JPH11268179A - 金属化粧板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性が高く耐候性が良好な金属化粧板を提
供する。 【解決手段】 金属基材１の上に着色塩ビフィルム３、
絵柄印刷層４、透明もしくは半透明の表面保護層５が順
次設けられている金属化粧板であって、絵柄印刷層４が
アクリル系樹脂をバインダーとするインキで形成され、
表面保護層５がシリコンアクリル系樹脂からなり分子量
が２０万〜３０万であるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、金属基材の表面に
装飾を施した金属化粧板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の金属化粧板としては、印
刷された着色塩ビフィルムにクリアーフィルムをダブリ
ングエンボスしてなる化粧シートを貼り付けたものや、
単色の塗料で塗装するか或いはオフセットグラビアで印
刷したものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたも
ののうち前者の金属化粧板は、曲げ加工時にクラックが
発生したり耐候性に劣ると言った問題点があり、また後
者の金属化粧板は、意匠性に劣るという問題点がある。

【０００４】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、意匠性が
高く耐候性が良好な金属化粧板を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明は、金属基材の上に着色塩ビフィルム、絵
柄印刷層、透明もしくは半透明の表面保護層が順次設け
られている金属化粧板であって、前記絵柄印刷層がアク
リル系樹脂をバインダーとするインキで形成され、前記
表面保護層がシリコンアクリル系樹脂からなり分子量が
２０万〜３０万であることを特徴としている。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係る金属化粧板の
一例を示す断面図であり、同図に示される金属化粧板
は、金属基材１の上に接着剤層２を設け、着色された塩
ビフィルム３に絵柄印刷層４を形成しさらに表面保護層
５を形成しておいたものをその上からラミネートして構
成されている。

【０００７】

【発明の実施の形態】金属基材としては、鉄板、亜鉛メ
ッキ鋼板、銅板、アルミニウム板等の金属板が使用され
る。

【０００８】塩ビフィルムは建材用として公知のものを
使用する。特に外装用途としては、顔料濃度が重量比で
１０部以上、紫外線隠蔽率が３００ｎｍ〜４００ｎｍの
領域全てで９５％以上カットしていること、さらに厚み
が２００μｍ以上であることが望ましい。これらの値に
ないと耐候性の面で変退色、基材からの剥がれが早く訪
れる。

【０００９】絵柄印刷層は、グラビア印刷、オフセット
印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印
刷等の公知の印刷法によりインキにて形成する。模様に
は、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学
図形、文字、記号或いは全面ベタ等がある。使用するイ
ンキは金属基材との密着性及び耐候性を考慮し、バイン
ダーにアクリル系樹脂を使用し、これに顔料を添加した
ものを用いる。アクリル樹脂と塩酢ビ樹脂を８：２で配
合したものが良好である。この比率が１：１に近づくと
耐候性が劣り、１０：０に近づくとラミネート後の曲げ
加工でクラックを生じる。

【００１０】顔料としては耐候性のあるものが使用さ
れ、黄色顔料としてイソインドリノン、スレンイエロー
Ｇ、パーマネントイエローＨＲ等の有機顔料、および黄
色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー等の無機顔料、赤色
顔料としてキナクリドンレッド、パーマネントレッドＦ
ＧＲ、パーマネントレッドＦ４ＲＨ等の有機顔料、およ
び弁柄、硫化水銀カドミウム等の無機顔料、青色顔料と
してフタロシアニンブルー、スレンブルーＲＳ等の有機
顔料、および群青、紺青等の無機顔料、黒色顔料として
カーボンブラック、白色顔料として二酸化チタン、三酸
化二アンチモン等が挙げられる。これらの中でも、酸化
鉄（黄色、茶色）、フタロシアニンブルー（青）、カー
ボンブラック（黒）、二酸化チタン（白）が望ましい。

【００１１】ラミネートに用いる接着剤としては、フェ
ノール系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポ
キシ系樹脂、若しくはその他の熱硬化性樹脂に、必要に
応じて、イソシアネート、アミン等の架橋剤、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、
アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤、ナフテン
酸コバルト、ジメチルアニリン等の重合促進剤等を添加
したもの、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸
ビニル／塩化ビニル共重合体、エチレン／ビニルアルコ
ール共重合体、エチレン／酢酸ビニル共重合体、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル重合
体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ（メタ）ア
クリル酸エステル系樹脂、硝酸繊維素、酢酸繊維素、ポ
リアミド、アイオノマー若しくはその他の熱可塑性樹
脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴ
ム、天然ゴム、若しくはその他のゴム、又は、膠、カゼ
イン、デキストリン、澱粉、アラビアゴム、ロジン等の
天然樹脂、等の１種又は２種以上の混合体を主成分と
し、必要に応じ、これに公知の充填剤、顔料、染料、安
定剤、溶剤、可塑剤等を添加したものを接着剤として使
用することができる。これらのうち、金属基材と塩ビフ
ィルムとの密着性及びその他の適性を考慮したものを用
いるようにする。

【００１２】これらの接着剤の硬化方式としては、溶剤
乾燥型、エマルジョン型、熱熔融固化型、熱硬化型等適
宜の方式を選定でき、接着剤の形態としては、液体、粉
体、固体フィルム等適宜な形態を採ることができる。

【００１３】接着面への接着剤の適用方式としては、液
体接着剤の場合、塗工方式を適用するが、熱熔融固化型
の場合は、エクストルージョンコート等により接着面に
塗工して相手基材を積層加圧したり、一度接着面に塗工
乾燥後、相手基材を積層して加熱、加圧する方法、フィ
ルム型の場合、接着すべき基材間に接着剤フィルムを積
層して加圧又は加熱加圧する方法等がある。必要に応
じ、接着面にコロナ放電処理、プラズマ処理、プライマ
ーコート、脱脂処理、表面粗面化処理等公知の易接着処
理を施してもよい。

【００１４】表面保護層は下地のインキ層を保護するた
めの層であり、耐候性、耐汚染性、曲げ加工性のある半
透明もしくは透明の樹脂層で形成する。本発明ではシリ
コンアクリル系樹脂からなり分子量が２０万〜３０万の
ものを使用する。また、塩酢ビ樹脂とシリコンアクリル
樹脂からなり、その重量比が１０：９０〜４０：６０の
ものを使用するのが好ましい。さらには、重合度が７０
０〜２０００、Ｔｇが７０〜１００℃のものを使用する
のが好ましい。塩酢ビの重量比が大きすぎると耐汚染
性、耐候性が劣り、逆にシリコンアクリル樹脂の重量比
が大きすぎると耐溶剤性が劣ってくる。また、艶消し用
にはフッ素系ワックス或いは疎水性シリカを必要に応じ
て重量比で０．５〜３０部添加したものを用いればよ
い。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに詳細
に説明する。

【００１６】（実施例）着色塩化ビニルフィルムにアク
リル系樹脂をバインダーとしたインキで石目柄を印刷
し、その上にシリコンアクリル系樹脂で透明保護層を設
けた。シリコンアクリル系樹脂としては、塩酢ビ樹脂と
シリコンアクリル樹脂からなり、その重量比が２２：７
８、合計の分子量が１５万〜２５万、重合度が９００〜
１８００、Ｔｇが約９３℃のものを用いた。

【００１７】一方、厚さ０．２７ｍｍの溶融亜鉛メッキ
鋼板を準備した。そして、その表面に接着剤を塗布し、
上記の化粧シートをラミネートした後、エンボス形状を
有するメタルロールにて凹凸加工を行った。次いで、化
粧面の裏面にフェノールフォームの合成樹脂を注入し、
水酸化アルミシートで裏打ちをし、加熱しながら発泡さ
せた。その後、さね加工部の折曲げ加工を行って建築用
パネルとしての金属化粧板を製造した。

【００１８】（比較例１）着色塩化ビニルフィルムに塩
酢ビ系樹脂をバインダーとしたインキで石目柄を印刷し
た。その他の条件は実施例１と同様にして建築用パネル
を得た。

【００１９】（比較例２）着色塩化ビニルフィルムに塩
酢ビ系樹脂をバインダーとしたインキで石目柄を印刷し
た上に、透明塩化ビニルフィルムをダブリングエンボス
した。その他の条件は実施例１と同様にして建築用パネ
ルを得た。

【００２０】（比較例３）着色塩化ビニルフィルムに塩
酢ビ系樹脂をバインダーとしたインキで石目柄を印刷し
た上に、透明アクリルフィルムをダブリングエンボスし
た。その他の条件は実施例１と同様にして建築用パネル
を得た。

【００２１】（評価）上記の実施例と比較例１〜３で得
られた各金属化粧板に対し、常温と０℃の条件でそれぞ
れ曲げ加工を行って異常の有無を目視で観察した。ま
た、マジックインキ（登録商標）にて耐汚染性（ＪＩＳ
Ｋ６９０２）を評価した。さらに、サンシャインウェザ
オメーターにて耐候性テストを行った。それらの結果を
表１に示す。この表１から分かるように、実施例の金属
化粧板は比較例のものと比べ、曲げ加工、耐汚染性、耐
候性についてそれぞれ良好な結果となった。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、着色
塩化ビニルフィルムにアクリル系樹脂をバインダーとす
るインキで絵柄印刷層を設け、その上からシリコンアク
リル系樹脂からなり分子量が２０万〜３０万である樹脂
で透明保護層を設けてなる化粧シートを表面に貼着した
ことで、意匠性が高く耐候性の良好な金属化粧板を得る
ことができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の金属化粧板の一例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 金属基材 ２ 接着剤層 ３ 着色塩ビフィルム ４ 絵柄印刷層 ５ 表面保護層

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属基材の上に着色塩ビフィルム、絵柄
   印刷層、透明もしくは半透明の表面保護層が順次設けら
   れている金属化粧板であって、前記絵柄印刷層がアクリ
   ル系樹脂をバインダーとするインキで形成され、前記表
   面保護層がシリコンアクリル系樹脂からなり分子量が２
   ０万〜３０万であることを特徴とする金属化粧板。
2. 【請求項２】 表面保護層が塩酢ビ樹脂とシリコンアク
   リル樹脂からなり、その重量比が１０：９０〜４０：６
   ０である請求項１に記載の金属化粧板。
3. 【請求項３】 表面保護層の重合度が７００〜２０００
   である請求項１に記載の金属化粧板。
4. 【請求項４】 表面保護層のＴｇが７０〜１００℃であ
   る請求項１に記載の金属化粧板。