JPH11267419A - シート構造体 - Google Patents

シート構造体

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JPH11267419A
JPH11267419A JP7582398A JP7582398A JPH11267419A JP H11267419 A JPH11267419 A JP H11267419A JP 7582398 A JP7582398 A JP 7582398A JP 7582398 A JP7582398 A JP 7582398A JP H11267419 A JPH11267419 A JP H11267419A
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porous
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sheet structure
reinforcing
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JP7582398A
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Shiro Kumakawa
四郎 熊川
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体の濾過、消臭、防毒、清浄化などを行う
際に、取り扱い性が容易で高能率かつ耐久性に優れ、長
期間にわたって安定した処理、使用を可能にするシート
構造体を提供すること。 【解決手段】 多孔性シート1がコルゲート加工され、
この多孔性シート1の凹部5の空隙6に機能性粒子物質
7が充填されており、かつ多孔性シート1の凸部2に、
平板状の補強シート4が積層、接触され、この接触部3
が接着されているシート構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体処理に利用さ
れるシート構造体、さらに詳しくは排水処理や災害時あ
るいは野外での飲料水の確保などの膜分離用途、また空
気中の臭気成分や有害成分などを速やかに分解除去し無
臭化可能とする高効率な消臭または濾過性能を有するシ
ート構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、排水処理などのフィルターシート
構造体として、種々の多孔性濾過膜が用いられ、それら
の多孔性濾過膜は、枠体に展設して用いられている。な
かでも、高分子量ポリエチレンからなる多孔性合成樹脂
膜は、気孔率が高く、濾過性に優れており、しかも安価
であるため、広く用いられるようになってきている(例
えば、特開平2−232242号、特開平5−9806
5号、特開平5−239246号、特開平5−2459
23号参照)。
【0003】しかしながら、このような高気孔率で濾過
性に優れたポリエチレン多孔性合成樹脂膜は、超高分子
量のポリマーで構成され、高倍率延伸で成膜されている
ので、高気孔率にも拘わらず、薄膜の縦方向、横方向の
引張強力は優れている一方、薄膜の厚さ方向では、フィ
ブリル化した不織布状を呈しているので、可撓性がある
ものの引裂強力に劣っている。それゆえ、ポリエチレン
多孔性合成樹脂膜を用いて、枠体に展設して、膜分離用
途のエレメントを作成し、このエレメントを用いて、モ
ジュールを作成する際に、薄膜の取り扱い性を極めて慎
重にせざるをえない。例えば、小突起物によるひっかか
りにより容易に表面層から剥離が生じたりする問題があ
る。また、上記エレメントを組み込んだモジュールで排
水処理などを行っている場合、排水中の異常物が表面層
にひっかかり、それが多量の流体で流出される際にエレ
メント内の薄膜の微少部分に損傷を受け、時間とともに
薄膜自体が破損して実用的でないという問題がある。
【0004】さらに、上記高気孔率で、濾過性に優れた
ポリエチレン多孔性合成樹脂膜を用いたモジュールで、
多量の流体を濾過する際、異常圧力が発生した場合や、
一定量の濾過処理後、エレメントに堆積した濾過物を圧
力を付加して除去する場合(いわゆる逆洗浄時)に、薄
膜面全体に圧力が分散して負荷することが必要であり、
そのため、薄膜自体にある程度の剛性が必要であり、こ
れにより繰り返し使用における耐久性が向上するのであ
る。
【0005】上記問題を解決するため、多孔性濾過膜を
分離膜として、エレメントまたはモジュールで使用する
