JPH11276181A - フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子 - Google Patents

フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子

Info

Publication number
JPH11276181A
JPH11276181A JP10125171A JP12517198A JPH11276181A JP H11276181 A JPH11276181 A JP H11276181A JP 10125171 A JP10125171 A JP 10125171A JP 12517198 A JP12517198 A JP 12517198A JP H11276181 A JPH11276181 A JP H11276181A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
dna
expression
plant
transcription factor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10125171A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3444191B2 (ja
Inventor
Akiyoshi Kawaoka
明義 河岡
Hiroyasu Ebinuma
宏安 海老沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP12517198A priority Critical patent/JP3444191B2/ja
Application filed by Nippon Paper Industries Co Ltd, Jujo Paper Co Ltd filed Critical Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority to DE69925778T priority patent/DE69925778T2/de
Priority to ES99106556T priority patent/ES2241202T3/es
Priority to CA002264962A priority patent/CA2264962C/en
Priority to EP99106556A priority patent/EP0953645B1/en
Priority to CNB991049047A priority patent/CN1152961C/zh
Priority to AU22570/99A priority patent/AU747692B2/en
Priority to US09/282,146 priority patent/US6303847B1/en
Publication of JPH11276181A publication Critical patent/JPH11276181A/ja
Priority to US09/928,412 priority patent/US20020123623A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3444191B2 publication Critical patent/JP3444191B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8242Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits
    • C12N15/8243Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with non-agronomic quality (output) traits, e.g. for industrial processing; Value added, non-agronomic traits involving biosynthetic or metabolic pathways, i.e. metabolic engineering, e.g. nicotine, caffeine

