JPH11273155A - 記録媒体及び記録媒体製造用原盤 - Google Patents

記録媒体及び記録媒体製造用原盤

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JPH11273155A
JPH11273155A JP10075769A JP7576998A JPH11273155A JP H11273155 A JPH11273155 A JP H11273155A JP 10075769 A JP10075769 A JP 10075769A JP 7576998 A JP7576998 A JP 7576998A JP H11273155 A JPH11273155 A JP H11273155A
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JP
Japan
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groove
recording medium
exposure beam
photoresist
exposure
Prior art date
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Pending
Application number
JP10075769A
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English (en)
Inventor
Fusaaki Endo
惣銘 遠藤
Katsuhiko Otomo
勝彦 大友
Kyoko Tada
恭子 多田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウォブリンググルーブとストレートグルーブ
とが形成された記録媒体であって、狭トラック化を進め
ても十分に均一なレベルのプッシュプル信号を得ること
が可能な記録媒体を提供する。 【解決手段】 記録トラックに沿ってグルーブが形成さ
れてなる記録媒体において、上記グルーブとして、蛇行
するように形成された第1のグルーブと、蛇行すること
なく形成された第2のグルーブとを、2重螺旋を描くよ
うに形成する。このとき、上記第1のグルーブ及び上記
第2のグルーブの幅の変化量を±4.0%以内とする。
また、上記第1のグルーブ及び上記第2のグルーブの中
心位置ずれ量をトラックピッチの±1.89%以内とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録トラックに沿
ってグルーブが形成されてなる記録媒体に関する。ま
た、本発明は、そのような記録媒体を製造する際に使用
される記録媒体製造用原盤に関する。
【0002】
【従来の技術】記録媒体として、円盤状に形成されてな
り光学的に記録及び/又は再生が行われる光ディスクが
実用化されている。このような光ディスクには、コンパ
クトディスクやレーザディスク等のように、データに対
応したエンボスピットがディスク基板に予め形成されて
なる再生専用光ディスクや、ミニディスク等のように、
磁気光学効果を利用してデータの記録を行う光磁気ディ
スクや、DVD等のように、記録膜の相変化を利用して
データの記録を行う相変化型光ディスクなどがある(コ
ンパクトディスク,レーザディスク,ミニディスク,D
VDはいずれも商標)。
【0003】なお、光磁気ディスクや相変化型光ディス
クのように書き込みが可能な光ディスクでは、通常、記
録トラックに沿ったグルーブがディスク基板に形成され
る。ここで、グルーブとは、主にトラッキングサーボを
行えるようにするために、記録トラックに沿って形成さ
れた、いわゆる案内溝のことである。
【0004】以上のような光ディスクの製造工程は、エ
ンボスピットやグルーブ等の所望の凹凸パターンに応じ
た表面形状を有する記録媒体製造用原盤を作製する工程
(以下、原盤工程と称する。)と、当該記録媒体製造用
原盤の表面形状をディスク基板に転写する工程(以下、
転写工程と称する。)と、記録媒体製造用原盤の表面形
状が転写されてなるディスク基板上に記録膜や保護膜等
を形成し光ディスクとして製品化する工程(以下、成膜
工程と称する。)とに大別される。
【0005】これらの工程のうち、原盤工程において
は、通常、先ず、表面を研磨した円盤状のガラス基板を
洗浄し乾燥させ、その後、このガラス基板上に感光材料
であるフォトレジストを塗布する。次に、このフォトレ
ジストに対してレーザ光による露光を行うことによっ
て、エンボスピットやグルーブ等の所望の凹凸パターン
に対応した潜像を形成する。なお、このようにフォトレ
ジストをレーザ光によって露光して潜像を形成する装置
は、一般にレーザカッティング装置と呼ばれている。
【0006】その後、レーザ光による露光によって潜像
が形成されたフォトレジストに対して現像処理を施す。
これにより、ガラス基板上に所望の凹凸パターンが形成
される。そして、この凹凸パターン上に電鋳等によって
金属膜を形成し、その後、この金属膜を剥離する。これ
により、ガラス基板上に形成されていた凹凸パターンが
転写された金属膜からなる記録媒体製造用原盤が得られ
る。なお、このように作製された記録媒体製造用原盤
は、一般にスタンパと称されている。
【0007】ここで、フォトレジストを露光して潜像を
形成する際に使用されるレーザカッティング装置の一例
を図5に示す。
【0008】このレーザカッティング装置100は、ガ
ラス基板101の上に塗布形成されたフォトレジスト1
02を露光して潜像を形成するためのものである。この
レーザカッティング装置100でフォトレジスト102
に潜像を形成する際、フォトレジスト102が塗布形成
されたガラス基板101は、移動光学テーブル上に設け
られた回転駆動装置に取り付けられる。そして、フォト
レジスト102を露光する際、ガラス基板101は、フ
ォトレジスト102の全面にわたって所望のパターンで
の露光がなされるように、図中矢印A1に示すように回
転駆動装置によって回転駆動されるとともに、移動光学
テーブルによって平行移動される。
【0009】なお、このレーザカッティング装置100
は、2つの露光ビームによってフォトレジスト102を
露光することが可能となっている。したがって、このレ
ーザカッティング装置100は、例えば、一つのフォト
レジスト102に対して、グルーブに対応した潜像と、
エンボスピットに対応した潜像とを形成するような場合
に特に好適である。すなわち、このレーザカッティング
装置100では、一方の露光ビームによってグルーブに
対応した潜像を形成し、他方の露光ビームによってエン
ボスピットに対応した潜像を形成するようなことが可能
となっている。
【0010】そして、このレーザカッティング装置10
0は、S偏光のレーザ光を出射する光源103と、光源
103から出射されたレーザ光を二分割するビームスプ
リッタ104と、ビームスプリッタ104によって分割
されてなる一方のレーザ光を光強度変調するための第1
の変調光学系105と、ビームスプリッタ104によっ
て分割されてなる他方のレーザ光を光強度変調するため
の第2の変調光学系106と、ビームスプリッタ104
により二分割されたレーザ光を再合成してフォトレジス
ト102上に集光する光学系107とを備えている。
【0011】上記レーザカッティング装置100におい
て、光源103より出射されたS偏光のレーザ光は、先
ず、ビームスプリッタ104によって反射光と透過光と
に分けられ、反射光は第1の変調光学系105に導か
れ、透過光はミラー108で反射されて第2の変調光学
系106に導かれる。なお、これらの反射光及び透過光
は、それぞれフォトレジスト102を露光する露光ビー
ムとなるものであり、以下の説明では、ビームスプリッ
タ104によって反射された反射光のことを第1の露光
ビームと称し、ビームスプリッタ104を透過してきた
透過光のことを第2の露光ビームと称する。
【0012】そして、第1の変調光学系105に入射し
た第1の露光ビームは、集光レンズ109によって集光
された上で音響光学変調器(AOM:Acousto Optical
Modulator)110に入射し、この音響光学変調器11
0によって、所望する露光パターンに対応するように光
強度変調される。そして、音響光学変調器110によっ
て光強度変調された第1の露光ビームは、コリメートレ
ンズ111によって平行光とされた上で、第1の変調光
学系105から出射される。
【0013】一方、第2の変調光学系106に入射した
第2の露光ビームは、集光レンズに112よって集光さ
れた上で音響光学変調器113に入射し、この音響光学
変調器113によって、所望する露光パターンに対応す
るように光強度変調される。そして、音響光学変調器1
13によって光強度変調された第2の露光ビームは、コ
リメートレンズ114によって平行光とされるととも
に、λ/2波長板115を透過することにより偏光方向
が90°回転させられた上で、第2の変調光学系106
から出射される。
【0014】このとき、第1の変調光学系105から出
射された第1の露光ビームは、S偏光のままであるが、
第2の変調光学系106から出射された第2の露光ビー
ムは、λ/2波長板115を透過することにより偏光方
向が90°回転させられているので、P偏光となってい
る。
【0015】そして、第1の変調光学系105から出射
された第1の露光ビームは、ミラー116によって反射
されて、移動光学テーブル上に水平且つ平行に導かれ、
同様に、第2の変調光学系106から出射された第2の
露光ビームは、ミラー117によって反射されて、移動
光学テーブル上に水平且つ平行に導かれる。
【0016】そして、第1の変調光学系105から出射
され、移動光学テーブル上に水平且つ平行に導かれた第
1の露光ビームは、更にミラー118によって反射され
て進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッ
タ119に入射する。一方、第2の変調光学系106か
ら出射され、移動光学テーブル上に水平且つ平行に導か
れた第2の露光ビームは、そのまま偏光ビームスプリッ
タ119に入射する。
【0017】ここで、偏光ビームスプリッタ119は、
S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされてい
る。そして、第1の変調光学系105から出射された第
1の露光ビームはS偏光であり、第2の変調光学系10
6から出射された第2の露光ビームはP偏光である。し
たがって、第1の変調光学系105から出射されて偏光
ビームスプリッタに入射した第1の露光ビームは、当該
偏光ビームスプリッタ119によって反射され、また、
第2の変調光学系106から出射されて偏光ビームスプ
リッタ119に入射した第2の露光ビームは、当該偏光
ビームスプリッタ119を透過する。これにより、第1
の変調光学系105から出射された第1の露光ビーム
と、第2の変調光学系106から出射された第2の露光
ビームとは、進行方向が同一方向となるように再合成さ
れる。
【0018】そして、進行方向が同一方向となるように
再合成されて偏光ビームスプリッタ119から出射した
第1及び第2の露光ビームは、拡大レンズ120によっ
て所定のビーム径とされた上でミラー121によって反
射され対物レンズ122へと導かれ、当該対物レンズ1
22によってフォトレジスト102上に集光される。こ
れにより、フォトレジスト102が露光され、フォトレ
ジスト102に潜像が形成されることとなる。このと
き、フォトレジスト102が塗布形成されているガラス
基板101は、上述したように、フォトレジスト102
の全面にわたって所望のパターンでの露光がなされるよ
うに、図5中矢印A1に示すように回転駆動装置によっ
て回転駆動されるとともに、移動光学テーブルによって
平行移動される。
【0019】ところで、偏光ビームスプリッタ119に
入射した第1の露光ビームは、当該偏光ビームスプリッ
タ119の反射面にて、第2の露光ビームと合成され
る。このとき、偏光ビームスプリッタ119の反射面
は、当該反射面で合成されて出射される光の進行方向に
対して適度な反射角をなすように形成されてなる。これ
により、この偏光ビームスプリッタ119から出射され
た第1及び第2の露光ビームが対物レンズ122の結像
集光面(即ち、露光対象であるフォトレジスト102の
表面)に集光される際に、第1の露光ビームに対応する
スポットと、第2の露光ビームに対応するスポットと
が、異なる位置に形成される。
【0020】そして、偏光ビームスプリッタ119の反
射面の反射角は、例えば、第1の露光ビームに対応する
スポットと、第2の露光ビームに対応するスポットとの
ガラス基板101の半径方向における間隔が、トラック
ピッチの半分となるように設定しておく。このように設
定しておくことにより、グルーブとグルーブとの間にエ
ンボスピットを形成したいような場合に、第1の露光ビ
ームによりグルーブに対応する部分を露光し、第2の露
光ビームによりエンボスピットに対応する部分を露光す
ることが可能となる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録トラッ
クに沿ってグルーブが形成されてなる光ディスクにおい
て高記録密度化を図るために、蛇行するように形成され
た第1のグルーブと、蛇行することなく形成された第2
のグルーブとが2重螺旋を描くように形成された光ディ
スクが開発されている。
【0022】なお、以下の説明では、グルーブの蛇行の
ことをウォブリングと称し、ウォブリングするように形
成されたグルーブのことをウォブリンググルーブと称す
る。また、ウォブリンググルーブに対して、蛇行するこ
となく形成されたグルーブのことをストレートグルーブ
と称する。また、2重螺旋を描くように形成された2つ
のグルーブのことをまとめて、ダブルスパイラルグルー
ブと称する。
【0023】そして、グルーブをウォブリングさせた光
ディスクでは、グルーブをウォブリングさせることによ
りグルーブ自体にアドレス情報を含ませることが可能と
なり、高記録密度化を図ることが可能となる。
【0024】しかも、ダブルスパイラルグルーブにおい
て、一方のグルーブをストレートグルーブとして、他方
のグルーブをウォブリンググルーブとした場合には、両
方のグルーブをウォブリンググルーブにした場合に比べ
て、狭トラック化を図りやすいので、更なる高記録密度
化を実現できる。なお、一方のグルーブをストレートグ
ルーブにしたとしても、他方のグルーブがウォブリング
グルーブとなっていれば、記録トラックの一方の側面は
必ずウォブリングしていることとなるので、グルーブを
ウォブリングさせることによりグルーブ自体にアドレス
情報を含ませることが可能となるという利点を損なうこ
とはない。
【0025】しかしながら、ダブルスパイラルグルーブ
において狭トラック化を進めていくと、2つのグルーブ
幅の差や、2つのグルーブの中心位置ずれにより、トラ
ッキングサーボに使用するプッシュプル信号が不安定に
なってしまうという問題が生じる。
【0026】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、ダブルスパイラルグルーブが
形成された記録媒体として、狭トラック化を進めても十
分に均一なレベルのプッシュプル信号を得ることが可能
な記録媒体を提供することを目的としている。また、本
発明は、そのような記録媒体を製造することが可能な記
録媒体製造用原盤を提供することも目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明に係る記録媒体
は、記録トラックに沿ってグルーブが形成されてなる記
録媒体であって、上記グルーブとして、第1のグルーブ
と第2のグルーブとが2重螺旋を描くように形成されて
なる。そして、上記第1のグルーブ及び上記第2のグル
ーブの幅の変化量が±4.0%以内であることを特徴と
する。
【0028】なお、上記記録媒体において、上記第1及
び第2のグルーブのうちの少なくとも一方は、少なくと
も一部が蛇行するように形成されていることが好まし
い。
【0029】また、上記記録媒体において、上記第1の
グルーブと上記第2のグルーブとの中心位置の間隔が記
録トラックのトラックピッチに対応するように形成され
ている場合、上記第1のグルーブ及び上記第2のグルー
ブの中心位置ずれ量は、トラックピッチの±1.89%
以内であることが好ましい。
【0030】また、本発明に係る記録媒体製造用原盤
は、第1のグルーブと第2のグルーブとが2重螺旋を描
くように記録トラックに沿って形成されてなる記録媒体
を製造する際に使用される記録媒体製造用原盤である。
そして、本発明に係る記録媒体製造用原盤は、上記第1
のグルーブに対応するように記録トラックに沿って所定
の幅にて形成された凹凸パターンである第1のグルーブ
パターンと、上記第2のグルーブに対応するように記録
トラックに沿って所定の幅にて形成された凹凸パターン
である第2のグルーブパターンとを有し、上記第1のグ
ルーブパターン及び上記第2のグルーブパターンの幅の
変化量が±4.0%以内であることを特徴とする。
【0031】なお、上記記録媒体製造用原盤において、
上記第1及び第2のグルーブパターンのうちの少なくと
も一方は、少なくとも一部が蛇行するように形成されて
いることが好ましい。
【0032】また、上記記録媒体製造用原盤において、
上記第1のグルーブパターンと上記第2のグルーブパタ
ーンとの中心位置の間隔が記録トラックのトラックピッ
チに対応するように形成されている場合、上記第1のグ
ルーブパターン及び上記第2のグルーブパターンの中心
位置ずれ量は、トラックピッチの±1.89%以内であ
ることが好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ここで
は、MDData2(商標)の規格に準拠した光磁気ディス
クに対して、本発明を適用した場合を例に挙げて説明す
る。ただし、本発明は、記録トラックに沿ってグルーブ
が形成されてなる記録媒体に対して広く適用可能であ
り、MDData2(商標)の規格に準拠した光磁気ディス
ク以外の記録媒体に対しても適用可能である。なお、M
DData2は、ミニディスクの次世代の光磁気ディスクと
して開発が進められている光磁気ディスクである。
【0034】<光磁気ディスク>本発明の実施の形態と
して以下に説明する光磁気ディスクは、円盤状に形成さ
れてなり、磁気光学効果を利用してデータの記録が行わ
れる。そして、この光磁気ディスクは、ポリメチルメタ
クリレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)等
からなるディスク基板上に、光磁気記録がなされる記録
層と、当該記録層を保護する保護層とが形成されてな
る。ここで、記録層は、例えば、SiN等からなる誘電
体膜と、TeFeCo合金等からなる垂直磁気記録膜
と、SiN等からなる誘電体膜と、Al等からなる反射
膜とが積層されてなる。また、保護層は、例えば、記録
層の上に紫外線硬化樹脂がスピンコートされてなる。な
お、本発明において、記録層や保護層の構成は任意であ
り、本例に限定されるものではない。
【0035】この光磁気ディスクは、記録領域の一部を
拡大した図1に示すように、記録領域の一部が、TOC
(Table Of Contents)情報等がエンボスピット1によ
って予め書き込まれた再生専用の領域B1とされてお
り、その他の領域が、光磁気記録によるデータの書き込
みが可能な領域B2となっている。
【0036】なお、エンボスピット1によってTOC情
報等が書き込まれている領域B1は、再生専用のデータ
領域であり、以下の説明では、このデータ領域のことを
再生専用領域B1と称する。また、光磁気記録によるデ
ータの書き込みが可能となっている領域B2のことを、
以下の説明では、書き込み可能領域B2と称する。
【0037】この光磁気ディスクにおいて、再生専用領
域B1に形成されたエンボスピット1は、2−8変調が
施されてなるピットパターンが、シングルスパイラル状
に形成されている。すなわち、記録トラックに沿ってシ
ングルスパイラル状に形成されたピット列により、再生
専用領域B1にTOC情報等が書き込まれている。
【0038】一方、書き込み可能領域B2には、ウォブ
リンググルーブ2とストレートグルーブ3とがダブルス
パイラル状に形成されており、ウォブリンググルーブ2
とストレートグルーブ3との間のランドの部分に、光磁
気記録によるデータの記録が行われる。すなわち、図1
に示すように、ウォブリンググルーブ2とストレートグ
ルーブ3の間であって、ディスク内周側がストレートグ
ルーブ3となっている部分が、第1の記録トラックTrac
kAとなり、ウォブリンググルーブ2とストレートグル
ーブ3の間であって、ディスク内周側がウォブリンググ
ルーブ2となっている部分が、第2の記録トラックTrac
kBとなる。
【0039】ここで、ウォブリンググルーブ2は、±2
0nmの振幅にて一定の周期で蛇行するように形成され
ている。すなわち、この光磁気ディスクでは、一方のグ
ルーブ(すなわちウォブリンググルーブ2)を±20n
mの振幅にてウォブリングさせることにより、グルーブ
にアドレス情報を付加している。
【0040】また、この光磁気ディスクにおいて、再生
専用領域B1のトラックピッチTPitchは0.95μm
とされ、同様に、書き込み可能領域B2のトラックピッ
チTPitchは0.95μmとされている。ここで、再生
専用領域B1のトラックピッチTPitchは、隣接するピ
ット列の間隔に相当する。すなわち、この光磁気ディス
クにおいて、隣接するピット列の間隔は、0.95μm
とされている。また、書き込み可能領域B2のトラック
ピッチは、ウォブリンググルーブ2とストレートグルー
ブ3の中心位置の間隔に相当する。すなわち、この光磁
気ディスクにおいて、ウォブリンググルーブ2とストレ
ートグルーブ3の中心位置の間隔は、0.95μmとさ
れる。なお、以下の説明では、隣接するストレートグル
ーブ3の中心位置の間隔のことをトラックピリオドTPe
riodと称する。トラックピリオドTPeriodは、トラック
ピッチTPitchの2倍に相当するものであり、この光磁
気ディスクにおいてトラックピリオドTPeriodは、1.
90μmとされている。
【0041】また、この光磁気ディスクにおいて、再生
専用領域B1と書き込み可能領域B2との間の領域を遷
移領域B3と称する。そして、この光磁気ディスクで
は、再生専用領域B1と書き込み可能領域B2とのディ
スク半径方向における間隔、すなわち遷移領域B3の幅
t1を20μm以内とする。このように遷移領域B3の
幅t1を十分に小さくしておくことにより、記録再生時
に、記録再生位置が再生専用領域B1から書き込み可能
領域B2に遷移したり、或いは、記録再生位置が書き込
み可能領域B2から再生専用領域B1に遷移したりした
場合にも、記録トラックを見失うことなく、連続して記
録再生を安定に行うことが可能となる。
【0042】上記光磁気ディスクにおいて、ウォブリン
ググルーブ2とストレートグルーブ3は、それらの幅が
ほぼ等しく、且つ、グルーブ全体において常にほぼ一定
の幅となるように形成される。しかし、これらのグルー
ブ2,3の幅を完全に一定となるように形成することは
不可能であり、必ず若干の変動が生じる。そして、この
変動が大きいと、十分に均一なレベルのプッシュプル信
号を安定に得ることができなくなってしまう。
【0043】そこで、本発明を適用した光磁気ディスク
では、ウォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ
3の幅の変化量を±4.0%以内とする。なお、ウォブ
リンググルーブ2及びストレートグルーブ3の幅の変化
量が±4.0%以内であるということは、下記式(1)
及び(2)を満たしているということである。
【0044】 (Wmax−W1)/W1<+4.0% ・・・(1) (Wmin−W1)/W1>−4.0% ・・・(2) なお、W1は、ウォブリンググルーブ2及びストレート
グルーブ3の平均幅を示しており、Wmaxは、ウォブリ
ンググルーブ2及びストレートグルーブ3の一番広いと
ころでの幅を示しており、Wminは、ウォブリンググル
ーブ2及びストレートグルーブ3の一番狭いところでの
幅を示している。
【0045】ウォブリンググルーブ2及びストレートグ
ルーブ3の幅の変化量を±4.0%以内とすることによ
り、後述する実験結果からも分かるように、ウォブリン
ググルーブ2やストレートグルーブ3の幅に若干の変動
があったとしても、十分に均一なレベルのプッシュプル
信号を安定に得ることが可能となる。
【0046】また、上記光磁気ディスクにおいて、ウォ
ブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3は、それ
らの中心位置の間隔が記録トラックのトラックピッチT
Pitchに対応するように形成される。しかし、ウォブリ
ンググルーブ2とストレートグルーブ3の中心位置の間
隔がトラックピッチTPitchに完全に一致するように、
ウォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3を形
成することは不可能である。すなわち、ウォブリンググ
ルーブ2やストレートグルーブ3には、必ずそれらの中
心位置にずれが生じてしまい、ウォブリンググルーブ2
とストレートグルーブ3の中心位置の間隔には、必ず若
干の変動が生じる。そして、この変動が大きいと、十分
に均一なレベルのプッシュプル信号を安定に得ることが
できなくなってしまう。
【0047】そこで、本発明を適用してなる光磁気ディ
スクでは、ウォブリンググルーブ2及びストレートグル
ーブ3の中心位置ずれ量を、トラックピッチTPitchの
±1.89%以内とする。なお、ウォブリンググルーブ
2及びストレートグルーブ3の中心位置ずれ量がトラッ
クピッチTPitchの±1.89%以内であるということ
は、下記式(3)を満たしているということである。
【0048】 −1.89%<ΔT/TPitch<+1.89% ・・・(3) なお、TPitchは、トラックピッチを示しており、ΔT
は、ウォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3
の中心位置ずれ量の最大値を、ディスク外周方向への位
置ずれを正とし、ディスク内周方向への位置ずれを負と
して示している。
【0049】ウォブリンググルーブ2及びストレートグ
ルーブ3の中心位置ずれ量をトラックピッチTPitchの
±1.89%以内とすることにより、後述する実験結果
からも分かるように、ウォブリンググルーブ2やストレ
ートグルーブ3の間隔に若干の変動があったとしても、
十分に均一なレベルのプッシュプル信号を安定に得るこ
とが可能となる。
【0050】<レーザカッティング装置>以上のような
光磁気ディスクを製造する際には、その原盤となる記録
媒体製造用原盤を作製する際に、レーザカッティング装
置が使用される。以下、レーザカッティング装置の一例
について、図2を参照して詳細に説明する。
【0051】図2に示したレーザカッティング装置10
は、ガラス基板11の上に塗布されたフォトレジスト1
2を露光して潜像を形成するためのものである。このレ
ーザカッティング装置10でフォトレジスト12に潜像
を形成する際、フォトレジスト12が塗布されたガラス
基板11は、移動光学テーブル上に設けられた回転駆動
装置に取り付けられる。そして、フォトレジスト12を
露光する際、ガラス基板11は、フォトレジスト12の
全面にわたって所望のパターンでの露光がなされるよう
に、図中矢印C1に示すように回転駆動装置によって回
転駆動されるとともに、移動光学テーブルによって平行
移動される。
【0052】このレーザカッティング装置10は、3つ
の露光ビームによってフォトレジスト12を露光するこ
とが可能となっており、エンボスピット1に対応した潜
像と、ウォブリンググルーブ2に対応した潜像と、スト
レートグルーブ3に対応した潜像とを、それぞれの露光
ビームにより形成する。すなわち、このレーザカッティ
ング装置10では、第1の露光ビームによってエンボス
ピット1に対応した潜像を形成し、第2の露光ビームに
よってウォブリンググルーブ2に対応した潜像を形成
し、第3の露光ビームによってストレートグルーブ3に
対応した潜像を形成する。
【0053】このレーザカッティング装置10は、レー
ザ光を出射する光源13と、光源13から出射されたレ
ーザ光の光強度を調整するための電気光学変調器(EO
M:Electro Optical Modulator)14と、電気光学変
調器14から出射されたレーザ光の光軸上に配された検
光子15と、検光子15を透過してきたレーザ光を反射
光と透過光とに分割する第1のビームスプリッタ16
と、第1のビームスプリッタ16を透過してきたレーザ
光を反射光と透過光とに分割する第2のビームスプリッ
タ17と、第2のビームスプリッタ17を透過してきた
レーザ光を反射光と透過光とに分割する第3のビームス
プリッタ18と、第3のビームスプリッタ18を透過し
てきたレーザ光を検出するフォトディテクタ(PD:Ph
oto Detector)19と、電気光学変調器14に対して信
号電界を印加して当該電気光学変調器14から出射され
るレーザ光強度を調整するオートパワーコントローラ
(APC:Auto Power Controller)20とを備えてい
る。
【0054】上記レーザカッティング装置10におい
て、光源13から出射されたレーザ光は、先ず、オート
パワーコントローラ20から印加される信号電界によっ
て駆動される電気光学変調器14によって所定の光強度
とされた上で検光子15に入射する。ここで、検光子1
5はS偏光だけを透過する検光子であり、この検光子1
5を透過してきたレーザ光はS偏光となる。
【0055】なお、光源13には、任意のものが使用可
能であるが、比較的に短波長のレーザ光を出射するもの
が好ましい。具体的には、例えば、波長λが413nm
のレーザ光を出射するKrレーザや、波長λが442n
mのレーザ光を出射するHe−Cdレーザなどが、光源
13として好適である。
【0056】そして、検光子15を透過してきたS偏光
のレーザ光は、先ず、第1のビームスプリッタ16によ
って反射光と透過光とに分けられ、更に、第1のビーム
スプリッタ16を透過したレーザ光は、第2のビームス
プリッタ17によって反射光と透過光とに分けられ、更
に、第2のビームスプリッタ17を透過したレーザ光
は、第3のビームスプリッタ18によって反射光と透過
光とに分けられる。
【0057】なお、このレーザカッティング装置10で
は、第1のビームスプリッタ16によって反射されたレ
ーザ光が第1の露光ビームとなり、第2のビームスプリ
ッタ17によって反射されたレーザ光が第2の露光ビー
ムとなり、第3のビームスプリッタ18によって反射さ
れたレーザ光が第3の露光ビームとなる。
【0058】一方、第3のビームスプリッタ18を透過
したレーザ光は、フォトディテクタ19によって、その
光強度が検出され、当該光強度に応じた信号がフォトデ
ィテクタ19からオートパワーコントローラ20に送ら
れる。そして、フォトディテクタ19から送られてきた
信号に応じて、オートパワーコントローラ20は、フォ
トディテクタ19によって検出される光強度が所定のレ
ベルにて一定となるように、電気光学変調器14に対し
て印加する信号電界を調整する。これにより、電気光学
変調器14から出射するレーザ光の光強度が一定となる
ように、自動光量制御(APC:Auto Power Control)
が施され、ノイズの少ない安定したレーザ光が得られ
る。
【0059】また、上記レーザカッティング装置10
は、第1のビームスプリッタ16によって反射されたレ
ーザ光を光強度変調するための第1の変調光学系21
と、第2のビームスプリッタ17によって反射されたレ
ーザ光を光強度変調するための第2の変調光学系22
と、第3のビームスプリッタ18によって反射されたレ
ーザ光を光強度変調するための第3の変調光学系23
と、第1乃至第3の変調光学系21,22,23によっ
て光強度変調が施された各レーザ光を再合成してフォト