場合、その支持体と組み合わせるのが汎用的である。も
ちろん、濾過膜支持体は、濾過膜自体に比し、液体を容
易に濾過し得ることが必要であり、現在、この支持体と
しては、ポリエステル不織布が使用されており、種々の
改善もなされている。
【0006】特に、多孔性合成樹脂膜を、透水性の支持
体で補強する場合、多孔性合成樹脂膜の微細孔を透水性
支持体との接着によって、できるだけ塞がないようにす
ることが、多孔性合成樹脂膜の本来有する濾過性能を発
揮するのに極めて重要であり、既に本発明者らは、特願
平8−179081号明細書および特願平8−2283
65号明細書として、その接着方法を提案した。しかし
ながら、これらの改善方法においても、多孔性合成樹脂
膜が本来有する濾過性能を最大限に発揮するには充分な
ものでなく、さらなる改善が必要な現状である。
【0007】また、近年、家庭、オフィス、病院などの
生活環境において、さまざまな悪臭に対する関心が高く
なっている。これら臭気成分や有害成分には、数多くの
化合物、例えば、アンモニア、アミン類などの窒素含有
化合物、硫化水素、硫黄含有化合物、アルデヒド類、低
級脂肪酸などが含まれる。このように、生活環境には、
低級脂肪酸などの酸性臭気成分、窒素含有化合物などの
塩基性臭気成分、硫黄含有化合物、アルデヒド類などの
中性臭気成分などの種々の臭気成分が存在する。
【0008】しかし、種類の異なる複数の成分を有効に
除去することは困難である。これら物質を除去するた
め、特開昭62−6985号公報、特開昭62−698
6号公報など種々の消臭性繊維が提案されているが、未
だ消臭性能は充分とは言えない。これらに対して、種々
の臭気成分を効率的かつ長期的にわたり除去できる消臭
性繊維が、特開平8−284011号公報に提案されて
る。これによれば、吸着剤と酸化チタンや酸化亜鉛など
の光触媒機能を有する光触媒、特に特定のリン酸塩およ
び水酸化物からなる吸着剤と酸化チタンや酸化亜鉛など
の光触媒機能を有する光触媒とを併用した消臭性組成物
を繊維に含有させることが開示されている。しかしなが
ら、吸着剤のみならず光触媒機能を有する光触媒を併用
することにより、吸着剤のみを用いる場合に比べ、確か
に種々の臭気成分を効率的かつ長期的にわたって除去で
きることにはなるが、所詮吸着剤を使用する限り、その
効率および持続性には限界があり、未だ消臭性能は不十
分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、係る従来の
問題点を解消し、膜分離用途のエレメント、モジュール
などを作成する際の取り扱い性を向上させるとともに、
液体や気体の濾過あるいは消臭、脱色、防毒、清浄化な
どの処理の場合、容易に破損することがなく、長期間に
わたって、これらの処理および使用を安定に行うことが
できる耐久性に優れ、高能率で取扱性に優れたシート構
造体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、コルゲート加工し
た多孔性シートと補強シートを貼り合わせて、その内部
に機能性粒子物質を充填し、あるいはコルゲート加工し
た補強シートに機能性粒子物質を固定したコーティング
層を形成すればよいことを見い出し本発明を完成するに
到ったのである。
【0011】すなわち、本発明は、以下の構成からなる
ものである。
【0012】(1)多孔性シートを含んで構成されるシ
ート構造体であって、多孔性シートがコルゲート加工さ
れ、この多孔性シートの凹部の空隙に機能性粒子物質が
充填されており、かつ多孔性シートの凸部に、補強シー
トが積層、接触され、この接触部が接着されていること
を特徴とするシート構造体。
【0013】(2)補強シートが平板状である(1)記
載のシート構造体。
【0014】(3)多孔性シートを含んで構成されるシ
ート構造体であって、多孔性シートとコルゲート加工さ
れた補強シートからなり、この補強シートのコルゲート
加工された面に、機能性粒子物質を固定したコーティン
グ層が形成され、かつ補強シートの凸部に、多孔性シー
トが積層、接触され、この接触部が接着されていること
を特徴とするシート構造体。
【0015】(4)多孔性シートが平板状である(3)
記載のシート構造体。
【0016】(5)機能性粒子物質のコーティング層が
放電加工されている(3)〜(4)記載のいずれかであ
るシート構造体。
【0017】(6)機能性粒子物質が活性炭、シリカ、
ゼオライト、モレキュラーシーブ、粘土、アルミナ、イ
オン交換樹脂、有機金属触媒、金属酸化物、殺生剤、殺
菌剤および殺ウイルス剤から選択される(1)〜(5)
記載のいずれかであるシート構造体。
【0018】(7)金属酸化物が光触媒作用を有する酸
化物半導体で構成され、かつその平均粒子径が0.01
μm以下である(6)記載のシート構造体。
【0019】(8)接触部が点状に接着されている
(1)〜(4)記載のいずれかであるシート構造体。
【0020】(9)接触部が線状に接着されている
(1)〜(4)記載のいずれかであるシート構造体。
【0021】(10) 多孔性シートが、分子量が5×
105 〜7×106 の高分子量ポリエチレンからなり、
気孔率が60〜90%で、孔径が0.1〜2.0μmの
微細孔を多数有する(1)〜(9)記載のいずれかであ
るシート構造体。
【0022】(11)補強シートが繊維布帛である
(1)〜(4)記載のいずれかであるシート構造体。
【0023】(12)繊維布帛がメッシュ状織物である
(11)記載のシート構造体。
【0024】(13)繊維布帛が不織布である(11)
記載のシート構造体。
【0025】(14)補強シートが孔あきフィルムであ
る(1)〜(4)記載のいずれかであるシート構造体。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明のシート構造体は、多孔性
シートと補強シートとが立体的に積層、貼り合わされて
いることが必要である。
【0027】多孔性シートは、多孔性合成樹脂膜よりな
り、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルフ
ォンや高分子量ポリエチレンなどからなる種々の多孔性
膜が挙げられるが、液体を処理する場合では、透水性が
1〜10cc/分/cm2 であることが好ましい。ここ
で、透水率は、純水が0.5kg/cm2 の圧力下で1
分間に合成樹脂膜(面積4.7cm×4.7cmの大き
さ)を透水する量を、換算して求めたものである(単
位:cc/分/cm2 )。この透水率を得るには、多孔
性合成樹脂膜は気孔率が60〜90%で、孔径が0.1
〜2.0μmの微細孔を多数有していることが好まし
い。
【0028】ここで、気孔率は、出発原料の密度(ρ
0 )と成型後の合成樹脂膜の密度(ρ)とから、下記の
式に基づいて算出する。 気孔率(%)=(1−ρ/ρ0 )×100
【0029】孔径が小さすぎると、目詰まりが起こり易
く十分な耐久性を得られず、一方、大きすぎると、濾過
性能が不良となり易い。孔径とその個数を適宜選定する
ことにより、多孔性合成樹脂膜の気孔率、強いては透水
率を設定することができ、本発明の多孔性濾過膜として
の性能が充分発揮されるのである。
【0030】特に、分子量が5×105 〜7×106
超高分子量ポリエチレンからなる多孔性膜が好ましく用
いられる。分子量が高すぎると、多孔性膜への成形が困
難になり、低すぎると、多孔性膜の強度が低下して、濾
過性能に優れた高気孔率の多孔性膜が得られ難くなる。
【0031】また、上記ポリエチレンは、少量の、好ま
しくは5モル%以下のプロピレン、ブテン、ペンテン、
ヘキサン、4−メチルペンテン−1、オクテンなどを共
重合したものでもよく、さらに、少量の、例えば25重
量%以下のポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−
プロピレンコポリマーなどを含んでいてもよい。また、
上記ポリエチレンは、安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防
止剤などの通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。
【0032】このような微細孔を多数有する多孔性ポリ
エチレン膜は、例えば、特開平2−232242号公
報、特開平5−98065号公報、特開平5−2392
46号公報などに記載されている方法に準拠して製造す
ることができる。例えば、分子量500万の超高分子量
ポリエチレンをデカリンなどに溶解した溶液(濃度2〜
30重量%)をスリッット状ダイから押し出して、ゲル
フィルムを形成し、次いで、ゲルフィルム中の溶媒を蒸
発させたのち、高倍率延伸する方法などが用いられる。
【0033】上記ポリエチレン多孔性合成樹脂膜は、そ
の目付が5〜15g/m2 、厚さが25〜60μmが好
ましく、超高分子量のポリマーで構成され高倍率延伸で
成膜されているので、高気孔率を保持して、多孔性膜の
経方向および緯方向の少なくとも一方の引張強力が3.
5kg/5cm以上であることが好ましい。
【0034】さらに、本発明に使用するポリエチレン多
孔性合成樹脂膜は、その厚さ方向では、フィブリ化した
不織布状を呈しているが、多孔性膜の縦方向および横方
向の少なくとも一方の引裂強力が5〜50gであること
が好ましい。そのためには、熱カレンダー加工により、
フィブリル化した不織布状の層間強度を向上させること
が耐久性向上の面で好ましい。
【0035】一方、本発明に使用される補強シートまた
はコーティング層は、多孔性合成樹脂膜(多孔性シー
ト)の高気孔率および高濾過性を損なわなければ、すな
わち多孔性合成樹脂膜の透水率(1〜10cc/分/c
2 )以上のものであれば、種々の材質・形態のものを
用いることができるが、補強シートはその縦方向および
横方向の少なくとも一方向の引裂強度が0.2kg以上
である補強部材を用いることが好ましい。この透水性補
強シートとしては、繊維布帛または穴あきフィルムが好
ましく用いられる。
【0036】繊維布帛としては、織物、編物、不織布な
どを用いることができ、特にメッシュ状織物または長繊
維不織布が好ましく、素材としては、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどを適宜
選択できるが、好ましくはポリエステルまたはポリオレ
フィンである。布帛の場合、目付は10〜150g/m
2 程度が好ましい。
【0037】なお、補強部材(補強シート)として繊維
布帛を用いる場合、キルティング加工を施したり、布帛
の縦方向および/または横方向に、所定の間隔を置い
て、高強力の糸条を挿入したり、あるいはテープ状合成
樹脂膜を布帛に部分的に接着させておいてもよい。
【0038】穴あきフイルムの場合、穴の直径は0.1
〜2.0mm、気孔率は30〜90%、フィルムの厚さ
は5〜500μm程度が適当である。特に、穴あきフィ
ルムとしては、ポリエステルまたはポリオレフィンフィ
ルムが好ましい。
【0039】本発明のシート構造体において、重要なこ
とは、上記特性を有する多孔性シート、または補強シー
トが、コルゲート加工されて凹凸状の立体形状を呈して
いることである。コルゲート加工は、公知のコルゲート
マシーンを使用して、このシートをコルゲートマシーン
の段ロールに掛けることにより、そのシートがコルゲー
ト加工される。
【0040】本発明のシート構造体は、通常、請求項1
の発明では、図1に示すように、多孔性シート1がコル
ゲート加工され、その表面に上記特性を有する補強シー
ト4が平板状に積層されるとともに、その際、この積層
面は、多孔性シート1の凸部2に補強シート4が接触
し、この接触部3が接着されており、かつ補強シート4
とこれと接着したコルゲート加工された多孔性シート1
の間に形成される凹部5の空隙6に、機能性粒子物質7
が充填されていることである。また、請求項3の発明
は、請求項1の発明と同じく多孔性シート11に補強シ
ート12が積層されるが、補強シート側がコルゲート加
工され、図2に示すように、その表面に機能性粒子物質
14を含んだコーティング層13が形成されていること
である。ここで、補強シートまたは多孔性シートは、コ
ルゲート加工されたシートの表面凸部側と裏面の凸部側
とのいずれか一方または両方に積層されてよいことはい
うまでもない。さらに、積層面における接触部は、点状
または線状で接触されていることが好ましい。積層界面
で点状または線状に接触部分を形成するには、所定の間
隔で、接着剤を塗布して接着する方法、ホットメルト接
着剤で加熱圧着する方法、または接着剤を使用せず超音
波シールやその他の熱シール方法を用いることができ
る。なお、コルゲート加工されたシートに接着される多
孔性シートまたは補強シートは平板状のものを使用する
のが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。
【0041】本発明のシート構造体は、多孔性シートま
たは補強シートがコルゲート加工され凹凸状の立体形状
を有し、その一方または両方の面が補強シートまたは多
孔性シートで積層・接着されているので、平面状の場合
に比べて接触面積が極めて増大して、濾過などの流体処
理効率が向上するのみならず、処理時の耐久性にも優れ
ている。多孔性シートまたは補強シートをコルゲート加
工するに際しては、コルゲート加工後のシートの表面積
を平面状のシートの表面積の2.5倍以上にすることが
濾過などの効率および処理時の耐久性の面から特に好ま
しい。しかも、シートを平面状で積層・接着する場合に
比べて、接着部分の面積を少なくすることができ、従っ
て、多孔性シートの微細孔を塞ぐ度合が少なくなる。そ
の結果、特に請求項1の発明では、コルゲート加工され
しかも平面状の多孔性シートに対して表面積を2.5倍
以上にすると、濾過時の透水率が平面状の多孔シートに
対して3倍以上と高効率になるので、実用上極めて有用
である。
【0042】次に、本発明のシート構造体において重要
なことは、補強シートとこれと接着したコルゲート加工
された多孔性シートの間に形成される凹部の空隙に機能
性粒子物質が充填され、また多孔性シートと接着したコ
ルゲート加工された補強シートの表面に機能性粒子物質
を固定してコーティング層が形成されていることであ
る。このため、充填状態の機能性粒子物質は、その表面
積全体を利用でき、またコルゲート加工面で表面が増大
した機能性粒子物質のコーティング層により、さらに濾
過あるいは消臭、脱臭などの流体処理効率が一段と向上
する。
【0043】機能性粒子物質としては、活性炭、シリ
カ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、粘土、アルミ
ナ、イオン交換樹脂、有機金属触媒、金属酸化物、殺生
剤、殺菌剤および殺ウイルス剤(virucide) が挙げられ
る。このような機能性粒子物質を利用して、例えば気体
処理の場合、殺菌剤粒子物質は、循環空気からカビおよ
びカビ臭を除去するため、例えばシート構造体を自動車
あるいは気象コントロールシステムに組み込むことがで
きる。殺生剤および殺ウィルス剤は、生物学的戦争に対
する保護のための化学的防御布に組み込むことができ
る。粒子寸法は、衣服および若干のフィルター用の殺生
剤および殺菌剤に対して1ミクロンの小さな寸法からそ
の他のフィルター用の3〜5mmの長さの範囲であり、
形状は、球状ビーズから長さ約6mmまでの円筒形に変
化させることができる。活性炭ビーズは、典型的には、
寸法400ミクロンである。前述の提示は、使用可能な
広範な種類の機能性粒子物質の代表的なものを示したも
ので、本発明の実施における使用に適当な物質を制限す
るものではない。
【0044】また、本発明においては、機能性粒子物質
の金属酸化物として、光触媒作用を有する酸化物半導体
が挙げられる。光触媒作用を有する無機質粒子(以下
「光触媒粒子」と略する)は、紫外線などの光線の照射
により活性酸素が生成され、多くの有害物、悪臭物を酸
化分解し、光酸化触媒として機能する。そのため、光触
媒粒子は、酸化性光触媒の範疇に属する場合が多い。こ
のような光触媒粒子を用いると、単なる吸着作用ではな
く、触媒的な分解を利用して消臭できるため、消臭また
は脱臭効果が長期間にわたり持続する。さらに、光触媒
粒子は、有害物、悪臭物を分解するだけでなく、殺菌作
用なども有している。
【0045】一般に、光触媒としては、有機または無機
を問わず、種々の光半導体が使用できるが、無機光半導
体である場合が多い。本発明に係る光触媒作用を有する
無機質粒子(光触媒粒子)は、特定の平均粒子径を有す
る酸化物半導体で構成されていることが好ましい。酸化
物半導体としては、TiO2 、ZnO、WO3 、Cd
O、In23 、Ag2 O、MnO2 、Cu2 O、Fe
23 、V25 、SnO2 などが挙げられる。これら
のうち、特にTiO2 (酸化チタン)が好ましい。無機
質粒子を構成する光半導体の結晶構造は、特に制限され
ない。例えば、TiO2 では、アナターゼ型、ブルカイ
ト型、ルチル型、アモルファス型のいずれであってもよ
い。好ましいTiO2 には、アナターゼ型酸化チタンが
含まれる。光触媒機能を有する無機半導体は、ゾル、ゲ
ル状のみならず粉粒状でも使用されるが、その平均粒径
は0.01μmを超えるものが殆どであるが、本発明で
は、特に好ましくは平均粒子径が0.01μm以下の極
めて微細な平均粒子径を有するものを使用することに大
きな特徴がある。すなわち、このような極めて微細な平
均粒子径を有するものを使用することによって、臭気成
分や有害成分を触媒的に酸化分解できる活性点を沢山存
在させることができ、その効果と持続性を安定して維持
できるのである。
【0046】本発明においては、機能性粒子物質、特に
上記特性を有する光触媒粒子を、補強シートとこれと接
着したコルゲート加工された多孔性シートの間に形成さ
れる凹部の空隙に充填すること、またはコルゲート加工
された補強シートの表面に光触媒粒子のような機能性粒
子物質を配したコーティング層を形成することが必要で
ある。前者では充填状態は必ずしも満杯にする必要はな
く、要求性能あるいは使用条件などに応じて適宜充填量
を調節されることは言うまでもない。この際、フリーの
状態で充填するのが好ましいが、他の担持体、例えば繊
維などに含有または固着や付着させた状態で充填しても
よい。また、後者では、補強シート(例えは不織布)に
機能性粒子物質を付着または固定させる必要があるが、
これの結合剤を含む分散液を、例えばアクリル樹脂など
の水系接着剤を補強シートに噴霧したり、あるいはトッ
ピングし、水を蒸発させてコーティング層を形成させる
などの方法を採用できる。この場合、さらに好ましく
は、放電加工処理して、被膜を破壊させ、機能性粒子物
質、特に光触媒粒子を部分的に露出状態にさせるのが臭
気成分などを効率よく除去できて有利である。このよう
な放電加工処理としては、高電圧を印化する通電法、放
電形状の異なるコロナ放電、花火放電、グロー放電、ア
ーク放電などの高電圧放電処理法により処理することが
できる。また、後者の場合、凸部の空隙内に機能性粒子
物質を充填することもできる。上述の機能性粒子物質
は、必ずしも1種類に限らず、2種類以上を分離して、
また混合して用いることができる。また、補強シート
は、機能性粒子物質が超微粒子には超高密度織物を使用
するなど、使用する粒子径に応じて適宜選択される。な
お、多孔性シートと補強シートの両端部は、通常、例え
は接着剤塗布、ホットメルト接着剤による加熱圧着ある
いは超音波シールやその他熱シールなどを利用して閉止
される。
【0047】上記のような本発明の積層状のシート構造
体は、衣類や身体着用品、空気清浄機あるいは空調用な
どの各種フィルター、排水処理、浄水処理、各種工業分
野における抗菌、消臭や分離、濾過処理など広い分野で
利用できるが、これらに限定されるものではないことは
言うまでもない。
【0048】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中の臭気成分の除去試験および抗菌試
験は、以下の方法により測定した。
【0049】臭気成分の除去試験 臭気成分の除去試験は、それぞれのガラス容器に、0.
14重量%濃度のアンモニア水溶液60ml、0.15
重量%濃度のトリメチルアミン水溶液、0.1重量%濃
度の酢酸水溶液を入れ、試薬(アンモニア水溶液、トリ
メチルアミン水溶液はフェーノールフラレイン、酢酸水
溶液はブロムモールブルー)で試料液を着色後、その中
にシート構造体1個を入れて密封し、窓際において日光
を8時間照射し、550nm(酢酸の場合は400n
m)における吸光度を測定するとともに、それに基づい
て臭気成分の除去率を算出した。
【0050】抗菌試験 抗菌試験は、試販培地0.1重量%を含む水(自然落下
菌を含む)40mlにシート構造体1個を入れて密封
し、室内自然光下に静置した。菌の繁殖は、2日後の透
明度を600nmの透過率を測定することにより判定し
た。
【0051】[実施例1〜4]多孔性シート(A)と、
補強シート(B)として、以下のものを使用した。 (A)多孔性シート ポリマー:ポリエチレン(三井石油化学工業製、ハイゼ
ックス、登録商標) 分子量(重量平均):3.3×106 透水率 :5cc/分/cm2 気孔率 :85% 孔径(平均) :1.0μm 引張強力(経方向):3.8kg/5cm (緯方向):4.0kg/5cm 引裂強力(経方向):12g (緯方向):11g 目付 :10g/cm2 厚さ :50μm
【0052】(B)補強シート 材質 :ポリエチレンテレフタレート高密度織物 (帝人株式会社製テトロン、登録商標) :繊度 64de/144fil 織物性能:経糸密度 60本/インチ :緯糸密度 60本/インチ :厚さ 0.3mm
【0053】レンゴ(株)製の段ボール製造用のコルゲ
ーターを使用して、上記特性を有する多孔性シートをコ
ルゲート加工すると同時に、上記特性を有するポリエス
テル高密度織物を積層し、接触部分をウレタン系接着剤
で点状で接着させシートを作成した。ここで、実施例に
おける多孔性シートの表面積は、平面状の多孔性シート
の3.0倍になるようにコルゲート加工した。次に、粒
子径が0.007μmである光触媒粒子(石原産業株式
会社製、光触媒酸化チタンST−01)をシート構造体
の側面より吹き込み挿入し、コルゲート加工の凹部に充
填させ、その後シート構造体の両端部を超音波シール加
工した。充填量に伴うシート構造体の消臭、抗菌性を第
1表に併記した。
【0054】
【表1】
【0055】(注1)シート構造体に対する重量% (注2)臭気成分の除去率 ◎ 除去率90%以上 ○ 除去率70%〜90%未満 △ 除去率60%〜70%未満 × 除去率60%未満 (注3)菌の発育抑制率 ◎ 抑制率90%以上 ○ 抑制率50%〜90%未満 △ 抑制率26%〜50%未満 × 抑制率26%未満
【0056】
【発明の効果】以上に説明の如く、本発明によれば、高
気孔率で流体の透過性に優れた多孔性シートを用いると
同時に、コルゲート加工、補強シートなどの利用による
機能性粒子の充填或いは分散した積層状のシート構造体
を形成しているため、シート構造体自体の取り扱い性と
耐久性に優れ、かつ流体の接触面積の増大による濾過、
抗菌、消臭などの処理効率を大幅に向上させるという顕
著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1例を示す模式図である。
【図2】本発明の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1; 多孔性シート 2; 凸部 3; 接触部 4; 補強シート 5; 凹部 6; 空隙 7; 機能性粒子 11;多孔性シート 12;補強シート 13;コーティング層 14;機能性粒子
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 11/46 D06M 23/08 23/08 11/12

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性シートを含んで構成されるシート
    構造体であって、多孔性シートがコルゲート加工され、
    この多孔性シートの凹部の空隙に機能性粒子物質が充填
    されており、かつ多孔性シートの凸部に、補強シートが
    積層、接触され、この接触部が接着されていることを特
    徴とするシート構造体。
  2. 【請求項2】 補強シートが平板状である請求項1記載
    のシート構造体。
  3. 【請求項3】 多孔性シートを含んで構成されるシート
    構造体であって、多孔性シートとコルゲート加工された
    補強シートからなり、この補強シートのコルゲート加工
    された面に、機能性粒子物質を固定したコーティング層
    が形成され、かつ補強シートの凸部に、多孔性シートが
    積層、接触され、この接触部が接着されていることを特
    徴とするシート構造体。
  4. 【請求項4】 多孔性シートが平板状である請求項3記
    載のシート構造体。
  5. 【請求項5】 機能性粒子物質のコーティング層が放電
    加工されている請求項3または4記載のシート構造体。
  6. 【請求項6】 機能性粒子物質が活性炭、シリカ、ゼオ
    ライト、モレキュラーシーブ、粘土、アルミナ、イオン
    交換樹脂、有機金属触媒、金属酸化物、殺生剤、殺菌剤
    および殺ウイルス剤から選択される請求項1〜5記載の
    いずれか1項記載のシート構造体。
  7. 【請求項7】 金属酸化物が光触媒作用を有する酸化物
    半導体で構成され、かつその平均粒子径が0.01μm
    以下である請求項6記載のシート構造体。
  8. 【請求項8】 接触部が点状に接着されている請求項1
    〜4記載のいずれか1項記載のシート構造体。
  9. 【請求項9】 接触部が線状に接着されている請求項1
    〜4いずれか1項記載のシート構造体。
  10. 【請求項10】 多孔性シートが分子量が5×105
    7×106 の高分子量ポリエチレンからなり、気孔率が
    60〜90%で、孔径が0.1〜2.0μmの微細孔を
    多数有する請求項1〜9いずれか1項記載のシート構造
    体。
  11. 【請求項11】 補強シートが繊維布帛である請求項1
    〜4いずれか1項記載のシート構造体。
  12. 【請求項12】 繊維布帛がメッシュ状織物である請求
    項11記載のシート構造体。
  13. 【請求項13】 繊維布帛が不織布である請求項11記
    載のシート構造体。
  14. 【請求項14】 補強シートが孔あきフィルムである請
    求項1〜4いずれか1項記載のシート構造体。
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