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物のフェニルプロパノイド生合成経路に関
与する特定の遺伝子の発現を、的確に促進・抑制する。 【解決手段】 シナミルアルコールデヒドロゲナーゼ遺
伝子、カルコン酸シンセターゼ遺伝子、4−クマル酸C
oAリガーゼ遺伝子、フェニルアラニンアンモニアリア
ーゼ遺伝子、ペルオキシダーゼ遺伝子等が有する5′上
流非翻訳領域の共通配列に結合し、その発現を促進する
転写因子をコードするDNAを、センス又はアンチセン
ス方向に植物細胞に導入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェニルプロパノ
イド生合成に関与する遺伝子群の発現を制御する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年の植物分子生物学の発展に伴い、セ
ンス遺伝子やアンチセンス遺伝子を利用し、病虫害抵抗
性や除草剤耐性などの有用形質を備えた植物品種等を育
種することが可能となってきた。即ち、目的の形質の発
現に関与する遺伝子を、植物で発現可能なプロモーター
にセンス方向又はアンチセンス方向に連結してキメラ遺
伝子を作成し、これをベクターとして植物に導入するこ
とにより、その目的形質の発現を促進、抑制するのであ
る。現在既に、かかる手法を応用して、例えば、Bac
illus thuringensis由来の殺虫性B
T毒素遺伝子をセンス方向に導入した病虫害抵抗性植物
(D.A.Fischhoff等、Bio/Techn
ology、vol.232、p.738−743、1
987)や、トマト果実の過熟に関するポリガラクツロ
ナーゼ遺伝子をアンチセンス方向に導入した日持ち良好
なトマト(C.J.Smith等、Nature、vo
l.334、p.724−727、988)等が作出さ
れている。
【0003】こうした手法を用いた場合、通常、センス
遺伝子(目的形質を発現する遺伝子であって、プロモー
ターにセンス方向に連結された遺伝子)が導入された植
物体では、その目的とする形質の発現が促進され、アン
チセンス遺伝子(センス遺伝子と同じ遺伝子であるが、
これがプロモーターにアンチセンス方向に連結された遺
伝子)が導入された植物体では目的形質の発現の抑制が
起こる。アンチセンス遺伝子の導入により目的形質の発
現が抑制されるのは、植物細胞において、この遺伝子を
鋳型として作られるRNAが、目的形質の発現に関与す
るその植物本来の遺伝子に由来するmRNAと相補的に
結合し、以後のタンパク質合成を阻害するためである。
【0004】しかし、植物の多くの遺伝子は小多重遺伝
子族(multi−gene family)を形成し
ており、こうした族を形成する遺伝子は、それぞれ互い
に、非常に高いヌクレオチド配列の相同性を示す。従っ
て、かかる遺伝子の発現をアンチセンス法を用いて抑制
しようとしても、アンチセンス遺伝子のRNAは、この
小多重遺伝子族を形成する他の多くの遺伝子のmRNA
ともランダムに結合してしまってその発現を抑制するた
め、目的とする遺伝子の発現のみを抑制することができ
ずに様々なパターンの形質発現抑制が引起こされ、期待
したものとは全く異なる結果を生ずることがあった。
【0005】一方、フェニルプロパノイド生合成経路
は、植物に特異的に存在する複雑に枝分かれした反応系
であり、リグニンやスベリンなどの細胞壁の構成成分、
花の色素、抗菌活性物質の生合成等に関わっている。ま
た、かかる生合成経路を経て得られるフェニルプロパノ
イドの誘導体は、UV保護剤、防虫剤等にも利用し得
る。従って、このフェニルプロパノイド生合成経路に関
与する遺伝子の発現を的確に促進・抑制できれば、この
生合成経路をコントロールし、リグニン低含量樹木の作
出や有用物質の大量生産等も可能となるが、この場合も
また、上記した遺伝子間の相同性の問題から、アンチセ
ンス法によるそのコントロールは困難であった。例え
ば、フェニルプロパノイド生合成経路にて働く酵素であ
る、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)や
ペルオキシダーゼ(PRX)の遺伝子をアンチセンス方
向に導入した形質転換植物は、生長阻害などの多面的な
抑制効果を示し(M.M.Campbell and
R.R.Sederoff、Plant Physio
l.、vol.110,.p.3−13、1996)、
また、カフェー酸O−メチルトランスフェラーゼ遺伝子
をアンチセンス方向に導入したタバコにおいては、期待
したリグニン含量の変化が検出されなかったことが報告
されている(W.Ni et al.、Transge
n.Res.、vol.3、p.120−126、19
94)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記、従来
技術の有する問題点に鑑み、植物のフェニルプロパノイ
ド生合成経路に関与する特定の遺伝子の発現を、的確に
促進・抑制することのできるDNA及びベクターを提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、フェニルプロパノ
イド生合成経路に関与する特定の遺伝子群、即ち、シナ
ミルアルコールデヒドロゲナーゼ(CAD)遺伝子、カ
ルコン酸シンセターゼ(CHS)遺伝子、4−クマル酸
CoAリガーゼ(4CL)遺伝子、PAL遺伝子、PR
X遺伝子等において、5′上流非翻訳領域に、その発現
を制御する配列が存在すること、そしてその配列が、こ
れらの異なる遺伝子間で極めて高い相同性を有している
ことに着目し、この共通配列に結合してこれらの遺伝子
の転写を促進する因子(以下、単に転写因子と言う。)
を単離し、これをコードするDNAをセンス遺伝子、あ
るいはアンチセンス遺伝子として植物体に導入すること
により、これらの遺伝子群の発現が確実に促進・抑制さ
れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明の上記課題は、この転写因子
をコードするDNA、具体的には配列番号1に示す塩基
配列からなるDNA、このDNAとストリンジェントな
条件でハイブリダイズし、かつフェニルプロパノイド生
合成経路を制御する転写因子をコードするDNA、及び
これらのDNAを有する組替えベクターにより解決され
る。なお、ここでストリンジェントな条件としては、緩
衝液として6×SSC(0.9M NaCl、0.09
M クエン酸ナトリウム)、温度55℃を採用する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0010】フェニルプロパノイド生合成経路は広く植
