JP3666626B2 - 耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼 - Google Patents

耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼 Download PDF

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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、表面がクロメ−ト皮膜により黄色に着色されず、取り扱いの際の指紋付着も少ないステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来技術】
ステンレス鋼は、耐食性に優れ、また、美麗な外観肌を有するので、建材に使用する場合、その外観肌を利用して、裸状態で使用することが多い。このため、例えば、ステンレス鋼板やステンレスパイプの場合などは裸状態での使用に対応して種々の表面仕上げが用意され、需要者の要求に対応できるようになっている。駅や公会堂のような大勢の人々が集まるところに安全柵や手摺り等ような構造物を設置する場合、ステンレス鋼製にしているが、この構造物にも種々の仕上げのものが使用されている。しかし、内外装材や構造物に使用する場合は光沢の高い鏡面仕上げのものより肌の粗いHL仕上げのものの要求が一般に多い。しかしながら、ステンレス鋼は同一鋼種でも仕上げにより耐食性が変化し、肌が粗いもの程耐食性が低下する。このため、HL仕上げのものを使用した場合には銹の発生が滑らかな仕上げのものより早くなる。
【0003】
また、ステンレス鋼は、上記のように外観肌が美麗なため、取り扱いの際に指紋を表面に付着させると、目立ち易く、また、指紋が付着すると、指紋を起点として変色や銹が発生し易い。特に、この指紋の付着性は表面にクロメ−ト皮膜を形成すると一層目立ち易くなる。
【0004】
そこで、初期の変色や銹の発生を抑制するため、従来より種々の方法が提案されている。その代表的な方法はクリヤ−有機樹脂塗料をステンレス鋼の表面に塗装する方法である。しかし、ステンレス鋼にクリヤ−塗装を施す場合、塗膜密着性と耐発銹性を向上させるため塗装前処理のクロメ−ト処理を6価Cr含有量の多いものにすると、クロメ−ト皮膜の黄色味が強くなり、ステンレス鋼本来の銀白色の金属外観が失われてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初期の変色や銹の発生抑制用のクロメ−ト皮膜による黄色の着色がなく、しかも、取り扱いの際の指紋付着も少ないステンレス鋼を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明は、ステンレス鋼をリン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で洗浄して、表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで0.1〜0.9とした後、全Crが1〜40g/Lで、6価Cr含有量がCr6+/全Crの比率で0.1以下であるクロメ−ト処理液を塗布して、水洗することなく乾燥させ、Cr付着量が5〜200mg/m2であるクロメ−ト皮膜を形成し、さらに、その上にクリヤ−有機樹脂皮膜を0.1〜5μm形成したことを特徴とし、第2発明は第1発明において、クロメ−ト処理液がリン酸もしくはリン酸化合物をP/全Cr=0.1〜4.0の比率になるように添加したものであることを特徴としている。
【0007】
【作用】
本発明者らは、耐発銹性に優れた無色クロメ−ト皮膜の形成可能な処理液組成を検討した結果、クロメ−ト処理液の6価Cr含有量を従来の限界とされている量より極端に少なくして、クロメ−ト皮膜のCr付着量を200mg/m2程度まで多くしても着色しないようにしたのである。すなわち、従来のクロメ−ト処理液では反応型、塗布型を問わず6価Crの最大含有量は全Crの50%程度であったが、本発明では6価Cr含有量をCr6+/全Crの比率で0.1以下にして、クロメ−ト皮膜を無色にできるようにしたのである。
【0008】
しかし、処理液の6価Cr含有量をCr6+/全Crの比率で0.1以下にすると、ステンレス鋼に塗布した場合に従来のクロメ−ト処理液よりハジキを生じ易く、このハジキにはステンレス鋼の表層酸化皮膜の中でFe23成分が大きく影響することが判明した。なお、表層の酸化皮膜組成はステンレス鋼の鋼種や仕上げにより異なるが、SUS304の2BおよびHL仕上げ材の表面から10nm以内の深さでのFe23成分をXPSにより分析した結果、Fe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比はFe23/Feで3.0〜5.0である。
【0009】
そこで、ステンレス鋼の外観を損なうことなく表層のFe23成分を除去して、親水化できる方法を鋭意検討した結果、リン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方を含有する水溶液で洗浄すればよいことを見いだした。しかし、まだ親水化は不十分であった。このため、さらに親水化できる方法を検討した結果、リン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で洗浄すればよいことを見いだした。この水溶液洗浄によりステンレス鋼表面が親水性になる原理はXPS分析結果から、Fe23成分除去のほかに以下のように撥水性のCr酸化物がCr水酸化物に変化するためであると推定される。
【0010】
すなわち、図1から図3はステンレス鋼板(SUS304、No.4仕上げ)の未処理材、リン酸水溶液処理材、リン酸と硝酸の混酸水溶液処理材のXPS分析チャ−トを示したものであるが、水溶液での処理材はいずれも未処理材よりもFe23のFe2p3/2ピ−ク強度は小さくなり、逆にCr2p3/2ピ−クおよびNi2p3/2ピ−クの強度は大きくなっていて、表層酸化皮膜のFe23は除去されていることがわかる。そして、Cr2p3/2ピ−ク強度では、未処理材に存在していたCr23ピ−クが洗浄により消滅して、Cr(OH)3・nH2Oに変化している。また、水溶液の種類による処理材のピ−ク強度を比較すると、リン酸水溶液処理材よりリン酸と硝酸の混酸水溶液処理材の方がFe23のFe2p3/2ピ−ク強度が小さくなり、Ni2p3/2ピ−ク強度やCr(OH)3・nH2OのCr2p3/2ピ−ク強度が大きくなっている。しかも、Cr(OH)3・nH2OのCr2p3/2ピ−ク強度は増加が著しい。このことから、リン酸と硝酸の混酸水溶液処理材がリン酸水溶液処理材より親水性が高くなるのはCr酸化物の大部分がCr水酸化物に変化したためと考えられるのである。なお、リン酸化合物と硝酸とを含有する水溶液による処理材の場合も同様の結果が得られる。
【0011】
しかし、リン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液による洗浄は、ステンレス鋼の表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比がFe23/Feで0.1未満となるまで行うと、部分的にエッチングが過剰になり、外観が阻害され、0.9を超えるまで行うと、ハジキを防止できなくなる。このため、洗浄はFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比が0.1〜0.9の範囲になるように行う。なお、水溶液でのリン酸や硝酸の濃度はリン酸1g/L以上、硝酸0.1g/L以上にすると、洗浄時間を短時間にすることができ、作業性がよい。また、水溶液での洗浄後には水洗もしくは湯洗を施し、その後引き続いてクロメ−ト皮膜を形成するようにするのが好ましい。
【0012】
クロメ−ト処理液は、皮膜の耐食性、処理液のゲル化などの点から全Cr(3価と6価Crの合計)を1〜40g/Lにする。1g/L未満であると、6価Cr量が少ないため、クロメ−ト皮膜の耐食性が不充分となり、40g/Lより多いと、処理液がゲル化し易い傾向になる。また、クロメ−ト皮膜のCr付着量は5〜200mg/m2にする。これは5mg/m2未満であると、ステンレス鋼に対する耐発銹性付与が不十分で、200mg/m2を超えると、クロメ−ト皮膜の密着性が低下するからである。クロメ−ト処理は、反応型クロメ−ト処理液であると、クロメ−ト皮膜のCr付着量を200mg/m2まで多くすることは困難であるので、塗布型のものを用いる。
【0013】
クロメ−ト処理液には、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩のような水溶性クロム化合物を含有する水溶液を用いるが、6価Cr含有量をCr6+/全Crの比率で0.1以下にするには、還元剤として、オキシカルボン酸化合物を用いれば、処理液をゲル化させることなく可能である。ここで、オキシカルボン酸化合物とは、例えば、酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸、グルコ−ル酸、グリセリン酸、トロパ酸、ベンジル酸、ヒドロキシ吉草酸等のように水酸基とカルボキシル基を有するもので、水酸基が6価クロムを3価クロムに還元し、カルボキシル基が3価クロムの化合物に配位して、ゲル化を防止するものと考えられる。
【0014】
クロメ−ト処理液には、リン酸またはリン酸化合物を添加すると、形成されるクロメ−ト皮膜は難溶性のリン酸クロム皮膜になり、ステンレス鋼の耐発銹性を高めることができる。リン酸化合物としてはリン酸二水素アンモニウム等のような水易溶性のものを用いるが、添加量はP/全Cr=0.1〜4.0になるようにする。0.1未満であると、皮膜難溶化による耐発銹性向上効果が小さく、4.0を超えると、処理液の安定性が低下するようになる。
【0015】
また、クロメ−ト処理液には、シリカゾルを単独で、あるいは上記リン酸またはリン酸化合物とともに添加すると、クロメ−ト皮膜の耐発銹性、耐湿性等を高めることができる。いずれの場合ともシリカゾルの添加はSi/全Crの比率で0.5〜3.0の範囲にするのが好ましい。0.5未満では耐発銹性向上効果が小さく、3.0を超えると、皮膜の密着性が低下する。
【0016】
クロメ−ト皮膜の上に形成するクリヤ−有機樹脂皮膜は、皮膜厚を0.1〜5μm形成する。皮膜厚が0.1μmより薄いと、耐指紋性の向上が不十分で、5μmより厚くなると、金属光沢が低下し、外観が劣ってしまう。皮膜の有機樹脂は、特に制限はなく、エポキシ系、フェノキシ系、フェノ−ル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フタル酸系、アクリル系、フッ素、シリコ−ン系などの樹脂を使用できる。これらの樹脂は1種または2種以上でもよいが、水系樹脂エマルジョンをベ−スにしたものが好ましい。また、有機樹脂の分子量は重量平均分子量が5万未満であると密着性が不十分となり、70万を超えると色むらが発生するので、5万〜70万のものが好ましい。
【0017】
ステンレス鋼板などは、ベンダ−加工、ロ−ル成形加工、プレス加工などで内外装材に加工する場合、表面に有機樹脂皮膜を形成してあっても、皮膜が破断して、加工傷が発生する場合があるが、このような場合、有機樹脂皮膜に合成樹脂粉末を添加しておくと、加工傷発生を防止できる。しかし、合成樹脂粉末の粒径が大きかったり、添加量が多すぎたりすると、皮膜が白化し、ステンレス鋼の外観を損ねるので、粒径は平均粒径で1.0μm以下のものにし、添加量は10mass%以下にするのが好ましい。
【0018】
ステンレス鋼へのクロメ−ト皮膜形成は、クロメ−ト処理液を公知方法、例えば、ロ−ルコ−ト法、エア−カ−テン法、静電霧化法、スクイズロ−ルコ−ト法などにより塗布して、水洗せずに乾燥する方法で行えばよく、また、クリヤ−有機樹脂皮膜の形成も水系樹脂エマルジョンをロ−ルコ−ト法、スクイズロ−ルコ−ト法などで塗布すればよい。
【0019】
【実施例】
実施例1
全Cr濃度の異なるクロム酸アンモニウム水溶液に酒石酸を添加して、6価クロムの大部分を3価クロムに還元することにより種々のクロメ−ト処理液を調製した。次に、この処理液をステンレス鋼板(SUS304、HL仕上げ)に塗布して、乾燥させることによりクロメ−ト皮膜を形成した後、クロメ−ト皮膜の上にクリヤ−ウレタン樹脂皮膜を形成した。クロメ−ト皮膜の形成はまずステンレス鋼板をアルカリ脱脂液中に5秒間浸漬して、脱脂、湯洗し、次に、リン酸と硝酸の混酸水溶液(リン酸12g/L、硝酸1.7g/L、液温60℃)中に5秒間浸漬(鋼板表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比:Fe23/Fe=0.1)して、湯洗、乾燥し、最後にロ−ルコ−タ−でクロメ−ト処理液を塗布する方法で行った。また、クリヤ−ウレタン樹脂皮膜の形成はウレタン樹脂エマルジョンを所定の膜厚になるようにバ−コ−タ−により塗布して、到達板温100℃で乾燥した。表1にクロメ−ト処理液の組成と下記(1)の方法で実施した処理液の安定性および(2)の方法で実施したクロメ−ト皮膜の耐ハジキ性を示す。また、表2に下記(3)〜(8)の方法で実施した有機樹脂皮膜性能を示す。
【0020】
(1)クロメ−ト処理液の安定性試験
処理液をガラス容器中に密封して、40℃の雰囲気中に放置する方法でゲル化が認められるまでの日数を観察し、10日間放置してもゲル化や沈降の認められなかったものを記号○、認められたものを記号×で評価した。
(2)クロメ−ト皮膜の耐ハジキ性試験
クロメ−ト処理液塗布後の鋼板表面を観察し、ハジキが認められなかったものを記号○で、ハジキが生じたものを記号×で評価した。
【0021】
(3)色調試験A(白化、色むら)
試験片の外観を観察して、白化あるいは色むらが認められなかったものを記号○で、認められたものを記号×で評価した。
(4)色調試験B(黄色味)
試験片の黄色度をJIS Z 8730に準拠したLab法でb値を測定して、b値が5.0未満のものを記号○で、5.0以上のものを記号×で評価した。なお、b値が大きい程黄色度が強い。
【0022】
(5)有機樹脂皮膜の密着性試験
試験片にセロテ−プをいったん貼付けた後剥離するテ−ピング試験を行い、皮膜剥離が認められなかったものを記号○で、一部に皮膜剥離が認められたものを記号△で、全面に皮膜剥離が認められたものを記号×で評価した。
(6)耐指紋性試験
人工指紋液に浸漬したゴム栓を試験片に押し付ける前後の明度差をJIS Z8730に準じたLab法によるL値から測定して、ΔLが2未満のものを記号○で、2以上、4未満のものを記号△で、4以上のものを記号×で評価した。
【0023】
(7)耐Cr6+溶出性試験
試験片を90℃の熱水中に3分間浸漬して、Cr6+の溶出量を測定し、溶出量が1mg/m2未満のものを記号○で、1mg/m2以上、5mg/m2未満のものを記号△で、5mg/m2以上のものを記号×で評価した。
(8)耐発銹性試験
試験片を屋外に暴露して、発銹が認められるまでの日数を観察し、6カ月以上発銹の認められなかったものを記号◎で、3カ月以上、6カ月まで発銹の認められなかったものを記号○で、1カ月以上、3カ月まで発銹の認められなかったものを記号△で、1カ月までに発銹の認められたものを記号×で評価した。
【0024】
【表1】
Figure 0003666626
(注1)比較例5は処理液ゲル化のため、塗布困難で、有機樹脂皮膜の形成も行わなかった。
(注2)比較例6はリン酸と硝酸の混酸水溶液での洗浄を行わなかったので、クロメ−ト皮膜にハジキが生じ、有機樹脂皮膜の形成は行わなかった。
(注3)比較例7はリン酸16g/Lのみの水溶液で洗浄し、比較例8は硝酸3g/Lのみの水溶液で洗浄したので、クロメ−ト皮膜にハジキが生じ、有機樹脂皮膜の形成は行わなかった。
【0025】
【表2】
Figure 0003666626
(注)比較例5〜8は有機樹脂皮膜の形成を行わなかったものである。
【0026】
実施例2
実施例1において、クロメ−ト処理液を全Cr濃度が6g/Lの重クロム酸ナトリウムの6価クロムの一部を酒石酸の添加により3価クロムに還元した後、リン酸を添加したものに変更して、クロメ−ト皮膜のCr付着量を30mg/m2一定にした。そして、その上に重量平均分子量が41万のウレタン樹脂エマルジョンを塗布して、皮膜厚が2.0μm一定のクリヤ−有機樹脂皮膜を形成した。また、リン酸と硝酸の混酸水溶液を濃度がリン酸1g/L、硝酸0.1g/Lのものに変更して、鋼板表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Fe=0.9とした。表3にクロメ−ト処理液の組成と実施例1で実施した試験(1)および(2)の結果を、また、表4に実施例1で行った試験(3)〜(8)の結果を示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003666626
(1)実施例20は処理液ゲル化のため、塗布困難で、有機樹脂皮膜の形成も行わなかった。
【0028】
【表4】
Figure 0003666626
【0029】
【発明の効果】
以上のように、ステンレス鋼をリン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で洗浄して、表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで0.1〜0.9にすると、無色クロメ−ト皮膜の形成される6価Cr含有量をCr6+/全Crの比率で0.1以下にしたクロメ−ト処理液で処理しても、ハジキが発生しない。また、このクロメ−ト処理液によるクロメ−ト皮膜は皮膜量を多くしても無色であるので、クリヤ−有機樹脂皮膜の塗装前処理に使用してもステンレス鋼の外観は変化せず、耐発銹性および耐指紋性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】XPS分析によるFe2p3/2ピ−ク強度を示すものである。
【図2】XPS分析によるCr2p3/2ピ−ク強度を示すものである。
【図3】XPS分析によるNi2p3/2ピ−ク強度を示すものである。

Claims (2)

  1. ステンレス鋼をリン酸、リン酸化合物のいずれか一方または両方と硝酸とを含有する水溶液で洗浄して、表面から10nm以内の深さでのFe23とFeとのFe2p3/2ピ−ク強度比をFe23/Feで0.1〜0.9とした後、全Crが1〜40g/Lで、6価Cr含有量がCr6+/全Crの比率で0.1以下であるクロメ−ト処理液を塗布して、水洗することなく乾燥させることにより、Cr付着量が5〜200mg/m2であるクロメ−ト皮膜を形成し、さらに、その上にクリヤ−有機樹脂皮膜を0.1〜5μm形成したことを特徴とする耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼。
  2. 請求項1において、クロメ−ト処理液がリン酸もしくはリン酸化合物をP/全Cr=0.1〜4.0の比率になるように添加したものであることを特徴とする耐発銹性および耐指紋性に優れたステンレス鋼。
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