レジスト12上に集光するための光学系24とを備えて
いる。
【0060】そして、第1のビームスプリッタ16によ
って反射されてなる第1の露光ビームは、第1の変調光
学系21に導かれ、第1の変調光学系21によって光強
度変調が施される。同様に、第2のビームスプリッタ1
7によって反射されてなる第2の露光ビームは、第2の
変調光学系22に導かれ、第2の変調光学系22によっ
て光強度変調が施される。同様に、第3のビームスプリ
ッタ18によって反射されてなる第3の露光ビームは、
第3の変調光学系23に導かれ、第3の変調光学系23
によって光強度変調が施される。
【0061】そして、第1の変調光学系21に入射した
第1の露光ビームは、集光レンズ25によって集光され
た上で音響光学変調器(AOM:Acousto Optical Modu
lator)26に入射し、この音響光学変調器26によっ
て、所望する露光パターンに対応するように光強度変調
される。ここで、音響光学変調器26に使用される音響
光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2)か
らなる音響光学素子が好適である。そして、音響光学変
調器26によって光強度変調された第1の露光ビーム
は、コリメートレンズ27によって平行光とされた上
で、第1の変調光学系21から出射される。
【0062】ここで、音響光学変調器26には、当該音
響光学変調器26を駆動するための駆動用ドライバ28
が取り付けられている。そして、フォトレジスト12の
露光時には、所望する露光パターンに応じた信号S1が
駆動用ドライバ28に入力され、当該信号S1に応じて
駆動用ドライバ28によって音響光学変調器26が駆動
され、第1の露光ビームに対して光強度変調が施され
る。
【0063】具体的には、例えば、2−8変調が施され
たピットパターンの潜像をフォトレジスト12に形成す
るような場合には、2−8変調が施されたピットパター
ンに対応した変調信号が駆動用ドライバ28に入力さ
れ、当該変調信号に応じて駆動用ドライバ28によって
音響光学変調器26が駆動される。これにより、2−8
変調が施されたピットパターンに対応するように、第1
の露光ビームに対して光強度変調が施される。
【0064】また、第2の変調光学系22に入射した第
2の露光ビームは、集光レンズ29によって集光された
上で音響光学変調器30に入射し、この音響光学変調器
30によって、所望する露光パターンに対応するように
光強度変調される。ここで、音響光学変調器30に使用
される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(T
eO2)からなる音響光学素子が好適である。そして、
音響光学変調器30によって光強度変調された第2の露
光ビームは、コリメートレンズ31によって平行光とさ
れた上で、第2の変調光学系22から出射される。
【0065】ここで、音響光学変調器30には、当該音
響光学変調器30を駆動するための駆動用ドライバ32
が取り付けられている。そして、フォトレジストの露光
時には、所望する露光パターンに応じた信号S2が駆動
用ドライバ32に入力され、当該信号S2に応じて駆動
用ドライバ32によって音響光学変調器30が駆動さ
れ、第2の露光ビームに対して光強度変調が施される。
【0066】具体的には、例えば、一定の深さのウォブ
リンググルーブ2に対応したグルーブパターンの潜像を
フォトレジスト12に形成するような場合には、一定レ
ベルのDC信号が駆動用ドライバ32に入力され、当該
DC信号に応じて駆動用ドライバ32によって音響光学
変調器30が駆動される。これにより、所望するグルー
ブパターンに対応するように、第2の露光ビームに対し
て光強度変調が施される。
【0067】また、第3の変調光学系23に入射した第
3の露光ビームは、集光レンズ33によって集光された
上で音響光学変調器34に入射し、この音響光学変調器
34によって、所望する露光パターンに対応するように
光強度変調される。ここで、音響光学変調器34に使用
される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(T
eO2)からなる音響光学素子が好適である。そして、
音響光学変調器34によって光強度変調された第3の露
光ビームは、コリメートレンズ35によって平行光とさ
れるとともに、λ/2波長板36を透過することにより
偏光方向が90°回転させられた上で、第3の変調光学
系23から出射される。
【0068】ここで、音響光学変調器34には、当該音
響光学変調器34を駆動するための駆動用ドライバ37
が取り付けられている。そして、フォトレジスト12の
露光時には、所望する露光パターンに応じた信号S3が
駆動用ドライバ37に入力され、当該信号S3に応じて
駆動用ドライバ37によって音響光学変調器34が駆動
され、第3の露光ビームに対して光強度変調が施され
る。
【0069】具体的には、例えば、一定の深さのストレ
ートグルーブ3に対応したグルーブパターンの潜像をフ
ォトレジスト12に形成するような場合には、一定レベ
ルのDC信号が駆動用ドライバ37に入力され、当該D
C信号に応じて駆動用ドライバ37によって音響光学変
調器34が駆動される。これにより、所望するグルーブ
パターンに対応するように、第3の露光ビームに対して
光強度変調が施される。
【0070】以上のようにして、第1の露光ビームは第
1の変調光学系21によって光強度変調が施され、第2
の露光ビームは第2の変調光学系22によって光強度変
調が施され、第3の露光ビームは第3の変調光学系23
によって光強度変調が施される。このとき、第1の変調
光学系21から出射された第1の露光ビーム、及び第2
の変調光学系22から出射された第2の露光ビームは、
S偏光のままであるが、第3の変調光学系23から出射
された第3の露光ビームは、λ/2波長板36を透過す
ることにより偏光方向が90°回転させられているの
で、P偏光となっている。
【0071】そして、第1の変調光学系21から出射さ
れた第1の露光ビームは、ミラー40によって反射さ
れ、移動光学テーブル上に水平且つ平行に導かれる。同
様に、第2の変調光学系22から出射された第2の露光
ビームは、ミラー41によって反射され、移動光学テー
ブル上に水平且つ平行に導かれる。同様に、第3の変調
光学系23から出射された第3の露光ビームは、ミラー
42によって反射され、移動光学テーブル上に水平且つ
平行に導かれる。
【0072】そして、第1の変調光学系21から出射さ
れ、移動光学テーブル上に水平且つ平行に導かれた第1
の露光ビームは、ミラー43によって反射されて進行方
向が90°曲げられた上で、ハーフミラー44を介して
偏光ビームスプリッタ45に入射する。また、第2の変
調光学系22から出射され、移動光学テーブル上に水平
且つ平行に導かれた第2の露光ビームは、偏向光学系4
6によって光学偏向が施された上で、ハーフミラー44
によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏
光ビームスプリッタ45に入射する。また、第3の変調
光学系23から出射され、移動光学テーブル上に水平且
つ平行に導かれた第3の露光ビームは、そのまま偏光ビ
ームスプリッタ45に入射する。
【0073】ここで、偏向光学系46は、ウォブリング
グルーブのウォブリングに対応するように、第2の露光
ビームに対して光学偏向を施すためのものである。すな
わち、第2の変調光学系22から出射され偏向光学系4
6に入射した第2の露光ビームは、ウェッジプリズム4
7を介して音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical
Deflector)48に入射し、この音響光学偏向器48に
よって、所望する露光パターンに対応するように光学偏
向が施される。ここで、音響光学偏向器48に使用され
る音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO
2)からなる音響光学素子が好適である。そして、音響
光学偏向器48によって光学偏向が施された第2の露光
ビームは、ウエッジプリズム49を介して偏向光学系4
6から出射される。
【0074】なお、ウェッジプリズム47,49は、音
響光学偏向器48の音響光学素子の格子面に対してブラ
ッグ条件を満たすように第2の露光ビームが入射するよ
うにするとともに、音響光学偏向器48によって第2の
露光ビームに対して光学偏向を施したとしてもビーム水
平高さが変わらないようにするためのものである。換言
すれば、ウエッジプリズム47、音響光学偏向器48及
びウエッジプリズム49は、音響光学偏向器48の音響
光学素子の格子面が第2の露光ビームに対してブラッグ
条件を満たし、且つ、偏向光学系46から出射される第
2の露光ビームのビーム水平高さが変わらないように配
置される。
【0075】ここで、音響光学偏向器48には、当該音
響光学偏向器48を駆動するための駆動用ドライバ50
が取り付けられており、当該駆動用ドライバ50には、
電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscilla
tor)51からの高周波信号が、アドレス情報を含む制
御信号S4によりFM変調され供給される。そして、フ
ォトレジスト12の露光時には、所望する露光パターン
に応じた信号が、電圧制御発振器51から駆動用ドライ
バ50に入力され、当該信号に応じて駆動用ドライバ5
0によって音響光学偏向器48が駆動され、これによ
り、第2の露光ビームに対して光学偏向が施される。
【0076】具体的には、例えば、周波数44.1kH
zにてグルーブをウォブリングさせることにより、グル
ーブにアドレス情報を付加するような場合には、例えば
中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数44.
1kHzの制御信号にてFM変調した信号を、電圧制御
発振器51から駆動用ドライバ50に供給する。そし
て、この信号に応じて、駆動用ドライバ50によって音
響光学偏向器48を駆動し、当該音響光学偏向器48の
音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これにより、周
波数44.1kHzのウォブリングに対応するように、
第2の露光ビームに対して光学偏向を施す。
【0077】そして、このような偏向光学系46によっ
て、ウォブリンググルーブ2のウォブリングに対応する
ように光学偏向が施された第2の露光ビームは、上述し
たように、ハーフミラー44によって反射されて進行方
向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッタ45に
入射する。
【0078】ここで、偏光ビームスプリッタ45は、S
偏光を反射し、P偏光を透過するようになされている。
そして、第1の変調光学系21から出射された第1の露
光ビーム、並びに第2の変調光学系22から出射され偏
向光学系46によって光学偏向が施された第2の露光ビ
ームは、S偏光であり、また、第3の変調光学系23か
ら出射された第3の露光ビームはP偏光である。したが
って、第1及び第2の露光ビームは、当該偏光ビームス
プリッタ45によって反射され、また、第3の露光ビー
ムは、当該偏光ビームスプリッタ45を透過する。これ
により、第1の変調光学系21から出射された第1の露
光ビームと、第2の変調光学系22から出射され偏向光
学系46によって光学偏向が施された第2の露光ビーム
と、第3の変調光学系23から出射された第3の露光ビ
ームとは、進行方向が同一方向となるように再合成され
る。
【0079】そして、進行方向が同一方向となるように
再合成されて偏光ビームスプリッタ45から出射した第
1乃至第3の露光ビームは、拡大レンズ52によって所
定のビーム径とされた上でミラー53によって反射され
て対物レンズ54へと導かれ、当該対物レンズ54によ
ってフォトレジスト12上に集光される。これにより、
フォトレジスト12が露光され、フォトレジスト12に
潜像が形成されることとなる。このとき、フォトレジス
ト12が塗布されているガラス基板11は、上述したよ
うに、フォトレジスト12の全面にわたって所望のパタ
ーンでの露光がなされるように、図2中矢印C1に示す
ように回転駆動装置によって回転駆動されるとともに、
移動光学テーブルによって平行移動される。この結果、
第1乃至第3の露光ビームの照射軌跡に応じた潜像が、
フォトレジスト12の全面にわたって形成されることと
なる。
【0080】なお、露光ビームをフォトレジスト12の
上に集光するための対物レンズ54は、より微細なピッ
トパターンやグルーブパターンを形成できるようにする
ために、開口数NAが大きい方が好ましく、具体的に
は、開口数NAが0.9程度の対物レンズが好適であ
る。
【0081】また、このように第1乃至第3の露光ビー
ムをフォトレジスト12に照射する際は、必要に応じ
て、拡大レンズ52によって第1乃至第3の露光ビーム
のビーム径を変化させ、対物レンズ54に対する有効開
口数を調整するようにしてもよい。これにより、フォト
レジスト12の表面に集光される第1乃至第3の露光ビ
ームのスポット径を変化させることができる。
【0082】具体的には、例えば、第2及び第3の露光
ビームでウォブリンググルーブ2及びストレートグルー
ブ3に対応した潜像を形成する場合は、露光ビームのス
ポット径が小さくなるように、拡大レンズ52によって
第2及び第3の露光ビームのビーム径を大きくして、対
物レンズ54の有効開口数を大きくし、また、第1の露
光ビームでエンボスピット1に対応した潜像を形成する
場合は、露光ビームのスポット径が大きくなるように、
拡大レンズ52によって第1の露光ビームのビーム径を
小さくし、対物レンズ54の有効開口数を小さくする。
【0083】ところで、偏光ビームスプリッタ45に入
射した第2の露光ビームは、当該偏光ビームスプリッタ
45の反射面にて、第3の露光ビームと合成される。こ
のとき、偏光ビームスプリッタ45の反射面は、当該反
射面で合成されて出射される光の進行方向に対して適度
な反射角をなすように形成されてなる。これにより、こ
の偏光ビームスプリッタ45から出射された第2及び第
3の露光ビームが対物レンズ54の結像集光面(即ち、
露光対象であるフォトレジスト12の表面)に集光され
る際に、第2の露光ビームに対応するスポットと、第3
の露光ビームに対応するスポットとが、異なる位置に形
成される。
【0084】そして、偏光ビームスプリッタ54の反射
面の反射角は、第2の露光ビームに対応するスポット
と、第3の露光ビームに対応するスポットとの、ガラス
基板11の半径方向における間隔が、トラックピッチT
Pitchに対応するように設定しておく。これにより、第
2の露光ビームによりウォブリンググルーブ2に対応す
る部分を露光し、同時に、第3の露光ビームによりスト
レートグルーブ3に対応する部分を露光することが可能
となる。
【0085】以上のようなレーザカッティング装置10
では、エンボスピット1に対応した潜像を形成するため
の第1の露光ビームに対応した光学系と、ウォブリング
グルーブ2に対応した潜像を形成するための第2の露光
ビームに対応した光学系と、ストレートグルーブ3に対
応した潜像を形成するための第3の露光ビームに対応し
た光学系とを備えているので、このレーザカッティング
装置10だけで、エンボスピット1に対応した潜像と、
ウォブリンググルーブ2に対応した潜像と、ストレート
グルーブ3に対応した潜像とをまとめて形成することが
できる。
【0086】しかも、このレーザカッティング装置10
では、ウォブリンググルーブ2に対応した潜像を形成す
るための第2の露光ビーム用の光学系と、ストレートグ
ルーブ3に対応した潜像を形成するための第3の露光ビ
ーム用の光学系とが、ほぼ同様な光学系にて構成されて
おり、しかも第2の露光ビームと第3の露光ビームが共
通の対物レンズ54にてフォトレジスト12上に集光さ
れるようになされている。したがって、このレーザカッ
ティング装置10では、フォトレジスト12上に集光す
る第2の露光ビームのスポット径と、フォトレジスト1
2上に集光する第3の露光ビームのスポット径とを、ほ
ぼ同一にすることができる。したがって、このレーザカ
ッティング装置10では、ウォブリンググルーブ2に対
応した潜像と、ストレートグルーブ3に対応した潜像と
を、ほぼ同じ幅にて形成することができる。
【0087】また、このレーザカッティング装置10で
は、第2の露光ビームと第3の露光ビームとを合成する
ための偏向ビームスプリッタ45の向きを調整すること
により、第2の露光ビームの照射位置と第3の露光ビー
ムの照射位置とを容易に調整することができる。したが
って、このレーザカッティング装置10によれば、ウォ
ブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3の中心位
置ずれを殆ど無くすことができる。
【0088】ところで、一般に、プッシュプル信号は、
エンボスピットの幅とグルーブの幅を同じにすると、グ
ルーブが形成されることなくエンボスピットだけが形成
されている部分から得られるプッシュプル信号が、グル
ーブが形成されている部分から得られるプッシュプル信
号よりも小さくなってしまう。したがって、エンボスピ
ットの幅は、グルーブの幅よりも若干大きくすることが
好ましい。エンボスピットの幅を、グルーブの幅よりも
若干大きくすることにより、グルーブが形成されること
なくエンボスピットだけが形成されている部分から得ら
れるプッシュプル信号を、グルーブが形成されている部
分から得られるプッシュプル信号と同レベルとすること
ができる。そして、上記レーザカッティング装置10で
は、拡大レンズ52によって、フォトレジスト12の表
面に集光される第1乃至第3の露光ビームのスポット径
を容易に変化させることができるので、エンボスピット
の幅をグルーブの幅に比べて大きくするようなことも、
容易に実現可能である。
【0089】<光磁気ディスクの製造方法>つぎに、光
磁気ディスクの製造方法について、具体的な一例を挙げ
て詳細に説明する。
【0090】光磁気ディスクを作製する際は、先ず、原
盤工程として、エンボスピット1、ウォブリンググルー
ブ2及びストレートグルーブ3に対応した凹凸パターン
を有する記録媒体製造用原盤を作製する。
【0091】この原盤工程においては、先ず、表面を研
磨した円盤状のガラス基板11を洗浄し乾燥させ、その
後、このガラス基板11上に感光材料であるフォトレジ
スト12を塗布する。次に、このフォトレジスト12を
上記レーザカッティング装置10によって露光し、エン
ボスピット1、ウォブリンググルーブ2及びストレート
グルーブ3に対応した潜像をフォトレジスト12に形成
する。
【0092】なお、後述する評価用光磁気ディスクを作
製する際、レーザカッティング装置10の光源13に
は、波長λが413nmのレーザ光を出射するKrレー
ザを使用し、第1乃至第3の露光ビームをフォトレジス
ト12上に集光するための対物レンズ54には、開口数
NAが0.9のものを使用した。
【0093】また、後述する評価用光磁気ディスクを作
製する際、上記レーザカッティング装置10の第1の変
調光学系21において、集光レンズ25には焦点距離が
80mmのレンズを使用し、コリメートレンズ27には
焦点距離が90mmのレンズを使用した。また、第2の
変調光学系22において、集光レンズ29には焦点距離
が80mmのレンズを使用し、コリメートレンズ31に
は焦点距離が120mmのレンズを使用した。また、第
3の変調光学系23において、集光レンズ33には焦点
距離が80mmのレンズを使用し、コリメートレンズ3
5には焦点距離が120mmのレンズを使用した。ま
た、拡大レンズには焦点距離が80mmのレンズを使用
した。
【0094】このように、第1の変調光学系21に使用
するコリメートレンズ27の焦点距離を、第2の変調光
学系22に使用するコリメートレンズ31や第3の変調
光学系23に使用するコリメートレンズ35の焦点距離
よりも小さくすることにより、ウォブリンググルーブ2
に対応した潜像を形成する際にフォトレジスト12の上
に集光される第2の露光ビームのスポット径や、ストレ
ートグルーブ3に対応した潜像を形成する際にフォトレ
ジスト12の上に集光される第3の露光ビームのスポッ
ト径に比べて、エンボスピットピット1に対応した潜像
を形成する際にフォトレジスト12の上に集光される第
1の露光ビームのスポット径が大きくなる。
【0095】これにより、ウォブリンググルーブ2やス
トレートグルーブ3の幅よりも、エンボスピット1の幅
が大きくなり、その結果、エンボスピット1によって構
成されるピット列から得られるプッシュプル信号のレベ
ルが増大し、当該ピット列からも、ウォブリンググルー
ブ2やストレートグルーブ3から得られるプッシュプル
信号に近いレベルのプッシュプル信号が得られるように
なる。
【0096】そして、フォトレジスト12をレーザカッ
ティング装置10によって露光する際は、先ず、第1の
露光ビームによってフォトレジスト12を露光すること
により、エンボスピット1に対応した潜像をフォトレジ
スト12に形成し、その後、第2及び第3の露光ビーム
によってフォトレジスト12を露光することにより、ウ
ォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3に対応
した潜像をフォトレジスト12に形成する。
【0097】なお、第1の露光ビームによってフォトレ
ジスト12を露光する際、第2の露光ビームは、フォト
レジスト12に入射しないように、第2の変調光学系2
2の音響光学変調器30により遮光しておき、また、第
3の露光ビームも、フォトレジスト12に入射しないよ
うに、第3の変調光学系23の音響光学変調器34によ
り遮光しておく。逆に、第2及び第3の露光ビームによ
ってフォトレジスト12を露光する際は、第1の露光ビ
ームがフォトレジスト12に入射しないように、第1の
露光ビームを第1の変調光学系21の音響光学変調器2
6により遮光しておく。
【0098】そして、第1の露光ビームによってフォト
レジスト12を露光することにより、エンボスピット1
に対応した潜像をフォトレジスト12に形成する際は、
第1の変調光学系21により第1の露光ビームに対して
光強度変調を施す。具体的には、例えば、2−8変調が
施されたピットパターンに対応した変調信号を駆動用ド
ライバ28に入力し、当該変調信号に基づいて駆動用ド
ライバ28によって音響光学変調器26を駆動し、これ
により、2−8変調が施されたピットパターンに対応す
るように、第1の露光ビームに対して光強度変調を施
す。そして、このように光強度変調を施した第1の露光
ビームを、対物レンズ54によってフォトレジスト12
上に集光することにより、フォトレジスト12を露光
し、エンボスピット1に対応した潜像をフォトレジスト
12に形成する。
【0099】なお、このようにフォトレジスト12を露
光して、エンボスピット1に対応した潜像を形成する際
は、フォトレジスト12が塗布形成されているガラス基
板11を、所定の回転速度にて回転駆動させるととも
に、所定の速度にて平行移動させる。
【0100】具体的には、後述する評価用光磁気ディス
クを作製する際、ガラス基板11の回転速度は、第1の
露光ビームによる光スポットとフォトレジスト12との
相対的な移動速度が線速1.0m/secとなるように
した。そして、当該ガラス基板11を1回転毎に0.9
5μm(すなわちトラックピッチTPitchの分)だけ、
移動光学テーブルによってガラス基板11の半径方向に
平行移動させた。
【0101】以上のように第1の露光ビームによってフ
ォトレジスト12を露光することにより、例えば2−8
変調が施されたピットパターンに対応した潜像が、シン
グルスパイラル状にフォトレジスト12に形成される。
【0102】そして、以上のようにしてエンボスピット
1に対応した潜像をフォトレジスト12に形成した後、
第2及び第3の露光ビームによってフォトレジスト12
を露光することにより、ウォブリンググルーブ2及びス
トレートグルーブ3に対応した潜像をフォトレジスト1
2に形成する。
【0103】第2の露光ビームによってフォトレジスト
12を露光することにより、ウォブリンググルーブ2に
対応した潜像をフォトレジスト12に形成する際は、第
2の露光ビームに対して、第2の変調光学系22により
光強度変調を施すとともに、光学偏向系46により光学
偏向を施す。
【0104】具体的には、先ず、一定レベルのDC信号
を第2の変調光学系22に配された駆動用ドライバ32
に入力し、当該DC信号に基づいて駆動用ドライバ32
によって音響光学変調器30を駆動し、これにより、ウ
ォブリンググルーブ2のパターンに対応するように、第
2の露光ビームに対して光強度変調を施す。ここで、ウ
ォブリンググルーブ2は一定の深さの連続した溝である
ので、ウォブリンググルーブ2に対応した潜像を形成し
ている間は、第2の露光ビームの光強度が一定となるよ
うに光強度変調を施す。
【0105】次いで、第2の変調光学系22によって光
強度変調が施された第2の露光ビームに対して、偏向光
学系46により光学偏向を施す。具体的には、電圧制御
発振器51から高周波信号を制御信号にてFM変調して
駆動用ドライバ50に供給し、この信号に基づいて駆動
用ドライバ50によって音響光学偏向器48を駆動し
て、当該音響光学偏向器48の音響光学素子のブラッグ
角を変化させ、これにより、第2の露光ビームに対して
光学偏向を施す。
【0106】なお、後述する評価用光磁気ディスクを作
製する際は、中心周波数224MHzの高周波信号を周
波数44.1kHzの制御信号にてFM変調して、電圧
制御発振器51から駆動用ドライバ50に供給した。そ
して、この信号に基づいて、駆動用ドライバ50によっ
て音響光学偏向器48を駆動し、当該音響光学偏向器4
8の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、これによ
り、フォトレジスト12上に集光される第2の露光ビー
ム光スポットの位置が、周波数44.1kHz,振幅±
20nmにて、ガラス基板11の半径方向に振動するよ
うに光学偏向を行った。
【0107】そして、このように光強度変調及び光学偏
向を施した第2の露光ビームを、対物レンズ54によっ
てフォトレジスト12上に集光することにより、フォト
レジスト12を露光し、ウォブリンググルーブ2に対応
した潜像をフォトレジスト12に形成する。
【0108】また、第2の露光ビームによりフォトレジ
スト12を露光するのと同時に、第3の露光ビームによ
ってフォトレジスト12を露光することにより、ストレ
ートグルーブ3に対応した潜像をフォトレジスト12に
形成する。
【0109】第3の露光ビームによってフォトレジスト
12を露光することにより、ストレートグルーブ3に対
応した潜像をフォトレジスト12に形成する際は、第3
の露光ビームに対して、第3の変調光学系23により光
強度変調を施す。
【0110】具体的には、一定レベルのDC信号を第3
の変調光学系23に配された駆動用ドライバ37に入力
し、当該DC信号に基づいて駆動用ドライバ37によっ
て音響光学変調器34を駆動し、これにより、ストレー
トグルーブ3のパターンに対応するように、第3の露光
ビームに対して光強度変調を施す。ここで、ストレート
グルーブ3は一定の深さの連続した溝であるので、スト
レートグルーブ3に対応した潜像を形成している間は、
第3の露光ビームの光強度が一定となるように光強度変
調を施す。
【0111】そして、このように光強度変調を施した第
3の露光ビームを、対物レンズ54によってフォトレジ
スト12上に集光することにより、フォトレジスト12
を露光し、ストレートグルーブ3に対応した潜像をフォ
トレジスト12に形成する。
【0112】なお、このようにフォトレジスト12を露
光して、ウォブリンググルーブ2及びストレートグルー
ブ3に対応した潜像を形成する際は、フォトレジスト1
2が塗布されているガラス基板11を、所定の回転速度
にて回転駆動させるとともに、所定の速度にて平行移動
させる。
【0113】具体的には、後述する評価用光磁気ディス
クを作製する際、ガラス基板11の回転速度は、第2及
び第3の露光ビームによる光スポットとフォトレジスト
12との相対的な移動速度が線速1.0m/secとな
るようにした。そして、当該ガラス基板11を1回転毎
に1.90μm(すなわちトラックピリオドTPeriodの
分)だけ、移動光学テーブルによってガラス基板11の
半径方向に平行移動させた。
【0114】以上のように第2及び第3の露光ビームに
よってフォトレジスト12を露光することにより、ウォ
ブリンググルーブ2に対応した潜像と、ストレートグル
ーブ3に対応した潜像とが、ダブルスパイラル状にフォ
トレジスト12に形成される。
【0115】なお、上記レーザカッティング装置10で
は、第2の露光ビームに対応するスポットと、第3の露
光ビームに対応するスポットとのガラス基板11の半径
方向における間隔が、トラックピッチTPitchに対応す
るように、偏光ビームスプリッタ45の反射面の反射角
が設定されている。
【0116】したがって、第2及び第3の露光ビームに
よってフォトレジスト12を露光することにより、第2
の露光ブームによってウォブリンググルーブ2に対応し
た潜像が形成されるとともに、当該ウォブリンググルー
ブ2に隣接したストレートグルーブ3に対応した潜像が
第3の露光ビームによって形成されることとなる。この
ことは、換言すれば、ウォブリンググルーブ2とストレ
ートグルーブ3との相対的な位置決めは、偏向ビームス
プリッタ45の向きを調整することにより実現できると
いうことでもある。
【0117】なお、上記レーザカッティング装置10
は、図示していないが、ガラス基板11の半径方向の位
置を検出するためのレーザスケールを備えており、この
レーザスケールにより、露光位置を±3μm以内の精度
にて再現することが可能となっている。
【0118】露光位置の再現性が悪いと、第1の露光ビ
ームによるエンボスピット1に対応した潜像の形成と、
第2及び第3の露光ビームによるウォブリンググルーブ
2及びストレートグルーブ3に対応した潜像の形成とを
別々に分けて行ったときに、第1の露光ビームによるエ
ンボスピット1に対応した潜像の位置と、第2及び第3
の露光ビームによるウォブリンググルーブ2及びストレ
ートグルーブ3に対応した潜像の位置との対応関係が不
正確になり、例えば、遷移領域B3の幅t1が20μm
を越えてしまうような場合がある。
【0119】しかしながら、上記レーザカッティング装
置10では、レーザスケールにより、露光位置を±3μ
m以内の精度にて再現することが可能となっているの
で、第1の露光ビームによるエンボスピット1に対応し
た潜像の形成と、第2及び第3の露光ビームによるウォ
ブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3に対応し
た潜像の形成とを、別々に分けて行ったとしても特に問
題はない。
【0120】実際に、第1の露光ビームによって露光す
ることにより形成した、エンボスピット1に対応した潜
像の位置と、第2及び第3の露光ビームによって露光す
ることにより形成した、ウォブリンググルーブ2及びス
トレートグルーブ3に対応した潜像の位置との対応関係
を、レーザスケールを用いて確認しながら露光を行った
ところが、遷移領域B3の幅t1を10μm以内とする
ことができた。
【0121】そして、以上のようにしてフォトレジスト
12に潜像を形成した後、フォトレジスト12が塗布さ
れている面が上面となるように、ガラス基板11を現像
機のターンテーブル上に載置する。そして、当該ターン
テーブルを回転させることによりガラス基板11を回転
させながら、フォトレジスト12上に現像液を滴下して
現像処理を施して、ガラス基板11上にエンボスピット
1、ウォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3
に対応した凹凸パターンを形成する。
【0122】次に、上記凹凸パターン上に無電界メッキ
法によりNi等からなる導電化膜を形成し、その後、導
電化膜が形成されたガラス基板11を電鋳装置に取り付
け、電気メッキ法により導電化膜上にNi等からなるメ
ッキ層を、300±5μm程度の厚さとなるように形成
する。その後、このメッキ層を剥離し、剥離したメッキ
をアセトン等を用いて洗浄し、凹凸パターンが転写され
た面に残存しているフォトレジスト12を除去する。
【0123】以上の工程により、ガラス基板11上に形
成されていた凹凸パターンが転写されたメッキからなる
記録媒体製造用原盤、すなわち、エンボスピット1、ウ
ォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3に対応
した凹凸パターンが形成された記録媒体製造用原盤が完
成する。
【0124】次に、転写工程として、フォトポリマー法
(いわゆる2P法)を用いて、上記記録媒体製造用原盤
の表面形状が転写されてなるディスク基板を作製する。
【0125】具体的には、先ず、記録媒体製造用原盤の
凹凸パターンが形成された面上にフォトポリマーを平滑
に塗布してフォトポリマー層を形成し、次に、当該フォ
トポリマー層に泡やゴミが入らないようにしながら、フ
ォトポリマー層上にベースプレートを密着させる。ここ
で、ベースプレートには、例えば、1.2mm厚のポリ
メチルメタクリレート(屈折率1.49)からなるベー
スプレートを使用する。
【0126】その後、紫外線を照射してフォトポリマー
を硬化させ、その後、記録媒体製造用原盤を剥離するこ
とにより、記録媒体製造用原盤の表面形状が転写されて
なるディスク基板(いわゆる2Pディスク)を作製す
る。
【0127】なお、ここでは、記録媒体製造用原盤に形
成された凹凸パターンがより正確にディスク基板に転写
されるように、2P法を用いてディスク基板を作製する
例を挙げたが、ディスク基板を量産するような場合に
は、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネート等の
透明樹脂を用いて射出成形によってディスク基板を作製
するようにしても良いことは言うまでもない。
【0128】次に、成膜工程として、記録媒体製造用原
盤の表面形状が転写されてなるディスク基板上に記録層
及び保護層を形成する。具体的には、例えば、先ず、デ
ィスク基板の凹凸パターンが形成された面上に、SiN
等からなる第1の誘電体膜と、TeFeCo合金等から
なる垂直磁気記録膜と、SiN等からなる第2の誘電体
膜とをスパッタリングによって順次成膜し、更に、第2
の誘電体膜上にAl等からなる光反射膜を蒸着によって
成膜することにより、第1の誘電体膜、垂直磁気記録
膜、第2の誘電体膜及び光反射膜からなる記録層を形成
する。その後、上記記録層上に紫外線硬化樹脂をスピン
コート法により塗布し、当該紫外線硬化樹脂に対して紫
外線を照射し硬化させることにより、保護層を形成す
る。
【0129】以上の工程により、光磁気ディスクが完成
する。
【0130】<記録媒体製造用原盤及び光磁気ディスク
の評価>つぎに、上述の製造方法にて記録媒体製造用原
盤及び評価用光磁気ディスクを作製し、それらの評価を
行った結果について説明する。
【0131】ウォブリンググルーブ2とストレートグル
ーブ3とがダブルスパイラル状に形成されてなる光磁気
ディスクでは、それら2つのグルーブ2,3の形状の均
一性や、それら2つのグルーブ2,3の間隔の均一性
が、安定な記録再生を行えるようにする上で非常に重要
である。そして、これらの均一性を確保するためには、
原盤工程により記録媒体製造用原盤を作製する際に、フ
ォトレジスト12への潜像の形成を精度良く行い、所望
する凹凸パターンをサブミクロンオーダーで忠実に転写
することが要求される。そこで、このような観点から、
記録媒体製造用原盤及び評価用光磁気ディスクの評価を
行った。
【0132】記録媒体製造用原盤及び評価用光磁気ディ
スクの評価を行うために、まず、エンボスピット1に対
応した潜像を形成するための第1の露光ビームのパワ
ー、並びに、ウォブリンググルーブ2に対応した潜像を
形成するための第2の露光ビームのパワーを、0.5m
Wを中心として変化させて、複数の記録媒体製造用原盤
を作製した。ここで、ストレートグルーブ3に対応した
潜像を形成するための第3の露光ビームのパワーは、
0.5mWで一定とした。
【0133】そして、それらの記録媒体製造用原盤に形
成されたエンボスピット1に対応した凹凸パターンの幅
と、ウォブリンググルーブ2に対応した凹凸パターンの
幅とを、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electro
n Microscope)により測定した。第2の露光ビームのパ
ワーとウォブリンググルーブ2に対応した凹凸パターン
の幅との関係を測定した結果を表1に示すとともに、第
1の露光ビームのパワーとエンボスピット1に対応した
凹凸パターンの幅との関係を測定した結果を表2に示
す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】つぎに、以上のような記録媒体製造用原盤
を用いて、2P法により作製された評価用光磁気ディス
クについて、グルーブ2,3の幅の変化量とプッシュプ
ル信号との関係を調べた。ここで、プッシュプル信号の
測定には、波長λ=650nmのレーザ光を開口数NA
=0.52の対物レンズによって光磁気ディスク上に集
光する光ピックアップを備えた評価装置を用いた。
【0137】グルーブ2,3の幅の変化量とプッシュプ
ル信号との関係を調べるにあたっては、まず、ウォブリ
ンググルーブ2に対応した潜像を形成するための第2の
露光ビームのパワーと、作製した光磁気ディスクから得
られるプッシュプル信号との関係を調べた。結果を図3
に示す。なお、図3において、縦軸は、ウォブリンググ
ルーブ2から得られるプッシュプル信号のレベルを、ス
トレートグルーブ3から得られるプッシュプル信号のレ
ベルを1として示している。また、横軸は、ウォブリン
ググルーブ2に対応した潜像を形成するための第2の露
光ビームのパワーを、0.5mWを100%として示し
ている。
【0138】プッシュプル信号レベルの変動は、MDDa
ta2では±15%以下に抑えることが要求されている。
したがって、ウォブリンググルーブ2から得られるプッ
シュプル信号のレベルと、ストレートグルーブ3から得
られるプッシュプル信号のレベルとの均一性が、85〜
100%の範囲内でなければならない。すなわち、図3
において縦軸に示したプッシュプル信号のレベルが、
0.85以上となるようにしなければならない。
【0139】したがって、図3の結果から、ウォブリン
ググルーブ2に対応した潜像を形成するための第2の露
光ビームのパワーは、0.5mWを100%としたと
き、96〜103%の範囲内とする必要がある。換言す
れば、第2の露光ビームのパワーマージンは、99.5
%を中心とすると±3.5%である。
【0140】ところで、第2の露光ビームのパワーの変
動量と、ウォブリンググルーブ2の幅の変化量との関係
は、上記表1から求めることができる。具体的には、表
1に示した結果から、例えば、第2の露光ビームのパワ
ーが5%増えると、ウォブリンググルーブ2の幅が約1
5nm増えることが分かる。したがって、第2の露光ビ
ームのパワーマージンを±4%以内としたとき、ウォブ
リンググルーブ2の幅の変化量は±10.5nm以内と
なる。このことは、換言すれば、グルーブ2,3の幅の
許容変化量が±10.5nmであるということである。
【0141】そして、MDData2においてグルーブ2,
3の平均幅は260nmである。そこで、この平均幅に
て、グルーブ2,3の幅の許容変化量を規格化すると、
下記式(4)に示すように、±4.0%となる。
【0142】 ±10.5nm/260nm≒±4.0% ・・・(4) 以上のことから、ウォブリンググルーブ2及びストレー
トグルーブ3の幅の変化量を±4.0%以内とすること
により、プッシュプル信号レベルの変動を±15%以下
に抑えることが可能となり、トラッキングサーボに必要
なプッシュプル信号を十分且つ安定に得られるようにな
ることが分かる。
【0143】このようにウォブリンググルーブ2及びス
トレートグルーブ3の幅の変化量を±4.0%以内とす
ることは、上述したレーザカッティング装置10のよう
に、共通の光源13から出射されたレーザ光を分割して
なる2つの露光ビームにより、ウォブリンググルーブ2
に対応した潜像とストレートグルーブ3に対応した潜像
とを同時に形成するようなレーザカッティング装置を用
いることで、実現することができる。
【0144】特に、上記レーザカッティング装置10で
は、第2の露光ビーム用の光学系と、第3の露光ビーム
用の光学系とが、ほぼ同様な光学系にて構成されてお
り、しかも第2の露光ビームと第3の露光ビームが共通
の対物レンズ54にてフォトレジスト12上に集光され
るようになされているので、フォトレジスト12上に集
光する第2の露光ビームのスポット径と、フォトレジス
ト12上に集光する第3の露光ビームのスポット径と
を、ほぼ同一にすることができる。したがって、上記レ
ーザカッティング装置10では、ウォブリンググルーブ
2に対応した潜像と、ストレートグルーブ3に対応した
潜像とを、ほぼ同じ幅にて形成することができる。
【0145】したがって、上記レーザカッティング装置
10を用いることにより、ウォブリンググルーブ2及び
ストレートグルーブ3の幅の変化量を非常に小さくする
ことができる。そして、上述のようにウォブリンググル
ーブ2及びストレートグルーブ3の幅の変化量を±4.
0%以内とすることも、上記レーザカッティング装置1
0を用いることで実現可能である。
【0146】つぎに、グルーブ2,3の中心位置ずれ量
と、光磁気ディスクから得られるプッシュプル信号との
関係を調べた。ここで、プッシュプル信号の測定には、
波長λ=650nmのレーザ光を開口数NA=0.52
の対物レンズによって光磁気ディスク上に集光する光ピ
ックアップを備えた評価装置を用いた。
【0147】グルーブ2,3の中心位置ずれ量とプッシ
ュプル信号との関係を調べるにあたっては、ストレート
グルーブ3の中心位置を一定にしておき、ウォブリング
グルーブ2の中心位置が異なる複数の評価用光磁気ディ
スクを作製した。
【0148】具体的には、記録媒体製造用原盤を作製す
る際に、ストレートグルーブ3に対応した潜像を形成す
るための第3の露光ビームの照射位置を固定しておき、
ウォブリンググルーブ2に対応した潜像を形成するため
の第2の露光ビームの照射位置を変化させることによ
り、ウォブリンググルーブ2の中心位置が異なる複数の
評価用光磁気ディスクを作製した。
【0149】なお、第2の露光ビームの照射位置は、第
2の露光ビームと第3の露光ビームとを合成するための
偏向ビームスプリッタ45の向きを調整することにより
変化させた。また、ウォブリンググルーブ2に対応した
潜像を形成するための第2の露光ビームのパワー、並び
にストレートグルーブ3に対応した潜像を形成するため
の第3の露光ビームのパワーは、両方とも0.5mWで
一定とした。
【0150】そして、以上のようにして作製した、ウォ
ブリンググルーブ2の中心位置の異なる複数の評価用光
磁気ディスクについて、得られるプッシュプル信号のレ
ベルを測定し、ウォブリンググルーブ2の中心位置ずれ
量とプッシュプル信号との関係を調べた。結果を図4に
示す。
【0151】なお、図4において、縦軸は、得られるプ
ッシュプル信号のレベルを、ウォブリンググルーブ2の
中心位置にずれがない場合を1として示している。ま
た、横軸は、ウォブリンググルーブ2の中心位置ずれ量
を示している。ここで、ウォブリンググルーブ2の中心
位置ずれ量は、ウォブリンググルーブ2が本来形成され
るべき位置を基準位置として、この基準位置に対して、
ウォブリンググルーブ2の位置がディスク内周側にずれ
ている場合をマイナスとし、ウォブリンググルーブ2の
位置がディスク外周側にずれている場合をプラスとして
示している。
【0152】上述したように、MDData2では、プッシ
ュプル信号レベルの変動を±15%以下に抑えることが
要求されている。したがって、グルーブ2,3の中心位
置ずれに起因するプッシュプル信号の低下は、15%以
下に抑えなければならない。すなわち、図4において縦
軸に示したプッシュプル信号のレベルが、0.85以上
となるようにしなければならない。
【0153】したがって、図4の結果から、グルーブ
2,3に対して許容できる中心位置ずれ量は、−20n
m〜+16nmであることが分かる。換言すれば、グル
ーブ2,3の中心位置ずれに対するマージンは、−2n
mを中心とすると±18nmである。
【0154】以上のことから、ウォブリンググルーブ2
の中心位置と、ストレートグルーブ3の中心位置とのず
れ量を、±18nm以内とすることにより、プッシュプ
ル信号レベルの変動を±15%以下に抑えることが可能
となることが分かる。
【0155】そして、グルーブ2,3の中心位置ずれ量
のマージンをトラックピッチTPitchで規格化すると、
MDData2では、トラックピッチTPitchは0.95μ
mであるので、下記式(5)に示すように、±1.89
%となる。
【0156】 ±18nm/950nm=±1.89% ・・・(5) 以上のことから、ウォブリンググルーブ2及びストレー
トグルーブ3の中心位置ずれ量を、トラックピッチTPi
tchの±1.89%以内とすることにより、プッシュプ
ル信号レベルの変動を±15%以下に抑えることが可能
となり、トラッキングサーボに必要なプッシュプル信号
を十分且つ安定に得られるようになることが分かる。
【0157】このようにウォブリンググルーブ2及びス
トレートグルーブ3の中心位置ずれ量を、トラックピッ
チTPitchの±1.89%以内とすることは、上述した
レーザカッティング装置10のように、異なる露光ビー
ムにより、ウォブリンググルーブ2に対応した潜像とス
トレートグルーブ3に対応した潜像とを同時に形成する
ようなレーザカッティング装置を用いることにより、実
現可能である。
【0158】なお、上記レーザカッティング装置10に
おいて、ウォブリンググルーブ2及びストレートグルー
ブ3の中心位置ずれを無くすには、第2の露光ビームと
第3の露光ビームとを合成するための偏向ビームスプリ
ッタ45の向きを、第2の露光ビームの照射位置と第3
の露光ビームの照射位置とがトラックピッチTPitchに
相当するように調整すればよい。このとき、一旦、記録
媒体製造用原盤を作製し、その後、当該記録媒体製造用
原盤を走査型電子顕微鏡等により観察し、その観察結果
に基づいて、偏向ビームスプリッタ45の向きを更に微
調整することにより、ウォブリンググルーブ2及びスト
レートグルーブ3の中心位置ずれ量を非常に小さくする
ことができる。
【0159】そして、以上の説明から明らかなように、
ウォブリンググルーブ2及びストレートグルーブ3の幅
の変化量が±4.0%以内とされ、ウォブリンググルー
ブ2及びストレートグルーブ3の中心位置ずれ量が、ト
ラックピッチTPitchの±1.89%以内とされた、本
発明を適用されてなる光磁気ディスクでは、十分に均一
なレベルのプッシュプル信号を安定に得ることができ
る。
【0160】なお、このような光磁気ディスクの作製に
使用される上記記録媒体製造用原盤は、本発明に係る記
録媒体製造用原盤である。
【0161】すなわち、上記記録媒体製造用原盤は、上
記光磁気ディスクのディスク基板に形成される凹凸パタ
ーンに対応した凹凸パターンが形成されてなるものであ
り、ウォブリンググルーブ2に対応するように記録トラ
ックに沿って所定の幅にて形成された凹凸パターンであ
る第1のグルーブパターンと、ストレートグルーブ3に
対応するように記録トラックに沿って所定の幅にて形成
された凹凸パターンである第2のグルーブパターンとを
有している。そして、第1のグルーブパターン及び第2
のグルーブパターンの幅の変化量が±4.0%以内とさ
れ、第1のグルーブパターン及び上記第2のグルーブパ
ターンの中心位置ずれ量が、トラックピッチの±1.8
9%以内とされる。
【0162】このような記録媒体製造用原盤を用いるこ
とにより、上述した実験結果からも明らかなように、十
分に均一なレベルのプッシュプル信号を安定に得ること
が可能な光磁気ディスクを作製することが可能となる。
【0163】なお、本発明は、記録トラックに沿ってグ
ルーブが形成されてなる記録媒体、並びにその製造に使
用される記録媒体製造用原盤に対して広く適用可能であ
り、本発明の対象となる記録媒体は、例えば、再生専用
の記録媒体、繰り返しデータの書き換えが可能な記録媒
体、或いはデータの追記は可能だか消去はできないよう
な記録媒体のいずれでもよい。
【0164】また、データの記録方法も特に限定される
ものではなく、本発明の対象となる記録媒体は、例え
ば、予めエンボスピット等によりデータが書き込まれて
いる再生専用の光記録媒体、磁気光学効果を利用してデ
ータの記録を行う光磁気記録媒体、或いは記録層の相変
化を利用してデータの記録を行う相変化型記録媒体のい
ずれでもよい。
【0165】また、本発明は、記録領域の少なくとも一
部にグルーブが形成されている記録媒体、並びにその製
造に使用される記録媒体製造用原盤に対して広く適用可
能である。すなわち、例えば、記録領域全体にグルーブ
が形成されていてもよいし、或いは、グルーブが形成さ
れることなくエンボスピットによってデータが記録され
ているような領域が記録領域内に存在していてもよい。
【0166】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ダブルスパイラルグルーブが形成された記録
媒体において、狭トラック化を進めても十分に均一なレ
ベルのプッシュプル信号が得られるようにすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光磁気ディスクの記録領域の
一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明に係る記録媒体及び記録媒体製造用原盤
を作製する際に使用されるレーザカッティング装置の一
例について、その光学系の概要を示す図である。
【図3】第2の露光ビームのパワーとプッシュプル信号
との関係を示す図である。
【図4】グルーブの中心位置ずれ量とプッシュプル信号
との関係を示す図である。
【図5】従来のレーザカッティング装置の一例につい
て、その光学系の概要を示す図である。
【符号の説明】
1 エンボスピット、 2 ウォブリンググルーブ、
3 ストレートグルーブ、 21 第1の変調光学系、
22 第2の変調光学系、 23 第3の変調光学
系、 46 偏向光学系

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録トラックに沿ってグルーブが形成さ
    れてなる記録媒体であって、 上記グルーブとして、第1のグルーブと第2のグルーブ
    とが2重螺旋を描くように形成されてなり、 上記第1のグルーブ及び上記第2のグルーブの幅の変化
    量が±4.0%以内であることを特徴とする記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記第1及び第2のグルーブのうちの少
    なくとも一方は、少なくとも一部が蛇行するように形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記第1のグルーブ及び上記第2のグル
    ーブは、それらの中心位置の間隔が記録トラックのトラ
    ックピッチに対応するように形成されてなり、上記第1
    のグルーブ及び上記第2のグルーブの中心位置ずれ量
    は、トラックピッチの±1.89%以内であることを特
    徴とする請求項1記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】 第1のグルーブと第2のグルーブとが2
    重螺旋を描くように記録トラックに沿って形成されてな
    る記録媒体を製造する際に使用される記録媒体製造用原
    盤であって、 上記第1のグルーブに対応するように記録トラックに沿
    って所定の幅にて形成された凹凸パターンである第1の
    グルーブパターンと、 上記第2のグルーブに対応するように記録トラックに沿
    って所定の幅にて形成された凹凸パターンである第2の
    グルーブパターンとを有し、 上記第1のグルーブパターン及び上記第2のグルーブパ
    ターンの幅の変化量が±4.0%以内であることを特徴
    とする記録媒体製造用原盤。
  5. 【請求項5】 上記第1及び第2のグルーブパターンの
    うちの少なくとも一方は、少なくとも一部が蛇行するよ
    うに形成されていることを特徴とする請求項4記載の記
    録媒体製造用原盤。
  6. 【請求項6】 上記第1のグルーブパターン及び上記第
    2のグルーブパターンは、それらの中心位置の間隔が記
    録トラックのトラックピッチに対応するように形成され
    てなり、 上記第1のグルーブパターン及び上記第2のグルーブパ
    ターンの中心位置ずれ量は、トラックピッチの±1.8
    9%以内であることを特徴とする請求項4記載の記録媒
    体製造用原盤。
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