物界に共通して保存されているため、これに関与する遺
伝子であるCAD遺伝子等の遺伝子、そして、これらの
遺伝子の発現を制御する転写因子も多くの植物が共通し
て有している。従って、本発明のDNAは、草本・木本
を問わず、定法に従い、多くの植物から単離することが
できる。また、本発明のDNAは、ホスファイトトリエ
ステル法(H.Hunkapiller等、Natur
e、vol.310、p.105−111、1984)
等の一般的な方法により、化学合成して得ることもでき
る。
【0011】得られたDNAは、植物にて発現可能なプ
ロモーター、例えば、カリフラワーモザイクウィルスの
35Sプロモーター(CaMV35Sプロモーター)、
ノパリンシンセターゼのプロモーター、リブロース2リ
ン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの小サブユニッ
トのプロモーター等の下流域にセンス方向、あるいはア
ンチセンス方向に連結して使用する。なお、目的遺伝子
(本発明において、発現の促進あるいは発現の抑制を図
る対象となる遺伝子)の発現を促進するためには本発明
のDNAをセンス方向にプロモーターに連結し、逆に、
目的遺伝子の発現を抑制するためには本発明のDNAを
アンチセンス方向にプロモーターに連結する。また、目
的遺伝子の発現促進を図る場合には、プロモーターにセ
ンス方向に連結した本発明のDNAと共に、その目的遺
伝子を他のプロモーターの下流域に連結したものを、一
つのベクターに組込み、あるいは、別個のベクターとし
て植物細胞に導入してもよい。
【0012】プロモーターに連結されたDNAは、マイ
クロインジェクション法、エレクトロポレーション法、
ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティッ
クベネトレーション法等を用いて、そのまま植物細胞に
直接導入することもできるが、植物への遺伝子導入用プ
ラスミドに組込み、これをベクターとして、植物感染能
のあるウィルスや細菌を介して間接的に植物細胞に導入
することもできる。かかるウィルスとしては、例えば、
カリフラワーモザイクウィルス、ジェミニウィルス、タ
バコモザイクウィルス、ブロムモザイクウィルス等が使
用でき、また、細菌としては、アグロバクテリウム・ツ
メファシエンス(Agrobacterium tum
efaciens 以下、A.ツメファシエンスと略
す。)、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agro
bacterium rhizogenes)等を使用
することができる。A.ツメファシエンスを用いるアグ
ロバクテリウム法により、植物への遺伝子導入を行う場
合には、かかるプラスミドとして、例えばpBI10
1、pBI121(いずれもClontech社)等を
用いることができる。
【0013】本発明において、目的遺伝子の発現が促進
・抑制された植物体は、上記のような方法により本発明
のDNAが導入された植物細胞を、増殖・再分化させる
ことにより得ることができる。かかる植物細胞の増殖・
再分化のための条件は、植物の種類等に応じて適当に選
択してやればよい。
【0014】本発明のDNA及びこれを組込んだベクタ
ーは、CAD遺伝子、CHS遺伝子、4CL遺伝子、P
AL遺伝子、PRX遺伝子等の発現を促進・抑制するこ
とができる。さらに、これらの遺伝子に限らず、これら
が有する前記共通配列がその転写調節領域に存在してい
る遺伝子であれば、いずれも、本発明のDNA及びベク
ターによりその発現を制御することができる。
【0015】また、本発明により遺伝子の発現を促進・
抑制できる植物も、特に限定されない。基本的に、フェ
ニルプロパノイド生合成経路を有する植物であれば、本
発明の効果を得ることができると考えられる。例えば、
タバコを始め、イネ、アラビドプシス、ペチュニア等の
草本植物、ポプラ、ユーカリ、アカシア、スギ、マツ等
の木本植物に本発明は適用することができる。
【0016】
【作用】フェニルプロパノイド生合成経路に関与する遺
伝子に関しては、種々の植物種において、表1に示すよ
うな共通配列が見出されている(なお、表中、共通配列
の欄に記載された数字は、転写開始点からの距離(単位
はbp)を示す。)。
【0017】
【表1】
【0018】従って、この共通配列に結合する転写因子
は、これらの遺伝子群においてほぼ同様の構造をしてお
り、加えて、かかる転写因子をコードするDNAもま
た、互いに相同性の高い塩基配列を有していると考えら
れる。それゆえ、本発明のDNAは、植物やその転写因
子が働く遺伝子の種類を問わず、この共通配列を有する
CAD遺伝子、CHS遺伝子、4CL遺伝子、PAL遺
伝子、PRX遺伝子等の全てについて特異的に、その発
現を促進し、あるいは抑制することができるのである。
【0019】即ち、本発明のDNAをセンス遺伝子とし
て植物体に導入した場合、その植物本来の転写因子に加
え、この遺伝子からも、その植物において上記共通配列
に結合し得る転写因子が合成される。これは、この遺伝
子が導入された植物の種類に関わらない。この結果、そ
の植物体内において、転写因子の発現量が全体として増
大し、より高い頻度でこれらの転写因子が共通配列に結
合するため、この配列を転写調節領域に有する遺伝子の
発現は促進されることとなるのである。
【0020】一方、本発明のDNAをアンチセンス遺伝
子として植物体に導入した場合は、植物体内において、
この遺伝子を鋳型として作られるRNAが、その植物が
本来有する転写因子の遺伝子に由来するmRNAと相補
的に結合し、転写因子の合成を阻害する。この結果、転
写因子の発現量が減少し、上記共通配列へのその結合が
起こり難くなるため、この配列を転写調節領域に有する
遺伝子の発現は抑制されることとなるのである。
【0021】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。
【0022】[実施例1]1.タバコmRNAの単離、精製 種子発芽後、温室にて約1ヵ月間生育させたタバコの葉
約10gを、液体窒素存在下で粉砕し、その全RNAを
Chomcznskiらの方法で抽出した。
【0023】得られた全RNAは、二炭酸ジエチル0.
2%を含む滅菌水に溶解し、温度65℃で5分間保温し
た後、当量の2倍量のローディング緩衝液(20mM
Tris−Hcl、pH7.6、0.1M NaCl、
1mM EDTA、0.1%SDS)を加えて希釈し、
予め活性化させておいたオリゴdTセルロースカラムに
