JPH11274807A - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体フィルタ

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JPH11274807A
JPH11274807A JP7709098A JP7709098A JPH11274807A JP H11274807 A JPH11274807 A JP H11274807A JP 7709098 A JP7709098 A JP 7709098A JP 7709098 A JP7709098 A JP 7709098A JP H11274807 A JPH11274807 A JP H11274807A
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JP7709098A
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Takami Hirai
隆己 平井
Yasuhiko Mizutani
靖彦 水谷
Kazuyuki Mizuno
和幸 水野
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】入出力インピーダンスの調整範囲を広くとれる
ようにして、フィルタの小型化、低周波数化、低損失
化、反射減衰量の増大化を図る。 【解決手段】多数の誘電体層が積層されて構成され、そ
の外周面に入力端子、出力端子及びアース電極が形成さ
れた積層体12を具備し、該積層体12を構成する複数
の誘電体層のうち、第4及び第6の誘電体層の各主面に
それぞれ2本の共振素子(14a、14b)及び(16
a、16b)が形成された積層型誘電体フィルタにおい
て、前記共振素子(14a、14b)及び(16a、1
6b)のうち、下方に位置する入力側の共振素子16a
と入力端子とを引き出し電極68aを介して直接接続
し、下方に位置する出力側の共振素子16bと出力端子
とを引き出し電極68bを介して直接接続して構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型誘電体フィ
ルタに関し、特に、携帯用電話機等の高周波回路無線機
器に利用する高周波回路フィルタや、アンテナデュプレ
クサ等に使用される積層型誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、積層型誘電体フィルタの構成と
しては、外周面に入力端子、出力端子及びアース電極が
形成された誘電体層内に一端部がアース電極に接続され
る1/4波長型ストリップライン共振器からなる複数の
共振素子が所定間隔で形成された積層型誘電体フィルタ
が知られている(例えば特開平6−120703号公
報、特開平6−120704号公報参照)。
【0003】これらの積層型誘電体フィルタにおいて
は、前記誘電体層内において前記共振素子の開放端側と
対向する内層アース電極を設けるようにしているため、
積層型誘電体フィルタ全体の長さを短くすることができ
る。
【0004】特に、誘電体層内に、前記複数の共振素子
に対して容量結合された結合調整電極を設けるようにし
た場合においては、積層型誘電体フィルタを小型化して
もフィルタの特性が広帯域化しすぎることがない積層型
誘電体フィルタを得ることができる。また、共振素子と
結合調整電極間の静電容量値を調整することによって、
高周波側に減衰ピークをもったフィルタや低周波側に減
衰ピークをもったフィルタを選択的に得ることができ
る。
【0005】更に、入力端子と入力側の共振素子間に入
力用電極を設けるようにしたフィルタも提案されている
(例えば特開平6−120703号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のような積層型誘
電体フィルタにおいては、携帯電話等の無線通信システ
ムの多様化に伴い、その小型化や周波数の低い無線シス
テム用フィルタの要求が増加している。
【0007】そこで、従来から、積層体を構成する複数
の誘電体層のうち、少なくとも2つの誘電体層の各主面
にそれぞれ少なくとも2本の片側短絡型の共振素子を形
成する、即ち、共振素子を積層状に重ねることで、更に
共振素子と内層アース電極間の静電容量を増加させるこ
とで対応するようにしている。
【0008】この場合、複数の共振素子のうち、入力端
子に近接するすべての入力側の共振素子を直接入力端子
に電気的に接続させ、出力端子に近接するすべての出力
側の共振素子を直接出力端子に電気的に接続させた構成
を採用するようにしている。ところで、積層状に重ねら
れた複数の共振素子には、それぞれ同一の信号が供給さ
れることから、これら複数の共振素子間には電界は生じ
ない。そのため、例えばすべての入力側の共振素子は1
組の入力側の共振器として考えることができる。
【0009】しかし、このような構造においては、入力
側の1組の共振器のインピーダンス並びに出力側の1組
の共振器のインピーダンスが共に低くなり、入出力イン
ピーダンスの調整範囲が狭くなる。これにより、フィル
タの小型化、低周波数化、低損失化、更には反射減衰量
(リターンロス)を大きくするのに限界が生じるという
問題がある。
【0010】本発明は、このような課題を考慮してなさ
れたものであり、入出力インピーダンスの調整範囲を広
くとることができ、もってフィルタの小型化、低周波数
化、低損失化、反射減衰量の増大化を図ることができる
積層型誘電体フィルタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る積層型誘電
体フィルタは、多数の誘電体層が積層されて構成され、
その外周面に入力端子、出力端子及びアース電極が形成
された積層体を具備し、前記積層体を構成する複数の誘
電体層のうち、少なくとも2つの誘電体層の各主面にそ
れぞれ少なくとも2本の片側短絡型の共振素子が形成さ
れ、これら共振素子のうち、入力端子に近接する入力側
の共振素子が直接入力端子に電気的に接続され、出力端
子に近接する出力側の共振素子が直接出力端子に電気的
に接続された積層型誘電体フィルタにおいて、前記複数
の入力側の共振素子のうち、少なくとも1本の入力側の
共振素子を前記入力端子に直接接続しない構成とする。
【0012】少なくとも2つの誘電体層の各主面にそれ
ぞれ少なくとも2本の片側短絡型の共振素子を形成する
ことは、即ち、複数の共振素子を積層状に重ねることで
あり、この場合、積層状に重ねられた複数の共振素子に
は、それぞれ同一の信号が供給されることから、これら
複数の共振素子間には電界は生じない。そのため、例え
ばすべての入力側の共振素子は1本の入力側の共振素子
として考えることができる。
【0013】このような構成において、本発明は、前記
複数の入力側の共振素子のうち、少なくとも1本の入力
側の共振素子を前記入力端子に直接接続しないようにし
ているため、少なくとも入力端子と入力側の共振素子間
との入力インピーダンスが高くなり、その結果、入出力
インピーダンスの調整範囲が広くなる。これにより、反
射減衰量を増大させるための調整を容易に行うことが可
能となり、フィルタの小型化、低周波数化、低損失化を
図ることができる。
【0014】そして、前記構成において、前記複数の入
力側の共振素子のうち、1本の入力側の共振素子のみを
前記入力端子に直接接続するようにしてもよい。これに
より、入出力インピーダンスの調整範囲が更に広くな
り、フィルタの小型化、低周波数化、低損失化を効率よ
く図ることができる。
【0015】また、前記構成において、前記複数の出力
側の共振素子のうち、少なくとも1本の出力側の共振素
子を前記出力端子に直接接続しない構成としてもよく、
前記複数の出力側の共振素子のうち、1本の出力側の共
振素子のみを前記出力端子に直接接続するようにしても
よい。
【0016】また、前記構成において、前記積層体内で
あって、前記入力側の共振素子と別の共振素子との間に
設けられ、これら共振素子に対して容量結合された結合
調整電極を有するようにしてもよい。
【0017】この場合、前記結合調整電極と入力側の共
振素子との間、並びに前記結合調整電極と別の共振素子
との間にそれぞれ容量が形成される。等価回路的には、
これら容量の合成容量が前記入力側の共振素子と前記別
の共振素子との間に形成される誘導結合と並列に接続さ
れたかたちになるため、前記容量によって前記誘導結合
度を調整することができ、所望の帯域幅を有するフィル
タを得ることができる。
【0018】前記容量の調整は、入力側の共振素子と結
合調整電極との重なり面積及びこれらの間の距離並びに
前記別の共振素子と結合調整電極との重なり面積及びこ
れらの間の距離を変化させることによって容易に行うこ
とができる。
【0019】また、前記結合調整容量による合成容量が
共振素子間の誘導結合と並列に接続されたかたちになる
ことから、隣接する共振素子間には並列共振回路が挿入
接続されたことになる。
【0020】この容量とインダクタンスとからなる並列
共振回路のインピーダンスは並列共振点の前後で誘導性
から容量性へと変化するため、隣接する共振素子と結合
調整容量間にそれぞれ形成される容量の値を調整するこ
とにより、共振素子間の結合を誘導性にも容量性にもす
ることができる。
【0021】いま、共振素子間の結合を誘導性にした場
合を考えると、通過帯域の高周波側に並列共振点が存在
するから、高周波側に減衰ピークをもったフィルタが得
られ、また、共振素子間の結合を容量性にすると、通過
帯域の低周波側に並列共振点が存在することになり、低
周波側に減衰ピークをもったフィルタが得られ、いずれ
の場合もフィルタの減衰特性を改善することができる。
【0022】また、前記構成において、前記アース電極
と接続され、前記共振素子の開放端側と対向する内層ア
ース電極を前記積層体内に設けるようにしてもよい。
【0023】この場合、各共振素子の開放端側と内層ア
ース電極との間に形成される静電容量も共振素子を等価
変換したときの並列共振回路の静電容量に付加されるこ
とになるため、共振周波数を同一とすれば、並列共振回
路のインダクタンスは小さくて済むことになり、その結
果、共振素子の長さもより小さくなり、積層型誘電体フ
ィルタ全体の長さも短くすることができる。
【0024】積層型誘電体フィルタを小型化するため
に、内層アース電極と各共振素子との対向面積を増加さ
せて共振素子長を短縮していくと、共振器同士がますま
す強く誘導結合して、フィルタの特性を広帯域化させす
ぎるという問題が生じるが、本発明においては、上述し
た結合調整電極を設けるようにしているため、この結合
調整電極と共振素子間に形成される容量によって、共振
素子間に形成される誘導結合を抑制することができ、所
望の帯域幅を有するフィルタを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層型誘電体
フィルタを例えばバンドパスフィルタに適用したいくつ
かの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明す
る。
【0026】まず、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aは、図1に示すように、複数枚の板状の誘電体層が
積層、焼成されて構成された積層体12内に、1/4波
長型ストリップライン共振器を構成する2組の共振素子
(14a、16a)及び(14b、16b)が形成され
た構成を有し、積層体12の厚み方向に並ぶ2本の共振
素子(14a、16a)及び(14b、16b)が2組
並設されて、1/4波長型ストリップライン共振器が構
成されている。
【0027】具体的には、前記積層体12は、図1に示
すように、上から順に、第1の誘電体層18と、第2の
誘電体層20が数枚重ねられて構成された誘電体層群2
2と、第3〜第7の誘電体層24〜32と、第8の誘電
体層34が数枚重ねられて構成された誘電体層群36
と、第9の誘電体層38とが積み重ねられて構成されて
いる。
【0028】また、図2に示すように、前記積層体12
の外周面のうち、例えばその左側面に入力端子部40が
配され、右側面に出力端子部42が配され、これら入力
端子部40及び出力端子部42を除く全面にアース電極
44が形成されている。
【0029】入力端子部40は、積層体12の左側面の
中央部分において、積層体12の高さ方向に沿って形成
された短冊状の入力端子46と、該入力端子46とアー
ス電極44とを絶縁するための領域(電極膜が形成され
ていない領域であり、以下、単に入力側絶縁領域48と
記す)とで構成され、出力端子部42は、積層体12の
右側面の中央部分において、積層体12の高さ方向に沿
って形成された短冊状の出力端子50と、該出力端子5
0とアース電極44とを絶縁するための領域(この領域
も導電膜が形成されていない領域であり、以下、単に出
力側絶縁領域52と記す)とで構成されている。
【0030】図2の例では、前記入力側絶縁領域48と
出力側絶縁領域52を、積層体12の上面の一部並びに
下面の一部にも配した場合を示している。
【0031】そして、この第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aにおいては、第4の誘電体層26の上面に2
本の短冊状の共振素子14a及び14bがそれぞれ長手
方向が一方向に揃えられて形成され、第6の誘電体層3
0の上面に2本の短冊状の共振素子16a及び16bが
それぞれ長手方向が一方向に揃えられて形成されてい
る。
【0032】これら共振素子14a及び14b並びに1
6a及び16bは、各一方(1段目)がそれぞれ入力側
の共振素子14a及び16a、各他方(2段目)がそれ
ぞれ出力側の共振素子14b及び16bとされ、更に、
すべての共振素子における各一端部がアース電極44に
接続され、各他端部が開放端とされている。
【0033】前記第4の誘電体層26の上層に位置する
第3の誘電体層24の一主面には、第1及び第2の内層
アース電極60a及び60bと結合調整電極62が形成
されている。第1の内層アース電極60aは、一端がア
ース電極44と接続され、かつ、前記入力側の共振素子
14aの開放端側と対向するように形成され、第2の内
層アース電極60bは、一端がアース電極44と接続さ
れ、かつ、前記出力側の共振素子14bの開放端側と対
向するように形成されている。
【0034】結合調整電極62は、アース電極44、入
力端子46及び出力端子50に対して電位的にフローテ
ィング状態とされ、入力側の共振素子14aに対応する
短冊状の第1の電極本体62aと出力側の共振素子14
bに対応する短冊状の第2の電極本体62bとが、その
間に形成されたリード電極62cによって電気的に接続
された形状を有する。
【0035】前記第4の誘電体層26の下層に位置する
第5の誘電体層28の一主面には、一端がアース電極4
4と接続され、かつ、前記入力側の共振素子14a及び
16aの各開放端側と対向する第1の内層アース電極6
4aが形成され、一端がアース電極44と接続され、か
つ、前記出力側の共振素子14b及び16bの各開放端
側と対向する第2の内層アース電極64bが形成されて
いる。
【0036】前記第6の誘電体層30の下層に位置する
第7の誘電体層32の一主面には、一端がアース電極4
4と接続され、かつ、前記入力側の共振素子16aの開
放端側と対向する第1の内層アース電極66aが形成さ
れ、一端がアース電極44と接続され、かつ、前記出力
側の共振素子16bの開放端側と対向する第2の内層ア
ース電極66bが形成されている。
【0037】特に、この第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいては、上下に並ぶ2本の入力側共振素子
14a及び16aのうち、下方に位置する入力側の共振
素子16aが引き出し電極68aを介して入力端子46
に直接電気的に接続され、上下に並ぶ2本の出力側共振
素子14b及び16bのうち、下方に位置する出力側の
共振素子16bが引き出し電極68bを介して出力端子
50に直接電気的に接続されている。
【0038】第1の実施の形態に係るフィルタ10A
は、基本的には以上のように構成されるものであるが、
ここで、各電極の電気的な結合について図3〜図5を参
照しながら説明する。
【0039】まず、図3に示すように、上方に位置する
入力側の共振素子14aの開放端と上下の各第1の内層
アース電極60a及び64aとの間、並びに上方に位置
する出力側の共振素子14bの開放端と上下の各第2の
内層アース電極60b及び64bとの間にはそれぞれ静
電容量C1 、C2 、C3 及びC4 が形成されている。
【0040】下方に位置する入力側の共振素子16aの
開放端と上下の各第1の内層アース電極64a及び66
aとの間、並びに下方に位置する出力側の共振素子16
bの開放端と上下の各第2の内層アース電極64b及び
66bとの間にはそれぞれ静電容量C5 、C6 、C7
びC8 が形成されている。
【0041】前記入力側の共振素子14a及び出力側の
共振素子14b同士は互いに誘導結合され、これによ
り、等価回路上ではインダクタンスL1 が挿入されたか
たちになる(図3参照)。また、下方に位置する入力側
の共振素子16a及び出力側の共振素子16b同士も互
いに誘導結合され、これにより、等価回路上ではインダ
クタンスL2 が挿入されたかたちになる(図3参照)。
【0042】また、図4に示すように、前記入力側の共
振素子14aと結合調整電極62との間、並びに出力側
の共振素子14bと結合調整電極62との間にはそれぞ
れ静電容量C9 及びC10が形成されたかたちとなる。
【0043】ところで、この第1の実施の形態に係るフ
ィルタ10Aのように、第4の誘電体層26と第6の誘
電体層30の各主面にそれぞれ2本の共振素子14a及
び14b並びに共振素子16a及び16bを形成するこ
とは、即ち、複数の共振素子14a及び16a並びに1
4b及び16bを積層状に重ねることであり、この場
合、積層状に重ねられた複数の共振素子14a及び16
a並びに14b及び16bには、それぞれ同一の信号が
供給されることから、これら複数の共振素子14a及び
16a並びに14b及び16b間には電界は生じない。
そのため、例えばすべての入力側の共振素子14a及び
16aは1組の入力側の共振器200a(図5参照)と
して考えることができる。出力側も同様に、すべての出
力側の共振素子14b及び16bは1組の出力側の共振
器200bとして考えることができる。
【0044】従って、第1の実施の形態に係るフィルタ
10Aの等価回路は、図5に示すようになり、バンドパ
スフィルタを構成することとなる。
【0045】なお、図5において、静電容量C100 は、
入力側の共振素子14aと結合調整電極62間の静電容
量C9 (図4参照)と出力側の共振素子14bと結合調
整電極62間の静電容量C10との合成容量を示し、イン
ダクタンスL100 は、共振素子14a及び14b間のイ
ンダクタンスL1 と共振素子16a及び16b間のイン
ダクタンスL2 との合成インダクタンスを示す。
【0046】また、静電容量C101 は、入力側の共振素
子14a及び16aと各第1の内層アース電極60a、
64a及び66a間の静電容量C1 、C2 、C5 及びC
6 の合成容量を示し、静電容量C103 は、出力側の共振
素子14b及び16bと各第2の内層アース電極60
b、64b及び66b間の静電容量C3 、C4 、C7
びC8 の合成容量を示す。
【0047】また、静電容量C105 及びインダクタンス
101 は1組の入力側の共振器200aを等価変換した
ときの静電容量及びインダクタンスであり、静電容量C
106及びインダクタンスL102 は1組の出力側の共振器
200bを等価変換したときの静電容量及びインダクタ
ンスである。
【0048】このように、第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aにおいては、第3の誘電体層24の一主面に
結合調整結合62を形成するようにしたので、該結合調
整電極62と入力側の共振素子14aとの間、並びに前
記結合調整電極62と出力側の共振素子14bとの間に
それぞれ静電容量C9 及びC10が形成される。
【0049】等価回路的には、図5に示すように、これ
ら容量C9 及びC10の合成容量が前記入力側の共振素子
14aと出力側の共振素子14bとの間に形成される誘
導結合L1 と並列に接続されたかたちになるため、前記
容量C9 及びC10によって前記誘導結合度を調整するこ
とができ、所望の帯域幅を有するフィルタを得ることが
できる。
【0050】前記容量C9 及びC10の調整は、入力側の
共振素子14aと結合調整電極62との重なり面積及び
これらの間の距離並びに前記出力側の共振素子14bと
結合調整電極62との重なり面積及びこれらの間の距離
を変化させることによって容易に行うことができる。
【0051】また、前記結合調整電極62による合成容
量が2本の共振素子14a及び14b間の誘導結合L1
と並列に接続されたかたちになることから、隣接する各
共振素子14a及び14b間には並列共振回路80が挿
入接続されたことになる。この合成容量C9 及びC10
インダクタンスL1 とからなる並列共振回路80のイン
ピーダンスは並列共振点の前後で誘導性から容量性へと
変化するため、隣接する各共振素子14a及び14bと
結合調整電極62間にそれぞれ形成される容量C9 及び
10の値を調整することにより、各共振素子14a及び
14b間の結合を誘導性にも容量性にもすることができ
る。
【0052】いま、各共振素子14a及び14b間の結
合を誘導性にした場合を考えると、通過帯域の高周波側
に並列共振点が存在するから、高周波側に減衰ピークを
もったフィルタが得られ、また、各共振素子14a及び
14b間の結合を容量性にすると、通過帯域の低周波側
に並列共振点が存在することになり、低周波側に減衰ピ
ークをもったフィルタが得られ、いずれの場合もフィル
タの減衰特性を改善することができる。
【0053】また、この第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいては、上下2本の入力側の共振素子14
a及び16aのうち、下方に位置する入力側の共振素子
16aを引き出し電極68aを介して入力端子46に直
接接続し、上下2本の出力側の共振素子14b及び16
bのうち、下方に位置する出力側の共振素子16bを引
き出し電極68bを介して出力端子50に直接接続する
ようにしているため、1組の入力側の共振器200aの
インピーダンス並びに1組の出力側の共振器200bの
インピーダンスが高くなり、その結果、入出力インピー
ダンスの調整範囲が広くなる。これにより、反射減衰量
を増大させるための調整を容易に行うことが可能とな
り、フィルタの小型化、低周波数化、低損失化を図るこ
とができる。
【0054】ここで、1つの実験例を示す。この実験例
は、比較例及び実施例における各周波数特性をみたもの
である。
【0055】実施例は、第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいて、結合調整電極62を調整して共振素
子14a及び14b間の結合を容量性にしたものであ
る。
【0056】一方、比較例は、第1の実施の形態に係る
フィルタ10Aにおいて、図6に示すように、下方に位
置する共振素子16a及び16bに加えて、上方に位置
する共振素子14a及び14bもそれぞれ入力端子46
及び出力端子50に引き出し電極70a及び70bを介
して直接接続したものである。この比較例においても、
結合調整電極62を調整して共振素子14a及び14b
間の結合を容量性にした。
【0057】この実験例の結果を図7に示す。図7にお
いて、実線a及び破線bはそれぞれ実施例及び比較例の
周波数特性を示し、実線c及び破線dはそれぞれ実施例
及び比較例の反射減衰特性を示す。
【0058】まず、図7に示すように、実施例及び比較
例は共に、通過帯域の中心周波数が約1990MHzの
バンドパスの周波数特性を有するが、反射減衰量におい
て明確に違いがある。
【0059】即ち、比較例は、その反射減衰量のピーク
(減衰の少ないピーク)が約1870MHzにあり、そ
のピーク値は、約−12dBであった。この比較例にお
いては、反射減衰量が不十分であることから、図7の破
線dに示すように、通過帯域における周波数特性(通過
帯域特性)にリップルが生じている。
【0060】一方、実施例は、その反射減衰量のピーク
(減衰の少ないピーク)が約1880MHzにあり、そ
のピーク値は約−20dBであった。つまり、実施例は
比較例よりも反射減衰量が増大しており、その通過帯域
特性は、図7の実線cに示すように、リップルのないき
れいな特性曲線となっている。
【0061】前記の実験結果から、入力側と出力側の引
き出し電極の本数を少なくすることにより、入出力イン
ピーダンスの調整範囲が広くなり、もってフィルタの小
型化、低周波数化、低損失化、反射減衰量の増大化を図
ることができることがわかる。
【0062】また、この第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいては、第3の誘電体層24の一主面に第
1及び第2の内層アース電極60a及び60bを形成
し、第5の誘電体層28の一主面に第1及び第2の内層
アース電極64a及び64bを形成し、更に第7の誘電
体層32の一主面に第1及び第2の内層アース電極66
a及び66bを形成するようにしたので、各共振素子1
4a及び14b並びに16a及び16bを等価変換した
ときの各組の共振器200a及び200bにおける静電
容量C105 及びC106 にそれぞれ合成容量C101 及びC
103 が付加されることになるため、共振周波数を同一と
すれば、各組の共振器200a及び200bのインダク
タンスは小さくて済むことになり、その結果、共振素子
14a及び14b並びに16a及び16bの長さもより
小さくなり、第1の実施の形態に係るフィルタ10A全
体の長さも短くすることができる。
【0063】この場合に、第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aを小型化するために、第1及び第2の内層ア
ース電極(60a、64a)及び(60b、64b)と
各共振素子14a及び14bとの対向面積を増加させて
共振素子長を短縮していくと、1組の入力側の共振器2
00a及び1組の出力側の共振器200b同士がますま
す強く誘導結合して、フィルタ10Aの特性を広帯域化
させすぎるという問題が生じるが、この第1の実施の形
態においては、第3の誘電体層24の一主面に結合調整
電極62を設けるようにしているため、この結合調整電
極62と共振素子14a及び14b間に形成される静電
容量C9 及びC10によって、各共振器200a及び20
0b間に形成される誘導結合を抑制することができ、所
望の帯域幅を有するフィルタを得ることができる。
【0064】次に、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aの製造方法について説明する。第1の実施の形態に
係るフィルタ10Aは、2組の共振素子(14a、16
a)及び(14b、16b)、結合調整電極62、第1
の内層アース電極(60a、64a、66a)及び第2
の内層アース電極(60b、64b、66b)、引き出
し電極68a及び68bを完全に積層体12中に内蔵す
ることから、これらの電極には損失の少ない比抵抗の低
いものを用いることが好ましい。
【0065】使用する誘電体としては、信頼性が高く、
誘電率の高いもの、即ちセラミック誘電体が好ましい。
この場合、フィルタの小型化を有効に図ることができ
る。
【0066】また、製造方法としては、セラミック粉末
の成形体に導体ペーストを塗布して電極パターンを形成
した後、各々の成形体を積層し、更に焼成して緻密化
し、導体がその内部に積層された状態でセラミック誘電
体と一体化することが望ましい。
【0067】Ag系やCu系の導体を使用する場合に
は、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材料と同
時焼成することは困難であるところから、それらの融点
(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得る誘電
体材料を用いる必要がある。
【0068】また、マイクロ波フィルタとしてのデバイ
スの性格上、形成される並列共振回路の共振周波数の温
度特性(温度係数)が±50ppm/℃以下になるよう
な誘電体材料が好ましい。
【0069】このような誘電体材料としては、例えばコ
ージェライト系ガラス粉末とTiO 2 粉末及びNd2
2 7 粉末との混合物等のガラス系のものや、BaO
−TiO2 −Re2 3 −Bi2 3 系組成(Re:レ
アアース成分)に若干のガラス形成成分やガラス粉末を
添加したもの、酸化バリウム−酸化チタン−酸化ネオジ
ウム系誘電体磁気組成物粉末に若干のガラス粉末を添加
したものがある。
【0070】一例として、MgO:18wt%−Al2
3 :37wt%−SiO2 :37wt%−B2 3
5wt%−TiO2 :3wt%なる組成のガラス粉末の
73wt%と、市販のTiO2 粉末の17wt%と、N
2 Ti2 7 粉末の10wt%を十分に混合し、混合
粉末を得た。
【0071】なお、Nd2 Ti2 7 粉末は、Nd2
3 粉末とTiO2 粉末を1200℃で仮焼した後、粉砕
して得たものを使用した。
【0072】次いで、この混合粉末に、アクリル系有機
バインダー、可塑剤、トルエン及びアルコール系の溶剤
を加え、アルミナ玉石で十分に混合してスラリーとし
た。そして、このスラリーを用いて、ドクターブレード
法により、0.2mm〜0.5mmの厚みのグリーンテ
ープを作製した。
【0073】次に、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aにおいては、銀ペーストを導体ペーストとして図1
に示した導体パターンをそれぞれ印刷し、次いで、これ
ら導体パターンが印刷されたグリーンテープの厚みを調
整するために必要なグリーンテープを重ねて図1の構造
となるように重ね、積層した後、900℃で焼成して、
積層体12を作製した。
【0074】前記のように構成した積層体12の入力端
子部40及び出力端子部42を除く外周面に、図2に示
すように、銀電極からなるアース電極44を印刷し、更
に、アース電極44から絶縁し、かつ、入力側及び出力
側の引き出し電極68a及び68b(図1参照)に接続
される銀電極を入力端子部40及び出力端子部42内に
それぞれ入力端子46及び出力端子50として印刷し、
印刷した電極44、46及び50を850℃で焼き付け
た。
【0075】次に、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aの変形例10Aaについて図8を参照しながら説明
する。なお、図1と対応するものについては同符号を記
す。
【0076】この変形例に係るフィルタ10Aaは、図
8に示すように、第1の実施の形態に係るフィルタ10
A(図1参照)とほぼ同様の構成を有するが、第3の誘
電体層24の一主面に第1及び第2の内層アース電極6
0a及び60bのみが形成され、第5の誘電体層28の
一主面に結合調整電極62のみが形成されている点で異
なる。
【0077】この変形例に係るフィルタ10Aaにおい
ても、上下2本の入力側の共振素子14a及び16aの
うち、下方に位置する入力側の共振素子16aを引き出
し電極68aを介して入力端子46に直接接続し、上下
2本の出力側の共振素子14b及び16bのうち、下方
に位置する出力側の共振素子16bを引き出し電極68
bを介して出力端子50に直接接続するようにしている
ため、1組の入力側の共振器200aのインピーダンス
並びに1組の出力側の共振器200bのインピーダンス
が高くなり、その結果、入出力インピーダンスの調整範
囲が広くなる。これにより、反射減衰量を増大させるた
めの調整を容易に行うことが可能となり、フィルタの小
型化、低周波数化、低損失化を図ることができる。
【0078】次に、第2の実施の形態に係るフィルタ1
0Bについて図9〜図12を参照しながら説明する。
【0079】この第2の実施の形態に係るフィルタ10
Bは、図9に示すように、複数枚の板状の誘電体層が積
層、焼成されて構成された積層体100内に、1/4波
長型ストリップライン共振器を構成する3組の共振素子
(102a、104a、108a)、(102b、10
4b、108b)及び(102c、104c、108
c)が形成された構成を有し、積層体100の厚み方向
に並ぶ3本の共振素子(102a、104a、108
a)、(102b、104b、108b)及び(102
c、104c、108c)が3組並設されて、1/4波
長型ストリップライン共振器が構成されている。
【0080】具体的には、前記積層体100は、上から
順に、第1の誘電体層110と、第2の誘電体層112
が数枚重ねられて構成された誘電体層群114と、第3
〜第9の誘電体層116〜128と、第10の誘電体層
130が数枚重ねられて構成された誘電体層群132
と、第11の誘電体層134とが積み重ねられて構成さ
れている。
【0081】なお、入力端子部40及び出力端子部42
の構成並びにアース電極44の形成状態は、第1の実施
の形態に係るフィルタ10A(図2参照)とほぼ同じで
あるため、その詳細説明は省略する。
【0082】そして、この第2の実施の形態に係るフィ
ルタ10Bにおいては、第4の誘電体層118の上面に
3本の短冊状の共振素子102a、102b及び102
cがそれぞれ長手方向が一方向に揃えられて形成され、
第6の誘電体層122の上面に3本の短冊状の共振素子
104a、104b及び104cがそれぞれ長手方向が
一方向に揃えられて形成され、第8の誘電体層126の
上面に3本の短冊状の共振素子106a、106b及び
106cがそれぞれ長手方向が一方向に揃えられて形成
されている。
【0083】これら共振素子のうち、入力端子46に最
も近い方が入力側の共振素子102a、104a及び1
06aとされ、出力端子50に最も近い方が出力側の共
振素子102c、104c及び106cとされている。
また、これら共振素子は、各一端部がアース電極44に
接続されて、各他端部が開放端とされている。
【0084】前記第3の誘電体層116の一主面には、
上方に位置する入力側の共振素子102aの開放端側と
対向する第1の内層アース電極140aと、上方に位置
する中央の共振素子102bの開放端側と対向する第2
の内層アース電極140bと、上方に位置する出力側の
共振素子104cの開放端側と対向する第3の内層アー
ス電極140aが形成されている。
【0085】前記第5の誘電体層120の一主面には、
上下に位置する入力側の共振素子102a及び104a
の開放端側と対向する第1の内層アース電極142a
と、上下に位置する中央の共振素子102b及び104
bの開放端側と対向する第2の内層アース電極142b
と、上下に位置する出力側の共振素子102c及び10
4cの開放端側と対向する第3の内層アース電極142
cと、上下に位置する入力側と中央の共振素子(102
a、104a)及び(102b及び104b)と容量結
合される結合調整電極144が形成されている。
【0086】また、前記第7の誘電体層124の一主面
には、上下に位置する入力側の共振素子104a及び1
06aの開放端側と対向する第1の内層アース電極14
6aと、上下に位置する中央の共振素子104b及び1
06bの開放端側と対向する第2の内層アース電極14
6bと、上下に位置する出力側の共振素子104c及び
106cの開放端側と対向する第3の内層アース電極1
46cと、上下に位置する中央と出力側の共振素子(1
04a、106a)及び(104b及び106b)と容
量結合される結合調整電極148が形成されている。
【0087】前記第9の誘電体層128の一主面には、
下方に位置する入力側の共振素子106aの開放端側と
対向する第1の内層アース電極150aと、下方に位置
する中央の共振素子106bの開放端側と対向する第2
の内層アース電極150bと、下方に位置する出力側の
共振素子106cの開放端側と対向する第3の内層アー
ス電極150aが形成されている。
【0088】特に、この第2の実施の形態に係るフィル
タ10Bにおいては、上下に並ぶ3本の入力側の共振素
子102a、104a及び106aのうち、中央に位置
する入力側の共振素子104aが引き出し電極152a
を介して入力端子46に直接電気的に接続され、上下に
並ぶ3本の出力側の共振素子102c、104c及び1
06cのうち、中央に位置する出力側の共振素子104
cが引き出し電極152bを介して出力端子50に直接
電気的に接続されている。
【0089】第2の実施の形態に係るフィルタ10B
は、基本的には以上のように構成されるものであるが、
ここで、各電極の電気的な結合について図10〜図12
を参照しながら説明する。
【0090】まず、図10に示すように、上方に位置す
る入力側の共振素子102aの開放端と上下の第1の内
層アース電極140a及び142aとの間、中央の共振
素子102bの開放端と上下の第2の内層アース電極1
40b及び142bとの間並びに出力側の共振素子10
2cの開放端と上下の第3の内層アース電極140c及
び142cとの間にはそれぞれ静電容量C21、C22、C
23、C24、C25及びC 26が形成されている。
【0091】前記入力側の共振素子102a、前記中央
の共振素子102b及び前記出力側の共振素子102c
同士は互いに誘導結合され、これにより、等価回路上で
はインダクタンスL11及びL12が挿入されたかたちにな
る(図10参照)。
【0092】中央に位置する入力側の共振素子104a
の開放端と上下の第1の内層アース電極142a及び1
46aとの間、中央の共振素子104bの開放端と上下
の第2の内層アース電極142b及び146bとの間並
びに出力側の共振素子104cの開放端と上下の第3の
内層アース電極142c及び146cとの間にはそれぞ
れ静電容量C27、C28、C29、C30、C31及びC32が形
成されている。
【0093】前記入力側の共振素子104a、前記中央
の共振素子104b及び前記出力側の共振素子104c
同士は互いに誘導結合され、これにより、等価回路上で
はインダクタンスL13及びL14が挿入されたかたちにな
る(図10参照)。
【0094】下方に位置する入力側の共振素子106a
の開放端と上下の第1の内層アース電極146a及び1
50aとの間、中央の共振素子106bの開放端と上下
の第2の内層アース電極146b及び150bとの間並
びに出力側の共振素子106cの開放端と上下の第3の
内層アース電極146c及び150cとの間にはそれぞ
れ静電容量C33、C34、C35、C36、C37及びC38が形
成されている。
【0095】前記入力側の共振素子106a、前記中央
の共振素子106b及び前記出力側の共振素子106c
同士は互いに誘導結合され、これにより、等価回路上で
はインダクタンスL15及びL16が挿入されたかたちにな
る(図10参照)。
【0096】また、図11に示すように、上方に位置す
る結合調整電極とその上下に位置する入力側の共振素子
102a及び104a並びに中央の共振素子102b及
び104bとの間にはそれぞれ静電容量C41、C42、C
43及びC44が形成される。
【0097】同様に、下方に位置する結合調整電極とそ
の上下に位置する中央の共振素子104b及び106b
並びに出力側の共振素子104c及び106cとの間に
はそれぞれ静電容量C47、C48、C49及びC50が形成さ
れる。
【0098】この場合も、上述した第1の実施の形態に
係るフィルタ10Aと同様に、すべての入力側の共振素
子102a、104a及び106aは1組の入力側の共
振器300a(図12参照)として考えることができ、
すべての中央の共振素子102b、104b及び106
bも1組の中央の共振器300bとして考えることがで
きる。出力側も同様に、すべての出力側の共振素子10
2c、104c及び106cは1組の出力側の共振器3
00cとして考えることができる。
【0099】従って、第2の実施の形態に係るフィルタ
10Bの等価回路は、図12に示すようになり、バンド
パスフィルタを構成することとなる。
【0100】なお、図12において、静電容量C
203 は、入力側の共振素子102a及び104aと結合
調整電極62間の静電容量C41及びC42(図11参照)
と、中央の共振素子102b及び104bと結合調整電
極62間の静電容量C43及びC44との合成容量を示し、
静電容量C204 は、中央の共振素子104b及び106
bと結合調整電極64間の静電容量C47及びC48(図1
1参照)と、出力側の共振素子104c及び106cと
結合調整電極64間の静電容量C49及びC50との合成容
量を示す。
【0101】インダクタンスL201 は、入力側の共振素
子102a、104a及び106aと中央の共振素子1
02b、104b及び106b間のインダクタンス
11、L 13及びL15(図11参照)の合成インダクタン
スを示し、インダクタンスL202は、中央の共振素子1
02b、104b及び106bと出力側の共振素子10
2c、104c及び106c間のインダクタンスL12
14及びL16(図11参照)の合成インダクタンスを示
す。
【0102】また、静電容量C205 は、入力側の共振素
子102a、104a及び106aと各第1の内層アー
ス電極140a、142a、146a及び150a間の
静電容量C21、C22、C27、C28、C33及びC34(図1
0参照)の合成容量を示し、静電容量C207 は、中央の
共振素子102b、104b及び106bと各第2の内
層アース電極140b、142b、146b及び150
b間の静電容量C23、C24、C29、C30、C35及びC36
の合成容量を示し、静電容量C209 は、出力側の共振素
子102c、104c及び106cと各第3の内層アー
ス電極140c、142c、146c及び150c間の
静電容量C25、C26、C31、C32、C37及びC38の合成
容量を示す。
【0103】また、静電容量C211 及びインダクタンス
203 は1組の入力側の共振器300aを等価変換した
ときの静電容量及びインダクタンスであり、静電容量C
212及びインダクタンスL204 は1組の中央の共振器3
00bを等価変換したときの静電容量及びインダクタン
スであり、静電容量C213 及びインダクタンスL205
1組の出力側の共振器300cを等価変換したときの静
電容量及びインダクタンスである。
【0104】このように、第2の実施の形態に係るフィ
ルタ10Bにおいては、第5の誘電体層120及び第7
の誘電体層124の各一主面にそれぞれ結合調整結合1
44及び148を形成するようにしたので、容量C41
44、C47〜C50によって、共振素子102a及び10
2b間の誘導結合度、共振素子104a及び104b間
の誘導結合度、共振素子104b及び104c間の誘導
結合度、共振素子106b及び106c間の誘導結合度
を調整することができ、所望の帯域幅を有するフィルタ
を得ることができる。
【0105】また、第2の実施の形態に係るフィルタ1
0Bは、上下3本の入力側の共振素子102a、104
a及び106aのうち、中央に位置する入力側の共振素
子104aを引き出し電極152aを介して入力端子4
6に直接接続し、上下3本の出力側の共振素子102
c、104c及び106cのうち、中央に位置する出力
側の共振素子104cを引き出し電極152bを介して
出力端子50に直接接続するようにしているため、1組
の入力側の共振器300aのインピーダンス並びに1組
の出力側の共振器300cのインピーダンスが高くな
り、その結果、入出力インピーダンスの調整範囲が広く
なる。これにより、反射減衰量を増大させるための調整
を容易に行うことが可能となり、フィルタの小型化、低
周波数化、低損失化を図ることができる。
【0106】また、この第2の実施の形態に係るフィル
タ10Bにおいては、第3の誘電体層116、第5の誘
電体層120、第7の誘電体層124及び第9の誘電体
層128の各一主面にそれぞれ第1〜第3の内層アース
電極140a〜140c、142a〜142c、146
a〜146c及び150a〜150cを形成するように
したので、各共振素子102a〜102c、104a〜
104c並びに106a〜106cを等価変換したとき
の各組の共振器300a、300b及び300cにおけ
る静電容量C211 、C212 及びC213 にそれぞれ合成容
量C205 、C20 7 及びC209 が付加されることになるた
め、共振周波数を同一とすれば、各組の共振器300
a、300b及び300cのインダクタンスは小さくて
済むことになり、その結果、共振素子102a〜102
c、104a〜104c並びに106a〜106cの長
さもより小さくなり、第2の実施の形態に係るフィルタ
10B全体の長さも短くすることができる。
【0107】この場合に、第2の実施の形態に係るフィ
ルタ10Bを小型化するために、第1及び第2の内層ア
ース電極(140a、142a)及び(140b、14
2b)と各共振素子102a及び102bとの対向面
積、第1〜第3の内層アース電極(142a、146
a)、(142b、146b)及び(142c、146
c)と各共振素子104a、104b及び104cとの
対向面積、並びに第2及び第3の内層アース電極(14
6b、150b)及び(146c、150c)と各共振
素子106b及び106cとの対向面積を増加させて共
振素子長を短縮していくと、1組の入力側の共振器30
0a及び1組の出力側の共振器300b同士がますます
強く誘導結合して、フィルタ10Bの特性を広帯域化さ
せすぎるという問題が生じるが、この第2の実施の形態
においては、第5の誘電体層120及び第7の誘電体層
124の各一主面にそれぞれ結合調整電極144及び1
48を設けるようにしているため、結合調整電極144
と入力側の共振器300a及び中央の共振器300b間
に形成される合成容量C203 によって、共振器300a
及び300b間に形成される誘導結合L201 、並びに共
振器300b及び300c間に形成される誘導結合L
202 をそれぞれ抑制することができ、所望の帯域幅を有
するフィルタを得ることができる。
【0108】前記第1及び第2の実施の形態に係るフィ
ルタ10A及び10Bにおいては、共振素子を2層並び
に3層積層させた場合を示したが、その他、4層以上積
層させたフィルタにも適用させることができる。
【0109】なお、この発明に係る積層型誘電体フィル
タは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸
脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろん
である。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る積層
型誘電体フィルタによれば、入出力インピーダンスの調
整範囲を広くとることができ、フィルタの小型化、低周
波数化、低損失化、反射減衰量の増大化を効率よく図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルタの構成を示す
分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るフィルタの外観を示す
斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るフィルタにおいて、内
層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断した
場合の構成を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るフィルタにおいて、引
き出し電極の形成面に対して直交する方向に切断した場
合の構成を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るフィルタを示す等価回
路図である。
【図6】比較例に係るフィルタの構成を示す分解斜視図
である。
【図7】実施例及び比較例において、各結合調整電極を
調整して共振素子間の結合を容量性にしたときの周波数
特性を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係るフィルタの変形例の構
成を示す分解斜視図である。
【図9】第2の実施の形態に係るフィルタの構成を示す
分解斜視図である。
【図10】第2の実施の形態に係るフィルタにおいて、
内層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断し
た場合の構成を示す断面図である。
【図11】第2の実施の形態に係るフィルタにおいて、
引き出し電極の形成面に対して直交する方向に切断した
場合の構成を示す断面図である。
【図12】第2の実施の形態に係るフィルタを示す等価
回路図である。
【符号の説明】
10A、10B…フィルタ 12、100…積
層体 14a、16a…入力側の共振素子 14b、16b…
出力側の共振素子 40…入力端子部 42…出力端子部 44…アース電極 46…入力端子 50…出力端子 60a、64a、66a…第1の内層アース電極 60b、64b、66b…第2の内層アース電極 68a、68b…引き出し電極 102a〜102c、104a〜104c、106a〜
106c…共振素子 140a、142a、146a、150a…第1の内層
アース電極 140b、142b、146b、150b…第2の内層
アース電極 140c、142c、146c、150c…第3の内層
アース電極 144、148…結合調整電極 152a、152
b…引き出し電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の誘電体層が積層されて構成され、そ
    の外周面に入力端子、出力端子及びアース電極が形成さ
    れた積層体を具備し、 前記積層体を構成する複数の誘電体層のうち、少なくと
    も2つの誘電体層の各主面にそれぞれ少なくとも2本の
    片側短絡型の共振素子が形成され、 これら共振素子のうち、入力端子に近接する入力側の共
    振素子が直接入力端子に電気的に接続され、出力端子に
    近接する出力側の共振素子が直接出力端子に電気的に接
    続された積層型誘電体フィルタにおいて、 前記複数の入力側の共振素子のうち、少なくとも1本の
    入力側の共振素子が前記入力端子に直接接続されていな
    いことを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、 前記複数の入力側の共振素子のうち、1本の入力側の共
    振素子のみが前記入力端子に直接接続されていることを
    特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  3. 【請求項3】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、 前記複数の出力側の共振素子のうち、少なくとも1本の
    出力側の共振素子が前記出力端子に直接接続されていな
    いことを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  4. 【請求項4】請求項3記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、 前記複数の出力側の共振素子のうち、1本の出力側の共
    振素子のみが前記出力端子に直接接続されていることを
    特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層
    型誘電体フィルタにおいて、 前記積層体内であって、前記入力側の共振素子と別の共
    振素子との間に設けられ、これら共振素子に対して容量
    結合された結合調整電極を有することを特徴とする積層
    型誘電体フィルタ。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層
    型誘電体フィルタにおいて、 前記アース電極と接続され、前記共振素子の開放端側と
    対向する内層アース電極が前記積層体内に設けられてい
    ることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
JP7709098A 1998-03-18 1998-03-25 積層型誘電体フィルタ Pending JPH11274807A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100461719B1 (ko) * 2002-04-25 2004-12-14 삼성전기주식회사 적층형 유전체 필터

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