JPH11268403A - 非水溶性インク用インクジェット記録媒体 - Google Patents

非水溶性インク用インクジェット記録媒体

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JPH11268403A
JPH11268403A JP10074354A JP7435498A JPH11268403A JP H11268403 A JPH11268403 A JP H11268403A JP 10074354 A JP10074354 A JP 10074354A JP 7435498 A JP7435498 A JP 7435498A JP H11268403 A JPH11268403 A JP H11268403A
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JP
Japan
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ink
recording medium
polymer
water
jet recording
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JP10074354A
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English (en)
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Koushiro Ikegami
幸史郎 池上
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イソパラフィン系炭化水素などの非水系溶剤中
に着色剤を溶解または分散させたインクを用いるインク
ジェット記録に使用するための、記録画像の精細性が高
く、また着色剤の定着性が高く、かつ表面に粘着性が発
生しない透明性非水溶性インク用インクジェット記録媒
体を提供すること。 【解決手段】ガラス転移温度が25℃未満であるイソパ
ラフィン系炭化水素に可溶なポリマーとアルミナ水和物
とを含むインク受理層を、該インク受理層に含有される
該ポリマーの量が0.3g/m2以上4g/m2以下の範
囲になるように透明支持体上に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録媒体に関するものである。より詳しくは、非水系溶剤
であるイソパラフィン系炭化水素中に着色剤を溶解また
は分散させた非水溶性インクを用いるインクジェット記
録に好適な非水溶性インク用インクジェット記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、種々の作動原理
によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録媒体
に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであ
る。インクジェット記録には、高速、低騒音、多色化が
容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不
要などの特徴があり、文字や図形、カラー画像などの記
録装置として、種々の用途において急速に普及してい
る。
【0003】従来、インクジェット記録では、水性イン
ク、すなわち水あるいは水と親水性溶剤の混合溶媒に、
染料・顔料などの着色剤を分散あるいは溶解したインク
が用いられてきた。しかし、水性インクを用いたインク
ジェット記録には、記録媒体の印字部が、インク中の溶
剤を吸収して伸長することによって発生する種々の問題
がある。かかる記録媒体の伸長は、支持体の機械的強度
を維持している繊維間の水素結合が、水性インクの溶
媒、特に水によって切断されることにより生じ、記録媒
体のプリンター内での搬送に悪影響を及ぼすばかりでな
く、記録媒体とプリントヘッドの相対的な位置関係の精
度を悪化させて、得られる図面の寸法精度が低下した
り、画像にムラが生じるなどの好ましくない現象を引き
起こしている。
【0004】このような問題に対して、特開昭57−1
0660号公報、同57−10661号公報、特開平5
−202324号公報、同5−331397号公報等で
は、イソパラフィン系炭化水素などの非水系溶剤中に着
色剤を溶解または分散させた非水溶性インクを用いるこ
とが提案されている。これらの提案によれば、記録媒体
の伸長をまったく伴わず、寸法精度が高く、また画像に
ムラが生じないインクジェット記録を行うことが可能で
ある。さらに、非水系溶剤の特徴である低粘度・低表面
張力によって、水性インクを用いたインクジェット記録
と比較して、プリントヘッドの駆動周波数を高くするこ
とが可能になり、非常に高速なインクジェット記録を行
うことができる。
【0005】かかる非水溶性インクを用いたインクジェ
ット記録に用いる記録媒体として、特開昭64−247
85号公報等では吸油性無機顔料、有機顔料および水系
接着剤からなる記録媒体が提案されており、また特開平
1−255580号公報等では、シリカおよび接着剤か
らなる記録媒体が提案されている。これらの記録媒体
は、記録面がつや消し状の外観を有する、いわゆるマッ
トコートタイプの記録媒体であった。
【0006】いっぽう、インクジェットプリンターやプ
ロッターの利用分野として、最近、特に注目されている
ものとしては、写真に近い画質が要求される印刷分野に
おけるカラー版下の作製やデザイン部門でのデザインイ
メージのアウトプット等のフルカラー画像記録等や、コ
ンピューターで作成した画像情報をインクジェットプリ
ンターにより透明な記録媒体に記録し、会議のプレゼン
テーション等にてOHPで利用する等が挙げられる。
【0007】特に、OHP用としては、透明性が高く視
認性が良好でフルカラー記録が可能なインクジェット記
録媒体が望まれるようになってきている。当然のことな
がら、このような記録媒体には、高い透明性を有すると
同時に、記録画像の精細性が高い、すなわち各ドットの
周囲がなめらかでありかつ輪郭が鮮明で、かつインクの
はじきや流れがないこと、また画像の保存性に優れる、
すなわち着色剤の定着性が高いことなどが要求される。
【0008】このような要求に対し、水性インクを使用
したインクジェット記録に対しては、特開平7−406
46号公報等では支持体上にポリビニルアルコール等の
水溶性ポリマーからなる皮膜を形成した記録媒体が提案