アプライした。次いで、このカラムを、カラム容量の5
〜10倍量のローディング緩衝液、さらに、5倍量の洗
浄緩衝液(20mM Tris−Hcl、pH7.6、
0.5M NaCl、1mM EDTA、0.1% S
DS)を用いて洗浄した。溶出は、カラム容量に対して
2〜3倍量の溶出緩衝液(10mMTris−Hcl、
pH7.6、1mM EDTA、0.05% SDS)
をこのカラムに流すことにより行い、精製されたmRN
A10mgを得た。
【0024】2.cDNAライブラリーの作成 1で得られたmRNAより、Gubler & Hof
fmanの方法(Gubler et al.、vo
l.25、p263−269、1983)に従い、オリ
ゴdTプライマーを用いてcDNAを合成した。このc
DNAをファージDNAλgt11のEcoRI部位に
挿入した後、ラムダファージ外被タンパク(Gigap
ack II packaging extract
s、Stratagene社より市販。)を用いてin
vitroパッケージングを行い、組換えラムダファ
ージを得た。
【0025】一方、大腸菌Y−1090株を10mlの
LBMM培地(トリプトン1%、食塩1%、酵母エキス
0.5%、硫酸マグネシウム10mM及びマルトース
0.4%)に接種し、37℃で12時間振とうして前培
養した。前培養後、遠心分離により菌体を集め、これを
予め4℃に冷却された10mMの硫酸マグネシウム10
mlに懸濁し、ラムダファージを感染しやすくしておい
た。
【0026】感染は、こうして得られた大腸菌に上記組
換えラムダファージを混和し、37℃、15分間放置す
ることにより行った。
【0027】3.転写因子のスクリーニング 組換えラムダファージを感染させた大腸菌Y−1090
は、1.5%寒天を含むLBMM培地上にて37℃で培
養した。そして約4時間後、プラークの発生が観察され
たところで、この培養プレート上に、予め10mMイソ
プロピルチオガラクトシド(IPTG)に浸して風乾し
ておいたナイロンメンブランフィルター(Hybond
−N(Amersham社))を載置し、37℃、一晩
放置後、これを取り除けた。次いで、このナイロンメン
ブランフィルターを、5%スキムミルクを含む結合緩衝
液(10mM Hepes、pH7.5、50mM N
aCl、 1mM EDTA)中に4℃、1時間浸漬し
てブロッキングし、さらに、同じ結合緩衝液にスクリー
ニングのためのプローブを加えたものに再度浸漬して、
4℃で2時間、このプローブと転写因子との結合反応を
行った。
【0028】ここでスクリーニングのためのプローブと
しては、インゲンの4CL遺伝子やPAL遺伝子、西洋
ワサビのPRX遺伝子等の5′上流非翻訳領域に存在し
ている共通配列(P−BOX配列:−CCACTTGA
GTAC−)を用いた。即ち、このP−BOX配列を有
する二本鎖オリゴヌクレオチドを合成により作成し、こ
れをジゴキシゲニン(DIG)でラベルして使用した。
【0029】結合反応後のナイロンメンブランフィルタ
ーは、結合緩衝液で30分間3回、室温にて浸漬するこ
とにより洗浄し、次いで、化学発光検出による一次スク
リーニング及び二次スクリーニングを行った。その結
果、1.0×10個のプラークから、上記共通配列に
結合するタンパクを産生している陽性プラーク1個が検
出された。なお、本実験において、二本鎖合成オリゴヌ
クレオチドのDIGラベルから化学発光検出によるスク
リニーングに至る操作は、主にノンラジオアイソトープ
DIG−核酸検出法に従い、市販キット(ベーリンガー
マンハイム社製)を用いて行った。
【0030】4.共通配列結合タンパクをコードするD
NAの塩基配列の決定 上記陽性プラークを形成するファージから定法に従いD
NAを抽出した。得られたファージDNAのインサート
部分(2において、タバコから得られたcDNAを挿入
した部分。)を、λgt11のクローニングサイトを含
むプライマーを用いてPCR法で増幅し、アガロースゲ
ル電気泳動を行った結果、約1kbpのDNA断片の存
在が確認された。そこで、この1kbpDNA断片の末
端をリン酸化した後、プラスミドpNoTA/T7に組
込み(PRIME PCR CLONERTM CLO
NING SYSTEM(5prime、3prim
e、Inc.)を使用。)、この組換えプラスミドDN
Aについて、DNAシークエンサー(DNAシークエン
サーModel373S(Perkin−Elmer社
製))を用い、ダイデオキシ法により塩基配列を決定す
ることで、標記タンパクをコードするDNAの塩基配列
を決定した。
【0031】その配列を配列番号1に示すが、これよ
り、このタンパクは約200個のアミノ酸からなるもの
と考えられる。質量は約25kDaである。また、この
タンパクのホモロジー検索から(データベースとして、
SWISS−PROT Rel.34を使用。)、この
タンパクは、zinc finger motifの一
種であるLIMドメイン2単位から構成されていること
が推測される。そうであるとすれば、この転写因子は、
LIMドメインがDNAに結合することを示した最初の
例である。そこで、このタンパクをNtlim1と命名
した。
【0032】5.DNA結合活性確認のためのNtli
m1の取得 以上のようにしてスクリーニングしたタンパク、Ntl
im1のDNA結合能を確認するため、大腸菌でこれを
必要量産生させることを試みた。
【0033】まず、配列番号1に示す塩基配列を有する
DNA断片(Ntlim1遺伝子)を、Ntlim1翻
訳開始コドン領域又は翻訳停止コドン領域に結合し、制
限酵素BamHIサイトを含むプライマーを用いてPC
R法により増幅させた。このDNA断片を制限酵素Ba
HIで消化後、これを発現プラスミドpGEX−2T
K(Pharmacia Biotech社)のBam
HIサイトに挿入し、さらに、そのジャンクション部位
の塩基配列を調査することにより、インサートDNAの
方向とフレームの正確さを確認した。かかるベクターを
用いてNtlim1を産生させた場合、Ntlim1は
tacプロモーターの制御下でGST融合タンパクとし
て得られることとなる。
【0034】次いで、作成した発現プラスミドを大腸菌
JM109のコンピテントセル(東洋紡績製)に導入
し、この大腸菌を、抗生物質としてアンピシリン100
mg/lを含むLB寒天培地(トリプトン1%、食塩
0.5%及び酵母エキス0.5%)で培養することによ
り、Ntlim1遺伝子が導入された形質転換体を選択
した。この形質転換体をLB培地1mlに植菌し、37
℃、200rpmで一晩前培養後、アンピシリン含有L
B培地(アンピシリン濃度100mg/l)30ml
で、37℃、200rpmにて振とう培養した。そし
て、OD600が約1.0になった時点で、培地中に、
IPTGを終濃度が2mMになるように加え、さらに3
7℃、100rpmにて振とう培養を続けた。5時間
後、菌体を遠心分離により集菌してPBS緩衝液(14
0mM NaCl、2.7mM Kcl、10.1mM
NaHPO、1.8mM KHPO、pH
7.3)に懸濁し、再び遠心分離を行って菌体を回収し
た。
【0035】得られた菌体は2mlのPBS緩衝液に懸
濁し、この懸濁液ごと超音波処理に付してこれを破砕
し、遠心分離(15000、15分)によって上清
(可溶性画分)を分離した。この可溶性画分についてS
DS−ポリアクリルアミド電気泳動を行い、目的のタン
パク、即ちNtlim1−GST融合タンパクが誘導発
現していることを確認した後、この画分を対象に以下の
操作を行った。
【0036】まず、グルタチオンセファロース4B(P
harmacia Biotech社)50%スラリー
10μlをこの画分に加えて撹拌し、室温で30分間放
置することによりNtlim1−GST融合タンパクを
このグルタチオンセファロース4Bに吸着させた。こう
して目的タンパクを吸着させたグルタチオンセファロー
ス4Bは遠心分離(500、5分)により回収し、P
BS緩衝液で3回洗浄した後、Ntlim1のみをここ
から溶出させ、単離した。即ち、回収・洗浄したグルタ
チオンセファロース4BにPBS緩衝液19μlとトロ
ンビンプロテアーゼ(1cleavage unit:
PBS中、GST融合タンパク100μgを16時間で
90%分解することのできる酵素量。)1μlを加えて
懸濁し、室温下で2時間放置後、遠心分離(500
5分)により上清を分離した。そして、この上清につい
てSDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行うことによ
り、Ntlim1を単離した。
【0037】6.Ntlim1のDNA結合活性の確認 5にて単離されたNtlim1を用い、ゲル移動度シフ
ト法により、そのDNA結合活性を確認した。
【0038】精製Ntlim1 2μgを結合緩衝液
(10mM Hepes、pH7.5、50mM Na
Cl、1mM EDTA)10μlに溶解し、これに、
プローブとして3にて使用したP−BOX領域を含むD
IG標識二本鎖合成オリゴヌクレオチド10nmol、
キャリアーDNAとしてサケ精子DNA2μgを加え、
室温で20分間放置した。
【0039】この結合反応液について、1×TAE
(6.7mM Tris−Hcl、pH7.9、1mM
EDTA、3.3mM 酢酸ナトリウム)を含む5%
ポリアクリルアミドゲルを用いて100Vで電気泳動を
行い、遊離プローブがゲルから流れ出る前にこれを終了
させた。そして、その泳動パターンをゲルからナイロン
メンブランフィルターに転写し、3と同様にして化学発
光検出を行った結果、Ntlim1が本来示す泳動バン
ドとは異なる位置にシフトしたバンドが観察され、DN
A−タンパク複合体の存在が確認された。また、このシ
フトバンドは、上記結合反応液に非標識プローブ(DI
G標識をしていない他は、シフトバンドの検出に用いた
ものと全く同じプローブ。)1μmolをさらに添加
し、同様の条件で電気泳動を行ったものでは消失してい
た。従って、Ntlim1タンパクとP−BOX配列と
の結合は特異的であることがわかる。
【0040】7.Ntlim1による発現調節活性の検
まず、Ntlim1遺伝子を植物で発現させるため、プ
ラスミドpBI221(Clontech社)のβ−グ
ルクロニダーゼ遺伝子の位置に、Ntlim1遺伝子を
含むDNA断片をセンス方向に組込み、このプラスミド
をエフェクターとして使用した。このエフェクターにお
いて、Ntlim1遺伝子が組込まれた部分の模式図
を、図1として示す。また、これとは別に、P−BOX
配列を3回繰返した二本鎖オリゴDNAと、P−BOX
配列と同様、CAD遺伝子等の5′非翻訳領域に共通し
て存在するいわゆるG−BOX配列(−CCACGTG
G−)を3回繰返した二本鎖オリゴDNAとを、G−B
OX配列が上流となるよう直列に連結し、これをさら
に、予めCaMV35SプロモーターのEcoRVサイ
ト(−90bp)に挿入しておいたβ−グルクロニダー
ゼ(GUS)遺伝子の上流側に連結して融合遺伝子を作
成した。そして、この融合遺伝子をpUC19に組込
み、このプラスミドをレポーターとして使用した。即
ち、本実施例では、Ntlim1の機能をより簡便に明
らかにするため、これが作用するP−BOX配列の下流
域には、本来存在するはずのCAD遺伝子等ではなく、
その発現の検出が極めて容易なGUS遺伝子をモデル的
に配置した。なお、この場合、G−BOX配列はエンハ
ンサーとして働くものと考えられる。このレポーターに
おいて、融合遺伝子が組込まれた部分の模式図を、図2
として示す。
【0041】なお、上記のようにして作成した2種の組
換えプラスミドは、いったん大腸菌JM109のコンピ
テントセルに導入し、この大腸菌を培養することにより
増幅させて、最終的にはそれぞれ約1mgのプラスミド
DNAを取得した。このときの大腸菌の培養はLB培地
を用い、温度37℃、振とう速度200rpmで行っ
た。また、大腸菌からのプラスミドDNAの単離・精製
は定法に従って行った。
【0042】一方、岡田らの方法(K.Okada e
t al.、Plant CellPhysiol.、
Vol.27、619、1986)に従って、タバコ培
養細胞BY−2よりプロトプラストを調製した。次い
で、エレクトロポレーション緩衝液(5mM MES、
30mM Kcl、0.3Mマンニトール、pH5.
8)1mlに懸濁したこのプロトプラスト約3×10
個に電気パルス(200V、250μF)を与え、エレ
クトロポレーション法にてレポーター10μg又はレポ
ーターとエフェクター各10μgを導入した(遺伝子導
入装置GenePulser(バイオラッド社製)を使
用。)。こうして遺伝子導入処理を行ったプロトプラス
トは0.4Mマンニトールで洗浄し、プロトプラスト用
培地(ムラシゲ・スクーグ培地用混合塩類(日本新薬
製)に0.4Mマンニトールを添加)にて温度25℃で
24時間培養した後、破砕し、Jeffersonらの
方法(R.Jefferson et el.、EMB
O J.、vol.6、p.3901−3907、19
97)によりGUS活性を測定した。その結果、レポー
ターとエフェクターを同時に導入したプロトプラストで
は、レポーターのみを導入したものに比べ、約3倍も高
いGUS遺伝子の発現が検出された。これは、エフェク
ターのNtlim1遺伝子に由来するタンパク、Ntl
im1の効果により、レポーターにおいてP−BOX配
列の下流域に連結されたGUS遺伝子の発現が大きく促
進されたこと、即ち、このNtlim1がP−BOX配
列に結合してその下流域に存在する遺伝子の発現を促進
する転写因子であり、また、これをコードするNtli
m1遺伝子をセンス遺伝子として植物体に導入してやる
ことにより、このNtlim1が制御している遺伝子の
発現が促進されることを示すものである。
【0043】[実施例2]1.タバコへのセンス及びアンチセンスNtlim1遺
伝子の導入 Ntlim1遺伝子を植物に導入するためのベクターと
してプラスミドpBI121(Clontech社)を
用い、実施例1の7で作成したエフェクターの場合と同
様の位置に、このプラスミドにNtlim1遺伝子を、
センス又はアンチセンス方向に組込んだ。得られた組換
えプラスミドについて、挿入したNtlim1遺伝子の
方向を制限酵素消化実験によって決定した後、これをエ
レクトロポレーション法によりA.ツメファシエンスE
HA105に導入した(10%グリセロール中、電気パ
ルスとして2500V、25μFを与える。)。続い
て、このA.ツメファシエンスをカナマイシン100m
g/lを含むLB培地で28℃、2日間培養することに
より選抜して、組換えプラスミドが導入された個体のみ
を得た。
【0044】一方、Ntlim1遺伝子を導入する植物
としては、タバコ(Nicotiana tabacu
L cv.SR−1)を材料として使用した。即ち、
無菌状態で育成した実生苗(発芽後、約4週間経過。)
の葉を5mm角に切断し、得られた葉片を、組替えプラ
スミド導入A.ツメファシエンスの培養液に、その葉の
表皮を下にして1〜3分間浸漬することにより、この
A.ツメファシエンスに感染させてNtlim1遺伝子
を導入した。感染処理後の葉片は、滅菌した紙タオル等
により付着している培養液を除去してから、カルス誘導
培地(ムラシゲ・スクーグ基本培地、3%しょ糖、0.
25%ゲランガム、1mg/lナフタレン酢酸、0.1
mg/lベンジルアデニン)に置床し、25℃連続照明
下で3日間培養、次いで、シュート形成用培地(ムラシ
ゲ・スクーグ基本培地、3%しょ糖、0.25%ゲラン
ガム、0.1mg/lナフタレン酢酸、1mg/lベン
ジルアデニン、100mg/lカナマイシン、500m
g/lカルベニシリン)に移植し、同じ温度・光条件下
で培養を続け、茎葉を分化させた。
【0045】分化した茎葉は、シュート形成用培地での
培養から約4週間後に切取り、カナマイシン100mg
/lとカルベニシリン500mg/lを含むムラシゲ・
スクーグ基本培地(しょ糖3%、寒天0.8%又はゲラ
ンガム0.25%も添加。)に移植して、さらに同じ温
度・光条件下で約4週間培養することにより発根させ
た。発根した個体は、メトロミックス350(Scot
ts−SierreaHorticulture Co
mpany社)を培養土として25℃の温室で生育させ
た。
【0046】2.Ntlim1遺伝子が導入されたタバ
コの解析 2−1.PCR法による解析 1で生育した形質転換タバコの葉から、定法によりゲノ
ムDNAを抽出し、カナマイシン耐性酵素遺伝子中の塩
基配列に対応したオリゴヌクレオチドをプローブとし
て、PCRを行なった。その結果、すべてのPCRサン
プルにおいてNtlim1遺伝子の増幅が検出され、分
析に供した形質転換体25個体全てが、センス又はアン
チセンスNtlim1遺伝子を有していることが確認さ
れた(センス形質転換体13個体。アンチセンス形質転
換体12個体。)。
【0047】2−2.ノーザンハイブリダイゼーション
法による解析 2−1においてNtlim1遺伝子の存在が確認された
形質転換タバコ(8週齢)から、センス形質転換体(セ
ンス方向にNtlim1遺伝子が導入されたもの。)と
アンチセンス形質転換体(アンチセンス方向にNtli
m1遺伝子が導入されたもの。)それぞれ2個体を選択
し、その茎から、酸グアニジンフェノールクロロホルム
法により全RNAを抽出した。また同時に、コントロー
ルとして、形質転換されていないタバコからも全RNA
を抽出した。
【0048】抽出した全RNAは、その10μgについ
て、終濃度0.66Mホルムアルデヒドを含む1.2%
アガロースゲルと1×MOPS緩衝液(20mM MO
PS/pH7.0、5mM酢酸ナトリウム、0.5mM
EDTA)を用い、60Vで2時間電気泳動を行って
分画した。泳動後、その泳動パターンをゲルからナイロ
ンメンブランフィルターに転写し、このナイロンメンブ
ランフィルターについてノーザンハイブリダイゼーショ
ンを行った。
【0049】ノーザンハイブリダイゼーションは、Nt
lim1遺伝子の他、タバコのゲノムDNAからPCR
法により増幅して得られたPAL遺伝子(820bp)
と4CL遺伝子(610bp)をプローブとして用い、
実施例1の3と同様、ノンラジオアイソトープDIG−
核酸検出法に従って行った。図3に、ノーザンハイブリ
ダイゼーション後の上記ナイロンメンブランフィルター
について、化学発光させた結果を示す。
【0050】図3より、形質転換体におけるNtlim
1遺伝子の発現は、非形質転換体C(lane5)と比
較して、センス形質転換体OP1、OP2(lane
1、2)では強く、逆にアンチセンス形質転換体UP
1、UP2(lane3、4)では弱いことが分かる。
また、センス形質転換体OP1とOP2では、PAL遺
伝子、4CL遺伝子についても非形質転換体Cより強い
発現が認められ、特にこの傾向はOP2において顕著で
あった。一方、アンチセンス形質転換体UP2では、P
AL遺伝子と4CL遺伝子の発現が殆ど完全に抑制され
ていた。なお、アンチセンス形質転換体UP1におい
て、PAL遺伝子や4CL遺伝子の発現がそれほど抑制
されなかったのは、この個体におけるアンチセンス遺伝
子の導入量(PAL遺伝子、4CL遺伝子の発現が殆ど
完全に抑制されたアンチセンス形質転換体UP2では、
Ntlim1のアンチセンス遺伝子が植物ゲノム中に多
コピー導入されているものと考えられる。)や、これが
導入された植物ゲノム中の位置による効果が影響を与え
ているものと考えられる。
【0051】これらの結果より、Ntlim1遺伝子、
即ち、本発明に係るDNAは、PAL遺伝子、4CL遺
伝子の発現を促進・抑制できることが明らかとなった。
また、本発明は、本発明に係るDNAから合成される転
写因子が、これらの遺伝子のP−BOX、あるいはこれ
に類似の5′非翻訳領域共通配列に結合して働くもので
