JPH11266892A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

Info

Publication number
JPH11266892A
JPH11266892A JP8562998A JP8562998A JPH11266892A JP H11266892 A JPH11266892 A JP H11266892A JP 8562998 A JP8562998 A JP 8562998A JP 8562998 A JP8562998 A JP 8562998A JP H11266892 A JPH11266892 A JP H11266892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fumaric acid
acid
reaction
aspartase
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8562998A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoyuki Watanabe
尚之 渡辺
Naoki Kato
尚樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP8562998A priority Critical patent/JPH11266892A/ja
Publication of JPH11266892A publication Critical patent/JPH11266892A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マレイン酸を異性化し得られる粗フマル酸を
用い、微生物によりL−アスパラギン酸を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記工程及び工程を含む、マレイン
酸を原料とするL−アスパラギン酸の製造方法。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル
酸を得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸を
得る工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスパラギン
酸を製造する方法に関するものである。更に詳しくは、
マレイン酸を原料とし、これを化学反応により異性化し
てフマル酸を得た後、このフマル酸を原料として酵素反
応によりL−アスパラギン酸を製造するための工業的に
有利なプロセスに関するものである。L−アスパラギン
酸は医薬、食品添加物として需要が増加している。
【0002】
【従来の技術】従来、L−アスパラギン酸の製造法とし
ては、フマル酸及びアンモニアを原料とし、これらを用
いてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の作用に
よりL−アスパラギン酸アンモニウムとし、これに無機
酸を添加してL−アスパラギン酸を得るという方法が知
られている。(例えばバイオテクノロジーアンドバイオ
サイエンス 17巻 1797ページ 1975年な
ど)
【0003】しかしながら、これまでの方法によると、
一般に単離精製したフマル酸が使用されている。フマル
酸の精製方法としては、活性炭処理(特開昭58−23
641など)、昇華処理(特開昭48−37016)、
活性炭と酸化マンガン処理(特開昭37−6507)等
が提案されているが、この様な精製工程を経たフマル酸
を使用してL−アスパラギン酸を工業的規模で製造する
ことは、経済性の観点から満足できるものではなかっ
た。
【0004】また、一般に酵素は、過酸化水素などの酸
化剤により影響を受けることが知られており(例えばJ
ournal of the Biological
Chemistry 224巻 19号 5333〜5
338ページ 1969年)、化学異性化反応後のフマ
ル酸を用いて酵素反応を行うに当たっては、精製工程が
必須なため、操作が煩雑で手間がかかるものであった。
具体的には、米国特許4560653号明細書では、過
硫酸アンモニウムと臭化アンモニウムを用いてマレイン
酸を異性化して得たフマル酸をアスパルターゼにてL−
アスパラギン酸を得る方法が開示されており、そこでは
異性化反応後、触媒の除去のためにイオン交換工程、及
び活性炭工程を必須としている。従って、L−アスパラ
ギン酸を工業的に効率よく製造するに当たって、マレイ
ン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を使用した安
価な製造方法の確立が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記実
状に鑑み鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下、マレ
イン酸を異性化して得られる粗精製フマル酸を、前記の
ような特別の精製工程を経ずにL−アスパラギン酸の原
料として使用することができること、また、粗精製フマ
ル酸中に残存する酸化剤を特定濃度以下になるように制
御することが特に好ましいことを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】本発明の要旨は、下記工程及び工程を
含む、マレイン酸を原料とするL−アスパラギン酸の製
造方法に存する。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
の共存下、マレイン酸水溶液を異性化させてフマル酸を
得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物の存在下、水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸
を得る工程。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に実施に形態につき
詳細に説明するが、本発明はかかる実施態様のみに限定
されるものではない。
【0008】(マレイン酸)本発明で使用されるマレイ
ン酸又は無水マレイン酸を水に溶解させたマレイン酸
は、精製品でも粗精製品でもよい。精製品であれば、市
販のマレイン酸や無水マレイン酸を水に溶解して使用で
きる。また、無水マレイン酸の場合には溶融して異性化
反応に供給することも可能である。この場合には、反応
系中で水和してマレイン酸となり反応が進行することに
なる。粗精製品であれば、無水マレイン酸製造プロセス
の中間工程で得られる粗マレイン酸(例えばMalei
c Anhydride B.C.Trivadi著
(1982年))や無水フタル酸製造プロセスの排ガス
に水を接触させて回収される粗マレイン酸水溶液(例え
ば特昭公40−23784)のように不純物が存在する
マレイン酸を使用することも可能である。これらの水溶
液には、通常水が20〜60%程度含まれている。工程
におけるマレイン酸は、通常反応仕込みの5〜60重
量%、好ましくは10〜50重量%の水溶液である。上
記濃度より低いと経済性に乏しく実用的でなく、上記濃
度より高いと反応進行と共に大量のフマル酸が析出し、
反応系が固化し、系の撹拌ができない状況になり好まし
くない。
【0009】(臭素酸イオン)臭素酸イオンは、臭素酸
基を含む化合物を水に溶解させることにより生成する。
臭素酸イオンを含む化合物としては、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウム、臭素酸バリウム、臭素酸銀などが
挙げられる。このうち、好ましくは、臭素酸ナトリウ
ム、臭素酸カリウムである。また、これらの化合物を2
種以上併用して使用することも可能である。尚、本発明
に使用される臭素酸基を含む化合物を水に溶解させるこ
とにより生成する臭素酸イオンは、酸化剤としての作用
を持つものである。工程に使用される臭素酸イオンの
量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、0.008〜
7.7重量%、好ましくは0.08〜3.8重量%であ
る。
【0010】(水溶性臭素供与化合物)水溶性臭素供与
化合物としては、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化
カリウム、臭化アンモニウム、臭化マグネシウム、臭化
カルシウム、臭化鉄、臭化銅、臭化亜鉛、臭化アルミニ
ウム(以上臭素の原子価:−1)、臭素(臭素の原子
価:0)、N−ブロモコハク酸イミド、ナトリウムハイ
ポブロマイド(以上臭素の原子価:+1)などが挙げら
れ、好ましくは臭素の原子価が−1であるもの及び臭素
の原子価が0であるものである。また、これらの化合物
を2種以上併用して使用することも可能である。尚、本
発明に使用される水溶性臭素供与化合物は、酸化剤とし
ての作用を持たないものである。工程に使用される水
溶性臭素供与化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対
し、通常、1.2×10-3〜3.6モル%、好ましくは
1.2×10-2〜2.4モル%である。
【0011】(標準電極電位が1V以上の化合物)標準
電極電位の絶対値については、例えば、Lange’s
Handbook of Chemistry 13
th Section 6に記載されている。本発明に
おける、標準電極電位が1V以上の化合物としては、例
えば、硝酸アンモニウムセリウム(IV):Ce(NH4)2(N
O3)6、硫酸セリウム(IV):Ce(SO4)2、硫酸セリウム
(IV)アンモニウム:Ce(NH4)4(SO4)4等の4価のセリウ
ムイオンを含む化合物、過硫酸ナトリウム:Na2S2O8
過硫酸カリウム:K2S2O8、過硫酸アンモニウム:(NH4)2
S2O8等の過硫酸イオンを含む化合物及び過酸化水素など
が挙げられ、好ましくは、硝酸アンモニウムセリウム
(IV)、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の標準電極電位が1.5V以上の化合物で
ある。尚、本発明に使用される標準電極電位が1V以上
である化合物は、酸化剤としての作用を持つものであ
る。これらの化合物を2種以上併用して使用することも
可能である。工程に使用される標準電極電位が1V以
上の化合物の量は、仕込みのマレイン酸に対し、通常、
0.004〜8.4モル%、好ましくは0.08〜4.
2モル%である。
【0012】(アスパルターゼ又はアスパルターゼを産
出する微生物)本発明で使用される、アスパルターゼ又
はアスパルターゼを産生する微生物は公知のものが使用
される。アスパルターゼを産生する微生物としては、フ
マル酸とアンモニアからL−アスパラギン酸を生成しう
る能力を有する微生物であれば特に制限がなく、例え
ば、ブレビバクテリウム属、エシェリヒア属、シュード
モナス属、バチルス属等の微生物が挙げられる。具体的
には、ブレビバクテリウム・フラバム(Breviba
cterium flavum)MJ−233(FER
M BP−1497)、同MJ−233−AB−41
(FERM BP−1498)、ブレビバクテリウム・
アンモニアゲネス ATCC 6872、エシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)ATCC
11303、同ATCC 27325等を例示するこ
とが出来る。アスパルターゼ又はアスパルターゼを産生
する微生物の使用形態としては、菌体、菌体破砕物、粗
酵素、精製酵素をそのまま使用しても良いし、これらを
担体に固定化したものを用いても良い。
【0013】(工程:異性化反応工程)工程は、触
媒として、臭素酸イオン、または、水溶性臭素化合物及
び標準電極電位1V以上である化合物(以下、異性化触
媒と略記することがある)の存在下、マレイン酸を異性
化させてフマル酸を得る工程である。本異性化反応は、
バッチ反応で行っても、連続反応で行っても良い。バッ
チ反応で行う場合、異性化触媒の添加順序及び添加方法
は特に限定されない。バッチ反応で行う場合、特に収率
の面から、マレイン酸に異性化触媒を添加する方法、マ
レイン酸及び異性化触媒を低温で混合した後、昇温し反
応を行う方法が好ましい。
【0014】異性化触媒は、粉体で添加してもよいが、
スラリー又は水溶液で添加する方が、反応温度を制御す
る点で好ましい。例えば臭化アンモニウムの場合には、
30重量%以下だと室温で水に溶解するので、均一な水
溶液で添加することができる。添加時間は特に規定され
るものではないが、10分以上、例えば反応容量1リッ
トルの場合には、1〜2時間までの時間をかけて添加す
ることが好ましい。上記時間以下で行うと、発熱量が大
きいため工業的にスケールアップを行った場合、一般的
に除熱が困難となる。
【0015】連続反応としては、マレイン酸、異性化触
媒を連続的に供給する一方で、生成するフマル酸結晶含
有スラリーを連続的に抜き出す連続式でもよいし、連続
的に供給する一方で抜き出しを間欠的に行う方法を採る
ことも可能である。この反応は、マレイン酸及び異性化
触媒を混合することによりほぼ瞬時に起こるが、反応系
式として連続式、間歇式の方法を採る場合には、マレイ
ン酸の転化率の面から反応を2段以上の直列多段方式で
行うことが好ましい。
【0016】反応温度は、50〜150℃であり、好ま
しくはリンゴ酸の生成量を低くできる100℃以下、中
でも好ましくは60〜100℃で実施される。温度が低
いと、異性化反応速度が遅くなると共に、残存するフマ
ル酸中に含まれる酸化剤濃度が高くなり好ましくない。
圧力は、特に規定するものではないが、除熱の面から減
圧ないし常圧、例えば0.2〜1kg/cm2 が選ばれ
る。マレイン酸を異性化して得たフマル酸は溶解度が小
さいために、本工程はフマル酸結晶が析出してフマル酸
結晶含有スラリーを得る反応晶析の形になる。そのた
め、反応は通常、撹拌槽タイプの晶析槽を用いて実施さ
れる。尚、本発明においてフマル酸は、フマル酸結晶の
固体、フマル酸スラリー及びフマル酸水溶液のいずれか
を意味する。
【0017】このようにして得られるフマル酸結晶含有
スラリー中には、異性化触媒が残存しており、そのうち
酸化剤として機能する化合物は、反応の進行に伴い還元
される。例えば過硫酸イオンの場合には、硫酸イオンに
変換される。反応がバッチ式の場合には、異性化触媒を
添加終了後、温度60℃以上で5分以上好ましくは10
分以上経過して得られるフマル酸を工程に使用するこ
とが好ましく、反応が連続式若しくは間歇式で行う場
合、異性化触媒を添加終了後、温度60℃以上で平均滞
留時間5分以上好ましくは10分以上保持して得られる
フマル酸結晶含有スラリーを工程に使用することをが
好ましい。このような条件で反応を実施することによ
り、フマル酸結晶含有スラリーに含まれる酸化剤の濃度
(フマル酸結晶中に取り込まれた酸化剤の濃度)をフマ
ル酸に対して通常6.0mmol/kg以下、好ましく
は3mmol/kg以下に保つことが可能となる。酸化
剤の濃度が6.0mmol/kgを超えると工程で使
用するアスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微
生物の活性が著しく低下し好ましくない。
【0018】(固液分離)プロセス上、安定してL−ア
スパラギン酸を得るため及び酵素反応工程中の酸化剤
濃度を最小限に押さえるために、上記工程で得られる
フマル酸含有スラリーを固液分離して、フマル酸結晶を
得る操作を行うことが好ましい。フマル酸含有スラリー
の固液分離条件は、特に限定するものではないが、0〜
80℃の温度範囲、好ましくは、10〜50℃で行な
う。低温下では該スラリーの粘性が高く取扱いが困難に
なり、高温下では、フマル酸の溶解度が高くなり、回収
率が低下してしまう。
【0019】固液分離により得られるフマル酸結晶の純
度は、得られるフマル酸の含水率にもよるが、概ね99
%以上である。この時の酸化剤の含量は、例えば、含水
率20%の場合、フマル酸に対して概ね1.2mmol
/kg以下である。固液分離装置は、限定されるもので
はないが、ヌッチェ、遠心分離器等を使用できる。固液
分離により得られるフマル酸結晶を必要に応じて水でリ
ンスしても良い。リンスに用いる水の量は、特に限定す
るものではないが、固液分離により得られるフマル酸結
晶に対して5重量倍以下、好ましくは、3重量倍以下で
行なう。リンス量が少なすぎるとリンス効果が充分でな
く、多すぎるとフマル酸結晶の回収率が低下する。リン
ス水の温度についても特に限定されるものではない。
【0020】この操作を行うことにより得られるフマル
酸結晶は、99.9%以上の純度を持つフマル酸として
回収することができる。固液分離工程により得られるフ
マル酸結晶は、必要に応じて乾燥して、工程に供給す
ることも可能である。固液分離工程により得られる母液
は、必要に応じて水分の濃縮や一部系外ブリードを行
い、工程にリサイクルすることも可能である。
【0021】(工程:酵素反応工程)工程で得られ
たフマル酸を、アンモニア、及び、アスパルターゼ又は
アスパルターゼを産出する微生物の存在下、水溶液中で
反応させてL−アスパラギン酸を得る工程である。工程
の反応における反応液中のフマル酸濃度は、通常、フ
マル酸アンモニウム換算で、45〜700g/l、好ま
しくは90〜450g/lである。工程の反応におけ
る反応系内のpHは通常、7.5〜10が好ましい。こ
こで、反応の原料でもあるアンモニアをpH調節剤とし
て単独で使用することが好ましいが、アンモニア以外の
アルカリ化合物をpH調節剤として、一部使用すること
もできる。
【0022】上記アルカリ化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなど特に限定されるものではな
い。アンモニアを単独で原料とする場合のアンモニアの
使用量はフマル酸に対して1.0〜3.0倍モル、好ま
しくは2.0〜2.6倍モルである。また、上記アルカ
リ化合物をアンモニアと併用する場合には、前記反応の
系内のpH範囲になる量にアンモニア及びアルカリ剤の
量が調整される。前記反応の温度は、酵素反応が効率的
に行なわれる温度が選定され、通常10〜80℃、好ま
しくは15〜60℃である。
【0023】工程の酵素反応の反応方式としては、通
常、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物をアルギン酸などに固定化した充填層に工程で得ら
れるフマル酸及びアンモニアを含む水溶液を通液する方
法、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
物を懸濁した反応器中に工程で得られるフマル酸及び
アンモニアを含む水溶液を供給する一方、反応液を抜き
出し、これを分離膜や遠心分離機を用いて菌体を分離し
反応器に戻す方法等が挙げられる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、フマル酸(以下、FAと略記
する)、及びマレイン酸(以下、MAと略記する)の分
析は高速液体クロマトグラフィーにより、酸化剤の分析
はヨウ素デンプン滴定により定量した。
【0025】(実施例1)無水マレイン酸を水に添加し
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gと臭
化アンモニウム240mg(仕込みのMAに対して0.
2重量%)を500mL反応器に仕込み、60℃に昇温
した。この水溶液に5重量%過硫酸アンモニウム水溶液
24g(仕込みのMAに対して1.0重量%)を1時間
かけて添加した。この時のMAの転化率は99.0%で
あった。触媒添加後すぐに、冷水にて30℃まで急冷し
た。この時の合計の酸化剤濃度はフマル酸に対し8.8
mmol/kgであった。得られたフマル酸結晶含有ス
ラリーに25%アンモニア水159.5gと塩化カルシ
ウム2水和物1.5g及び水147.0gを添加してフ
マル酸 174g/Lの水溶液を調整した。調整液に、
通常の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有する
ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−
41(FERM BP−1498)の限外ろ過膜(旭化
成社製−ACV−3050)による濃縮菌体1.9g
(湿菌体約50重量%)を添加して、45℃にて、5分
後、10分後、15分後、20分後、30分後、60分
後にフマル酸の濃度を測定し、そのフマル酸の減少量か
ら単位菌体当たりの活性値を測定した。また、別途、市
販品のフマル酸を用いて同様に調製した後反応を行った
時の菌体の活性値を100(ブランク)とし、比活性を
算出した。
【0026】(実施例2)無水マレイン酸を水に添加し
て調整した40.0重量%MA水溶液300.0gを5
00mL反応器に仕込み、70℃に昇温した。この水溶
液に5重量%臭素酸カリウム水溶液24g(仕込みのM
Aに対して1.0重量%)を1時間かけて添加した。こ
の時のMAの転化率は95.0%であった。触媒添加後
すぐに冷水にて30℃まで急冷した。この時の合計の酸
化剤濃度は、フマル酸に対し12.5mmol/kgで
あった。得られたフマル酸結晶含有スラリーに25%ア
ンモニア水158.6gと水122.8g及び塩化カル
シウム2水和物1.5gを添加してフマル酸174g/
Lの水溶液を調整した。この調整液を用いて実施例1と
同じ方法にて酵素活性を測定した。
【0027】(実施例3)触媒添加後5分間その温度で
保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実施
例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転化
率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル酸
に対し5.3mmol/kgであった。得られたフマル
酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマル
酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用い
て実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
【0028】(実施例4)触媒添加後10分間その温度
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例1と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は99.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーを用いて、実施例1と同様にフマ
ル酸174g/Lの水溶液を調整した。この調整液を用
いて実施例1と同じ方法にて酵素比活性を測定した。
【0029】(実施例5)触媒添加後10分間その温度
で保持した後に、冷水にて30℃まで急冷した以外は実
施例2と同様の操作で反応を行った。この時のMAの転
化率は95.0%であり、合計の酸化剤濃度は、フマル
酸に対し4.4mmol/kgであった。得られたフマ
ル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水159.5
gと水147.0g塩化カルシウム2水和物1.5g及
びを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調整し
た。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵素比
活性を測定した。
【0030】(実施例6)反応温度を80℃にした以外
は、実施例3と同様の操作で反応を行った。この時のM
Aの転化率は99.5%であり、合計の酸化剤濃度は、
フマル酸に対し2.2mmol/kgであった。得られ
たフマル酸結晶含有スラリーに25%アンモニア水15
9.6gと水150.0g及び塩化カルシウム2水和物
1.5gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
活性を測定した。
【0031】(実施例7)実施例6と同様の操作で反応
を行った。この時のMAの転化率は99.0%であっ
た。得られたフマル酸結晶含有スラリーを固液分離して
含水フマル酸結晶130.6gを回収した。この固体の
含水率は10%、回収率は97.8%であった。この時
の合計の酸化剤濃度は、フマル酸に対し0.5mmol
/kgであった。この固体と25%アンモニア水15
8.2gと塩化カルシウム2水和物1.5g及び水34
2.0gを添加してフマル酸174g/Lの水溶液を調
整した。この調整液を用いて実施例1と同じ方法にて酵
素比活性を測定した。得られた比活性値を第1表にまと
める。
【0032】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程及び工程を含む、マレイン
    酸を原料とするL−アスパラギン酸の製造方法。 工程:触媒として臭素酸イオンの存在下、または、水
    溶性臭素化合物及び標準電極電位1V以上である化合物
    の共存下、マレイン酸を水溶液中で異性化させてフマル
    酸を得る工程。 工程:工程で得られたフマル酸を、アンモニア、及
    び、アスパルターゼ又はアスパルターゼを産出する微生
    物の存在下、水溶液中で反応させてL−アスパラギン酸
    を得る工程。
  2. 【請求項2】 工程に供給されるフマル酸に含まれる
    酸化剤の濃度が、フマル酸結晶の固体に対し6.0mm
    ol/kg以下である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 工程をバッチ式で行い、触媒の添加終
    了後、温度60℃以上で5分以上反応させて得られるフ
    マル酸を工程に使用することを特徴とする請求項1又
    は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程を連続式若しくは間歇式で行い、
    触媒の添加終了後、温度60℃以上で平均滞留時間5分
    以上保持して得られるフマル酸を工程に使用すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程の温度を60〜100℃で行うこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法。
JP8562998A 1998-01-23 1998-03-31 L−アスパラギン酸の製造方法 Pending JPH11266892A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8562998A JPH11266892A (ja) 1998-01-23 1998-03-31 L−アスパラギン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-11103 1998-01-23
JP1110398 1998-01-23
JP8562998A JPH11266892A (ja) 1998-01-23 1998-03-31 L−アスパラギン酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11266892A true JPH11266892A (ja) 1999-10-05

Family

ID=26346490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8562998A Pending JPH11266892A (ja) 1998-01-23 1998-03-31 L−アスパラギン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11266892A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2664648B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
CN114480523B (zh) 一种生物催化制备β-氨基丙酸的方法
JPH11266892A (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
CN113336640A (zh) 一种降低1,4-萘二羧酸杂质含量的方法
JP2804005B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP3326867B2 (ja) イミノジコハク酸金属塩の製造方法
JP2001029094A (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
KR20000052670A (ko) 엘-아스파르트산의 향상된 제조방법
JP2006206516A (ja) 4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジンの製造方法
JP3704812B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP2804004B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP3735943B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP3859272B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JPH10273471A (ja) フマル酸の製造方法
JP2001048829A (ja) フマル酸の製造方法
JP2000167584A (ja) マレイン酸異性化廃水の処理方法
JP3704769B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP2000169422A (ja) フマル酸の製造方法
JPH10158226A (ja) ヒドロキシイミノジコハク酸アルカリ金属塩の製造方法
JP2846939B2 (ja) 2,3―エポキシ―2,3―ジヒドロ―1,4―ナフトキノンの製造方法
JP2001046095A (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP3704770B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP2590228B2 (ja) ジヨードメチル−p−トリルスルホンの製造方法
JP2872178B2 (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JPH06329606A (ja) イミノジコハク酸金属塩の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080909

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02