JPH11269660A - 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼 - Google Patents

耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼

Info

Publication number
JPH11269660A
JPH11269660A JP9542898A JP9542898A JPH11269660A JP H11269660 A JPH11269660 A JP H11269660A JP 9542898 A JP9542898 A JP 9542898A JP 9542898 A JP9542898 A JP 9542898A JP H11269660 A JPH11269660 A JP H11269660A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphoric acid
stainless steel
film
chromate
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9542898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3666626B2 (ja
Inventor
Masaya Yamamoto
雅也 山本
Shinya Furukawa
伸也 古川
Hirobumi Taketsu
博文 武津
Yukio Uchida
幸夫 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP09542898A priority Critical patent/JP3666626B2/ja
Publication of JPH11269660A publication Critical patent/JPH11269660A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3666626B2 publication Critical patent/JP3666626B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、初期発銹防止用のクロメ−ト皮
膜による黄色の着色がなく、しかも、取り扱いの際の指
紋付着も少ないステンレス鋼を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼をリン酸、リン酸化合物
のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で
洗浄して、表面から10nm以内の深さでのFe23
FeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで
0.1〜0.9とした後、全Crが1〜40g/Lで、6
価Cr含有量がCr6+/全Crの比率で0.1以下であ
るクロメ−ト処理液を塗布して、水洗することなく乾燥
させることにより、Cr付着量が5〜200mg/m2
であるクロメ−ト皮膜を形成し、さらに、その上にクリ
ヤ−有機樹脂皮膜を0.1〜5μm形成した。クロメ−
ト処理液にはリン酸もしくはリン酸化合物をP/全Cr
=0.1〜4.0の比率になるように添加してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面がクロメ−ト皮膜
により黄色に着色されず、取り扱いの際の指紋付着も少
ないステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来技術】ステンレス鋼は、耐食性に優れ、また、美
麗な外観肌を有するので、建材に使用する場合、その外
観肌を利用して、裸状態で使用することが多い。このた
め、例えば、ステンレス鋼板やステンレスパイプの場合
などは裸状態での使用に対応して種々の表面仕上げが用
意され、需要者の要求に対応できるようになっている。
駅や公会堂のような大勢の人々が集まるところに安全柵
や手摺り等ような構造物を設置する場合、ステンレス鋼
製にしているが、この構造物にも種々の仕上げのものが
使用されている。しかし、内外装材や構造物に使用する
場合は光沢の高い鏡面仕上げのものより肌の粗いHL仕
上げのものの要求が一般に多い。しかしながら、ステン
レス鋼は同一鋼種でも仕上げにより耐食性が変化し、肌
が粗いもの程耐食性が低下する。このため、HL仕上げ
のものを使用した場合には銹の発生が滑らかな仕上げの
ものより早くなる。
【0003】また、ステンレス鋼は、上記のように外観
肌が美麗なため、取り扱いの際に指紋を表面に付着させ
ると、目立ち易く、また、指紋が付着すると、指紋を起
点として変色や銹が発生し易い。特に、この指紋の付着
性は表面にクロメ−ト皮膜を形成すると一層目立ち易く
なる。
【0004】そこで、初期の変色や銹の発生を抑制する
ため、従来より種々の方法が提案されている。その代表
的な方法はクリヤ−有機樹脂塗料をステンレス鋼の表面
に塗装する方法である。しかし、ステンレス鋼にクリヤ
−塗装を施す場合、塗膜密着性と耐発銹性を向上させる
ため塗装前処理のクロメ−ト処理を6価Cr含有量の多
いものにすると、クロメ−ト皮膜の黄色味が強くなり、
ステンレス鋼本来の銀白色の金属外観が失われてしま
う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、初期の変色
や銹の発生抑制用のクロメ−ト皮膜による黄色の着色が
なく、しかも、取り扱いの際の指紋付着も少ないステン
レス鋼を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、ス
テンレス鋼をリン酸、リン酸化合物のいずれか一方また
は両方と硝酸とを含有する水溶液で洗浄して、表面から
10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p
3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで0.1〜0.9とし
た後、全Crが1〜40g/Lで、6価Cr含有量がC
6+/全Crの比率で0.1以下であるクロメ−ト処理
液を塗布して、水洗することなく乾燥させ、Cr付着量
が5〜200mg/m2であるクロメ−ト皮膜を形成
し、さらに、その上にクリヤ−有機樹脂皮膜を0.1〜
5μm形成したことを特徴とし、第2発明は第1発明に
おいて、クロメ−ト処理液がリン酸もしくはリン酸化合
物をP/全Cr=0.1〜4.0の比率になるように添加
したものであることを特徴としている。
【0007】
【作用】本発明者らは、耐発銹性に優れた無色クロメ−
ト皮膜の形成可能な処理液組成を検討した結果、クロメ
−ト処理液の6価Cr含有量を従来の限界とされている
量より極端に少なくして、クロメ−ト皮膜のCr付着量
を200mg/m2程度まで多くしても着色しないよう
にしたのである。すなわち、従来のクロメ−ト処理液で
は反応型、塗布型を問わず6価Crの最大含有量は全C
rの50%程度であったが、本発明では6価Cr含有量
をCr6+/全Crの比率で0.1以下にして、クロメ−
ト皮膜を無色にできるようにしたのである。
【0008】しかし、処理液の6価Cr含有量をCr6+
/全Crの比率で0.1以下にすると、ステンレス鋼に
塗布した場合に従来のクロメ−ト処理液よりハジキを生
じ易く、このハジキにはステンレス鋼の表層酸化皮膜の
中でFe23成分が大きく影響することが判明した。な
お、表層の酸化皮膜組成はステンレス鋼の鋼種や仕上げ
により異なるが、SUS304の2BおよびHL仕上げ
材の表面から10nm以内の深さでのFe23成分をX
PSにより分析した結果、Fe23とFeとのFe2p
3/2ピ−ク強度比はFe23/Feで3.0〜5.0であ
る。
【0009】そこで、ステンレス鋼の外観を損なうこと
なく表層のFe23成分を除去して、親水化できる方法
を鋭意検討した結果、リン酸、リン酸化合物のいずれか
一方または両方を含有する水溶液で洗浄すればよいこと
を見いだした。しかし、まだ親水化は不十分であった。
このため、さらに親水化できる方法を検討した結果、リ
ン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸と
を含有する水溶液で洗浄すればよいことを見いだした。
この水溶液洗浄によりステンレス鋼表面が親水性になる
原理はXPS分析結果から、Fe23成分除去のほかに
以下のように撥水性のCr酸化物がCr水酸化物に変化
するためであると推定される。
【0010】すなわち、図1から図3はステンレス鋼板
(SUS304、No.4仕上げ)の未処理材、リン酸
水溶液処理材、リン酸と硝酸の混酸水溶液処理材のXP
S分析チャ−トを示したものであるが、水溶液での処理
材はいずれも未処理材よりもFe23のFe2p3/2
−ク強度は小さくなり、逆にCr2p3/2ピ−クおよび
Ni2p3/2ピ−クの強度は大きくなっていて、表層酸
化皮膜のFe23は除去されていることがわかる。そし
て、Cr2p3/2ピ−ク強度では、未処理材に存在して
いたCr23ピ−クが洗浄により消滅して、Cr(O
H)3・nH2Oに変化している。また、水溶液の種類に
よる処理材のピ−ク強度を比較すると、リン酸水溶液処
理材よりリン酸と硝酸の混酸水溶液処理材の方がFe2
3のFe2p3/2ピ−ク強度が小さくなり、Ni2p
3/2ピ−ク強度やCr(OH)3・nH2OのCr2p3/2
ピ−ク強度が大きくなっている。しかも、Cr(OH)
3・nH2OのCr2p3/2ピ−ク強度は増加が著しい。
このことから、リン酸と硝酸の混酸水溶液処理材がリン
酸水溶液処理材より親水性が高くなるのはCr酸化物の
大部分がCr水酸化物に変化したためと考えられるので
ある。なお、リン酸化合物と硝酸とを含有する水溶液に
よる処理材の場合も同様の結果が得られる。
【0011】しかし、リン酸、リン酸化合物のいずれか
一方または両方と硝酸とを含有する水溶液による洗浄
は、ステンレス鋼の表面から10nm以内の深さでのF
23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比がFe23
/Feで0.1未満となるまで行うと、部分的にエッチ
ングが過剰になり、外観が阻害され、0.9を超えるま
で行うと、ハジキを防止できなくなる。このため、洗浄
はFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比が0.1
〜0.9の範囲になるように行う。なお、水溶液でのリ
ン酸や硝酸の濃度はリン酸1g/L以上、硝酸0.1g
/L以上にすると、洗浄時間を短時間にすることがで
き、作業性がよい。また、水溶液での洗浄後には水洗も
しくは湯洗を施し、その後引き続いてクロメ−ト皮膜を
形成するようにするのが好ましい。
【0012】クロメ−ト処理液は、皮膜の耐食性、処理
液のゲル化などの点から全Cr(3価と6価Crの合
計)を1〜40g/Lにする。1g/L未満であると、
6価Cr量が少ないため、クロメ−ト皮膜の耐食性が不
充分となり、40g/Lより多いと、処理液がゲル化し
易い傾向になる。また、クロメ−ト皮膜のCr付着量は
5〜200mg/m2にする。これは5mg/m2未満で
あると、ステンレス鋼に対する耐発銹性付与が不十分
で、200mg/m2を超えると、クロメ−ト皮膜の密
着性が低下するからである。クロメ−ト処理は、反応型
クロメ−ト処理液であると、クロメ−ト皮膜のCr付着
量を200mg/m2まで多くすることは困難であるの
で、塗布型のものを用いる。
【0013】クロメ−ト処理液には、クロム酸、クロム
酸塩、重クロム酸塩のような水溶性クロム化合物を含有
する水溶液を用いるが、6価Cr含有量をCr6+/全C
rの比率で0.1以下にするには、還元剤として、オキ
シカルボン酸化合物を用いれば、処理液をゲル化させる
ことなく可能である。ここで、オキシカルボン酸化合物
とは、例えば、酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸、グ
ルコ−ル酸、グリセリン酸、トロパ酸、ベンジル酸、ヒ
ドロキシ吉草酸等のように水酸基とカルボキシル基を有
するもので、水酸基が6価クロムを3価クロムに還元
し、カルボキシル基が3価クロムの化合物に配位して、
ゲル化を防止するものと考えられる。
【0014】クロメ−ト処理液には、リン酸またはリン
酸化合物を添加すると、形成されるクロメ−ト皮膜は難
溶性のリン酸クロム皮膜になり、ステンレス鋼の耐発銹
性を高めることができる。リン酸化合物としてはリン酸
二水素アンモニウム等のような水易溶性のものを用いる
が、添加量はP/全Cr=0.1〜4.0になるようにす
る。0.1未満であると、皮膜難溶化による耐発銹性向
上効果が小さく、4.0を超えると、処理液の安定性が
低下するようになる。
【0015】また、クロメ−ト処理液には、シリカゾル
を単独で、あるいは上記リン酸またはリン酸化合物とと
もに添加すると、クロメ−ト皮膜の耐発銹性、耐湿性等
を高めることができる。いずれの場合ともシリカゾルの
添加はSi/全Crの比率で0.5〜3.0の範囲にする
のが好ましい。0.5未満では耐発銹性向上効果が小さ
く、3.0を超えると、皮膜の密着性が低下する。
【0016】クロメ−ト皮膜の上に形成するクリヤ−有
機樹脂皮膜は、皮膜厚を0.1〜5μm形成する。皮膜
厚が0.1μmより薄いと、耐指紋性の向上が不十分
で、5μmより厚くなると、金属光沢が低下し、外観が
劣ってしまう。皮膜の有機樹脂は、特に制限はなく、エ
ポキシ系、フェノキシ系、フェノ−ル系、ポリエステル
系、ポリウレタン系、フタル酸系、アクリル系、フッ
素、シリコ−ン系などの樹脂を使用できる。これらの樹
脂は1種または2種以上でもよいが、水系樹脂エマルジ
ョンをベ−スにしたものが好ましい。また、有機樹脂の
分子量は重量平均分子量が5万未満であると密着性が不
十分となり、70万を超えると色むらが発生するので、
5万〜70万のものが好ましい。
【0017】ステンレス鋼板などは、ベンダ−加工、ロ
−ル成形加工、プレス加工などで内外装材に加工する場
合、表面に有機樹脂皮膜を形成してあっても、皮膜が破
断して、加工傷が発生する場合があるが、このような場
合、有機樹脂皮膜に合成樹脂粉末を添加しておくと、加
工傷発生を防止できる。しかし、合成樹脂粉末の粒径が
大きかったり、添加量が多すぎたりすると、皮膜が白化
し、ステンレス鋼の外観を損ねるので、粒径は平均粒径
で1.0μm以下のものにし、添加量は10mass%以下
にするのが好ましい。
【0018】ステンレス鋼へのクロメ−ト皮膜形成は、
クロメ−ト処理液を公知方法、例えば、ロ−ルコ−ト
法、エア−カ−テン法、静電霧化法、スクイズロ−ルコ
−ト法などにより塗布して、水洗せずに乾燥する方法で
行えばよく、また、クリヤ−有機樹脂皮膜の形成も水系
樹脂エマルジョンをロ−ルコ−ト法、スクイズロ−ルコ
−ト法などで塗布すればよい。
【0019】
【実施例】実施例1 全Cr濃度の異なるクロム酸アンモニウム水溶液に酒石
酸を添加して、6価クロムの大部分を3価クロムに還元
することにより種々のクロメ−ト処理液を調製した。次
に、この処理液をステンレス鋼板(SUS304、HL
仕上げ)に塗布して、乾燥させることによりクロメ−ト
皮膜を形成した後、クロメ−ト皮膜の上にクリヤ−ウレ
タン樹脂皮膜を形成した。クロメ−ト皮膜の形成はまず
ステンレス鋼板をアルカリ脱脂液中に5秒間浸漬して、
脱脂、湯洗し、次に、リン酸と硝酸の混酸水溶液(リン
酸12g/L、硝酸1.7g/L、液温60℃)中に5
秒間浸漬(鋼板表面から10nm以内の深さでのFe2
3とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比:Fe23/F
e=0.1)して、湯洗、乾燥し、最後にロ−ルコ−タ
−でクロメ−ト処理液を塗布する方法で行った。また、
クリヤ−ウレタン樹脂皮膜の形成はウレタン樹脂エマル
ジョンを所定の膜厚になるようにバ−コ−タ−により塗
布して、到達板温100℃で乾燥した。表1にクロメ−
ト処理液の組成と下記(1)の方法で実施した処理液の
安定性および(2)の方法で実施したクロメ−ト皮膜の
耐ハジキ性を示す。また、表2に下記(3)〜(8)の
方法で実施した有機樹脂皮膜性能を示す。
【0020】(1)クロメ−ト処理液の安定性試験 処理液をガラス容器中に密封して、40℃の雰囲気中に
放置する方法でゲル化が認められるまでの日数を観察
し、10日間放置してもゲル化や沈降の認められなかっ
たものを記号○、認められたものを記号×で評価した。 (2)クロメ−ト皮膜の耐ハジキ性試験 クロメ−ト処理液塗布後の鋼板表面を観察し、ハジキが
認められなかったものを記号○で、ハジキが生じたもの
を記号×で評価した。
【0021】(3)色調試験A(白化、色むら) 試験片の外観を観察して、白化あるいは色むらが認めら
れなかったものを記号○で、認められたものを記号×で
評価した。 (4)色調試験B(黄色味) 試験片の黄色度をJIS Z 8730に準拠したLa
b法でb値を測定して、b値が5.0未満のものを記号
○で、5.0以上のものを記号×で評価した。なお、b
値が大きい程黄色度が強い。
【0022】(5)有機樹脂皮膜の密着性試験 試験片にセロテ−プをいったん貼付けた後剥離するテ−
ピング試験を行い、皮膜剥離が認められなかったものを
記号○で、一部に皮膜剥離が認められたものを記号△
で、全面に皮膜剥離が認められたものを記号×で評価し
た。 (6)耐指紋性試験 人工指紋液に浸漬したゴム栓を試験片に押し付ける前後
の明度差をJIS Z8730に準じたLab法による
L値から測定して、ΔLが2未満のものを記号○で、2
以上、4未満のものを記号△で、4以上のものを記号×
で評価した。
【0023】(7)耐Cr6+溶出性試験 試験片を90℃の熱水中に3分間浸漬して、Cr6+の溶
出量を測定し、溶出量が1mg/m2未満のものを記号
○で、1mg/m2以上、5mg/m2未満のものを記号
△で、5mg/m2以上のものを記号×で評価した。 (8)耐発銹性試験 試験片を屋外に暴露して、発銹が認められるまでの日数
を観察し、6カ月以上発銹の認められなかったものを記
号◎で、3カ月以上、6カ月まで発銹の認められなかっ
たものを記号○で、1カ月以上、3カ月まで発銹の認め
られなかったものを記号△で、1カ月までに発銹の認め
られたものを記号×で評価した。
【0024】
【表1】 (注1)比較例5は処理液ゲル化のため、塗布困難で、
有機樹脂皮膜の形成も行わなかった。 (注2)比較例6はリン酸と硝酸の混酸水溶液での洗浄
を行わなかったので、クロメ−ト皮膜にハジキが生じ、
有機樹脂皮膜の形成は行わなかった。 (注3)比較例7はリン酸16g/Lのみの水溶液で洗
浄し、比較例8は硝酸3g/Lのみの水溶液で洗浄した
ので、クロメ−ト皮膜にハジキが生じ、有機樹脂皮膜の
形成は行わなかった。
【0025】
【表2】 (注)比較例5〜8は有機樹脂皮膜の形成を行わなかっ
たものである。
【0026】実施例2 実施例1において、クロメ−ト処理液を全Cr濃度が6
g/Lの重クロム酸ナトリウムの6価クロムの一部を酒
石酸の添加により3価クロムに還元した後、リン酸を添
加したものに変更して、クロメ−ト皮膜のCr付着量を
30mg/m2一定にした。そして、その上に重量平均
分子量が41万のウレタン樹脂エマルジョンを塗布し
て、皮膜厚が2.0μm一定のクリヤ−有機樹脂皮膜を
形成した。また、リン酸と硝酸の混酸水溶液を濃度がリ
ン酸1g/L、硝酸0.1g/Lのものに変更して、鋼板
表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのF
e2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Fe=0.9とし
た。表3にクロメ−ト処理液の組成と実施例1で実施し
た試験(1)および(2)の結果を、また、表4に実施
例1で行った試験(3)〜(8)の結果を示す。
【0027】
【表3】 (1)実施例20は処理液ゲル化のため、塗布困難で、
有機樹脂皮膜の形成も行わなかった。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】以上のように、ステンレス鋼をリン酸、
リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有
する水溶液で洗浄して、表面から10nm以内の深さで
のFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe2
3/Feで0.1〜0.9にすると、無色クロメ−ト皮
膜の形成される6価Cr含有量をCr6+/全Crの比率
で0.1以下にしたクロメ−ト処理液で処理しても、ハ
ジキが発生しない。また、このクロメ−ト処理液による
クロメ−ト皮膜は皮膜量を多くしても無色であるので、
クリヤ−有機樹脂皮膜の塗装前処理に使用してもステン
レス鋼の外観は変化せず、耐発銹性および耐指紋性に優
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】XPS分析によるFe2p3/2ピ−ク強度を示
すものである。
【図2】XPS分析によるCr2p3/2ピ−ク強度を示
すものである。
【図3】XPS分析によるNi2p3/2ピ−ク強度を示
すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 幸夫 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所表面処理研究部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼をリン酸、リン酸化合物
    のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で
    洗浄して、表面から10nm以内の深さでのFe23
    FeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで
    0.1〜0.9とした後、全Crが1〜40g/Lで、6
    価Cr含有量がCr6+/全Crの比率で0.1以下であ
    るクロメ−ト処理液を塗布して、水洗することなく乾燥
    させることにより、Cr付着量が5〜200mg/m2
    であるクロメ−ト皮膜を形成し、さらに、その上にクリ
    ヤ−有機樹脂皮膜を0.1〜5μm形成したことを特徴
    とする耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において、クロメ−ト処理液
    がリン酸もしくはリン酸化合物をP/全Cr=0.1〜
    4.0の比率になるように添加したものであることを特
    徴とする耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス
    鋼。
JP09542898A 1998-03-24 1998-03-24 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼 Expired - Fee Related JP3666626B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09542898A JP3666626B2 (ja) 1998-03-24 1998-03-24 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09542898A JP3666626B2 (ja) 1998-03-24 1998-03-24 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11269660A true JPH11269660A (ja) 1999-10-05
JP3666626B2 JP3666626B2 (ja) 2005-06-29

Family

ID=14137432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09542898A Expired - Fee Related JP3666626B2 (ja) 1998-03-24 1998-03-24 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3666626B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002040604A3 (de) * 2000-11-20 2002-12-12 Henkel Kgaa Anti-fingerabdruck-beschichtung von metalloberflächen und dazu geeignete zubereitungen

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002040604A3 (de) * 2000-11-20 2002-12-12 Henkel Kgaa Anti-fingerabdruck-beschichtung von metalloberflächen und dazu geeignete zubereitungen

Also Published As

Publication number Publication date
JP3666626B2 (ja) 2005-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE3247729A1 (de) Verfahren zur behandlung von metalloberflaechen, insbesondere solchen von aluminium, aluminiumlegierungen und stahl, sowie hierfuer geeignete waessrige badloesungen
US5395655A (en) Composition and process for chromating metal surfaces
JPS58177476A (ja) 電気亜鉛めつき鋼板の表面処理法
US2858244A (en) Oxidizing process for ferrous alloys containing at least 5% chromium
JPH11269660A (ja) 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼
US3437532A (en) Dark colored stainless steel surfaces
JP3698889B2 (ja) 耐発銹性に優れたステンレス鋼製構造物の製造方法
JP2004263240A (ja) 黒色六価クロムフリー鍍金処理システム
JPH0564237B2 (ja)
JPS6230262B2 (ja)
JPH11158651A (ja) 耐発銹性に優れたクロメ−ト処理ステンレス鋼板
JP3490249B2 (ja) 耐発銹性に優れたクロメ−ト処理ステンレス鋼板
GB1586804A (en) Treating zn or zn alloy surfaces
JPS63149387A (ja) インキの密着性が良好な塗装下地皮膜を有するキヤツプ用アルミニウム材料
JPH0580556B2 (ja)
JP2839971B2 (ja) 透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板の製造方法
KR102154174B1 (ko) 황동색 발색방법
JPS637877A (ja) 塗料密着性にすぐれたステンレス鋼の表面処理方法
KR20040016456A (ko) 환경친화형 크롬 무함유 내지문강판의 제조방법
JP3265416B2 (ja) 鋼材の表面処理方法
JPH0394073A (ja) 導電性塗装黒色めっき鋼板の製造方法
EP0532779A1 (en) Coated stainless steel strips and process for making
JP2709632B2 (ja) カチオン電着塗装用アルミニウム表面処理材
JP2000192251A (ja) クロメ−ト処理液および処理方法
JP3175475B2 (ja) 無塗装AlまたはAl合金部材、製造方法、洗浄方法、耐汚染性向上方法および表面被覆方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040510

A977 Report on retrieval

Effective date: 20041117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041124

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20050329

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050330

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080415

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090415

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090415

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100415

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100415

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110415

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees