JPH11269622A - Nb超微粒子とその製造方法 - Google Patents
Nb超微粒子とその製造方法Info
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Abstract
や制御が可能なNb超微粒子を再現性よく得ることを可
能にする。 【解決手段】 アモルファスカーボン支持膜1上にNb
2 O5 粒子2を配置し、このNb2 O5 粒子2に対して
高真空雰囲気中で強度が1021〜1022e/cm2 ・secの電子
線3を照射し、Nb2 O5 粒子2の周囲にNb2 O5-x
超微粒子4を生成すると同時に、例えば直径30nm以下の
粒子径を有するNb超微粒子5が生成する。さらに、生
成したNb2 O5-x 超微粒子4に強度が1020〜1021e/cm
2 ・sec の電子線を照射し、Nb2 O5-x 超微粒子4か
ら酸素を離脱させることによっても、例えば直径30nm以
下の粒子径を有するNb超微粒子5が生成する。
Description
の製造方法に関する。
いうように超微粒子化すると、通常の粒子(例えば 1μ
m 以上)とは異なる特性が出現する。これは、例えば超
微粒子では全原子数に対して表面に存在する原子数が増
加するために、粒子の特性に対して表面エネルギーの影
響が無視できなくなったり、また通常のバルク材で問題
となる残留歪みの影響を免れることができるなどに基づ
くものである。
や焼結温度などが低下したり、場合よってはバルクに比
べて高硬度を示すなど、バルク材とは異なる特性を示
す。さらに、超微粒子が複数存在する場合には、それら
の間にトンネル効果が生じたり、量子井戸、ミニバン
ド、量子細線などの量子力学的効果が発現する可能性が
ある。また、超微粒子の種類によっては高い触媒特性が
得られるなど、各種材料の高機能化の可能性を有してい
る。このように、超微粒子は化学的性質、機械的性質、
電気的性質、熱的性質など、種々の特性に優れるもので
ある。
優れた特性を利用することによって、各種材料の特性改
善、各種デバイスや触媒などの機能材料への応用などが
可能であることから、超微粒子の物性や応用に関する研
究などが進められている。さらに、ナノオーダーの超微
粒子の特性を維持した集合体、例えばナノ結晶薄膜を得
ることができれば、例えばデバイス材料や機能材料など
としての応用可能性がより一層高まるものと期待されて
いる。
ては、以下に示すような物理的方法や化学的方法が知ら
れている。すなわち、物理的な超微粒子の製造方法とし
ては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成
法、流動油上真空蒸発法などが例示される。また、液相
を利用した化学的な超微粒子の製造方法としては、コロ
イド法、アルコキシド法、共沈法などが、さらに気相を
利用した化学的な超微粒子の製造方法としては、有機金
属化合物の熱分解法、金属塩化物の還元・酸化・窒化
法、水素中還元法、溶媒蒸発法などが例示される。これ
らの方法はいずれも超微粒子を集合体として、すなわち
超微粉体として得る方法であり、超微粒子単体としての
性質や応用に関する研究には不向きである。
のような準安定Al酸化物粒子に高真空雰囲気中で 1×
1020e/cm2 ・sec 程度の強度を有する電子線を照射し
て、Al超微粒子を生成する方法を提案している(特開
平8-217419号公報参照)。この方法によれば、Al超微
粒子を粒子単体として得ることができ、さらにはその形
状や結晶方位などを制御することができる。
た方法はあくまでもAl超微粒子を主として開発された
ものであるため、必ずしも全ての金属に対して超微粒子
の作製条件が適合するとは言えない。
おり、このようなNbの材料特性と超微粒子に基づく特
性の双方を満足するNb超微粒子が得られれば、Al超
微粒子とは異なる用途への応用展開が期待されるが、軽
金属に属するAlと重金属に属するNbとでは、それら
の酸化物粒子などに電子線を照射した際の挙動が大きく
異なるため、上記したAl超微粒子の作製条件を単にN
b超微粒子の作製に適用しても、良好な結晶性を有する
Nb超微粒子を再現性よく得ることはできない。これは
Nb超微粒子のデバイスや各種機能材料などへの応用展
開の妨げとなっている。
性よく得ることを可能にした超微粒子の作製条件の開発
が求められている。さらに、前述したように、ナノオー
ダーの超微粒子の特性を維持した集合体、例えばナノ結
晶薄膜を得ることができれば、例えばデバイス材料や機
能材料などへの応用展開の実現性がより一層高まるもの
と期待されるため、Nb超微粒子を用いたナノ結晶薄膜
の作製を可能にすることが求められている。
ば真空蒸着法、レーザーアブレーション法、スパッタリ
ング法などに代表されるPVD法やCVD法、さらには
これら膜形成技術の制御性などを改善した分子線エピタ
キシー法(MBE法)、有機金属気相エピタキシー法
(MOVPE法)などでは、成膜基板に起因する膜の単
結晶化や成膜初期過程の不均一性、さらには基板加熱な
どに基く結晶粒の成長などにより、結晶粒サイズをナノ
オーダーで均一制御することは極めて難しい。
になされたものであって、粒子単体もしくは融合体など
として各種操作や制御が可能なNb超微粒子を再現性よ
く得ることを可能にしたNb超微粒子およびその製造方
法を提供することを目的としている。
b超微粒子を得るために鋭意研究を進めた結果、Nb酸
化物粒子に電子線を照射してNb超微粒子を作製する場
合には、以下に示すような電子線強度が有効であること
を見出した。
ーのNb2 O5 粒子に1021〜1022e/cm2 ・sec の範囲の
強度を有する電子線を照射すると、Nb2 O5 粒子の周
囲近傍にはNb2 O5-x 超微粒子が生成し、Nb2 O5
粒子から比較的離れた位置にはNb超微粒子が生成す
る。このように、Nb2 O5 粒子に対して1021〜1022e/
cm2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射すること
によって、Nb超微粒子を得ることができる。さらに、
Nb2 O5 粒子の周囲近傍に生成されたNb2 O5-x 超
微粒子に対して、さらに1020〜1021e/cm2 ・sec の範囲
の強度を有する電子線を照射することによっても、Nb
超微粒子を得ることができる。
る電子線の強度が1021e/cm2 ・sec未満であると、Nb
2 O5 粒子を活性化することができず、Nb超微粒子お
よびNb2 O5-x 超微粒子のいずれも生成することがで
きない。言い換えると、強度が1021e/cm2 ・sec 以上の
電子線をNb2 O5 粒子に照射すると、Nb2 O5 粒子
の脆弱破壊と呼べるような現象が生じ、その周囲に多数
のNb2 O5-x 超微粒子が生成すると共に、Nb2 O5
粒子から比較的離れた位置にNb超微粒子を生成するこ
とができる。また、Nb2 O5-x 超微粒子にさらに電子
線を照射して、酸素を離脱させることによって、Nb2
O5-x 超微粒子より小径のNb超微粒子を得ることがで
きる。
sec を超えると、Nb2 O5 粒子に加えられるエネルギ
ーが大きくなりすぎ、上記したようにNb2 O5 粒子か
らNb超微粒子やNb2 O5-x 超微粒子を安定して生成
することができない。また、Nb超微粒子が生成したと
しても、照射ダメージにより良好な結晶状態のNb超微
粒子を得ることはできない。これらにはNb酸化物の結
晶構造、Nbの原子量、Nbと酸素との結合エネルギー
なとが影響しているものと考えられる。
たもので、本発明のNb微粒子は請求項1に記載したよ
うに、高真空雰囲気中におけるNb酸化物粒子への電子
線照射により形成されたNb超微粒子であって、前記N
b酸化物粒子に1021〜1022e/cm2 ・sec の範囲の強度を
有する電子線を照射することにより、前記Nb酸化物粒
子から離脱させたNb原子またはNb酸化物超微粒子を
構成するNb原子からなることを特徴としている。
したように、例えば直径30nm以下の粒子径を有する。ま
た、本発明のNb超微粒子の存在形態は、例えば請求項
3に記載したように、Nb超微粒子を粒子単体として存
在させることに限らず、例えば請求項4に記載したよう
に、複数のNb超微粒子を融合させた状態で存在させる
こともできる。この場合の具体例としては、請求項5に
記載したように、例えば複数のNb超微粒子を融合させ
たナノ結晶薄膜が挙げられる。
は、請求項6に記載したように、アモルファスカーボン
支持膜上に、Nb酸化物粒子を配置する工程と、前記N
b酸化物粒子に対して高真空雰囲気中で1021〜1022e/cm
2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射し、前記N
b酸化物粒子からNb超微粒子を生成する工程とを有す
ることを特徴としている。
は、請求項7に記載したように、アモルファスカーボン
支持膜上に、Nb酸化物粒子を配置する工程と、前記N
b酸化物粒子に対して高真空雰囲気中で1021〜1022e/cm
2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射し、前記N
b酸化物粒子の周囲に酸素欠損を有するNb酸化物超微
粒子を生成する工程と、前記Nb酸化物超微粒子に対し
て高真空雰囲気中で1020〜1021e/cm2 ・sec の範囲の強
度を有する電子線を照射し、前記Nb酸化物超微粒子か
ら酸素を離脱させてNb超微粒子を生成する工程とを有
することを特徴としている。
は、請求項8に記載したように、さらに生成した複数の
Nb超微粒子に電子線を照射して、これら複数のNb超
微粒子を相互に融合させることも可能である。本発明の
Nb超微粒子の製造方法においては、例えば請求項9に
記載したように、電子線は 1×10-5Pa以下の真空雰囲気
中で照射することが望ましい。
態について説明する。
作製状態を模式的に示す図である。図1において、1は
アモルファスカーボン支持膜である。まず、アモルファ
スカーボン支持膜1上にNb超微粒子の作製原料となる
Nb酸化物粒子2を配置する。Nb酸化物粒子2として
は種々の酸化ニオブ、例えばNb2 O5 、Nb2 O3、
NbO2 などを使用することができる。
電子線照射によりNb2 O5-x などの酸素欠損を有する
Nb酸化物超微粒子やNb超微粒子を再現性よく作製す
ることができる。また、電子線照射によりNbとの結合
が切れて離脱した酸素は、例えばアモルファスカーボン
支持膜1により還元されるため、高純度のNb超微粒子
が得られる。このような理由から、本発明ではNb超微
粒子の作製原料としてNb2 O5 などのNb酸化物粒子
2が用いられる。
れるものではないが、例えば0.05〜10μm 程度の粒子径
を有することが好ましい。当初のNb酸化物粒子2の粒
子径があまり小さいと、Nb超微粒子を十分に生成でき
ないおそれがあり、一方あまり大きいと後述する電子線
を用いても均一に活性化できないおそれがある。
配置したNb酸化物粒子2に対して、1021〜1022e/cm2
・sec の範囲の強度を有する電子線3を照射する。電子
線3の照射は高真空雰囲気中で行うものとし、具体的に
は 1×10-5Pa以下の真空雰囲気中で電子線3を照射する
ことが好ましい。さらに、電子線3の照射時に基板加熱
などは行わず、常温下で電子線3を照射する。
b2 O5 粒子などのNb酸化物粒子2に照射すると、N
b2 O5 粒子2が活性化され、母材粒子としてのNb2
O5粒子2の周囲にNb2 O5-x などの酸素欠損を有す
るNb酸化物超微粒子4が爆発的に生成する。この際
に、母材粒子としてのNb2 O5 粒子2から比較的離れ
た位置に、Nb超微粒子5が生成する。このような一段
階の電子線3の照射によっても、良好なNb超微粒子5
を生成することができる。得られるNb超微粒子5の粒
子径は直径 2〜30nm程度であり、Nb2 O5-x 超微粒子
4の粒子径(直径)は20〜70nm程度となる。なお、得ら
れるNb超微粒子5は、複数の超微粒子の融合体からな
る場合もある。
5-x 超微粒子4およびNb超微粒子5の生成は、電子線
3照射によるNb2 O5 粒子2の脆弱破壊と呼べるよう
な現象に基づくものであり、通常の液体や気体における
高温からの冷却過程での結晶化や前述したθ−Al2 O
3 からα−Al2 O3 への変態、θ−Al2 O3 やα−
Al2 O3 からAlへの生成とは異なるものである。
は、蒸発・凝縮工程の結果として生じる原子レベルでの
成長や再配列などに基づくものであると考えられ、同時
にNb2 O5 粒子2から比較的離れた位置まで飛翔した
粒子ではNb−O結合が切れ、酸素が脱離することでN
b超微粒子5が生成するものと考えられる。この際、電
子線3照射時の雰囲気が真空雰囲気であることに加え
て、Nb2 O5 粒子2は還元作用を有するアモルファス
カーボン支持膜1上に配置されていることから、酸素の
脱離が促進される。Nb超微粒子5の生成には、電子線
衝撃脱離(ESD:Electron Stimulated Desorption)やスパ
ッタリング効果などによる酸素の脱離も影響しているも
のと考えられる。
微粒子5を再現性よく形成するためには、Nb2 O5 粒
子2に照射する電子線3の強度を1021〜1022e/cm2 ・se
c の範囲に制御することが重要である。電子線3の強度
が1021e/cm2 ・sec 未満であると、Nb2 O5 粒子2を
十分に活性化することができず、Nb2 O5-x 超微粒子
4およびNb超微粒子5のいずれも生成することができ
ない。言い換えると、強度が1021e/cm2 ・sec 以上の電
子線3をNb2 O5 粒子2に照射すると、Nb2 O5 粒
子2の脆弱破壊が生じて、その周囲に多数のNb2 O
5-x 超微粒子4が生成すると同時に、Nb2 O5 粒子2
から比較的離れた位置にNb超微粒子5が生成する。
sec を超えると、Nb2 O5 粒子2に加えられるエネル
ギーが大きくなりすぎ、上記したようにNb2 O5-x 超
微粒子4やNb超微粒子5を安定して生成することがで
きない。また、Nb超微粒子5が生成したとしても、照
射ダメージにより良好な結晶状態のNb超微粒子を得る
ことはできない。これらにはNb酸化物の結晶構造、N
bの原子量、Nbと酸素との結合エネルギーなとが影響
しているものと考えられる。
する際の雰囲気は、 1×10-5Pa以下の真空雰囲気とする
ことが好ましい。電子線照射時の雰囲気が 1×10-5Paを
超えるとNb2 O5-x の蒸発・凝縮、さらには酸素の脱
離によるNb超微粒子5の生成を良好に生じさせること
ができない。
21〜1022e/cm2 ・sec の強度を有する電子線3の照射に
よって、図1に示したようにNb超微粒子5を得ること
ができる。また、図2に示すように、得られたNb2 O
5-x 超微粒子4にさらに電子線3′を照射することによ
っても、Nb2 O5-x 超微粒子4より小径のNb超微粒
子5を再現性よく得ることができる。
れたNb2 O5-x 超微粒子4に対して、1020〜1021e/cm
2 ・sec の範囲の強度を有する電子線3′を照射する。
電子線3′の照射は高真空雰囲気中で行うものとし、具
体的には 1×10-5Pa以下の真空雰囲気中で電子線3′を
照射することが好ましい。この電子線3′の照射も常温
下で実施する。
Nb2 O5-x 超微粒子4に照射すると、Nb2 O5-x 超
微粒子4の表面や界面にダメージや欠陥が生じ、さらに
は電子線衝撃脱離(ESD:Electron Stimulated Desorptio
n)やスパッタリング効果などによって、結晶面から酸素
(O)が脱離する。電子線3′照射時の雰囲気が真空雰
囲気であることに加えて、還元作用を有するアモルファ
スカーボン支持膜1上に配置されていることから、Nb
2 O5-x 超微粒子4からの酸素の脱離が促進される。
にホール状格子やモワレ状格子などが生じる。Nb2 O
5-x 超微粒子4のダメージは、電子線3′の照射時間の
増加と共に大きくなり、徐々にNb2 O5-x 超微粒子4
からNb超微粒子5への変化を引き起こす。すなわち、
図2(b)に示すように、電子線3′の照射領域FにN
b超微粒子5が生成する。
b2 O5-x 超微粒子4の表面でNb−Oの結合が切れて
酸素が失われ、その結果として空孔などが形成される。
(2)Nb原子は酸素が失われた位置を埋めるように再配
列する。このような酸素の脱離工程を経て、さらに (3)
電子線3′の照射により印加されたエネルギーに基づい
て、Nb格子のbcc結晶構造への原子の再配置やマイ
グレーションが起こり、最終的にNb2 O5-x 超微粒子
4より小さく、かつ結晶性に優れるNb超微粒子5が得
られる。
するためには、Nb2 O5-x 超微粒子4に照射する電子
線3′の強度を1020〜1021e/cm2 ・sec の範囲に制御す
ることが重要である。すなわち電子線3′の強度が1020
e/cm2 ・sec 台より小さいと、Nb−Oの結合の切断に
必要なエネルギーを十分に与えることができない。この
際、電子線3′の強度が1020e/cm2 ・sec 台であって
も、比較的強度が弱い場合には一部アモルファスNb超
微粒子が生成することもある。良好な結晶性を有するN
b超微粒子5は、電子線3′の強度を強めることで再現
性よく得られる。一方、電子線3′の強度が1021e/cm2
・sec 台より大きいと、Nb2 O5-x 超微粒子4に照射
ダメージが生じたり、また酸素が急速に脱離して結晶性
のよいNb超微粒子5を得ることができない。このよう
に、Nb2 O5-x 超微粒子4に1020e/cm2 台から1021e/
cm2 ・sec 台の強度を有する電子線3′(特に1021e/cm
2 ・sec 台の強度を有する電子線3′)を照射すること
によって、良好な結晶状態を有するNb超微粒子5が得
られる。
3′を照射する際の雰囲気は、 1×10-5Pa以下の真空雰
囲気とすることが好ましい。電子線照射時の雰囲気が 1
×10-5Paを超えると酸素原子を十分に除去することがで
きず、良好なNb超微粒子5を再現性よく生成すること
ができないおそれがある。
により生成されるNb超微粒子5の粒子径は、当初のN
b2 O5-x 超微粒子4の粒子径や電子線3′の照射強度
などによっても異なるが、おおよそ直径 2〜30nm程度と
なる。また、得られるNb超微粒子5の粒子径は比較的
揃ったものとなる。すなわち、本発明によれば、粒子径
が30nm以下で、かつ粒径が揃ったNb超微粒子5が得ら
れる。
化物粒子2に対して高真空雰囲気下で1021〜1022e/cm2
・sec の範囲の強度を有する電子線3を照射することに
よって、Nb2 O5-x などの酸素欠損を有するNb酸化
物超微粒子4と共に、結晶性に優れるNb超微粒子5を
得ることができる。また、生成したNb2 O5-x などの
酸素欠損を有するNb酸化物超微粒子4に対して、さら
に高真空雰囲気下で1020〜1021e/cm2 ・sec の範囲の強
度を有する電子線3′を照射することによっても、結晶
性に優れるNb超微粒子5が得られる。本発明によれ
ば、Nb酸化物粒子2から離脱させたNb原子またはN
b酸化物超微粒子4を構成するNb原子からなると共
に、結晶性に優れるNb超微粒子5を得ることができ
る。
は、準安定化合物であるθ−Al2 O3 粒子への1020e/
cm2 ・sec 以下の電子線照射によりAl超微粒子を生成
する、もしくは一旦安定化合物であるα−Al2 O3 粒
子を経てAl超微粒子を生成する工程であり、本発明の
Nb超微粒子の生成工程、すなわち安定化合物であるN
b2 O5 粒子への1021e/cm2 ・sec 台以上の電子線照射
によりNb超微粒子を生成する、もしくは同時に生成す
るNb2 O5-x 粒子を経てNb超微粒子を生成する工程
とは異なるものである。また、得られる超微粒子の形態
についても、本発明のNb超微粒子は単結晶ライクなも
のであるのに対して、Al超微粒子は双晶多面体粒子を
主とするものである。
例えば粒子径が30nm以下で、かつ粒子径が揃ったもので
あり、超微粒子としての効果を十分に発揮させることが
できるものである。従って、本発明のNb超微粒子5は
各種デバイスや機能材料としての利用可能性を有するも
のである。例えば、Nb超微粒子5間に発現するトンネ
ル効果や量子井戸、ミニバンド、量子細線などの量子力
学的効果を利用してデバイス材料に応用したり、またN
b超微粒子5自体の特性を利用した機能材料などに適用
することができる。
の脱離およびそれに基づくNbの再配列などは、通常の
条件下では高温域でしか起こらない現象であるが、本発
明では高真空雰囲気中での電子線照射によって、Nb超
微粒子5の生成を室温ステージ上で実現している。一般
に、制御された加熱条件下で電子線を照射することは困
難であるため、室温ステージ上での電子線照射によりN
b超微粒子5の生成を可能にすることの意義は大きい。
として存在させることも可能であるが、複数のNb超微
粒子5同士を融合させることもできる。すなわち、アモ
ルファスカーボン支持膜1上に生成したNb超微粒子5
はそれ自体も活性化されているため、さらなる電子線の
照射などによりNb超微粒子5同士を相互に融合させる
ことができる。
体の具体的な形態としては、多数のNb超微粒子5を相
互に融合させた膜状物質、すなわちナノ結晶薄膜などが
挙げられる。このようなナノ結晶薄膜は、得られたNb
超微粒子5にさらに電子線を照射するなどによって得る
ことができる。また、この際に、アモルファスカーボン
支持膜1は常温状態であるため、Nb超微粒子5の粒成
長は起こらず、Nb超微粒子5の粒子径がほぼ維持され
る。従って、生成したNb超微粒子5の粒子径をほぼ維
持したナノ結晶粒、すなわち結晶粒径が30nm以下のナノ
結晶粒の融合体からなるナノ結晶薄膜(超薄膜)が得ら
れる。
のNb超微粒子5の結晶粒径をほぼ維持したNb超微粒
子融合体、例えばナノ結晶薄膜を得ることができる。す
なわち、Nb超微粒子5から粒成長させることなく、直
接それらの融合体からなる結晶膜を作製することによっ
て、結晶粒のサイズをナノオーダーで制御したナノ結晶
薄膜が得られる。このようなナノ結晶薄膜(超薄膜)
は、Nb超微粒子5が有する優れた化学的、機械的、電
気的、熱的性質などを備えているため、これらの優れた
特性を各種デバイスや機能材料などに応用する際の実用
性を大幅に高めるものである。
る。
O5 粒子(純度=99.8%)を用意し、これをアルコールに
分散させた後、厚さ20nmのアモルファスカーボン支持膜
上に塗布、乾燥させた。
ルファスカーボン支持膜を、高分解能TEM(HRTE
M)装置(日本電子社製、JEM-2010(商品名))の真空
室内に配置された室温ステージ上にセットした。次い
で、上記真空室内を10-5Pa程度の真空度まで排気した
後、アモルファスカーボン支持膜上に配置されたNb2
O5 粒子に、1021e/cm2 ・sec の電子線を照射した。
態をHRTEMで観察した。その結果、Nb2 O5 粒子
の周囲には多くのNb2 O5-x 超微粒子が生成してお
り、さらにNb2 O5 粒子から比較的遠い位置にはナノ
サイズのNb超微粒子が生成していることを確認した。
得られたNb超微粒子の粒子径は 2〜30nm程度で、また
Nb2 O5-x 超微粒子の粒子径は 2〜70nm程度であっ
た。得られたNb超微粒子の組成、構造などを電子線回
折およびエネルギー分散型X線回折で評価したところ、
Nb超微粒子は良好な結晶性を有していることが確認さ
れた。
して、10-5Pa程度の真空雰囲気下で1020e/cm2 ・sec の
電子線を照射した。このNb2 O5-x 超微粒子への電子
線照射をHRTEMでその場観察した。電子線の照射時
間の経過と共にNb2 O5-x超微粒子からの酸素の脱離
およびNbの再配列などが起こり、電子線の照射時間が
3600sec に達したところで、粒子径が 2〜20nm程度のN
b超微粒子が生成していることを確認した。この工程で
得られたNb超微粒子についても電子線回折およびエネ
ルギー分散型X線回折で評価したところ、良好な結晶性
を有していることが確認された。
5 粒子への電子線の照射強度を1020e/cm2 ・sec とする
以外は、上記実施例1と同一条件でNb2 O5 粒子に電
子線を照射したところ、Nb2 O5-x 超微粒子やNb超
微粒子は得ることができなかった。また、当初の照射強
度が1022e/cm2 ・sec を超える電子線を照射した場合に
おいても、上記した実施例1のように良好なNb超微粒
子を得ることはできなかった。
線を照射した。その結果、Nb超微粒子同士が相互に融
合し、Nb超微粒子の融合体からなるナノ結晶薄膜が得
られた。得られたナノ結晶薄膜は、Nb超微粒子がその
粒子径を維持した上で相互に融合したものであり、個々
の結晶粒はNb超微粒子からほとんど粒成長しておら
ず、ナノオーダーの結晶粒サイズを有していた。
体として各種制御が可能なNb超微粒子を再現性よく得
ることができる。従って、Nb超微粒子の物性研究や応
用開発などに大きく寄与するものである。
b2 O5 粒子への電子線の照射状態を模式的に示す図で
ある。
b2 O5-x 粒子への電子線の照射状態および電子線照射
後の状態を模式的に示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 高真空雰囲気中におけるNb酸化物粒子
への電子線照射により形成されたNb超微粒子であっ
て、前記Nb酸化物粒子に1021〜1022e/cm2 ・sec の範
囲の強度を有する電子線を照射することにより、前記N
b酸化物粒子から離脱させたNb原子またはNb酸化物
超微粒子を構成するNb原子からなることを特徴とする
Nb超微粒子。 - 【請求項2】 請求項1記載のNb超微粒子おいて、 直径30nm以下の粒子径を有することを特徴とするNb超
微粒子。 - 【請求項3】 請求項1記載のNb超微粒子おいて、 前記Nb超微粒子は粒子単体として存在することを特徴
とするNb超微粒子。 - 【請求項4】 請求項1記載のNb超微粒子おいて、 前記Nb超微粒子は複数の超微粒子が融合した状態で存
在することを特徴とするNb超微粒子。 - 【請求項5】 請求項4記載のNb超微粒子おいて、 前記Nb超微粒子は、前記複数の超微粒子が融合したナ
ノ結晶薄膜として存在することを特徴とするNb超微粒
子。 - 【請求項6】 アモルファスカーボン支持膜上に、Nb
酸化物粒子を配置する工程と、 前記Nb酸化物粒子に対して高真空雰囲気中で1021〜10
22e/cm2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射し、
前記Nb酸化物粒子からNb超微粒子を生成する工程と
を有することを特徴とするNb超微粒子の製造方法。 - 【請求項7】 アモルファスカーボン支持膜上に、Nb
酸化物粒子を配置する工程と、 前記Nb酸化物粒子に対して高真空雰囲気中で1021〜10
22e/cm2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射し、
前記Nb酸化物粒子の周囲に酸素欠損を有するNb酸化
物超微粒子を生成する工程と、 前記Nb酸化物超微粒子に対して高真空雰囲気中で1020
〜1021e/cm2 ・sec の範囲の強度を有する電子線を照射
し、前記Nb酸化物超微粒子から酸素を離脱させてNb
超微粒子を生成する工程とを有することを特徴とするN
b超微粒子の製造方法。 - 【請求項8】 請求項6または請求項7記載のNb超微
粒子の製造方法において、 さらに、生成した複数の前記Nb超微粒子に電子線の照
射して、前記複数のNb超微粒子を相互に融合させる工
程を有することを特徴とするNb超微粒子の製造方法。 - 【請求項9】 請求項6、請求項7または請求項8記載
のNb超微粒子の製造方法において、 前記電子線を 1×10-5Pa以下の真空雰囲気中にて照射す
ることを特徴とするNb超微粒子の製造方法。
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JP7779898A JP3532412B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | Nb超微粒子の製造方法 |
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JPH11269622A true JPH11269622A (ja) | 1999-10-05 |
JP3532412B2 JP3532412B2 (ja) | 2004-05-31 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014189451A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Nbc Meshtec Inc | 酸素欠損無機酸化物の製造方法 |
CN106623981A (zh) * | 2016-09-30 | 2017-05-10 | 九江波德新材料研究有限公司 | 一种利用等离子分解制备一氧化铌与铌粉混合物的方法 |
-
1998
- 1998-03-25 JP JP7779898A patent/JP3532412B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
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JP2014189451A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Nbc Meshtec Inc | 酸素欠損無機酸化物の製造方法 |
CN106623981A (zh) * | 2016-09-30 | 2017-05-10 | 九江波德新材料研究有限公司 | 一种利用等离子分解制备一氧化铌与铌粉混合物的方法 |
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