水、氷水、水、及び希酸に膨潤し
易い。
【0013】この水溶性部分脱アセチル化キチン2を調
製するには、例えば図1(a) に示すように、まず、キチ
ン7の粉末を所定濃度のアルカリ水溶液に分散させ、こ
れに氷を加えて攪拌するか、又は、分散液を直接凍結
し、次に解凍する操作を繰り返して、アルカリキチンド
ープ8を調製する。なお、このアルカリキチンドープ8
には、生成する水溶性部分脱アセチル化キチン2の分子
量低下を抑えるために、必要に応じてチオフェノールや
NaBH4 等をあらかじめ添加しておいてもよい。
【0014】前記アルカリ水溶液としては、アルカリ金
属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸アルカリ
金属塩等の水溶液を使用すればよいが、特にNaOH、
KOHの水溶液が望ましい。
【0015】前記アルカリキチンドープ8を用いて均一
系反応で脱アセチル化度を5〜90%とするには、必要
に応じて、このアルカリキチンドープ8を50℃以下で
所定時間熟成させればよい。
【0016】次いで、脱アセチル化度が5〜90%とな
った水溶性部分脱アセチル化キチン2のアルカリ水溶液
を塩酸等の酸で中和するか、又は、アルコール類、イオ
ン交換樹脂等で脱アルカリする。その後、アセトン、メ
タノール等の有機溶媒中に滴下すれば水溶性部分脱アセ
チル化キチン2が沈殿してくるので、これを濾別し、水
−メタノール混合溶媒で充分に洗浄して脱塩等を行え
ば、精製品を得ることができる。
【0017】なお、この水溶性部分脱アセチル化キチン
2の調製には、例えば、この出願の発明者らが過去の特
許出願(特願平9−161223号)で開示している製
造方法等を好適に利用することができる。
【0018】即ち、タンパク質含量が0.1重量%以
下、無機物含量が0.01重量%以下の高純度キチンを
50℃以下で均一系においてアルカリ加水分解する際
に、アルカリキチンドープの粘度を400cps 以下とし
て、キチンの脱アセチル化率が35〜65%となるよう
に部分脱アセチル化し、次いで酸で中和するか又はアル
コール類、イオン交換樹脂等で脱アルカリすることによ
って水溶性部分脱アセチル化キチン2を得る場合には、
キチン7粉末の粒度が50メッシュより粗い場合でも効
率良くアルカリキチンドープ8を調製でき、そのため、
粉砕の手間や時間等をより節約できるという利点があ
る。また、アルカリキチンドープ8を調製した後におい
ては、濾過を行わないでそのまま熟成可能であるという
利点もある。
【0019】そして、アルカリキチンドープ8の粘度を
400cps 以下としているので、キチン7の脱アセチル
化度が35〜65%となるまでに要する熟成時間をより
短縮化できるという利点がある。ここで、脱アセチル化
度が5〜35%、又は65〜90%の水溶性部分脱アセ
チル化キチン2を得るには、アルカリキチンドープ8の
粘度や熟成時間等を適宜に調整すればよい。
【0020】図1(c) に示すように、前記キチナーゼ4
は、上記のようにして調製される水溶性部分脱アセチル
化キチン2の分子中に存在するN−アセチルグルコサミ
ニド結合の部分(図1(c) 中の●と●の間)をランダム
に加水分解する。図1(b) に示すように、前記リゾチー
ム3は、キチナーゼ4と同様の反応を触媒するが、N−
アセチル−D−グルコサミンが3分子以上連なった部分
に作用し易い点が異なる。一方、図1(d) に示すよう
に、前記キトサナーゼ5は、グルコサミニド結合の部分
(図1(d) 中の○と○の間)をランダムに加水分解す
る。
【0021】前記加水分解を行うには、水溶性部分脱ア
セチル化キチン2を0.1〜数%程度の濃度で水に分散
させた後、適宜の加水分解酵素を添加し、36〜37℃
程度で数時間〜数十時間振とう等して反応させればよ
い。反応を停止するには、例えば数分間、沸騰水中で加
熱等して、加水分解酵素を失活させればよい。
【0022】次いで、図1(b) 乃至(d) に示すように、
このようにして生成する部分脱アセチル化キチンオリゴ
糖6をN−アセチル化すれば、キチンオリゴ糖1を得る
ことができる。このN−アセチル化に用いるアセチル化
剤としては、例えば、塩化アセチル、無水酢酸、氷酢酸
等が挙げられる。なお、このようなアセチル化剤を作用
させて糖分子中のアミノ基と共に水酸基もアセチル化さ
れた場合には、アルカリ水溶液等で脱アセチル処理を行
って水酸基のアセチル基を脱離させておけばよい。
【0023】ここで、前記加水分解酵素としては、リゾ
チーム3、キチナーゼ4、又はキトサナーゼ5をそれぞ
れ単独で作用させることが望ましい。また、リゾチーム
3又はキトサナーゼ5を作用させる場合においてより高
重合度の多量体の収量を増加させるには、水溶性部分脱
アセチル化キチン2の脱アセチル化度をリゾチーム3で
は好ましくは20〜30%程度、キトサナーゼ5では好
ましくは60〜80%程度としておくのが望ましい。
【0024】このように、前記水溶性部分脱アセチル化
キチン2を基質とし、この水溶性部分脱アセチル化キチ
ン2を、リゾチーム3、キチナーゼ4、又はキトサナー
ゼ5により加水分解するので、2量体や3量体に加え、
4量体以上の多量体の部分脱アセチル化キチンオリゴ糖
6をも得ることができる。また、水溶性部分脱アセチル
化キチン2は水に膨潤すると共に、前記加水分解酵素と
の親和性も高いので、部分脱アセチル化キチンオリゴ糖
6の製造を効率良く行えるという利点がある。更に、加
水分解反応がある程度進行すれば反応速度が極めて遅く
なるため、反応時間等の条件を厳密に制御する必要はな
く、製造が簡単であるという利点がある。加えて、安価
なリゾチーム3を使用でき、しかも高温にまで加熱する
必要がないと共に、排水処理コストも安いため、コスト
ダウンを図ることができるという利点がある。
【0025】更に、前記部分脱アセチル化キチンオリゴ
糖6をN−アセチル化するだけでよいので、キチンオリ
ゴ糖1の製造も簡単であるという利点がある。
【0026】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明するが、この発明は係る実施例に限定されるものでは
ない。
【0027】〔非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチン
の調製〕図2に示すように、5.0g(絶乾重量)のキ
チンTC−L(商品名,三栄工業社製)を強アルカリ
(NaOH50g/蒸留水75g)になじませるように
浸漬し、室温で12時間放置した。その後、375gの
砕いた氷を入れ、氷が完全に溶けるまで(約3時間)室
温で攪拌してアルカリキチンドープを調製した。
【0028】このアルカリキチンドープを容器に入れた
まま30℃の恒温器中に所定時間静置、熟成させて部分
脱アセチル化(均一系反応)した後、後処理を行った。
後処理は、中和熱を抑えるために350gの氷を入れ、
114gの濃塩酸で中和した。この際、塩酸酸性となっ
てキチンが塩酸塩にならないように、中和の終点をpH
8.4にとどめた。
【0029】なお、前記部分脱アセチル化の反応時間を
24、48、72時間と変えることによって、脱アセチ
ル化度が30.9%(DAC30)、48.1%(DA
C50)、68.0%(DAC70)の水溶性部分脱ア
セチル化キチンをそれぞれ得た。
【0030】〔酵素による加水分解〕図3に示すよう
に、10mLの水溶性部分脱アセチル化キチン(図3中
で「均一DAC」と表す。)0.1M酢酸ナトリウム緩
衝溶液(pH6.0)(濃度0.441%)に加水分解
酵素を6.6mg加え、37℃で24時間振とうした。
なお、加水分解酵素には、市販のリゾチーム、キチナー
ゼ、及びキトサナーゼ(いずれも和光純薬社製)を精製
せずにそのまま用いた。その後、反応液を3分間、沸騰
水中で加熱し、加水分解酵素を失活させて反応を停止し
た。この操作を水溶性部分脱アセチル化キチン及び加水
分解酵素の種類を変えてそれぞれ行った。また、加水分
解酵素を添加しない溶液についても同様の操作をそれぞ
れ行った。
【0031】〔還元糖量の測定〕還元糖(部分脱アセチ
ル化キチンオリゴ糖)量は、Schales の変法により測定
した。その結果を表1に示す。即ち、反応液1.5mL
を試験管にとり、フェリシアン化カリウム溶液(フェリ
シアン化カリウム0.5gを0.5M炭酸ナトリウムに
溶解して1.0Lにしたもの)2.0mLを加えてアル
ミホイルで蓋をした後、15分間煮沸した。次いで、室
温まで冷却した後、420nmにおける吸光度を測定し
た。なお、標品としてN−アセチル−D−グルコサミン
又はD−グルコサミンを用いて同様の反応を行い、検量
線を作成した。
【0032】
【表1】
【0033】〔分子量分布の測定〕加水分解酵素処理に
よって生成した反応液中の水溶性部分脱アセチル化キチ
ン分解物の分子量分布は、HPLC(高速液体クロマト
グラフィー)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー〔カ
ラム:Shodex TSK-GEL GMPWXL(4.5mm ×25cm;2本連
結),TSK guard column PWXL,溶出液:(0.5M酢
酸+0.5M酢酸ナトリウム)混合液,流速:1.0mL
/min,検出:示差屈折,分析温度:30℃〕により測定
した。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表1及び表2から明らかなように、キチナ
ーゼの場合が最も分解が進行しており、リゾチーム、キ
トサナーゼの順で還元糖量が多くなった。但し、リゾチ
ーム及びキチナーゼでは脱アセチル化度が低い方が分解
が進行しており、キトサナーゼでは逆に脱アセチル化度
が高い方が分解が進行していた。このように、酵素特有
の基質特異性による分解の特徴が示されていた。また、
キチナーゼの場合は、分子量の低下が他の酵素の場合よ
りもかなり大きいという結果が得られた。なお、同様の
操作を、加水分解反応の時間を短縮又は延長して24時
間以外の種々の反応時間でも行ったが、ほぼ同様の結果
が得られた。
【0036】〔オリゴ糖組成の分析〕加水分解酵素処理
によって生成した部分脱アセチル化キチンオリゴ糖は、
図3に示すように、加水分解反応の後にN−アセチル化
を行って、キチンオリゴ糖として検出した。即ち、反応
液1.0mLを凍結乾燥した後、ピリジン及び無水酢酸
を1.0mLずつ加え、一昼夜攪拌した。その後、反応
液をn−ヘキサン中に注加し、遠心分離を行った。この
操作を繰り返して沈殿を集め、真空乾燥した。なお、糖
分子中の水酸基に結合したアセチル基を脱離させるた
め、固形分に5%NaOHを加え、90分間攪拌した
後、塩酸で中和した。不溶分を0.45μmのフィルタ
ーで除去した後、HPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)〔カラム:YMC-Pack PA 03(4.5mm ×25cm),溶出
液:アセトニトリル/水=70/30,流速:1.0mL
/min,検出:210nm,分析温度:30℃〕により分
析した。その結果を図4乃至図6にそれぞれ示す。
【0037】上記HPLCによる分析結果から、キチナ
ーゼでは5量体までのキチンオリゴ糖が生成していた。
キトサナーゼではDAC70で7量体までの生成が認め
られ、リゾチームではDAC30で7量体までの生成が
認められた。即ち、キトサナーゼとリゾチームでより高
重合度のオリゴ糖の生成が認められ、基質特異性に依存
したと考えられる結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、前記水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチー
ム、キチナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解する
ので、2量体や3量体に加え、4量体以上の多量体の部
分脱アセチル化キチンオリゴ糖をも効率良く得ることが
できる。また、水溶性部分脱アセチル化キチンは水に膨
潤すると共に、前記加水分解酵素との親和性も高いの
で、部分脱アセチル化キチンオリゴ糖の製造を効率良く
行えるという利点がある。更に、加水分解反応がある程
度進行すれば反応速度が極めて遅くなるため、反応時間
等の条件を厳密に制御する必要はなく、製造が簡単であ
るという利点がある。加えて、安価なリゾチームを使用
でき、しかも高温にまで加熱する必要がないと共に、排
水処理コストも安いため、コストダウンを図ることがで
きるという利点がある。
【0039】請求項2の発明によれば、前記加水分解酵
素により加水分解した後、生成する部分脱アセチル化キ
チンオリゴ糖をN−アセチル化するだけでよいので、キ
チンオリゴ糖の製造が簡単であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチン
の調製方法を示す模式図、(b)はリゾチーム処理による
キチンオリゴ糖の製造方法を示す模式図、(c) はキチナ
ーゼ処理によるキチンオリゴ糖の製造方法を示す模式
図、(d) はキトサナーゼ処理によるキチンオリゴ糖の製
造方法を示す模式図。
【図2】均一系反応を用いた脱アセチル化度の異なる水
溶性部分脱アセチル化キチンの調製方法を示すフローチ
ャート。
【図3】酵素による水溶性部分脱アセチル化キチンの分
解及び反応生成物の分析方法を示すフローチャート。
【図4】リゾチーム処理により生成した低分子化物(部
分脱アセチル化キチンオリゴ糖)のN−アセチル化物
(キチンオリゴ糖)のHPLCチャート。
【図5】キチナーゼ処理により生成した低分子化物(部
分脱アセチル化キチンオリゴ糖)のN−アセチル化物
(キチンオリゴ糖)のHPLCチャート。
【図6】キトサナーゼ処理により生成した低分子化物
(部分脱アセチル化キチンオリゴ糖)のN−アセチル化
物(キチンオリゴ糖)のHPLCチャート。
【図7】キチン分子とキトサン分子の模式図。
【図8】従来例(1) を示す模式図。
【図9】従来例(2)((3))を示す模式図。
【図10】従来例(4) を示す模式図。
【符号の説明】
1 キチンオリゴ糖 2 水溶性部分脱アセチル化キチン 3 リゾチーム 4 キチナーゼ 5 キトサナーゼ 6 部分脱アセチル化キチンオリゴ糖
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段とするところは、第1に、キチンを均一系反応に
よりランダムに脱アセチル化した脱アセチル化度が5乃
至90%の非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基
質とし、この水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチ
ーム、キチナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解す
ることにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】第2に、キチンを均一系反応によりランダ
ムに脱アセチル化した脱アセチル化度が5乃至90%の
非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とし、こ
の水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチーム、キチ
ナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解した後、N−
アセチル化することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】前記水溶性部分脱アセチル化キチン2は、
N−アセチル−D−グルコサミン単位(図1(a) 中の
●)の含量が10〜95%、D−グルコサミン単位(図
1(a)中の○)の含量が90〜5%であり、キチン7を
均一系反応によりランダムに脱アセチル化した非晶質物
質である。そのため、脱アセチル化度が5〜90%とさ
れたこの水溶性部分脱アセチル化キチン2は、希酸の
他、冷水、氷水、及び水にも膨潤し易い。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】このように、前記水溶性部分脱アセチル化
キチン2を基質とし、この水溶性部分脱アセチル化キチ
ン2を、リゾチーム3、キチナーゼ4、又はキトサナー
ゼ5により加水分解するので、2量体や3量体に加え、
4量体以上の多量体の部分脱アセチル化キチンオリゴ糖
6をも得ることができる。また、キチン7を均一系反応
によりランダムに脱アセチル化した非晶質の水溶性部分
脱アセチル化キチン2は、希酸の他、水、冷水、氷水に
膨潤するので、製造の自由度が高く、単なる水溶液を
使用すればコストダウンを図ることもできるという利点
がある。更に、前記加水分解酵素との親和性も高いの
で、部分脱アセチル化キチンオリゴ糖6の製造を効率良
く行えるという利点がある。また、加水分解反応がある
程度進行すれば反応速度が極めて遅くなるため、反応時
間等の条件を厳密に制御する必要はなく、製造が簡単で
あるという利点がある。加えて、安価なリゾチーム3を
使用でき、しかも高温にまで加熱する必要がないと共
に、排水処理コストも安いため、コストダウンを図るこ
とができるという利点がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、前記水溶性部分脱アセチル化キチンを、リゾチー
ム、キチナーゼ、又はキトサナーゼにより加水分解する
ので、2量体や3量体に加え、4量体以上の多量体の部
分脱アセチル化キチンオリゴ糖をも効率良く得ることが
できる。また、キチンを均一系反応によりランダムに脱
アセチル化した非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチン
、希酸の他、水、冷水、氷水にも膨潤するので、製造
の自由度が高く、単なる水溶液を使用すればコストダウ
ンを図ることもできるという利点がある。更に、前記加
水分解酵素との親和性も高いので、部分脱アセチル化キ
チンオリゴ糖6の製造を効率良く行えるという利点があ
る。また、加水分解反応がある程度進行すれば反応速度
が極めて遅くなるため、反応時間等の条件を厳密に制御
する必要はなく、製造が簡単であるという利点がある。
加えて、安価なリゾチームを使用でき、しかも高温にま
で加熱する必要がないと共に、排水処理コストも安いた
め、コストダウンを図ることができるという利点があ
る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】請求項2の発明によれば、前記加水分解酵
素により加水分解した後、生成する部分脱アセチル化キ
チンオリゴ糖をN−アセチル化するだけでよいので、
求項1の効果に加え、キチンオリゴ糖の製造が簡単であ
るという利点がある。
フロントページの続き (72)発明者 高森 吉守 鳥取県米子市旗ケ崎4丁目6番35号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱アセチル化度が5乃至90%の非晶質
    の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とし、この水溶
    性部分脱アセチル化キチンを、リゾチーム、キチナー
    ゼ、又はキトサナーゼにより加水分解することを特徴と
    する非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とす
    る酵素によるオリゴ糖の製造方法
  2. 【請求項2】 脱アセチル化度が5乃至90%の非晶質
    の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とし、この水溶
    性部分脱アセチル化キチンを、リゾチーム、キチナー
    ゼ、又はキトサナーゼにより加水分解した後、N−アセ
    チル化することを特徴とする非晶質の水溶性部分脱アセ
    チル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖の製造方
JP8369498A 1998-03-30 1998-03-30 非晶質の水溶性部分脱アセチル化キチンを基質とする酵素によるオリゴ糖の製造方法 Pending JPH11276189A (ja)

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