JPH11267806A - 連続鋳造設備のガス切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はガス切断装置を稼動しながら、吹管
による切断フレームの通り芯のズレを修正できる連続鋳
造設備のガス切断装置を提供する。 【解決手段】 ガス切断装置１は、吹管２と、ガイドバ
ー３と、ガイドロール４ａ、４ｂを備えた固定ガイド５
とから構成されている。ガイドバー３は、形状が角形
で、固定ガイド５に設けたＶ形の溝Ｍを持つガイドロー
ル４ａ、ガイドロール４ｂに係合して、シリンダ９によ
って固定ガイド５を昇降する。ガイドロール４ａには、
位置調整装置１１が設けられており、ガイドロール４ａ
を移動させ、Ｖ形の溝Ｍの位置を鋳片移動方向へ移動で
きる。溝Ｍの位置を鋳片移動方向へ移動させると、溝Ｍ
と係合しているガイドバー３が同調して鋳片移動方向へ
移動し、ガイドバー３の下端部に固定された吹管取付台
７を介して、吹管２が鋳片移動方向へ移動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造設備のガ
ス切断装置に係わり、特に、鋳片移動方向への吹管の切
断位置が容易に調整できるガス切断装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続鋳造機で製造された鋳片は、移動さ
せながら、通常、鋳造速度に同期させて移動するガス切
断装置により、所定の長さに切断される。

【０００３】ガス切断装置は、鋳片を側端から幅方向に
フレームの熱で切断する吹管と、該吹管を支持する昇降
式ガイドバーと、ガイドバーの昇降をガイドするガイド
ロールを備えた固定ガイドと、を具備している。

【０００４】一般に、上記ガス切断装置で鋳片を切断す
る場合は、２台のガス切断装置を、移動する鋳片に同調
させ、その両側端に位置させて、吹管を左右から中央に
向かって移動させ、そのフレームの熱で切断する。

【０００５】しかし、吹管は、高熱鋳片からの輻射熱に
よる熱変形やノズルへの切断ノロの付着等により、左右
の吹管からの切断フレームの通り芯にズレが生じ易い。
通り芯にズレが生じると、鋳片中央部での切断面に段差
ができ、次工程でのクロップの増加につながる。また、
甚だしい場合には、切断できなくなる。そのために、切
断フレームの通り芯のズレに対して、種々の対策が行わ
れている。

【０００６】一般には、吹管取付け部にシムを取付けて
フレーム位置を調整したり、吹管の取替えを行ったりし
ている。

【０００７】一方、特開平９−１５０２６２号公報に
は、鋳片をその上面側からガストーチを用いて切断する
際に、監視カメラを用いて、鋳片の下面側を撮影し、得
られた画像を処理して、吹管から吹出すフレーム状態を
監視して、フレームの状態が正常になるように、吹管の
位置を調整する技術が開示されている。ここでは吹管不
良時に吹管を逆方向に後退させて切断不良の鋳片を再切
断する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た吹管取付け部にシムを取付けてフレーム位置を調整す
る等の従来技術では、ガス切断機を長時間運転停止しな
ければならず、その間鋳造ができないという問題があ
る。

【０００９】一方、特開平９−１５０２６２号公報に開
示された技術では、監視カメラを用いて、鋳片の下面側
を撮影し、得られた画像を処理して、吹管から吹出すフ
レーム状態を監視するものであり、連続鋳造による鋳片
の切断時の温度が６００℃〜１０００℃程度の高温度の
状態にあり、監視カメラを適正な位置に近接させること
が困難である。

【００１０】また、フレーム状態を鋳片の下面側から監
視する技術は、鋳片が正常に切断されている場合は、吹
管から吹出るフレームが鋳片を貫通するので、鋳片下面
でそのフレームを確認し、切断不良が発生した場合に
は、フレームが鋳片内部で遮られて火花を発生し、鋳片
下面から吹出るフレームの輝度に正常時との差を生じる
ことに基いて、切断不良と判断して、吹管の先端の高さ
位置を微調整して、吹管を逆方向に後退させて鋳片を再
切断する。

【００１１】そのために、前述した切断フレームの通り
芯のズレによる問題点に対して、適切に対応することが
できない。

【００１２】本発明は、上記のような切断フレームの通
り芯のズレによる問題点を解決するために為されたもの
であり、移動する鋳片に同調させたガス切断装置を稼動
しながら、吹管による切断フレームの通り芯のズレを修
正することができる連続鋳造設備のガス切断装置を提供
することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、移動する鋳片
に同調させて、その鋳片を側端から幅方向に切断する吹
管と、該吹管を支持し昇降機構を有するガイドバーと、
ガイドバーの昇降をガイドするガイドロールを備えた固
定ガイドと、を具備した連続鋳造設備のガス切断装置で
あって、前記ガイドロールには鋳片移動方向への位置調
整機構が設けられ、該位置調整機構により、前記ガイド
バーを介して前記吹管の鋳片移動方向への位置調整をす
るようにしたことを特徴とする連続鋳造設備のガス切断
装置である。

【００１４】本発明によれば、上記構成によって、移動
する鋳片に同調させたガス切断装置を稼動しながら、吹
管による切断フレームの通り芯のズレを修正して鋳片を
切断できる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明を図によって詳述
する。

【００１６】図１は本発明の一実施の形態を示す概要図
である。本発明のガス切断装置１は、図示しない連続鋳
造設備内で、連続鋳造機で製造された鋳片Ｓの切断に用
いるものである。一般に、鋳片Ｓを切断する場合、２台
のガス切断装置１を一対とし、鋳造速度に同期させて移
動できるようにして、鋳片Ｓの両側端に位置させ、各ガ
ス切断装置１の吹管２を鋳片Ｓの左右から中央に向かっ
て図示しない移動装置で移動させ、そのフレーム１０の
熱で鋳片Ｓを幅方向に切断する。

【００１７】ガス切断装置１は、吹管２と、吹管２を支
持するガイドバー３と、ガイドバー３の昇降をガイドす
るガイドロール４ａ、４ｂを備えた固定ガイド５とから
構成されている。

【００１８】吹管２は市販品が用いられており、鋳片の
切断に必要な酸素がノズル６から吹出るようになってい
る。吹管２は吹管取付台７に固定され、吹管取付台７が
ガイドバー３の下端部に固定具８によって固定されてい
る。

【００１９】ガイドバー３は、形状が角形で、固定ガイ
ド５に設けた後述するＶ形の溝Ｍを持つガイドロール４
ａ（上ガイドロール）、ガイドロール４ｂ（下ガイドロ
ール）に係合して、シリンダ９によって固定ガイド５を
昇降する。ガイドロール４ａ、４ｂは、後述するよう
に、各々ガイドバー３を挟むように一対のガイドロール
で構成されている。

【００２０】ガイドロール４ａには、位置調整装置１１
を設けて、ガイドロール４ａを移動させて、Ｖ形の溝Ｍ
の位置を鋳片移動方向へ移動できるようにしている。

【００２１】溝Ｍの位置を鋳片移動方向へ移動させる
と、溝Ｍと係合しているガイドバー３が同調して鋳片移
動方向へ移動し、ガイドバー３の下端部に固定された吹
管取付台７を介して、吹管２が鋳片移動方向へ移動す
る。

【００２２】ここでは、移動駆動装置１１がガイドロー
ル４ａに設けられているが、これに限定されるものでは
なく、ガイドバー３を昇降させるガイドロール４ｂ等に
も適宜設けることができる。

【００２３】符号２４はクレビス固定ピンで、ガイドロ
ール４ａの移動に応じて、ガイドバー３とシリンダー９
の接合部及びシリンダー９の固定ガイド５への取付け部
がガイドロール４ａの移動方向に自由に曲るように、ク
レビス固定ピン２４の軸方向を合わせている。

【００２４】本発明によれば、鋳片Ｓの切断面は後述す
るズレ量測定装置によって常時測定し、それに基いてガ
イドロール４ａの位置を遠隔操作で調整し、鋳片移動方
向への吹管２のノズル位置が調整される。そのために、
吹管２の切断フレーム１０の位置を運転停止することな
く調整できる。

【００２５】次に本発明を構成する機構を順次詳述す
る。図２は本発明に用いるガイドロールの移動機構の一
実施の形態を示す図である。

【００２６】ガイドロール４ａはＶ形の溝Ｍを有するロ
ールである。これによって、角形形状のガイドバー３は
Ｖ形の溝Ｍに接して昇降する際、又は切断時の振れを防
止できる。

【００２７】ガイドロール４ａは軸受１２を介して移動
スリーブ１３にスナップリング（軸止め輪）１４ａと移
動スリーブ先端のツバ１５で固定されている。また、固
定軸１６は固定軸支持部材１７と固定ガイド５により支
持固定されている。また、固定軸１６は段付き部１８を
設けて、固定軸支持部材１７側に、軸受２０を介して中
間ギヤー１９を回転自在に設けている。本体の一部が移
動スリーブ１３の端部内に挿入され、ネジ２１により一
体的に接合されている。符号３２はナットである。

【００２８】中間ギヤ１９はピニオンラック２２と歯合
されており、ピニオンラック２２の移動により中間ギヤ
ー１９が回転する。中間ギヤー１９が回転すると、ネジ
２２を介して移動スリーブ１３に回転力が伝達される。
しかし、移動スリーブ１３は廻り止めキー２３で廻り止
めさせて固定軸１６に接続させているので、水平方向に
は移動可能であるが、回転しない構造になっている。

【００２９】そのために、移動スリーブ１３か中間ギヤ
ー１９のどちらかが矢印の方向に水平移動することにな
るが、本発明では、中間ギヤー１９について、固定軸１
６の段付部１８とスナップリング１４ｂにより水平方向
の移動を拘束して、移動スリーブ１３のみを移動できる
ようにしている。

【００３０】これによつて、移動スリーブ１３が矢印の
方向に水平移動すれば、移動スリーブ１３に固定されて
いるガイドロール４ａも同様に移動する。

【００３１】図３は本発明に用いるガイドロールを移動
させる駆動機構の一実施の形態を示す図である。

【００３２】中間ギヤー１９は左右のガイドロール４ａ
の固定軸１６に取付け、ピニオンラック２２に歯合して
いる。モーター２５を駆動させると減速機２６を介して
ピニオンラック２２が矢印の方向に水平移動し、中間ギ
ヤー１９が回転する。

【００３３】ここでは、左右のガイドロール４ａの固定
軸１６に取付けた中間ギヤー１９が一本のピニオンラッ
ク２２で回転するため、容易に同調して同一量回転す
る。

【００３４】また、移動スリーブ１３に取付けた変位計
２７で常時移動スリーブ１３の位置を測定することによ
り、ガイドロール４ａの位置及び移動量の調整を行う。

【００３５】上記において、ガイドロール４ａを移動駆
動装置１１で軸方向に移動させると、ガイドバー３はガ
イドロール（下ガイドロール）４ｂを支点として、ガイ
ドロール４ａの位置でガイドロール４ａと同じ方向に同
一量移動する。なお、ガイドバー３と昇降シリンダー９
の接続部及び昇降シリンダー９の固定ガイド５への取付
け部は、ガイドロール４ａが移動する方向に自由に曲が
るようにしている。

【００３６】次に、本発明による吹管ノズル位置修正方
法について説明する。図４は、修正を必要とする鋳片の
切断面の摸式図であり、図５は、吹管ノズル位置修正方
法の説明図である。

【００３７】鋳片Sの両側端から二つのガス切断装置の
吹管を中央に向かって移動させて鋳片Sを切断した場
合、切断フレームの通り芯Nにズレが生じて、一つのガ
ス切断装置で切断した鋳片Sの切断面Ｓａと、他のガス
切断装置で切断した鋳片Sの切断面Ｓｂとが鋳片Sの中央
部に切断面の段差を生じている。切断面の段差による上
面のズレをａとし、下面のズレをｂとすると、一般にｂ
＞ａの関係がある。

【００３８】上ガイドロールの軸芯をA、下ガイドロー
ルの軸芯をＢ、吹管ノズル６の先端をCとして、軸芯Aと
軸芯Ｂの距離をＬａ、軸芯Ｂと吹管ノズル６の先端の水
平延長線上の距離をＬｂとする。

【００３９】今、軸芯Ｂを固定して、軸芯Aを移動量Ａ
ｘとして移動させると、ガイドバー３の傾きはＡｘ／Ｌ
ａとなる。

【００４０】また、吹管ノズル６先端の傾きは図５に示
すような鋳片Ｓの切断面の傾きと同一と考えられるの
で、鋳片Ｓの厚さをｔとすると、（ｂ−ａ）／ｔとな
る。

【００４１】そこで、吹管ノズル先端を修正にするに
は、Ａｘ／Ｌａ＝（ｂ−ａ）／ｔ、即 ち、Aｘ＝Ｌａ×（ｂ−ａ）／ｔ・・・・・（１） このとき、吹管ノズル先端の移動量をＣｙとすると、 Ｃｙ＝Ｌｂ×Ａｘ／Ｌａ・・・・・（２） 又は、Ｃｙ＝Ｌｂ×（ｂ−ａ）／ｔ・・・・・（３）とな
る。

【００４２】また、軸芯Ｂと、軸芯Aを移動させて、、
吹管ノズル６先端のズレａを修正するには、移動量A
ｘ、Ｂｘとし、吹管ノズル先端の移動量をＣｙとする
と、Aｘ＝Ｂｘ＝ａ−Ｃｙ＝ａ−Ｌｂ×（ｂ−ａ）／ｔ・
・・・・（４）となる。

【００４３】図６は本発明による鋳片切断の制御状態を
示す図である。図示しない連続鋳造設備内で連続鋳造機
で製造された鋳片Ｓを切断するために、２台のガス切断
装置１が一対とし、二点鎖線で示す同調装置３３により
鋳造速度に同期させて移動しながら、鋳片Ｓの両側端に
位置している。

【００４４】ここでは、各ガス切断装置１の吹管２が、
移動装置２８により、鋳片Ｓの左右から中央に向かって
で移動し、そのフレーム１０の熱で鋳片Ｓを幅方向に切
断する。

【００４５】鋳片Ｓのガス切断面は、ズレ量測定装置２
９により、常時、その左右ズレ量が観察されており、そ
こで、ズレが検出されると、吹管位置演算装置３１でそ
の調整量が上記（１）式、又は（４）式により、左右の
吹管移動量が同じになるように演算されて、その演算量
に基いて、ガス切断用位置制御装置３０を介して図１に
示した吹管の位置調整装置１１を駆動させ、吹管２の位
置を調整する。

【００４６】従って、本発明によれば、ガス切断装置の
稼動を停止することなく、吹管先端周辺の過酷な条件に
左右されずに、左右切断面のズレ量を短時間で容易に修
正することができる。

【００４７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、移動す
る鋳片に同調させたガス切断装置を稼動しながら、吹管
による切断フレームの通り芯のズレを修正して鋳片を切
断できるので、鋳片の切断面の品質向上及び切断不良に
よる生産停止の回避ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す概要図である。

【図２】本発明に用いるガイドロールの移動機構の一実
施の形態を示す図である。

【図３】本発明に用いるガイドロールを移動させる駆動
機構の一実施の形態を示す図である。

【図４】本発明による修正を必要とする鋳片の切断面の
摸式図である。

【図５】本発明による吹管ノズル位置修正方法の説明図
である。

【図６】本発明による鋳片切断の制御状態を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ ガス切断装置 ２ 吹管 ３ ガイドバー ４ａ、４ｂ ガイドロール ５ 固定ガイド ６ ノズル ７ 吹管取付台 ８ 固定具 ９ シリンダ １０ フレーム １１ 位置調整装置 １２ 軸受 １３ 移動スリーブ １４ａ、１４ｂ スナップリング（軸止め輪） １５ ツバ １６ 固定軸 １７ 固定軸支持部材 １８ 段付き部 １９ 中間ギヤ ２０ 軸受 ２１ ネジ ２２ ピニオンラック ２３ 廻り止めキー ２４ クレビス固定ピン ２５ モーター ２６ 減速機 ２７ 変位計 ２８ 移動装置 ２９ ズレ量測定装置 ３０ ガス切断用位置制御装置 ３１ 吹管位置演算装置 ３２ ナット ３３ 同調装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒牧 則親 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動する鋳片に同調させて、その鋳片を
   側端から幅方向に切断する吹管と、該吹管を支持し昇降
   機構を有するガイドバーと、ガイドバーの昇降をガイド
   するガイドロールを備えた固定ガイドと、を具備した連
   続鋳造設備のガス切断装置であって、前記ガイドロール
   には鋳片移動方向への位置調整機構が設けられ、該位置
   調整機構により、前記ガイドバーを介して前記吹管の鋳
   片移動方向への位置調整をするようにしたことを特徴と
   する連続鋳造設備のガス切断装置。