JPH10173211A - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JPH10173211A
JPH10173211A JP8342726A JP34272696A JPH10173211A JP H10173211 A JPH10173211 A JP H10173211A JP 8342726 A JP8342726 A JP 8342726A JP 34272696 A JP34272696 A JP 34272696A JP H10173211 A JPH10173211 A JP H10173211A
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layer
polycrystalline
photovoltaic element
photovoltaic
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Fukateru Matsuyama
深照 松山
Koichi Matsuda
高一 松田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、光閉じ込め効果により、光電変換
効率を向上させつつ、製造工程における歩留まり、耐候
性および耐久性等の信頼性を向上させた光起電力素子を
提供する。 【解決手段】 本発明の光起電力素子は、多結晶質の材
料からなる基板の上に、非単結晶半導体を形成した光起
電力素子において、前記基板の表面に露出した多結晶の
個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、凹凸の形成さ
れた表面を有する多結晶粒と平坦な表面を有する多結晶
粒が混在する基板を用いたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光起電力素子に係る。
より詳細には、光閉じ込め効果により、光電変換効率を
向上させつつ、製造工程における歩留まり、耐候性およ
び耐久性等の信頼性を向上させた光起電力素子に関す
る。
【0002】
【従来技術】太陽光を電気エネルギーに変換する光電変
換素子である光起電力素子は、電卓、腕時計など民生用
の小電力用電源として広く応用されており、また、将
来、石油、石炭などのいわゆる化石燃料の代替用電力と
して実用化可能な技術として注目されている。光起電力
素子は半導体のpn接合の光起電力を利用した技術であ
り、シリコンなどの半導体が太陽光を吸収し電子と正孔
の光キャリヤーが生成し、該光キャリヤーをpn接合部
の内部電界に依りドリフトさせ、外部に取り出すもので
ある。
【0003】従来、最も一般的に用いられてきた光起電
力素子は、単結晶シリコンを材料に用いたものであっ
た。この様な光起電力素子の作製方法は、通常、半導体
プロセスを用いることにより行われる。具体的には、C
Z法などの結晶成長法によりp型、あるいはn型に価電
子制御したシリコンの単結晶を作製し、該単結晶をスラ
イスして約300μmの厚みのシリコンウエハーを作
る。さらに前記ウエハーの導電型と反対の導電型となる
ように価電子制御剤を拡散などの適当な手段により、異
種の導電型の層を形成することでpn接合を作るもので
ある。
【0004】ところで、このような単結晶シリコンを用
いた光起電力素子は、シリコンウエハーを作るコストが
高くつくこと、また半導体プロセスを用いるため製造プ
ロセスのコストも高いことから、生産コストは高いもの
となっており、単位発電量に対する生産コストが既存の
発電方法に比べて割高になってしまい、これを電力用に
使用できるレベルに下げることは困難であると考えられ
ている。
【0005】そこで、光起電力素子の電力用としての実
用化を進めるに当たって、低コスト化及び大面積化が重
要な技術的課題であると認識され、コストの安い材料、
変換効率の高い材料などの材料の探求が行なわれてき
た。
【0006】このような光起電力素子の材料としては、
非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質
炭化珪素などのテトラヘドラル系の非晶質半導体あるい
は多結晶半導体、あるいはCdS,Cu2SなどのII
−VI族やGaAs,GaAlAsなどのIII−V族
の化合物半導体等が挙げられる。とりわけ、非晶質半導
体や多結晶半導体を光起電力発生層に用いた薄膜光起電
力素子は、単結晶シリコンを用いた光起電力素子に比較
して大面積の膜が作製できることや、膜厚が薄くて済む
こと、任意の基板材料に堆積できることなどの長所があ
り有望視されている。
【0007】しかしながら、上記薄膜光起電力素子は、
単結晶シリコンを用いた光起電力素子なみの光電変換効
率は得られておらず、電力用素子として実用化するため
には、光電変換効率の向上と信頼性の向上が検討課題と
なっていた。
【0008】そこで、薄膜光起電力素子の光電変換効率
の向上の手段として、さまざまな方法が検討されてき
た。
【0009】薄膜光起電力素子の光電変換効率を向上さ
せる重要な課題の一つとして、薄膜の半導体層での光吸
収を増大させ、短絡電流(Jsc)を向上させるというこ
とがある。低コスト化のために半導体層を薄膜化すれ
ば、バルクの半導体に比べて光吸収が減少するからであ
る。薄膜半導体層での光吸収を増大させる技術として、
以下に示す5つの技術が挙げられる。
【0010】(1)光起電力素子の光入射側と反対に、
Ag,Al,Cu,Auなどの、高い反射率を有する金
属膜による反射層を形成する技術が知られている。この
技術は、キャリアを生成する半導体層を透過した光を、
反射層で反射してやることによって、再び半導体層で吸
収させて、薄膜半導体層での光吸収を増大させ、出力電
流を増大させて光電変換効率を向上させようとしたもの
である。
【0011】(2)裏面電極と半導体層の間に透明導電
層を介在させることにより基板表面性を向上させる方法
が、特公昭59−43101号公報(富士電機製造)及
び特公昭60−41878号公報(シャープ)において
開示されている。これらの公報では、裏面電極と半導体
層の間に透明導電層を介在させる効果として、裏面電極
の平坦性の向上、あるいは半導体層の密着性の向上、あ
るいは裏面電極の金属と半導体層の合金化の防止などが
あげられている。
【0012】(3)特開昭60−84888号(エナジ
ー・コンバージョン・デバイセス)には、裏面電極と半
導体層の間にバリヤー層として透明導電層を介在させる
ことによって、半導体層の欠陥領域中を流れる電流を減
少させる技術が開示されている。
【0013】(4)Agの裏面電極とアモルファスシリ
コンの半導体層の間にTiO2の透明導電層を介在させ
ることによって、太陽電池のスペクトル感度において、
長波長領域の感度が増大する事が、Y.Hamakawa,et.al,A
ppl.Phys.Lett.,43(1983)p644に報告されている。
【0014】(5)裏面電極の形状を光を散乱する光の
波長程度の大きさの凹凸形状(テクスチャー構造)にす
る事によって、半導体層で吸収しきれなかった長波長光
を散乱させて半導体層内での光路長を延ばし、光起電力
素子の長波長感度を向上させて短絡電流を増大させ、光
電変換効率を向上させる技術が、T.Tiedje,et.al,Proc.
16th IEEE Photovoltaic Specialist Conf.(1982)p1423
および、H.Deckman,et.al,Proc.16th IEEE Photovoltai
c Specialist Conf.(1982)p1425に開示されている。
【0015】以上の技術を総合すれば、裏面電極を兼ね
る裏面反射層として、光を散乱する光の波長程度の大き
さの凹凸形状を有し、かつ高い反射率を有する金属膜を
形成し、裏面反射層と半導体層の間に透明導電層を介在
させた構成が、最も適していると考えられる。
【0016】しかしながら、このような構成の裏面電極
を採用して、実際に光起電力素子を製造しようとすると
加工性や耐久性の観点で、以下に示す4つの問題点が出
てきた。
【0017】(イ)従来のいわゆるテクスチャー構造と
呼ばれる典型的な凹凸形状は、T.Tiedje,et.al,Proc.16
th IEEE Photovoltaic Specialist Conf.(1982)p1423に
図示されているような、ピラミッド形の凹凸を有するも
のが、光閉じ込め効果が優れていると考えられてきた。
しかし、このような表面形状の基板上に電極と半導体層
を形成すると、半導体層の欠陥部分等を通して光起電力
素子のリーク電流が増加し、光起電力素子の製造の歩留
まりが低下することがあった。また、ピラミッド形の凹
凸を有する表面に形成された半導体層は、フラットな表
面に形成された半導体層に比べて実効的な膜厚が薄くな
るため、もともと薄く設計されたドーピング層等がさら
に薄くなり、フラットな基板表面に形成された光起電力
素子に比べて、光起電力素子の開放電圧(Voc)とフィ
ルファクター(FF)が低下する場合があった。
【0018】(ロ)例えばAgやCuを裏面金属反射層
として用いた場合、湿度が高く、かつ裏面金属反射層に
正のバイアス電圧がかかった場合、AgやCuがマイグ
レーションを起こして、光入射側の電極を導通し、光起
電力素子がシャント(短絡)することがわかった。この
現象は、裏面金属反射層が光の波長程度の大きさの凹凸
形状(テクスチャー構造)を有する場合に顕著であっ
た。
【0019】(ハ)Alを裏面金属反射層として用いた
場合、AgやCuのようなマイグレーションは起こさな
いが、テクスチャー構造を形成すると、反射率が低下す
ることがある。さらに、テクスチャー構造のAlに透明
導電層を積層すると著しく反射率が低下する場合があっ
た。
【0020】(ニ)基板および裏面反射層を凹凸形状で
はなく、フラットに形成した場合は、裏面での光の散乱
が少ないので、半導体層での光吸収が十分でないという
問題と、基板および裏面電極の材質の組み合わせによっ
ては、基板と裏面反射層の密着性が不十分で、光起電力
素子の加工工程で、基板と裏面反射層の間ではがれを生
じることがあるという問題があった。
【0021】以上のような問題点は、樹脂フィルムやス
テンレス等の低コストな基板を用いたり、半導体層の形
成速度を上げて生産速度を上げる等して、実用化に適し
た低コストな製造工程を採用した場合には、特に顕著で
あり、光起電力素子の製造の歩留まりを下げる要因にな
っていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基板を新し
い構造にすることによって、上述したような、加工性や
歩留まりや耐久性の問題点を解決して、なおかつ半導体
層の光吸収を増大させ、実用に適した低いコストであり
ながら、高い歩留まりで生産でき、信頼性が高くかつ光
電変換効率の高い薄膜光起電力素子を提供することを目
的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
加工性や信頼性の問題点を克服し、半導体層の光吸収を
増大させつつ、なおかつ加工性や信頼性に優れた光起電
力素子を得るために、基板の新しい構造および形成方法
を鋭意検討した結果、以下のような構成の基板を備えた
本発明の光起電力素子によって達成できた。
【0024】すなわち、第1には、多結晶質の材料から
なる基板の上に、非単結晶半導体を形成した光起電力素
子において、前記基板の表面に露出した多結晶の個々の
結晶粒の表面の平坦性に差があり、凹凸の形成された表
面を有する多結晶粒と平坦な表面を有する多結晶粒が混
在する基板を用いたことを特徴とする光起電力素子であ
る。
【0025】第2には、前記基板の上に裏面金属反射層
を形成し、前記裏面金属反射層の上に透明導電層を形成
し、前記透明導電層の上に非単結晶半導体を形成したこ
とを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子である。
【0026】第3には、前記裏面金属反射層の表面が、
前記基板の多結晶の粒界に応じて平坦性に差があること
を特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子であ
る。
【0027】第4には、前記透明導電層の表面が、前記
基板の多結晶の粒界に応じて平坦性に差があることを特
徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光起電
力素子である。
【0028】第5には、前記光起電力素子の表面が、前
記基板の多結晶の粒界に応じて平坦性に差があることを
特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光起
電力素子である。
【0029】第6には、前記基板の表面に、前記多結晶
の粒界に沿った段差、又は、前記多結晶の粒界部分に隆
起若しくは凹みを設けることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の光起電力素子である。
【0030】第7には、前記基板を構成する主たる材料
が、金属又は合金であることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の光起電力素子である。
【0031】第8には、前記裏面金属反射層を構成する
主たる材料が、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウ
ム等の可視から赤外光の反射率の高い金属であることを
特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光起
電力素子である。
【0032】第9には、前記基板の表面に露出した多結
晶の個々の結晶粒の表面の平坦性の差が、Rmaxの差で
0.01μmから1.5μmであることを特徴とする請
求項1乃至8のいずれか1項に記載の光起電力素子であ
る。
【0033】第10には、前記基板の多結晶の平均粒径
が、0.1μmから2mmであることを特徴とする請求
項1乃至9のいずれか1項に記載の光起電力素子であ
る。
【0034】第11には、前記基板表面において、前記
多結晶の粒界に沿った段差、又は、前記多結晶の粒界部
分の隆起若しくは凹みにおける高さ又は深さが、0.0
1μmから2μmであることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の光起電力素子である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下では、本発明に係る各請求項
の作用に関して説明する。
【0036】請求項1に係る発明によれば、多結晶質の
材料からなる基板の上に、非単結晶半導体を形成した光
起電力素子において、前記基板の表面に露出した多結晶
の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、凹凸の形成
された表面を有する多結晶粒と平坦な表面を有する多結
晶粒が混在する基板を用いたことによって、次のような
作用がある。
【0037】すなわち、表面が平坦な従来の多結晶質の
基板を用いた場合に比べて、多結晶質の基板上に積層す
る薄膜と多結晶質の基板との密着性が向上し、光起電力
素子の製造工程において、前記薄膜と多結晶質の基板と
の間で剥離することがなくなり、製造工程の制御性と自
由度が向上すると同時に、光起電力素子の製造の歩留ま
りが向上した。また、高温高湿サイクルテスト、塩水試
験等の耐候性加速試験の結果、耐候性が向上した。さら
に、スクラッチテスト、曲げ試験等の機械的強度の試験
の結果、耐久性が向上した。また、多結晶質の基板表面
の凹凸によって、光起電力素子の裏面における乱反射が
増大して、半導体層で吸収しきれなかった長波長光が散
乱されて半導体層内での光路長が延び、光起電力素子の
短絡電流(Jsc)が増大して、光電変換効率が向上し
た。また、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少して、フ
ィルファクター(FF)が向上し、光電変換効率が向上
した。シリーズ抵抗が減少する原理については、明確に
なっていないが、多結晶質の基板上に積層する薄膜と多
結晶質の基板との密着性が向上したこと、さらには、多
結晶質の基板表面を本発明のように加工する場合には、
物理的または化学的に、気相または液相でエッチングす
るので、基板表面の不純物が除去されること、また基板
表面の酸化層が除去されることが考えられる。
【0038】また、表面に一様に凹凸を形成した従来の
多結晶質の基板を用いた場合に比べて、光起電力素子の
リーク電流が減少し、光起電力素子の製造の歩留まりが
向上した。また、光起電力素子の短絡電流(Jsc)を高
い値に維持しつつ、開放電圧(Voc)とフィルファクタ
ー(FF)が向上して、光電変換効率が向上した。この
作用については、以下のように考えられる。すなわち、
従来のいわゆるテクスチャー構造は、前述したようにピ
ラミッド形の凹凸あるいはそれに近い形状のものが、基
板表面全面にわたって形成されていたので、光の散乱効
果を高めようとして凹凸を大きくすると、ピラミッドの
山の部分に半導体層の欠陥部分を生じ易かったが、本発
明の光起電力素子の場合は、凹凸が形成されているのは
一部の多結晶粒であり、他の多結晶粒の表面は比較的平
坦であるので、半導体層の欠陥部分を生じにくくなった
と考えられる。また、ピラミッド形の凹凸が全面にわた
って形成された基板に積層された半導体層は、フラット
な表面に積層された半導体層に比べて実効的な膜厚が薄
くなるため、もともと薄く設計されたドーピング層等が
さらに薄くなり、フラットな基板表面に形成された光起
電力素子に比べて、光起電力素子の開放電圧(Voc)と
フィルファクター(FF)が低下する場合があったが、
本発明の光起電力素子では、凹凸が形成された多結晶粒
と平坦な多結晶粒が混在するので、半導体層が薄くなる
部分が少なくなって、凹凸による光散乱で高い短絡電流
(Jsc)を維持しつつ、開放電圧(Voc)とフィルファ
クター(FF)が向上したと考えられる。
【0039】さらに、多結晶質の基板上に積層する薄膜
も、多結晶質である場合、多結晶質の基板上に積層する
薄膜の配向性が向上し、薄膜の多結晶の平均粒径が増大
し、薄膜の多結晶の粒径のばらつきが小さくなった。そ
の結果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィル
ファクター(FF)が向上すると同時に、光の散乱がさ
らに促進されて、短絡電流(Jsc)が増大した。この作
用に関しては、以下のように考えられる。まず、配向性
については、基板の多結晶の粒界に応じて凹凸が異な
り、面方位も明確に区切られるので、その上に成長する
多結晶薄膜の面方位が揃い易くなったと考えられる。ま
た、積層する薄膜の多結晶の平均粒径については、全面
がフラットな表面あるいは全面がピラミッド形の凹凸を
有する表面に比べて、凹凸が形成された多結晶粒と平坦
な多結晶粒が混在することによって成長する多結晶薄膜
の核形成密度が減少し、また核形成が一様になったため
と考えられる。
【0040】また請求項2に係る発明によれば、請求項
1の特徴を有する基板の上に裏面金属反射層を形成し、
前記裏面金属反射層の上に透明導電層を形成し、前記透
明導電層の上に非単結晶半導体を形成したことによっ
て、次のような作用がある。
【0041】すなわち、裏面金属反射層と透明導電層に
よって、光起電力素子の裏面の反射率が向上すること
と、請求項1の特徴を有する多結晶質の基板によって乱
反射が向上することとの相乗効果によって、半導体層内
の光路長が延びて、光吸収が増大し、光起電力素子の短
絡電流(Jsc)がさらに増大し、光電変換効率がさらに
向上した。なおかつ、裏面金属反射層と多結晶質の基板
との密着性が向上することによって、光起電力素子の製
造工程の自由度と制御性が向上し、製造の歩留まりが向
上し、光起電力素子の耐候性、耐久性が向上した。ま
た、透明導電層が適度な抵抗値を持つことで、半導体層
の欠陥領域中を流れる電流が減少することによって、光
起電力素子がシャントすることが少なくなり、製造の歩
留まりが向上した。さらに、多結晶質の基板が請求項1
の特徴を有することによって、裏面金属反射層と透明導
電層の配向性が向上し、裏面金属反射層の多結晶の平均
粒径が増大し、粒径のばらつきが小さくなった。その結
果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィルファ
クター(FF)が向上すると同時に、光の散乱がさらに
促進されて、短絡電流(Jsc)が増大した。
【0042】また請求項3に係る発明によれば、前記裏
面金属反射層の表面が、前記基板の多結晶の粒界に応じ
て平坦性に差があることによって、以下のような作用が
ある。
【0043】すなわち、裏面金属反射層と透明導電層の
密着性が向上することによって、光起電力素子の製造工
程の自由度と制御性がさらに向上し、製造の歩留まりが
さらに向上し、光起電力素子の耐候性、耐久性がさらに
向上した。また、裏面金属反射層の表面も、基板の多結
晶粒界に応じて平坦性に差があることによって、透明導
電層の配向性がさらに向上し、透明導電層の多結晶の平
均粒径が増大し、粒径のばらつきが小さくなった。その
結果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィルフ
ァクター(FF)が向上すると同時に、裏面金属反射層
と透明導電層の界面および透明導電層と半導体層の界面
での光の散乱がさらに促進されて、短絡電流(Jsc)が
さらに増大した。
【0044】また請求項4に係る発明によれば、前記透
明導電層の表面が、前記基板の多結晶の粒界に応じて平
坦性に差があることによって、次のような作用がある。
【0045】すなわち、透明導電層と半導体層の密着性
が向上することによって、光起電力素子の製造工程の自
由度と制御性がさらに向上し、製造の歩留まりがさらに
向上し、光起電力素子の耐候性、耐久性がさらに向上し
た。また、透明導電層の表面も、基板の多結晶粒界に応
じて平坦性に差があることによって、透明導電層と半導
体層の界面での光の散乱が促進されて、短絡電流(Js
c)がさらに増大した。
【0046】また請求項5に係る発明によれば、前記光
起電力素子の表面が、前記基板の多結晶の粒界に応じて
平坦性に差があることによって、光起電力素子の光入射
側、特に半導体層と上部の透明電極の界面での光の散乱
が促進されて、半導体層の光入射側と裏面側の両方で光
が散乱されることになり、半導体層内の光路長がさらに
延びて、光吸収が増大し、短絡電流(Jsc)がさらに増
大した。
【0047】また請求項6に係る発明によれば、前記基
板の表面に、前記多結晶の粒界に沿った段差、又は、前
記多結晶の粒界部分に隆起若しくは凹みを設けることに
よって、多結晶質の基板上に積層する薄膜と多結晶質の
基板との密着性がさらに向上し、光起電力素子の製造工
程の自由度と制御性がさらに向上し、製造の歩留まりが
さらに向上し、光起電力素子の耐候性、耐久性がさらに
向上した。また、多結晶質の基板表面の結晶粒界におけ
る段差あるいは凹凸によって、光起電力素子の裏面にお
ける乱反射が増大して、半導体層で吸収しきれなかった
長波長光が散乱されて半導体層内での光路長が延び、光
起電力素子の短絡電流(Jsc)がさらに増大して、光電
変換効率がさらに向上した。さらに、多結晶質の基板上
に積層する多結晶薄膜の配向性がさらに向上し、薄膜の
多結晶の平均粒径がさらに増大した。その結果、光起電
力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィルファクター(F
F)が向上すると同時に、光の散乱がさらに促進され
て、短絡電流(Jsc)が増大した。
【0048】また請求項7に係る発明によれば、前記基
板を構成する主たる材料が金属又は合金であることによ
って、多結晶粒界に応じて平坦性に差をつけること、お
よび多結晶の粒界に沿った段差あるいは多結晶の粒界部
分の凹凸を形成することが容易になった。また基板に可
撓性が生じ、光起電力素子の製造における加工の自由度
が向上した。また、多結晶質の基板と裏面金属反射層が
どちらも金属であるため、多結晶質の基板と裏面金属反
射層の密着性がさらに向上し、かつ裏面金属反射層の配
向性がさらに向上した。密着性の向上によって、基板の
加工性がさらに向上し、製造工程の自由度と制御性がさ
らに向上した。
【0049】また請求項8に係る発明によれば、前記裏
面金属反射層を構成する主たる材料が、金、銀、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム等の可視から赤外光の反射率
の高い金属であることによって、以下のような作用があ
る。
【0050】すなわち、光起電力素子の裏面の反射率が
さらに向上し、半導体層の光吸収が増大して、光起電力
素子の短絡電流(Jsc)がさらに向上した。
【0051】また、従来のピラミッド形の凹凸を有する
いわゆるテクスチャー構造が全面に形成された基板表面
上に、上述の反射率の高い金属を積層した場合、あるい
は、上述の反射率の高い金属による裏面金属反射層が、
全面にわたって従来のピラミッド形の凹凸のテクスチャ
ー構造を有する場合、上述の反射率の高い金属が、半導
体層に拡散したり、マイグレーションを起こして、光起
電力素子のシャントを生じ易かったが、本発明の場合、
多結晶質の基板表面に露出した多結晶の個々の結晶粒の
表面の平坦性に差があり、表面に凹凸の形成された多結
晶粒と表面が平坦な多結晶粒が混在する多結晶質の基板
上に、上述の反射率の高い金属を積層することによっ
て、高い乱反射と高い短絡電流(Jsc)を維持しながら
も、上述の反射率の高い金属が、半導体層に拡散した
り、マイグレーションを起こすことがほとんど無くな
り、光起電力素子の製造の歩留まりが顕著に向上した。
また、光起電力素子のリーク電流が減少し、開放電圧
(Voc)とフィルファクター(FF)が向上した。
【0052】さらに、前記裏面金属反射層の主たる材料
に、アルミニウムを用いることは、製造コストが低いこ
とから、また銀や銅に比べてマイグレーションが起こり
にくいことから、最も望ましいが、従来のピラミッド形
の凹凸を有するいわゆるテクスチャー構造が全面に形成
された基板表面上に、アルミニウムを積層するか、ある
いはアルミニウムが、基板全面にわたって従来のピラミ
ッド形の凹凸のテクスチャー構造を有すると、アルミニ
ウム表面の全反射率が低下してしまうことが多かった。
また、前述のアルミニウムの上に透明導電層を積層した
場合さらに全反射率が低下してしまうことが多く、光起
電力素子の裏面反射層としては、不適当であることが多
かった。一方、フラットな表面の基板上にアルミニウム
を積層した場合には、半導体層裏面での光の散乱が少な
くなって、光起電力素子の短絡電流(Jsc)が低下する
という問題と、基板とアルミニウムの間ではがれを生じ
易いという問題があった。これらに対し、本発明は、多
結晶質の基板表面に露出した多結晶の個々の結晶粒の表
面の平坦性に差があり、表面に凹凸の形成された多結晶
粒と表面が平坦な多結晶粒が混在する多結晶質の基板上
に、アルミニウムを積層することによって、裏面で光を
散乱させつつ、透明導電層を積層した場合も含めてアル
ミニウム表面の全反射率が低下してしまうことがなくな
り、アルミニウム表面の高い全反射率によって半導体層
の光吸収が向上し、光起電力素子の短絡電流(Jsc)が
向上した。また、基板とアルミニウムの間の密着性も向
上し、製造工程の自由度と制御性が向上し、製造の歩留
まりが向上し、光起電力素子の耐候性、耐久性が向上し
た。
【0053】全面にピラミッド形の凹凸のテクスチャー
構造を有するアルミニウム表面の全反射率が低下してし
まう理由は、明らかになっていないが、光の波長程度の
微小なピラミッド形の凹凸によって、アルミニウムの表
面積が増大し、透明導電層との界面で反応が起こりやす
くなって、界面に化合物が形成されて反射率が低下する
と考えられる。本発明の構成では、基板表面に露出した
多結晶の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、表面
に凹凸の形成された多結晶粒と表面が平坦な多結晶粒が
混在することによって、アルミニウムの表面積の増大が
抑えられて、透明導電層との界面での反応が抑えられ
て、全反射率が大幅に向上したと考えられる。
【0054】以下では、本発明に係る実施態様例を説明
する。
【0055】(光起電力素子)本発明に係る光起電力素
子としては、例えば図1及び図2に示すものが挙げられ
る。以下、図面を参照しながら、本発明の光起電力素子
の構成とその製造方法をさらに詳しく説明する。
【0056】図1は、本発明の概念を詳しく説明するた
めの、光起電力素子の断面図の一例である。ただし、本
発明は図1の構成の光起電力素子に限られるものではな
い。図1において、101は基板、102は裏面金属反
射層、103は透明導電層、104はn型半導体層、1
05はi型半導体層、106はp型半導体層、107は
透明電極、108は集電電極である。また、図1はp型
半導体層側から光入射する構成であるが、n型半導体層
側から光入射する構成の光起電力素子の場合は、104
がp型半導体層、106がn型半導体層となる。
【0057】さらに、図1は基板と逆側から光を入射す
る構成であるが、基板側から光を入射する構成の光起電
力素子では、基板を除いて図1とは逆の順番に各層が積
層されることもある。
【0058】また図2は、本発明の概念を詳しく説明す
るための、スタック型の光起電力素子の断面図の一例で
ある。図2の本発明のスタック型の光起電力素子は、3
つのpin接合が積層された構造をしており、215は
光入射側から数えて第一のpin接合、216は第二の
pin接合、217は第三のpin接合である。これら
3つのpin接合は、基板201上に裏面金属反射層2
02と透明導電層203を形成し、その上に積層された
ものであり、3つのpin接合の最上部に、透明電極2
13と集電電極214が形成されて、スタック型の光起
電力素子を形成している。そして、それぞれのpin接
合は、n型半導体層204、207、210、i型半導
体層205、208、211、p型半導体層206、2
09、212から成る。また、図1の光起電力素子と同
様に光の入射方向によって、ドーピング層や電極の配置
が入れ替わることもある。
【0059】以下、本発明の光起電力素子の各層につい
て形成する順に詳しく説明する。
【0060】(基板)本発明に係る基板は、本発明の特
徴であり、特にその結晶形態と表面形状に特徴がある。
【0061】結晶形態としては、多結晶質のものが用い
られる。
【0062】本発明者は、検討の結果、多結晶質の基板
の表面形状としては、前記基板の表面に露出した多結晶
の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、凹凸の形成
された表面を有する多結晶粒と平坦な表面を有する多結
晶粒が混在する形状が好ましいことを見いだした。
【0063】さらに、基板の表面に露出した多結晶の個
々の結晶粒の表面の平坦性の差が、小さすぎる場合は、
すなわち基板表面全面にわたって平坦であるか、全面に
わたってテクスチャー構造であるかを意味するので、ど
ちらの場合も、光の散乱の減少あるいは光起電力素子の
リーク電流の増加といった従来の問題点が出てきてしま
うことが分かった。また、基板の表面に露出した多結晶
の個々の結晶粒の表面の平坦性の差が、大きすぎる場合
は、表面に大きな凹凸が形成された多結晶粒があるの
で、従来のテクスチャー構造が形成された基板と同様に
光起電力素子のシャントあるいはリーク電流の増加ある
いは開放電圧(Voc)あるいはフィルファクター(F
F)の低下といった問題点が出てきてしまうことが分か
った。
【0064】したがって、基板の表面に露出した多結晶
の個々の結晶粒の表面の平坦性の差は、Rmaxの差で、
好ましくは、0.01μmから1.5μm、より好まし
くは、0.02μmから1μm、最適には、0.05μ
mから0.7μmが望ましいことが分かった。
【0065】また、多結晶の平均粒径が、小さすぎる
(0.05μm未満)場合は、基板表面全面にわたって
平坦であるか、全面にわたってテクスチャー構造である
かの状態に近付いてしまうので、どちらの場合も、光の
散乱の減少あるいは光起電力素子のリーク電流の増加や
光起電力素子のシャントあるいは開放電圧(Voc)また
はフィルファクター(FF)の低下といった従来の問題
点が出てきてしまうことが分かった。また、多結晶粒の
平均粒径が、大きすぎる(2mmを越える)場合は、光
起電力素子の裏面における乱反射が減少して、短絡電流
(Jsc)が減少してしまうことがわかった。
【0066】したがって、多結晶の平均粒径は、好まし
くは、0.1μmから2mm、より好ましくは、0.2
μmから1mm、最適には、0.5μmから100μm
が望ましい。
【0067】さらに、基板の表面に、前記多結晶の粒界
に沿った段差、又は、前記多結晶の粒界部分に隆起若し
くは凹みを設けた光起電力素子においては、多結晶の粒
界に沿った段差あるいは凹凸の高さが小さすぎる場合
は、光の散乱が減少し、光起電力素子の短絡電流(Js
c)が減少してしまい、また、大きすぎる場合は、光起
電力素子のリーク電流が増加して製造の歩留まりを低下
させることがあることが分かった。
【0068】そこで、前記多結晶の粒界に沿った段差、
又は、前記多結晶の粒界部分に隆起若しくは凹みにおけ
る高さ又は深さは、好ましくは、0.01μmから2μ
m、より好ましくは、0.02μmから1.5μm、最
適には、0.03μmから1μmが望ましいことが分か
った。また、基板の表面に露出した多結晶の個々の結晶
粒の表面の平坦さは、Rmaxが、多結晶の粒界に沿った
段差あるいは凹凸の高さより小さいことが好ましい。個
々の結晶粒内の表面のRmaxが大きいと、従来のいわ
ゆるテクスチャー構造に近付いてしまうので、リーク電
流の増加や光起電力素子のシャントあるいは開放電圧
(Voc)あるいはフィルファクター(FF)の低下とい
った従来のテクスチャー構造の問題点が出てきてしま
う。したがって、個々の結晶粒内の表面の平坦さは、多
結晶の粒界に沿った段差あるいは凹凸の高さによって、
好適な範囲が異なるが、好ましくは、Rmaxで2μm以
下、より好ましくは、Rmaxで1.5μm以下、最適に
は、Rmaxで1μm以下が望ましい。
【0069】また、基板の材質としては、導電性のもの
であっても、また電気絶縁性のものであってもよい。さ
らには、それらは透光性のものであっても、また非透光
性のものであってもよいが、変形、歪みが少なく、所望
の強度を有するものであることが好ましい。具体的には
Fe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,Ta,
V,Ti,Pt,Pb等の金属またはこれらの合金、例
えば真鍮、ステンレス鋼等の薄板及びその複合体の多結
晶材料、あるいは、SiO2,Si34,Al23,A
lN等を含むの絶縁性の多結晶材料を用いることができ
る。基板が金属等の電気導電性である場合には直接電流
取り出し用の電極としても良い。また基板が絶縁性であ
る場合には、後述する裏面金属反射層に裏面電極の役割
を兼ねさせるか、あるいは基板が透光性である場合に
は、基板上に後述する透明電極を形成して直接電流取り
出し用の電極とする。勿論、基板が金属等の電気導電性
のものであっても、長波長光の基板表面上での反射率を
向上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の
相互拡散を防止する等の目的で異種の金属層等を前記基
板上の堆積膜が形成される側に設けても良い。
【0070】また基板の形状は、用途により板状、長尺
ベルト状、円筒状等であることができ、その厚さは、所
望通りの光起電力素子を形成し得るように適宜決定する
が、光起電力素子として可撓性が要求される場合には、
基板としての機能が充分発揮される範囲内で可能な限り
薄くすることが出来る。しかしながら、基板の製造上及
び取扱い上、機械的強度等の点から、通常は、10μm
以上とされる。
【0071】(基板の表面処理の方法)上述した本発明
の特徴を有する多結晶質の基板を形成する方法は、基板
の材質によって異なるが、以下のような基板の表面処理
の方法が採用できる。
【0072】すなわち、多結晶質の基板表面に露出した
多結晶の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、表面
に凹凸の形成された多結晶粒と表面が平坦な多結晶粒が
混在するようにするためには、基板表面に露出した多結
晶の面方位に応じてエッチングレートが異なるような異
方性エッチングを、物理的または化学的に、気相または
液相で行うことによって得られる。
【0073】より具体的には、気相で行う場合、ガスエ
ッチング、プラズマエッチング、イオンエッチング等を
用いることができ、エッチングガスとしては、CF4
26,C38,C410,CHF3,CH22,C
2,ClF3,CCl4,CCl22,CClF3,CH
ClF2,C2Cl24,BCl3,PCl3,CBr
3,SF6,SiF4,SiCl4,HF,O2,N2,H
2,He,Ne,Ar,Xe等あるいはこれらの混合ガ
スが挙げられる。プラズマエッチングの場合のガス圧力
は、10-3Torr〜1Torr、プラズマを生起させ
るエネルギーとしては、DCあるいはACあるいは、1
〜100MHzのRF波、0.1〜10GHzのマイク
ロ波等の高周波を用いることができる。
【0074】また、液相で行う場合、酸の例としては、
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ酸、クロム酸、スルフ
ァミン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、
グリコール酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸
等、あるいはこれらを水で希釈したもの、あるいはこれ
らの混合液を用いることができる。また、アルカリの例
としては、カセイソーダ、水酸化アンモニウム、水酸化
カリウム、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、セスキ炭酸ソー
ダ、第1リン酸ソーダ、第2リン酸ソーダ、第3リン酸
ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、テ
トラポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ、テトラ
メタリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、オルソケ
イ酸塩ソーダ、メタケイ酸塩ソーダ等、あるいはこれら
を水で希釈したもの、あるいはこれらの混合液を用いる
ことができる。また、液相でエッチングを行う場合エッ
チング液を加熱したり、超音波等のエネルギーを加えて
も良い。
【0075】さらに、好適なエッチング条件は、多結晶
質の材料あるいは表面形状によって大きく異なるので、
一概に規定することはできないが、一例として、厚さ
0.2mmのブライトアニール処理をしたフェライト系
ステンレスSUS430−BAの場合は、以下のような
条件が好ましい。
【0076】例えば、気相でエッチングする場合、47
mm角にカットしたSUS430−BAをスパッタ装置
の基板ホルダーに10枚セットした状態で、Arを10
〜150sccm流入し、ガス圧力を2〜30mTor
rに保持して、基板側に100W〜400Wの13.5
6MHzのRF高周波を印加してArプラズマを生起さ
せ、5分〜30分のArプラズマ処理によって、基板表
面をエッチングすることが望ましい。もちろん、他のエ
ッチングガスを用いることもできるし、DC電力あるい
はマイクロ波といった他のエネルギーによってプラズマ
を生起させても良い。その場合は当然、ガスやエネルギ
ーによって好適な条件が異なる。
【0077】また、液相で前述のSUS430−BAを
エッチングする場合は、例えば、フッ酸と硝酸と水を
1:3:200の割合で混合したエッチング液を用い
て、攪拌させながら、1分〜20分のエッチングを行う
ことが望ましい。もちろん、フッ酸と硝酸と酢酸と水の
混合液あるいは塩酸と硝酸と水の混合液といった、他の
エッチング液を用いることもできる。エッチング時間
は、エッチング液の種類あるいは混合比によって、好適
な時間が異なる。ある基板材料に対して、強いエッチン
グ作用のある酸あるいはアルカリの場合、希釈率を高め
る方が望ましく、エッチング時間を短くする方が望まし
い。
【0078】また、気相のエッチングにおいても液相の
エッチングにおいても、基板の表面状態が鏡面に近いほ
ど強めのエッチング条件が好ましい。例えば、同じSU
S430でも表面を鏡面研磨したものは前述のエッチン
グ条件よりも強めのエッチング条件が好ましい。また、
同じステンレスでもマルテンサイト系ステンレスあるい
はオーステナイト系ステンレス等、組成の少し異なる場
合は、好適なエッチング条件が異なってくる。例えばオ
ーステナイト系ステンレスのSUS304の場合は、S
US430よりも強めのエッチング条件が好ましい。ま
た、液相のエッチングの場合、同じ表面状態のSUS4
30−BAでも、基板の厚さが前述の値より厚い場合
は、前述のエッチング条件よりも強めのエッチング条件
が好ましい。
【0079】(裏面金属反射層)本発明に係る裏面金属
反射層102、202は、光入射方向に対し半導体層の
裏面に配され、半導体層で吸収しきれなかった光を再び
半導体層に反射する光反射層の役割を持つ。また、光起
電力素子の裏面電極も兼ねる。したがって、図1の10
2の位置かあるいは、基板101が透光性で、基板の方
向から光を入射させる場合には、透明導電層を挟んで半
導体層の上に積層される。裏面金属反射層の材料として
は、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケ
ル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、
コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属ま
たはステンレス等の合金が挙げられる。なかでもアルミ
ニウム、マグネシウム、銅、銀、金などの反射率の高い
金属が特に好ましい。反射率の高い金属を用いることに
よって、半導体層で吸収しきれなかった光が高い反射率
で再び半導体層に反射され、半導体層内の光路長が延
び、半導体層の光吸収が増大して、光起電力素子の短絡
電流(Jsc)が増大する。
【0080】裏面金属反射層の表面は、平坦であっても
良いが、基板の多結晶粒界に応じて平坦性に差があるこ
とによって、裏面金属反射層と透明導電層の密着性が向
上し、光起電力素子の製造工程の自由度と制御性がさら
に向上し、製造の歩留まりがさらに向上し、光起電力素
子の耐候性、耐久性がさらに向上した。また、裏面金属
反射層の表面も、基板の多結晶粒界に応じて平坦性に差
があることによって、透明導電層の配向性がさらに向上
し、透明導電層の多結晶の平均粒径が増大し、粒径のば
らつきが小さくなった。その結果、光起電力素子のシリ
ーズ抵抗が減少し、フィルファクター(FF)が向上す
ると同時に、裏面金属反射層と透明導電層の界面での光
の散乱がさらに促進されて、短絡電流(Jsc)がさらに
増大した。
【0081】多結晶の粒界に応じた裏面金属反射層の平
坦性の差は、Rmaxの差で、好ましくは、0.01μm
から1.5μm、より好ましくは、0.02μmから1
μm、最適には、0.05μmから0.7μmが望まし
い。
【0082】また、個々の結晶粒内の表面のRmaxが大
きいと、従来のいわゆるテクスチャー構造に近付いてし
まうので、リーク電流の増加や光起電力素子のシャント
あるいは開放電圧(Voc)あるいはフィルファクター
(FF)の低下といった従来のテクスチャー構造の問題
点が出てきてしまう。したがって、個々の結晶粒内の裏
面金属反射層の表面の平坦さは、好ましくは、Rmaxで
2μm以下、より好ましくは、Rmaxで1.5μm以
下、最適には、Rmaxで1μm以下が望ましい。
【0083】裏面金属反射層の表面は、裏面金属反射層
の膜厚を例えば0.1μm以下と薄くした場合には、本
発明の多結晶基板の表面性を受け継いで、多結晶の粒界
に沿った段差あるいは凹凸が現れる。また、裏面金属反
射層の膜厚を例えば1μm以上と厚くした場合には、表
面が平坦になってくる。
【0084】また、裏面金属反射層の表面を多結晶質の
基板に施したのと同様に、エッチングによって、多結晶
の粒界に沿った段差あるいは凹凸を形成しても良い。
【0085】裏面金属反射層の形成には、EB蒸着、ス
パッタ蒸着などの各種蒸着法、各種CVD法、メッキ
法、印刷法などが用いられる。
【0086】(透明導電層)本発明に係る透明導電層1
03は、主に以下のような目的で、裏面金属反射層10
2と半導体層104の間に配置される。まず、光起電力
素子の裏面での乱反射を向上させ、薄膜による多重干渉
によって光を光起電力素子内に閉じ込めて、半導体層内
の光路長を延ばし、光起電力素子の短絡電流(Jsc)を
増大させること。次に、裏面電極を兼ねる裏面金属反射
層の金属が、半導体層に拡散するか、あるいはマイグレ
ーションを起こして、光起電力素子がシャントすること
を防止すること。また、透明導電層に若干の抵抗値をも
たせることで、半導体層を挟んで設けられた裏面金属反
射層102と透明電極107との間に半導体層のピンホ
ール等の欠陥で発生するショートを防止することであ
る。
【0087】透明導電層103は半導体層の吸収可能な
波長領域において高い透過率を有することと、適度の抵
抗率が要求される。好ましくは、650nm以上の透過
率が、80%以上、より好ましくは、85%以上、最適
には90%以上であることが望ましい。また、抵抗率は
好ましくは、1×10-4Ωcm以上、1×106Ωcm
以下、より好ましくは、1×10-2Ωcm以上、5×1
4Ωcm以下であることが望ましい。
【0088】透明導電層103の材料としては、In2
3,SnO2,ITO(In23+SnO2),Zn
O,CdO,Cd2SnO4,TiO2,Ta25,Bi2
3,MoO3,NaxWO3等の導電性酸化物あるいはこ
れらを混合したものが好適に用いられる。また、これら
の化合物に、導電率を変化させる元素(ドーパント)を
添加しても良い。
【0089】導電率を変化させる元素(ドーパント)と
しては、例えば透明導電層103がZnOの場合には、
Al,In,B,Ga,Si,F等が、またIn23
場合には、Sn,F,Te,Ti,Sb,Pb等が、ま
たSnO2の場合には、F,Sb,P,As,In,T
l,Te,W,Cl,Br,I等が好適に用いられる。
【0090】また、透明導電層103の形成方法として
は、EB蒸着、スパッタ蒸着などの各種蒸着法、各種C
VD法、スプレー法、スピンオン法、デップ法等が好適
に用いられる。
【0091】透明導電層103の表面は、平坦であって
も良いが、基板の多結晶粒界に応じて平坦性に差がある
ことによって、透明導電層と半導体層の密着性が向上
し、光起電力素子の製造工程の自由度と制御性がさらに
向上し、製造の歩留まりがさらに向上し、光起電力素子
の耐候性、耐久性がさらに向上した。また、透明導電層
と半導体層の界面での光の散乱が促進されて、短絡電流
(Jsc)がさらに増大した。多結晶の粒界に応じた透明
導電層103の平担性の差は、好ましくは、0.01μ
mから1.5μm、より好ましくは、0.02μmから
1μm、最適には、0.05μmから0.7μmが望ま
しい。
【0092】さらに、透明導電層の多結晶の成長によっ
て、表面に成長面に応じた凹凸が形成されることがあ
る。また、多結晶質の基板が、基板の多結晶粒界に応じ
て平坦性に差があることによって、透明導電層の多結晶
の平均粒径が拡大し、光の散乱が増大して、光起電力素
子の短絡電流(Jsc)がさらに向上した。
【0093】(半導体層)本発明に係る半導体層の材料
としては、Si,C,Ge等のIV族元素を用いたも
の、あるいはSiGe,SiC,SiSn等のIV族合
金を用いたもの、あるいはCdS,CdTe等のII−
VI族元素を用いたもの、あるいはCuInSe2,C
u(InGa)Se2,CuInS2等のI−III−V
I族元素を用いたものが用いられる。
【0094】また、以上の半導体材料の中で、本発明の
光起電力装置に特に好適に用いられる半導体材料として
は、a−Si:H(水素化非晶質シリコンの略記),a
−Si:F,a−Si:H:F,a−SiGe:H,a
−SiGe:F,a−SiGe:H:F,a−SiC:
H,a−SiC:F,a−SiC:H:F等のIV族及
びIV族合金系非晶質半導体材料、あるいは微結晶半導
体材料、あるいは多結晶半導体材料が挙げられる。
【0095】また、半導体層は価電子制御及び禁制帯幅
制御を行うことができる。具体的には半導体層を形成す
る際に価電子制御剤又は禁制帯幅制御剤となる元素を含
む原料化合物を単独で、又は前記堆積膜形成用原料ガス
又は前記希釈ガスに混合して成膜空間内に導入してやれ
ば良い。
【0096】また、半導体層は、価電子制御によって、
少なくともその一部が、p型およびn型にドーピングさ
れ、少なくとも一組のpin接合を形成する。そして、
pin接合を複数積層することにより、いわゆるスタッ
クセルの構成になる。
【0097】また、半導体層の形成方法としては、マイ
クロ波プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、光C
VD法、熱CVD法、MOCVD法などの各種CVD法
によって、あるいはEB蒸着、MBE、イオンプレーテ
ィング、イオンビーム法等の各種蒸着法、スパッタ法、
スプレー法、印刷法などによって、形成される。工業的
に採用されている方法としては、原料ガスをプラズマで
分解し、基板状に堆積させるプラズマCVD法が好んで
用いられる。また、反応装置としては、バッチ式の装置
や連続成膜装置などが所望に応じて使用できる。
【0098】以下、本発明の光起電力装置に特に好適な
IV族及びIV族合金系非晶質半導体材料を用いた半導
体層について、さらに詳しく述べる。
【0099】(1)i型半導体層(真性半導体層) 特にIV族及びIV族合金系非晶質半導体材料を用いた
光起電力素子に於いて、pin接合に用いるi型層は照
射光に対してキャリアを発生輸送する重要な層である。
【0100】i型層としては、僅かp型、僅かn型の層
も使用できるものである。
【0101】IV族及びIV族合金系非単結晶半導体材
料には、上述のごとく、水素原子(H,D)またはハロ
ゲン原子(X)が含有され、これが重要な働きを持つ。
【0102】i型層に含有される水素原子(H,D)ま
たはハロゲン原子(X)は、i型層の未結合手(ダング
リングボンド)を補償する働きをし、i型層でのキァリ
アの移動度と寿命の積を向上させるものである。またp
型層/i型層、n型層/i型層の各界面の界面準位を補
償する働きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そし
て光応答性を向上させる効果のあるものである。i型層
に含有される水素原子または/及びハロゲン原子は1〜
40atm%が最適な含有量として挙げられる。特に、
p型層/i型層、n型層/i型層の各界面側で水素原子
または/及びハロゲン原子の含有量が多く分布している
ものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面近傍で
の水素原子または/及びハロゲン原子の含有量はバルク
内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好ましい範囲として
挙げられる。更にシリコン原子の含有量に対応して水素
原子または/及びハロゲン原子の含有量が変化している
ことが好ましいものである。
【0103】また、スタック型の光起電力素子において
は、光入射側に近いpin接合のi型半導体層の材料と
しては、バンドギャップの広い材料、光入射側に遠いp
in接合のi型半導体層の材料としては、バンドギャッ
プの狭い材料を用いることが望ましい。
【0104】非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニ
ウムは、ダングリングボンドを補償する元素によって、
a−Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−
SiGe:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:
F等と表記される。
【0105】さらに、本発明の光起電力素子のに好適な
i型半導体層の特性としては、水素原子の含有量(C
H)が、1.0〜25.0%、AM1.5、100mW
/cm2の疑似太陽光照射下の光電導度(σp)が、
1.0×10-7S/cm以上、暗電導度(σd)が、
1.0×10-9S/cm以下、コンスタントフォトカレ
ントメソッド(CPM)によるアーバックエナジーが、
55meV以下、局在準位密度は1017/cm3以下の
ものが好適に用いられる。
【0106】(2)p型半導体層またはn型半導体層 p型半導体層またはn型半導体層の非晶質材料(a−と
表示する)あるいは微結晶材料(μc−と表示する)と
しては、例えばa−Si:H,a−Si:HX,a−S
iC:H,a−SiC:HX,a−SiGe:H,a−
SiGe:HX,a−SiGeC:H,a−SiGe
C:HX,a−SiO:H,a−SiO:HX,a−S
iN:H,a−SiN:HX,a−SiON:H,a−
SiON:HX,a−SiOCN:H,a−SiOC
N:HX,μc−Si:H,μc−Si:HX,μc−
SiC:H,μc−SiC:HX,μc−SiO:H,
μc−SiO:HX,μc−SiN:H,μc−Si
N:HX,μc−SiGeC:H,μc−SiGeC:
HX,μc−SiON:H,μc−SiON:HX,μ
c−SiOCN:H,μc−SiOCN:HX等にp型
の価電子制御剤(周期率表第III族原子B,Al,G
a,In,Tl)やn型の価電子制御剤(周期率表第V
族原子P,As,Sb,Bi)を高濃度に添加した材料
が挙げられ、多結晶材料(poly−と表示する)とし
ては、例えばpoly−Si:H,poly−Si:H
X,poly−SiC:H,poly−SiC:HX,
poly−SiO:H,poly−SiO:HX,po
ly−SiN:H,poly−SiN:HX,poly
−SiGeC:H,poly−SiGeC:HX,po
ly−SiON:H,poly−SiON:HX,po
ly−SiOCN:H,poly−SiOCN:HX,
poly−Si,poly−SiC,poly−Si
O,poly−SiN等にp型の価電子制御剤(周期率
表第III族原子B,Al,Ga,In,Tl)やn型
の価電子制御剤(周期率表第V族原子P,As,Sb,
Bi)を高濃度に添加した材料が挙げられる。
【0107】特に光入射側のp型層またはn型層には、
光吸収の少ない結晶性の半導体層かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。
【0108】p型層への周期率表第III族原子の添加
量およびn型層への周期率表第V族原子の添加量は0.
1〜50atm%が最適量として挙げられる。
【0109】またp型層またはn型層に含有される水素
原子(H,D)またはハロゲン原子はp型層またはn型
層の未結合手を補償する働きをしp型層またはn型層の
ドーピング効率を向上させるものである。p型層または
n型層へ添加される水素原子またはハロゲン原子は0.
1〜40atm%が最適量として挙げられる。特にp型
層またはn型層が結晶性の場合、水素原子またはハロゲ
ン原子は0.1〜8atm%が最適量として挙げられ
る。更にp型層/i型層、n型層/i型層の各界面側で
水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が多く分布
しているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界
面近傍での水素原子または/及びハロゲン原子の含有量
はバルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好ましい範
囲として挙げられる。このようにp型層/i型層、n型
層/i型層の各界面近傍で水素原子またはハロゲン原子
の含有量を多くすることによって該界面近傍の欠陥準位
や機械的歪を減少させることができ本発明の光起電力素
子の光起電力や光電流を増加させることができる。
【0110】光起電力素子のp型層及びn型層の電気特
性としては活性化エネルギーが0.2eV以下のものが
好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また非
抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以
下が最適である。さらにp型層及びn型層の層厚は1〜
50nmが好ましく、3〜10nmが最適である。
【0111】また、II−VI族元素を用いたp型半導
体層またはn型半導体層の例としては、CdS,CdT
e,ZnO,ZnSe等が挙げられ、I−III−VI
2族元素を用いた例としては、CuInSe2,Cu(I
nGa)Se2,CuInS2,CuIn(Se,
S)2,CuInGaSeTe等が挙げられる。
【0112】(3)半導体層の形成方法 本発明の光起電力素子の半導体層として、好適なIV族
及びIV族合金系非晶質半導体層を形成するために、好
適な製造方法は、RFプラズマCVD法あるいはマイク
ロ波プラズマCVD法等の交流あるいは高周波を用いた
プラズマCVD法である。
【0113】マイクロ波プラズマCVD法は、減圧状態
にできる堆積室(真空チャンバー)に原料ガス、希釈ガ
スなどの材料ガスを導入し、真空ポンプによって排気し
つつ、堆積室の内圧を一定にして、マイクロ波電源によ
って発振されたマイクロ波を、導波管によって導き、誘
電体窓(アルミナセラミックス等)を介して前記堆積室
に導入して、材料ガスのプラズマを生起させて分解し、
堆積室内に配置された基板上に、所望の堆積膜を形成す
る方法であり、広い堆積条件で光起電力装置に適用可能
な堆積膜を形成することができる。
【0114】本発明の光起電力装置用の半導体層を、マ
イクロ波プラズマCVD法で、堆積する場合、堆積室内
の基板温度は100〜450℃、内圧は0.5〜30m
Torr、マイクロ波パワーは0.01〜1W/c
3、マイクロ波の周波数は0.1〜10GHzが好ま
しい範囲として挙げられる。
【0115】また、RFプラズマCVD法で堆積する場
合、堆積室内の基板温度は、100〜350℃、内圧
は、0.1〜10Torr、RFパワーは、0.001
〜5.0W/cm3、堆積速度は、0.1〜30Å/s
ecが好適な条件として挙げられる。
【0116】本発明の光起電力装置に好適なIV族及び
IV族合金系非晶質半導体層の堆積に適した原料ガスと
しては、シリコン原子を含有したガス化し得る化合物、
ゲルマニウム原子を含有したガス化し得る化合物、炭素
原子を含有したガス化し得る化合物等、及び該化合物の
混合ガスを挙げることができる。
【0117】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、鎖状または環状シラン化合物が用
いられ、具体的には例えば、SiH4,Si26,Si
4,SiFH3,SiF22,SiF3H,Si38
SiD4,SiHD3,SiH22,SiH3D,SiF
3,SiF22,Si233,(SiF25,(Si
26,(SiF24,Si26,Si38,Si22
4,Si233,SiCl4,(SiCl25,Si
Br4,(SiBr25,Si2Cl6,SiHCl3,S
iH2Br2,SiH2Cl2,Si2Cl33などのガス
状態のまたは容易にガス化し得るものが挙げられる。
【0118】具体的にゲルマニウム原子を含有するガス
化し得る化合物としてはGeH4,GeD4,GeF4
GeFH3,GeF22,GeF3H,GeHD3,Ge
22,GeH3D,Ge26,Ge26等が挙げられ
る。
【0119】また、本発明の光起電力素子の第1のp型
半導体層の形成に用いられるi型半導体層のバンドギャ
ップを拡大する元素としては、炭素、酸素、窒素等が挙
げられる。
【0120】具体的に炭素原子を含有するガス化し得る
化合物としてはCH4,CD4,Cn2n+2(nは整数)
n2n(nは整数),C22,C66,CO2,CO等
が挙げられる。
【0121】窒素含有ガスとしてはN2,NH3,N
3,NO,NO2,N2Oが挙げられる。
【0122】酸素含有ガスとしてはO2,CO,CO2
NO,NO2,N2O,CH3CH2OH,CH3OH等が
挙げられる。
【0123】また、価電子制御するためにp型層または
n型層に導入される物質としては周期率表第III族原
子及び第III族原子が挙げられる。
【0124】第III族原子導入用の出発物質として有
効に使用されるものとしては、具体的にはホウ素原子導
入用としては、B26,B410,B59,B511,B
610,B612,B614等の水素化ホウ素、BF3,B
Cl3,等のハロゲン化ホウソ等を挙げることができ
る。このほかにAlCl3,GaCl3,InCl3,T
lCl3等も挙げることができる。特にB26,BF3
適している。
【0125】第V族原子導入用の出発物質として有効に
使用されるのは、具体的には燐原子導入用としてはPH
3,P24等の水素化燐、PH4I,PF3,PF5,PC
3,PCl5,PBr3,PBr5,PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。このほかAsH3,AsF3,AsC
3,AsBr3,AsF5,SbH3,SbF3,Sb
5,SbCl3,SbCl5,BiH3,BiCl3,B
iBr3等も挙げることができる。特にPH3,PF3
適している。
【0126】また前記ガス化し得る化合物をH2,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。
【0127】特に微結晶あるいは多結晶半導体やa−S
iC:H等の光吸収の少ないかバンドギャップの広い層
を堆積する場合は水素ガスで2〜100倍に原料ガスを
希釈し、マイクロ波パワー、あるいはRFパワーは比較
的高いパワーを導入するのが好ましいものである。
【0128】(透明電極)本発明に於て、透明電極10
7は光を透過する、光入射側の電極であるとともに、そ
の膜厚を最適化する事によって反射防止膜としての役割
も兼ねる。透明電極107は、半導体層の吸収可能な波
長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低
いことが要求される。好ましくは、550nm以上の波
長における透過率が、80%以上、より好ましくは、8
5%以上であることが望ましい。また、抵抗率は好まし
くは、5×10-3Ωcm以下、より好ましくは、1×1
-3Ωcm以下であることが望ましい。その材料として
は、In23,SnO2,ITO(In23+Sn
2),ZnO,CdO,Cd2SnO4,TiO2,Ta
25,Bi23,MoO3,NaxWO3等の導電性酸化
物あるいはこれらを混合したものが好適に用いられる。
また、これらの化合物に、導電率を変化させる元素(ド
ーパント)を添加しても良い。
【0129】導電率を変化させる元素(ドーパント)と
しては、例えば透明電極107がZnOの場合には、A
l,In,B,Ga,Si,F等が、またIn23の場
合には、Sn,F,Te,Ti,Sb,Pb等が、また
SnO2の場合には、F,Sb,P,As,In,T
l,Te,W,Cl,Br,I等が好適に用いられる。
【0130】また、透明電極107の形成方法として
は、EB蒸着、スパッタ蒸着などの各種蒸着法、各種C
VD法、スプレー法、スピンオン法、デップ法等が好適
に用いられる。
【0131】(集電電極)本発明に於いて、集電電極1
08は、透明電極107の抵抗率が充分低くできない場
合に必要に応じて透明電極107上の一部分に形成さ
れ、電極の抵抗率を下げ光起電力素子の直列抵抗を下げ
る働きをする。その材料としては、金、銀、銅、アルミ
ニウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タングス
テン、チタン、コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニ
ウム等の金属、またはステンレス等の合金、あるいは粉
末状金属を用いた導電ペーストなどが挙げられる。そし
てその形状は、できるだけ半導体層への入射光を遮らな
いように、例えば図4のように枝状に形成される。
【0132】また、光起電力装置の全体の面積の中で、
集電電極の占める面積は、好ましくは15%以下、より
好ましくは10%以下、最適には5%以下が望ましい。
また、集電電極のパターンの形成には、マスクを用い、
形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、メッキ法、印
刷法などが用いられる。
【0133】なお、本発明の光起電力素子を用いて、所
望の出力電圧、出力電流の光起電力装置(モジュールあ
るいはパネル)を製造する場合には、本発明の光起電力
素子を直列あるいは並列に接続し、表面と裏面に保護層
を形成し、出力の取り出し電極等が取り付けられる。こ
のとき、光起電力素子を形成した多結晶質の基板を、別
の支持基板の上に配置することもある。また、本発明の
光起電力素子を直列接続する場合、逆流防止用のダイオ
ードを組み込むことがある。
【0134】
【実施例】以下、非単結晶シリコン系半導体材料からな
る光起電力素子およびフォトダイオードの作製によって
本発明の光起電力素子を詳細に説明するが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0135】(実施例1)本例では、基板表面のエッチ
ング処理としては酸処理法を、基板材料としてはSUS
430BA板を用いて、図1の構成を有する光起電力素
子を作製した。
【0136】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0137】(1)基板の作製から行った。厚さ0.2
mm、50×50mm2のSUS430BA板をアセト
ンとイソプロパノールで超音波洗浄し温風乾燥させ、基
板表面上に残っている油脂成分を完全に除去した。
【0138】次に、基板表面にエッチング処理を行うた
めにステンレス板をテフロン製基板ホルダ(不図示)に
セットし、表1に示すように室温に温度制御されている
フッ硝酸(モル比HF:HNO3:H2O=1:3:20
0)から成る酸の入った容器(不図示)に基板が十分に
浸される様基板ホルダを配置した。
【0139】(2)酸の入った容器をマグネチックスタ
ーラー攪拌装置(不図示)にセットし、5分間攪拌し表
面処理を行った。
【0140】(3)酸処理を行った基板の一部は評価用
に残し(サンプル実1−1)、その他の基板はスパッタ
リング装置により反射層の形成を行った。
【0141】(4)図5に示すDCマグネトロンスパッ
タリング装置を用いてAl光反射層を形成した。図5の
ヒーター503にこの酸処理されたSUS430BA板
502を密着させ、油拡散ポンプが接続された排気口か
ら堆積室501を真空排気した。圧力が1×10-6にな
ったところでバルブ514を開け、マスフローコントロ
ーラー516を調整してArガスを50sccm導入
し、圧力が7mTorrになるようにコンダクタンスバ
ルブ513で調整した。トロイダルコイルに電流を流
し、スパッタ電源506から−400VのDC電力をA
lターゲット504に印加し、Arプラズマを生起し
た。
【0142】(5)ターゲットシャッター507を開け
てステンレス板表面上に層厚0.3μmのAlの光反射
層を形成したところでシャッターを閉じ、プラズマを消
滅させ、Al反射層の作製を終えた。
【0143】(6)反射層と同様の形成方法でZnO薄
膜層を形成した。堆積室にArガスを40sccm導入
し、基板温度を200℃、圧力5mTorrとし、スパ
ッタ電源510から−500VのDC電力をZnOター
ゲット508に印加し、Arプラズマを生起した。
【0144】(7)ターゲットシャッター511を開
け、反射層表面上に層厚1.0μmのZnO薄膜層を形
成したところでシャッターを閉じ、プラズマを消滅させ
た。
【0145】(8)透明導電層を作成した段階で基板の
一部は評価用に残し(サンプル実1−2)、その他の基
板はCVD装置により半導体層の形成を行った。
【0146】(9)ZnO薄膜層上にn層、i層、p層
を図6に示す多室分離型の堆積装置で順次形成した。a
−Siからなるn層及びμc−Siからなるp層はRF
PCVD法で形成し、a−Siからなるi層はRFPC
VD法及びMWPCVD法で形成した。作製手順は、以
下の様にして行った。
【0147】(9−1)全ての搬送系及び堆積室を10
-6Torr台に真空引きした。基板ホルダー690に基
板をセットしロードロック室601に入れた。ロードロ
ック室を不図示のメカニカルブースターポンプ/ロータ
リーポンプで10-3Torr台の真空度まで真空引き
し、ターボ分子ポンプに切り替えて10-6Torr台ま
で真空引きした。ゲートバルブ606を開け、基板ホル
ダー690をn型層搬送室602に搬送した。ゲートバ
ルブ606を閉じる。基板加熱用ヒーター610下に基
板を移動させ、水素ガスを流し、成膜時の圧力とほぼ同
じ圧力にし、基板加熱用ヒーター610で表1に示す温
度に加熱し安定化させた。マスフローコントロラー63
6〜639、ストップバルブ630〜634、641〜
644でn型層堆積用の表1に示す原料ガスを堆積室に
供給した。RF導入用カップ620へRF電源622か
ら表1に示すRF電力を投入した。所望の堆積時間堆積
して表1に示す層厚のn型層を堆積した。
【0148】(9−2)n型層堆積用の原料ガスの供給
を停止して、ターボ分子ポンプで10-6Torr台の真
空度まで排気した。基板加熱用ヒーター610を上に上
げゲートバルブ607を開け、基板ホルダーをMW−i
またはRF−i搬送室603に移動した。ゲートバルブ
607を閉じた。基板加熱用ヒーター611の下に基板
を搬送して、基板加熱用ヒーター611を下げて基板を
表1に示す基板温度に加熱し、安定化させた。RF−i
層を堆積した。RF−i層は、堆積室618にMW−i
またはRF−i層堆積用ガス供給設備(ガス供給管64
9、ストップバルブ650〜655、661〜665、
マスフローコントローラー656〜660)からRF−
i層堆積用の表1に示す原料ガスを供給した。RF−i
層堆積用の表1に示す真空度になる様に排気ポンプで調
整した。バイアス印加用電極628に不図示のRF電源
から所望のRF電力を導入し、RFプラズマCVD法に
よりRF−i層を表1に示す層厚で前記n型層上に堆積
した。
【0149】(9−3)原料ガスの供給を停止し、堆積
室内をターボ分子ポンプで10-6Torr台に排気し
た。同時に基板温度をMW−i層の堆積に適した表1に
示す温度に設定し保持した。MW−i層の堆積に適した
表1に示す原料ガスをMW−iまたはRF−i層堆積用
ガス供給設備から堆積室618へ供給した。不図示の拡
散ポンプ等の排気装置によって、堆積室内の真空度を表
1に示す真空度に保持した。不図示のMW電源から表1
に示すMW電力を堆積室618へ導入した。同時に不図
示のRF電源からバイアス電極628へ表1に示すバイ
アス電力を導入した。シャッター627を開け基板上に
本発明のマイクロ波プラズマCVD法でMW−i層を堆
積した。
【0150】(9−3)その後MW−i層の堆積に適し
た表1に示す原料ガスをMW−iまたはRF−i層堆積
用ガス供給設備から堆積室618へ供給し所定の層厚の
MW−i層を形成した後シャッターを閉じMW電力等を
停止し原料ガスの供給を停止した。堆積室618内を、
ターボ分子ポンプで10-6Torr台に排気した。前記
RF−i層の堆積と同様にして、MW−i層上にRF−
i層を表1に示す条件で堆積した。
【0151】(9−4)RF−i層の堆積後も10-6
orr台に堆積室内を排気した。基板加熱用ヒーター6
11を基板から離し、ゲートバルブ608を開けて基板
ホルダー690をp型層搬送室604に移動させる。ゲ
ートバルブ608を閉じ、基板加熱用ヒーター612下
に基板を移動させて、基板温度を表1に示す基板温度に
設定し、安定化させる。p型層堆積用ガス供給設備(ス
トップバルブ670〜674、681〜684、マスフ
ローコントローラー676〜679)からp型層堆積用
ガスを堆積室619に供給した。不図示の排気ポンプで
堆積室内の真空度を表1に示す真空度になる様に調整し
た。RF導入用カップ621にRF電源623から表1
に示す電力を導入し、RFプラズマCVD法によりp型
層を表1に示す層厚に堆積した。以上の様にしてpin
構造が基板上に形成されるものである。
【0152】(10)次に、ガスの流入を止め、5分
間、H2ガスを流し続けた後、H2ガスの流入も止め、堆
積室内およびガス配管内を1×10-5Torrまで真空
排気し、基板をアンロード室605に移動した。基板を
十分冷却した後、取り出した。
【0153】(11)次に、p層上に、透明電極とし
て、表1に示すITOを抵抗加熱真空蒸着法で真空蒸着
した。そして次に透明電極上に櫛型の穴が開いたマスク
を乗せ、表1に示すようにCr/Ag/Crからなる櫛
形の集電電極を電子ビーム真空蒸着法で真空蒸着した。
【0154】以上で図1の構成を有する光起電力素子の
作製を終えた。この光起電力素子を(実1)と呼ぶこと
にした。
【0155】
【表1】 (比較例1−1)本例では、基板の表面処理を行う際
に、攪拌による酸処理時間を10秒とした点が実施例1
と異なる。
【0156】他の点は実施例1と同じ条件で、サンプル
(サンプル比1−1)、(サンプル比1−4)及び光起
電力素子(比1−1)を作製した。
【0157】(比較例1−2)本例では、基板の表面処
理を行う際に、超音波による酸処理温度を80℃とした
点が実施例1と異なる。
【0158】他の点は実施例1と同じ条件で、サンプル
(サンプル比1−2)、(サンプル比1−5)及び光起
電力素子(比1−1)を作製した。
【0159】(比較例1−3)本例では、基板の表面処
理を行う際に、超音波による酸処理時間を60分とした
点が実施例1と異なる。
【0160】他の点は実施例1と同じ条件で、サンプル
(サンプル比1−3)、(サンプル比1−6)及び光起
電力素子(比1−1)を作製した。
【0161】以下では、上述した実施例1、比較例1−
1、比較例1−2、及び比較例1−3で表面処理まで行
った基板、すなわち(サンプル実1−1)、(サンプル
比1−1)、(サンプル比1−2)、(サンプル比1−
3)について評価した結果について述べる。まず、それ
ぞれ電子顕微鏡(SEM)による表面形状観察を行い、
結晶粒径を調べた結果を述べた。また、針ステップによ
り基板表面の粗さ(最大ピークトウピーク値、以下「R
max」)を調べ、テクスチャー構造を持つ多結晶粒のRm
axと平坦な多結晶粒のRmaxの差(Rmax(差)と記す)
を求めた。さらに、これらの結果から基板断面の概略形
を調べた。
【0162】これらの結果を表2に示した。
【0163】
【表2】 (サンプル実1−1)のSEM像は図3に示すとおりで
あり、表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分
に分かれており、凸凹を有する部分と平坦な部分のRma
xには差があるのに対し、(サンプル比1−1)では全
体的に結晶粒は平坦でありRmaxに差はなく、(サンプ
ル比1−2)、(サンプル比1−3)においては全体的
にピラミッド型の凸凹構造となっておりRmaxも差が無
かった。
【0164】以下では、上述した実施例1、比較例1−
1、比較例1−2、及び比較例1−3で透明導電層まで
作製した基板、すなわち(サンプル実1−2)、(サン
プル比1−4)、(サンプル比1−5)、(サンプル比
1−6)について評価した結果について述べる。まず、
それぞれ電子顕微鏡(SEM)による表面形状観察を行
い、ZnO結晶粒径を調べた。また、積分球を備えた分
光光度計を用いて、それぞれのサンプルについて全反射
率及び乱反射率を求めた。
【0165】これらの結果を表3に示した。
【0166】
【表3】 (サンプル実1−1)では表3のように透明導電層を形
成するZnOの結晶粒径が大きく、全反射率/乱反射
率、共に優れているのに対し、(サンプル比1−4)で
は結晶粒径が小さく乱反射率が低く、(サンプル比1−
5)、(サンプル比1−6)においては全反射率/乱反
射率共に非常に低いものとなった。
【0167】以下では、上述した実施例1、比較例1−
1、比較例1−2、及び比較例1−3で作製した光起電
力素子、すなわち(実−1)及び(比1−1)、(比1
−2)、(比1−3)について評価した結果について述
べる。まず、それぞれ5個づつ作製し、全ての光起電力
素子について更に25個づつのサブセルに分けた後、暗
所で−1.0Vの逆バイアス電圧をかけた状態でシャン
ト抵抗を測定した。シャント抵抗の基準値を4×104
Ωcm2とし、歩留りを調べた。更に続いて、密着性試
験、初期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、光劣
化、高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化、及び温湿
度劣化の測定を行なった。
【0168】密着性試験については、碁盤目テープ法に
より作成された光起電力素子に格子状に1mm間隔で1
0本づつの切り傷を付け、100個のます目をつける。
セロハン粘着テープをはりつけ、十分に付着した後に瞬
間的に引きはがし、はがれた部分の面積で評価を行っ
た。
【0169】初期光電変換効率の測定は、作製した光起
電力素子を、AM−1.5(100mW/cm2)光照
射下に設置して、V−I特性を測定することにより得ら
れる。
【0170】光劣化の測定は、予め初期光電変換効率を
測定しておいた光起電力素子を、湿度50%、温度25
℃の環境に設置し、AM−1.5光を500時間照射後
の、AM1.5光照射下での光電変換効率の低下率(光
劣化試験後の光電変換効率/初期光電変換効率)により
行った。
【0171】高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化の
測定は、予め初期光電変換効率を測定しておいた光起電
力素子を温度85℃、湿度85%の暗所に設置し光起電
力素子に逆バイアスを0.7V印加し100時間保持、
その後のAM1.5光照射下での光電変換効率の低下率
(振動劣化試験後の光電変換効率/初期光電変換効率)
により行った。
【0172】温湿度劣化の測定は、予め初期光電変換効
率を測定しておいた光起電力素子を温度85℃、湿度8
5%の暗所に設置し30分間保持、その後約70分間か
けて温度−20℃まで下げ30分間保持、再び70分間
かけて温度85℃、湿度85%まで戻す、このサイクル
を100回繰り返した後の、AM1.5光照射下での光
電変換効率の低下率(振動劣化試験後の光電変換効率/
初期光電変換効率)により行った。
【0173】これらの結果を表4に示した。
【0174】
【表4】 測定の結果、(実−1)に対して(比1−1)は歩留
り、密着性において低い値となった。また各劣化試験後
の光電変換効率も劣っているが、これらの差は主に密着
性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下が原
因である。(実−1)に対して(比1−2)、(比1−
3)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変換効
率が全て低い値となった。初期光電変換効率について
は、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(Js
c)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0175】以上のように本発明の光起電力素子(実−
1)は、従来の光起電力素子(比1−1)、(比1−
2)、(比1−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0176】(実施例2)本例では、基板表面のエッチ
ング処理としてはRFスパッタリング法を、基板材料と
してはSUS430−2B板を用いて、図1の構成を有
する光起電力素子を作製した。
【0177】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0178】(1)実施例1と同様にUS430−2B
板上の油脂成分を完全除去した後、図5に示すスパッタ
リング装置を用いて基板表面のエッチング処理を行っ
た。図5のヒーター503にこの基板502を密着さ
せ、排気口から処理室501を真空排気した。圧力が1
×10-6になったところでバルブ514を開け、マスフ
ローコントローラー516を調整してArガスを50s
ccm導入し、圧力が6mTorrになるようにコンダ
クタンスバルブ513で調節した。スパッタ電源506
から200WのRF電力を基板に印加し、Arプラズマ
を生起した。20分間Arプラズマを維持した後、プラ
ズマを消滅させ、エッチング処理を終えた。
【0179】(2)エッチング処理を行った基板の一部
は評価用に残し(サンプル実2−1)、その他の基板に
ついては実施例1と同様に表5に示す条件でAl反射層
の形成を行った。
【0180】(3)その後、実施例1と同様に、表5に
示す条件でZnO透明電極層を形成し、基板の一部は評
価用に残し(サンプル実2−2)、その他の基板はCV
D装置により表5に示す条件でpin型半導体層、In
23透明電極、集電電極を形成し光起電力素子(実−
2)を作製した。
【0181】
【表5】 (比較例2−1)本例では、基板の表面処理を行う際
に、RFスパッタリングによる処理時間を20秒とした
点が実施例2と異なる。
【0182】他の点は実施例2と同様で、サンプル(サ
ンプル比2−1)、(サンプル比2−4)及び光起電力
素子(比2−1)を作製した。
【0183】(比較例2−2)本例では、基板の表面処
理を行う際に、基板温度を300℃とした点が実施例2
と異なる。
【0184】他の点は実施例2と同じ条件で、サンプル
(サンプル比2−2)、(サンプル比2−5)及び光起
電力素子(比2−2)を作製した。
【0185】(比較例2−3)本例では、基板の表面処
理を行う際に、RFスパッタリングによる処理時間を9
0分とした点が実施例2と異なる。
【0186】他の点は実施例2と同じ条件で、サンプル
(サンプル比2−3)、(サンプル比2−6)及び光起
電力素子(比2−3)を作製した。
【0187】以下では、実施例1と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実2−1)、(サンプ
ル比2−1)、(サンプル比2−2)、(サンプル比2
−3)について評価した結果について述べる。実施例1
と同様に、表面形状観察を行い、結晶粒径を調べ、また
基板表面の粗さ(最大ピークトウピーク値、以下「Rma
x」)からRmaxの差(Rmax(差)と記す)を求め、基
板断面の概略形を調べた。
【0188】これらの結果を表6に示した。
【0189】
【表6】 実施例1と同様に(サンプル実2−2)では表6のよう
に表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に分
かれており、凸凹を有する部分と平坦な部分のRmaxに
は差があるのに対し、(サンプル比1−1)では全体的
に結晶粒は平坦でありRmaxに差はなく、(サンプル比
1−2)、(サンプル比1−3)においては全体的にピ
ラミッド型の凸凹構造となっておりRmaxも差がないも
のとなった。
【0190】以下では、実施例1と同様に透明導電層ま
で作製した基板、すなわち(サンプル実2−2)、(サ
ンプル比2−4)、(サンプル比2−5)、(サンプル
比2−6)について評価した結果について述べる。実施
例1と同様に、それぞれ表面形状観察を行い、ZnO結
晶粒径を調べ積分球を備えた分光光度計を用いてそれぞ
れの全反射率及び乱反射率を求めた。
【0191】これらの結果を表7に示した。
【0192】
【表7】 実施例1と同様に(サンプル実2−2)では表7のよう
に透明導電層を形成するZnOの結晶粒径が大きく、全
反射率/乱反射率、共に優れているのに対し、(サンプ
ル比2−4)では結晶粒径が小さく乱反射率が低く、
(サンプル比2−5)、(サンプル比2−6)において
は全反射率/乱反射率共に非常に低いものとなった。
【0193】以下では、実施例1と同様に、上述した実
施例2、比較例2−1、比較例2−2、及び比較例2−
3で作製した光起電力素子、すなわち(実−2)及び
(比2−1)、(比2−2)、(比2−3)について評
価した結果について述べる。まず、それぞれ5個づつ作
製し、更に25個づつのサブセルに分けた後、暗所で−
1.0Vの逆バイアス電圧をかけた状態でシャント抵抗
を測定した。シャント抵抗の基準値を4×104Ωcm2
とし、歩留りを調べた。更に実施例1と同様に密着性試
験、初期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、光劣
化、高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化、及び温湿
度劣化の測定を行なった。
【0194】これらの結果を表8に示した。
【0195】
【表8】 測定の結果、(実−2)に対して(比2−1)は歩留
り、密着性において低い値となった。また各劣化試験後
の光電変換効率も劣っているが、これらの差は主に密着
性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下が原
因である。(実−2)に対して(比2−2)、(比2−
3)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変換効
率が全て低い値となった。初期光電変換効率について
は、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(Js
c)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0196】以上のように本発明の光起電力素子(実−
2)は、従来の光起電力素子(比2−1)、(比2−
2)、(比2−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0197】(実施例3)本例では、基板表面のエッチ
ング処理としては酸処理法を、基板材料としてはSUS
430−2D板を用いて、図1の構成を有する光起電力
素子を作製した。
【0198】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0199】(1)実施例1と同様にUS430−2D
板上を表9に示す酸を用いて基板表面のエッチング処理
を行った。
【0200】(2)エッチング処理を行った基板の一部
は評価し(サンプル実3−1)、続けて実施例1と同様
に表9に示す条件でAl反射層の形成を行った。
【0201】(3)Al反射層を作製した後、基板の一
部は評価用に残し、表9に示す条件でZnO透明電極層
を形成し、基板の一部は評価用に残した(サンプル実3
−2)。
【0202】(4)その他の基板はCVD装置により表
9に示す条件でpin型半導体層、In23透明電極、
集電電極を形成し光起電力素子を作製した(実−3)。
【0203】
【表9】 (比較例3−1)本例では、基板の表面処理を行う際
に、フッ硝酢酸の混合比率を(HF:HNO3:H2O:
CH3COOH=1:3:3:500)とした点が実施
例3と異なる。
【0204】他の点は実施例3と同じ条件で、サンプル
(サンプル比3−1)、(サンプル比3−5)、(サン
プル比3−9)及び光起電力素子(比3−1)を作製し
た。
【0205】(比較例3−2)本例では、反射層を堆積
する際に、堆積膜厚を3000nmとした点が実施例3
と異なる。
【0206】他の点は実施例3と同じ条件で、サンプル
(サンプル比3−2)、(サンプル比3−6)、(サン
プル比3−10)及び光起電力素子(比3−2)を作製
した。
【0207】(比較例3−3)本例では、反射層を堆積
する際に、基板温度を150℃とした点が実施例3と異
なる。
【0208】他の点は実施例3と同じ条件で、サンプル
(サンプル比3−3)、(サンプル比3−7)、(サン
プル比3−11)及び光起電力素子(比3−3)を作製
した。
【0209】(比較例3−4)本例では、基板の表面処
理を行う際に、酸処理による処理時間を90分とした点
が実施例3と異なる。
【0210】他の点は実施例3と同じ条件で、サンプル
(サンプル比3−4)、(サンプル比2−8)、(サン
プル比3−12)及び光起電力素子(比3−4)を作製
した。
【0211】以下では、実施例1と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実3−1)、(サンプ
ル比3−1)、(サンプル比3−2)、(サンプル比3
−3)、(サンプル比3−4)について評価した結果に
ついて述べる。実施例1と同様に、表面形状観察を行
い、結晶粒径を調べ、また基板表面の粗さ(最大ピーク
トウピーク値、以下「Rmax」)からRmaxの差(Rmax
(差)と記す)を求め、基板断面の概略形を調べた。ま
た、それぞれのサンプルについて電子顕微鏡で基板表面
上を観察したものと全く同じ場所について、反射層を形
成した後の基板断面の概略形(概略形表面形状(反)と
記す)を調べた。
【0212】これらの結果を表10に示した。
【0213】
【表10】 実施例1と同様に(サンプル実3−1)では表10のよ
うに表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に
分かれており、エッチング処理を行った基板表面の段差
を反射層の形状がそのまま反映し、凸凹を有する部分と
平坦な部分のRmaxの差を受け継いでいるのに対し、
(サンプル比3−1)では全体的に結晶粒は平坦であり
Rmaxに差はなく、(サンプル比3−2)、(サンプル
比3−3)では基板表面で見られる構造を反射層表面で
反映していなかった。また、(サンプル比3−4)にお
いては全体的にピラミッド型の凸凹構造となっており結
晶粒毎のRmaxも差がないものとなった。
【0214】また、透明導電層まで作成した基板(サン
プル実3−5)、(サンプル比3−6)、(サンプル比
3−7)、(サンプル比3−8)については、ZnO結
晶粒径を調べ、全反射率及び乱反射率を求めた。
【0215】これらの結果を表11に示した。
【0216】
【表11】 実施例1と同様に(サンプル実3−2)では表11のよ
うに透明導電層を形成するZnOの結晶粒径が大きく、
全反射率/乱反射率、共に優れているのに対し、(サン
プル比3−5)、(サンプル比3−6)では結晶粒径が
小さく乱反射率が低く、(サンプル比3−7)、(サン
プル比3−8)においては全反射率/乱反射率共に非常
に低いものとなった。
【0217】以下では、実施例1と同様に、上述した実
施例3、比較例3−1、比較例3−2、比較例3−3、
及び比較例3−4で作製した光起電力素子、すなわち
(実−3)、(比3−1)、(比3−2)、(比3−
3)及び(比3−4)について評価した結果について述
べる。まず、それぞれ5個づつ作製し、更に25個づつ
のサブセルに分けた後、歩留りを調べた。更に実施例1
と同様に密着性試験、初期光電変換効率(光起電力/入
射光電力)、光劣化、高温高湿度逆バイアス(HHR
B)劣化、及び温湿度劣化の測定を行なった。
【0218】これらの結果を表12に示した。
【0219】
【表12】 測定の結果、(実−3)に対して(比3−1)、(比3
−2)は歩留り、密着性において低い値となった。また
各劣化試験後の光電変換変換効率も劣っているが、これ
らの差は主に密着性に起因するシリーズ抵抗の低下によ
るFFの低下が原因である。(実−3)に対して(比3
−3)、(比3−4)は、初期光電変換効率、及び各劣
化後の光電変換効率が全て低い値となった。初期光電変
換効率については、全反射率及び乱反射率の低下により
短絡電流(Jsc)が減少したためであり、各劣化後の光
電変換効率については主に開放電圧(Voc)の低下によ
るものであった。
【0220】以上のように本発明の光起電力素子(実−
3)は、従来の光起電力素子(比3−1)、(比3−
2)、(比3−3)、(比3−4)よりも優れた特性を
有することが分かった。
【0221】(実施例4)本例では、実施例3と同様
に、基板表面のエッチング処理としては酸処理法を、基
板材料としてはSUS430−2D板を用い、図1の構
成を有する光起電力素子を作製した。
【0222】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0223】(1)実施例3と同様にUS430−2D
板上に、表13に示す酸を用いて基板表面のエッチング
処理を行った。
【0224】(2)エッチング処理を行った基板の一部
は評価し(サンプル実4−1)、その後実施例3と同様
に表13に示す条件でAg反射層の形成を行った。
【0225】(3)Ag反射層を作成した後、表13に
示す条件でZnO透明電極層を形成し、基板の一部は評
価用に残した(サンプル実4−2)。
【0226】(4)その他の基板は表13に示す条件で
実施例3と同様にpin型半導体層、In23透明電
極、集電電極を形成し光起電力素子を作製した(実−
4)。
【0227】
【表13】 (比較例4−1)本例では、反射層を堆積する際に、堆
積膜厚を3000nmとした点が実施例4と異なる。
【0228】他の点は実施例4と同じ条件で、サンプル
(サンプル比4−1)、(サンプル比4−4)及び光起
電力素子(比4−1)を作製した。
【0229】(比較例4−2)本例では、反射層を堆積
する際に、基板温度を300℃とした点が実施例4と異
なる。
【0230】他の点は実施例4と同じ条件で、サンプル
(サンプル比4−2)、(サンプル比4−5)及び光起
電力素子(比4−2)を作製した。
【0231】(比較例4−3)本例では、基板の表面処
理を行う際に、酸処理による処理時間を100分とした
点が実施例4と異なる。
【0232】他の点は実施例4と同じ条件で、サンプル
(サンプル比4−3)、(サンプル比4−6)及び光起
電力素子(比4−3)を作製した。
【0233】以下では、実施例3と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実4−1)、(サンプ
ル比4−1)、(サンプル比4−2)、(サンプル比4
−3)について評価した結果について述べる。それぞれ
表面形状観察を行い、結晶粒径、基板表面の粗さ(Rma
x)からRmaxの差(Rmax(差))を求め、基板断面の
概略形(概略形表面形状(基)と記す)を調べた。ま
た、それぞれのサンプルについて電子顕微鏡で基板表面
上を観察したものと全く同じ場所について、透明導電層
を形成した後の基板断面の概略形(概略形表面形状
(透)と記す)を観察した。
【0234】これらの結果を表14に示した。
【0235】
【表14】 実施例1と同様に(サンプル実4−1)では表14のよ
うに表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に
分かれており、透明導電層の形状はエッチング処理を行
った基板表面の段差をそのまま反映し、凸凹を有する部
分と平坦な部分のRmaxの差を受け継いでいるのに対
し、(サンプル比4−1)、(サンプル比4−2)では
基板は結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に分か
れているものの透明導電層にその形状は反映されておら
ず、(サンプル比4−3)においては全体的にピラミッ
ド型の凸凹構造となっておりRmaxも差がないものとな
った。
【0236】また、実施例3と同様に透明導電層まで作
製したサンプル、すなわち(サンプル実4−1)、(サ
ンプル比4−4)、(サンプル比4−5)、(サンプル
比4−6)について、表面形状観察を行い、ZnO結晶
粒径および全反射率及び乱反射率を求めた。
【0237】これらの結果を表15に示した。
【0238】
【表15】 実施例3と同様に(サンプル実4−2)では透明導電層
を形成するZnOの結晶粒径が大きく、全反射率/乱反
射率、共に優れているのに対し、(サンプル比4−4)
では結晶粒径が小さく乱反射率が低く、(サンプル比4
−5)、(サンプル比4−6)においては全反射率/乱
反射率共に非常に低いものとなった。
【0239】以下では、実施例3と同様に、上述した実
施例4、比較例4−1、比較例4−2、及び比較例4−
3で作製した光起電力素子、すなわち(実−4)、(比
4−1)、(比4−2)及び(比4−3)について評価
した結果について述べる。まず、それぞれ5個づつ作製
し、更に25個づつのサブセルに分けた後、歩留りを調
べた。更に実施例3と同様に密着性試験、初期光電変換
効率(光起電力/入射光電力)、光劣化、高温高湿度逆
バイアス(HHRB)劣化、及び温湿度劣化の測定を行
なった。
【0240】これらの結果を表16に示した。
【0241】
【表16】 測定の結果、(実−4)に対して(比4−1)は歩留
り、密着性において低い値となった。また各劣化試験後
の光電変換変換効率も劣っているが、これらの差は主に
密着性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下
が原因である。(実−4)に対して(比4−2)、(比
4−3)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変
換効率が全て低い値となった。初期光電変換効率につい
ては、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(J
sc)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0242】以上のように本発明の光起電力素子(実−
4)は、従来の光起電力素子(比4−1)、(比4−
2)、(比4−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0243】(実施例5)本例では、基板表面のエッチ
ング処理としては酸処理法を、基板材料としてはSUS
430−BA板を用いて、図1の構成を有する光起電力
素子を作製した。
【0244】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0245】(1)実施例4と同様にUS430−BA
板上に、表17に示す酸を用いて基板表面のエッチング
処理を行った。
【0246】(2)エッチング処理を行った基板の一部
は評価し(サンプル実5−1)、その後実施例4と同様
に表17に示す条件でCu反射層の形成を行った。
【0247】(3)Cu反射層を作成した後、表17に
示す条件でZnO透明電極層を形成し、基板の一部は評
価用に残した(サンプル実5−2)。
【0248】(4)その他の基板は表17に示す条件で
実施例4と同様にpin型半導体層、In23透明電
極、集電電極を形成し光起電力素子を作成した(実−
5)。
【0249】光起電力素子の一部はサンプル評価用に残
した。
【0250】
【表17】 (比較例5−1)本例では、反射層を堆積する際に、堆
積膜厚を2000nmとした点が実施例5と異なる。
【0251】他の点は実施例5と同じ条件で、サンプル
(サンプル比5−1)、(サンプル比5−4)、及び光
起電力素子(比5−1)を作製した。
【0252】(比較例5−2)本例では、反射層を堆積
する際に、基板温度を350℃とした点が実施例5と異
なる。
【0253】他の点は実施例5と同じ条件で、サンプル
(サンプル比5−2)、(サンプル比5−5)及び光起
電力素子(比5−2)を作製した。
【0254】(比較例5−3)本例では、透明導電層を
堆積する際に、堆積膜厚を10μmとした点が実施例5
と異なる。
【0255】他の点は実施例5と同じ条件で、サンプル
(サンプル比5−3)、(サンプル比5−6)及び光起
電力素子(比5−2)を作製した。
【0256】以下では、実施例4と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実5−1)、(サンプ
ル比5−1)、(サンプル比5−2)、(サンプル比5
−3)について評価した結果について述べる。それぞれ
表面形状観察を行い、結晶粒径、基板表面の粗さ(Rma
x)からRmaxの差(Rmax(差))を求め、基板断面の
概略形(概略形表面形状(基)と記す)を調べた。ま
た、それぞれのサンプルについて電子顕微鏡で基板表面
上を観察したものと全く同じ場所について、光起電力素
子を形成した後の基板断面の概略形(概略形表面形状
(素)と記す)を観察した。
【0257】これらの結果を表18に示した。
【0258】
【表18】 実施例1と同様に(サンプル実5−1)では表18のよ
うに表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に
分かれており、光起電力素子上の形状はエッチング処理
を行った基板表面の段差をそのまま反映し、半導体層表
面は凸凹を有する部分と平坦な部分のRmaxの差を受け
継いでいるのに対し、(サンプル比5−1)、(サンプ
ル比5−2)、(サンプル比5−3)では全て光起電力
素子に基板の表面形状は反映されておらず、(サンプル
比5−1)では光起電力素子表面形状は比較的平坦であ
りRmax(差)も小さく、(サンプル比5−2)、(サ
ンプル比5−3)においてはピラミッド型の凸凹構造で
Rmax(差)も小さいものとなった。
【0259】また、実施例4と同様に透明導電層まで作
製したサンプル、すなわち(サンプル実5−1)、(サ
ンプル比5−4)、(サンプル比5−5)、(サンプル
比5−6)について、表面形状観察を行い、ZnO結晶
粒径および全反射率及び乱反射率を求めた。
【0260】これらの結果を表19に示した。
【0261】
【表19】 実施例4と同様に(サンプル実5−2)では透明導電層
を形成するZnOの結晶粒径が大きく、全反射率/乱反
射率、共に優れているのに対し、(サンプル比5−4)
では結晶粒径が小さく(サンプル比5−5)、(サンプ
ル比5−6)においては全反射率/乱反射率共に非常に
低いものとなった。
【0262】以下では、実施例4と同様に、上述した実
施例5、比較例5−1、比較例5−2、及び比較例5−
3で作製した光起電力素子、すなわち(実−5)、(比
5−1)、(比5−2)及び(比5−3)について評価
した結果について述べる。まず、それぞれ5個づつ作製
し、更に25個づつのサブセルに分けた後、歩留りを調
べた。更に実施例4と同様に密着性試験、初期光電変換
効率(光起電力/入射光電力)、光劣化、高温高湿度逆
バイアス(HHRB)劣化、及び温湿度劣化の測定を行
なった。
【0263】これらの結果を表20に示した。
【0264】
【表20】 測定の結果、(実−5)に対して(比5−1)、(比5
−3)は歩留り、密着性において低い値となった。また
各劣化試験後の光電変換変換効率も劣っているが、これ
らの差は主に密着性に起因するシリーズ抵抗の低下によ
るFFの低下が原因である。(実−5)に対して(比5
−2)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変換
効率が全て低い値となった。初期光電変換効率について
は、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(Js
c)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0265】以上のように本発明の光起電力素子(実−
5)は、従来の光起電力素子(比5−1)、(比5−
2)、(比5−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0266】(実施例6)本例では、図7のロール・ツ
ー・ロール法を用いた堆積装置を使用して、図2のpi
npinpin型の太陽電池を作製した。
【0267】基板は長さ100m、幅30cm、厚さ
0.15mmの帯状SUS430BAシートを用いた。
SUS430BAシートは真空容器(不図示)中の送り
ボビン(不図示)に巻き、一方の端を接続した巻き取り
ボビンを回転させSUS430BAシートを送り込みな
がらArプラズマによるRFプラズマエッチングを行っ
た。
【0268】エッチングを行った基板については一部を
評価し(サンプル実6−1)、断面形状を調べた(概略
表面形状(基)と記す)。その後ロール・ツー・ロール
法により表21に示す条件でAlSi反射層およびZn
O透明電極層を形成し、基板の一部は評価用に残し(サ
ンプル実6−2)、断面形状を調べた(概略表面形状
(反)と記す)。その他の基板はロール・ツー・ロール
法によるCVD装置により表21に示す条件で光起電力
素子を作製した(実−6)。
【0269】以下では、図7の堆積装置について説明す
る。
【0270】図7(a)は、ロール・ツー・ロール法を
用いた光起電力素子の連続形成装置の概略図である。こ
の装置は基板送り出し室729と、複数の堆積室701
〜713と、基板巻き取り室730を順次配置し、それ
らの間を分離通路714で接続してなり、各堆積室には
排気口があり、内部を真空にすることができる。
【0271】帯状の基板740はこれらの堆積室、分離
通路を通って、基板送り出し室から基板巻き取り室に巻
き取られていく。同時に各堆積室、分離通路のガス入り
口からガスを導入し、それぞれの排気口からガスを排気
し、それぞれの層を形成することができるようになって
いる。各堆積室には基板を裏から加熱するハロゲンラン
プヒーター718が内部に設置され、各堆積室で所定の
温度に加熱される。
【0272】図7(b)は、堆積室701〜713を上
から見た図で、各堆積室には原料ガスの入り口715と
排気口716があり、RF電極717あるいはマイクロ
波アプリケーター718が取り付けられ、原料ガスの入
り口715には原料ガス供給装置(不図示)が接続され
ている。各堆積室の排気口には油拡散ポンプ、メカニカ
ルブースターポンプなどの真空排気ポンプ(不図示)が
接続され、堆積室に接続された分離通路714には掃気
ガスを流入させる入り口719があり、図のような掃気
ガスを導入する。
【0273】MW−i層の堆積室である堆積室703と
707には、バイアス電極720が配置されており、電
源としてRF電源(不図示)が接続されている。基板送
り出し室には送り出しロール721と基板に適度の張力
を与え、常に水平に保つためのガイドローラー722が
あり、基板巻き取り室には巻き取りロール723とガイ
ドローラー724がある。
【0274】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0275】(1)まず、前記のSUS430BAシー
トを送り出しロール721に巻き付け(平均曲率半径3
0cm)、基板送り出し室729にセットし、各堆積室
内を通過させた後に基板の端を基板巻き取りロール72
3に巻き付けた。
【0276】(2)装置全体を真空排気ポンプで真空排
気し、各堆積室のランプヒーターを点灯させ、各堆積室
内の基板温度が所定の温度になるように設定した。
【0277】(3)装置全体の圧力が1mTorr以下
になったら掃気ガスの入り口719から図7(a)示す
ような掃気ガスを流入させ、基板を図の矢印の方向に移
動させながら、巻き取りロールで巻き取った。
【0278】(4)各堆積室にそれぞれの原料ガスを流
入させた。この際、各堆積室に流入させる原料ガスが他
の堆積室に拡散しないように各分離通路に流入させるガ
スの流量、あるいは各堆積室の圧力を調整した。
【0279】(5)次にRF電力、またはMW電力およ
びRFバイアス電力を導入してプラズマを生起し、表2
1に示す条件で第1のpin接合として堆積室701で
n1層、堆積室702、703、704でi1層、堆積
室705でp1層を堆積し、第2のpin接合として堆
積室706でn2層、堆積室707、708、709で
i2層、堆積室710でp2層を堆積し、第3のpin
接合として堆積室711でn3層、堆積室712でi3
層、堆積室713でp3層を堆積し3層のpin接合か
らなる光起電力素子を形成した。
【0280】(6)基板の巻き取り終わったところで、
すべてのMW電源、RF電源、プラズマを消滅させ、原
料ガス、掃気ガスの流入を止めた。装置全体をリーク
し、巻き取りロールを取りだした。
【0281】(7)次に反応性スパッタリング装置を用
いて表21に示す条件で透明電極213を3層のpin
接合上に作製した。
【0282】(8)次にスクリーン印刷法で層厚5μ
m、線幅0.5mmのカーボンペーストを印刷し、その
上に層厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷
し、集電電極を形成し、ロール状の太陽電池を250m
m×100mmの大きさに切断した。
【0283】以上でロール・ツー・ロール法を用いたn
ipnipnip型太陽電池(実−6)の作製を終え
た。
【0284】
【表21】 (比較例6−1)本例では、基板の表面処理を行う際
に、RFスパッタリングによる処理時間を15秒とした
点が実施例6と異なる。
【0285】他の点は実施例6と同じ条件で、サンプル
(サンプル比6−1)、(サンプル比6−4)及び光起
電力素子(比6−1)を作製した。
【0286】(比較例6−2)本例では、基板の表面処
理を行う際に、基板温度を300℃とした点が実施例6
と異なる。
【0287】他の点は実施例6と同じ条件で、サンプル
(サンプル比6−2)、(サンプル比6−5)及び光起
電力素子(比6−2)を作製した。
【0288】(比較例6−3)本例では、基板の表面処
理を行う際に、RFスパッタリングによる処理時間を1
00分とした点が実施例6と異なる。
【0289】他の点は実施例6と同じ条件で、サンプル
(サンプル比6−3)、(サンプル比6−6)及び光起
電力素子(比6−3)を作製した。
【0290】以下では、実施例1と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実6−1)、(サンプ
ル比6−1)、(サンプル比6−2)、(サンプル比6
−3)について評価した結果について述べる。それぞれ
表面形状観察を行い、結晶粒径、基板表面の粗さ(Rma
x)からRmaxの差(Rmax(差))を求め、基板断面の
概略形(概略形表面形状(基)と記す)を調べた。
【0291】これらの結果を表22に示した。
【0292】
【表22】 実施例1と同様に(サンプル実6−2)では表22のよ
うに表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に
分かれており、凸凹を有する部分と平坦な部分のRmax
には差があるのに対し、(サンプル比6−1)では全体
的に結晶粒は平坦でありRmaxに差はなく、(サンプル
比6−2)、(サンプル比6−3)においては全体的に
ピラミッド型の凸凹構造となっておりRmaxも差がない
ものとなった。
【0293】また、実施例1と同様に透明導電層まで作
製した基板、すなわち(サンプル実6−2)、(サンプ
ル比6−4)、(サンプル比6−5)、(サンプル比6
−6)については、それぞれ表面形状観察を行い、Zn
O結晶粒径を調べ積分球を備えた分光光度計を用いてそ
れぞれの全反射率及び乱反射率を求めた。
【0294】これらの結果を表23に示した。
【0295】
【表23】 実施例1と同様に(サンプル実−6)では表23のよう
に透明導電層を形成するZnOの結晶粒径が大きく、全
反射率/乱反射率、共に優れているのに対し、(サンプ
ル比6−4)では結晶粒径が小さく乱反射率が低く、
(サンプル比6−5)、(サンプル比6−6)において
は全反射率/乱反射率共に非常に低いものとなった。
【0296】以下では、実施例5と同様に、上述した実
施例6、比較例6−1、比較例6−2、及び比較例6−
3で作製した光起電力素子、すなわち(実−6)、(比
6−1)、(比6−2)及び(比6−3)について評価
した結果について述べる。まず、それぞれ5個づつ作製
し、暗所で−1.0Vの逆バイアス電圧をかけた状態で
シャント抵抗を測定した。シャント抵抗の基準値を4×
104Ωcm2とし、歩留りを調べた。更に実施例1と同
様に密着性試験、初期光電変換効率(光起電力/入射光
電力)、光劣化、高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣
化、及び温湿度劣化の測定を行なった。
【0297】これらの結果を表24に示した。
【0298】
【表24】 測定の結果、(実−6)に対して(比6−1)は歩留
り、密着性において低い値となった。また各劣化試験後
の光電変換変換効率も劣っているが、これらの差は主に
密着性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下
が原因である。(実−6)に対して(比6−2)、(比
6−3)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変
換効率が全て低い値となった。初期光電変換効率につい
ては、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(J
sc)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0299】以上のように本発明の光起電力素子(実−
6)は、従来の光起電力素子(比6−1)、(比6−
2)、(比6−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0300】(実施例7)本例では、実施例1と同様
に、酸を用いて基板表面のエッチング処理を行い、基板
材料としてSUS304ミラー仕上げ板を用いた図1の
構成を有する光起電力素子を作製した。
【0301】実施例1と同様にSUS基板上に、表25
に示す酸を用いて基板表面のエッチング処理を行った。
エッチング処理を行った基板の一部は評価し(サンプル
実7−1)、その後実施例1と同様に表25に示す条件
でAlAg合金反射層の形成を行った。AlAg合金反
射層を作成した後、表25に示す条件でZnO透明電極
層を形成し、基板の一部は評価用に残した(サンプル実
7−2)。その他の基板は表25に示す条件でpin型
半導体層、In23透明電極、集電電極を形成し光起電
力素子を作製した(実−7)。
【0302】次にZnO薄膜層上に多室分離型の堆積装
置(不図示)でa−Siからなるn層及びμc−Siか
らなるp層、poly−Siからなるi層を順次形成し
た。
【0303】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0304】(1)まず、実施例1と同様の装置でZn
O薄膜層上にa−Siからなるn層を堆積した。
【0305】(2)次に、二重管(不図示)を用いたH
RCVD法による堆積装置(不図示)を用いて、表25
に示す条件でpoly−Siからなるi層を堆積した。
【0306】(3)そして更に実施例1と同様の装置を
用いてμc−Siからなるp層を堆積した。
【0307】(4)その後、実施例1と同様に表25に
示す条件でIn23透明電極、集電電極を形成し光起電
力素子を作成した(実−7)。
【0308】
【表25】 (比較例7−1)本例では、基板の表面処理を行う際
に、酸による処理時間を15秒とした点が実施例7と異
なる。
【0309】他の点は実施例7と同じ条件で、サンプル
(サンプル比7−1)、(サンプル比7−4)及び光起
電力素子(比7−1)を作製した。
【0310】(比較例7−2)本例では、基板の表面処
理を行う際に、酸溶液温度を85℃とした点が実施例7
と異なる。
【0311】他の点は実施例7と同じ条件で、サンプル
(サンプル比7−2)、(サンプル比7−5)及び光起
電力素子(比7−2)を作製した。
【0312】(比較例7−3)本例では、基板の表面処
理を行う際に、酸による処理時間を100分とした点が
実施例7と異なる。
【0313】他の点は実施例7と同じ条件で、サンプル
(サンプル比7−3)、(サンプル比7−6)及び光起
電力素子(比7−3)を作製した。
【0314】以下では、実施例1と同様に表面処理まで
行った基板、すなわち(サンプル実7−1)、(サンプ
ル比7−1)、(サンプル比7−2)、(サンプル比7
−3)について評価した結果について述べる。それぞれ
表面形状観察を行い、結晶粒径、基板表面の粗さ(最大
ピークトウピーク値、以下「Rmax」)からRmaxの差
(Rmax(差)と記す)を求め、基板断面の概略形を調
べた。
【0315】これらの結果を表26に示した。
【0316】
【表26】 実施例1と同様に(サンプル実7−2)では表26のよ
うに表面が結晶粒毎に凸凹を有する部分と平坦な部分に
分かれており、凸凹を有する部分と平坦な部分のRmax
には差があるのに対し、(サンプル比7−1)では全体
的に結晶粒は平坦でありRmaxに差はなく、(サンプル
比7−2)、(サンプル比7−3)においては全体的に
ピラミッド型の凸凹構造となっておりRmaxも差がない
ものとなった。
【0317】また、実施例1と同様に透明導電層まで作
製した基板、すなわち(サンプル実7−2)、(サンプ
ル比7−4)、(サンプル比7−5)、(サンプル比7
−6)については、それぞれ表面形状観察を行い、Zn
O結晶粒径を調べ積分球を備えた分光光度計を用いてそ
れぞれの全反射率及び乱反射率を求めた。
【0318】これらの結果を表27に示した。
【0319】
【表27】 実施例1と同様に(サンプル実7−2)では表27のよ
うに透明導電層を形成するZnOの結晶粒径が大きく、
全反射率/乱反射率、共に優れているのに対し、(サン
プル比7−4)では結晶粒径が小さく乱反射率が低く、
(サンプル比7−5)、(サンプル比7−6)において
は全反射率/乱反射率共に非常に低いものとなった。
【0320】以下では、実施例5と同様に、上述した実
施例7、比較例7−1、比較例7−2、及び比較例7−
3で作製した光起電力素子、すなわち(実−7)、(比
7−1)、(比7−2)及び(比7−3)について評価
した結果について述べる。まず、それぞれ5個づつ作製
し、更に25個づつのサブセルに分けた後、暗所で−
1.0Vの逆バイアス電圧をかけた状態でシャント抵抗
を測定した。シャント抵抗の基準値を4×104Ωcm2
とし、歩留りを調べた。更に実施例1と同様に密着性試
験、初期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、光劣
化、高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化、及び温湿
度劣化の測定を行なった。
【0321】これらの結果を表28に示した。
【0322】
【表28】 測定の結果、(実−7)に対して(比7−1)は歩留
り、密着性において低い値となった。また各劣化試験後
の光電変換変換効率も劣っているが、これらの差は主に
密着性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下
が原因である。(実−7)に対して(比7−2)、(比
7−3)は、初期光電変換効率、及び各劣化後の光電変
換効率が全て低い値となった。初期光電変換効率につい
ては、全反射率及び乱反射率の低下により短絡電流(J
sc)が減少したためであり、各劣化後の光電変換効率に
ついては主に開放電圧(Voc)の低下によるものであっ
た。
【0323】以上のように本発明の光起電力素子(実−
7)は、従来の光起電力素子(比7−1)、(比7−
2)、(比7−3)よりも優れた特性を有することが分
かった。
【0324】(実施例8)本例では、多結晶基板の多結
晶平均粒径と、Rmax(差)との関係を調べた。実施例
1と同様に、酸を用いて基板表面のエッチング処理を行
い、基板材料としてSUS430−BA、SUS430
−2B、SUS430−2D、SUS304ミラー仕上
げ板を用い、図1の構成を有する光起電力素子を作製し
た。
【0325】実施例1と同様にSUS基板上に、表29
に示す酸を用いて基板表面のエッチング処理を行った。
エッチング処理を行った基板の一部は評価し(サンプル
実8−1〜81)、その後実施例1と同様に表29に示
す条件でAgAl合金反射層の形成を行った。AgAl
合金反射層を作成した後、表29に示す条件でZnO透
明電極層を形成し、基板の一部は評価用に残し(サンプ
ル実8−1〜81)、その他の基板は表29に示す条件
で実施例1と全く同様にpin型半導体層、In23
明電極、集電電極を形成し光起電力素子を作成した(実
−1〜81)。
【0326】
【表29】 実施例1と同様に表面処理まで行った基板、すなわち
(サンプル実8−1〜81)については表面形状観察を
行い、結晶粒径、基板表面の粗さ(Rmax)の差(Rmax
(差))及び基板断面の概略形を調べた。
【0327】これらの結果を表30に示した。
【0328】
【表30】 表30から、結晶粒径は0.05μm〜3200μ、表
面粗さの差(Rmax(差))は0〜8.2μmの範囲に
あることが分かった。
【0329】実施例1と同様に透明導電層まで作製した
基板(サンプル実8−1〜81)については、それぞれ
表面形状観察を行い、ZnO結晶粒径を調べ全反射率及
び乱反射率を求めた。その結果、結晶粒径はRmax
(差)が0.01μm以上であれば良好な大きさに成長
することがわかった。一方全反射率及び乱反射率は、R
max(差)が0.01μmより小さければ乱反射率が低
く、1.50μmより大きくなると全反射率が落ちてき
てしまう結果となった。
【0330】好適なエッチング条件(サンプル実8−2
1〜24、30〜33、39〜42、48〜51)であ
ればZnOの結晶粒径が大きく、全反射率/乱反射率、
共に優れていることが分かった。
【0331】実施例1と同様に、光起電力素子(実8−
1〜81)については、それぞれ5個づつ作製し、更に
25個づつのサブセルに分けた後、歩留りを調べ、更に
密着性試験、高温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化、
及び温湿度劣化の各試験を行なった。
【0332】これらの結果を表31〜34に示した。
【0333】
【表31】
【0334】
【表32】
【0335】
【表33】
【0336】
【表34】 測定の結果、(実8−21〜24、30〜33、39〜
42、48〜51)に対してその他のものは歩留り、密
着性において低い値となった。また各結晶粒径が0.1
μmより小さいものまたはRmax(差)が0.01μm
より小さいものについては、劣化試験後の光電変換変換
効率も劣っているが、これらは主に密着性に起因するシ
リーズ抵抗の低下によるFFの低下が原因である。ま
た、結晶粒径が3000μmより大さいものまたはRma
x(基)が1.50μmより大きいものについては、各
劣化後の光電変換効率が全て低い値となったがこれは主
に開放電圧(Voc)の低下によるものであった。
【0337】以上のように、本発明の多結晶基板の多結
晶平均粒径が0.1μm〜2mmで、Rmax(差)が
0.01μm〜1.5μmである光起電力素子は、優れ
た特性を有することが分かった。
【0338】(実施例9)本例では、多結晶基板の段差
について調べた。実施例8と同様に、酸を用いて基板表
面のエッチング処理を行い、基板材料としてSUS43
0−BA、SUS430−2B、SUS430−2D、
SUS304ミラー仕上げ板を用いた図1の構成を有す
る光起電力素子を作製した。
【0339】実施例8と同様にSUS基板上に、表35
に示す酸を用いて基板表面のエッチング処理を行った。
エッチング処理を行った基板の一部は評価し、その後実
施例8と同様に表35に示す条件でAl反射層の形成を
行った。Al反射層を作成した後、表35に示す条件で
ZnO透明電極層を形成した後、表35に示す条件で実
施例8と全く同様にpin型半導体層、In23透明電
極、集電電極を形成し光起電力素子を作製した。
【0340】
【表35】 実施例8と同様に表面処理まで行った基板については表
面形状観察を行い、結晶粒径が6.0μm、Rmax
(差)が0.2μmである基板を選んだ後、Rmaxの分
布を調べた。
【0341】その結果、Rmaxは0.005〜3.5μ
mの範囲にあることが分かった。
【0342】これらの基板は実施例8と同様に、光起電
力素子まで作製し、歩留りを調べ、更に密着性試験、高
温高湿度逆バイアス(HHRB)劣化、及び温湿度劣化
の各試験を行なった。
【0343】これらの結果を表36〜39に示した。
【0344】
【表36】
【0345】
【表37】
【0346】
【表38】
【0347】
【表39】 測定の結果、Rmaxが0.01〜2.00μmであるも
のは全ての試験に対して良好な結果を示したが、Rmax
が0.01μm以下のものは歩留り、密着性試験後の光
電変換効率において低い値となった。これらは主に密着
性に起因するシリーズ抵抗の低下によるFFの低下が原
因である。Rmaxが2.00μmよりも大きいものは、
歩留り、密着性においてそれほど悪い値ではないもの
の、他の劣化試験後の光電変換変換効率は大幅に劣って
いる。これらについては、主に開放電圧(Voc)の低下
によるものであった。
【0348】以上のように本発明の多結晶基板の段差が
0.01μm〜2μmである光起電力素子は、優れた特
性を有することが分かった。
【0349】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、多結晶質の材
料を基板に用い、その上に非単結晶半導体を形成した光
起電力素子に於て、多結晶質の基板表面に露出した多結
晶の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、表面に凹
凸の形成された多結晶粒と表面が平坦な多結晶粒が混在
する基板を用いることによって、以下のような効果があ
る。
【0350】まず、表面が平坦な従来の多結晶質の基板
を用いた場合に比べて、多結晶質の基板上に積層する薄
膜と多結晶質の基板との密着性が向上し、光起電力素子
の製造工程において、前記薄膜と多結晶質の基板との間
で剥離することがなくなり、製造工程の制御性と自由度
が向上すると同時に、光起電力素子の製造の歩留まりが
向上した。また、高温高湿サイクルテスト、塩水試験等
の耐候性加速試験の結果、耐候性が向上した。さらに、
スクラッチテスト、曲げ試験等の機械的強度の試験の結
果、耐久性が向上した。また、多結晶質の基板表面の凹
凸によって、光起電力素子の裏面における乱反射が増大
して、半導体層で吸収しきれなかった長波長光が散乱さ
れて半導体層内での光路長が延び、光起電力素子の短絡
電流(Jsc)が増大して、光電変換効率が向上した。ま
た、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少して、フィルフ
ァクター(FF)が向上し、光電変換効率が向上した。
また、表面に一様に凹凸を形成した従来の多結晶質の基
板を用いた場合に比べて、光起電力素子のリーク電流が
減少し、光起電力素子の製造の歩留まりが向上した。ま
た、光起電力素子の短絡電流(Jsc)を高い値に維持し
つつ、開放電圧(Voc)とフィルファクター(FF)が
向上して、光電変換効率が向上した。
【0351】さらに、多結晶質の基板上に積層する薄膜
も、多結晶質である場合、多結晶質の基板上に積層する
薄膜の配向性が向上し、薄膜の多結晶の平均粒径が増大
し、薄膜の多結晶の粒径のばらつきが小さくなった。そ
の結果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィル
ファクター(FF)が向上すると同時に、光の散乱がさ
らに促進されて、短絡電流(Jsc)が増大した。
【0352】また請求項2の発明によれば、請求項1の
特徴を有する多結晶質の基板の上に、裏面金属反射層を
形成し、その上に透明導電層を形成し、その上に非単結
晶半導体を形成したことによって、光起電力素子の裏面
の反射率が向上することと、請求項1の特徴を有する多
結晶質の基板によって乱反射が向上することとの相乗効
果によって、半導体層内の光路長が延びて、光吸収が増
大し、光起電力素子の短絡電流(Jsc)がさらに増大
し、光電変換効率がさらに向上した。なおかつ、裏面金
属反射層と多結晶質の基板との密着性が向上することに
よって、光起電力素子の製造工程の自由度と制御性が向
上し、製造の歩留まりが向上し、光起電力素子の耐候
性、耐久性が向上した。また、透明導電層が適度な抵抗
値を持つことで、半導体層の欠陥領域中を流れる電流が
減少することによって、光起電力素子がシャントするこ
とが少なくなり、製造の歩留まりが向上した。さらに、
多結晶質の基板が請求項1の特徴を有することによっ
て、裏面金属反射層と透明導電層の配向性が向上し、裏
面金属反射層の多結晶の平均粒径が増大し、粒径のばら
つきが小さくなった。その結果、光起電力素子のシリー
ズ抵抗が減少し、フィルファクター(FF)が向上する
と同時に、光の散乱がさらに促進されて、短絡電流(J
sc)が増大した。
【0353】また請求項3の発明によれば、前記多結晶
質の基板の上に形成した裏面金属反射層の表面も、基板
の多結晶粒界に応じて平坦性に差があることによって、
裏面金属反射層と透明導電層の密着性が向上し、光起電
力素子の製造工程の自由度と制御性がさらに向上し、製
造の歩留まりがさらに向上し、光起電力素子の耐候性、
耐久性がさらに向上した。また、裏面金属反射層の表面
も、基板の多結晶粒界に応じて平坦性に差があることに
よって、透明導電層の配向性がさらに向上し、透明導電
層の多結晶の平均粒径が増大し、粒径のばらつきが小さ
くなった。その結果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減
少し、フィルファクター(FF)が向上すると同時に、
裏面金属反射層と透明導電層の界面および透明導電層と
半導体層の界面での光の散乱がさらに促進されて、短絡
電流(Jsc)がさらに増大した。
【0354】また請求項4の発明によれば、前記裏面金
属反射層の上に形成した透明導電層の表面も、基板の多
結晶粒界に応じて平坦性に差があることによって、透明
導電層と半導体層の密着性が向上し、光起電力素子の製
造工程の自由度と制御性がさらに向上し、製造の歩留ま
りがさらに向上し、光起電力素子の耐候性、耐久性がさ
らに向上した。また、透明導電層の表面も、基板の多結
晶粒界に応じて平坦性に差があることによって、透明導
電層と半導体層の界面での光の散乱が促進されて、短絡
電流(Jsc)がさらに増大した。
【0355】また請求項5の発明によれば、光起電力素
子の表面も基板の多結晶粒界に応じて平坦性に差がある
ことによって、光起電力素子の光入射側、特に半導体層
と上部の透明電極の界面での光の散乱が促進されて、半
導体層の光入射側と裏面側の両方で光が散乱されること
になり、半導体層内の光路長がさらに延びて、光吸収が
増大し、短絡電流(Jsc)がさらに増大した。
【0356】また請求項6の発明によれば、前記多結晶
質の基板表面に、多結晶の粒界に沿って段差を設ける
か、あるいは、多結晶の粒界の部分に隆起あるいは凹み
を設けることによって、多結晶質の基板上に積層する薄
膜と多結晶質の基板との密着性がさらに向上し、光起電
力素子の製造工程の自由度と制御性がさらに向上し、製
造の歩留まりがさらに向上し、光起電力素子の耐候性、
耐久性がさらに向上した。また、多結晶質の基板表面の
結晶粒界における段差あるいは凹凸によって、光起電力
素子の裏面における乱反射が増大して、半導体層で吸収
しきれなかった長波長光が散乱されて半導体層内での光
路長が延び、光起電力素子の短絡電流(Jsc)がさらに
増大して、光電変換効率がさらに向上した。さらに、多
結晶質の基板上に積層する多結晶薄膜の配向性がさらに
向上し、薄膜の多結晶の平均粒径がさらに増大した。そ
の結果、光起電力素子のシリーズ抵抗が減少し、フィル
ファクター(FF)が向上すると同時に、光の散乱がさ
らに促進されて、短絡電流(Jsc)が増大した。
【0357】また請求項7の発明によれば、前記多結晶
質の基板の主たる材料が金属あるいは合金であることに
よって、多結晶粒界に応じて平坦性に差をつけること、
および多結晶の粒界に沿った段差あるいは多結晶の粒界
部分の凹凸を形成することが容易になった。また基板に
可撓性が生じ、光起電力素子の製造における加工の自由
度が向上した。また、多結晶質の基板と裏面金属反射層
がどちらも金属であるため、多結晶質の基板と裏面金属
反射層の密着性がさらに向上し、かつ裏面金属反射層の
配向性がさらに向上した。密着性の向上によって、基板
の加工性がさらに向上し、製造工程の自由度と制御性が
さらに向上した。
【0358】また請求項8の発明によれば、前記裏面金
属反射層の主たる材料に、金、銀、銅、アルミニウム、
マグネシウム等の可視から赤外光の反射率の高い金属を
含む材料を用いることによって、光起電力素子の裏面の
反射率がさらに向上し、半導体層の光吸収が増大して、
光起電力素子の短絡電流(Jsc)がさらに向上した。
【0359】また、多結晶質の基板表面に露出した多結
晶の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、表面に凹
凸の形成された多結晶粒と表面が平坦な多結晶粒が混在
する多結晶質の基板上に、上述の反射率の高い金属を積
層することによって、高い乱反射と高い短絡電流(Js
c)を維持しながらも、上述の反射率の高い金属が、半
導体層に拡散したり、マイグレーションを起こすことが
ほとんど無くなり、光起電力素子の製造の歩留まりが顕
著に向上した。また、光起電力素子のリーク電流が減少
し、開放電圧(Voc)とフィルファクター(FF)が向
上した。
【0360】また、多結晶質の基板表面に露出した多結
晶の個々の結晶粒の表面の平坦性に差があり、表面に凹
凸の形成された多結晶粒と表面が平坦な多結晶粒が混在
する多結晶質の基板上に、アルミニウムを積層すること
によって、裏面で光を散乱させつつ、透明導電層を積層
した場合も含めてアルミニウム表面の全反射率が低下し
てしまうことがなくなり、アルミニウム表面の高い全反
射率によって半導体層の光吸収が向上し、光起電力素子
の短絡電流(Jsc)が向上した。また、基板とアルミニ
ウムの間の密着性も向上し、製造工程の自由度と制御性
が向上し、製造の歩留まりが向上し、光起電力素子の耐
候性、耐久性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光起電力素子の層構成の―例を示
す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係る光起電力素子の層構成の他の一例
を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る光起電力素子の基板の電子顕微鏡
写真の一例である。
【図4】本発明に係る光起電力素子の集電電極を示す模
式的な平面図である。
【図5】本発明に係る光起電力素子の基板を作製するの
に好適なスパッタリング装置を示す模式的な断面図であ
る。
【図6】本発明に係る光起電力素子を作製するのに好適
な堆積膜形成装置を示す模式的な断面図である。
【図7】本発明に係る光起電力素子を作製するのに好適
なロール・ツー・ロール式堆積膜形成装置を示す模式的
な断面図と平面図である。
【符号の説明】
101、201 基板、 102、202 裏面金属反射層、 103、203 透明導電層、 104、204、207、210 n型半導体層、 105、205、208、211 i型半導体層、 106、206、209、212 p型半導体層、 107、213 透明電極、 108、214 集電電極、 501 処理室、 502 基板、 503 ヒーター、 504、508 ターゲット、 506、510 電源、 507、511 シャッター、 512 圧力計、 513 コンダクタンスバルブ、 514、515 供給バルブ、 516、517 マスフローコントローラー、 600 堆積装置、 601 ロードロック室、 602、603、604 搬送室、 605 アンロード室、 606、607、608、609 ゲートバルブ、 610、611、612 基板加熱ヒーター、 613 基板搬送レール、 631〜634、641〜644、651〜655、6
61〜666、671〜674、681〜684 スト
ップバルブ、 636〜639、656〜660、676〜679 マ
スフローコントローラー、 617、618、619 堆積室、 620、621 電極、 622、623、624 RF電源、 628 バイアス電極、 649 ガス供給管、 650 シャッター、 701〜713 堆積室、 714 分離通路、 715 原料ガス入り口、 716 排気口、 717 RF電極、 718 マイクロ波アプリケーター、 719 掃気ガス入り口、 720 バイアス電極、 721 送り出しロール、 722、724 ガイドローラー、 723 巻き取りロール、 729 送り出し室、 730 巻き取り室。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多結晶質の材料からなる基板の上に、非
    単結晶半導体を形成した光起電力素子において、前記基
    板の表面に露出した多結晶の個々の結晶粒の表面の平坦
    性に差があり、凹凸の形成された表面を有する多結晶粒
    と平坦な表面を有する多結晶粒が混在する基板を用いた
    ことを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記基板の上に裏面金属反射層を形成
    し、前記裏面金属反射層の上に透明導電層を形成し、前
    記透明導電層の上に非単結晶半導体を形成したことを特
    徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記裏面金属反射層の表面が、前記基板
    の多結晶の粒界に応じて平坦性に差があることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記透明導電層の表面が、前記基板の多
    結晶の粒界に応じて平坦性に差があることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 前記光起電力素子の表面が、前記基板の
    多結晶の粒界に応じて平坦性に差があることを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  6. 【請求項6】 前記基板の表面に、前記多結晶の粒界に
    沿った段差、又は、前記多結晶の粒界部分に隆起若しく
    は凹みを設けることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れか1項に記載の光起電力素子。
  7. 【請求項7】 前記基板を構成する主たる材料が、金属
    又は合金であることを特徴とする請求項1乃至6のいず
    れか1項に記載の光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記裏面金属反射層を構成する主たる材
    料が、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム等の可
    視から赤外光の反射率の高い金属であることを特徴とす
    る請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  9. 【請求項9】 前記基板の表面に露出した多結晶の個々
    の結晶粒の表面の平坦性の差が、Rmaxの差で0.01
    μmから1.5μmであることを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記基板の多結晶の平均粒径が、0.
    1μmから2mmであることを特徴とする請求項1乃至
    9のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  11. 【請求項11】 前記基板表面において、前記多結晶の
    粒界に沿った段差、又は、前記多結晶の粒界部分の隆起
    若しくは凹みにおける高さ又は深さが、0.01μmか
    ら2μmであることを特徴とする請求項1乃至10のい
    ずれか1項に記載の光起電力素子。
JP8342726A 1996-12-06 1996-12-06 光起電力素子 Withdrawn JPH10173211A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010182969A (ja) * 2009-02-06 2010-08-19 Sanyo Electric Co Ltd 太陽電池のi−v特性の測定方法及び太陽電池
JP2010258279A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 Kyocera Corp 光電変換セルおよび光電変換モジュール

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