されている。また、特開平6−199034号公報等で
は、支持体上に擬ベーマイトからなるインク受容層を設
けた記録媒体が提案されている。これらの提案によれ
ば、透明性が高く、水性インクに対して高い吸収性を有
するインクジェット記録媒体が得られるものの、これら
の記録媒体に対し非水溶性インクで記録を行おうとして
も、記録媒体を形成している素材とインクに含まれる溶
剤あるいは着色剤との間に親和性がないため、記録媒体
中での着色剤の分布が不均一になって低い画像濃度しか
得られなかったり、記録媒体の表面でインクがはじかれ
てムラが生じたり、着色剤がわずかな摩擦で容易に脱落
してしまうなど、濃度・精細性が高く、また保存性に優
れた記録画像を得ることは全く不可能であった。
【0009】さらに、特開平8−324095号公報で
は、多孔質層と、インク溶媒に対して溶解または膨潤し
て水には不溶である樹脂からなる層とを具備するインク
ジェット記録媒体が提案されている。この提案によれ
ば、耐水性に優れ、顔料定着性が高いインクジェット記
録媒体が得られることが期待できる。しかしながら、樹
脂層に用いられる樹脂の性状や塗工量によっては、イン
クジェット記録媒体の表面に粘着性が発現してしまい、
インクジェット記録媒体をロール状にした時のブロッキ
ングや印字後のインクジェット記録媒体を重ね合わせた
時のブロッキング、並びに記録装置内でのインクジェッ
ト記録媒体の搬送不良などの不都合が生じてしまう場合
がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る非水溶性インクを用いたインクジェット記録に使用す
るための、記録画像の精細性が高く、また着色剤の定着
性が高く、かつ表面に粘着性が発生しない非水溶性イン
ク用インクジェット記録媒体を提供することにある。更
に詳しくは、高透明性を有する非水溶性インク用インク
ジェット記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、かか
る課題を解決するためにさまざまな構成のインクジェッ
ト記録媒体について検討し、以下の構成を用いることに
より、本発明の課題である、記録画像の精細性が高く、
また着色剤の定着性が高く、かつ表面に粘着性が発生し
ない非水溶性インク用インクジェット記録媒体を提供す
ることを可能にした。すなわち、イソパラフィン系炭化
水素に可溶なポリマーとアルミナ水和物とを含むインク
受理層を透明支持体上に設けてなる非水溶性インク用イ
ンクジェット記録媒体であって、該ポリマーのガラス転
移温度が25℃未満であり、かつインク受理層に含有さ
れる該ポリマーの量が0.3g/m2以上4g/m2以下
の範囲である構成にすることによって、本発明の課題で
ある記録画像の精細性が高く、また着色剤の定着性が高
く、かつ表面に粘着性が発生しない非水溶性インク用イ
ンクジェット記録媒体を提供することを可能にした。
【0012】本発明において、インク受理層は少なくと
も一層以上からなる。アルミナ水和物は、その微細な多
孔質構造中にインクを吸収する機能を有している。ま
た、イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマーは、印
字後インク中の溶媒によって一旦溶解して着色剤をその
内部に捕捉し、次いで溶媒が乾燥して流動性を失って着
色剤をその内部に固定することにより、記録媒体内部の
着色剤分布を均一化することにより記録画像の濃度・精
細性を向上させ、また着色剤の記録媒体への定着性を向
上させる効果を有している。
【0013】本発明により、濃度や精細性が高い記録画
像を得るためには、イソパラフィン系炭化水素に可溶な
ポリマーを、記録媒体のインク受理層のより表面側寄り
に含有せしめることが好ましい。該ポリマーがインク受
理層の支持体側寄りに偏在して含有せしめられている場
合、インク中の着色剤が深部まで浸透してしまい、イン
ク受理層のより表面側寄りに含有せしめられた場合と比
較すると高い画像濃度は得られず、またさらに記録画像
の輪郭が不鮮明になって記録画像の精細度が低下する。
【0014】イソパラフィン系溶剤に可溶なポリマー
は、分子間力が小さいためガラス転移温度が室温より低
いものが多い。このようなポリマーが記録媒体の表面近
くに含有される場合、その表面には好ましくない粘着感
が生じやすい。しかし、本発明により、インク受理層に
含有されるイソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマー
の量を0.3g/m2以上4g/m2以下の範囲、より好
ましくは1g/m2以上3g/m2以下の範囲にすること
によって、ガラス転移温度が25℃未満であるイソパラ
フィン系炭化水素に可溶なポリマーを用いても、粘着防
止層を設けるなどの記録画像の精細性に悪影響を与える
可能性のある対策を別途施す必要もなく、表面に粘着性
が生じない記録媒体を得ることができる。これは、詳細
な機構については明らかではないが、アルミナ水和物を
含むインク受理層には、微細な細孔が多数内在されてお
り、その内部にイソパラフィン系炭化水素に可溶なポリ
マーが浸透し、記録媒体の表面には該ポリマーが連続的
には露出しなくなるためと推定される。該含有量がこの
範囲よりも多い場合には、記録媒体の表面に粘着性が生
じてしまい、この範囲よりもさらに多い場合には、イン
クの吸収速度が不十分になって、好ましくないムラが画
像に生じるようになる。該含有量がこの範囲より少ない
場合には着色剤の分布が不均一になって記録画像の精細
性や濃度が低下するようになったり定着性が不十分にな
ったりする。
【0015】また、本発明により記録画像の濃度や精細
性が高い非水溶性インク用インクジェット記録媒体を得
るためには、イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマ
ーは、インク受理層を構成する他の成分とは別個に塗工
されることが好ましく、特にインク受理層を構成する他
の成分よりも後に単独で塗工されることが好ましい。具
体的には、透明支持体上にアルミナ水和物を含む層を設
けた後に、イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマー
を塗工するのがより好ましい。すなわち、該ポリマーの
塗工工程における塗被組成物中の有効成分は、60重量
%以上が該ポリマーまたはその前駆体であることが好ま
しく、この塗被組成物は、インク受理層を構成する他の
成分を塗工した後に単独で塗工されることが特に好まし
い。これは、該ポリマーが他の成分と同時に塗工された
場合、インクの溶剤とは親和性のない他の成分に取り囲
まれた構造になり、記録媒体に該ポリマーを含有せしめ
た効果が十分に発揮され難くなるからである。また、該
ポリマーの塗被組成物を最後に塗工せしめた場合、該ポ
リマーはインク受理層中で最もインクが浸透しやすい場
所に集中して存在することになり、該ポリマーを含有せ
しめた効果がより好ましく発揮される。
【0016】本発明において用いるイソパラフィン系炭
化水素に可溶なポリマーを、イソパラフィン系炭化水素
に40重量%濃度で溶解させたときの溶液粘度は、10
mPa・s以上1000mPa・s以下の範囲であるこ
とが好ましく、20mPa・s以上500mPa・s以
下の範囲であることがより好ましい。該粘度が10mP
a・s未満であると、該ポリマーが印字時インクの溶媒
に溶解した際に流動してしまい、インクの定着性が不十
分になる。また、該粘度が1000mPa・sを超えた
場合、ポリマー内部への溶媒の浸透速度が遅く、そのた
めに着色剤のポリマー内部への捕捉が遅れて着色剤の定
着が不良になるなど本発明の効果が十分に発揮されな
い。上記の粘度測定は、使用するインクに用いられてい
るものと同一銘柄のイソパラフィン系炭化水素溶剤を用
いて行うことが好ましいが、溶剤の相違による上記粘度
の差異は通常小さいので他の銘柄で代用しても良い。ま
た、上記の粘度測定を行う温度は、本記録媒体を使用す
るプリンターの印字部の温度とすることが好ましいが、
この温度が不明であるときは室温でも構わない。また、
印字時には、記録媒体内部に大きなせん断力はかからな
いので、上記の粘度測定は、しばらく静置した溶液につ
いて、可能な限りせん断力の小さい方法で行うことが好
ましい。
【0017】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体は、高透明性を有するOHPフィルムとしても
使用可能である。OHPフィルムとして使用する際の光
透過性は、全光線透過率で表すよりも、ヘーズ(曇価)
で表す方が人の感覚に近く好都合である。OHPフィル
ムとして使用する際の本発明の非水溶性インク用インク
ジェット記録媒体のJIS−K−7105によるヘーズ
(曇価)は3%以上10%以下の範囲であることが好ま
しい。ヘーズが3%未満であるとインク受理層の層構造
が緻密になりすぎてインク吸収性が低下する。また、ヘ
ーズが10%を超えるとOHPで投影した際の画像の明
るさが低下する。なお、ヘーズ(曇価)は、積分球式光
線透過率測定装置を用いて、拡散透過率および全光線透
過率を測定し、その比によって表すことが、JIS−K
−7105に定められている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明におけるイソパラフィン系
炭化水素に可溶なポリマーとは、室温下、イソパラフィ
ン系炭化水素と任意の割合で混合して均一相を形成する
ものをいい、この条件に当てはまるさまざまのポリマー
を用いることができる。一例をあげると、ポリブタジエ
ン・ポリイソプレンなどのポリ(1,3−ジエン)、ポリ
アルキル(C4以上)ビニルエーテル、ポリアルキル(C4
以上)カルボン酸ビニル、ポリアルキル(C4以上)(メタ)
アクリレート、ポリアルキル(C6以上)(メタ)アクリル
アミド、ポリアルキレン(C4以上)、ポリオキシアルキ
レン(C4以上)、ポリジメチルシロキサン、石油樹脂(C
5系、C9系)、ノボラック樹脂、グッタペルカなどのポ
リマー、およびこれらのポリマーを構成するモノマーか
ら構成されるコポリマーを、本発明におけるイソパラフ
ィン系炭化水素に可溶なポリマーとして使用することが
できる。
【0019】これらのポリマーには、イソパラフィン系
炭化水素に対する溶解性が失われない範囲で各種の変性
を施しても良い。一例をあげると、低級アルキルビニル
エーテル、低級アルキルカルボン酸ビニル、低級アルキ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート、アルキルオキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノエチル(メタ)
アクリレート、低級アルキル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリルアミド、低級(ジ)アルキル(メタ)アクリ
ルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、2−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、スチ
レンなどのモノマーを、上記のポリマーを構成するモノ
マーと共重合することにより、本発明のイソパラフィン
系炭化水素に可溶なポリマーを変性することができる。
【0020】また、本発明の非水溶性インク用インクジ
ェット記録媒体には、ガラス転移温度が25℃未満であ
るイソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマーに加え
て、ガラス転移温度が25℃以上であるイソパラフィン
系炭化水素に可溶なポリマー、或いはイソパラフィン系
炭化水素に不溶なポリマーを、記録画像の精細性や着色
剤の定着性及び表面に粘着性が発生しないことを損なわ
ない範囲で混合して用いることができる。
【0021】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体に用いる、イソパラフィン系炭化水素に可溶な
ポリマーとして、アルキル基の炭素数8以上のアルキル
(メタ)アクリレートを構成単位として含むものを使用す
ると、記録画像の濃度・精細性を特に高くすることが可
能であることから好ましく使用される。これは、イソパ
ラフィン系炭化水素との親和性が高い高級アルキル基
が、適度な極性を有するエステル結合を介してポリマー
主鎖に連結された構造が、着色剤を特に効率的に捕捉す
るためと推定されるが、作用機構の詳細については明ら
かでない。
【0022】また本発明の非水溶性インク用インクジェ
ット記録媒体に用いるイソパラフィン系炭化水素に可溶
なポリマーとして、イソボルニル(メタ)アクリレートを
構成単位として含むものが、インクの着色剤として顔料
を用いる場合に、その記録媒体への定着性を向上させる
ことが、得られる画像の精細性を低下させることなく可
能であることから特に好ましく使用される。これは、イ
ンク溶剤との親和性が高く、かつ嵩高く剛直な置換基を
有する構造が、インクの捕捉作用を有しかつ一旦捕捉し
た顔料を強固に固定するためと推定されるが、作用機構
の詳細については明らかでない。
【0023】これらの構造は、例えばポリブタジエン、
ポリイソプレンなどのポリマーと比較して、構造内に不
飽和結合を持たないために、記録媒体の保存中に空気中
の酸素によって酸化されて極性基が生成し、イソパラフ
ィン系溶剤への溶解性が低下して、本発明の効果が発揮
され難くなるという現象を起こしにくい利点もある。
【0024】本発明において用いるイソパラフィン系炭
化水素に可溶なポリマーのガラス転移温度は、POLYMER
HANDBOOK THIRD EDITION (JOHN WILEY & SONS;1989) の
VI章P.209〜278等より引用し、共重合体のガラス転移温
度は、Foxの式(高分子化学序論 第2版;1981;P.172)
を用いて算出した。
【0025】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体にイソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマー
を含有せしめる方法としては、適切な有機溶剤に溶解し
て塗布する、微粒子の水分散液いわゆるラテックスとし
て塗布する、前駆体としてのモノマーあるいはオリゴマ
ーを塗布した後紫外線あるいは電子線などを照射して重
合するなど、さまざまな方法を用いることができる。塗
布方法は、ダイコーター、ロールコーター、エアナイフ
コーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコ
ーター、グラビアコーター、カーテンコーター、リップ
コーターなどを採用できる。
【0026】本発明において、アルミナ水和物は、多孔
質な層を形成し、非水溶性インク中の媒体成分であるイ
ソパラフィン系炭化水素などの非水系溶剤を吸収する成
分として機能する。アルミナ水和物としては、良好な吸
収機能を有することから擬ベーマイトが好ましい。ここ
で、擬ベーマイトは、Al23・nH2O(n=1〜
1.5)の組成式で表されるアルミナ水和物の凝集体で
ある。
【0027】インク受理層を構成するアルミナ水和物を
含む層中には、バインダーが含まれているのが好まし
い。バインダーとしては、でんぷん又はその変性物、ポ
リビニルアルコール又はその変性物、SBRラテック
ス、NBRラテックス、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等
の有機物を使用できる。バインダーの使用量は、アルミ
ナ水和物の5〜50重量%とすることが好ましい。バイ
ンダーの使用量が5重量%未満の場合にはアルミナ水和
物を含む層の強度が不十分になるおそれがあり、50重
量%超の場合にはインクの吸収性が不十分になるおそれ
があるので、それぞれ好ましくない。
【0028】アルミナ水和物を含む層は、細孔半径が1
〜30nmである細孔を、細孔容積として0.3〜2.
0cc/gを有する場合は、十分な吸収性を有し、かつ
アルミナ水和物を含む層も透明であるので好ましい。ア
ルミナ水和物を含む層は、細孔半径が3〜10nmであ
る細孔を、細孔容積として0.3〜1.0cc/gを有
する場合はさらに好ましい。細孔半径の測定は窒素脱吸
着法による。
【0029】支持体上に、アルミナ水和物を含む層を形
成する方法としては、アルミナ水和物にバインダーと溶
媒(好ましくは水)を加えてゾル状塗工液にし、これを
支持体上に塗布した後、乾燥するのが好ましい。アルミ
ナ水和物の原料としてアルミナゾルを用いる場合には、
透明性の良好なアルミナ水和物の多孔質層が形成できる
ので好ましい。塗工方法は、例えば、ダイコーター、ロ
ールコーター、エアナイフコーター、ブレードコータ
ー、ロッドコーター、バーコーターなどを用いるのが好
ましい。塗工液の溶媒としては、水系、非水系のいずれ
も採用できる。
【0030】アルミナ水和物を含む層の厚さは、プリン
ターなどの仕様によって適宜選択され、1〜200μm
を採用する。アルミナ水和物を含む層の厚さが1μm未
満の場合には、インクを十分吸収しないおそれがあり、
200μm超の場合には、アルミナ水和物を含む層の透
明性が損なわれたり、強度が低下するおそれがある。ア
ルミナ水和物を含む層の厚さは5〜100μmが特に好
ましい。
【0031】本発明における非水溶性インク用インクジ
ェット記録媒体の透明支持体としては、特に限定されず
種々のものを用いることができる。例えば、ガラス、合
成樹脂フィルム、天然樹脂フィルム、セルロイド等を挙
げることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリエチレンテレナフタレートフィル
ム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、
ポリ塩化ビニリデンフィルムなどの各種プラスチックフ
ィルムを好ましく使用できる。
【0032】また、OHPフィルム等の透光性を要求さ
れるインクジェット記録媒体においては、インク受理層
の組成だけでなく、支持体の特性も重要である。OHP
フィルムとして使用する際の本発明の非水溶性インク用
インクジェット記録媒体に用いる透明支持体は、JIS
−K−7105によるヘーズ(曇価)が3%以下である
ことが特に好ましい。
【0033】OHPフィルム等の透光性を要求される記
録媒体において、用いる支持体の厚さは特に制限する必
要はないが、ハンドリング性とプリンターの通紙適性か
ら50〜200μm程度のものが特に好ましい。
【0034】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体には、必要に応じて、インク受理層と支持体と
の接着性を向上させるために、支持体のコロナ放電処理
やアンカーコート層を設けてもよい。また、表面のブロ
ッキングを更に抑制するための耐ブロッキング層などを
設けてもよい。さらに、プリンター内における搬送性の
向上、印字後に発生するカールの抑制などの目的で、バ
ックコート層を設けることも可能である。
【0035】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例
中、特に断らない限り、部、%はそれぞれ重量部、重量
%を表すものとする。
【0036】合成例1 かくはん装置を備えた4つ口フラスコに、モノマーとし
てメタクリル酸ラウリル(三菱ガス化学製GE−410)
100部、溶媒としてキシレン100部を仕込み、窒素
を通じながら水浴中で75℃まで加熱した。ここに、重
合開始剤として2,2′−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)(和光純薬製V−59)4部を添加し、75℃
に4時間維持した。この後90℃まで加温し、この温度
に2時間維持した。最後にキシレン50部を加えて合成
例1のポリマー溶液を得た。Foxの式で計算したこのポ
リマーのガラス転移温度は−65℃であった。このポリ
マー溶液をガラスシャーレに薄く広げて80℃で乾燥さ
せた後、この乾燥皮膜を4倍重量のイソパラフィン系炭
化水素溶剤(エクソン化学製アイソパーG)中でかくはん
したところ溶解した。また、このポリマー溶液を、ロー
タリーエバポレーターを用いていったん乾固させた後、
アイソパーGに溶解して40%濃度に調整し、25℃で
1時間静置した後、粘度をブルックフィールド型粘度計
(東京計器BL型、No.1ローター、毎分12回転)で
測定したところ、30mPa・sであった。
【0037】合成例2〜4、比較合成例1〜3 モノマーとして、メタクリル酸ラウリル100部の代わ
りに、表1に示すモノマーを用いた以外は、合成例1と
同様にして、合成例2〜4、比較合成例1〜3のポリマ
ー溶液を得た。また、各ポリマー溶液について、合成例
1と同一の操作で、アイソパーGに対する溶解性および
40%アイソパーG溶液の粘度を測定した。
【0038】
【表1】
【0039】合成例5 かくはん装置を備えた4つ口フラスコに、モノマーとし
てアクリル酸ラウリル(共栄社化学製ライトアクリレー
トL−A)100部、溶媒としてキシレン150部を仕
込み、窒素を通じながら水浴中で75℃まで加熱した。
ここに、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)(和光純薬製V−59)1部を添加
し、75℃に2時間維持した。この後90℃まで加温
し、この温度に2時間維持して合成例5のポリマー溶液
を得た。Foxの式で計算したこのポリマーのガラス転移
温度は−3℃であった。このポリマー溶液を、合成例1
と同一の操作で、アイソパーGに対する溶解性を調べた
ところ溶解し、40%アイソパーG溶液の粘度を測定し
たところ25mPa・sであった。
【0040】合成例6〜8、比較合成例4 モノマーとして、アクリル酸ラウリル100部の代わり
に、表2に示すモノマーを用いた以外は、合成例5と同
様にして、合成例6〜8、比較合成例4のポリマー溶液
を得た。また、各ポリマー溶液について、合成例1と同
一の操作で、アイソパーGに対する溶解性および40%
アイソパーG溶液の粘度を測定した。
【0041】
【表2】
【0042】合成例9〜12 重合開始剤としての2,2′−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)を、表3に示す添加量にした以外は、合
成例1と同様にして、合成例9〜12のポリマー溶液を
得た。また、各ポリマー溶液について、合成例1と同一
の操作で、40%アイソパーG溶液の粘度を測定した。
【0043】
【表3】
【0044】合成例13 かくはん装置を備えた4つ口フラスコに、溶媒としてキ
シレン150部を仕込み、窒素を通じながら水浴中で7
5℃まで加熱した。ここに、重合開始剤として2,2′
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6部を添加し、
4時間かけてメタクリル酸ラウリル100部滴下し、滴
下終了後さらに75℃に4時間維持した。この後90℃
まで加温し、この温度に2時間維持して合成例13のポ
リマー溶液を得た。このポリマー溶液について、合成例
1と同一の操作で、アイソパーGに対する溶解性を調べ
たところ溶解し、40%アイソパーG溶液の粘度を測定
したところ7mPa・sであった。
【0045】合成例14 かくはん装置を備えた4つ口フラスコに、モノマーとし
てメタクリル酸ラウリル100部、溶媒としてキシレン
100部を仕込み、窒素を通じながら水浴中で75℃ま
で加熱した。ここに、重合開始剤として2,2′−アゾ
ビス(2−メチルブチロニトリル)0.1部を添加し、4
時間毎にさらに0.1部ずつを追加して20時間75℃
に維持した。この後90℃まで加温し、この温度に2時
間維持した。最後にキシレン50部を加えて合成例14
のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液について、合
成例1と同一の操作で、アイソパーGに対する溶解性を
調べたところ溶解し、40%アイソパーG溶液の粘度を
測定したところ1230mPa・sであった。
【0046】合成例15 かくはん装置を備えた4つ口フラスコに、モノマーとし
てメタクリル酸ラウリル100部、乳化剤としてラウリ
ル硫酸ナトリウム5部、pH調節剤として炭酸水素ナト
リウム1部、分散媒として水294部を仕込み、窒素を
通じながら水浴中で75℃まで加熱した。ここに、重合
開始剤としてペルオキソ二硫酸カリウム1部を添加し、
75℃に4時間維持して合成例15の白色ラテックス液
を得た。このラテックス液をガラスシャーレに薄く広げ
て80℃で乾燥させた後、この乾燥皮膜を4倍重量のイ
ソパラフィン系炭化水素溶剤(エクソン化学製アイソパ
ーG)中でかくはんしたところ溶解した。
【0047】作製例1 アルミナ水和物(擬ベーマイト)ゾル(触媒化成製AS−
3)を、入口温度200℃、出口温度80℃のスプレー
ドライヤーを用いて乾燥させ、擬ベーマイト粉末を得
た。水80部中に、この擬ベーマイト粉末20部を投入
し、ホモジナイザーを用いて分散した。この分散液に、
ポリビニルアルコール(重合度約2400,けん化度9
8〜99%;クラレ製クラレポバールPVA−124)
の10%水溶液30部を添加して塗液を調製した。この
塗液を、JIS−K−7105によるヘーズ(曇価)が
0.5%である、表面易接着処理を施した透明ポリエス
テルフィルム(ICI製メリネックスD535、100
μm)上に、ワイヤーバーを用い乾燥後の塗工量が35
g/m2となるように塗布し、100℃の対流乾燥器
で、塗液の流動性がなくなるまで予備乾燥した後、12
0℃の熱風乾燥器で乾燥して、アルミナ水和物を含む塗
層を透明支持体上に形成させた。
【0048】作製例2 イオン交換水1200部、イソプロピルアルコール90
0部を3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アル
ミニウムイソプロポキシド408部を加え、75℃で2
4時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢
酸24部を加え、95℃にて48時間撹拌した後、固形
分濃度が15%になるように濃縮し、白色のアルミナ水
和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線
回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。ま
た、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、
約30nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイ
ト構造のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離
方法によってBET比表面積、平均細孔半径、細孔半径
1nm〜30nmの細孔容積、細孔半径2nm〜10n
mの細孔容積を測定したところ、それぞれ136m2
g、5.8nm、0.54ml/g、0.50ml/g
であった。この平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和
物の分散液100部にケン化度96.5%、重合度17
00のポリビニルアルコール(信越化学工業製MA−1
7)の10%水溶液15部を、よく混合、撹拌して塗工
用分散液を得た。この分散液を50℃に加温してから、
作製例1と同様のヘーズが0.5%である表面易接着処
理を施した透明ポリエステルフィルムに、乾燥後の重量
が30g/m2になるように塗布、乾燥し、140℃で
5分間加熱処理して、アルミナ水和物を含む塗層を透明
支持体上に形成させた。
【0049】作製例3 アルミナ水和物ゾル(触媒化成製AS−1)100部に、
作製例1と同様のポリビニルアルコールの10%水溶液
30部を添加して塗液を調製した。この塗液を、作製例
1と同様のヘーズが0.5%である表面易接着処理を施
した透明ポリエステルフィルム上に、ワイヤーバーを用
い乾燥後の塗工量が35g/m2となるように塗布し、
100℃の対流乾燥器で、塗液の流動性がなくなるまで
予備乾燥した後、120℃の熱風乾燥器で乾燥して、ア
ルミナ水和物を含む塗層を透明支持体上に形成させた。
【0050】作製例4 アルミナ水和物ゾル(川研ファインケミカル製アルミナ
クリアーゾル)100部に、作製例1と同様のポリビニ
ルアルコールの10%水溶液30部を添加して塗液を調
製した。この塗液を、作製例1と同様のヘーズが0.5
%である表面易接着処理を施した透明ポリエステルフィ
ルム上に、ワイヤーバーを用い乾燥後の塗工量が35g
/m2となるように塗布し、100℃の対流乾燥器で、
塗液の流動性がなくなるまで予備乾燥した後、120℃
の熱風乾燥器で乾燥して、アルミナ水和物を含む塗層を
透明支持体上に形成させた。
【0051】比較例1、2 各々作製例1、2で作製した物をそのまま用いて、比較
例1、2の非水溶性インク用インクジェット記録媒体と
した。
【0052】実施例1 合成例1で作製したポリマー溶液10部を、トルエン2
0部で希釈して塗液を調製した。この塗液を、作製例1
で形成させたアルミナ水和物を含む塗層の上に、ワイヤ
ーバーを用いて乾燥後の塗工量が2.5g/m2となる
ように塗布し、実施例1の非水溶性インク用インクジェ
ット記録媒体を作製した。
【0053】実施例2〜10、比較例3〜6 実施例1のポリマー溶液を合成例1の代わりに各々合成
例2、合成例3、合成例4、合成例5、合成例6、合成
例7、合成例8、ポリイソブチレン(トーネックス製ビ
スタネックスLM-MH-LC:Tg=-60℃)の40%キシレン溶
液、及び水添石油樹脂(ハーキュレス製リガレッツ10
18:Tg=-22℃)の40%キシレン溶液を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして、実施例2、3、4、5、
6、7、8、9、及び10の非水溶性インク用インクジ
ェット記録媒体を作製した。なお、上記ポリイソブチレ
ン及び水添石油樹脂を合成例1と同様に、アイソパーG
に対する溶解性を調べたところ溶解した。また、実施例
1のポリマー溶液を合成例1の代わりに各々比較合成例
1、比較合成例2、比較合成例3、及び比較合成例4を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3、
4、5、及び6の非水溶性インク用インクジェット記録
媒体を作製した。
【0054】インク調製例A アイソパーG70部に、安息香酸ブチル15部、ポリオ
キシエチレンラウリルアミン(オキシエチレン付加数
7;日本乳化剤製Newcol407)5部を加え、か
くはん混合した。ここに油溶性黒色染料C.I.Sol
vent Black10部を加え、十分にかくはん溶
解して、炭化水素系溶剤中に油溶性染料が溶解したイン
ク調製例Aのインクを調製した。
【0055】インク調製例B テレピン油誘導体樹脂(ヤスハラケミカル製YSポリス
ターT80)16部を100℃に加熱し、ここに黒色顔
料(C.I.Pigment Black7)8部を加
え、3本ロールミルを用いてじゅうぶんに混練した。つ
いで、この混練物を室温まで冷却し、ジェットミルで粉
砕して表面処理顔料を得た。アイソパーG74部に分散
剤(日本サーファクタント製ニッコールTO−106)2
部を溶解し、ここに上記の表面処理顔料を加え、ボール
ミルによりじゅうぶんに分散して、炭化水素系溶剤中に
着色粒子が分散したインク調製例Bのインクを調製し
た。
【0056】評価 各項目の評価方法を以下に示す。
【0057】<定着性>各非水溶性インク用インクジェ
ット記録媒体に過剰量の調製例Aのインクを滴下し、液
膜厚が10μmとなるワイヤーバーを用いてインク滴を
直ちに展開し、室温中で1時間放置して乾燥させた。そ
の後、インク展開部の表面を人差し指で片方向に1回こ
すり、着色剤が元々の展開部の周囲に拡がらなかったも
の(定着性良好)を○、着色剤が拡がったが元々の展開部
の濃度に明らかな変化がなかったものものを△、元々の
展開部の濃度が低下したもの(定着性不良)を×とした。
【0058】<粘着感>上の定着性評価の際、指先に粘
着感が感じられなかったものを○、粘着感が弱く感じら
れたものを△、粘着感が強く感じられたものを×とし
た。
【0059】<形状性>各非水溶性インク用インクジェ
ット記録媒体を水平に保ち、内径0.15mmの針を備
えた内容量1μLのマイクロシリンジ(ハミルトン製7
101)を用いてインク調製例Aのインク1滴を滴下し
て、室温中で1時間放置して乾燥させた。インク滴下部
の表面を、顕微鏡(100倍)で観察した画像を、LUZ
EX5000型画像解析装置(ニレコ製)で解析処理し、
数1で計算される形状係数を求めた。この形状係数が小
さい(100に近い)値であるほど真円性が高いことを意
味しており、プリンターで印字した際にボケや抜けのな
い高精細の画像が得られる。この形状係数が150未満
となったものを○、150以上200未満となったもの
を△、200以上となったものを×とした。
【0060】<インク吸収速度>各非水溶性インク用イ
ンクジェット記録媒体を60゜に傾け、上記と同じマイ
クロシリンジを用いてインク調製例Aのインク1滴を滴
下した。インク滴下部の傾斜方向の最大径および水平方
向の最大径を測定し、数2で示される最大径比を求め
た。この値が小さい(1に近い)ほど、インクが記録媒体
表面に接触してから吸収されるまでの間に記録媒体表面
を流下しなかったこと、すなわちインクの吸収が速かっ
たことを意味しており、プリンターで印字した際にムラ
のない画像が得られる。この最大径比が3未満となった
ものを○、3以上4未満となったものを△、4以上とな
ったものを×とした。
【0061】〔数1〕 形状係数=(インク滴下部の輪郭長)2÷(4π×インク滴
下部の面積)×100
【0062】〔数2〕 最大径比=傾斜方向の最大径÷水平方向の最大径
【0063】上記の評価結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】実施例11 合成例6で作製したポリマー溶液10部を、トルエン2
0部で希釈して塗液を調製した。この塗液を、作製例2
で形成させたアルミナ水和物を含む塗層の上に、ワイヤ
ーバーを用いて乾燥後の塗工量が0.4g/m2となる
ように塗布し、実施例11の非水溶性インク用インクジ
ェット記録媒体を作製した。
【0066】実施例12〜15、比較例7〜9 実施例11の乾燥後の塗工量を各々1g/m2、2g/
2、3g/m2、及び4g/m2になるようにしたこと
以外は、実施例11と同様にして、実施例12、13、
14、及び15の非水溶性インク用インクジェット記録
媒体を作製した。また、実施例11の乾燥後の塗工量を
各々0.2g/m2、6g/m2、及び13g/m2にな
るようにしたこと以外は、実施例11と同様にして、比
較例7、8、及び9の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体を作製した。
【0067】これらの評価結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】実施例16 合成例15で作製したラテックス液10部を、水15部
で希釈して塗液を調製した。この塗液を、基材として作
製例1で形成させたアルミナ水和物を含む塗層の上に、
ワイヤーバーを用いて乾燥後の塗工量が2.5g/m2
となるように塗布し、実施例16の非水溶性インク用イ
ンクジェット記録媒体を作製した。
【0070】実施例17 作製例1の塗液にさらに合成例15で作製したラテック
ス液7部を加えたこと以外は、作製例1と同様にして、
実施例17の非水溶性インク用インクジェット記録媒体
を作製した。塗工されたインク受理層に含まれるラテッ
クスポリマーの固形分は2.5g/m2になった。
【0071】これらの評価結果を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】実施例18 合成例1で作製したポリマー溶液10部を、トルエン2
0部で希釈して塗液を調製した。この塗液を、作製例2
で形成させたアルミナ水和物を含む塗層の上に、ワイヤ
ーバーを用いて乾燥後の塗工量が2g/m2となるよう
に塗布し、実施例18の非水溶性インク用インクジェッ
ト記録媒体を作製した。
【0074】実施例19〜24 実施例18のポリマー溶液を合成例1の代わりに各々合
成例9、合成例10、合成例11、合成例12、合成例
13、及び合成例14を用いたこと以外は、実施例18
と同様にして、実施例19、20、21、22、23、
及び24の非水溶性インク用インクジェット記録媒体を
作製した。
【0075】これらの評価結果を表7に示す。
【0076】
【表7】
【0077】実施例25 合成例4で作製したポリマー溶液10部を、トルエン2
0部で希釈して塗液を調製した。この塗液を、基材とし
て作製例1で形成させたアルミナ水和物を含む塗層の上
に、ワイヤーバーを用いて乾燥後の塗工量が3g/m2
となるように塗布し、実施例25の非水溶性インク用イ
ンクジェット記録媒体を作製した。この非水溶性インク
用インクジェット記録媒体のヘーズをヘーズメーター
(日本電色工業NDH−300A)を用いて測定したとこ
ろ、9.1%であった。
【0078】実施例26〜28 基材として表8に示すものを用いたこと以外は、実施例
25と同様にして、実施例26〜28の非水溶性インク
用インクジェット記録媒体を作製した。また、実施例2
5と同様に、非水溶性インク用インクジェット記録媒体
のヘーズを測定した。
【0079】これらの使用基材、ヘーズ及び評価結果を
表8に示す。
【0080】
【表8】
【0081】実施例29〜38 実施例1〜10と同一の記録媒体に、インク調製例Aの
代わりにインク調製例Bを用いた以外は上記と同様にし
て、定着性、形状性の評価を行った。評価結果を表9に
示す。
【0082】
【表9】
【0083】
【発明の効果】本発明の構成、すなわち、イソパラフィ
ン系炭化水素に可溶なポリマーとアルミナ水和物とを含
むインク受理層を透明支持体上に設けてなる非水溶性イ
ンク用インクジェット記録媒体であって、該ポリマーの
ガラス転移温度が25℃未満であり、かつインク受理層
に含有される該ポリマーの量が0.3g/m2以上4g
/m2以下の範囲にすることによって、イソパラフィン
系炭化水素を溶媒とした非水溶性インクを用いたインク
ジェット記録に使用した場合の高い記録画像の精細性、
着色剤の定着性、表面に粘着性が発生しないことを併せ
持つ非水溶性インク用インクジェット記録媒体を提供す
ることが可能になった。すなわち、実施例1〜15と比
較例1〜9とを比較すれば明らかであるように、イソパ
ラフィン系炭化水素に可溶なポリマーとアルミナ水和物
とを含むインク受理層を透明支持体上に設けてなる非水
溶性インク用インクジェット記録媒体であって、該ポリ
マーのガラス転移温度が25℃未満であり、かつインク
受理層に含有される該ポリマーの量が0.3g/m2
上4g/m2以下の範囲にすることによって、イソパラ
フィン系炭化水素を溶媒とした非水溶性インクを用いた
インクジェット記録に使用した場合の高い記録画像の精
細性、着色剤の定着性、表面に粘着性が発生しないこと
を併せ持つ非水溶性インク用インクジェット記録媒体を
提供することが可能になった。
【0084】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体におけるイソパラフィン系炭化水素に可溶なポ
リマーとして、アルキル基の炭素数8以上のアルキル
(メタ)アクリレートを構成単位とするものを用いること
によって、記録画像の精細性がさらに高い非水溶性イン
ク用インクジェット記録媒体を提供することが可能にな
った。すなわち、実施例1〜8と実施例9,10、実施
例29〜36と実施例37,38とを比較すれば明らか
であるように、本発明の非水溶性インク用インクジェッ
ト記録媒体におけるイソパラフィン系炭化水素に可溶な
ポリマーとして、アルキル基の炭素数8以上のアルキル
(メタ)アクリレートを構成単位とするものを用いること
によって、記録画像の精細性がさらに高い非水溶性イン
ク用インクジェット記録媒体を提供することが可能にな
った。
【0085】本発明の非水溶性インク用インクジェット
記録媒体におけるイソパラフィン系炭化水素に可溶なポ
リマーとして、イソボルニル(メタ)アクリレートを構成
単位とするものを用いることによって、インクの着色剤
として顔料を用いた場合に、その記録媒体への定着性を
さらに向上させることが可能になった。すなわち、実施
例32,36と実施例29〜31,33〜35,37,
38とを比較すれば明らかであるように、本発明の非水
溶性インク用インクジェット記録媒体におけるイソパラ
フィン系炭化水素に可溶なポリマーとして、イソボルニ
ル(メタ)アクリレートを構成単位とするものを用いるこ
とによって、インクの着色剤として顔料を用いた場合
に、その記録媒体への定着性をさらに向上させることが
可能になった。
【0086】本発明において用いるイソパラフィン系炭
化水素に可溶なポリマーを、イソパラフィン系炭化水素
に40重量%濃度で溶解させたときの溶液粘度が10m
Pa・s以上1000mPa・s以下の範囲であるもの
とすることにより、着色剤の定着性に特に優れた非水溶
性インク用インクジェット記録媒体を得ることができ
た。すなわち、実施例18〜22と実施例23,24と
りわけ実施例18,20,21と実施例23,24とを
比較すれば明らかであるように、本発明において用いる
イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマーを、イソパ
ラフィン系炭化水素に40重量%濃度で溶解させたとき
の溶液粘度が10mPa・s以上1000mPa・s以
下の範囲であるものとすることにより、着色剤の定着性
に特に優れた非水溶性インク用インクジェット記録媒体
を得ることができた。
【0087】本発明において、非水溶性インク用インク
ジェット記録媒体のヘーズを3%以上10%以下の範囲
にすることによって、高透明性を有し、定着性と精細性
が高いOHPフィルムとしても使用可能である非水溶性
インク用インクジェット記録媒体を得ることができた。
すなわち、実施例25,26と実施例27,28とを比
較すれば明らかなように、非水溶性インク用インクジェ
ット記録媒体のヘーズを3%以上10%以下の範囲にす
ることによって、高透明性を有し、定着性と精細性が高
いOHPフィルムとしても使用可能である非水溶性イン
ク用インクジェット記録媒体を得ることができた。
【0088】本発明において、イソパラフィン系炭化水
素に可溶なポリマーを、支持体上にアルミナ水和物を含
む層を設けた後に塗工することによって、本発明の効果
をより好ましく発揮する、とりわけ定着性や精細性の高
い非水溶性インク用インクジェット記録媒体を得ること
が可能になった。すなわち、実施例1,16と実施例1
7とを比較すれば明らかであるように、イソパラフィン
系炭化水素に可溶なポリマーを、支持体上にアルミナ水
和物を含む層を設けた後に塗工することによって、本発
明の効果をより好ましく発揮することが可能になった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリ
    マーとアルミナ水和物とを含むインク受理層を透明支持
    体上に設けてなる非水溶性インク用インクジェット記録
    媒体であって、該ポリマーのガラス転移温度が25℃未
    満であり、かつインク受理層に含有される該ポリマーの
    量が0.3g/m2以上4g/m2以下の範囲であること
    を特徴とする非水溶性インク用インクジェット記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリ
    マーが、アルキル基の炭素数8以上のアルキル(メタ)ア
    クリレートを構成単位として含む請求項1記載の非水溶
    性インク用インクジェット記録媒体。
  3. 【請求項3】 イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリ
    マーが、イソボルニル(メタ)アクリレートを構成単位と
    して含む請求項1または2記載の非水溶性インク用イン
    クジェット記録媒体。
  4. 【請求項4】 イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリ
    マーが、イソパラフィン系炭化水素に40重量%濃度で
    溶解したときの溶液の粘度が10mPa・s以上100
    0mPa・s以下の範囲である請求項1〜3のいずれか
    に記載の非水溶性インク用インクジェット記録媒体。
  5. 【請求項5】 ヘーズが3%以上10%以下の範囲であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の非水溶性インク用イ
    ンクジェット記録媒体。
  6. 【請求項6】 透明支持体上にアルミナ水和物を含む層
    を設けた後、イソパラフィン系炭化水素に可溶なポリマ
    ーを塗工した請求項1〜5のいずれかに記載の非水溶性
    インク用インクジェット記録媒体。
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