JP2019026652A - インクジェットインク、画像形成方法、及び画像形成物 - Google Patents

インクジェットインク、画像形成方法、及び画像形成物 Download PDF

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Abstract

【課題】非吸収性基材に対しても、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成可能なインクジェットインクを提供すること。【解決手段】金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体であり、前記疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40質量%以上70質量%以下であり、前記親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20質量%以上50質量%以下である、インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク、画像形成方法、及び画像形成物に関する。
近年、金属光沢色は、高級感、高意匠性、強いアイキャッチ効果等をもたらすことから、例えばラベルやパッケージ、広告印刷物、写真等の記録物において、金属光沢を発する画像が形成されることがある。中でも、光輝性が高く、高精細な金属光沢を発する画像を、デジタル印刷方式、特にインクジェット印刷方式で形成できることが望まれている。
インクジェット印刷方式による金属光沢画像の形成には、金属光沢顔料として、アルミニウム粒子や金粒子、銀粒子等の金属粒子を含むインクが用いられている。例えば、特許文献1には、水又は水溶性有機溶媒中に、金や銀等の金属ナノ粒子を含む金属コロイドを分散させたインク組成物が開示されている。このインク組成物は、高分子分散剤や水溶性アクリル樹脂等の結着樹脂をさらに含みうるとされている。
ところで、インクジェット印刷方式による金属光沢画像の形成は、普通紙等の吸収性基材だけでなく、プラスチックフィルム等の非吸収性基材にも行われることがある。これらの基材は水系インクの吸収性が低いため、基材上に着弾したインクの液滴を濡れ広がらせつつ、液滴同士が混ざり合わないようにすることが求められている。
例えば、特許文献2には、非吸収性基材上に、多価金属塩や有機酸等の凝集剤を含む反応液を付与して受容層を形成した後、メタリック色材を含むメタリックインクを付与して画像を形成する方法が開示されている。そして、受容層に含まれる凝集剤が、インク成分を急速に凝集又は増粘させるとされている。
特開2003−306625号公報 特開2015−147405号公報
特許文献2の方法では、受容層でインク成分を急速に凝集させるので、当該受容層でインクをある程度は濡れ広がらせることができると考えられる。しかしながら、インクに含まれる高分子分散剤や溶剤の種類によっては、得られる金属光沢層が白濁しやすく、金属光沢性が著しく低下しやすいという問題があった。この理由は明らかではないが、インク中の成分が急速に凝集する過程で、高分子分散剤や樹脂が不均一に析出しやすく、散乱光を生じやすいためであると考えられる。
従って、このような受容層を設けなくても、非吸収性基材上で(インクの液滴同士が混ざり合わない程度に)インクを濡れ広がりやすくし、それにより、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成できることが望まれる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、受容層等を設けなくても、非吸収性基材に対して濡れ広がりやすく、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成可能なインクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法並びに画像形成物を提供することを目的とする。
[1] 金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体であり、前記疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40質量%以上70質量%以下であり、前記親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20質量%以上50質量%以下である、インクジェットインク。
[2] 前記疎水性モノマー(b)は、エチレン性二重結合と、芳香族環、脂肪族環及び炭素原子数1〜24のアルキル基からなる群より選ばれる一以上とを有する化合物である、[1]に記載のインクジェットインク。
[3] 前記親水性ノニオン性モノマー(c)は、エチレン性二重結合と、ポリエチレンオキサイド基又はポリプロピレンオキサイド基とを有する化合物である、[1]又は[2]に記載のインクジェットインク。
[4] 前記高分子分散剤の重量平均分子量は、10000以上150000以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[5] 前記高分子分散剤の少なくとも一部は、架橋されている、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[6] 前記水分散性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[7] 前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェットインク。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦16
[8] 前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である、[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェットインク。
[9] 前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(2)の関係をさらに満たす、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェットインク。
式(2):5≦(M1+M2+M3)≦25
[10] 非吸収性基材上に、[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェットインクを付与して、金属光沢層を形成する工程を含む、画像形成方法。
[11] 非吸収性基材と、その上に設けられた金属光沢層とを含む画像形成物であって、前記金属光沢層は、金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含み、前記高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体であり、前記疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40質量%以上70質量%以下であり、前記親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20質量%以上50質量%以下である、画像形成物。
本発明は、受容層等を設けなくても、非吸収性基材に対して十分に濡れ広がり、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成可能なインクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法並びに画像形成物を提供することができる。
前述の通り、非吸収性基材上に、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成するためには、受容層等を設けなくても、非吸収性基材上で、金属ナノ粒子を含むインクの液滴を十分に濡れ広がるようにすることが望まれる。特に、インクの液滴同士の混ざり合いを抑制するために、固形分濃度の高いインクを少ない液滴量で吐出することがある。固形分濃度の高いインクは、固形分濃度の低いインクよりも濡れ広がりにくいことから、非吸収性基材上で、インクの液滴を濡れ広がりやすくすることが一層望まれる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の組成を有する高分子分散剤、具体的にはイオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含み、且つ疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量を所定の範囲に調整した高分子分散剤を用いることで、受容層等を設けなくても、非吸収性基材上に金属ナノ粒子を含むインクを十分に濡れ広がらせうることを見出した。
具体的には、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量を40質量%以上と多くすることで、高分子分散剤に疎水性を付与できる。このような、疎水性を有する高分子分散剤を含むインクは、疎水性を示す非吸収性基材に対して濡れやすい。それにより、得られる金属光沢層の表面平滑性を高め、金属光沢性(反射率)を高めることができる。
一方で、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量を多くしすぎると、高分子分散剤の疎水性が高くなりすぎるため、水を含む溶媒との親和性が損なわれ、金属ナノ粒子の保存安定性が損なわれやすい。そこで、さらに疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量を70質量%以下とし、且つ親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量を20質量%以上とすることで、水を含む溶媒との親和性が損なわれないようにし、インクにおける金属ナノ粒子の分散安定性を確保することができる。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
1.インクジェットインク
本発明のインクジェットインクは、金属ナノ粒子と、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含む。
1−1.金属ナノ粒子
金属ナノ粒子は、ナノサイズの金属粒子である。金属ナノ粒子の主成分の例には、銀、金、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、ビスマス等が含まれる。これらの金属は、合金、混合物又は酸化物であってもよい。主成分とは、例えば金属ナノ粒子を構成する全原子の合計に対して50原子%以上の成分をいう。これらの金属の中でも、高い光沢性と製造性の観点より、金、銀及びアルミニウムがより好ましく、安定性と色味の観点より、銀がさらに好ましい。即ち、金属ナノ粒子は、銀を主成分とする銀ナノ粒子であることが好ましく、銀99原子%以上の銀ナノ粒子であることがより好ましい。
銀を含む合金の例には、銀マグネシウム、銀銅、銀パラジウム、銀パラジウム銅、銀インジウム、銀ビスマス等が含まれる。さらに、金属ナノ粒子は、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、銀の酸化物を含有してもよい。金属ナノ粒子は、市販品を用いてもよい。
金属ナノ粒子は、分散安定性を高めるためにクエン酸等でさらに表面処理されていてもよい。また、インクに含まれる金属ナノ粒子は、1種類であってもよいし、種類又は組成が異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、金属光沢層を形成するためのインク中での分散安定性や金属光沢層の反射率を高めるのに十分な平滑性を得る観点から、3nm以上200nm以下であることが好ましく、15nm以上150nm以下であることがより好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば以下の手順で測定することができる。まず、ガラス基板上にインクを塗布した後、加熱せずに真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得る。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)により観察し、任意の300個の金属ナノ粒子の一次粒子の粒子径を測定する。得られた粒子径の平均値を、平均粒子径とする。
尚、本発明における金属ナノ粒子の平均粒子径とは、高分子分散剤を含む金属ナノ粒子自体の平均粒子径を意味する。金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば金属ナノ粒子分散液の調製時における還元剤の滴下時間等によって調整されうる。
1−2.高分子分散剤
高分子分散剤は、金属ナノ粒子の表面に吸着している。それにより、金属ナノ粒子を溶媒中で分散させやすくすると共に、高分子分散剤と水分散性樹脂とが相互作用することで、金属ナノ粒子と水分散性樹脂とを高分子分散剤を介して均一に混合させやすくすることができる。それにより、インクの保存安定性を高めることができる。
高分子分散剤が金属ナノ粒子の表面に吸着しているかどうかは、例えば、高分子分散剤が後述の吸着基を有し、且つ金属ナノ粒子の凝集が少なく、良好に分散しているかどうかで判断することができる。
高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体である。
イオン性モノマー(a)に由来する構造単位は、高分子分散剤を金属ナノ粒子の表面に吸着させる機能を有しうる。イオン性モノマー(a)は、エチレン性二重結合と、金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基とを有する化合物であることが好ましい。エチレン性二重結合の例には、(メタ)アクリロイル基やビニル基が含まれる。吸着基の例には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基が含まれる。インク中の金属ナノ粒子の分散安定性及びインクの保存安定性を向上させる観点、及びインク吐出性を向上させる観点から、アニオン性モノマーが好ましい。なお、イオン性モノマー(a)には、酸やアミン等の中性の条件ではイオンとはならなくても酸性やアルカリ性の条件ではイオンとなるモノマーも含まれる。
イオン性モノマー(a)の例には、(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が含まれる。イオン性モノマー(a)は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。アニオン性モノマーの中では、金属ナノ粒子水分散体の分散安定性及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が更に好ましい。カチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタアクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートを意味する。
疎水性モノマー(b)に由来する構造単位は、高分子分散剤に疎水性を付与して非吸収性基材との親和性を高める機能を有しうる。疎水性モノマー(b)は、前述のエチレン性二重結合と、疎水性基とを有し、且つ後述の親水性基を有しない化合物であることが好ましい。疎水性基の例には、芳香族環や脂肪族環、炭素原子数1〜24のアルキル基が含まれる。芳香族環は、芳香族炭化水素環であることが好ましく、その例には、ベンゼン環やナフタレン環等が含まれる。炭素原子数1〜24のアルキル基は、炭素原子数4〜18のアルキル基であることが好ましく、その例には、ブチル基や2−エチルヘキシル基が含まれる。
疎水性モノマー(b)の例には、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、スチレン系マクロモノマー等のスチレン類(以上、芳香族環を有するモノマー(b−1));メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族系(メタ)アクリレート類;1−ブテン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、酪酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル類(以上、アルキル基を有し、且つ芳香族環を有しないモノマー(b−2))が含まれる。疎水性ノニオン性モノマー(b)は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。例えば、芳香族環を有するモノマーと、アルキル基を有し、且つ芳香族環を有しないモノマー(以下、単に「アルキル基を有するモノマー」という)とを組み合わせてもよい。
疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40〜70質量%であることが好ましく、40〜65質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。疎水性ノニオン性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量が40質量%以上であると、高分子分散剤の疎水性を高めることができるので、インクの非吸収性基材に対する親和性が高まり、濡れ広がりやすくすることができる。それにより、得られる金属光沢層の表面平滑性を高め、反射率(光輝性)を高めることができる。疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量が70質量%以下であると、高分子分散剤の親水性が損なわれにくいので、銀ナノ粒子の、水を含む溶媒中での分散安定性、ひいてはインクの保存安定性が損なわれにくい。
高分子分散剤における、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、例えばフーリエ変換赤外分光光法(FT−IR)やHNMR、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)等によって特定することができる。
疎水性モノマー(b)に由来する構造単位が、芳香族環を有するモノマー(b−1)に由来する構造単位と、アルキル基を有するモノマー(b−2)に由来する構造単位の一方又は両方を含む場合、それらの含有比率は、例えば(b−1):(b−2)=1:100〜100:0(質量比)とすることができ、1:10〜10:1(質量比)であることが好ましい。芳香族環を有するモノマー(b−1)の含有比率が一定以上であれば、水分散性樹脂や非吸収性基材への親和性が高まりやすい。アルキル基を有するモノマー(b−2)の含有比率が高いと、ガラス転移温度(Tg)や最低造膜温度(MFP)を適度に低くしやすく、造膜性が高まりやすく、それにより表面平滑性が高く、光輝性の高い金属光沢層が得られやすい。また、アルキル基を有するモノマー(b−2)の含有比率が高いと、高分子分散剤が適度な疎水性と柔軟性を有するため、非吸収性基材上で十分に濡れ拡がりやすく、滲みやムラも抑制しやすい。
親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位は、高分子分散剤に親水性を付与して、水を含む溶媒中での銀ナノ粒子の分散安定性を高める機能を有しうる。親水性ノニオン性モノマー(c)は、前述のエチレン性二重結合と、親水性基とを有する化合物であることが好ましい。親水性基の例には、ポリエチレンオキサイド基やポリプロピレンオキサイド基等のポリアルキレンオキサイド基、ヒドロキシ基が含まれる。親水性ノニオン性モノマー(c)の例には、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(n=2〜30)等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:n=1〜29)(メタ)アクリレート等が含まれる。親水性ノニオン性モノマー(c)は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
商業的に入手しうる市販品の例には、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−20G、同40G、同90G、同230G等、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350等、PME−100、同200、同400等、PP−500、同800、同1000等、AP−150、同400、同550等、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20〜50質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。親水性ノニオン性モノマー(c)の含有量が20質量%以上であると、高分子分散剤の親水性が適度に高いため、水を含む溶媒中での、銀ナノ粒子の分散安定性、ひいてはインクの保存安定性を高めやすい。親水性ノニオン性モノマー(c)の含有量が50質量%以下であると、高分子分散剤の疎水性が損なわれにくいので、インクの非吸収性基材に対する親和性が損なわれにくく、濡れ広がりが阻害されにくい。それにより、得られる金属光沢層の反射率(光輝性)が損なわれにくい。高分子分散剤における、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前述と同様にして測定することができる。
高分子分散剤は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、又はくし型共重合体(又はくし型グラフト共重合体)のいずれであってもよい。中でも、後述する水分散性樹脂との親和性が良好である等の点から、高分子分散剤は、くし型共重合体であることが好ましい。
くし型共重合体とは、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、主鎖を構成するモノマー由来の構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを含むコポリマーをいう。くし型共重合体の好ましい例には、主鎖が、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位である(メタ)アクリル酸に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位である(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位とを含み、且つ側鎖が、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位であるポリアルキレンオキサイド基(EO−PO共重合基等の長鎖ポリアルキレンオキサイド基)を含むくし型共重合体が含まれる。くし型共重合体は、グラフト重合した側鎖が立体障害を生じるため(立体反発基として機能するため)、金属ナノ粒子同士の凝集をより高度に抑制しうる。尚、くし型共重合体(又はくし型グラフト共重合体)は、くし型ブロック共重合体であってもよいし、くし型ランダム共重合体であってもよい。
高分子分散剤は、架橋していてもよい。例えば、高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に含まれる吸着基を架橋点として架橋していてもよい。少なくとも一部が架橋した高分子分散剤は、架橋していない高分子分散剤よりも高い疎水性を有するので、インクを非吸収性基材に対して一層濡れ広がらせることができる。
そのような高分子分散剤は、例えば前述のイオン性モノマー(a)、疎水性モノマー(b)及び親水性ノニオン性モノマー(c)の共重合体に含まれる吸着基と、架橋剤とを反応させて得ることができる。架橋剤は、吸着基と反応する反応基を有する化合物であればよく、例えば吸着基がカルボキシル基である場合、エポキシ系化合物やメチロール系化合物を用いることができる。
高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が5mgKOH/g以上であると、高分子分散剤は親水性の傾向を有するため、インク中での分散性を高めやすい。酸価が250mgKOH/g以下であると、高分子分散剤の膨潤による金属光沢層の耐久性の低下を抑制しやすいだけでなく、例えば(酸価に寄与しない)立体反発基を適度に有するくし型ブロック共重合体が得られやすく、インク中での分散性を高めやすい。インクの分散性をより高め、保存安定性をより高める観点では、高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましく、5mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、高分子分散剤の酸価は、フーリエ変換赤外分光光法(FT−IR)により、高分子分散剤の種類(例えば、画像形成に用いた高分子分散剤の製品名等)を特定し、同一の高分子分散剤の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。また、HNMRやガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)によって高分子分散剤の種類を特定してもよい。
イオン性モノマー(a)に含まれる吸着基が酸価に寄与しうることから、酸価は、主にイオン性モノマー(a)に由来する構造単位の含有量によって調整できる。酸価を高めるためには、例えばイオン性モノマー(a)に由来する構造単位の含有量を多くすればよい。
高分子分散剤の重量平均分子量は、10000以上150000以下であることが好ましく、20000以上50000以下であることがより好ましい。高分子分散剤の重量平均分子量が上記範囲内であると、金属ナノ粒子の表面を高分子分散剤で十分に被覆しうるので、インクの保存安定性を一層高めやすい。高分子分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤は、例えば高分子分散剤を含む水系溶媒中で、(金属ナノ粒子となる)金属イオンを還元することによって得ることができる。
1−3.水分散性樹脂
水分散性樹脂は、水又は水系溶媒に分散する樹脂、即ち水又は水系溶媒中で、半溶解粒子状態であるコロイダルディスパージョンや、分散粒子状態であるエマルション又はラテックス等を形成しうる樹脂であり、バインダー樹脂として機能しうる。水分散性樹脂は、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属ナノ粒子の基材への密着性を高めうる。
水分散性樹脂は、少なくとも親水性成分をモノマー成分に含む重合体であることが好ましい。親水性成分の例には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基や、水酸基、ポリアルキレンオキサイド基、アミド基等のノニオン性基を含むモノマー成分が含まれる。親水性成分は、1種のみが含まれてもよいし、複数種類が含まれていてよい。中でも、カルボキシル基やスルホン酸基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基を含む親水性成分が好ましい。
水分散性樹脂は、外部乳化剤で分散させて得られる強制乳化型の水分散性樹脂や、樹脂骨格中に親水性成分を導入した自己乳化型の水分散性樹脂のいずれであってもよいが、樹脂骨格中に親水性成分を導入した自己乳化型の水分散性樹脂であることがより好ましい。
水分散性樹脂は、高分子分散剤との親和性が高い樹脂であることが好ましく、その例には、前述の親水性成分をモノマー成分として含む、アクリル系樹脂やポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が含まれる。中でも、得られる金属光沢層の耐水性を高めうる観点から、親水性成分をモノマー成分として含むアクリル系樹脂(例えばアクリル酸をモノマー成分として含むアクリル系樹脂等)や、親水性成分をモノマー成分として含むポリウレタン系樹脂(例えばジメチロールプロピオン酸をモノマー成分として含むポリウレタン系樹脂等)がより好ましい。
インク中の金属ナノ粒子の含有量M1(質量%)と、インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、インク中の水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M1/(M2+M3)は、1.5≦M1/(M2+M3)≦16を満たすことが好ましい。M1/(M2+M3)が1.5以上であると、得られる金属光沢層において金属ナノ粒子の含有比率を十分に高めることができるので、金属光沢層の反射率(光輝性)を高めやすい。M1/(M2+M3)が16以下であると、得られる金属光沢層における高分子分散剤や水分散性樹脂の含有比率が適度に多いので、基材への濡れ性、基材との密着性や膜強度を高めやすい。インクは、2≦M1/(M2+M3)≦15を満たすことがより好ましく、2.5≦M1/(M2+M3)≦10を満たすことがさらに好ましい。
インク中の金属ナノ粒子の含有量M1(質量%)と、インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)の比M1/M2は、5≦M1/M2≦200を満たすことが好ましく、10≦M1/M2≦100を満たすことがより好ましい。さらに、M1/M2が50以下であると、適度な疎水性を有する高分子分散剤の比率が適度に高いので、それを含むインクが非吸収性基材に対して十分に濡れやすく、(金属ナノ粒子の含有比率が少ない割には)得られる金属光沢層の反射率(光輝性)も損なわれにくい。
インク中の金属ナノ粒子の含有量M1(質量%)と、インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、インク中の水分散性樹脂の含有量M3(質量%)の合計量(M1+M2+M3)(質量%)は、5≦M1+M2+M3≦25を満たすことが好ましい。合計量(M1+M2+M3)が5以上であると、インクに含まれる固形分量が適度に多いことから、インクジェット方式において吐出される液滴量を少なくしても、所望の厚みの金属光沢層を形成しやすく、十分な反射率が得られやすい。合計量(M1+M2+M3)が25以下であると、インクに含まれる固形分量が多すぎないので、粘度が高まりすぎず、インクジェットヘッドからの吐出性が損なわれにくい。インクは、7≦M1+M2+M3≦25を満たすことがより好ましく、7.5≦M1+M2+M3≦20を満たすことがさらに好ましい。
1−4.溶媒
溶媒は、少なくとも水を含むが、任意の割合で有機溶媒をさらに含んでいてもよい。
有機溶媒の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類;エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等のアミン類;メタノール、エタノール、ブタノール等の1価アルコール類;2,2′−チオジエタノール;スルホラン;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;2−ピロリドン、γブチロラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の複素環類;アセトニトリル等が含まれる。これらを単独又は複数混合して用いることもできる。
中でも、溶媒は、インクジェットヘッド近傍でのインクの乾燥を防ぎ、当該ヘッドからの吐出性を高める観点等から、沸点150℃以上の有機溶媒を含むことが好ましい。そのような有機溶媒の好ましい例には、グリセリンやプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。
1−5.その他の成分
インクジェットインクは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、公知の界面活性剤(表面調整剤)が含まれる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642及びX−22−4272、信越化学工業製、BYK−307、BYK−345、BYK−347及びBYK−348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、並びにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
界面活性剤の含有量は、例えばインクの全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
1−6.物性
本発明のインクジェットインクの粘度は、インクジェット法による画像形成において、ノズルからの吐出安定性をより高める観点からは、1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、本発明のインクジェットインクを非吸収性基材上に付与して、金属光沢層を形成する工程と、金属光沢層上に、それと接する保護層を形成する工程とを含む。
2−1.金属光沢層を形成する工程
前述のインクジェットインクを非吸収性基材上に付与した後、乾燥及び加熱させて、金属光沢層を形成する。具体的には、乾燥によりインク中の溶媒を揮発させると共に、加熱によりインク中の水分散性樹脂を融着させて、金属光沢層を形成する。
非吸収性基材は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリウレタン(PU)、アクリル樹脂(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブタジエンテレフタレート(PBT))、ナイロン(Ny)等を含むプラスチック基材や、金属類及びガラス等を含む非吸収性の無機基材等の水をほとんど吸収しない基材であるか、又はアート紙やコート紙等のある程度水を吸収するが、吸収速度が遅く、常温常湿環境下の通常のインクジェット方式での印刷工程内では水系インクが乾かない基材である。
インクの付与は、インクジェット法にて行うことができる。具体的には、インクをインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材の表面に着弾させる。インクの液滴量は、インクの固形分濃度(M1+M2+M3)が上記範囲内である場合、インク液滴の着弾位置の精度を維持する観点、及び液滴同士の合一を避ける観点から、1滴あたり例えば0.5pL以上50pL以下であることが好ましく、より好ましくは1.0pL以上30pL以下、さらに好ましくは1.5pL以上15pL以下である。
解像度は、好ましくは150dpi以上、より好ましくは300dpi以上、さらに好ましくは600dpi以上である。例えば、ラインヘッドに配置されるノズル孔のノズル列の長さあたりの個数が600dpi(ドット/インチ)である場合、非吸収性基材上にインクを吐出すると、それに対応する600dpiのドットの列が形成される。非吸収性基材を移動させながらインク液滴を吐出すると、非吸収性基材上にはノズル列の方向に沿ってドットが600dpiの解像度で形成される。
インクの付与量は、得られる金属光沢層の厚みが、好ましくは0.005μm以上10μm以下、より好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下となるように設定される。得られる金属光沢層の厚みが上記範囲内であると、金属光沢を十分に発現させやすい。
インクの乾燥は、特に制限されず、真空脱気法や送風乾燥法、加熱乾燥法等で行うことができる。インクの乾燥温度は、水分散性樹脂のガラス転移温度未満とすることが好ましく、例えば常温以上100℃未満であることが好ましく、常温以上80℃未満であることがより好ましい。
インクの加熱温度は、水分散性樹脂が熱融着しうる温度であればよく、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)又はガラス転移温度以上とすることが好ましい。具体的には、加熱温度は、例えば40℃以上とすることが好ましく、上限温度は、基材と水分散性樹脂の耐熱温度以下である必要がある。また、インクに造膜助剤をさらに添加することで、水分散性樹脂のTg以下で造膜させることも可能となる。
インクの乾燥と加熱は、逐次的に行ってもよいし、同時に行ってもよい。インクの乾燥と加熱とを同時に行う場合、乾燥兼加熱温度は、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)又はガラス転移温度以上とすることが好ましい。
2−2.その他の層の形成
本発明の画像形成方法は、必要に応じて、得られた金属光沢層の表面に、色材層又は保護層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
色材層は、公知の顔料又は染料と、それらを定着させるためのバインダー樹脂とを含む樹脂組成物を、金属光沢層上に付与して形成することができる。保護層は、バインダー樹脂を含む樹脂組成物を、金属光沢層上に付与して形成することができる。これらの樹脂組成物の付与後に、当該樹脂組成物を加熱等により乾燥させてバインダー樹脂を成膜させてもよい。このときの乾燥温度は、例えば100℃未満としうる。
各樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂は、金属ナノ粒子等を含む顔料の基材への密着性を高めるために従来から用いられている樹脂であればよい。そのようなバインダー樹脂の例には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアルキド系樹脂等が含まれる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、液状であってもよいし、フィルム状であってもよい。即ち、色材層や保護層は、前述の樹脂を含む液状の樹脂組成物を付与した後、乾燥させて形成してもよいし、フィルム状の樹脂組成物を熱圧着して形成してもよい。
液状の樹脂組成物の付与は、インクジェット法、スプレー法、ローラ塗布法、電子写真法等で行うことができる。精細な画像を形成しやすくする観点では、インクジェット法で行うことが好ましい。液状の樹脂組成物の付与した後の乾燥温度は、溶媒を揮発させると共に樹脂を成膜させうる温度であり、例えば100℃未満としうる。
フィルム状の樹脂組成物の熱圧着は、圧着ローラにより熱圧着させる方法や、シート上に予め形成された転写層をサーマルヘッド又は熱ローラにより熱転写させる方法等で行うことができる。熱圧着温度は、バインダー樹脂のガラス転移温度近傍としうる。
本発明のインクジェットインクは、非吸収性基材上に十分に濡れ広がりやすいので、非吸収性基材と金属光沢層との間に設けられる、凝集剤を含むプライマー層を不要とすることができる。但し、凝集剤を含まないプライマー層であれば、必要に応じて形成してもよい。このように、本発明のインクは、非吸収性基材上で乾燥・濃縮される過程で、凝集剤の作用を受けず、且つ高分子分散剤の立体反発作用により、金属ナノ粒子同士の相互作用が大きくなりすぎないので、金属ナノ粒子の急激な凝集を抑制できる。それにより、金属光沢層の白濁や、それによる金属光沢の低下を抑制しうる。
3.画像形成物
本発明の画像形成物は、非吸収性基材と、当該非吸収性基材上に設けられた金属光沢層とを含む。本発明の画像形成物は、必要に応じて基材と金属光沢層との間に設けられたプライマー層や、金属光沢層の表面に設けられた保護層又は色材層をさらに含みうる。
金属光沢層は、金属ナノ粒子と、その表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含む。金属光沢層の組成は、前述のインクの固形分の組成と同じである。保護層又は色材層の組成やプライマー層の組成も、前述の保護層又は色材層用の樹脂組成物又はプレコート層用の樹脂組成物の固形分の組成とそれぞれ同じである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.材料
1−1.高分子分散剤の調製
(高分子分散剤A−1〜A−6の調製)
2つの滴下ロート1及び2を備えた反応容器内に、表1又は2に示されるモノマー、溶媒、重合開始剤、及び重合連鎖移動剤を入れて混合した後、窒素ガス置換を行い、初期仕込みモノマー溶液を調製した。
これとは別に、表1又は2に示されるモノマー、溶媒、重合開始剤、及び重合連鎖移動剤を混合して、滴下モノマー溶液1を調製した後、滴下ロート1に入れて窒素置換した。同様に、表1又は2に示されるモノマー、溶媒、重合開始剤、及び重合連鎖移動剤を混合して、滴下モノマー溶液2を調製した後、滴下ロート2に入れて窒素置換した。
用いたモノマーは、以下の通りである。
<イオン性モノマー(a)>
メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製)
<疎水性モノマー(b)>
ベンジルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
スチレン(和光純薬工業株式会社製)
スチレン系マクロモノマー(東亜合成株式会社製、AS−6(S)、有効分濃度50質量%、数平均分子量6000)
ブチルアクリレート
2−エチルヘキシルアクリレート
<親水性ノニオン性モノマー(c)>
PEGMA:メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(新中村化学工業株式会社製、NKエステルM−90G)
PPGMA:ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、ブレンマーPP−1000)
Figure 2019026652
Figure 2019026652
そして、窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー溶液を攪拌しながら77℃に維持し、滴下ロート1中の滴下モノマー溶液1を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。次いで、滴下ロート2中の滴下モノマー溶液2を2時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器内の混合溶液を77℃で0.5時間攪拌した。次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)1.1質量部を、メチルエチルケトン47.3質量部に溶解させて重合開始剤溶液を調製し、該混合溶液に加え、77℃で0.5時間攪拌することで熟成を行った。重合開始剤溶液の調製、添加及び熟成を更に5回行った。次いで、反応容器内の反応溶液を80℃に1時間維持し、固形分濃度が45質量%になるようにメチルエチルケトンを加えて、高分子分散剤を含む溶液を得た。
得られた溶液中の高分子分散剤の重量平均分子量を、以下の方法で測定した。
(重量平均分子量)
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて高分子分散剤の重量平均分子量を測定した。
高分子分散剤A−1〜A−6の組成と重量平均分子量を、表3に示す。
Figure 2019026652
1−2.銀ナノ粒子原液の調製
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に、3.3mol/L硝酸銀水溶液3.6mLを添加し、2時間攪拌して、銀コロイド液を得た。
得られた銀コロイド液を、遠心分離により精製し、最終的に固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子原液を得た。
得られた銀ナノ粒子原液を、ガラス基板上に付与した後、真空脱気して溶媒成分を除去して、試料を得た。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀ナノ粒子の平均粒子径を測定した結果、30nmであった。平均粒子径は、銀ナノ粒子300個の一次粒子の粒子径を測定し、それらの平均値とした。
1−3.銀ナノ粒子分散液の調製
<銀ナノ粒子分散液1>
上記調製した高分子分散剤A−1溶液(固形分濃度45%)44.5質量部を、メチルエチルケトン(MEK)36.3質量部と混合し、高分子分散剤A−1のMEK溶液を得た。容積2Lの容器に、当該高分子分散剤A−1のMEK溶液を投入し、1400rpmの条件で撹拌しながら、イオン交換水176.8質量部、5N水酸化ナトリウム水溶液6.1質量部、及び25%アンモニア水溶液1.3質量部を添加して、水酸化ナトリウムによる中和度が85%、アンモニアによる中和度が40%となるように調整し、0℃の水浴で冷却しながら、1400rpmで15分間撹拌した。
次いで、得られた溶液に、上記調製した銀ナノ粒子原液を200質量部加え、7000rpmで3時間撹拌した。得られた混合物を、マイクロフルイダイザー「M−110EH−30XP」(Microfluidics社製)を用いて100MPaの圧力で15パス分散処理し、分散処理物を得た。固形分濃度は12.9質量%であった。
次いで、得られた分散処理物465質量部を、2Lナスフラスコに入れ、イオン交換水215質量部をさらに加え(固形分濃度8.8%)、回転式蒸留装置「ロータリーエバポレーター N−1000S」(東京理化器械株式会社製)を用いて、回転数50rpmで、32℃に調整した温浴中、0.09MPaの圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去させた。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPaに下げて固形分濃度15%になるまで濃縮した。得られた濃縮物を、遠心分離機で遠心分離を行った。沈殿した銀ナノ粒子を含む固形分と液体分を分け、固形分をイオン交換水に再度分散させて、遠心分離を行った。最終的に、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液1を得た。
得られた分散液の一部を採取し、室温で10時間真空乾燥させて、銀粉を得た。得られた銀粉の熱重量分析(RIGAKU製ThermoplusTG8120)を行った結果、高分子分散剤(100℃から450℃の重量減少分)が5質量%、銀固形分が95質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液2>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−2溶液を用いた以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液2を得た。
<銀ナノ粒子分散液3>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−3溶液を用いた以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液3を得た。
<銀ナノ粒子分散液4>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−4溶液を用いた以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液4を得た。
<銀ナノ粒子分散液5>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−5溶液を用いた以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液5を得た。
<銀ナノ粒子分散液6>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−6溶液を用いた以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分濃度が20質量%の銀ナノ粒子分散液6を得た。
<銀ナノ粒子分散液7>
高分子分散剤A−1溶液に代えて、高分子分散剤A−2溶液を用い、且つ5N水酸化ナトリウム水溶液の添加量を3.6質量部に変更した以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして、固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。
得られた分散液300質量部に、イオン交換水100質量部を添加し、エポキシ架橋剤0.35質量部(ナガセケムテック社製、EX−321、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、エポキシ当量140g/eq)をさらに添加して混合し、得られた混合液を70℃で5時間攪拌し、メタクリル酸成分の一部(カルボキシル基)をエポキシ化合物で架橋させた。これを25℃に冷却した後、遠心分離し、固形分濃度が20質量%になるように調整して、銀ナノ粒子分散液7を得た。
1−4.水分散性樹脂の分散液の調製
<ポリウレタン系樹脂の分散液>
ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸を、56:4:1:21:18(質量比)で反応させて得られるポリエステルポリオール(分子量2000)580質量部と、トリメチロールプロパン15質量部と、メチルエチルケトン667質量部とを、十分に撹拌溶解させた。次いで、この溶液に、イソホロンジイソシアネート300質量部を加えて、75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸105質量部と、トリエチルアミン59質量部(ジメチロールプロピオン酸に対し0.6モル)とを加えて、75℃で反応させて、NCO含量が1.0%の末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。このウレタンプレポリマーを40℃まで冷却して、水1857質量部を加え、ホモミキサーで高速撹拌し、乳化させた。この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、固形分濃度が30質量%のポリウレタン系樹脂の分散液を得た。
<アクリル系樹脂の分散液>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、溶媒としてのイソプロピルアルコール140gを仕込み、85℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸12.5g、メタクリル酸メチル60.5g、及びアクリル酸2−エチルヘキシル23gと反応開始剤(日本ヒドラジン工業(株)製「ABN−E」)4gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2時間重合させ、その後、溶媒を減圧下で留去して、ガラス転移温度50℃の水溶性樹脂を得た。
次に、得られた水溶性樹脂96gを粉砕した後、モノマー組成から算出した水溶性樹脂が有するカルボキシル基と当量のアンモニアを溶解させた水140g中に添加して攪拌混合し、80℃で加熱溶解させて、固形分濃度40%の高分子乳化剤の水溶液(A)を得た。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、高分子乳化剤の水溶液(A)240g及び水90gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、80〜85℃に保ち、メタクリル酸メチル86g、アクリル酸2−エチルヘキシル58gと、1%過硫酸アンモニウム水溶液60gとを、それぞれ別の滴下口から2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2.5時間乳化重合を行い、得られたエマルションを水で希釈し、固形分濃度が30質量%のアクリル系樹脂の分散液を得た。
1−5.溶媒

プロピレングリコール(沸点:188℃)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:248℃)
1−6.添加剤
BYK−348(ビックケミー製)(界面活性剤)
2.インクの調製
<インク1〜12の調製>
表4に示されるような組成となるように各成分を混合した後、ADVATEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インク1〜12を調製した。
インク1〜12の組成を、表4に示す。
Figure 2019026652
<インク評価>
得られたインク1〜12の保存安定性を、以下の方法で評価した。
(保存安定性)
インクを密閉容器中に入れて50℃30分間と5℃30分間のヒートサイクルを4回繰り返した後、インクの状態を観察した。また、このインクを用いて、線幅0.5ポイントの線を印刷した。そしてその線を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
◎:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時に全くかすれることなく、また印刷途中で途切れることもなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は良好であると評価した。
〇:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時にかすれ気味であったが、途中で途切れることなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は実用レベルに達していると評価した。
△:銀ナノ粒子が沈降しているが、容器を振ると、見かけ上、再分散した。また、印刷途中で線が途中で途切れてしまった。インクの保存安定性、吐出性は不良であると評価した。
×:銀ナノ粒子が沈降しており、容器を振っても再分散しない。印刷はできず、インクの保存安定性は極めて悪いと評価した。
さらに、得られたインク1〜12を用いて、以下のようにして画像形成を行い、画像の評価を行った。
<画像評価>
(基材)
基材として、片面コロナ処理した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2001、厚み50μm)を、A4サイズにカットしたフィルムを準備した。
(画像形成)
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、それぞれの基材に画像(金属光沢層)を形成した。インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、及びピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有していた。
インクジェットヘッドは、液滴量6pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動して、インクの液滴を吐出して基材に着弾させベタ画像を形成した。次いで、記録媒体の表面温度が80℃となるように乾燥し、厚み0.25μmの画像(金属光沢層)を得た。
(反射率)
得られた画像形成物の画像(金属光沢層)について、顕微反射率測定器(OLYMPUS, USPM-RU III)を用いて、450〜650nmの範囲で10nmおきの各波長での反射率を測定し、それらの平均値を求めて、下記基準で評価した。
◎:上記平均値が50%以上
○:上記平均値が50%未満40%以上
△:上記平均値が40%未満30%以上
×:上記平均値が30%未満
△以上を実用性ありと評価した。
(密着性)
得られた画像形成物の表面に、2mmマスの碁盤目状に100マス切り込みを入れ、粘着テープを貼り付けて、テープ剥離テストを行った。粘着テープには、幅25mm当たり付着強さ10±1Nの粘着テープ(TQC ISO付着テープ)を使用した。
当該碁盤目状部分にテープを十分に密着させ、90°の角度で剥がした。テープ剥離テスト後の、塗膜の残存部分の面積比率から、◎(100%残存)、○(85%以上100%未満残存)、△(70%以上85%未満残存)、×(40%以上70%未満残存)、××(残存40%未満)の5段階の判定を下した。
△以上を実用性ありと評価した。
(画質)
得られた画像形成物を目視観察して、以下の評価基準で画質を評価した。
◎:滲みやムラ、白スジがない。
○:拡大鏡で確認するとわずかに滲みやムラ、白スジが確認できるが、目視では視認できない。
△ :滲みやムラ、白スジがあることが目視で分かる。
× :濡れが足りない、滲みがひどくフェザリングしていることがはっきり分かる、ムラがひどく局所的な濃度の差がはっきりとできている等、実用上問題有り。
滲みやムラは、液滴同士が液寄りして合一することにより生じる滲みやムラをいう。従って、滲みやムラが少ないとは、液滴が、ドットが形成されるべきところに十分に濡れ拡がって固定されていることを意味する。
〇以上を実用性ありと評価した。
インク1〜12の評価結果を、表5に示す。
Figure 2019026652
表5に示されるように、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位を一定以上含む高分子分散剤を含む実施例1〜10のインクは、画質を損なうことなく、得られる画像(金造光沢層)の光輝性を高めうることがわかる。これは、上記高分子分散剤は疎水性が適度に高いことから、それを含むインクは非吸収性基材に対して濡れやすく、金属光沢層の表面平滑性が高くなったためであると考えられる。
特に、高分子分散剤を架橋させることで、得られる画像(金属光沢層)の光輝性を高めつつ、密着性やインクの保存安定性を高めうることがわかる(実施例2と5の対比)。
また、M1/(M2+M3)を1.5以上とすることで、金属光沢層の光輝性を高められること、16以下とすることで、密着性と画質がさらに高まることがわかる(実施例6、9及び10の対比)。
これに対して、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位が多すぎる比較例1のインクは、インクの保存安定性が低く、得られる画像(金造光沢層)の密着性も低いことがわかる。これは、高分子分散剤の親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位が少なく、銀ナノ粒子の分散性が低下したためと考えられる。一方、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位が少なすぎる比較例2のインクは、得られる画像(金属光沢層)の光輝性が低いことがわかる。これは、高分子分散剤の親水性が高すぎるため、インクが低吸収性基材又は非吸収性基材に対して濡れにくく、金属光沢層の表面平滑性が損なわれるためと考えられる。
本発明によれば、非吸収性基材に対しても、十分な金属光沢性を有する金属光沢層を形成可能なインクジェットインク、及びそれを用いた画像形成方法並びに画像形成物を提供することができる。

Claims (11)

  1. 金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、
    前記高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体であり、
    前記疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40質量%以上70質量%以下であり、
    前記親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20質量%以上50質量%以下である、インクジェットインク。
  2. 前記疎水性モノマー(b)は、エチレン性二重結合と、芳香族環、脂肪族環及び炭素原子数1〜24のアルキル基からなる群より選ばれる一以上とを有する化合物である、請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記親水性ノニオン性モノマー(c)は、エチレン性二重結合と、ポリエチレンオキサイド基又はポリプロピレンオキサイド基とを有する化合物である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記高分子分散剤の重量平均分子量は、10000以上150000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記高分子分散剤の少なくとも一部は、架橋されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  6. 前記水分散性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  7. 前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
    式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦16
  8. 前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  9. 前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(2)の関係をさらに満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
    式(2):5≦(M1+M2+M3)≦25
  10. 非吸収性基材上に、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットインクを付与して、金属光沢層を形成する工程を含む、画像形成方法。
  11. 非吸収性基材と、その上に設けられた金属光沢層とを含む画像形成物であって、
    前記金属光沢層は、金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含み、
    前記高分子分散剤は、イオン性モノマー(a)に由来する構造単位と、疎水性モノマー(b)に由来する構造単位と、親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位とを含む共重合体であり、
    前記疎水性モノマー(b)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して40質量%以上70質量%以下であり、
    前記親水性ノニオン性モノマー(c)に由来する構造単位の含有量は、前記高分子分散剤を構成する全構造単位の合計に対して20質量%以上50質量%以下である、画像形成物。
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