あることをその基本原理としているため、これによる遺
伝子の発現・促進効果は、上記PAL遺伝子や4CL遺
伝子に限らず、このような共通配列を有する遺伝子であ
れば、その種類を問わず発揮できるものである
【0052】
【発明の効果】本発明により、その5′非翻訳領域に所
定の共通配列を有する遺伝子の発現を、特異的に促進・
抑制することが可能となった。
【0053】即ち、本発明によれば、かかる共通配列を
有するCAD遺伝子、4CL遺伝子、PAL遺伝子、P
RX遺伝子等の植物のフェニルプロパノイド生合成経路
に関与する遺伝子の制御が可能である。
【0054】また、上記のCAD等は、フェニルプロパ
ノイド生合成経路のなかでも、特にリグニン生合成経路
に深く関わっている酵素であるため、これらの遺伝子の
発現を制御できる本発明によれば、低リグニン性樹木の
作出等、紙・パルプの原料として有望な樹木の開発が可
能となる。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:988 配列の型:核酸 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ニコチアナ・タバカム(Nicotiana
tobacum) 組織の種類:葉 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:100..702 特徴を決定した方法:E 特徴を表す記号:domain 存在位置:127..282 特徴を決定した方法:S 他の情報:zing finger motifの一種
であるLIM domain 特徴を表す記号:domain 存在位置:427..582 特徴を決定した方法:S 他の情報:zing finger motifの一種
であるLIM domain 配列
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で使用したエフェクターにおいて、N
tlim1遺伝子が組込まれた部分を示す模式図であ
る。
【図2】実施例1で使用したレポーターにおいて、P−
BOX配列を有する融合遺伝子が組込まれた部分を示す
模式図である。
【図3】Ntlim1遺伝子がセンス又はアンチセンス
方向に導入されたタバコにおける、各種遺伝子の発現状
況を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示す塩基配列からなるDN
    A。
  2. 【請求項2】 配列番号1に示す塩基配列からなるDN
    Aとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ
    フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子を
    コードするDNA。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のDNAを有する
    組替えベクター。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のDNAをセンス
    方向に有する組替えベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載のDNAをアンチ
    センス方向に有する組替えベクター。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載のDNAが導入さ
    れた植物細胞。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の植物細胞から再生され
    た植物体。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2に記載のDNAによりコ
    ードされるタンパク質。
JP12517198A 1998-03-31 1998-03-31 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子 Expired - Fee Related JP3444191B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12517198A JP3444191B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子
ES99106556T ES2241202T3 (es) 1998-03-31 1999-03-30 Factor de transcripcion para el control de la via de biosintesis de fenilpropanoide.
CA002264962A CA2264962C (en) 1998-03-31 1999-03-30 Transcription factor controlling phenylpropanoid biosynthesis pathway
EP99106556A EP0953645B1 (en) 1998-03-31 1999-03-30 Transcription factor controlling phenylpropanoid biosynthesis pathway
DE69925778T DE69925778T2 (de) 1998-03-31 1999-03-30 Transcriptionsfaktor zur Steuerung des Phenylpropanoid Biosyntheseweges
CNB991049047A CN1152961C (zh) 1998-03-31 1999-03-31 控制苯丙醇生物合成通路的转录因子
AU22570/99A AU747692B2 (en) 1998-03-31 1999-03-31 Transcription factor controlling phenylpropanoid biosynthesis pathway
US09/282,146 US6303847B1 (en) 1998-03-31 1999-03-31 DNA encoding a transcription factor controlling phenylpropanoid biosynthesis pathway
US09/928,412 US20020123623A1 (en) 1998-03-31 2001-08-14 Transcription factor controlling phenylpropanoid biosynthesis pathway

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12517198A JP3444191B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11276181A true JPH11276181A (ja) 1999-10-12
JP3444191B2 JP3444191B2 (ja) 2003-09-08

Family

ID=14903654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12517198A Expired - Fee Related JP3444191B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子

Country Status (8)

Country Link
US (2) US6303847B1 (ja)
EP (1) EP0953645B1 (ja)
JP (1) JP3444191B2 (ja)
CN (1) CN1152961C (ja)
AU (1) AU747692B2 (ja)
CA (1) CA2264962C (ja)
DE (1) DE69925778T2 (ja)
ES (1) ES2241202T3 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6586661B1 (en) * 1997-06-12 2003-07-01 North Carolina State University Regulation of quinolate phosphoribosyl transferase expression by transformation with a tobacco quinolate phosphoribosyl transferase nucleic acid
US6455762B1 (en) 1997-11-12 2002-09-24 Board Of Control Of Michigan Technological University Methods of modifying lignin in plants by transformation with a 4-coumarate coenzyme a ligase nucleic acid
JP3444191B2 (ja) * 1998-03-31 2003-09-08 日本製紙株式会社 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子
US20040259145A1 (en) * 1999-03-11 2004-12-23 Marion Wood Compositions and methods for the modification of gene expression
US20110047644A1 (en) * 1999-03-11 2011-02-24 Marion Wood Compositions and methods for the modification of gene transcription
US7674951B1 (en) 1999-05-21 2010-03-09 Michigan Technological University Isolated cellulose synthase promoter regions
US7049481B1 (en) * 1999-05-21 2006-05-23 Board Of Control Of Michigan Technological University Cellulose synthase encoding polynucleotides and uses thereof
DE19926216A1 (de) * 1999-06-09 2001-02-22 Metallgesellschaft Ag Verfahren zur Herstellung von Bariumsulfat, Bariumsulfat und Verwendung des Bariumsulfats
EP1313868B1 (en) * 2000-08-30 2006-07-19 North Carolina State University Transgenic plants containing molecular decoys that alter protein content therein
HUP0400161A2 (hu) * 2001-06-08 2004-08-30 Vector Tobacco Ltd., Módosított nikotin- és nitrozamintartalmú dohány
US20060157072A1 (en) * 2001-06-08 2006-07-20 Anthony Albino Method of reducing the harmful effects of orally or transdermally delivered nicotine
MXPA05013190A (es) * 2003-06-06 2007-05-23 Arborgen Llc Factores de transcripcion.
WO2007019245A2 (en) * 2005-08-03 2007-02-15 Board Of Control Of Michigan Technological University Methods for enhancing expression of secondary cell wall cellulose synthases in plants
EP1992220B1 (en) * 2006-02-28 2013-05-22 Japan Science and Technology Agency Plant having reduced lignin and cellulose contents without reducing glucan content, method of producing the same and utilization thereof
US20100281567A1 (en) * 2007-12-04 2010-11-04 Gad Galili Transgenic plants having altered levels of aromatic amino acids and metabolites derived therefrom
CN104341523B (zh) * 2013-08-02 2017-05-17 中国农业科学院作物科学研究所 水稻转录因子Os03g33090基因CDS序列的应用
CN106148345B (zh) * 2016-07-13 2017-10-03 华南农业大学 象草维管组织特异性启动子及其应用
CN108795924A (zh) * 2017-12-06 2018-11-13 宁夏农林科学院 一种快速、简单的植物基因组dna提取方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2718460B1 (fr) * 1994-04-11 1996-05-31 Centre Nat Rech Scient Séquence d'ADN codant pour la cinnamoyl CoA réductase chez l'Eucalyptus, et ses applications dans le domaine de la régulation des teneurs en lignines des plantes .
AU716066B2 (en) * 1996-07-19 2000-02-17 Purdue Research Foundation Manipulation of lignin composition in plants using a tissue-specific promoter
JPH1094392A (ja) * 1996-09-20 1998-04-14 Nisshinbo Ind Inc ワタ遺伝子
JP3444191B2 (ja) * 1998-03-31 2003-09-08 日本製紙株式会社 フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子

Also Published As

Publication number Publication date
CN1152961C (zh) 2004-06-09
AU747692B2 (en) 2002-05-16
DE69925778D1 (de) 2005-07-21
CN1232086A (zh) 1999-10-20
US6303847B1 (en) 2001-10-16
AU2257099A (en) 1999-05-27
EP0953645B1 (en) 2005-06-15
CA2264962A1 (en) 1999-09-30
DE69925778T2 (de) 2006-05-18
EP0953645A2 (en) 1999-11-03
EP0953645A3 (en) 2002-07-31
US20020123623A1 (en) 2002-09-05
CA2264962C (en) 2008-06-03
ES2241202T3 (es) 2005-10-16
JP3444191B2 (ja) 2003-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3444191B2 (ja) フェニルプロパノイド生合成経路を制御する転写因子
US6441270B1 (en) Scarecrow gene
ES2584321T3 (es) Promotores preferidos del cámbium/xilema y usos de los mismos
WO2002050294A9 (en) A novel tissue specific plant promoter
JP2009240248A (ja) Nac転写因子ファミリーの機能変換方法
US8878005B2 (en) Method for promoting the formation of secondary cell wall of plant
US20040191912A1 (en) New constitutive plant promoter
JP2003511049A (ja) プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子を利用した作物の収量またはバイオマスの増大方法
US20030088073A1 (en) Scarecrow gene, promoter and uses thereof
AU724857C (en) SCARECROW gene, promoter and uses thereof
JP4238358B2 (ja) 乾燥耐性が高められた植物の作出における、zpt2−3ジンクフィンガー型転写因子の利用
KR20230153145A (ko) 식물체의 재분화 효율 조절에 관여하는 애기장대 유래 유전자 및 이의 용도
JP3611083B2 (ja) 植物分裂組織に特異的なプロモーター
AU2004228859B2 (en) Manipulation of organic acid biosynthesis and secretion
NZ569766A (en) Isolated salt stress-induced protein (ES13) from a lolium species
WO1993006220A1 (en) Tryptophan analogues as selective agents in the transformation of plants and plant cells
AU2012216840B2 (en) Manipulation of organic acid biosynthesis and secretion (3)
AU2013202738C1 (en) Manipulation of organic acid biosynthesis and secretion (4)
WO2000053723A2 (en) Scarecrow gene, promoter and uses thereof
JP2002291484A (ja) プロモーター活性を有する新規dna断片
JP2004049144A (ja) 感染誘導性pal遺伝子プロモーター

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130627

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130627

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140627

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees