JPH11274540A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11274540A
JPH11274540A JP11016405A JP1640599A JPH11274540A JP H11274540 A JPH11274540 A JP H11274540A JP 11016405 A JP11016405 A JP 11016405A JP 1640599 A JP1640599 A JP 1640599A JP H11274540 A JPH11274540 A JP H11274540A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor layer
type
gas
layer
based semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11016405A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3710312B2 (ja
Inventor
Masafumi Sano
政史 佐野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP01640599A priority Critical patent/JP3710312B2/ja
Publication of JPH11274540A publication Critical patent/JPH11274540A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3710312B2 publication Critical patent/JP3710312B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/545Microcrystalline silicon PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光電変換効率を有し劣化の少ない光起
電力素子を、低コストで提供する。 【解決手段】 支持基板上に、水素を含有するn型シリ
コン系半導体層、水素を含有するi型シリコン系半導体
層、水素を含有するp型シリコン系半導体層、を順に積
層する工程を少なくとも有する光起電力素子の製造方法
であって、少なくともn型非晶質半導体層とn型微結晶
半導体層とを積層することによって前記n型シリコン系
半導体層を形成する工程と、該n型シリコン系半導体層
を熱処理する工程と、該熱処理されたn型シリコン系半
導体層上にi型微結晶シリコン系半導体層を形成する工
程と、を有することを特徴とする光起電力素子の製造方
法及び該方法を用いて製造された光起電力素子を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池やセンサ
ー等の光起電力素子に関するものであり、特に、i型微
結晶半導体層を含むnip型シリコン系半導体層を有す
る光起電力素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光を電気エネルギーに変換する光電
変換素子である光起電力素子は、電卓、腕時計など民生
用の小電力用電源として広く応用されており、また、将
来、石油、石炭などのいわゆる化学燃料の代替用電源と
して実用化可能な技術として注目されている。
【0003】光起電力素子は半導体のpn接合の光起電
力を利用した技術であり、シリコンなどの半導体に太陽
光を吸収させ電子と正孔の光キャリアを生成させ、該光
キャリアをpn接合部の内部電界によりドリフトさせ、
外部に取り出すものである。このような光起電力素子
は、通常の半導体プロセスとほぼ同様のプロセスを用い
ることにより製造することができる。具体的には、CZ
法などの結晶成長法によりp型、或いはn型に価電子制
御したシリコンの単結晶を作製し、該単結晶をスライス
して約300μmの厚みのシリコンウェハーを作る。さ
らにウェハー表面に前記ウェハーの導電型と反対の導電
型となるように価電子制御剤の拡散などの適当な手段を
用いて、異種の導電型の層を形成することでpn接合を
作るものである。
【0004】ところで、信頼性や変換効率の観点から、
現在、主に実用化されている光起電力素子には、単結晶
シリコンが使われているが、上述のように光起電力素子
の作製に半導体プロセスを用いるため生産コストは高い
ものとなっている。
【0005】単結晶シリコン光起電力素子の他の問題点
は、単結晶シリコンは間接遷移であるため光吸収係数が
小さく、単結晶の光起電力素子は入射太陽光を吸収する
ために少なくとも50μmの厚さにしなければならない
ことや、バンドギャップが約1.1eVであり光起電力
素子として好適な1.5eVよりも狭いため光の短波長
成分を有効に利用できないことである。
【0006】また、多結晶シリコンを用いた光起電力素
子としては、表面テクスチャー構造を有し、550℃以
下の低いプロセス温度で形成され、5μm以下の薄い厚
さで優れた特性を示すものが報告されている(Keij
i Yamamoto,Akihiko Nakaji
ma et al.”Optical Confine
ment Effect for below 5μm
Thin FilmPoly−Si Solar C
ell on Glass Substrate”Jp
n.J.Appl.Phys.Vol.36(199
7)ppL569−L572)。
【0007】しかしながら、比較的高いプロセス温度と
遅いプロセススピードの点から実用化には至っていな
い。
【0008】さらに、単結晶や多結晶は結晶質であるが
ために面積の大きなウェハー及び多結晶層を製造するの
は極めて困難であること、屋外で使用する際に光起電力
素子を様々な気象条件によりもたらされる機械的損傷か
ら保護するため、高価な実装が必要になることなどか
ら、単位発電量に対する生産コストが既存の発電方法に
比べて割高になってしまうという問題がある。
【0009】このような事情から、光起電力素子の電力
用としての実用化を進めるに当たって、低コスト化及び
大面積化が重要な技術的課題であり、様々な検討がなさ
れており、コストの安い材料、変換効率の高い材料など
の材料の探究が行われてきた。このような光起電力素子
の材料としては、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲル
マニウム、非晶質炭化ケイ素などのテトラヘドラル系の
非晶質半導体や、CdS、Cu2 SなどのII−VI族
やGaAs、GaAlAsなどのIII−V族の化合物
半導体等が挙げられる。とりわけ、非晶質半導体を光起
電力発生層に用いた薄膜光起電力素子は、単結晶光起電
力素子に比較して大面積の膜が作製できることや、膜厚
が薄くて済むこと、任意の基板材料に堆積できることな
どの長所があり有望視されている。
【0010】しかしながら、上記非晶質半導体を用いた
光起電力素子は、電力用素子としては光電変換効率の向
上、信頼性の向上の面で問題が残っている。
【0011】非晶質半導体を用いた光起電力素子の光電
変換効率の向上の手段としては、例えば、バンドギャッ
プを狭くして長波長の光に対する感度を増加することが
行われている。即ち、非晶質シリコンは、バンドギャッ
プが約1.7eV位であるため、700nm以上の長波
長の光は吸収できず、有効に利用できないため、長波長
光に感度のある、バンドギャップの狭い材料を用いるこ
とが検討されている。このような材料としては成膜時の
シリコン原料ガスとゲルマニウム原料ガスの比を変える
ことで容易にバンドギャップを1.3eV位から1.7
eV位まで任意に変化できる非晶質シリコンゲルマニウ
ムが挙げられる。
【0012】また、光起電力素子の変換効率を向上させ
る他の方法として、単位素子構造の光起電力素子を複数
積層するいわゆるスタックセルを用いることが米国特許
第2,949,498号明細書に開示されている。この
スタックセルにはpn接合半導体が用いられているが、
その思想は非晶質或いは結晶質いずれにも共通するもの
であり、太陽光スペクトルを異なるバンドギャップの光
起電力素子により効率良く吸収させ、Vocを増大させる
ことにより発電効率を向上させるものであった。
【0013】スタックセルは、異なるバンドギャップの
素子を積層し、太陽光線のスペクトルの各部分を効率良
く吸収することにより、変換効率を向上させるものであ
り、積層する素子の光入射側に位置するいわゆるトップ
層のバンドギャップよりも該トップ層の下(光入射側と
反対側)に位置するいわゆるボトム層のバンドギャップ
が狭くなるように設計される。これにより、太陽光線の
スペクトルを十分に吸収し、光電変換効率が飛躍的に改
善された(K.Miyachi et al.,Pro
c.11thE.C.Photovoltaic So
lar Energy Conf.Montreux,
Switzerland,88,1992),(K.N
omoto et al.,”a−Si Alloy
Tree−Stacked solar Cells
with High Stabilized−Effi
ciency2,7th Photovoltaic
Science and Engineering C
onf.Nagoya,275,1993)。
【0014】しかしながら、i型半導体層の全てに非晶
質半導体を用いた光起電力素子には、光照射により変換
効率が低下するいわゆる光劣化という問題点があり、そ
の低減には限界があった。これは、非晶質シリコン及び
非晶質シリコンゲルマニウムは光照射により膜質が劣化
してしまい、このためキャリアの走行性が悪くなること
により引き起こされるものであり、結晶系半導体には見
られない、非晶質半導体特有の現象である。そのため非
晶質半導体を電力用途に用いる場合、信頼性が劣り、実
用化の障害となっているのが実状である。
【0015】また、十分な光電流を得るために必要な膜
厚、光劣化等の観点からプラズマCVD法によって製造
されたi型層微結晶シリコン半導体が注目されてきてお
り報告がなされている(A.Shah,H.Keppn
er,et al.,”INTRINSIC MICR
OCRYSTALLINE SILICON(μc−S
i:H)−A PROMISING NEW THIN
FILM SOLAR CELL MATERIA
L”,1994 IEEE First WCPEC,
pp.409−412,Dec.5−9,1994,H
awaii,)、(A.Shah,H.Keppne
r,et al.,The”Micromorph”S
olarcell:Extending a−Si:H
Technology Towards Thin
Film CrystallineSilicon,2
5th IEEE PV Specialists C
onference,Washington,May
13−17,1996)。
【0016】しかしながら、いずれの報告においても微
結晶層の堆積速度が遅く実用化の障害となっているのが
実状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決し、微結晶半導体層を用いた光起電
力素子のさらなる薄膜化と堆積速度の向上を図り、電力
用途に用いるためにさらなる変換効率の向上を図り、信
頼性が高く変換効率の高い光起電力素子を低コストで提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持基板上
に、水素を含有するn型シリコン系半導体層、水素を含
有するi型シリコン系半導体層、水素を含有するp型シ
リコン系半導体層、を順に積層する工程を少なくとも有
する光起電力素子の製造方法であって、少なくともn型
非晶質半導体層とn型微結晶半導体層とを積層すること
によって前記n型シリコン系半導体層を形成する工程
と、該n型シリコン系半導体層を熱処理する工程と、該
熱処理されたn型シリコン系半導体層上にi型微結晶シ
リコン系半導体層を形成する工程と、を有することを特
徴とする光起電力素子の製造方法を提供する。
【0019】また、本発明は、支持基板上に、少なくと
も、水素を含有するn型シリコン系半導体層、水素を含
有するi型微結晶シリコン系半導体層、水素を含有する
p型シリコン系半導体層、を順に有する光起電力素子で
あって、前記n型シリコン系半導体層が少なくともn型
非晶質半導体層とn型微結晶半導体層とを積層した後に
熱処理が施されたものであることを特徴とする光起電力
素子を提供する。
【0020】ここで、前記熱処理を、前記n型シリコン
系半導体層が結晶核生成層となる条件で行なうことが好
ましい。また、熱処理温度は550℃以下とすることが
好ましい。
【0021】また、前記支持基板上に少なくとも一層の
第一の透明導電層を形成することが好ましく、前記p型
シリコン系半導体層上に第二の透明導電層を形成するこ
とが好ましい。
【0022】さらに、前記i型微結晶シリコン系半導体
層を、形成圧力を400mtorr以下とし、水素ガス
あるいは水素ガスと不活性ガスとからなる希釈ガスとか
らなる希釈ガスで1/20以下に希釈したシラン系ガス
を原料ガスとして用い、該原料ガスの堆積室内での滞留
時間が40msec.以下の条件で、0.1GHz〜1
0GHzの高周波を用いたプラズマCVD法によって形
成することが好ましい。
【0023】また、前記n型非晶質半導体層の層厚は5
0Å〜1000Åであることが好ましく、前記n型微結
晶半導体層の層厚は50Å〜1000Åであることが好
ましく、前記i型微結晶シリコン系半導体層の層厚は
0.5μm〜3.5μmであることが好ましい。
【0024】本発明において、n型シリコン系半導体層
を熱処理して結晶核生成層を形成し、該結晶核生成層の
上にi型微結晶シリコン系半導体層を形成することによ
り、該i型微結晶シリコン系半導体層は、高速堆積が可
能で薄膜の状態であっても適度な粒径に成長させること
ができ、且つ、非晶質領域の少ない比較的結晶化率の高
い構造のものが得られ、光劣化がほとんどない優れた特
性を有する。従って、薄膜であっても高い光電変換効率
を維持し、これまで困難であった高速成膜を可能として
飛躍的に光起電力素子の製造コストを下げることができ
る。
【0025】また、n型非晶質半導体層を第一の透明導
電層上に設けることにより、該透明導電層と半導体層と
の密着性が向上すると共に、該透明導電層の水素プラズ
マ等による還元を防ぐことができ、且つ、n型微結晶半
導体層を再現性良く堆積し易くし、異常成長結晶の少な
い比較的結晶粒の均一なn型微結晶半導体層を形成し易
くすることができる。
【0026】さらに、n型微結晶半導体層は、n型シリ
コン系半導体層を熱処理する際に、微結晶層の粒径を大
きくする結晶核として働き、550℃以下の低温で且つ
短時間での熱処理を可能とし、結晶核生成層の形成を容
易化する。
【0027】i型微結晶シリコン系半導体層の形成条件
を制御することによって、結晶核生成層の影響を、低温
で高速堆積時であっても受け易くし、且つ、成膜空間内
の滞留時間を短くすることにより、i型微結晶シリコン
系半導体層となる前駆体を短時間で大量に供給すること
で、高速で堆積してもダングリグボンド等の欠陥密度の
少ない優れたi型微結晶シリコン系半導体層を形成する
ことができ、高い光電変換率を維持することができる。
【0028】熱処理温度を550℃以下にすることによ
り、上記i型微結晶シリコン系半導体層とその上のp型
シリコン系半導体層との界面準位の低減及びi型層のグ
レインバインダリーの改善等がなされ、光劣化を抑制し
ながら高い光電変換効率を維持することができる。
【0029】n型非晶質半導体層の層厚を制御すること
により、n型微結晶半導体層の微結晶体積率や粒径を容
易に制御することができ、且つ第一の透明導電層へのプ
ラズマダメージを制御することができ、密着性を向上さ
せることができ大面積にわたって高い光電変換効率を維
持することができる。
【0030】n型微結晶半導体層の層厚を制御すること
により、n型微結晶半導体層が低抵抗なn型半導体層と
してより良好に機能する上、n型半導体層を結晶核生成
層とする際の核発生層として良好に機能し、i型微結晶
シリコン系半導体層の高速成膜及び結晶粒径や結晶化率
を容易に制御することが可能となり、光劣化のほとんど
無い高い光電変換効率を維持することができる。
【0031】i型微結晶シリコン系半導体層の層厚を従
来好適と考えられてきた層厚を外れてごく薄くすること
で、光照射によるi型層中での局在準位の増加を抑制す
ることができ、光起電力素子の中でもさらに光劣化を抑
制することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光起電力素子の好
適な実施態様について詳細に説明するが、本発明は以下
の実施態様に限定されるものではない。
【0033】図1は本発明の光起電力素子の一実施態様
を示す模式的な断面図である。図中、100は光起電力
素子、101は支持基板、103は第一の透明導電層、
104はn型非晶質半導体層、105はn型微結晶半導
体層、106はi型微結晶半導体層、107はp型半導
体層、108は第二の透明導電層、109は集電電極で
ある。また、支持基板101と第一の透明導電層との間
には、必要に応じて裏面反射層102を有していても良
い。また、上記n型非晶質半導体層104とn型微結晶
半導体層105に熱処理を施して結晶核生成層110を
形成した後、上記i型微結晶半導体層106が形成され
る。
【0034】(支持基板)半導体層104〜107は高
だか3.5μm程度の薄膜であるため、種々の支持基板
上に堆積して設けることができる。このような支持基板
101は、単結晶質のものであっても非単結晶質のもの
であっても良く、導電性のものであっても、電気絶縁性
のものであっても良い。また、支持基板101は透光
性、非透光性のいずれも良いが、変形や歪みが少なく、
所望の強度を有するものであることが好ましい。具体的
には、Fe、Ni、Cr、Al、Mo、Au、Nb、T
a、V、Ti、Pt、Pb等の金属またはこれらの合金
(例えば真鍮、ステンレス鋼等)の薄板及びその複合
体、及びポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミ
ド、ポリイミド、エポキシ等の耐熱性合成樹脂のフィル
ムまたはシート、またはこれらとガラスファイバー、カ
ーボンファイバー、ホウ素ファイバー、金属繊維等との
複合体、及びこれらの金属の薄板、樹脂シート等の表面
に異種材質の金属薄膜及び/またはSiO2 、Si3
4 、Al23 、AlN等の絶縁性薄膜をスパッタ法、
蒸着法、鍍金法等により表面コーティング処理したも
の、及び、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。
【0035】本発明において、支持基板101が金属等
の電気導電性を有するものである場合には、支持基板1
01に電流取り出し用の電極としての役割を兼ねさせて
もよい。一方、支持基板101が合成樹脂等の電気絶縁
性のものである場合には堆積膜の形成される側の表面に
Al、Ag、Pt、Au、Ni、Ti、Mo、W、F
e、V、Cr、Cu、ステンレス、真鍮、ニクロム、S
nO2 、In23 、ZnO、ITO(インジウム錫酸
化物)等のいわゆる金属単体または合金、及び透明導電
性酸化物(TCO)を鍍金、蒸着、スパッタ等の方法で
あらかじめ設けることによって電流取り出し用電極を形
成しておくことが望ましい。この電極は後述する裏面反
射層や第一の透明導電層の役割を兼ねることができる。
【0036】また、支持基板101が金属等導電性のも
のであっても、長波長光の基板表面上での反射率を向上
させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相互
拡散を防止する等の目的で、支持基板101とは異種の
金属層等を支持基板101の堆積膜が形成される側に設
けても良い。この金属層は裏面反射層の役割を兼ねるこ
とができる。また、支持基板101が比較的透明であっ
て、該基板の側から光入射を行う層構成の光起電力素子
とする場合には、透明導電性酸化物や金属薄膜等の導電
性薄膜を予め堆積形成しておくことが望ましい。この導
電性薄膜は第一の透明導電層の役割を兼ねることができ
る。
【0037】支持基板101の表面は、平滑面であって
も、微小な凹凸面であっても良い。微小な凹凸面とする
場合には、凹凸形状は球状、円錐状、角錐状等であっ
て、且つその最大高さ(Rmax )を好ましくは0.05
μm〜2μmとする。それにより、該表面での光反射が
乱反射となり、該表面での反射光の光路長の増大をもた
らす。基板の形状は、用途により平滑表面或いは凹凸表
面の板状、長尺ベルト状、円筒状等とすることができ、
その厚さは、所望通りの光起電力素子を形成し得るよう
に適宜決定するが、出来上がった光起電力素子に可撓性
が要求される場合、または基板の側より光入射がなされ
る場合には、基板としての機能が十分発揮される範囲内
で可能な限り薄くすることができる。基板の製造上及び
取り扱い上、機械的強度等の点から、基板の厚さは通常
は10μm以上とされる。
【0038】(裏面反射層)裏面反射層は、半導体層で
吸収しきれなかった光を再び半導体層に反射する光反射
層としての役割を有する。本発明に用いられる裏面反射
層(裏面電極としての機能を有することもある)は光入
射方向に対し、半導体層の裏面に配される層である。従
って、図1の102の位置に配置される。裏面反射層の
材料としては、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Fe、
Cr、Mo、W、Ti、Co、Ta、Nb、Zr等の金
属またはステンレス等の合金が挙げられる。中でもA
l、Cu、Ag、Auなどの反射率の高い金属が特に好
ましい。
【0039】また、裏面反射層の形状は平坦であっても
良いが、光を散乱する凹凸形状を有することがより好ま
しい。光を散乱する凹凸形状を有することによって、半
導体層で吸収しきれなかった長波長を散乱させて半導体
層内での光路長を伸ばし、光起電力素子の長波長感度を
向上させて短絡電流を増大させ、光電変換効率を向上さ
せることができる。光を散乱する凹凸形状は、凹凸の山
と谷の高さの差の最大値Rmax が0.2μm〜2.0μ
mであることが望ましい。
【0040】但し、支持基板101が裏面電極を兼ねる
場合には、裏面反射層の形成を必要としない場合もあ
る。
【0041】また、裏面反射層の形成には、蒸着法、ス
パッタ法、メッキ法、印刷法などを用いることができ
る。また裏面反射層を光を散乱する凹凸形状に形成する
ために、形成した金属或いは合金の膜にドライエッチン
グ或いはウエットエッチング、サンドブラスト、加熱な
どの処理を施してもよい。また基板を加熱しながら前述
の金属或いは合金を蒸着することにより光を散乱する凹
凸形状を形成することもできる。
【0042】(透明導電層)裏面反射層102とn型非
晶質半導体層104との間に、導電性酸化亜鉛等からな
る第一の透明導電層103を設ける。第一の透明導電層
103は、裏面反射層102を構成する金属元素がn型
非晶質半導体層104中へ拡散するのを防止するのみな
らず、若干の抵抗値を持たせることで半導体層を挟んで
対向する裏面反射層(電極となる場合もある)102と
第二の透明導電層108との間の半導体層のピンホール
等の欠陥が原因となって発生するショートを防止するこ
と、及び薄膜による多重干渉を発生させ、入射された光
を光起電力素子内に閉じ込める等の機能を有する。
【0043】第一の透明導電層103の形状は平坦であ
っても良いが、光を散乱する凹凸形状を有することがよ
り好ましい。光を散乱する凹凸形状を有することによっ
て、半導体層で吸収しきれなかった長波長光を散乱させ
て半導体層内での光路長を延ばし、光起電力素子の長波
長感度を向上させて短絡電流を増大させ、光電変換効率
を向上させることができる。光を散乱する凹凸形状は、
凹凸の山と谷の高さの差の最大値Rmax が0.2μm〜
2.0μmであることが望ましい。
【0044】第一の透明導電層の形成には、蒸着法、ス
パッタ法、メッキ法、印刷法などを用いることができ
る。また第一の透明導電層を光の散乱する凹凸形状に形
成するために、形成した透明導電層の膜にドライエッチ
ング、ウェットエッチング、サンドブラスト、加熱等の
処理を施してもよい。また、基板を加熱しながら上記透
明導電層を堆積することにより光を散乱する凹凸形状を
形成することもできる。ウェットエッチングする場合
は、例えば、酸、アルカリ等でエッチングすることも有
効である。この時、凹凸形状を安定に制御することは困
難である。かかる制御を行うにあたっては、エッチャン
トの液温と浸す時間が非常に重要な要素である。この時
用いられる酸としては、蟻酸、酢酸、塩酸、硝酸等が、
アルカリとしては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化アルミニウム等が、塩としては塩化鉄、塩化アル
ミニウム、硫酸アルミニウム等が、好適である。酢酸と
硫酸アルミニウム等の塩との混合液を用いれば、凹凸形
状を比較的安定に制御できる。この時、液温はエッチャ
ントの濃度にもよるが低温にした方が制御性が良い。
【0045】(n型非晶質半導体層、n型微結晶半導体
層、p型半導体層)n型非晶質半導体層104、n型微
結晶半導体層105、p型半導体層107は本発明の光
起電力素子の特性を左右する重要な層である。本発明に
おいて半導体層は水素を含有するシリコン系半導体から
形成されている。
【0046】p型層またはn型層に用いられる非晶質材
料(アモルファス;「a−」と記す)、微結晶材料
(「μc−」と記す)、多結晶材料(poly−と記
す)としては、例えばa−Si:H、a−Si:HX、
a−SiC:H、a−SiC:HX、a−SiGe:
H、a−SiGeC:H、a−SiO:H、a−Si
N:H、a−SiON:HX、a−SiOCN:HX、
μc−Si:H、μc−SiC:H、μc−Si:H
X、μc−SiC:HX、μc−SiGe:H、μc−
SiO:H、μc−SiGeC:H、μc−SiN:
H、μc−SiON:HX、μc−SiOCN:HX、
poly−Si:H、poly−Si:HX、poly
−SiC:H、poly−SiC:HX、poly−S
iGe:H、poly−Si、poly−SiC、po
ly−SiGe、等にp型の価電子制御剤(周期率表第
III族原子;B、Al、Ga、In、Tl)やn型の
価電子制御剤(周期律表第V族原子;P、As、Sb、
Bi)を高濃度に添加した材料が挙げられる。尚、上記
Xはハロゲン原子を意味する。
【0047】特に光入射側のp型半導体層には、光吸収
の少ない結晶性の半導体層かバンドギャップの広い非晶
質半導体層が適している。
【0048】またp型層への周期律表第III族原子の
添加量及びn型層への周期律表第V族原子の添加量は
0.1〜50atm%が好適である。
【0049】p型層またはn型層に含有される水素原子
(H、D)またはハロゲン原子はp型層またはn型層の
未結合手を補償する働きをし、p型層またはn型層のド
ーピング効率を向上させるものである。p型層またはn
型層へ添加される水素原子またはハロゲン原子の添加量
は0.1〜40atm%が好適である。特に結晶性を有
するn型微結晶半導体層及びp型半導体層に添加する場
合、水素原子またはハロゲン原子の添加量は0.1〜8
atm%が好適である。さらに、p型層/i型層、n型
層/i型層の各界面側でその他の領域と比べて水素原子
及び/またはハロゲン原子の含有量が多くなっているも
のが好ましい分布形態として挙げられる。該界面近傍で
の水素原子及び/またはハロゲン原子の含有量はバルク
内の含有量の1.05〜2倍であることが好ましい。こ
のようにp型層/i型層、n型層/i型層の各界面近傍
で水素原子及び/またはハロゲン原子の含有量を多くす
ることによって、該界面近傍の欠陥準位や機械的歪みを
減少させることができ、本発明の光起電力素子の光起電
力や光電流を増加させることができる。
【0050】本発明において、n型半導体層104、1
05を熱処理することにより、結晶粒径及び結晶化率を
増加させて結晶核生成層110とすることにより、その
上のi型微結晶半導体層105を高速で堆積しても、該
層105を所望の結晶粒径及び結晶化率に形成すること
ができ、本発明の光起電力素子の光起電力や光電流を増
加させることができる。
【0051】光起電力素子のp型半導体層及びn型半導
体層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2e
V以下であることが好ましく、0.1eV以下であるこ
とがより好ましい。またそれらの比抵抗としては、10
0Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下がより好まし
い。さらに、p型半導体層107の膜厚は1〜50nm
が好ましく、3〜10nmがより好ましい。
【0052】本発明において、n型非晶質半導体層10
4の厚さは50Å〜1000Åが好ましく、100Å〜
700Åがより好ましい。n型非晶質半導体層104が
50Åより薄くなると、第一の透明導電層へのプラズマ
ダメージの低減が不十分になり、光の反射率を低下させ
る恐れが有り、また、密着性も低下する恐れがある。ま
た、該層104が1000Åより厚くなると、光起電力
素子のシリーズ抵抗の増加、及び裏面からの光反射率の
低下を招く恐れがある他、n型微結晶半導体層の微結晶
体積率を増加させてしまうという問題も招く恐れがあ
り、光起電力素子としての特性を低下させ易い。
【0053】また本発明において、n型微結晶半導体層
105の厚さは50Å〜1000Åが好ましい。n型微
結晶半導体層105を50Åより薄くすると、結晶核生
成層を550℃以下の低温の熱処理で形成することが困
難になり、i型微結晶半導体層106の結晶粒径及び結
晶化率が低下してしまう恐れがある。また、該層105
を1000Åより厚くすれば、光起電力素子のシリーズ
抵抗の増加、及び裏面からの光反射率の低下を招く恐れ
がある他、n型微結晶半導体層105内の結晶粒径の均
一性を欠き、i型微結晶半導体層106の異常成長を招
き易く、光起電力素子としての特性を低下させてしまう
恐れがある。
【0054】本発明において、結晶核生成層を形成する
ための熱処理温度は、好ましくは550℃以下、より好
ましくは350℃〜500℃である。熱処理方法は特に
限定されるものではないが、例えば、ランプアニール、
レーザーアニール、シースヒーター等によるアニール処
理が好適である。熱処理は真空中または不活性ガス(A
r、He、Ne等)、または水素ガス、或いはこれらの
混合ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0055】(i型微結晶半導体層)pin接合に用い
るi型微結晶半導体層106は光の照射によってキャリ
アを発生させ、該キャリアを輸送する重要な層である。
i型微結晶半導体層106としては、僅かにp型、ある
いは僅かにn型の層も使用できる。
【0056】本発明においてi型微結晶半導体層106
を構成する半導体材料としては、微結晶シリコンが用い
られる。微結晶シリコンは、ダングリングボンドを補償
する元素によって、μc−Si:H、μc−Si:F、
μc−Si:H:F等と表記される。
【0057】本発明に好適なi型微結晶半導体層106
としては、i型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:
H)層が挙げられる。その特性は、光(630nm)の
吸収係数(α)が5000cm-1以上、水素原子の含有
量(CH )が1〜10%、AM−1.5、100mW/
cm2 の疑似太陽光照射下の光伝導度(ρp )が1.0
×10-5S/cm以上、暗伝導度(ρd )が1.0×1
-6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッ
ド(CPM)によるアーバックエナジーが55meV以
下、X線回折ピークが(110)方向に優先配向し、結
晶粒径は100nm以下であることが好ましい。i型微
結晶半導体層106には、μc−Si:H以外にも、前
述したp型層またはn型層の微結晶材料として挙げたも
のを用いることができる。
【0058】本発明において、i型微結晶半導体層10
6の層厚は、好ましくは0.5μm〜3.5μm、より
好ましくは0.8μm〜3.0μmである。i型微結晶
半導体層106の層厚を0.5μm未満とすると、結晶
粒径及び結晶化率が不十分となり、光起電力素子の短絡
電流を低下させてしまう恐れがあり、また、3.5μm
を超えると、結晶粒界及び微結晶内に存在するごく微量
の欠陥または準位による影響を受け易く、光起電力素子
の短絡電流及び曲線因子(フィルファクター)を低下さ
せてしまう恐れがある。また、ランニングコストという
観点からは、i型微結晶半導体層106は薄くした方が
有利である。
【0059】(半導体層の形成方法)本発明の光起電力
素子の半導体層に好適な形成方法は、0.1GHz〜1
0GHzの高周波(VHF波もしくはマイクロ波)を用
いたプラズマCVD法であり、次に好適な方法は0.1
MHz〜0.1GHzの高周波(RF波もしくはVHF
波)を用いたプラズマCVD法である。
【0060】0.1GHz〜10GHzの高周波を用い
たプラズマCVD法は、減圧状態にできる堆積室(真空
チャンバー)に原料ガス、希釈ガスなどの材料ガスを導
入し、真空ポンプによって排気しつつ、堆積室の内圧を
一定にして、マイクロ波電源もしくはVHF電源によっ
て発振されたマイクロ波もしくはVHF波(0.1GH
z〜10GHz)を、導波管または同軸ケーブルによっ
て導き、誘導体窓(アルミナセルミックス等)または電
気的に堆積室より絶縁された導電体(Ni、W、SUS
等の棒)を介して前記堆積室に導入して、材料ガスのプ
ラズマを生起させて分解し、堆積室内に配置された基板
上に所望の堆積膜を形成する方法であり、広い堆積条件
で光起電力素子に適用可能な堆積膜を形成することがで
きる。
【0061】本発明の光起電力素子の半導体層を、0.
1GHz〜10GHzの高周波を用いたプラズマCVD
法で堆積する場合、堆積室内の基板温度は170℃〜4
00℃、内圧は5〜500mtorr、マイクロ波パワ
ーもしくはVHFパワーは0.005〜1W/cm3
好ましい範囲として挙げられる。
【0062】また0.1MHz〜0.1GHzの高周波
を用いたプラズマCVD法で半導体層を堆積する場合、
堆積室内の基板温度は100〜350℃、内圧は0.1
〜10torr、RFパワーもしくはVHFパワーは
0.01〜5.0W/cm2 、堆積速度は0.1〜15
Å/sec.が好適な条件として挙げられる。
【0063】また、本発明においては、i型微結晶半導
体層106は、堆積室内の圧力を400mtorr以下
とし、水素ガス或いは水素ガスと不活性ガスからなる希
釈ガスで1/20以下に希釈したシラン系ガスを原料ガ
スとして用い、該希釈シラン系ガス(原料ガス)の堆積
室内での滞留時間が40msec.以下の条件で0.1
〜10GHzの高周波を用いたプラズマCVD法によっ
て形成することが望ましい。前記結晶核生成層110
は、大量の希釈ガスで表面クリーニングされ、結晶核生
成層としての効果が発揮し易くなり、形成圧力を400
mtorr以下とすることでi型微結晶半導体層106
となる前駆体の気相反応を抑制し高速堆積を可能とする
ことができる。形成圧力を400mtorrよりも高く
すると、i型微結晶半導体層106となる前駆体の気相
反応が進みi型微結晶半導体層106の膜質が悪化して
しまう恐れがある。また、形成圧力を高くしすぎると微
結晶化が困難になりi型半導体層が非晶質化してしまう
恐れがある。
【0064】さらに、シラン系ガスが希釈ガスで1/2
0以下に希釈されることで、i型微結晶半導体層106
となる前駆体の気相反応を抑制すると同時に高速堆積時
にi型微結晶半導体層106の膜質低下を抑制すること
ができる。シラン系ガスを希釈する希釈ガスの割合が小
さい場合(希釈率が1/20より大きい場合)には、i
型微結晶半導体層106となる前駆体の気相反応が進
み、微結晶半導体層の膜質が悪化してしまう恐れがあ
る。また、希釈ガスが少なすぎると微結晶化が困難にな
り非晶質化が起きてしまう恐れがある。
【0065】また、原料ガスの堆積室内の滞留時間を4
0msec.以下とすることで、i型微結晶半導体層1
06となる前駆体を短時間に大量に供給することで、高
速で堆積してもダングリングボンド等の欠陥密度の少な
い優れたi型微結晶半導体層106を形成することがで
きる。該滞留時間が40msec.より長くなると、高
速堆積時にi型微結晶半導体層106の膜質の低下が顕
著となる傾向がある。
【0066】さらに、0.1GHz〜10GHzの高周
波を用いることにより、大量の水素ガスでシラン系ガス
を希釈しても、また原料ガスの堆積室内での滞留時間が
40msec.以下であっても、シラン系ガスの分解は
もとより、希釈ガスの分解及び活性化が十分に行われ、
i型微結晶半導体層106となる前駆体を短時間に大量
に供給することができ、ダングリングボンド等の欠陥密
度の少ない優れたi型微結晶半導体層106を形成する
ことができる。
【0067】以上述べたように、上記特定の条件でi型
微結晶半導体層106を形成することにより、高い光電
変換効率を維持しながら、光劣化がほとんどない、i型
微結晶半導体層106の高速堆積を可能とすることがで
き、飛躍的にランニングコストを下げ、量産化を可能に
することができる。
【0068】また、本発明の光起電力素子の半導体層の
形成に適した堆積膜形成方法として、米国特許第440
0409号明細書に開示されているロール・ツー・ロー
ル(Roll to Roll)方式によるものを用い
ることができる。この堆積膜形成方法は、複数のグロー
放電領域を帯状の基板が順次通過する経路に沿って配置
し、必要とされる導電型の半導体層をそれぞれのグロー
放電領域で該帯状の基板上に堆積形成しつつ、該帯状の
基板をその長手方向に連続的に搬送させるものである。
これによって、所望の半導体接合を有する光起電力素子
を連続的に形成することができるようになっている。
【0069】(第二の透明導電層)本発明において、支
持基板101と反対側から半導体層に光を入射させる場
合、第二の透明導電層108は光を透過する光入射側の
電極であると共に、その膜厚を最適化することによって
反射防止膜としての役割も兼ねる。第二の透明導電層1
08には半導体層の吸収可能な波長領域において高い透
過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。
具体的には、550nmにおける透過率が80%以上で
あることが好ましく、85%以上であることがより好ま
しい。また、その抵抗率は5×10-3Ωcm以下である
ことが好ましく、1×10-3Ωcm以下であることがよ
り好ましい。その材料としては、In23 、SnO
2 、ITO(In23 +SnO2 )、ZnO、Cd
O、Cd2 SnO4 、TiO2 、Ta25 、Bi2
3 、MoO3 、Nax WO3 等の導電性酸化物或いはこ
れらを混合したものが好適に用いられる。また、これら
の化合物に、導電率を変化させる元素(ドーパント)を
添加しても良い。
【0070】導電率を変化させる元素(ドーパント)と
しては、例えば第二の透明導電層108がZnOの場合
には、Al、In、B、Ga、Si、F等が、またIn
23 の場合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb
等が、またSnO2 の場合には、F、Sb、P、As、
In、TI、Te、W、Cl、Br、I等が好適に用い
られる。
【0071】また、第二の透明導電層108の形成方法
としては、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸
着法が好適に用いられる。
【0072】(集電電極)本発明において、集電電極1
09は、第二の透明導電層108を光入射側電極とする
場合に、その抵抗率を十分低くできない場合に必要に応
じて第二の透明導電層108上の一部分に形成され、電
極の抵抗率を下げ光起電力素子の直列抵抗を下げる働き
をする。その材料としては、Au、Ag、Cu、Al、
Ni、Fe、Cr、Mo、W、Ti、Co、Ta、N
b、Zr等の金属、またはステンレス等の合金、或いは
粉末状金属を用いた導電ペーストなどが挙げられる。そ
の形状は、できるだけ半導体層への入射光を遮らないよ
うに、枝状とすることが好ましい。
【0073】また、光起電力素子の全体の光入射側面の
面積の中で、集電電極の占める面積は、好ましくは15
%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは
5%以下である。
【0074】また、集電電極のパターンは、マスクを用
いて、蒸着法、スパッタ法、メッキ法で形成したり、印
刷法やワイヤー状電極の貼り付け等によって形成したり
することができる。
【0075】尚、本発明の光起電力素子を用いて、所望
の出力電圧、出力電流の光起電力装置を構成する場合に
は、本発明の光起電力素子を直列或いは並列に接続し、
表面と裏面に保護層を形成し、出力の取り出し電極等を
取り付ることが好ましい。また、本発明の光起電力素子
を直列接続する場合、逆流防止用のダイオードを組み込
むことが好ましい。
【0076】
【実施例】[実施例1]本発明の第1の実施例として、
支持基板101上に不図示の堆積装置を用いて裏面反射
層102と第一の透明導電層103を堆積し、図2に示
した堆積装置を用いて半導体層を堆積し、図1に示した
構成の光起電力素子を作製した。
【0077】先ず基板の作製を行った。厚さ1.1m
m、50mm×50mmのSUS304基板をアセトン
とイソプロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥した。次
に不図示のスパッタ装置を用いて、裏面反射層102と
してAgを500nm室温で堆積した後、同じく不図示
のスパッタ装置を用いて第一の透明導電層103として
ZnOを2μmの厚さに基板温度200℃で堆積した。
【0078】図2は本発明の光起電力素子の半導体層を
形成することのできるプラズマCVD装置の一例を示す
模式的な断面図である。図2中、201は反応室(堆積
室)、202は第一の透明導電層まで形成された基板、
203はヒーター、204はコンダクタンスバルブ、2
06は高周波の導入部、209はマッチング回路を内蔵
する高周波電源、210はプラズマ、211は基板をプ
ラズマにさらすか否かを制御するシャッター、214は
排気管、215はガス導入管である。213は排気方
向、216はガス導入方向を示すものである。図2には
示していないが、真空ポンプが図中の排気管214に接
続され、原料ガス供給装置がガス導入管215に接続さ
れている。プラズマCVD装置は以上の部材などで構成
される。
【0079】原料ガス供給装置(不図示)は原料ガスボ
ンベを有している。原料ガスボンベ中のガスはいずれも
超高純度に精製されたもので、本例では、SiH4、S
iF4、PH3/H2(PH3:1%)、B26/H2(B2
6:1%)、H2の各ガスボンベをガス導入管215に
接続した。
【0080】このプラズマCVD装置を用いて、以下の
手順で半導体層を形成した。先ず、裏面反射層及び第一
の透明導電層を形成した前述の基板202を反応室20
1内部のヒーター203に取り付け、反応室201内部
の圧力が1×10-5torr以下になるように油拡散ポ
ンプ(真空ポンプ)で排気した。圧力が1×10-5to
rr以下になったところで、H2ガス(Heガス等でも
代用できる)をガス導入管215から反応室201内に
導入し、ヒーター203を入れ、基板202が所望の温
度になるように設定した。
【0081】基板202の温度が安定したところで、ガ
ス導入管215から原料ガスを導入し、高周波電源20
9から電力を反応室201内部に導入した。プラズマ2
10が生起したところで所望の圧力になるようにコンダ
クタンスバルブ204を調整し、その際、不図示のマッ
チング回路を調整し、反射電力を最小にした。
【0082】次に、シャッター211を開け、所望の膜
厚を有する層が形成されたところでシャッター211を
閉じ、高周波電力の導入、原料ガスの導入を止め、次の
層を形成する準備をした。
【0083】この装置を用いて裏面反射層及び第一の透
明導電層まで形成した基板上にn型非晶質半導体層10
4、n型微結晶半導体層105を形成した後、ヒーター
202を480℃に制御してH2ガス雰囲気下で熱処理
し、結晶核生成層110を形成した。次いで、i型微結
晶半導体層106、p型半導体層107を順次形成し
た。n型非晶質半導体層104はRFプラズマCVD法
で、n型微結晶半導体層105及びi型微結晶半導体層
106はVHFプラズマCVD法で、p型半導体層10
7はRFプラズマCVD法でそれぞれ形成した。
【0084】各半導体層の詳しい形成工程は以下に述べ
るとおりである。
【0085】(n型非晶質半導体層の形成)H2 ガスを
300sccm導入し、反応室201内の圧力が1.1
torr、基板202の温度が250℃で安定したとこ
ろで、SiH4 ガス:4sccm、PH3 /H2 ガス:
2sccm、H2 ガス:100sccmを導入し、反応
室201内の圧力が1.1torrとなるように調整し
た。高周波電源209としては13.56MHzのRF
電源を用いた。RF電源(13.56MHz)209の
電力を5Wに設定し、RF電極(高周波導入部)206
にRF電力を印加し、プラズマ210を生起させ、シャ
ッター211を開け、ZnO層103上にn型非晶質半
導体層104の形成を開始し、該層104の層厚が15
nmになったところでシャッター211を閉じ、RF電
源206を切ってプラズマ210を消滅させ、n型非晶
質半導体層104の形成を終えた。反応室201内への
SiH4ガス、PH3 /H2 ガスの流入を止め、2分間
反応室201内へH2 ガスを流し続けた後、H2 ガスの
流入も止め、反応室201内及びガス配管214、21
5内を1×10-5torrまで真空排気した。
【0086】(n型微結晶半導体層の形成)次に、H2
ガスを300sccm導入し、反応室201内の圧力が
400mtorr、基板202の温度が250℃で安定
したところで、SiH4 ガス:0.4sccm、PH3
/H2 ガス:1sccm、H2 ガス:100sccm導
入し、反応室201内の圧力が400mtorrとなる
ように調整した。高周波電源209としては105MH
zのVHF電源を用いた。VHF電源(105MHz)
209の電力を5Wに設定し、VHF電極(高周波導入
部)206にVHF電源209の電力を印加し、プラズ
マ210を生起させ、シャッター211を開け、n型非
晶質半導体層104の上にn型微結晶半導体層105の
形成を開始し、該層105の層厚が15nmになったと
ころでシャッター211を閉じ、VHF電源209を切
ってプラズマ210を消滅させ、n型微結晶半導体層1
05の形成を終えた。反応室201内へのSiH4
ス、PH3 /H2 の流入を止め、2分間反応室201内
へH2 ガスを流し続けた後、H2 の流入を止め、反応室
201内及びガス配管214、215内を1×10-5
orrまで真空排気した。
【0087】(結晶核生成層の形成)次に、H2 ガスを
20sccm導入し、反応室201内の圧力が100m
torr、ヒーター203の温度が480℃で安定した
ところで、前記n型半導体層104、105を積層した
基板を30分間熱処理し、結晶核生成層110を形成し
た。ヒーター203の温度を220℃に設定し、引き続
き2分間反応室201内へH2 ガスを流し続けた後、H
2 の流入を止め、反応室201内及びガス配管214、
215内を1×10-5torrまで真空排気した。
【0088】(i型微結晶半導体層の形成)次に、H2
ガスを500sccm導入し、反応室201内の圧力が
0.25torr、基板202の温度が220℃で安定
したところで、原料ガスの堆積室内の滞留時間が40m
sec.以下となるように、SiH4 ガスをH2 ガスで
1/20以下に希釈し、SiH4 ガス:80sccm、
2 ガス:2400sccmを導入し、反応室201内
の圧力が0.25torrとなるように調整した。高周
波電源209としては105MHzのVHF電源を用い
た。VHF電源(105MHz)209の電力を200
Wに設定し、VHF電極(高周波導入部)206にVH
F電源209の電力を印加し、プラズマ210を生起さ
せ、シャッター211を開け、結晶核生成層110の上
にi型微結晶半導体層106の形成を開始し、該層10
6の層厚が1.5nmになったところでシャッター21
1を閉じ、VHF電源209を切ってプラズマ210を
消滅させ、i型微結晶半導体層106の形成を終えた。
反応室201内へのSiH4 ガスの流入を止め、1分間
反応室201内へH2 ガスを流し続けた後、H2 の流入
を止め、反応室201内及びガス配管214、215内
を1×10-5torrまで真空排気した。
【0089】(p型半導体層の形成)次に、H2 ガスを
500sccm導入し、反応室201内の圧力が1.8
torr、基板202の温度が180℃になるように設
定した。基板202の温度が安定したところで、SiH
4 ガス、BF3 /H2 ガスを流入させた。この時、Si
4 ガス流量が0.02sccm、H2 ガス流量が50
sccm、BF3 /H2 ガス流量が2sccm、圧力が
1.8torrとなるように調整した。高周波電源20
9としては13.56MHzのRF電源を用いた。RF
電源209の電力を40Wに設定し、プラズマ210を
生起させ、シャッター211を開け、i型微結晶半導体
層106の上にp型半導体層107の形成を開始し、該
層107の層厚が7nmになったところでシャッター2
11を閉じ、RF電源209を切ってプラズマ210を
消滅させ、p型半導体層107の形成を終えた。反応室
201内へのSiH4 ガス、BF3 /H2 ガスの流入を
止め、2分間反応室201内へH2 ガスを流し続けた
後、H2 の流入を止め、反応室201内及びガス配管2
14、215内を1×10-5torrまで真空排気し、
反応室201をリークした。
【0090】次に、第二の透明導電層108として、p
型半導体層107の上にITO(インジウム錫酸化物)
層を堆積した。
【0091】不図示のスパッタ装置を用い、ターゲット
にITO(In23 +SnO2 :10%)を使用し、
スパッタ用ガスとしてArを30sccm導入し、DC
電源より200Wの電力を投入し、基板を200℃に加
熱しながら層厚70nmのITO層108を堆積した。
【0092】上記第二の透明導電層108に、櫛型の穴
が開いたマスクを乗せ、Cr(40nm)/Ag(10
00nm)/Cr(40nm)からなる櫛型の集電電極
109を電子ビーム真空蒸着法で真空蒸着した。
【0093】上記のようにして本実施例の光起電力素子
を作製した。
【0094】[比較例1]実施例1においてn型非晶質
半導体層104を堆積しない点以外は、全て実施例1と
同様にして光起電力素子を作製した。
【0095】[比較例2]実施例1においてn型微結晶
半導体層105を堆積しない点以外は、全て実施例1と
同様に光起電力素子を作製した。
【0096】[比較例3]n型半導体層104、105
を熱処理せず、結晶核生成層110を形成しない以外
は、全て実施例1と同様に光起電力素子を作製した。
【0097】上記実施例1、比較例1〜3の各光起電力
素子について、初期光電変換効率(光起電力/入射光電
力)測定、光劣化試験、振動劣化試験を行った。各試験
方法は以下の通りである。
【0098】初期光電変換効率測定:光起電力素子をA
M−1.5(100mW/cm2 )光照射下に設置し
て、V−I特性を測定することにより初期光電変換効率
を求めた。
【0099】光劣化試験:予め初期光電変換効率を測定
しておいた光起電力素子を、湿度50%、温度25℃の
環境に設置し、AM−1.5光を800時間照射後の、
AM−1.5光照射下での光電変換効率の初期光電変換
効率に対する割合(光劣化試験後の光電変換効率/初期
光電変換効率)を求めた。
【0100】振動劣化試験:予め初期光電変換効率を測
定しておいた光起電力素子を湿度60%、温度25℃の
暗所に設置し、振動周波数60Hzで振幅0.1mmの
振動を500時間加えた後、AM−1.5光照射下での
光電変換効率の初期光電変換効率に対する割合(振動劣
化試験後の光電変換効率/初期光電変換効率)を求め
た。
【0101】実施例1の光起電力素子の各値(初期光電
変換効率、光劣化試験における「割合」、振動劣化試験
における「割合」)をそれぞれ1とした時の比較例1〜
3の素子の各値は表1にようになった。
【0102】
【表1】
【0103】上記表1から明らかなように、本発明の光
起電力素子は、初期光電変換効率、光劣化後の光電変換
効率、振動劣化後の光電変換効率の全てにおいて優れて
いることがわかった。
【0104】[実施例2]実施例1において、i型微結
晶半導体層106の形成圧力(反応室201内の圧力)
を種々変化させる以外は実施例1と同様にして光起電力
素子を作製した。実施例1と同様に光劣化試験を行なっ
た。i型微結晶半導体層106の形成圧力と光劣化後の
光電変換効率(実施例1の光劣化後の光電変換効率を1
とした時の相対値(以下の実施例でも同様))との相関
を図3に示す。
【0105】図3から明らかなように、i型微結晶半導
体層106の形成圧力は400mtorr以下とするこ
とが好ましいことがわかった。
【0106】[実施例3]実施例1において、SiH4
ガスのH2 ガスによる希釈率(SiH4/H2)を種々変
化させる以外は実施例1と同様にして光起電力素子を作
製した。実施例1と同様に光劣化試験を行なった。上記
希釈率と光劣化後の光電変換効率(相対値)との関係を
図4に示す。
【0107】図4から明らかな通り、シラン系ガスの水
素ガスによる希釈率は1/20以下とすることが好まし
いことがわかった。この点、水素ガスの代わりに水素ガ
スと不活性ガスの混合ガスを用いても同様である。
【0108】[実施例4]実施例1において、原料ガス
(SiH4 +H2 )の反応室201内での滞留時間を、
総原料ガス流量を変えることで種々変化させる以外は実
施例1と同様にして光起電力素子を作製した。実施例1
と同様に光劣化試験を行なった。原料ガスの反応室20
1内での滞留時間と光劣化後の光電変換効率(相対値)
との相関を図5に示す。
【0109】図5から明らかな通り、原料ガスの反応室
201内の滞留時間は40msec.以下とすることが
好ましいことがわかった。
【0110】[実施例5]実施例1において、i型微結
晶半導体層106形成時の高周波の周波数を種々変化さ
せる以外は実施例1と同様にして光起電力素子を作製
し、実施例1同様に光劣化試験を行ない、光劣化後の光
電変換効率の評価を行った。その結果を図6に示す。
【0111】図6から明らかな通り、本発明の光起電力
素子i型半導体層106形成に用いる高周波の周波数は
0.1GHz〜10GHzとすることが好ましいことが
わかった。
【0112】[実施例6]実施例1において、n型半導
体層104、105に熱処理を施して結晶核生成層11
0を形成する際の熱処理温度を種々変化させる以外は実
施例1と同様にして光起電力素子を作製し、実施例1同
様に光劣化試験を行ない、光劣化後の光電変換効率の評
価を行った。その結果を図7に示す。
【0113】図7から明らかな通り、本発明の光起電力
素子においては、上記熱処理温度は550℃以下とする
ことが好ましいことがわかった。
【0114】[実施例7]実施例1において、n型非晶
質半導体層104の層厚を種々変える以外は実施例1と
同様にして光起電力素子を作製し、実施例1同様の試験
を行ない評価を行った。その結果を図8、図9に示す。
ここで、各図の相対値はそれぞれ実施例1の光劣化後、
振動劣化後の光電変換効率を1とした時のものである。
【0115】図8、図9から明らかな通り、本発明の光
起電力素子においては、n型非晶質半導体層の層厚は5
0Å〜1000Åとすることが好ましいことがわかっ
た。
【0116】[実施例8]実施例1において、n型微結
晶半導体層105の層厚を種々変える以外は実施例1と
同様にして光起電力素子を作製し、実施例1同様の試験
を行ない評価を行った。その結果を図10、図11に示
す。各図の相対値の意味は実施例7同様である。
【0117】図10、図11から明らかな通り、本発明
の光起電力素子においては、n型微結晶半導体層105
の層厚は50Å〜1000Åとすることが好ましいこと
がわかった。
【0118】[実施例9]実施例1において、i型微結
晶半導体層106の層厚を種々変える以外は実施例1と
同様にして光起電力素子を作製し、実施例1同様に光劣
化試験を行ない、光劣化後の光電変換効率の評価を行っ
た。その結果を図12に示す。
【0119】図12から明らかなように、本発明の光起
電力素子においては、i型微結晶半導体層106の層厚
は0.5μm〜3.5μmとすることが好ましいことが
わかった。
【0120】[実施例10]実施例1において、i型微
結晶半導体層106形成時に、H2 ガス流量を2000
sccmとし、Heガスを600sccm加える以外は
実施例1と同様にして光起電力素子を作製し、同様な評
価を行った。その結果、実施例1と同様に優れた光起電
力特性が示された。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、光起電力素子を製造する際に、薄膜微結晶半導体層
を高速で堆積させる工程を用いても、半導体層の密着性
が良く、短絡電流、開放電圧、フィルファクターが大き
く、光電変換効率の優れた光起電力素子を得ることがで
きる。また、光起電力素子の光劣化、振動劣化を改善で
き、耐久性に優れた光起電力素子を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一実施態様を示す模式
的な断面図である。
【図2】本発明の光起電力素子の半導体層を形成するこ
とのできるプラズマCVD装置の一例を示す模式的な断
面図である。
【図3】本発明の実施例2における、i型微結晶半導体
層の形成圧力と光劣化後の光電変換効率(相対値)との
関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例3における、SiH4 ガスのH
2 ガスによる希釈率と光劣化後の光電変換効率(相対
値)との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例4における、原料ガスの反応室
内の滞留時間と光劣化後の光電変換効率(相対値)との
関係を示す図である。
【図6】本発明の実施例5における、高周波の周波数と
光劣化後の光電変換効率(相対値)との関係を示す図で
ある。
【図7】本発明の実施例6における、n型半導体層の熱
処理温度と光劣化後の光電変換効率(相対値)との関係
を示す図である。
【図8】本発明の実施例7における、n型非晶質半導体
層の層厚と光劣化後の光電変換効率(相対値)との関係
を示す図である。
【図9】本発明の実施例7における、n型非晶質半導体
層の層厚と振動劣化後の光電変換効率(相対値)との関
係を示す図である。
【図10】本発明の実施例8における、n型微結晶半導
体層の層厚と光劣化後の光電変換効率(相対値)との関
係を示す図である。
【図11】本発明の実施例8における、n型微結晶半導
体層の層厚と振動劣化後の光電変換効率(相対値)との
関係を示す図である。
【図12】本発明の実施例9における、i型微結晶半導
体層の層厚と光劣化後の光電変換効率(相対値)との関
係を示す図である。
【符号の説明】
100 光起電力素子 101 支持基板 102 裏面反射層 103 第一の透明導電層 104 n型非晶質半導体層 105 n型微結晶半導体層 106 i型微結晶半導体層 107 p型半導体層 108 第二の透明導電層 109 集電電極 110 結晶核生成層 201 反応室 202 基板 203 ヒーター 204 コンダクタンスバルブ 206 高周波の導入部 209 高周波電源 210 プラズマ 211 シャッター 213 排気方向 214 排気管 215 ガス導入管 216 ガス導入方向

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板上に、水素を含有するn型シリ
    コン系半導体層、水素を含有するi型シリコン系半導体
    層、水素を含有するp型シリコン系半導体層、を順に積
    層する工程を少なくとも有する光起電力素子の製造方法
    であって、 少なくともn型非晶質半導体層とn型微結晶半導体層と
    を積層することによって前記n型シリコン系半導体層を
    形成する工程と、該n型シリコン系半導体層を熱処理す
    る工程と、該熱処理されたn型シリコン系半導体層上に
    i型微結晶シリコン系半導体層を形成する工程と、を有
    することを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理を、前記n型シリコン系半導
    体層が結晶核生成層となる条件で行なうことを特徴とす
    る請求項1記載の光起電力素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記支持基板上に少なくとも一層の第一
    の透明導電層を形成する工程を有することを特徴とする
    請求項1または2記載の光起電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記p型シリコン系半導体層上に第二の
    透明導電層を形成する工程を有することを特徴とする請
    求項1〜3記載の光起電力素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記i型微結晶シリコン系半導体層を、
    形成圧力を400mtorr以下とし、水素ガスあるい
    は水素ガスと不活性ガスとからなる希釈ガスとからなる
    希釈ガスで1/20以下に希釈したシラン系ガスを原料
    ガスとして用い、該原料ガスの堆積室内での滞留時間が
    40msec.以下の条件で、0.1GHz〜10GH
    zの高周波を用いたプラズマCVD法によって形成する
    ことを特徴とする請求項1〜4記載の光起電力素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱処理温度が550℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5記載の光起電力素子の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 支持基板上に、少なくとも、水素を含有
    するn型シリコン系半導体層、水素を含有するi型微結
    晶シリコン系半導体層、水素を含有するp型シリコン系
    半導体層、を順に有する光起電力素子であって、 前記n型シリコン系半導体層が少なくともn型非晶質半
    導体層とn型微結晶半導体層とを積層した後に熱処理が
    施されたものであることを特徴とする光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記熱処理により、前記n型シリコン系
    半導体層が結晶核生成層となっていることを特徴とする
    請求項7記載の光起電力素子。
  9. 【請求項9】 前記支持基板上に少なくとも一層の第一
    の透明導電層を有することを特徴とする請求項7または
    8記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記p型シリコン系半導体層上に第二
    の透明導電層を有することを特徴とする請求項7〜9記
    載の光起電力素子。
  11. 【請求項11】 前記i型微結晶シリコン系半導体層
    が、形成圧力を400mtorr以下とし、水素ガスあ
    るいは水素ガスと不活性ガスとからなる希釈ガスとから
    なる希釈ガスで1/20以下に希釈したシラン系ガスを
    原料ガスとして用い、該原料ガスの堆積室内での滞留時
    間が40msec.以下の条件で、0.1GHz〜10
    GHzの高周波を用いたプラズマCVD法によって形成
    されたものであることを特徴とする請求項7〜10記載
    の光起電力素子。
  12. 【請求項12】 前記熱処理が550℃以下の温度でな
    されたものであることを特徴とする請求項7〜11記載
    の光起電力素子。
  13. 【請求項13】 前記n型非晶質半導体層の層厚が50
    Å〜1000Åであることを特徴とする請求項7〜12
    記載の光起電力素子。
  14. 【請求項14】 前記n型微結晶半導体層の層厚が50
    Å〜1000Åであることを特徴とする請求項7〜13
    記載の光起電力素子。
  15. 【請求項15】 前記i型微結晶シリコン系半導体層の
    層厚が0.5μm〜3.5μmであることを特徴とする
    請求項7〜14記載の光起電力素子。
JP01640599A 1998-01-26 1999-01-26 光起電力素子及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3710312B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01640599A JP3710312B2 (ja) 1998-01-26 1999-01-26 光起電力素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1222098 1998-01-26
JP10-12220 1998-01-26
JP01640599A JP3710312B2 (ja) 1998-01-26 1999-01-26 光起電力素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11274540A true JPH11274540A (ja) 1999-10-08
JP3710312B2 JP3710312B2 (ja) 2005-10-26

Family

ID=26347791

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01640599A Expired - Fee Related JP3710312B2 (ja) 1998-01-26 1999-01-26 光起電力素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3710312B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002151719A (ja) * 2000-11-13 2002-05-24 Sharp Corp 薄膜太陽電池およびその製造方法
JP2011198964A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Mitsubishi Electric Corp 薄膜光電変換装置およびその製造方法
KR20170132224A (ko) * 2015-03-23 2017-12-01 선파워 코포레이션 블리스터 없는 태양 전지용 다결정 규소

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010050035A1 (ja) 2008-10-30 2010-05-06 三菱重工業株式会社 光電変換装置の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002151719A (ja) * 2000-11-13 2002-05-24 Sharp Corp 薄膜太陽電池およびその製造方法
JP4674956B2 (ja) * 2000-11-13 2011-04-20 シャープ株式会社 薄膜太陽電池およびその製造方法
JP2011198964A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Mitsubishi Electric Corp 薄膜光電変換装置およびその製造方法
KR20170132224A (ko) * 2015-03-23 2017-12-01 선파워 코포레이션 블리스터 없는 태양 전지용 다결정 규소

Also Published As

Publication number Publication date
JP3710312B2 (ja) 2005-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2984595B2 (ja) 光起電力素子
JP4208281B2 (ja) 積層型光起電力素子
AU734676B2 (en) Photovoltaic element and method of producing same
US6268233B1 (en) Photovoltaic device
JP2002134772A (ja) シリコン系薄膜及び光起電力素子
US6211454B1 (en) Photovoltaic element
JP2962897B2 (ja) 光起電力素子
JP3684041B2 (ja) 光起電力素子
JP3679595B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JPH10178195A (ja) 光起電力素子
JP3710312B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP3710311B2 (ja) 光起電力素子
JPH11261087A (ja) 光起電力素子
JP2918814B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP2918815B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP3659511B2 (ja) 光起電力素子
JP2918813B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP3072831B2 (ja) 光起電力素子
JP2007189266A (ja) 積層型光起電力素子
AU756834B2 (en) Method of producing a microcrystal semiconductor thin film
JP2937815B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP3046644B2 (ja) 光起電力素子の製造方法
JPH09191119A (ja) 光起電力素子の製造方法
JPH10173216A (ja) 光起電力素子
JPH10173211A (ja) 光起電力素子

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050301

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080819

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130819

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees