JPH11266892A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents
L−アスパラギン酸の製造方法Info
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- JPH11266892A JPH11266892A JP8562998A JP8562998A JPH11266892A JP H11266892 A JPH11266892 A JP H11266892A JP 8562998 A JP8562998 A JP 8562998A JP 8562998 A JP8562998 A JP 8562998A JP H11266892 A JPH11266892 A JP H11266892A
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- acid
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 マレイン酸を異性化し得られる粗フマル酸を
用い、微生物によりL−アスパラギン酸を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記工程及び工程を含む、マレイン
酸を原料とするL−アスパラギン酸の製造方法。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル
酸を得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸を
得る工程。
用い、微生物によりL−アスパラギン酸を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記工程及び工程を含む、マレイン
酸を原料とするL−アスパラギン酸の製造方法。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル
酸を得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸を
得る工程。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスパラギン
酸を製造する方法に関するものである。更に詳しくは、
マレイン酸を原料とし、これを化学反応により異性化し
てフマル酸を得た後、このフマル酸を原料として酵素反
応によりL−アスパラギン酸を製造するための工業的に
有利なプロセスに関するものである。L−アスパラギン
酸は医薬、食品添加物として需要が増加している。
酸を製造する方法に関するものである。更に詳しくは、
マレイン酸を原料とし、これを化学反応により異性化し
てフマル酸を得た後、このフマル酸を原料として酵素反
応によりL−アスパラギン酸を製造するための工業的に
有利なプロセスに関するものである。L−アスパラギン
酸は医薬、食品添加物として需要が増加している。
【0002】
【従来の技術】従来、L−アスパラギン酸の製造法とし
ては、フマル酸及びアンモニアを原料とし、これらを用
いてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の作用に
よりL−アスパラギン酸アンモニウムとし、これに無機
酸を添加してL−アスパラギン酸を得るという方法が知
られている。(例えばバイオテクノロジーアンドバイオ
サイエンス 17巻 1797ページ 1975年な
ど)
ては、フマル酸及びアンモニアを原料とし、これらを用
いてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の作用に
よりL−アスパラギン酸アンモニウムとし、これに無機
酸を添加してL−アスパラギン酸を得るという方法が知
られている。(例えばバイオテクノロジーアンドバイオ
サイエンス 17巻 1797ページ 1975年な
ど)
【0003】しかしながら、これまでの方法によると、
一般に単離精製したフマル酸が使用されている。フマル
酸の精製方法としては、活性炭処理(特開昭58−23
641など)、昇華処理(特開昭48−37016)、
活性炭と酸化マンガン処理(特開昭37−6507)等
が提案されているが、この様な精製工程を経たフマル酸
を使用してL−アスパラギン酸を工業的規模で製造する
ことは、経済性の観点から満足できるものではなかっ
た。
一般に単離精製したフマル酸が使用されている。フマル
酸の精製方法としては、活性炭処理(特開昭58−23
641など)、昇華処理(特開昭48−37016)、
活性炭と酸化マンガン処理(特開昭37−6507)等
が提案されているが、この様な精製工程を経たフマル酸
を使用してL−アスパラギン酸を工業的規模で製造する
ことは、経済性の観点から満足できるものではなかっ
た。
【0004】また、一般に酵素は、過酸化水素などの酸
化剤により影響を受けることが知られており(例えばJ
ournal of the Biological
Chemistry 224巻 19号 5333〜5
338ページ 1969年)、化学異性化反応後のフマ
ル酸を用いて酵素反応を行うに当たっては、精製工程が
必須なため、操作が煩雑で手間がかかるものであった。
具体的には、米国特許4560653号明細書では、過
硫酸アンモニウムと臭化アンモニウムを用いてマレイン
酸を異性化して得たフマル酸をアスパルターゼにてL−
アスパラギン酸を得る方法が開示されており、そこでは
異性化反応後、触媒の除去のためにイオン交換工程、及
び活性炭工程を必須としている。従って、L−アスパラ
ギン酸を工業的に効率よく製造するに当たって、マレイ
ン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を使用した安
価な製造方法の確立が望まれていた。
化剤により影響を受けることが知られており(例えばJ
ournal of the Biological
Chemistry 224巻 19号 5333〜5
338ページ 1969年)、化学異性化反応後のフマ
ル酸を用いて酵素反応を行うに当たっては、精製工程が
必須なため、操作が煩雑で手間がかかるものであった。
具体的には、米国特許4560653号明細書では、過
硫酸アンモニウムと臭化アンモニウムを用いてマレイン
酸を異性化して得たフマル酸をアスパルターゼにてL−
アスパラギン酸を得る方法が開示されており、そこでは
異性化反応後、触媒の除去のためにイオン交換工程、及
び活性炭工程を必須としている。従って、L−アスパラ
ギン酸を工業的に効率よく製造するに当たって、マレイ
ン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を使用した安
価な製造方法の確立が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記実
状に鑑み鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下、マレ
イン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を、前記の
ような特別の精製工程を経ずにL−アスパラギン酸の原
料として使用することができること、また、粗精製フマ
ル酸中に残存する酸化剤を特定濃度以下になるように制
御することが特に好ましいことを見出し、本発明を完成
するに至った。
状に鑑み鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下、マレ
イン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を、前記の
ような特別の精製工程を経ずにL−アスパラギン酸の原
料として使用することができること、また、粗精製フマ
ル酸中に残存する酸化剤を特定濃度以下になるように制
御することが特に好ましいことを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】本発明の要旨は、下記工程及び工程を
含む、マレイン酸を原料とするL−アスパラギン酸の製
造方法に存する。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸水溶液を異性化させてフマル酸を
得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下、水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸
を得る工程。
含む、マレイン酸を原料とするL−アスパラギン酸の製
造方法に存する。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸水溶液を異性化させてフマル酸を
得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下、水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸
を得る工程。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に実施に形態につき
詳細に説明するが、本発明はかかる実施態様のみに限定
されるものではない。
詳細に説明するが、本発明はかかる実施態様のみに限定
されるものではない。
【0008】(マレイン酸)本発明で使用されるマレイ
ン酸又は無水マレイン酸を水に溶解させたマレイン酸
は、精製品でも粗精製品でもよい。精製品であれば、市
販のマレイン酸や無水マレイン酸を水に溶解して使用で
きる。また、無水マレイン酸の場合には溶融して異性化
反応に供給することも可能である。この場合には、反応
系中で水和してマレイン酸となり反応が進行することに
なる。粗精製品であれば、無水マレイン酸製造プロセス
の中間工程で得られる粗マレイン酸(例えばMalei
c Anhydride B.C.Trivadi著
(1982年))や無水フタル酸製造プロセスの排ガス
に水を接触させて回収される粗マレイン酸水溶液(例え
ば特昭公40−23784)のように不純物が存在する
マレイン酸を使用することも可能である。これらの水溶
液には、通常水が20〜60%程度含まれている。工程
におけるマレイン酸は、通常反応仕込みの5〜60重
量%、好ましくは10〜50重量%の水溶液である。上
記濃度より低いと経済性に乏しく実用的でなく、上記濃
度より高いと反応進行と共に大量のフマル酸が析出し、
反応系が固化し、系の撹拌ができない状況になり好まし
くない。
ン酸又は無水マレイン酸を水に溶解させたマレイン酸
は、精製品でも粗精製品でもよい。精製品であれば、市
販のマレイン酸や無水マレイン酸を水に溶解して使用で
きる。また、無水マレイン酸の場合には溶融して異性化
反応に供給することも可能である。この場合には、反応
系中で水和してマレイン酸となり反応が進行することに
なる。粗精製品であれば、無水マレイン酸製造プロセス
の中間工程で得られる粗マレイン酸(例えばMalei
c Anhydride B.C.Trivadi著
(1982年))や無水フタル酸製造プロセスの排ガス
に水を接触させて回収される粗マレイン酸水溶液(例え
ば特昭公40−23784)のように不純物が存在する
マレイン酸を使用することも可能である。これらの水溶
液には、通常水が20〜60%程度含まれている。工程
におけるマレイン酸は、通常反応仕込みの5〜60重
量%、好ましくは10〜50重量%の水溶液である。上
記濃度より低いと経済性に乏しく実用的でなく、上記濃
度より高いと反応進行と共に大量のフマル酸が析出し、
反応系が固化し、系の撹拌ができない状況になり好まし
くない。
【0009】(臭素酸イオン)臭素酸イオンは、臭素酸
基を含む化合物を水に溶解させることにより生成する。
臭素酸イオンを含む化合物としては、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウム、臭素酸バリウム、臭素酸銀などが
挙げられる。このうち、好ましくは、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウムである。また、これらの化合物を2
種以上併用して使用することも可能である。尚、本発明
に使用される臭素酸基を含む化合物を水に溶解させるこ
とにより生成する臭素酸イオンは、酸化剤としての作用
を持つものである。工程に使用される臭素酸イオンの
量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、0.008〜
7.7重量%、好ましくは0.08〜3.8重量%であ
る。
基を含む化合物を水に溶解させることにより生成する。
臭素酸イオンを含む化合物としては、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウム、臭素酸バリウム、臭素酸銀などが
挙げられる。このうち、好ましくは、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウムである。また、これらの化合物を2
種以上併用して使用することも可能である。尚、本発明
に使用される臭素酸基を含む化合物を水に溶解させるこ
とにより生成する臭素酸イオンは、酸化剤としての作用
を持つものである。工程に使用される臭素酸イオンの
量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、0.008〜
7.7重量%、好ましくは0.08〜3.8重量%であ
る。
【0010】(水溶性臭素供与化合物)水溶性臭素供与
化合物としては、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化
カリウム、臭化アンモニウム、臭化マグネシウム、臭化
カルシウム、臭化鉄、臭化銅、臭化亜鉛、臭化アルミニ
ウム(以上臭素の原子価:−1)、臭素(臭素の原子
価:0)、N−ブロモコハク酸イミド、ナトリウムハイ
ポブロマイド(以上臭素の原子価:+1)などが挙げら
れ、好ましくは臭素の原子価が−1であるもの及び臭素
の原子価が0であるものである。また、これらの化合物
を2種以上併用して使用することも可能である。尚、本
発明に使用される水溶性臭素供与化合物は、酸化剤とし
ての作用を持たないものである。工程に使用される水
溶性臭素供与化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対
し、通常、1.2×10-3〜3.6モル%、好ましくは
1.2×10-2〜2.4モル%である。
化合物としては、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化
カリウム、臭化アンモニウム、臭化マグネシウム、臭化
カルシウム、臭化鉄、臭化銅、臭化亜鉛、臭化アルミニ
ウム(以上臭素の原子価:−1)、臭素(臭素の原子
価:0)、N−ブロモコハク酸イミド、ナトリウムハイ
ポブロマイド(以上臭素の原子価:+1)などが挙げら
れ、好ましくは臭素の原子価が−1であるもの及び臭素
の原子価が0であるものである。また、これらの化合物
を2種以上併用して使用することも可能である。尚、本
発明に使用される水溶性臭素供与化合物は、酸化剤とし
ての作用を持たないものである。工程に使用される水
溶性臭素供与化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対
し、通常、1.2×10-3〜3.6モル%、好ましくは
1.2×10-2〜2.4モル%である。
【0011】(標準電極電位が1V以上の化合物)標準
電極電位の絶対値については、例えば、Lange’s
Handbook of Chemistry 13
th Section 6に記載されている。本発明に
おける、標準電極電位が1V以上の化合物としては、例
えば、硝酸アンモニウムセリウム(IV):Ce(NH4)2(N
O3)6、硫酸セリウム(IV):Ce(SO4)2、硫酸セリウム
(IV)アンモニウム:Ce(NH4)4(SO4)4等の4価のセリウ
ムイオンを含む化合物、過硫酸ナトリウム:Na2S2O8 、
過硫酸カリウム:K2S2O8、過硫酸アンモニウム:(NH4)2
S2O8等の過硫酸イオンを含む化合物及び過酸化水素など
が挙げられ、好ましくは、硝酸アンモニウムセリウム
(IV)、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の標準電極電位が1.5V以上の化合物で
ある。尚、本発明に使用される標準電極電位が1V以上
である化合物は、酸化剤としての作用を持つものであ
る。これらの化合物を2種以上併用して使用することも
可能である。工程に使用される標準電極電位が1V以
上の化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、
0.004〜8.4モル%、好ましくは0.08〜4.
2モル%である。
電極電位の絶対値については、例えば、Lange’s
Handbook of Chemistry 13
th Section 6に記載されている。本発明に
おける、標準電極電位が1V以上の化合物としては、例
えば、硝酸アンモニウムセリウム(IV):Ce(NH4)2(N
O3)6、硫酸セリウム(IV):Ce(SO4)2、硫酸セリウム
(IV)アンモニウム:Ce(NH4)4(SO4)4等の4価のセリウ
ムイオンを含む化合物、過硫酸ナトリウム:Na2S2O8 、
過硫酸カリウム:K2S2O8、過硫酸アンモニウム:(NH4)2
S2O8等の過硫酸イオンを含む化合物及び過酸化水素など
が挙げられ、好ましくは、硝酸アンモニウムセリウム
(IV)、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の標準電極電位が1.5V以上の化合物で
ある。尚、本発明に使用される標準電極電位が1V以上
である化合物は、酸化剤としての作用を持つものであ
る。これらの化合物を2種以上併用して使用することも
可能である。工程に使用される標準電極電位が1V以
上の化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、
0.004〜8.4モル%、好ましくは0.08〜4.
2モル%である。
【0012】(アスパルターゼ又はアスパルターゼを産
出する微生物)本発明で使用される、アスパルターゼ又
はアスパルターゼを産生する微生物は公知のものが使用
される。アスパルターゼを産生する微生物としては、フ
マル酸とアンモニアからL−アスパラギン酸を生成しう
る能力を有する微生物であれば特に制限がなく、例え
ば、ブレビバクテリウム属、エシェリヒア属、シュード
モナス属、バチルス属等の微生物が挙げられる。具体的
には、ブレビバクテリウム・フラバム(Breviba
cterium flavum)MJ−233(FER
M BP−1497)、同MJ−233−AB−41
(FERM BP−1498)、ブレビバクテリウム・
アンモニアゲネス ATCC 6872、エシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)ATCC
11303、同ATCC 27325等を例示するこ
とが出来る。アスパルターゼ又はアスパルターゼを産生
する微生物の使用形態としては、菌体、菌体破砕物、粗
酵素、精製酵素をそのまま使用しても良いし、これらを
担体に固定化したものを用いても良い。
出する微生物)本発明で使用される、アスパルターゼ又
はアスパルターゼを産生する微生物は公知のものが使用
される。アスパルターゼを産生する微生物としては、フ
マル酸とアンモニアからL−アスパラギン酸を生成しう
る能力を有する微生物であれば特に制限がなく、例え
ば、ブレビバクテリウム属、エシェリヒア属、シュード
モナス属、バチルス属等の微生物が挙げられる。具体的
には、ブレビバクテリウム・フラバム(Breviba
cterium flavum)MJ−233(FER
M BP−1497)、同MJ−233−AB−41
(FERM BP−1498)、ブレビバクテリウム・
アンモニアゲネス ATCC 6872、エシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)ATCC
11303、同ATCC 27325等を例示するこ
とが出来る。アスパルターゼ又はアスパルターゼを産生
する微生物の使用形態としては、菌体、菌体破砕物、粗
酵素、精製酵素をそのまま使用しても良いし、これらを
担体に固定化したものを用いても良い。
【0013】(工程:異性化反応工程)工程は、触
媒として、臭素酸イオン、または、水溶性臭素化合物及
び標準電極電位1V以上である化合物(以下、異性化触
媒と略記することがある)の存在下、マレイン酸を異性
化させてフマル酸を得る工程である。本異性化反応は、
バッチ反応で行っても、連続反応で行っても良い。バッ
チ反応で行う場合、異性化触媒の添加順序及び添加方法
は特に限定されない。バッチ反応で行う場合、特に収率
の面から、マレイン酸に異性化触媒を添加する方法、マ
レイン酸及び異性化触媒を低温で混合した後、昇温し反
応を行う方法が好ましい。
媒として、臭素酸イオン、または、水溶性臭素化合物及
び標準電極電位1V以上である化合物(以下、異性化触
媒と略記することがある)の存在下、マレイン酸を異性
化させてフマル酸を得る工程である。本異性化反応は、
バッチ反応で行っても、連続反応で行っても良い。バッ
チ反応で行う場合、異性化触媒の添加順序及び添加方法
は特に限定されない。バッチ反応で行う場合、特に収率
の面から、マレイン酸に異性化触媒を添加する方法、マ
レイン酸及び異性化触媒を低温で混合した後、昇温し反
応を行う方法が好ましい。
【0014】異性化触媒は、粉体で添加してもよいが、
スラリー又は水溶液で添加する方が、反応温度を制御す
る点で好ましい。例えば臭化アンモニウムの場合には、
30重量%以下だと室温で水に溶解するので、均一な水
溶液で添加することができる。添加時間は特に規定され
るものではないが、10分以上、例えば反応容量1リッ
トルの場合には、1〜2時間までの時間をかけて添加す
ることが好ましい。上記時間以下で行うと、発熱量が大
きいため工業的にスケールアップを行った場合、一般的
に除熱が困難となる。
スラリー又は水溶液で添加する方が、反応温度を制御す
る点で好ましい。例えば臭化アンモニウムの場合には、
30重量%以下だと室温で水に溶解するので、均一な水
溶液で添加することができる。添加時間は特に規定され
るものではないが、10分以上、例えば反応容量1リッ
トルの場合には、1〜2時間までの時間をかけて添加す
ることが好ましい。上記時間以下で行うと、発熱量が大
きいため工業的にスケールアップを行った場合、一般的
に除熱が困難となる。
【0015】連続反応としては、マレイン酸、異性化触
媒を連続的に供給する一方で、生成するフマル酸結晶含
有スラリーを連続的に抜き出す連続式でもよいし、連続
的に供給する一方で抜き出しを間欠的に行う方法を採る
ことも可能である。この反応は、マレイン酸及び異性化
触媒を混合することによりほぼ瞬時に起こるが、反応系
式として連続式、間歇式の方法を採る場合には、マレイ
ン酸の転化率の面から反応を2段以上の直列多段方式で
行うことが好ましい。
媒を連続的に供給する一方で、生成するフマル酸結晶含
有スラリーを連続的に抜き出す連続式でもよいし、連続
的に供給する一方で抜き出しを間欠的に行う方法を採る
ことも可能である。この反応は、マレイン酸及び異性化
触媒を混合することによりほぼ瞬時に起こるが、反応系
式として連続式、間歇式の方法を採る場合には、マレイ
ン酸の転化率の面から反応を2段以上の直列多段方式で
行うことが好ましい。
【0016】反応温度は、50〜150℃であり、好ま
しくはリンゴ酸の生成量を低くできる100℃以下、中
でも好ましくは60〜100℃で実施される。温度が低
いと、異性化反応速度が遅くなると共に、残存するフマ
ル酸中に含まれる酸化剤濃度が高くなり好ましくない。
圧力は、特に規定するものではないが、除熱の面から減
圧ないし常圧、例えば0.2〜1kg/cm2 が選ばれ
る。マレイン酸を異性化して得たフマル酸は溶解度が小
さいために、本工程はフマル酸結晶が析出してフマル酸
結晶含有スラリーを得る反応晶析の形になる。そのた
め、反応は通常、撹拌槽タイプの晶析槽を用いて実施さ
れる。尚、本発明においてフマル酸は、フマル酸結晶の
固体、フマル酸スラリー及びフマル酸水溶液のいずれか
を意味する。
しくはリンゴ酸の生成量を低くできる100℃以下、中
でも好ましくは60〜100℃で実施される。温度が低
いと、異性化反応速度が遅くなると共に、残存するフマ
ル酸中に含まれる酸化剤濃度が高くなり好ましくない。
圧力は、特に規定するものではないが、除熱の面から減
圧ないし常圧、例えば0.2〜1kg/cm2 が選ばれ
る。マレイン酸を異性化して得たフマル酸は溶解度が小
さいために、本工程はフマル酸結晶が析出してフマル酸
結晶含有スラリーを得る反応晶析の形になる。そのた
め、反応は通常、撹拌槽タイプの晶析槽を用いて実施さ
れる。尚、本発明においてフマル酸は、フマル酸結晶の
固体、フマル酸スラリー及びフマル酸水溶液のいずれか
を意味する。
【0017】このようにして得られるフマル酸結晶含有
スラリー中には、異性化触媒が残存しており、そのうち
酸化剤として機能する化合物は、反応の進行に伴い還元
される。例えば過硫酸イオンの場合には、硫酸イオンに
変換される。反応がバッチ式の場合には、異性化触媒を
添加終了後、温度60℃以上で5分以上好ましくは10
分以上経過して得られるフマル酸を工程に使用するこ
とが好ましく、反応が連続式若しくは間歇式で行う場
合、異性化触媒を添加終了後、温度60℃以上で平均滞
留時間5分以上好ましくは10分以上保持して得られる
フマル酸結晶含有スラリーを工程に使用することをが
好ましい。このような条件で反応を実施することによ
り、フマル酸結晶含有スラリーに含まれる酸化剤の濃度
(フマル酸結晶中に取り込まれた酸化剤の濃度)をフマ
ル酸に対して通常6.0mmol/kg以下、好ましく
は3mmol/kg以下に保つことが可能となる。酸化
剤の濃度が6.0mmol/kgを超えると工程で使
用するアスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微
生物の活性が著しく低下し好ましくない。
スラリー中には、異性化触媒が残存しており、そのうち
酸化剤として機能する化合物は、反応の進行に伴い還元
される。例えば過硫酸イオンの場合には、硫酸イオンに
変換される。反応がバッチ式の場合には、異性化触媒を
添加終了後、温度60℃以上で5分以上好ましくは10
分以上経過して得られるフマル酸を工程に使用するこ
とが好ましく、反応が連続式若しくは間歇式で行う場
合、異性化触媒を添加終了後、温度60℃以上で平均滞
留時間5分以上好ましくは10分以上保持して得られる
フマル酸結晶含有スラリーを工程に使用することをが
好ましい。このような条件で反応を実施することによ
り、フマル酸結晶含有スラリーに含まれる酸化剤の濃度
(フマル酸結晶中に取り込まれた酸化剤の濃度)をフマ
ル酸に対して通常6.0mmol/kg以下、好ましく
は3mmol/kg以下に保つことが可能となる。酸化
剤の濃度が6.0mmol/kgを超えると工程で使
用するアスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微
生物の活性が著しく低下し好ましくない。
【0018】(固液分離)プロセス上、安定してL−ア
スパラギン酸を得るため及び酵素反応工程中の酸化剤
濃度を最小限に押さえるために、上記工程で得られる
フマル酸含有スラリーを固液分離して、フマル酸結晶を
得る操作を行うことが好ましい。フマル酸含有スラリー
の固液分離条件は、特に限定するものではないが、0〜
80℃の温度範囲、好ましくは、10〜50℃で行な
う。低温下では該スラリーの粘性が高く取扱いが困難に
なり、高温下では、フマル酸の溶解度が高くなり、回収
率が低下してしまう。
スパラギン酸を得るため及び酵素反応工程中の酸化剤
濃度を最小限に押さえるために、上記工程で得られる
フマル酸含有スラリーを固液分離して、フマル酸結晶を
得る操作を行うことが好ましい。フマル酸含有スラリー
の固液分離条件は、特に限定するものではないが、0〜
80℃の温度範囲、好ましくは、10〜50℃で行な
う。低温下では該スラリーの粘性が高く取扱いが困難に
なり、高温下では、フマル酸の溶解度が高くなり、回収
率が低下してしまう。
【0019】固液分離により得られるフマル酸結晶の純
度は、得られるフマル酸の含水率にもよるが、概ね99
%以上である。この時の酸化剤の含量は、例えば、含水
率20%の場合、フマル酸に対して概ね1.2mmol
/kg以下である。固液分離装置は、限定されるもので
はないが、ヌッチェ、遠心分離器等を使用できる。固液
分離により得られるフマル酸結晶を必要に応じて水でリ
ンスしても良い。リンスに用いる水の量は、特に限定す
るものではないが、固液分離により得られるフマル酸結
晶に対して5重量倍以下、好ましくは、3重量倍以下で
行なう。リンス量が少なすぎるとリンス効果が充分でな
く、多すぎるとフマル酸結晶の回収率が低下する。リン
ス水の温度についても特に限定されるものではない。
度は、得られるフマル酸の含水率にもよるが、概ね99
%以上である。この時の酸化剤の含量は、例えば、含水
率20%の場合、フマル酸に対して概ね1.2mmol
/kg以下である。固液分離装置は、限定されるもので
はないが、ヌッチェ、遠心分離器等を使用できる。固液
分離により得られるフマル酸結晶を必要に応じて水でリ
ンスしても良い。リンスに用いる水の量は、特に限定す
るものではないが、固液分離により得られるフマル酸結
晶に対して5重量倍以下、好ましくは、3重量倍以下で
行なう。リンス量が少なすぎるとリンス効果が充分でな
く、多すぎるとフマル酸結晶の回収率が低下する。リン
ス水の温度についても特に限定されるものではない。
【0020】この操作を行うことにより得られるフマル
酸結晶は、99.9%以上の純度を持つフマル酸として
回収することができる。固液分離工程により得られるフ
マル酸結晶は、必要に応じて乾燥して、工程に供給す
ることも可能である。固液分離工程により得られる母液
は、必要に応じて水分の濃縮や一部系外ブリードを行
い、工程にリサイクルすることも可能である。
酸結晶は、99.9%以上の純度を持つフマル酸として
回収することができる。固液分離工程により得られるフ
マル酸結晶は、必要に応じて乾燥して、工程に供給す
ることも可能である。固液分離工程により得られる母液
は、必要に応じて水分の濃縮や一部系外ブリードを行
い、工程にリサイクルすることも可能である。
【0021】(工程:酵素反応工程)工程で得られ
たフマル酸を、アンモニア、及び、アスパルターゼ又は
アスパルターゼを産出する微生物の存在下、水溶液中で
反応させてL−アスパラギン酸を得る工程である。工程
の反応における反応液中のフマル酸濃度は、通常、フ
マル酸アンモニウム換算で、45〜700g/l、好ま
しくは90〜450g/lである。工程の反応におけ
る反応系内のpHは通常、7.5〜10が好ましい。こ
こで、反応の原料でもあるアンモニアをpH調節剤とし
て単独で使用することが好ましいが、アンモニア以外の
アルカリ化合物をpH調節剤として、一部使用すること
もできる。
たフマル酸を、アンモニア、及び、アスパルターゼ又は
アスパルターゼを産出する微生物の存在下、水溶液中で
反応させてL−アスパラギン酸を得る工程である。工程
の反応における反応液中のフマル酸濃度は、通常、フ
マル酸アンモニウム換算で、45〜700g/l、好ま
しくは90〜450g/lである。工程の反応におけ
る反応系内のpHは通常、7.5〜10が好ましい。こ
こで、反応の原料でもあるアンモニアをpH調節剤とし
て単独で使用することが好ましいが、アンモニア以外の
アルカリ化合物をpH調節剤として、一部使用すること
もできる。
【0022】上記アルカリ化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなど特に限定されるものではな
い。アンモニアを単独で原料とする場合のアンモニアの
使用量はフマル酸に対して1.0〜3.0倍モル、好ま
しくは2.0〜2.6倍モルである。また、上記アルカ
リ化合物をアンモニアと併用する場合には、前記反応の
系内のpH範囲になる量にアンモニア及びアルカリ剤の
量が調整される。前記反応の温度は、酵素反応が効率的
に行なわれる温度が選定され、通常10〜80℃、好ま
しくは15〜60℃である。
リウム、水酸化カリウムなど特に限定されるものではな
い。アンモニアを単独で原料とする場合のアンモニアの
使用量はフマル酸に対して1.0〜3.0倍モル、好ま
しくは2.0〜2.6倍モルである。また、上記アルカ
リ化合物をアンモニアと併用する場合には、前記反応の
系内のpH範囲になる量にアンモニア及びアルカリ剤の
量が調整される。前記反応の温度は、酵素反応が効率的
に行なわれる温度が選定され、通常10〜80℃、好ま
しくは15〜60℃である。
【0023】工程の酵素反応の反応方式としては、通
常、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物をアルギン酸などに固定化した充填層に工程で得ら
れるフマル酸及びアンモニアを含む水溶液を通液する方
法、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物を懸濁した反応器中に工程で得られるフマル酸及び
アンモニアを含む水溶液を供給する一方、反応液を抜き
出し、これを分離膜や遠心分離機を用いて菌体を分離し
反応器に戻す方法等が挙げられる。
常、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物をアルギン酸などに固定化した充填層に工程で得ら
れるフマル酸及びアンモニアを含む水溶液を通液する方
法、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物を懸濁した反応器中に工程で得られるフマル酸及び
アンモニアを含む水溶液を供給する一方、反応液を抜き
出し、これを分離膜や遠心分離機を用いて菌体を分離し
反応器に戻す方法等が挙げられる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、フマル酸(以下、FAと略記
する)、及びマレイン酸(以下、MAと略記する)の分
析は高速液体クロマトグラフィーにより、酸化剤の分析
はヨウ素デンプン滴定により定量した。
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、フマル酸(以下、FAと略記
する)、及びマレイン酸(以下、MAと略記する)の分
析は高速液体クロマトグラフィーにより、酸化剤の分析
はヨウ素デンプン滴定により定量した。
【0025】(実施例1)無水マレイン酸を水に添加し
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gと臭
化アンモニウム240mg(仕込みのMAに対して0.
2重量%)を500mL反応器に仕込み、60℃に昇温
した。この水溶液に5重量%過硫酸アンモニウム水溶液
24g(仕込みのMAに対して1.0重量%)を1時間
かけて添加した。この時のMAの転化率は99.0%で
あった。触媒添加後すぐに、冷水にて30℃まで急冷し
た。この時の合計の酸化剤濃度はフマル酸に対し8.8
mmol/kgであった。得られたフマル酸結晶含有ス
ラリーに25%アンモニア水159.5gと塩化カルシ
ウム2水和物1.5g及び水147.0gを添加してフ
マル酸 174g/Lの水溶液を調整した。調整液に、
通常の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有する
ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−
41(FERM BP−1498)の限外ろ過膜(旭化
成社製−ACV−3050)による濃縮菌体1.9g
(湿菌体約50重量%)を添加して、45℃にて、5分
後、10分後、15分後、20分後、30分後、60分
後にフマル酸の濃度を測定し、そのフマル酸の減少量か
ら単位菌体当たりの活性値を測定した。また、別途、市
販品のフマル酸を用いて同様に調製した後反応を行った
時の菌体の活性値を100(ブランク)とし、比活性を
算出した。
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gと臭
化アンモニウム240mg(仕込みのMAに対して0.
2重量%)を500mL反応器に仕込み、60℃に昇温
した。この水溶液に5重量%過硫酸アンモニウム水溶液
24g(仕込みのMAに対して1.0重量%)を1時間
かけて添加した。この時のMAの転化率は99.0%で
あった。触媒添加後すぐに、冷水にて30℃まで急冷し
た。この時の合計の酸化剤濃度はフマル酸に対し8.8
mmol/kgであった。得られたフマル酸結晶含有ス
ラリーに25%アンモニア水159.5gと塩化カルシ
ウム2水和物1.5g及び水147.0gを添加してフ
マル酸 174g/Lの水溶液を調整した。調整液に、
通常の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有する
ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−
41(FERM BP−1498)の限外ろ過膜(旭化
成社製−ACV−3050)による濃縮菌体1.9g
(湿菌体約50重量%)を添加して、45℃にて、5分
後、10分後、15分後、20分後、30分後、60分
後にフマル酸の濃度を測定し、そのフマル酸の減少量か
ら単位菌体当たりの活性値を測定した。また、別途、市
販品のフマル酸を用いて同様に調製した後反応を行った
時の菌体の活性値を100(ブランク)とし、比活性を
算出した。
【0026】(実施例2)無水マレイン酸を水に添加し
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gを5
00mL反応器に仕込み、70℃に昇温した。この水溶
液に5重量%臭素酸カリウム水溶液24g(仕込みのM
Aに対して1.0重量%)を1時間かけて添加した。こ
の時のMAの転化率は95.0%であった。触媒添加後
すぐに冷水にて30℃まで急冷した。この時の合計の酸
化剤濃度は、フマル酸に対し12.5mmol/kgで
あった。得られたフマル酸結晶含有スラリーに25%ア
ンモニア水158.6gと水122.8g及び塩化カル
シウム2水和物1.5gを添加してフマル酸174g/
Lの水溶液を調整した。この調整液を用いて実施例1と
同じ方法にて酵素比活性を測定した。
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gを5
00mL反応器に仕込み、70℃に昇温した。この水溶
液に5重量%臭素酸カリウム水溶液24g(仕込みのM
Aに対して1.0重量%)を1時間かけて添加した。こ
の時のMAの転化率は95.0%であった。触媒添加後
すぐに冷水にて30℃まで急冷した。この時の合計の酸
化剤濃度は、フマル酸に対し12.5mmol/kgで
あった。得られたフマル酸結晶含有スラリーに25%ア
ンモニア水158.6gと水122.8g及び塩化カル
シウム2水和物1.5gを添加してフマル酸174g/
Lの水溶液を調整した。この調整液を用いて実施例1と
同じ方法にて酵素比活性を測定した。
【0027】(実施例3)触媒添加後5分間その温度で
保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実施
例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転化
率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル酸
に対し5.3mmol/kgであった。得られたフマル
酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマル
酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用い
て実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実施
例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転化
率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル酸
に対し5.3mmol/kgであった。得られたフマル
酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマル
酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用い
て実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
【0028】(実施例4)触媒添加後10分間その温度
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマ
ル酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用
いて実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマ
ル酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用
いて実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
【0029】(実施例5)触媒添加後10分間その温度
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例2と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は95.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水159.5
gと水147.0g塩化カルシウム2水和物1.5g及
びを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調整し
た。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵素比
活性を測定した。
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例2と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は95.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水159.5
gと水147.0g塩化カルシウム2水和物1.5g及
びを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調整し
た。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵素比
活性を測定した。
【0030】(実施例6)反応温度を80℃にした以外
は、実施例3と同様の操作で反応を行った。この時のM
Aの転化率は99.5%であり、合計の酸化剤濃度は、
フマル酸に対し2.2mmol/kgであった。得られ
たフマル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水15
9.6gと水150.0g及び塩化カルシウム2水和物
1.5gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
素比活性を測定した。
は、実施例3と同様の操作で反応を行った。この時のM
Aの転化率は99.5%であり、合計の酸化剤濃度は、
フマル酸に対し2.2mmol/kgであった。得られ
たフマル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水15
9.6gと水150.0g及び塩化カルシウム2水和物
1.5gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
素比活性を測定した。
【0031】(実施例7)実施例6と同様の操作で反応
を行った。この時のMAの転化率は99.0%であっ
た。得られたフマル酸結晶含有スラリーを固液分離して
含水フマル酸結晶130.6gを回収した。この固体の
含水率は10%、回収率は97.8%であった。この時
の合計の酸化剤濃度は、フマル酸に対し0.5mmol
/kgであった。この固体と25%アンモニア水15
8.2gと塩化カルシウム2水和物1.5g及び水34
2.0gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
素比活性を測定した。得られた比活性値を第1表にまと
める。
を行った。この時のMAの転化率は99.0%であっ
た。得られたフマル酸結晶含有スラリーを固液分離して
含水フマル酸結晶130.6gを回収した。この固体の
含水率は10%、回収率は97.8%であった。この時
の合計の酸化剤濃度は、フマル酸に対し0.5mmol
/kgであった。この固体と25%アンモニア水15
8.2gと塩化カルシウム2水和物1.5g及び水34
2.0gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
素比活性を測定した。得られた比活性値を第1表にまと
める。
【0032】
【表1】
Claims (5)
- 【請求項1】 下記工程及び工程を含む、マレイン
酸を原料とするL−アスパラギン酸の製造方法。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル
酸を得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下、水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸
を得る工程。 - 【請求項2】 工程に供給されるフマル酸に含まれる
酸化剤の濃度が、フマル酸結晶の固体に対し6.0mm
ol/kg以下である請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 工程をバッチ式で行い、触媒の添加終
了後、温度60℃以上で5分以上反応させて得られるフ
マル酸を工程に使用することを特徴とする請求項1又
は2記載の方法。 - 【請求項4】 工程を連続式若しくは間歇式で行い、
触媒の添加終了後、温度60℃以上で平均滞留時間5分
以上保持して得られるフマル酸を工程に使用すること
を特徴とする請求項1又は2記載の方法。 - 【請求項5】 工程の温度を60〜100℃で行うこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8562998A JPH11266892A (ja) | 1998-01-23 | 1998-03-31 | L−アスパラギン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-11103 | 1998-01-23 | ||
JP1110398 | 1998-01-23 | ||
JP8562998A JPH11266892A (ja) | 1998-01-23 | 1998-03-31 | L−アスパラギン酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11266892A true JPH11266892A (ja) | 1999-10-05 |
Family
ID=26346490
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8562998A Pending JPH11266892A (ja) | 1998-01-23 | 1998-03-31 | L−アスパラギン酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11266892A (ja) |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP8562998A patent/JPH11266892A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050328 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080507 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20080909 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |