JPH11265850A - 堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成方法

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JPH11265850A
JPH11265850A JP10066853A JP6685398A JPH11265850A JP H11265850 A JPH11265850 A JP H11265850A JP 10066853 A JP10066853 A JP 10066853A JP 6685398 A JP6685398 A JP 6685398A JP H11265850 A JPH11265850 A JP H11265850A
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high frequency
semiconductor thin
deposition
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JP10066853A
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Fukateru Matsuyama
深照 松山
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非単結晶半導体薄膜を高い膜質で高速堆積す
る。 【解決手段】 成膜室に高周波を導入して気相中でプラ
ズマを生起させ材料ガスを分解することによって基体上
に非単結晶半導体薄膜を堆積する堆積膜形成方法におい
て、前記成膜室の圧力を0.1Torr以下、前記高周
波の周波数f(GHz)を0.05以上5以下とし、成
膜室内のプラズマが生起している放電空間の堆積V(c
3)、前記高周波の電力P(mW)、前記高周波の周
波数f(GHz)が、 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm
3) ・・・・(1) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
を堆積する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は堆積膜形成方法に関
し、より詳しくは高品質の非単結晶半導体薄膜を高速で
堆積して形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素、シリコン、ゲルマニウム等のIV
族元素を主構成成分として含む非単結晶の半導体薄膜
は、太陽電池、フォトダイオード、電子写真感光体、光
センサー、固体撮像装置、薄膜トランジスター等に用い
られ、単結晶半導体ウエハーに比べて、薄膜であること
から必要な材料の量が少なく、製造コストが安価で、大
面積に均一な形成が可能であることから、用途が広が
り、ますます重要になってきている。
【0003】IV族元素を主構成成分として含む非単結
晶半導体薄膜の形成方法としては、プラズマCVD法、
光CVD法、熱CVD法、MOCVD法などの各種CV
D法、あるいはEB蒸着、MBE、イオンプレーティン
グ、イオンビーム法等の各種蒸着法、スパッタ法、スプ
レー法、印刷法などが挙げられる。
【0004】これらの方法のうち、減圧下の気相中で材
料ガスをプラズマ(グロー放電)を生起させて分解し、基
体上に堆積させるプラズマCVD法が、広く用いられ、
工業的にも好んで採用されている。また、プラズマCV
D法の中でも、13.56MHzのRF高周波を用いて
プラズマを生起させるRFプラズマCVD法は、最も広
く用いられ、盛んに開発されてきた。
【0005】しかしながら、近年、IV族元素の非単結
晶半導体薄膜の用途の広がりによって、高品質なものが
さらに低コストで形成されることが要求されるようにな
ってきた。低コスト化のためには、半導体薄膜の堆積速
度と材料ガスの利用効率をを向上させることにより、製
造に要する時間を短縮し生産量を増やすことが最も重要
である。
【0006】このような要求に対し、従来のRFプラズ
マCVD法では、対応することが困難であった。これ
は、従来のRFプラズマCVD法では、低い堆積速度で
しか高品質の半導体薄膜が得られないことが多いからで
ある。例えば、アモルファスシリコン(a−Si)あるい
は、アモルファスシリコン合金をRFプラズマCVD法
によって堆積する場合、1nm/s以上の高い堆積速度
で、高品質の半導体薄膜を堆積することは非常に困難で
あった。また、従来のRFプラズマCVD法では、材料
ガスの利用効率も低かった。
【0007】RFプラズマCVD法によって高い堆積速
度を得ることが困難である原因のひとつは、高い堆積速
度を得るために高いRF電力を投入すると、分解された
材料ガスが、ポリマライゼーションを起こし、気相中で
パーティクルが形成されて、それが基体に堆積するた
め、半導体薄膜の品質が悪化するからである。また、真
空チャンバー内に、ポリマライゼーションに起因するポ
リマーの粉が多量に付着するという問題があった。この
ような、ポリマライゼーションの起こりやすさの大きな
原因は、13.56MHzのRF高周波によって材料ガ
スを分解するときに、真空チャンバー内の材料ガスの圧
力が、1Torrオーダーで比較的高く、圧力を下げる
と放電維持が困難であるため、材料ガスの圧力を十分に
下げられないことである。
【0008】そこで、高周波の電力を増大させるのでは
なく、周波数を増大させることによって、堆積速度を増
大させる試みがなされてきた。
【0009】例えば、USP4933203には、高周
波電極の電極間距離1〜3cmで、周波数25〜150
MHzの高周波を用いて、アモルファスシリコンあるい
はその合金を堆積する技術が開示されている。この技術
では、周波数70MHzで、2nm/sの堆積速度を得
ているが、70MHzよりも周波数を上げると、堆積速
度も堆積膜の膜質も低下してしまっていた。したがっ
て、高品質の堆積膜を2nm/sを超える堆積速度で形
成することは困難であった。周波数を上げることで堆積
速度と膜質が低下した原因の一つは、材料ガスの圧力が
0.1〜0.5mbar(0.075〜0.375To
rr)という範囲であり、高い膜質と高い堆積速度とを
得るためには、まだ十分に低圧ではなかったことである
と考えられる。
【0010】また、USP4504518には、周波数
2.45GHzのマイクロ波を用いて、圧力0.1To
rr以下で、高い堆積速度を実現する技術が開示されて
いる。ここで、アモルファス半導体の堆積に好適な条件
は、圧力0.001〜0.1Torr、放電を起こす反
応室に投入するマイクロ波電力の電力密度は100〜1
200mW/cm3と開示され、堆積速度は5〜25n
m/sが得られている。この技術によれば、十分高い堆
積速度が得られているが、上述の形成条件で実際にアモ
ルファス半導体を堆積した結果、堆積膜の品質は各種デ
バイスに適用するには十分ではなかった。
【0011】また、USP5256576では、前記マ
イクロ波を用いて形成した堆積膜が、堆積速度は非常に
速いが、堆積膜の品質が十分でないため、ドーピング層
とi型半導体層の接合特性を改善するために、ドーピン
グ層とi型半導体層との間にRFプラズマCVD法によ
るバッファー層を挿入する技術が開示されている。この
技術は有効であるが、高い膜質と高い堆積速度とを得る
ための本質的な解決方法とは言えない。即ち、前記マイ
クロ波を用いて形成した堆積膜の品質が不十分である点
は解決されていない。
【0012】また、特開平6−77144では、基板上
に多層膜を形成する場合に、複数の真空室で、各真空室
に導入した反応ガスの種類に応じて高速でダメージのな
い成膜を行える周波数に設定することを特許請求してい
るが、具体的な設定方法としては、絶縁膜である窒化シ
リコン(SiNx)を高速で成膜するには、80MHzの
高い周波数が好適であることと、半導体膜であるアモル
ファスシリコン(a-Si)を高速で成膜するには、70
MHzか120MHzが好適であることを開示している
のみであり、他の種類の半導体膜の周波数設定も、反応
ガスの種類に応じた系統的な周波数の設定方法も不明で
ある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】一方、複数の種類の半
導体薄膜を積層することは、太陽電池、フォトダイオー
ド、電子写真感光体、光センサー、固体撮像装置、薄膜
トランジスター等のデバイスを作製する場合に、必須の
構成であるので、デバイスを低コストで製造するために
は、複数の種類の半導体薄膜をそれぞれ高速で高品質で
堆積することが、重要である。特に、多層薄膜の構成の
中で、膜厚の厚い部分の半導体薄膜を高速で堆積するこ
とが重要である。
【0014】しかしながら、複数の種類の半導体薄膜を
それぞれ高速で高品質で堆積する方法は、確立されてい
なかった。
【0015】本発明の目的は、上述した問題点を解決
し、IV族元素の非単結晶半導体薄膜の形成において、
半導体薄膜の種類に応じて、高い堆積速度を維持しなが
ら、高い品質の堆積膜を得ることができる堆積膜形成方
法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、50MH
z以上5GHz以下の周波数の高周波を用いて、IV族
元素の非単結晶半導体薄膜の形成条件を詳細に検討した
結果、以下の構成の堆積膜形成法によって、前述の目的
を達成できた。
【0017】すなわち、本発明は、成膜室に高周波を導
入して気相中でプラズマを生起させ材料ガスを分解する
ことによって基体上に非単結晶半導体薄膜を堆積する堆
積膜形成方法において、前記成膜室の圧力を0.1To
rr以下、前記高周波の周波数f(GHz)を0.05
以上5以下とし、成膜室内のプラズマが生起している放
電空間の堆積V(cm3)、前記高周波の電力P(m
W)、前記高周波の周波数f(GHz)が、 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(1) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
を堆積することを特徴とする堆積膜形成方法である。
【0018】ここで、 50≦P/V・f1/3≦200 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(2) の式を満たすように設定することがさらに好ましい。
【0019】また、成膜用の材料ガスの成膜室内におけ
る滞留時間が、2ms以上、50ms以下であることが
好ましい。
【0020】また、本発明は、複数の成膜室に高周波を
導入して気相中でプラズマを生起させそれぞれの成膜室
中で材料ガスを分解することによって基体上に互いにバ
ンドギャップの異なる複数の非単結晶半導体薄膜を堆積
する堆積膜形成方法において、前記複数の非単結晶半導
体薄膜のうちバンドギャップが小さい薄膜を堆積する成
膜室に導入する高周波の電力密度を、前記非単結晶半導
体薄膜のうちバンドギャップが大きい薄膜を堆積する成
膜室に導入する高周波の電力密度よりも小さくすること
を特徴とする堆積膜形成方法である。
【0021】ここで、前記(1)式を満たすようにするこ
とがさらに好ましい。
【0022】さらに、本発明は、複数の成膜室に高周波
を導入して気相中でプラズマを生起させそれぞれの成膜
室中で材料ガスを分解することによって基体上に互いに
バンドギャップの異なる複数の非単結晶半導体薄膜を堆
積する堆積膜形成方法において、前記複数の非単結晶半
導体薄膜のうちバンドギャップが小さい薄膜を堆積する
成膜室に導入する高周波の周波数を、前記非単結晶半導
体薄膜のうちバンドギャップが大きい薄膜を堆積する成
膜室に導入する高周波の周波数よりも小さくすることを
特徴とする堆積膜形成方法である。
【0023】ここで、前記(1)式を満たすようにするこ
とがさらに好ましい。
【0024】また、本発明においては、前記半導体薄膜
は、実質的に真性であることが好ましい。
【0025】さらに、帯状の長尺基体を長手方向に移動
させながら、前記複数の非単結晶半導体薄膜を該長尺基
体上に連続的に形成することが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の作用と詳細な内容
を説明する。
【0027】なお、以下、本明細書中では、(導入する
高周波の電力P)/(放電空間の堆積V)を、電力密度
ρ(mW/cm3)とする。
【0028】まず、13.56MHzのRF高周波に対
して、高い周波数の50MHz以上5GHz以下の高周
波を用いることによって、RF高周波を用いる場合に比
べて、高い堆積速度を達成することができる。
【0029】次に、材料ガスの圧力を0.1Torr以
下に保持することによって、50MHz以上5GHz以
下の高周波を用いて、高い堆積速度でIV族元素の非単
結晶半導体薄膜を形成した場合であっても、材料ガスの
ポリマライゼーションを防止することができ、気相中で
パーティクルが形成されることを防止することができ
る。また、周波数を高くした場合であっても、堆積速度
が低下することなく、むしろ増大させることができる。
また、材料ガスの利用効率を向上させることができる。
さらにプラズマの均一性が向上する。また、1nm/s
以上の高速の堆積速度で堆積する場合でも、RF高周波
を用いる場合に比べて高い品質の堆積膜を形成すること
ができる。
【0030】さらに、高周波の周波数が高い場合は、導
入する高周波の電力密度を低く設定することによって、
高い堆積速度でデバイスに適用可能な高品質のIV族元
素の非単結晶半導体薄膜を形成することができる。デバ
イスに適用可能な高品質な膜質とは、具体的には、半導
体薄膜のダングリングボンドあるいはマイクロボイド等
の欠陥密度が十分に少ないことである。その結果、半導
体薄膜の光導電率が向上し、暗導電率が低下し、キャリ
アの走行性が向上する。また、半導体薄膜が非晶質であ
る場合には、光照射による光導電率の低下(光劣化)が
大幅に抑制される。
【0031】また、基体にあらかじめ形成されていた層
(下地層)へのダメージが減少し、下地層の変質を防止
すると同時に、堆積膜への不純物の拡散が減少する。特
に下地層が、透明導電膜あるいは半導体薄膜である場合
には、下地層と堆積する半導体薄膜との界面の準位が減
少し、半導体の接合特性が向上する。
【0032】また、堆積した半導体薄膜の内部応力が低
減し、基体との密着性が向上して、基体からのはがれが
ほとんどなくなる。
【0033】また、スパーク等の異常放電が大幅に減少
し、放電が切れることがなくなり、放電強度の変動が少
なくなって、高周波の放電が安定する。
【0034】また、高周波の放電空間中の放電の強度が
均一になり、大面積にわたって均一な堆積膜が形成でき
る。
【0035】以上の作用によって、半導体薄膜の製造の
歩留まりが向上し、製造コストを低下させることができ
る。
【0036】また、成膜空間の内壁に付着する膜の応力
が減少して、内壁からのはがれが減少し、はがれた膜が
基体上の堆積膜に付着することを防止することができ
た。また、成膜室の清掃の頻度を減らすことができ、半
導体薄膜の製造の稼働率を向上させて、製造コストを低
下させることができる。
【0037】また、電子密度の過度の上昇によって、成
膜空間の内壁の温度が上昇することが抑制され、成膜空
間の内壁からの脱ガスあるいはスパッタリングによる不
純物の放出とその堆積膜への混入が減少する。
【0038】さらに、高周波の周波数をfと高周波の電
力密度P/V(=ρ)を 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(1) の式を満たすように設定することによって、前述の作用
をさらに強調する作用が得られた。
【0039】本発明は、本発明者らの実験によって、以
下の知見から達成されたものである。すなわち、50M
Hz以上5GHz以下の高周波を用いて、0.1Tor
r以下の圧力で堆積膜を形成した場合、周波数の増大に
したがって、堆積速度が増大することがわかった。しか
しながら、堆積膜の膜質は、周波数と堆積速度の増大に
したがって、低下してしまうことがわかった。そこで、
さまざまな周波数で、導入する高周波の電力密度を変化
させて堆積膜を形成したところ、周波数が高い場合は、
導入する高周波の電力密度を低く設定することによっ
て、高い堆積速度を維持しながら、堆積膜の膜質を高品
質にでき、前述の作用を有することがわかった。
【0040】さらに、本発明者らは、50MHz以上5
GHz以下の高周波を用いた堆積膜の形成実験の詳細な
検討によって、以下の知見を見出して本発明に至った。
すなわち、同一材料の堆積膜を形成する場合、ほぼ同じ
堆積速度で、高品質な堆積膜を歩留まり良く均一に形成
するには、周波数fに対して、f1/3に反比例した値を
中心とした一定の範囲内に高周波の電力密度ρを設定す
ることが最も望ましいということである。ここで、一定
の範囲があるのは、放電空間あるいは高周波を導入する
導入手段の種類とその形状によって、ある程度最適値の
ばらつきがでるためである。さらに、電力密度ρのf
1/3に対する比例係数の最適範囲は、堆積膜の材料と堆
積速度、また使用する材料ガスの種類、圧力、基体の温
度等の形成条件によって変化する。したがって、前記比
例係数の最適範囲を一概に決定することはできないが、
本発明者らは、前述したパラメーターによる変化にもか
かわらず、ρ・f1/3を(1)式の範囲に設定することに
よって、最適範囲を含む良好な結果を得られることを見
出した。
【0041】本発明が前述の作用を有する詳細なメカニ
ズムはまだ十分に解明できてはいないが、高周波の周波
数を高くすることによって、プラズマ中の電子密度が増
大し、堆積膜を形成する活性種の密度が増大することが
考えられる。一般に、電子が追従しにくいほど高周波の
周波数が高くなった場合には、プラズマへのエネルギー
伝達効率が悪化して、高い電力が必要となると考えられ
ていた。たしかに13.56MHzのRF高周波に比較
すると高い電力が必要であるが、0.03GHz以上の
周波数で、0.1Torr以下の圧力では、エネルギー
伝達効率よりもプラズマ中の電子密度の増大の寄与が大
きいために、同じ電力密度でも堆積速度が周波数ととも
に増大したと考えられる。また、圧力が低いことによっ
て、高周波を放電空間に導入する金属電極あるいはマイ
クロ波透過部材の近傍のプラズマ密度が局所的に増大し
て、電子密度の過度の増大による高周波のカットオフが
起こる現象が防止されたと考えられる。堆積速度の周波
数による増大は、0.08GHz〜5GHzの周波数で
特に顕著である。
【0042】また、同じ電力密度で周波数を高くした場
合、プラズマ中の電子密度の上昇に伴って、堆積膜を形
成する活性種の活性化度が進みすぎて、堆積膜の成長表
面における前記活性種の表面移動度が低下し、堆積膜の
成長中に欠陥を生じ易くなり、また高エネルギーイオン
の密度が増えて、下地の層にダメージを生じたり堆積膜
の成長中に欠陥を生じたりし易いが、周波数の増大に応
じて電力密度を低く設定することにより、活性種のエネ
ルギー分布が改善され、前記活性種の表面移動度が増大
して、堆積膜の成長中に欠陥を生じにくくなり、堆積膜
が高品質な膜質になって、膜中の内部応力も減少したと
考えられる。また高エネルギーイオン密度の減少によっ
て、下地の層へのダメージと堆積膜の成長中の欠陥の生
成が少なくなったと考えられる。
【0043】さらに、高周波の電力密度ρの最適設定範
囲が、周波数f1/3にほぼ反比例することについては、
実験データから得られた経験則であるが、周波数fにほ
ぼ反比例するように、あるいは周波数f1/2にほぼ反比
例するように、高周波の電力密度ρを設定した場合は、
堆積膜の膜質は高品質であるが、周波数が高くなるにつ
れて、堆積膜を形成する活性種の密度が低下して、1n
m/s以上の高速の堆積速度を維持できなくなることが
わかった。
【0044】本発明において高周波の周波数の好適な範
囲は、好ましくは、50MHz以上5GHz以下、より
好ましくは80MHz以上5GHz以下、最適には10
0MHz以上以上2.45GHz以下が望ましく、本発
明の作用がより顕著である。周波数が5GHzを超える
と、プラズマへのエネルギー伝達効率の悪化して、プラ
ズマの均一性が悪化し、また、高周波の取り扱いが困難
になり、製造装置のコストが上昇する。
【0045】本発明の堆積膜形成方法に好適な材料ガス
の圧力は、好ましくは、0.1mTorr以上0.1T
orr以下、より好ましくは0.5mTorr以上0.
075Torr以下、最適には1mTorr以上0.0
5Torr以下が望ましい。
【0046】本発明において、高周波の電力密度ρは、
好ましくは、20≦ρ・f1/3≦500、より好ましく
は、30≦ρ・f1/3≦300、最適には、50≦ρ・
1/3≦200の式を満たすように設定することが望ま
しい。ρ・f1/3の値が、500を超えると、堆積速度
が高すぎて、他の堆積条件を最適化しても、堆積膜の品
質を十分に高品質にできなくなる。また、ρ・f1/3
値が、20未満になると、堆積膜の品質は高品質にでき
るが、材料ガスの流量を増大させても、堆積速度1nm
/s以上を維持できなくなる。ここで、放電空間は、成
膜室内で高周波による放電が生起している空間であり、
圧力が十分に低い場合は、放電が成膜室内に広がるの
で、ほぼ成膜室の体積に一致する。圧力が、高い場合
は、高周波の電極の周辺に放電が限定される場合もあ
る。また、成膜室の内部に、金属製のメッシュあるいは
パンチングボード等のプラズマ閉じ込め手段、あるいは
磁場を利用したプラズマ閉じ込め手段等が設けられてい
る場合は、放電空間の体積は閉じ込めに応じて縮小す
る。
【0047】また、前記ρ・f1/3の値を前記(2)式の
範囲に設定することによって、本発明の作用をより強調
することができる。特に、堆積膜の膜質向上の作用と、
下地の層へのダメージ防止の作用と、基体への密着性向
上の作用が強調された。
【0048】また、成膜用の材料ガスの成膜室内におけ
る滞留時間を、2ms以上、50ms以下に設定するこ
とによって、本発明の作用をより強調することができ
る。特に、堆積膜の膜質向上の作用と不純物の堆積膜へ
の混入防止の作用が強調される。
【0049】また、基体上に、IV族元素を主構成成分
として含む1nm/s以上の堆積速度で高速堆積された
非単結晶の半導体層を複数の種類含む、2層以上の多層
膜を形成する方法において、複数の成膜室に、材料ガス
を流入させつつ真空ポンプによって排気して成膜室内の
圧力を0.1Torr以下に保持して、50MHz以上
5GHz以下の周波数の高周波を成膜室に導入すること
によってプラズマを生起させることによって、堆積速度
の向上、ポリマライゼーションの防止、均一性の向上の
作用が得られる。
【0050】また、高速堆積する複数種の半導体薄膜の
光学的バンドギャップに応じて、該バンドギャップが小
さい場合は、導入する高周波の電力密度を低く設定する
ことによって、光学的バンドギャップの異なる複数種の
半導体薄膜をそれぞれ1nm/s以上の高い堆積速度
で、膜中の欠陥密度の少ない高品質な堆積膜にすること
ができる。また、下地層へのダメージが減少し、界面準
位が減少して、半導体の接合特性が向上した。さらに、
光学的バンドギャップの異なる複数種の半導体薄膜のそ
れぞれの内部応力を低減し、それぞれの内部応力の差も
低減できる結果、基体あるいは下地層と多層膜、および
多層膜の層と層との密着性がそれぞれ向上して、はがれ
がほとんどなくなり、多層膜の形成の歩留まりと多層膜
の耐久性が向上する。また、多層膜の層と層との応力の
違いによる界面準位の発生を抑制することができる。以
上の作用の結果、複数種の半導体薄膜のそれぞれを高速
で高品質に形成し積層できるので、一種類の半導体薄膜
だけが高速で高品質に形成された場合の、高品質でない
別の半導体層のために特性が低下したり、高速堆積でき
ない別の半導体層のために製造時間が律速されて製造コ
ストが低減できなかったりする問題がなく、多層膜とし
ての品質が全体的に向上し、製造コストが全体的に低減
できる。
【0051】以上の作用は、2層以上の多層膜が半導体
接合を形成する場合に特に有効である。また、前述の半
導体デバイスの構成として、2層以上の多層膜に異なる
光学的バンドギャップを持つ半導体層を含むことは、非
常に多く用いられる層構成であるので、以上の作用は、
半導体デバイスの高品質化と低コスト化と高耐久性化
に、多大な貢献がある。また、異なる光学的バンドギャ
ップを持つ半導体層の膜厚が厚い場合には、高い堆積速
度がより重要になるので、以上の作用が特に有効であ
る。
【0052】バンドギャップに応じて電力密度を設定す
ることにより以上の作用が得られる詳細なメカニズムは
まだ十分に解明できてはいないが、異なる光学的バンド
ギャップを持つ半導体層を形成する場合に、該バンドギ
ャップが小さくなると、プラズマを生起させて材料ガス
を分解し堆積膜を形成する活性種を生成するために必要
となる最小エネルギーが小さくなることが多いので、該
バンドギャップが大きい場合と同じ高周波の電力密度を
導入すると、前記活性種の密度が過大になって、堆積速
度が過度に上昇し、前記活性種の化学的な活性化度が過
度に進行して、気相中での前記活性種どうしの反応が進
んで微少なポリマライゼーションを起こしたり、堆積膜
形成表面での前記活性種の表面移動度が減少して、堆積
膜の成長過程での欠陥の緩和が不足して、堆積膜中の欠
陥が増大すると考えられる。
【0053】また、バンドギャップに応じて周波数を設
定することによっても、堆積速度の向上、ポリマライゼ
ーションの防止、均一性の向上の作用と、高い堆積速度
を維持しながら、堆積膜を高品質化する作用と、下地層
との界面準位あるいは多層膜間の界面準位を低減して、
半導体の接合特性を向上させる作用と、半導体薄膜の内
部応力および内部応力の差を低減して、密着性を向上さ
せ、多層膜の歩留まりと耐久性を向上させる作用と、そ
の結果として半導体デバイスの高品質化と低コスト化と
高耐久性化の作用が得られた。また、半導体層を形成す
るために必要なエネルギーの効率が向上する。
【0054】バンドギャップに応じて周波数を設定する
ことによって以上の作用が得られる詳細なメカニズムは
まだ十分に解明できてはいないが、異なる光学的バンド
ギャップを持つ半導体層を形成する場合に、該バンドギ
ャップが小さくなると、プラズマを生起させて材料ガス
を分解し堆積膜を形成する活性種を生成するために必要
となる最小エネルギーが小さくなることが多いので、該
バンドギャップが大きい場合と同じ周波数の高周波を導
入すると、前記活性種の密度が過大になって、堆積速度
が過度に上昇し、気相中での前記活性種どうしの反応が
進んで微少なポリマライゼーションを起こしたり、堆積
膜形成表面での前記活性種の表面移動度が減少して、堆
積膜の成長過程での欠陥の緩和が不足して、堆積膜中の
欠陥が増大すると考えられる。
【0055】また、電力密度ρと周波数f1/3の積の最
適範囲は、他の形成条件によって変化するが、同じ堆積
速度で、異なる光学的バンドギャップの半導体層を形成
する場合、光学的バンドギャップが小さくなると、電力
密度ρと周波数f1/3の積の最適範囲は小さい値の方向
にシフトする。
【0056】例えば、1nm/s以上の堆積速度で、光
学的バンドギャップが、1.35eVのアモルファスシ
リコンゲルマニウムを堆積する場合には、20≦ρ・f
1/3≦200の範囲が望ましく、光学的バンドギャップ
が、1.75eVのアモルファスシリコンを堆積する場
合には、30≦ρ・f1/3≦300の範囲が望ましく、
光学的バンドギャップが、1.95eVのアモルファス
シリコンカーバイトを堆積する場合には、50≦ρ・f
1/3≦500の範囲が望ましい。
【0057】また、前記IV族元素を主構成成分として
含む非単結晶の半導体層の多層膜において、膜厚が厚い
層は、実質的に真性の半導体層(本質的に真性半導体層
であるが、キャリアの走行性の向上等の目的で、僅かに
n型、あるいはp型にドーピングされた半導体層を含
む。以下「i型半導体層」と略記する。)であることが多
いことから、異なる光学的バンドギャップを持つi型半
導体層を複数有する多層膜を形成する場合には、上記作
用がさらに強調される。
【0058】また、帯状の長尺基板を、長手方向に移動
させながら、前記複数層の半導体薄膜を該基板上に連続
的に形成することによって、前記多層膜と半導体デバイ
スの製造速度が大幅に増大し、製造コストがさらに低下
する作用と同時に、前記帯状の長尺基板の長手方向に形
成された、多層膜の膜厚の均一性と半導体デバイスの特
性の均一性が大幅に向上する作用がある。
【0059】以下では、本発明に係る実施態様例を説明
する。
【0060】(堆積膜形成装置)本発明の堆積膜形成法
をより詳細に説明するために、実験用の堆積膜形成装置
を例にとって説明する。
【0061】図1は、本発明の堆積膜形成法を実施する
ための堆積膜形成装置の一例を説明する模式図であり、
101は真空チャンバー、102は成膜室、103は基
板、104は基板加熱ヒーター、105はマイクロ波導
入手段、106は高周波導入手段、107はガス導入
管、108は排気管、109は真空排気ポンプ、110
は圧力制御手段である。
【0062】排気管108を通して真空排気ポンプ10
9によってあらかじめ、真空排気された真空チャンバー
101内に、不図示のガスボンベから、ガス配管を通っ
て、マスフローコントローラー等の流量制御手段によっ
て、流量を制御された材料ガスが、ガス導入管107か
ら成膜室102に導入され、一定の圧力に圧力制御手段
110によって保持された状態で、マイクロ波導入手段
105あるいは高周波導入手段106から、50MHz
以上5GHz以下の周波数の高周波を成膜室に導入する
ことによって、材料ガスのプラズマを生起させて分解
し、基板加熱ヒーター104で加熱された基板103上
に、堆積膜を形成する。
【0063】真空チャンバー101、ガス導入管10
7、排気管108は、金属からなり、望ましくは、ステ
ンレス等の耐腐食性材料からなる。真空チャンバー10
1の内部に、堆積膜の真空チャンバーへの防着あるい
は、プラズマの閉じ込めを目的とした内チャンバーを設
けても良い。
【0064】50MHz以上5GHz以下の周波数の高
周波を成膜室に導入する方法は、使用する高周波の周波
数によって異なる。例えば、0.03GHz以上、1G
Hz以下の高周波の場合は、金属電極106によって導
入することが望ましい。金属電極106の形状は、平板
状、棒状、球状等の形状であり、金属電極の形状と大き
さは、基板の大きさと形状、成膜室の形状、堆積膜の形
成条件等の、所望の条件に応じて選択される。金属電極
の材質は、ステンレスあるいは、W、Mo、Cr、V、
Nb、Ta、Ti、Zr、Hf等の高融点金属あるいは
高融点金属を用いた合金で、耐腐食性を有する材質が望
ましい。さらに金属電極の表面を、形成する堆積膜ある
いは堆積膜と同じ材質でコーティングすることが望まし
い。それによって、金属元素の堆積膜中への混入を防止
できる。また、金属電極106は、真空チャンバー10
1から電気的に絶縁されており、高周波プラズマの生成
時には、正又は負のセルフバイアスがかかる。また、金
属電極106に高周波と同時にDC電圧を重畳してもよ
い。高周波は、高周波電源112から伝送され、チュー
ニング手段111を介して、できるだけインピーダンス
の少ない手段で金属電極106に印加される。チューニ
ング手段111では、高周波の反射波を減らし、インピ
ーダンスを整合させて、効率的に高周波がプラズマに伝
達されるように調整する。チューニング手段111とし
ては、可変LC回路のマッチングボックスあるいはスタ
ブチューナー等が用いられる。
【0065】また、0.5GHz以上、10GHz以下
のマイクロ波の周波数帯の高周波の場合は、マイクロ波
導入手段105のマイクロ波透過部材113を通して導
入することが望ましい。これは、高周波の周波数がマイ
クロ波の周波数帯で高くなるほど、金属電極では、高周
波電力のプラズマへの伝達効率が悪くなるからである。
マイクロ波透過部材113は、マイクロ波を成膜室内に
透過させると同時に、真空チャンバーの真空機密を保つ
構造に設計される。マイクロ波透過部材113の材質
は、誘電正接の小さく、真空機密を保つことのできる材
料が好ましく、具体的には、石英、アルミナ、窒化珪
素、ベリリア、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、
炭化珪素等の、ガラス又はファインセラミックス等が挙
げられる。
【0066】また、マイクロ波透過部材の形状は、平板
状、ベルジャー状、円筒状、アンテナ状のものを用いる
ことができる。また、マイクロ波透過部材は、マイクロ
波エネルギー及び/又はプラズマエネルギーによって加
熱され、割れる可能性が有るので、冷却手段によって冷
却され、過熱を防ぐことが望ましい。それによって、高
い電力密度のマイクロ波を成膜室に導入することができ
る。冷却手段の冷却媒体としては、冷却空気、水、オイ
ル、フレオン等が挙げられる。
【0067】また、マイクロ波透過部材に堆積膜が付着
して、マイクロ波エネルギーの透過率が減少したり、マ
イクロ波透過部材が過熱することを防ぐため、マイクロ
波透過部材の成膜室側にフィン状の複数の金属板からな
る防着手段を設けたり、マイクロ波透過部材の成膜室側
表面近傍に希釈ガスを流して、堆積膜の付着を減少させ
ることができる。
【0068】また、マイクロ波導入手段105の形状
は、マイクロ波透過部材の形状によって異なるが、例え
ばマイクロ波透過部材の形状が円板状の場合は、円形の
導波管形状で、プラズマを安定させるため、マイクロ波
の伝送モードが単一モードとなるように設計させること
が望ましい。伝送モードとしては、TE10モード、T
E11モード、eH1モードが好適に用いられる。
【0069】マイクロ波は、マイクロ波電源114か
ら、導波管115を通して、チューニング手段116を
介して、マイクロ波導入手段105から、成膜室に導入
される。チューニング手段116としては、スリースタ
ブチューナー、E−Hチューナー等のマイクロ波整合回
路が用いられる。
【0070】また、材料ガスを主として分解する、50
MHz以上5GHz以下の周波数の高周波(以下、主分
解電力と呼ぶ)とは別に、プラズマポテンシャル、ある
いは正イオンの基板への入射量を制御するために、補助
的に、DCあるいはACあるいは前記周波数の高周波と
干渉しない周波数の20MHz以下の高周波を金属電極
から成膜空間に同時に導入することによって、堆積膜の
種類に応じて、堆積膜形成のためのイオンあるいはラジ
カル等の活性種の種類及び/又は量及び/又は堆積膜成
長表面における活性種の移動度を制御することができ、
堆積膜の品質をさらに向上させることができた。このよ
うな、補助的な、電力導入をバイアス電力と呼び、バイ
アス電力の周波数に応じて、DCバイアス、RFバイア
ス等と呼ぶことにする。主分解電力を金属電極から導入
する場合は、バイアス電力は、主分解電力と同じ電極か
ら導入してもよいし、別の金属電極を設けてもよい。
【0071】また、基板として少なくとも一部が導電性
のものを用い、基板を真空チャンバーから電気的に絶縁
して、基板にDC電圧を印加してもよい。
【0072】基板加熱ヒーター104としては、シース
ヒーターと熱伝導率の良好なヒーターブロックを用いた
基板接触型のものあるいはランプヒーターが好適に用い
られる。
【0073】真空排気ポンプ109としては、材料ガス
の流量と圧力によって、十分な排気速度を持つものが用
いられる。具体的には、拡散ポンプ(DP)、ターボ分
子ポンプ(TMP)、メカニカルブースターポンプ(MB
P)等が好適に用いられ、バックアップポンプとして、
ロータリーポンプ(RP)が用いられる。
【0074】半導体多層膜の形成装置としては、バッチ
式の装置や連続成膜装置などが所望に応じて使用できる
が、複数の半導体層形成室の中を長尺状の基板を前記基
体の長さ方向に搬送しながら通過させつつ基板上に複数
の半導体層を連続的に積層する方法(いわゆるロール・
ツー・ロール法)は、製造コストの低減、均一性の向上
の効果があり特に好適に用いられる。以下、本発明の多
層堆積膜形成方法を実施するための装置の一例として、
ロール・ツー・ロール法を採用した装置について述べ
る。
【0075】図6は、本発明の堆積膜形成方法による、
半導体多層膜の形成に適した、多層堆積膜形成装置であ
り、複数の半導体層形成室の中を長尺状の基板を前記基
体の長さ方向に搬送しながら通過させつつ基板上に複数
の半導体層を連続的に積層する方法を用いている。
【0076】図6−(a)はロ−ル・ツ−・ロ−ル法を
用いた光起電力素子の連続形成装置の概略図である。こ
の装置は基板送り出し室601と、複数の堆積室602
〜614と、基板巻き取り室615を順次配置し、それ
らの間を分離通路616で接続してなり、各堆積室には
排気口があり、内部を真空にすることができる。
【0077】帯状の基板617はこれらの堆積室、分離
通路を通って、基板送り出し室から基板巻き取り室に巻
き取られていく。同時に各堆積室、分離通路のガス入り
口からガスを導入し、それぞれの排気口からガスを排気
し、それぞれの層を形成することができるようになって
いる。各堆積室には基板を裏から加熱するハロゲンラン
プヒ−タ−618が内部に設置され、各堆積室で所定の
温度に加熱される。
【0078】図6−(b)は堆積室を上から見た図で、
各堆積室には原料ガスの入り口619と排気口620が
あり、RF電極621あるいはマイクロ波導入部622
が取り付けられ、原料ガスの入り口619には原料ガス
供給装置(不図示)が接続されている。各堆積室の排気
口には油拡散ポンプ、メカニカルブ−スタ−ポンプなど
の真空排気ポンプ(不図示)が接続され、堆積室に接続
された分離通路616には掃気ガスを流入させる入り口
624がある。
【0079】マイクロ波CVD法によるi層(MW−i
層)の堆積室である堆積室604と609にはDCバイ
アス電極631が配置されており、電源としてRF電源
(不図示)が接続されている。基板送り出し室には送り
出しロ−ル625と基板に適度の張力を与え、常に水平
に保つためのガイドロ−ラ−626があり、基板巻き取
り室には巻き取りロ−ル627とガイドロ−ラ−628
がある。
【0080】(半導体薄膜)本発明の堆積膜形成法で形
成する半導体薄膜の材料としては、Si、C、Ge、S
n等のIV族元素を主構成成分として用いたものが挙げ
られる。
【0081】また、非単結晶の結晶形態としては、非晶
質、微結晶、多結晶、あるいはそれらの混合形態が挙げ
られる。
【0082】また、本発明の堆積膜形成法で形成する多
層膜は、半導体デバイスの構成要素として用いられるも
のであり、多層膜を構成する半導体層は、一般に価電子
制御及びバンドギャップ制御される。具体的には半導体
層を形成する際に価電子制御剤又はバンドギャップ制御
剤となる元素を含む原料化合物を単独で、又は堆積膜形
成用原料ガス又は希釈ガスに混合して成膜空間内に導入
してやれば良い。
【0083】また、半導体デバイスの構成要素として用
いられる前記多層膜は、pn接合、pin接合、ショッ
トキー接合等の半導体接合あるいは金属―半導体接合を
含み、デバイスの種類によっては、MIS構造、MOS
構造等と呼ばれる金属―絶縁体―半導体の構造を含む。
【0084】本発明の堆積膜形成法で形成する多層膜の
半導体層は、前述のように価電子制御され、i型半導体
層(真性半導体層)、p型半導体層、n型半導体層と呼
ばれる。
【0085】i型半導体層の材料としては、非晶質材料
(a−と表示する)としては、a−Si:H(水素化非
晶質シリコンの略記)、a−Si:F、a−Si:H:
F、a−SiGe:H、a−SiGe:F、a−SiG
e:H:F、a−SiC:H、a−SiC:F、a−S
iC:H:F、a−SiSn:H、a−SiSn:F、
a−SiSn:H:F等が、微結晶材料(μc−と表示
する)としては、μc−Si:H(水素化微結晶シリコ
ンの略記)、μc−Si:F、μc−Si:H:F、μc
−SiC:H、μc−SiC:F、μc−SiC:H:
F、μc−SiGe:H、μc−SiGe:F、μc−S
iGe:H:Fなど、あるいは以上の材料の混合物が挙
げられる。ここで、HあるいはFは、i型半導体層に添
加され、i型半導体層中の未結合手(ダングリングボン
ド)を補償する働きをし、i型層でのキァリアの移動度
と寿命の積を向上させるものである。Fの他のハロゲン
元素を添加材として用いることもできる。
【0086】i型半導体層としては、光キャリアの走行
性の促進のために僅かに価電子制御剤を添加した、僅か
p型、僅かn型の層も使用できるものである。このよう
に、僅かにドーピングしたi型半導体層も実質的に真性
の半導体層とみなす。
【0087】p型半導体層あるいはn型半導体層は、価
電子制御された半導体層であるので、ドーピング層と呼
ばれ、その材料としては、以下のものが挙げられる。
【0088】ドーピング層の非晶質材料としては、例え
ばa−Si:H,a−Si:HX(Xはハロゲン元素を
示す。),a−SiC:H,a−SiC:HX,a−S
iGe:H,a−SiGe:HX,a−SiGeC:
H,a−SiGeC:HX,a−SiO:H,a−Si
O:HX,a−SiN:H,a−SiN:HX,a−S
iON:H,a−SiON:HX,a−SiOCN:
H,a−SiOCN:HX等が、微結晶材料としては、
μc−Si:H,μc−Si:HX,μc−SiC:
H,μc−SiC:HX,μc−SiO:H,μc−S
iO:HX,μc−SiN:H,μc−SiN:HX,
μc−SiGeC:H,μc−SiGeC:HX,μc
−SiON:H,μc−SiON:HX,μc−SiO
CN:H,μc−SiOCN:HX等が、多結晶材料
(poly−と表示する)としては、例えばpoly−
Si:H,poly−Si:HX,poly−SiC:
H,poly−SiC:HX,poly−SiO:H,
poly−SiO:HX,poly−SiN:H,po
ly−SiN:HX,poly−SiGeC:H,po
ly−SiGeC:HX,poly−SiON:H,p
oly−SiON:HX,poly−SiOCN:H,
poly−SiOCN:HX等が挙げられ、以上の材料
あるいはその混合物にp型の価電子制御剤(周期率表第
III族原子:B,Al,Ga,In,Tl)やn型の
価電子制御剤(周期率表第V族原子:P,As,Sb,
Bi)を高濃度に添加されている。
【0089】以上のIV族系非単結晶半導体材料のバン
ドギャップを拡大する元素としては、C、O、Nが挙げ
られ、バンドギャップを縮小する元素としては、Ge、
Snが挙げられる。また、半導体層のバンドギャップ
は、結晶形態あるいは水素やハロゲン元素の添加量によ
っても変化する。一般に微結晶あるいは多結晶は、非晶
質に比べてバンドギャップが小さいが、ドーピング層に
用いられる場合には、膜厚が薄いため吸収係数が小さ
く、光学的バンドギャップは逆に大きくなる。また、一
般に水素やハロゲン元素の添加量が増大するほど、バン
ドギャップは拡大する。水素やハロゲン元素の添加量
は、材料によって異なるが、0.1〜25%が好適な範
囲として挙げられる。
【0090】また、半導体デバイスの内、光電変換デバ
イスに用いる多層膜を形成する場合は、特に光入射側の
半導体層には、光吸収の少ない結晶性の半導体層かバン
ドギャップの広い半導体層が適している。
【0091】なお、本発明において、非晶質半導体薄膜
の光学的バンドギャップは、非晶質半導体薄膜の吸収係
数を測定し、公知の(αhν)1/2プロットによって
求められる。また、半導体薄膜が結晶性の場合は、吸収
係数を光子エネルギーに対してプロットし、直線部分に
おいて、あらかじめ設定した吸収係数に対する光子エネ
ルギーを求める。例えば、微結晶からなる半導体薄膜の
場合、可視光の波長での吸収係数の小さい材料は、光学
的バンドギャップが大きいとみなされる。
【0092】(材料ガス)本発明の堆積膜形成法で前述
の半導体薄膜を形成するために使用する材料ガスとして
は、堆積膜の構成元素を含む原料ガスと、原料ガスを希
釈する希釈ガスがある。
【0093】本発明のIV族及びIV族合金系非単結晶
半導体層の堆積に適した原料ガスとしては、シリコン原
子を含有したガス化し得る化合物、ゲルマニウム原子を
含有したガス化し得る化合物、炭素原子を含有したガス
化し得る化合物等、及び該化合物の混合ガスを挙げるこ
とができる。
【0094】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、鎖状または環状シラン化合物が用
いられ、具体的には例えば、SiH4,Si26,Si
4,SiFH3,SiF22,SiF3H,Si38
SiD4,SiHD3,SiH22,SiH3D,SiF
3,SiF22,Si233,(SiF25,(Si
26,(SiF24,Si26,Si38,Si22
4,Si233,SiCl4,(SiCl25,Si
Br4,(SiBr25,Si2Cl6,SiHCl3,S
iH2Br2,SiH2Cl2,Si2Cl33などのガス
状態のまたは容易にガス化し得るものが挙げられる。
【0095】具体的にゲルマニウム原子を含有するガス
化し得る化合物としてはGeH4,GeD4,GeF4
GeFH3,GeF22,GeF3H,GeHD3,Ge
22,GeH3D,Ge26,Ge2D6等が挙げられ
る。
【0096】具体的に炭素原子を含有するガス化し得る
化合物としてはCH4,CD4,Cn2n+2(nは整数)
n2n(nは整数),C22,C66,CO2,CO,
Si(CH3)H3,Si(CH322,Si(CH3
3H等が挙げられる。
【0097】窒素含有ガスとしてはN2,NH3,N
3,NO,NO2,N2Oが挙げられる。
【0098】酸素含有ガスとしてはO2,CO,CO2
NO,NO2,N2O,CH3CH2OH,CH3OH,H2
O等が挙げられる。
【0099】また、価電子制御するためにp型層または
n型層に導入される物質としては周期率表第III族原
及び第V族原子が挙げられる。
【0100】第III族原子導入用の出発物質として有
効に使用されるものとしては、具体的にはホウソ原子導
入用としては、B26,B410,B59,B511,B
610,B612,B614等の水素化ホウソ、BF3,B
Cl3,等のハロゲン化ホウソ等を挙げることができ
る。このほかにAlCl3,GaCl3,InCl3,T
lCl3等も挙げることができる。特にB26,BF3
適している 第V族原子導入用の出発物質として有効に
使用されるのは、具体的には燐原子導入用としてはPH
3,P24等の水素化燐、PH4I,PF3,PF5,PC
3,PCl5,PBr3,PBr5,PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。このほかAsH3,AsF3,AsC
3,AsBr3,AsF5,SbH3,SbF3,Sb
5,SbCl3,SbCl5,BiH3,BiCl3,B
iBr3等も挙げることができる。特にPH3,PF3が
適している。
【0101】また前記ガス化し得る化合物をH2,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等の希釈ガスで適宜希釈し
て堆積室に導入しても良い。
【0102】(半導体層の形成条件)本発明の堆積膜形
成方法を用いて、前述の半導体薄膜を形成する好適な条
件は、半導体層の種類によって異なるが、以下のような
形成条件が好適に用いられる。
【0103】材料ガスの圧力は、前述した範囲が望まし
い。
【0104】放電空間に導入する高周波の電力密度は、
前述した範囲が望ましい。
【0105】材料ガスの流量は、成膜室の体積1リット
ルあたりの流量で、好ましくは10sccm/リットル
以上、1500sccm/リットル以下、より好ましく
は20sccm/リットル以上、1000sccm/リ
ットル以下が望ましい。微結晶あるいは多結晶の半導体
層を形成する場合、前記原料ガスを前記希釈ガスで希釈
する希釈率を、非晶質の半導体層を形成する場合よりも
高くすることが望ましく、希釈率は好ましくは、10倍
以上、より好ましくは、20倍以上にすることが望まし
い。
【0106】材料ガスの成膜室内における滞留時間は、
好ましくは2ms以上、50ms以下、より好ましくは
5ms以上、50ms以下が望ましい。ただし、滞留時
間τ(s)は、成膜室の堆積をV(cm3)、圧力をP
(Torr)、材料ガスの流量をQ(sccm)とすれ
ば、以下の式で計算される値である。 τ=V/(Q/60×760/P)
【0107】また、半導体薄膜の堆積速度が遅い場合
は、滞留時間を長くし、堆積速度が速い場合は、滞留時
間を短くすることが望ましい。例えば、前述のIV族及
びIV族合金系非晶質半導体を堆積速度3nm/s未満
で形成する場合は、滞留時間は、好ましくは10ms以
上、50ms以下にすることが望ましく、また、堆積速
度3nm/s以上で形成する場合は、滞留時間は、好ま
しくは2ms以上、30ms以下にすることが望まし
い。また、堆積膜の構成元素を含む原料ガスを希釈する
ガスを材料ガスの一部として用いる場合は、滞留時間を
短くすることが望ましい。
【0108】滞留時間を前述の範囲にすることによっ
て、高い堆積速度を維持しながら、堆積膜の膜質を高品
質化することができた。また、堆積膜の均一性が向上
し、堆積膜への不必要な不純物の混入量が減少した。
【0109】堆積速度は、好ましくは1nm/s以上、
20nm/s以下、より好ましくは1nm/s以上、1
0nm/s以下が望ましい。
【0110】基板温度は、100℃〜550℃が望まし
く、半導体薄膜のバンドギャップが小さい場合、または
結晶性の半導体薄膜を堆積する場合、または堆積速度が
速い場合は、高くすることが望ましい。例えば、バンド
ギャップが1.6eV以下の前述のIV族及びIV族合
金系非晶質半導体を堆積速度1nm/s以上で形成する
場合は、250℃〜450℃が好ましい。また、例え
ば、バンドギャップが1.7eV以上の前述のIV族及
びIV族合金系非晶質半導体を堆積速度1nm/s以上
で形成する場合は、150℃〜350℃が好ましい。ま
た、例えば、バンドギャップが1.2eV以下の前述の
IV族及びIV族合金系微結晶あるいは多結晶半導体を
堆積速度1nm/s以上で形成する場合は、250℃〜
550℃が好ましい。
【0111】また、前記バイアス電力としては、半導体
薄膜の材料及び堆積速度によって異なる。例えば、非晶
質のi型半導体層を堆積速度1nm/s以上で形成する
場合は、DCバイアスの場合、好ましくは電極に+50
V以上、より好ましくは電極に+100V以上印加する
ことが望ましく、また、13.56MHzのRFバイア
スの場合、放電空間の電力密度で、好ましくは50mW
/cm3以上、より好ましくは100mW/cm3以上印
加することが望ましい。また、微結晶あるいは多結晶の
i型半導体層を堆積速度1nm/s以上で形成する場合
は、DCバイアスあるいはRF電力のセルフバイアスに
よって、電極に、好ましくは−50V以下、より好まし
くは−100V以下の負のバイアス電圧が印加されるよ
うにすることが望ましい。
【0112】以上の、材料ガスの圧力と高周波の電力と
基板および/または高周波電極に印加されるDC電圧の
調整によって、材料ガスの分解によって生成された正イ
オンの基板への入射量をコントロールすることができ
る。圧力と高周波電力とDC電圧は、全て正イオンの基
板への入射量に影響するので、好適な条件を相互に考慮
して選ぶ必要がある。例えば、圧力は低い方が、また高
周波電力は高い方が、高周波電極のDC電圧は高い方
が、基板のDC電圧は低い方が、正イオンの基板への入
射量が増大する。したがって、ある条件は正イオン入射
量が増大方向にあれば、他の条件は正イオン入射量を減
少方向にすることによって、バランスをとり正イオン入
射量をコントロールすることが重要である。
【0113】以上のような正イオンの基板への入射量の
コントロールによって、1nm/s以上の堆積速度を維
持し、正イオンによる堆積膜表面のダメージを防止しつ
つ、高品質な堆積膜を形成ことができる。
【0114】(多層膜の構成)本発明の堆積膜形成法に
よって、形成される多層膜は、太陽電池、フォトダイオ
ード、電子写真感光体、光センサー、固体撮像装置、薄
膜トランジスター等の半導体デバイスを構成するために
作製されるものであって、複数の種類の半導体薄膜を積
層した構成になっている。前述の半導体デバイスを構成
する半導体多層膜は、少なくとも一部が、p型あるいは
n型に価電子制御され、ホモあるいはヘテロの半導体接
合が形成されていることが多い。
【0115】前述の半導体デバイスを低コストで製造す
るためには、複数の種類の半導体薄膜をそれぞれ高速で
高品質で堆積することが重要である。したがって、本発
明の堆積膜形成法を前記半導体多層膜の構成の中で、膜
厚の厚い部分の半導体薄膜の形成に適用することが最も
有効である。
【0116】例えば、太陽電池、フォトダイオード、光
センサーの光電変換層(光キャリアを発生する主たる
層)、電子写真感光体の電荷発生層あるいは電荷輸送層
あるいは光導電層、の形成に特に好適に適用される。
【0117】さらに、前記光電変換層あるいは電荷発生
層あるいは電荷輸送層あるいは光導電層として、バンド
ギャップの異なる複数の半導体層を積層する場合に、本
発明の堆積膜形成法が特に好適に適用される。例えば、
pn接合あるいはpin接合を複数積層した、いわゆる
スタック型の光起電力素子で、光入射側に近い光電変換
層として、バンドギャップの大きい非単結晶半導体を用
い、光入射側から遠い光電変換層として、バンドギャッ
プの小さい非単結晶半導体を用いる場合である。また、
例えば、電子写真感光体の電荷発生層と電荷輸送層にバ
ンドギャップの異なる非単結晶半導体を用いるか、ある
いは電子写真感光体の光導電層がバンドギャップの異な
る複数の非単結晶半導体から構成される場合である。
【0118】以下、本発明の堆積膜形成法によって、多
層膜を形成した例として、光起電力素子を例にとって、
さらに詳しく説明する。
【0119】(多層膜の一例である光起電力素子の構
成)図2は、本発明のスタック型の光起電力素子の他の
一例の断面図である。図2の光起電力素子は、3つのp
in接合が積層された構造をしており、215は光入射
側から数えて第一のpin接合、216は第二のpin
接合、217は第三のpin接合である。これら3つの
pin接合は、基板201上に裏面電極202と透明導
電層203を形成し、その上に積層されたものであり、
3つのpin接合の最上部に、透明電極213と集電電
極214が形成されて、スタック型の光起電力素子を形
成している。そして、それぞれのpin接合は、n型半
導体層204、207、210、i型半導体層205、
208、211、p型半導体層206、209、212
から成る。ここで、i型半導体層205はa−SiGe
からなり、n/iバッファー層251とp/iバッファ
ー層261はa−Siからなり、i型半導体層208は
a−Siからなり、n/iバッファー層252とp/i
バッファー層262はa−SiCからなり、i型半導体
層211はa−SiCからなる。
【0120】この、光起電力素子の例では、i型半導体
層205、208、211が光電変換層であり、光を吸
収するのに十分な膜厚が必要である。また、光入射側か
ら離れるにしたがって、i型半導体層のバンドギャップ
が大きくなる構成になっている。また、p型半導体層あ
るいはn型半導体層は、i型半導体層への光入射を妨げ
ないように、できるだけ薄く形成することが望ましい。
したがって、この例では、i型半導体層205、20
8、211の形成のために、本発明の堆積膜形成法を適
用することが最適である。
【0121】また、光起電力素子のi型半導体層に組成
によってバンドギャップが変化する材料を用いる場合、
その組成をi型半導体層の膜厚方向に変化させることに
よってバンドギャップを膜厚方向に変化させ、光起電力
素子の光電変換効率を向上させることができる。例え
ば、a−SiCからなるi型半導体層の場合、i型半導
体層の膜厚の半分よりp型半導体層側に炭素の組成比の
最小値があることが望ましい。また、n型半導体層とi
型半導体層の界面(n/i界面)からi型半導体層内部
に向かって、徐々に炭素の組成が減少しバンドギャップ
が減少していく構成が望ましい。また、p/i界面から
i型半導体層内部に向かっても、徐々に炭素の組成が減
少しバンドギャップが減少していく構成が望ましい。ま
た、a−SiGeからなるi型半導体層の場合、i型半
導体層の膜厚の半分よりp型半導体層側にゲルマニウム
の組成比の最大値があることが望ましい。また、ドーピ
ング層の近傍に配置されたa−Si層251、261
は、光起電力素子の開放電圧とフィルファクターを向上
させる作用があり、中央部のa−SiGeに比較して薄
い膜厚であることが好適である。
【0122】i型層に含有される水素原子(H,D)ま
たはハロゲン原子(X)は、i型層の未結合手(ダング
リングボンド)を補償する働きをし、i型層でのキァリ
アの移動度と寿命の積を向上させるものである。またp
型層/i型層、n型層/i型層の各界面の界面準位を補
償する働きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そし
て光応答性を向上させる効果のあるものである。i型層
に含有される水素原子または/及びハロゲン原子は0.
1〜25at%が最適な含有量として挙げられる。ま
た、p型層/i型層、n型層/i型層の各界面側で水素
原子または/及びハロゲン原子の含有量が多く分布して
いるものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面近
傍での水素原子または/及びハロゲン原子の含有量はバ
ルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好ましい範囲と
して挙げられる。更にシリコン原子の含有量に対応して
水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が変化して
いることが好ましいものである。
【0123】また、i型半導体層中の、酸素、炭素、窒
素などの不純物の密度は、多くとも5×1019atom
s/cm3以下で、少なければ少ないほど良い。
【0124】さらに、光起電力素子に好適なi型半導体
層の特性としては、例えばa−Si:Hの場合は、水素
原子の含有量(CH)が、1.0〜25.0%、AM
1.5、100mW/cm2の疑似太陽光照射下の光電
導度(σp)が、1.0×10- 6S/cm以上、暗電導
度(σd)が、1.0×10-9S/cm以下、コンスタ
ントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーバッ
クエナジーが、55meV以下、局在準位密度は1017
/cm3以下のものが好適に用いられる。
【0125】また、光起電力素子のp型半導体層あるい
はn型半導体層の電気特性としては活性化エネルギーが
0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のも
のが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下
が好ましく、1Ωcm以下が最適である。さらにp型半
導体層あるいはn型半導体層の膜厚は1〜50nmが好
ましく、3〜10nmが最適である。
【0126】(堆積膜を形成する基板)本発明の堆積膜
形成法によって形成される半導体層は高々1μm程度の
薄膜であるため適当な基板上に堆積される。このような
基板としては、単結晶質もしくは非単結晶質のものであ
ってもよく、さらにそれらは導電性のものであっても、
また電気絶縁性のものであってもよい。さらには、それ
らは透光性のものであっても、また非透光性のものであ
ってもよいが、変形、歪みが少なく、所望の強度を有す
るものであることが好ましい。具体的にはFe,Ni,
Cr,Al,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,P
t,Pb等の金属またはこれらの合金、例えば真鍮、ス
テンレス鋼等の薄板及びその複合体、及びポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセ
テート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、エ
ポキシ等の耐熱性合成樹脂のフィルムまたはシート又は
これらとガラスファイバー、カーボンファイバー、ホウ
素ファイバー、金属繊維等との複合体、及びこれらの金
属の薄板、樹脂シート等の表面に異種材質の金属薄膜及
び/またはSiO2 ,Si34 ,Al23 ,AlN等
の絶縁性薄膜をスパッタ法、蒸着法、鍍金法等により表
面コーティング処理を行ったものおよび、ガラス、セラ
ミックスなどが挙げられる。
【0127】基板が金属等の電気導電性である場合には
直接電流取り出し用の電極としても良いし、合成樹脂等
の電気絶縁性である場合には堆積膜の形成される側の表
面にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Mo,W,
Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真ちゅう,ニクロ
ム,SnO2 ,In23 ,ZnO,ITO等のいわゆる
金属単体又は合金、及び透明導電性酸化物(TCO)を
鍍金、蒸着、スパッタ等の方法であらかじめ表面処理を
行って電流取り出し用の電極を形成しておくことが望ま
しい。
【0128】勿論、基板が金属等の電気導電性のもので
あっても、長波長光の基板表面上での反射率を向上させ
たり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相互拡散
を防止する等の目的で異種の金属層等を前記基板上の堆
積膜が形成される側に設けても良い。又、前記基板が比
較的透明であって、該基板の側から光入射を行う層構成
の半導体デバイスの場合には前記透明導電性酸化物や金
属薄膜等の導電性薄膜をあらかじめ堆積形成しておくこ
とが望ましい。
【0129】また、前記基板の表面性としてはいわゆる
平滑面であっても、微小の凹凸面であっても良い。微小
の凹凸面とする場合にはその凹凸形状は球状、円錐状、
角錐状等であって、且つその最大高さ(Rmax)が好
ましくは0.05μm乃至2μmとすることにより、該
表面での光反射が乱反射となり、該表面での反射光の光
路長の増大をもたらす。
【0130】基板の形状は、用途により平滑表面或は凸
凹表面の板状、長尺ベルト状、円筒状等であることがで
き、例えば、光起電力素子用には、板状、長尺ベルト状
のものが、電子写真感光体用には、円筒状等のもの(こ
の場合は基体と呼ばれる)が好適に用いられる。基板の
厚さは、所望通りの半導体デバイスを形成し得るように
適宜決定するが、半導体デバイスとして可撓性が要求さ
れるされる場合、または基板の側より光入射がなされる
場合には、基板としての機能が充分発揮される範囲内で
可能な限り薄くすることが出来る。しかしながら、基板
の製造上及び取扱い上、機械的強度等の点から、通常
は、10μm以上とされる。
【0131】
【実施例】以下の実施例により本発明を詳細に説明する
が、これら実施例は例示であり、本発明の範囲はこれら
実施例に限定されるものではない。
【0132】<実施例1>(a−Si:Hの堆積) 本発明の堆積膜形成法によって、水素化アモルファスシ
リコン(a−Si:H)膜を、ガラス基板上に堆積した実
施例を以下に示す。
【0133】本発明の目的は、高い堆積速度を維持しな
がら、高い品質の堆積膜を得ることにあるので、堆積膜
の堆積速度と膜質を総合評価することが必要である。高
い堆積速度が得られても、膜質が悪ければ目的を達成で
きず、また、膜質が良くても、堆積速度が低ければやは
り目的を達成できないからである。
【0134】そこで、前述の総合評価のために、堆積速
度と膜質について、それぞれ評価点を決めて、その積の
点数が高いものを本発明の目的に合致するとした。
【0135】まず、堆積速度は、工業的な製造コスト低
減への有効性を考慮して、以下の5段階で評価した。
【0136】
【表1】
【0137】次に、水素化アモルファスシリコンの膜質
の評価にはさまざまな方法と項目があるが、半導体デバ
イスへの適用を考えたとき、半導体デバイスの特性と最
も相関が強く、評価しやすいパラメーターとして、コン
スタントフォトカレントメソッド(CPM)による吸収係
数の測定から得られるアーバック特性エナジー(Eh)の
値を採用した。アーバック特性エナジー(Eh)は、非単
結晶半導体のバンドギャップの裾部分(アーバックテイ
ルと呼ばれる。)の傾きをあらわしたもので、単位はm
eVで、数値が少ないほど前記傾きが大きく、キャリア
の走行性が向上して、半導体デバイスの特性が向上す
る。また、半導体の欠陥準位密度(Density Of States、
略してDOS)と相関が強く、Ehの値の小さいもの
は、DOSが少ないことが多い。また、DOSの測定
は、キャリブレーションが難しく、半導体のバンドギャ
ップによって大きく影響されるが、Ehの値は、DOS
よりも半導体のバンドギャップに関わらずデバイスの特
性との相関が強いことから採用した。Ehの値は、デバ
イス特性への影響度を考慮して、以下の5段階で評価し
た。
【0138】
【表2】
【0139】さらに、堆積速度と膜質の総合評価点数
は、前述の2種類の評価点の積とした。したがって、総
合評価点数は、1点から25点まで有りえ、総合評価点
数の高いものほど、本発明の目的に合致している。
【0140】以上の総合評価方法によって、図1の堆積
膜形成装置を用いて、以下のさまざまな条件で作製した
a−Si:H膜を評価した。
【0141】(圧力依存)まず、図1の堆積膜形成装置
を用いて、ガラス基板上に、a−Si:H膜を作製する
プロセスについて説明する。ガラス基板として、厚さ
0.8mmのコーニング社の#7059を用い、有機洗
浄した後、乾燥して、図1の真空チャンバーにセット
し、真空排気ポンプ109によって成膜室102内の圧
力を1×10-5Torr以下になるまで真空排気した。
次に、基板加熱ヒーター104によって、基板温度を3
00℃に制御した。次に、不図示のガスボンベから、1
00%のSiH4ガスをマスフローコントローラーによ
って、成膜室の体積1リットルあたりの流量で、80s
ccm/リットルに制御して、ガス導入管107から、
成膜室102内に導入し、圧力制御手段110によっ
て、圧力を以下の値に制御した。次に、周波数500M
Hzのマイクロ波を、球状の金属電極106から導入し
て、SiH4ガスのプラズマを生起させて分解し、ガラ
ス基板上にa−Si:H膜を約1μm堆積した。このと
き、プラズマに投入される高周波の電力密度ρは、12
0mW/cm3に調整した。成膜終了後、基板を冷却し
て、真空チャンバーから取り出し、前述の評価を行っ
た。以下の(表3)に堆積条件をまとめた。
【0142】
【表3】
【0143】表3のように、圧力を5mTorrから2
00mTorrまで変化させて、それぞれのサンプルに
ついて、膜厚を測定して、堆積速度を計算し、CPMに
よって吸収係数を測定して、前述のEhを算出した。そ
の結果、堆積速度とEhの評価点、およびそれらの積で
ある総合評価点は、以下の表4のようになった。また、
圧力と前記総合評価点数のグラフを図3に示した。以
下、サンプル名で、「実」は、本発明の実施例のサンプ
ル。「比」は、本発明の範囲から外れた比較例のサンプル
である。
【0144】
【表4】
【0145】図3から明らかなように、圧力が100m
Torr以下の範囲で、良好な総合評価点が得られるこ
とが分かった。また、圧力が100mTorr以下の範
囲であると、放電の均一性が向上して、堆積したa−S
i:H膜の均一性も向上した。
【0146】(滞留時間依存)前述の圧力依存の実験と
同様の手順で、材料ガスの流量を変化させることによ
り、滞留時間を1msから200msまで変化させて、
ガラス基板上にa−Si:H膜を約1μm堆積した。こ
のとき、圧力は、前述の実験結果から、好適な圧力であ
る20mTorrに固定した。堆積条件を(表5)にまと
めた。
【0147】
【表5】
【0148】滞留時間を変化させたそれぞれのサンプル
について、膜厚を測定して、堆積速度を計算し、CPM
によって吸収係数を測定して、前述のEhを算出した。
その結果、堆積速度とEhの評価点、およびそれらの積
である総合評価点は、以下の(表6)のようになった。
また、滞留時間と前記総合評価点数のグラフを図4に示
した。
【0149】
【表6】
【0150】図4から明らかなように、滞留時間が2m
sから50msの範囲で、良好な総合評価点が得られる
ことが分かった。また、堆積したa−Si:H膜の均一
性が向上し、a−Si:HへのC、O、N等の意図しな
い不純物の混入量が減少した。
【0151】(周波数および電力密度依存)前述の圧力
と滞留時間の実験から、a−Si:H膜を堆積するのに
好適な圧力と滞留時間が判明した。そこで、圧力と滞留
時間を好適な値である、20mTorrと20msに固
定し、a−Si:H膜を分解する高周波の周波数と電力
密度をさまざまな値に変化させて、前述の圧力依存の実
験と同様の手順で、ガラス基板上にa−Si:H膜を約
1μm堆積した。基板温度等の他の条件は、前述の圧力
依存の実験と同様に設定した。堆積条件を(表7)にまと
めた。
【0152】まず、(表7)のように、高周波の周波数を
500MHzに固定し、電力密度を25mW/cm3から6
50mW/cm3まで変化させて、a−Si:H膜を形
成した。
【0153】
【表7】
【0154】前述の実験と同様に堆積速度とEhの評価
点、およびそれらの積である総合評価点を求め、(表8)
にまとめた。また、周波数500MHzにおける電力密度
と前記総合評価点数のグラフを図5に示した。
【0155】
【表8】
【0156】(表8)および図5から、電力密度が40
mW/cm3未満になると、堆積速度が著しく遅くなっ
て工業的に不適切になること、また、電力密度が360
mW/cm3を越えると、a−Si:H膜の膜質が悪化
してしまうこと、したがって、電力密度を40mW/c
3以上360mW/cm3以下にすることによって、十
分な堆積速度と膜質が得られ、良好な総合評価点が得ら
れることが分かった。また、電力密度を40mW/cm
3以上360mW/cm3以下にすることによって、高周
波によるSiH4ガスのプラズマが安定し、堆積したa
−Si:H膜の均一性が向上した。
【0157】次に、高周波の周波数を、30、50、1
00、1000、2450、5000、8000MHz
にして、それぞれの周波数において、電力密度を変化さ
せて、a−Si:H膜を形成した。このとき、30、5
0、100MHzの周波数の高周波については、金属電
極106から導入し、また、1000、2450、50
00、8000MHzの周波数のマイクロ波について
は、マイクロ波導入手段105を用い、誘電体のマイク
ロ波透過部材113を通して導入した。
【0158】それぞれの周波数と電力密度において、前
述の実験と同様に堆積速度とEhの評価点、およびそれ
らの積である総合評価点を求め、図7のグラフにまとめ
た。図7は、横軸に周波数、縦軸に電力密度をとり、a
−Si:H膜を形成した点を示した。グラフの丸の中の
数字が総合評価点である。
【0159】図7から、a−Si:H膜の堆積において
高い総合評価点が得られる周波数および電力密度の組み
合わせが、斜線の領域であり、周波数が高い時は、電力
密度を低く設定すると良いことが分かった。さらに、周
波数に応じた最適な電力密度ρの設定値は、ほぼ周波数
fの1/3乗に反比例することが分かった。また、斜線
の領域は、周波数50MHz以上5GHz以下で、 30≦ρ・f1/3≦300 (mW・GHz1/3/cm3) の式を満たす領域である。この領域に周波数と電力密度
を設定することによって、高い堆積速度を維持しなが
ら、高い品質のa−Si:H膜を堆積することができ
た。また、高周波によるSiH4ガスのプラズマが安定
し、堆積したa−Si:H膜の均一性が向上した。ま
た、堆積したa−Si:H膜に混入する不純物元素の量
が減少した。
【0160】ただし、周波数と電力密度が、前述の式を
満たしても、周波数が、50MHz未満の場合は、堆積
速度が低くなって、総合評価点が低下し、また、本発明
の圧力で放電を維持することが困難になった。また、周
波数と電力密度が、前述の式を満たしても、周波数が、
5GHzを越える場合は、a−Si:H膜の膜質が低下
して、総合評価点が低下し、また、放電の均一性が悪化
して、a−Si:H膜の均一性が悪化した。
【0161】なお、本実験で形成したa−Si:H膜の
光学的バンドギャップの平均値を求めたところ、1.7
5eVであった。ここで、a−Si:H膜の光学的バン
ドギャップは、ガラス基板上に堆積したa−Si:H膜
を、分光器によって吸収係数を測定し、公知の(αhν)
1/2プロットによって求められる。
【0162】<実施例2>(a−SiGe:Hの堆積) 本発明の堆積膜形成法によって、水素化アモルファスシ
リコンゲルマニウム(a−SiGe:H)膜を、ガラス
基板上に堆積した実施例を以下に示す。
【0163】実施例1の圧力依存の実験と同様のプロセ
スで、ガラス基板上にa−SiGe:H膜を、約1μm
堆積した。ただし堆積条件は、以下の(表9)のように
設定した。流量は、成膜室の体積1リットルあたりの流
量である。
【0164】ここで、高周波の周波数と電力密度をさま
ざまな値に変化させて、a−SiGe:H膜を形成し
た。
【0165】まず、高周波の周波数を500MHzに固定
し、電力密度を15mW/cm3から400mW/cm3
まで変化させて、a−SiGe:H膜を形成した。
【0166】
【表9】
【0167】実施例1と同様に堆積速度とEhの評価
点、およびそれらの積である総合評価点を求め、(表1
0)にまとめた。また、周波数500MHzにおける電力密
度と前記総合評価点数のグラフを図5に示した。
【0168】
【表10】
【0169】(表10)および図5から、電力密度が2
5mW/cm3未満になると、堆積速度が著しく遅くな
って工業的に不適切になること、また、電力密度が25
0mW/cm3を越えると、a−SiGe:H膜の膜質
が悪化してしまうこと、したがって、電力密度を25m
W/cm3以上250mW/cm3以下にすることによっ
て、十分な堆積速度と膜質が得られ、良好な総合評価点
が得られることが分かった。また、電力密度を25mW
/cm3以上250mW/cm3以下にすることによっ
て、高周波による材料ガスのプラズマが安定し、堆積し
たa−SiGe:H膜の均一性が向上した。
【0170】次に、実施例1と同様に、高周波の周波数
を、30、50、100、1000、2450、500
0、8000MHzにして、それぞれの周波数におい
て、電力密度を変化させて、a−SiGe:H膜を形成
した。
【0171】それぞれの周波数と電力密度において、実
施例1と同様に、堆積速度とEhの評価点、およびそれ
らの積である総合評価点を求め、図8のグラフにまとめ
た。図8は、横軸に周波数、縦軸に電力密度をとり、a
−SiGe:H膜を形成した点を示した。グラフの丸の
中の数字が総合評価点である。
【0172】図8から、a−SiGe:H膜の堆積にお
いて高い総合評価点が得られる周波数および電力密度の
組み合わせが、斜線の領域であり、周波数が高い時は、
電力密度を低く設定すると良いことが分かった。さら
に、周波数に応じた最適な電力密度ρの設定値は、ほぼ
周波数fの1/3乗に反比例することが分かった。ま
た、斜線の領域は、周波数50MHz以上5GHz以下
で、 20≦ρ・f1/3≦200 (mW・GHz1/3/cm3) の式を満たす領域である。この領域に周波数と電力密度
を設定することによって、高い堆積速度を維持しなが
ら、高い品質のa−SiGe:H膜を堆積することがで
きた。また、高周波による材料ガスのプラズマが安定
し、堆積したa−SiGe:H膜の均一性が向上した。
また、堆積したa−SiGe:H膜に混入する不純物元
素の量が減少した。
【0173】ただし、周波数と電力密度が、前述の式を
満たしても、周波数が、50MHz未満の場合は、堆積
速度が低くなって、総合評価点が低下し、また、本発明
の圧力で放電を維持することが困難になった。また、周
波数と電力密度が、前述の式を満たしても、周波数が、
5GHzを越える場合は、a−SiGe:H膜の膜質が
低下して、総合評価点が低下し、また、放電の均一性が
悪化して、a−SiGe:H膜の均一性が悪化した。
【0174】ここで、実施例1と同様に、本実施例で形
成したa−SiGe:H膜の光学的バンドギャップの平
均値を求めたところ、1.35eVであった。
【0175】したがって、本実施例を実施例1と比較す
れば、以下のことが明らかである。すなわち、光学的バ
ンドギャップの小さいa−SiGe:H膜を形成する場
合と、光学的バンドギャップの大きいa−Si:H膜を
形成する場合を比較すれば、まず、図5から明らかなよ
うに、同じ周波数では、a−SiGe:H膜は、a−S
i:H膜よりも低い電力密度の領域に、好適な形成条件
の範囲が存在すること、次に、図7および図8から明ら
かなように、同じ電力密度では、a−SiGe:H膜
は、a−Si:H膜よりも低い周波数の領域に、好適な
形成条件の範囲が存在することである。
【0176】<実施例3>(a−SiC:Hの堆積) 本発明の堆積膜形成法によって、水素化アモルファスシ
リコンカーバイト(a−SiC:H)膜を、ガラス基板上
に堆積した実施例を以下に示す。
【0177】実施例1の圧力依存の実験と同様のプロセ
スで、ガラス基板上にa−SiC:H膜を、約1μm堆
積した。ただし堆積条件は、以下の(表11)のように設
定した。流量は、成膜室の体積1リットルあたりの流量
である。
【0178】ここで、高周波の周波数と電力密度をさま
ざまな値に変化させて、a−SiC:H膜を形成した。
【0179】まず、高周波の周波数を500MHzに固定
し、電力密度を40mW/cm3から1000mW/c
3まで変化させて、a−SiC:H膜を形成した。
【0180】
【表11】
【0181】実施例1と同様に堆積速度とEhの評価
点、およびそれらの積である総合評価点を求め、(表1
2)にまとめた。また、周波数500MHzにおける電力
密度と前記総合評価点数のグラフを図5に示した。
【0182】
【表12】
【0183】(表12)および図5から、電力密度が6
5mW/cm3未満になると、堆積速度が著しく遅くな
って工業的に不適切になること、また、電力密度が58
0mW/cm3を越えると、a−SiC:H膜の膜質が
悪化してしまうこと、したがって、電力密度を65mW
/cm3以上580mW/cm3以下にすることによっ
て、十分な堆積速度と膜質が得られ、良好な総合評価点
が得られることが分かった。また、電力密度を65mW
/cm3以上580mW/cm3以下にすることによっ
て、高周波による材料ガスのプラズマが安定し、堆積し
たa−SiC:H膜の均一性が向上した。
【0184】次に、実施例1と同様に、高周波の周波数
を、30、50、100、1000、2450、500
0、8000MHzにして、それぞれの周波数におい
て、電力密度を変化させて、a−SiC:H膜を形成し
た。
【0185】それぞれの周波数と電力密度において、実
施例1と同様に、堆積速度とEhの評価点、およびそれ
らの積である総合評価点を求め、図9のグラフにまとめ
た。図9は、横軸に周波数、縦軸に電力密度をとり、a
−SiC:H膜を形成した点を示した。グラフの丸の中
の数字が総合評価点である。
【0186】図9から、a−SiC:H膜の堆積におい
て高い総合評価点が得られる周波数および電力密度の組
み合わせが、斜線の領域であり、周波数が高い時は、電
力密度を低く設定すると良いことが分かった。さらに、
周波数に応じた最適な電力密度ρの設定値は、ほぼ周波
数fの1/3乗に反比例することが分かった。また、斜
線の領域は、周波数50MHz以上5GHz以下で、 50≦ρ・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) の式を満たす領域である。この領域に周波数と電力密度
を設定することによって、高い堆積速度を維持しなが
ら、高い品質のa−SiC:H膜を堆積することができ
た。また、高周波による材料ガスのプラズマが安定し、
堆積したa−SiC:H膜の均一性が向上した。また、
堆積したa−SiC:H膜に混入する不純物元素の量が
減少した。
【0187】ただし、周波数と電力密度が、前述の式を
満たしても、周波数が、50MHz未満の場合は、堆積
速度が低くなって、総合評価点が低下し、また、本発明
の圧力で放電を維持することが困難になった。また、周
波数と電力密度が、前述の式を満たしても、周波数が、
5GHzを越える場合は、a−SiC:H膜の膜質が低
下して、総合評価点が低下し、また、放電の均一性が悪
化して、a−SiC:H膜の均一性が悪化した。
【0188】ここで、実施例1と同様に、本実施例で形
成したa−SiC:H膜の光学的バンドギャップの平均
値を求めたところ、1.95eVであった。
【0189】したがって、本実施例を実施例1と比較す
れば、以下のことが明らかである。すなわち、光学的バ
ンドギャップの大きいa−SiC:H膜を形成する場合
と、光学的バンドギャップの小さいa−Si:H膜を形
成する場合を比較すれば、まず、図5から明らかなよう
に、同じ周波数では、a−SiC:H膜は、a−Si:
H膜よりも高い電力密度の領域に、好適な形成条件の範
囲が存在すること、次に、図7および図9から明らかな
ように、同じ電力密度では、a−SiC:H膜は、a−
Si:H膜よりも高い周波数の領域に、好適な形成条件
の範囲が存在することである。
【0190】<実施例4>(光起電力素子の形成) 本実施例では、本発明の堆積膜形成方法によって、多層
堆積膜を形成した実施例として、図2のトリプル型光起
電力素子を、図6のロール・ツー・ロール法を用いた多
層堆積膜形成装置を用いて、作成した例を述べる。
【0191】まず、半導体層を形成する前に、光起電力
素子の裏面側の電極を兼ね、基板として使用される部分
201〜203を公知の形成法によって形成した。
【0192】基板201は長さ100m、幅30cm、
厚さ0.15mmの帯状のステンレス(SUS430B
A)シ−トを用いた。SUS430BAシ−トは真空容
器(不図示)中の送りボビン(不図示)に巻き、一方の
端を接続した巻き取りボビンを回転させSUS430B
Aシ−トを送り込みながらArプラズマによるRFプラ
ズマエッチングを行った。その後ロール・ツー・ロール
法のDCマグネトロンスパッタにより表13に示す条件
でSiを1%含むAlからなる裏面反射層202、およ
びZnOからなる透明導電層203を形成した。
【0193】次に、ロール・ツー・ロール法によるCV
D装置により表14に示す条件で半導体層204〜21
2を作成した。
【0194】まず、前記のSUS430BAシ−トを送
り出しロ−ル625に巻き付け(平均曲率半径30c
m)、基板送り出し室601にセットし、各堆積室内を
通過させた後に基板の端を基板巻き取りロ−ル627に
巻き付ける。装置全体を真空排気ポンプで真空排気し、
各堆積室のランプヒ−タ−を点灯させ、各堆積室内の基
板温度が所定の温度になるように設定する。装置全体の
圧力が1mTorr以下になったら掃気ガスの入り口6
19から掃気ガスを流入させ、基板を図の矢印の方向に
移動させながら、巻き取りロ−ルで巻き取っていく。各
堆積室にそれぞれの原料ガスを流入させる。この際、各
堆積室に流入させる原料ガスが他の堆積室に拡散しない
ように各分離通路に流入させる掃気ガスの流量、あるい
は各堆積室の圧力を調整する。次にRF電力、またはマ
イクロ波電力およびDCバイアス電力を導入してプラズ
マを生起し、表14に示す条件で以下の順序で各半導体
層を堆積し、3つのpin接合を形成した。
【0195】まず光入射側から数えて第3のpin接合
217として、堆積室602でRFCVD法によってa
−Siからなる第1のn層(n1層)204を形成し、堆
積室603でa−Siからなる第1のn/iバッファー
層(b11層)251を形成し、堆積室604でマイクロ
波CVD法によってa−SiGeからなる第1のi層
(i1層)205を形成し、堆積室605でRFCVD法
によってa−Siからなる第1のp/iバッファー層
(b12層)261を形成し、堆積室606でμc−Si
からなる第1のp層(p1層)206を形成した。
【0196】次に第2のpin接合216として、堆積
室607でRFCVD法によってa−SiCからなる第
2のn層(n2層)207を形成し、堆積室608でa−
SiCからなる第2のn/iバッファー層(b21層)2
52を形成し、堆積室609でマイクロ波CVD法によ
ってa−Siからなる第2のi層(i2層)208を形成
し、堆積室610でa−SiCからなる第2のp/iバ
ッファー層(b22層)262を形成し、堆積室611で
μc−SiCからなる第2のp層(p2層)209を形成
した。
【0197】次に第1のpin接合215として、堆積
室612でRFCVD法によってa−SiCからなる第
3のn層(n3層)210を形成し、堆積室613でマイ
クロ波CVD法によってa−SiCからなる第3のi層
(i3層)211を形成し、堆積室614でμc−SiC
からなる第3のp層(p3層)212を形成した。
【0198】基板の巻き取りが終わったところで、すべ
てのマイクロ波電源、RF電源、からの電力の導入を停
止し、プラズマを消滅させ、原料ガス、掃気ガスの流入
を止めた。基板巻き取り室615をリ−クし、巻き取り
ロ−ルを取りだした。
【0199】ここで、表14に示したように、半導体層
の中で、各pin接合のi層が、他の層に比べて膜厚が
厚い。これは、i層による光吸収が大きいことが、光起
電力素子の短絡電流を向上させ、光電変換効率を向上さ
せるからである。したがって、光起電力素子を製造する
場合には、このi層を高品質で、なおかつ高い成膜速度
で、形成することが重要である。そこで、本発明の堆積
膜形成方法を、各pin接合のi層に適用し、堆積速度
1nm/s以上で高速堆積した。また、本発明の堆積膜
形成方法によって堆積した各i層の形成条件で、重要な
条件を表15に示した。ここで、各i層の堆積時に、高
周波プラズマで分解された材料ガスの活性種の基板に対
する入射量をコントロールして、堆積膜の膜質をさらに
向上させるために、金属電極からDCバイアス電圧を、
高周波電力に重畳して印加した。この場合材料ガスの分
解は、高周波電力によってなされ、DCバイアス電圧
は、実質的に分解には寄与していない。
【0200】以上で半導体層の形成を終了し、以下光起
電力素子の表面側の電極を形成した。
【0201】次に公知の反応性スパッタリング装置を用
いて表13に示す条件で透明電極213を積層された3
つのpin接合の上に作成した。
【0202】次に公知のスクリ−ン印刷法で層厚5μ
m、線幅0.5mmのカ−ボンペ−ストを印刷し、その
上に層厚10μm、線幅0.5mmの銀ペ−ストを印刷
し、集電電極214を形成し、ロ−ル状の光起電力素子
を250mm×100mmの大きさに切断した。
【0203】以上で本発明の堆積膜形成方法を用いた、
a−SiC/a−Si/a−SiGeのトリプル型光起
電力素子の作製を終えた。
【0204】
【表13】
【0205】
【表14】
【0206】
【表15】
【0207】光起電力素子の特性を評価するために、製
造した100mの光起電力素子の中から20mごとに、
250mm×100mmの大きさに切断した5個の光起
電力素子を選択し、さらに、光起電力素子の透明電極を
エッチングすることによって、5個の光起電力素子のそ
れぞれを36個の光起電力素子に分割した。
【0208】作成した5×36個の光電変換素子につい
て、以下の評価を行った。
【0209】まず、光起電力素子の歩留まりについて
は、暗所で−1.0vの逆バイアス電圧をかけた状態で
シャント抵抗を測定し、シャント抵抗の基準値を3.0
×104Ωcm2とし、基準値を上回るシャント抵抗のサ
ブセルを合格として、光電変換素子の歩留まりを調べ
た。
【0210】また、光電変換効率については、ソーラー
シミュレーターで、AM1.5、100mW/cm2
光照射下に設置して、25℃で光起電力素子のV−I特
性を測定し、初期光電変換効率(η0)、開放電圧(V
oc)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)を求
め、シャント抵抗が基準値を上回る光起電力素子につい
て平均値を求めた。
【0211】また、作製した光起電力素子の光劣化試験
を行った。回路開放状態(Open)で、温度50℃
で、ソーラーシミュレーターで、AM1.5、100m
W/cm2の光を1000時間照射した後、再び前述の
条件でV−I特性を測定し、光照射後の安定化した光電
変換効率(ηS)を求めた。また、(光劣化率)=1−
(光照射後の光電変換効率/初期光電変換効率)、を計
算した。
【0212】また、耐久性試験については、光電変換素
子を温度85℃、湿度85%の暗所に設置し、−0.8
5Vの逆バイアスを印加して、1000時間保持する試
験(HHRB試験)を行った後、再び前述の条件で光電
変換効率を測定し、光劣化率と同様にHHRB劣化率
(=1−(HHRB試験後の光電変換効率/初期光電変
換効率))を計算した。
【0213】以上の測定値の中で、η0、Voc、Js
c、FF、ηSの値は、後述する比較例1のサンプルの
平均測定値を1として、表16にまとめた。
【0214】表16から明らかなように、本発明によっ
て、比較例1の場合に比べ、光起電力素子の作製の歩留
まりが向上した。また、光起電力素子の開放電圧とフィ
ルファクターが向上して、初期光電変換効率(η0)が
向上し、光劣化が減少して、光照射後光電変換効率(η
S)が大幅に向上した。また、HHRB劣化率が減少し
て光起電力素子の耐久性が向上した。
【0215】この良好な結果は、トリプル型の光起電力
素子の特性を左右する重要な半導体層である、各i層を
本発明の堆積膜形成法によって形成することにより、各
i層を高い堆積速度で、高品質な半導体薄膜として形成
することができ、また下地の半導体層に対するダメージ
が減少したことによるものである。その結果、光起電力
素子の特性が向上し、光劣化率が低減された。また、本
発明の堆積膜形成法を適用することによって、マイクロ
波プラズマの均一性と安定性が向上し、その結果光起電
力素子の歩留まりが向上した。また、各i層の欠陥と半
導体層のはがれが減少して、光起電力素子のHHRB劣
化率が減少した。
【0216】
【表16】
【0217】<比較例1>表15に示した、各i層の形
成条件を表17のように変更した以外は、実施例4と同
様にして、a−SiC/a−Si/a−SiGeのトリ
プル型の光起電力素子を作成した。表17に示したよう
に、比較例1では、各i層を堆積する時のマイクロ波電
力密度を、本発明の堆積膜形成法に好適な周波数と電力
密度の組み合わせからはずれて高く設定した。このた
め、各i層の堆積速度は実施例4の場合よりも上昇した
が、各i層の膜質は著しく低下した。また、各i層の堆
積速度が向上すると、各i層の膜厚が実施例4よりも厚
くなってしまうので、各i層の堆積膜形成領域のシート
状基板の搬送方向の長さを短く調節して、実施例4と同
じ膜厚の光起電力素子を作成した。
【0218】実施例4と同様に光電変換素子を5×36
個作製し、歩留まりを求め、25℃で光起電力素子のV
−I特性を測定し、初期光電変換効率(η0)、開放電
圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)
を求めた。また、実施例4と同様に光劣化試験を行い、
光照射後光電変換効率(ηS)を測定し、光劣化率を計算
した。また、実施例4と同様に耐久性試験を行い、HH
RB劣化率を計算した。測定結果を表18にまとめた。
この比較例1の光起電力素子の、η0、Voc、Js
c、FF、ηSのそれぞれの平均値を基準とするため1
とした。
【0219】
【表17】
【0220】
【表18】
【0221】<実施例5>表15に示した、各i層の形
成条件を表19のように変更した以外は、実施例4と同
様にして、a−SiC/a−Si/a−SiGeのトリ
プル型の光起電力素子を作成した。表19に示したよう
に、本実施例の光起電力素子の形成においては、本発明
の堆積膜形成法の条件の中でも、光学的バンドギャップ
の小さいi層を形成する場合は、マイクロ波電力密度を
小さく、光学的バンドギャップの大きいi層を形成する
場合は、マイクロ波電力密度を大きく設定していること
が特徴である。
【0222】ここで、実施例4の場合よりも、i1層の
堆積速度は若干低下し、i3層の堆積速度は若干上昇す
るので、各i層の膜厚を実施例4と同じくするため、i
1層の堆積膜形成領域の長さを若干長く、i3層の堆積
膜形成領域の長さを若干短く調節した。なお、各i層の
堆積速度は、1nm/s以上であった。
【0223】実施例4と同様に光電変換素子を5×36
個作製し、歩留まりを求め、25℃で光起電力素子のV
−I特性を測定し、初期光電変換効率(η0)、開放電
圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)
を求めた。また、実施例4と同様に光劣化試験を行い、
光照射後光電変換効率(ηS)を測定し、光劣化率を計算
した。また、実施例4と同様に耐久性試験を行い、HH
RB劣化率を計算した。測定結果を表20にまとめた。
ここで、比較例1の光起電力素子の、η0、Voc、J
sc、FF、ηSのそれぞれの平均値を1とした。
【0224】表20から明らかなように、本発明によっ
て、比較例1の場合に比べ、光起電力素子の作製の歩留
まりが向上した。また、光起電力素子の開放電圧とフィ
ルファクターが向上して、初期光電変換効率(η0)が
向上し、光劣化が減少して、光照射後光電変換効率(η
S)が大幅に向上した。また、HHRB劣化率が減少し
て光起電力素子の耐久性が向上した。また、実施例4と
比較しても、光起電力素子の特性と耐久性がさらに向上
した。
【0225】この良好な結果は、特に各i層の光学的バ
ンドギャップに応じて、マイクロ波電力密度を調整する
ことにより、各i層を高い堆積速度で、さらに高品質な
半導体薄膜として形成することができたことによるもの
である。その結果、光起電力素子の特性がさらに向上
し、光劣化率がさらに低減された。
【0226】
【表19】
【0227】
【表20】
【0228】<実施例6>表15に示した、各i層の形
成条件を表21のように変更した以外は、実施例4と同
様にして、a−SiC/a−Si/a−SiGeのトリ
プル型の光起電力素子を作成した。表21に示したよう
に、本実施例の光起電力素子の形成においては、本発明
の堆積膜形成法の条件の中でも、光学的バンドギャップ
の小さいi層を形成する場合は、マイクロ波の周波数を
低く、光学的バンドギャップの大きいi層を形成する場
合は、マイクロ波の周波数を高く設定していることが特
徴である。
【0229】ここで、実施例4の場合よりも、i1層の
堆積速度は若干低下し、i3層の堆積速度は若干上昇す
るので、各i層の膜厚を実施例4と同じくするため、i
1層の堆積膜形成領域の長さを若干長く、i3層の堆積
膜形成領域の長さを若干短く調節した。なお、各i層の
堆積速度は、1nm/s以上であった。
【0230】実施例4と同様に光電変換素子を5×36
個作製し、歩留まりを求め、25℃で光起電力素子のV
−I特性を測定し、初期光電変換効率(η0)、開放電
圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)
を求めた。また、実施例4と同様に光劣化試験を行い、
光照射後光電変換効率(ηS)を測定し、光劣化率を計算
した。また、実施例4と同様に耐久性試験を行い、HH
RB劣化率を計算した。測定結果を表22にまとめた。
ここで、比較例1の光起電力素子の、η0、Voc、J
sc、FF、ηSのそれぞれの平均値を1とした。
【0231】表22から明らかなように、本発明によっ
て、比較例1の場合に比べ、光起電力素子の作製の歩留
まりが向上した。また、光起電力素子の開放電圧とフィ
ルファクターが向上して、初期光電変換効率(η0)が
向上し、光劣化が減少して、光照射後光電変換効率(η
S)が大幅に向上した。また、HHRB劣化率が減少し
て光起電力素子の耐久性が向上した。また、実施例4と
比較しても、光起電力素子の特性と耐久性がさらに向上
した。
【0232】この良好な結果は、特に各i層の光学的バ
ンドギャップに応じて、マイクロ波の周波数を調整する
ことにより、各i層を高い堆積速度で、さらに高品質な
半導体薄膜として形成することができたことによるもの
である。その結果、光起電力素子の特性がさらに向上
し、光劣化率がさらに低減された。また、半導体層を形
成するために必要なエネルギーの効率が向上した。
【0233】
【表21】
【0234】
【表22】
【0235】
【発明の効果】以上述べたことから明らかなように、本
発明の堆積膜形成法によって、以下のような効果があ
る。
【0236】まず、13.56MHzのRF高周波に対
して、高い周波数の50MHz以上5GHz以下の高周
波を用いることによって、RF高周波を用いる場合に比
べて、高い堆積速度を達成することができた。
【0237】次に、材料ガスの圧力を0.1Torr以
下に保持することによって、50MHz以上5GHz以
下の高周波を用いて、高い堆積速度でIV族元素の非単
結晶半導体薄膜を形成した場合であっても、材料ガスの
ポリマライゼーションを防止することができ、気相中で
パーティクルが形成されることを防止することができ
た。また、周波数を高くした場合であっても、堆積速度
が低下することなく、むしろ増大させることができた。
また、材料ガスの利用効率を向上させることができた。
さらにプラズマの均一性が向上した。また、1nm/s
以上の高速の堆積速度で堆積する場合でも、RF高周波
を用いる場合に比べて高い品質の堆積膜を形成すること
ができた。
【0238】さらに、高周波の周波数が高い場合は、導
入する高周波の電力密度を低く設定することによって、
高い堆積速度でデバイスに適用可能な高品質のIV族元
素の非単結晶半導体薄膜を形成することができた。その
結果、半導体薄膜の光導電率が向上し、暗導電率が低下
し、キャリアの走行性が向上する。また、半導体薄膜が
非晶質である場合には、光照射による光導電率の低下
(光劣化)が大幅に抑制される。
【0239】また、基体にあらかじめ形成されていた層
(下地層)へのダメージが減少し、下地層の変質を防止
すると同時に、堆積膜への不純物の拡散が減少した。特
に下地層が、透明導電膜あるいは半導体薄膜である場合
には、下地層と堆積する半導体薄膜との界面の準位が減
少し、半導体の接合特性が向上した。
【0240】また、堆積した半導体薄膜の内部応力が低
減し、基体との密着性が向上して、基体からのはがれが
ほとんどなくなった。
【0241】また、スパーク等の異常放電が大幅に減少
し、放電が切れることがなくなり、放電強度の変動が少
なくなって、高周波の放電が安定した。
【0242】また、高周波の放電空間中の放電の強度が
均一になり、大面積にわたって均一な堆積膜が形成でき
た。
【0243】以上の効果によって、半導体薄膜の製造の
歩留まりが向上し、製造コストを低下させることができ
た。
【0244】また、成膜空間の内壁に付着する膜の応力
が減少して、内壁からのはがれが減少し、はがれた膜が
基体上の堆積膜に付着することを防止することができ
た。また、成膜室の清掃の頻度を減らすことができ、半
導体薄膜の製造の稼働率を向上させて、製造コストを低
下させることができた。
【0245】また、電子密度の過度の上昇によって、成
膜空間の内壁の温度が上昇することが抑制され、成膜空
間の内壁からの脱ガスあるいはスパッタリングによる不
純物の放出とその堆積膜への混入が減少した。
【0246】さらに、高周波の周波数をfと高周波の電
力密度ρ(=P/V)を 20≦ρ・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・・(1) の式を満たすように設定することによって、前述の効果
をさらに強調する効果が得られた。
【0247】また、前記ρ・f1/3の値を前記(2)式の
範囲に設定することによって、請求項1の効果をより強
調する効果が得られた。特に、堆積膜の膜質向上の効果
と、下地の層へのダメージ防止の効果と、基体への密着
性向上の効果が強調された。
【0248】また、成膜用の材料ガスの成膜室内におけ
る滞留時間を2ms以上、50ms以下に設定すること
によって、堆積膜の膜質向上の効果と不純物の堆積膜へ
の混入防止の効果が強調された。
【0249】また、基体上に、IV族元素を主構成成分
として含む、1nm/s以上の堆積速度で高速堆積され
た非単結晶の半導体層を複数の種類含む、2層以上の多
層膜を形成する方法において、複数の成膜室に、材料ガ
スを流入させつつ真空ポンプによって排気して成膜室内
の圧力を0.1Torr以下に保持して、50MHz以
上5GHz以下の周波数の高周波を成膜室に導入するこ
とによってプラズマを生起させることによって、堆積速
度の向上、ポリマライゼーションの防止、均一性の向上
の効果が得られた。
【0250】また、高速堆積する複数種の半導体薄膜の
光学的バンドギャップに応じて、該バンドギャップが小
さい場合は、導入する高周波の電力密度を低く設定する
ことによって、光学的バンドギャップの異なる複数種の
半導体薄膜をそれぞれ1nm/s以上の高い堆積速度
で、膜中の欠陥密度の少ない高品質な堆積膜にすること
ができた。また、下地層へのダメージが減少し、界面準
位が減少して、半導体の接合特性が向上した。さらに、
光学的バンドギャップの異なる複数種の半導体薄膜のそ
れぞれの内部応力を低減し、それぞれの内部応力の差も
低減できた結果、基体あるいは下地層と多層膜、および
多層膜の層と層との密着性がそれぞれ向上して、はがれ
がほとんどなくなり、多層膜の形成の歩留まりと多層膜
の耐久性が向上した。また、多層膜の層と層との応力の
違いによる界面準位の発生を抑制することができた。以
上の効果の結果、複数種の半導体薄膜のそれぞれを高速
で高品質に形成し積層できるので、一種類の半導体薄膜
だけが高速で高品質に形成された場合の、高品質でない
別の半導体層のために特性が低下したり、高速堆積でき
ない別の半導体層のために製造時間が律速されて製造コ
ストが低減できなかったりする問題がなく、多層膜とし
ての品質が全体的に向上し、製造コストが全体的に低減
できた。
【0251】以上の効果は、2層以上の多層膜が半導体
接合を形成する場合に特に有効である。また、前述の半
導体デバイスの構成として、2層以上の多層膜に異なる
光学的バンドギャップを持つ半導体層を含むことは、非
常に多く用いられる層構成であるので、以上の効果は、
半導体デバイスの高品質化と低コスト化と高耐久性化
に、多大な貢献がある。また、異なる光学的バンドギャ
ップを持つ半導体層の膜厚が厚い場合には、高い堆積速
度がより重要になるので、以上の効果が特に有効であ
る。
【0252】また、上記本発明の構成を組み合わせて用
いることにより、堆積速度の向上、ポリマライゼーショ
ンの防止、均一性の向上の効果と、高い堆積速度を維持
しながら、堆積膜を高品質化する効果と、下地層との界
面準位あるいは多層膜間の界面準位を低減して、半導体
の接合特性を向上させる効果と、半導体薄膜の内部応力
および内部応力の差を低減して、密着性を向上させ、多
層膜の歩留まりと耐久性を向上させる効果と、その結果
として半導体デバイスの高品質化と低コスト化と高耐久
性化の効果が得られた。また、半導体層を形成するため
に必要なエネルギーの効率が向上した。
【0253】また、前記IV族元素を主構成成分として
含む非単結晶の半導体層の多層膜において、膜厚が厚い
層は、実質的に真性の半導体層であることが多いことか
ら、異なる光学的バンドギャップを持つi型半導体層を
複数有する多層膜を形成する場合には、上記効果がさら
に強調される。
【0254】また、帯状の長尺基板を、長手方向に移動
させながら、前記複数層の半導体薄膜を該基板上に連続
的に形成することによって、前記多層膜と半導体デバイ
スの製造速度が大幅に増大し、製造コストがさらに低下
する効果と同時に、前記帯状の長尺基板の長手方向に形
成された、多層膜の膜厚の均一性と半導体デバイスの特
性の均一性が大幅に向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の堆積膜形成法を実施するための堆積膜
形成装置の一例を説明する模式的な概略図である。
【図2】本発明の堆積膜形成法を適用して形成した光起
電力素子の一例の模式的な概略断面図である。
【図3】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iを成膜した時の、圧力と総合評価点数の関係を示した
グラフである。
【図4】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iを成膜した時の、滞留時間と前記総合評価点数の関係
を示したグラフである。
【図5】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iを成膜した時の、周波数500MHzにおける電力密
度と総合評価点数の関係を示したグラフである。
【図6】本発明の堆積膜形成法を適用して光起電力素子
を生産するのに適したロール・ツー・ロール法による堆
積膜形成装置の一例の説明図である。
【図7】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iを成膜した時の、周波数および電力密度と総合評価点
数の関係を示したグラフである。
【図8】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iGeを成膜した時の、周波数および電力密度と総合評
価点数の関係を示したグラフである。
【図9】本発明の堆積膜形成法の適用例として、a−S
iCを成膜した時の、周波数および電力密度と前記総合
評価点数の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
101 真空チャンバー 102 成膜室 103 基板 104 基板加熱ヒーター 105 マイクロ波導入手段 106 高周波導入手段 107 ガス導入管 108 排気管 109 真空排気ポンプ 110 圧力制御手段 111 チューニング手段 112 高周波電源 113 マイクロ波透過部材 114 マイクロ波電源 115 導波管 116 チューニング手段 201 基板 202 裏面電極 203 透明導電層 204、207、210 n型半導体層 205、208、211 i型半導体層 206、209、212 p型半導体層 213 透明電極 214 集電電極 215 第1のpin接合 216 第2のpin接合 217 第3のpin接合 251、252 n/iバッファー層 261、262 p/iバッファー層 601 基板送り出し室 602〜614 堆積室 615 基板巻き取り室 616 分離通路 617 基板 618 ランプヒーター 619 原料ガス入口 620 排気口 621 RF電極 622 マイクロ波導入部 624 掃気ガス入口 625 送り出しロール 626 ガイドロール 627 巻き取りロール 628 ガイドロール

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜室に高周波を導入して気相中でプラ
    ズマを生起させ材料ガスを分解することによって基体上
    に非単結晶半導体薄膜を堆積する堆積膜形成方法におい
    て、前記成膜室の圧力を0.1Torr以下、前記高周
    波の周波数f(GHz)を0.05以上5以下とし、成
    膜室内のプラズマが生起している放電空間の堆積V(c
    3)、前記高周波の電力P(mW)、前記高周波の周
    波数f(GHz)が、 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(1) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記放電空間の堆積V(cm3)、前記
    高周波の電力P(mW)、前記高周波の周波数f(GH
    z)が、 50≦P/V・f1/3≦200 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(2) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形
    成方法。
  3. 【請求項3】 成膜用の材料ガスの成膜室内における滞
    留時間が、2ms以上、50ms以下であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の堆積膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記非単結晶半導体薄膜がIV族元素か
    らなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の堆積膜
    形成方法。
  5. 【請求項5】 前記非単結晶半導体薄膜を前記基体上に
    1nm/s以上の堆積速度で堆積することを特徴とする
    請求項1乃至4に記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記成膜室に前記材料ガスを流入させつ
    つ真空ポンプによって排気することにより前記成膜室内
    の圧力を0.1Torr以下に保持することを特徴とす
    る請求項1乃至5に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記非単結晶半導体薄膜が実質的に真性
    であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の堆積膜
    形成方法。
  8. 【請求項8】 複数の成膜室に高周波を導入して気相中
    でプラズマを生起させそれぞれの成膜室中で材料ガスを
    分解することによって基体上に互いにバンドギャップの
    異なる複数の非単結晶半導体薄膜を堆積する堆積膜形成
    方法において、前記複数の非単結晶半導体薄膜のうちバ
    ンドギャップが小さい薄膜を堆積する成膜室に導入する
    高周波の電力密度を、前記非単結晶半導体薄膜のうちバ
    ンドギャップが大きい薄膜を堆積する成膜室に導入する
    高周波の電力密度よりも小さくすることを特徴とする堆
    積膜形成方法。
  9. 【請求項9】 前記成膜室それぞれの圧力を0.1To
    rr以下、前記高周波の周波数f(GHz)を0.05
    以上5以下とし、それぞれの成膜室内のプラズマが生起
    している放電空間の堆積V(cm3)、前記高周波の電
    力P(mW)、前記高周波の周波数f(GHz)が、 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(1) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする請求項8に記載の堆積膜形
    成方法。
  10. 【請求項10】 前記放電空間の堆積V(cm3)、前
    記高周波の電力P(mW)、前記高周波の周波数f(G
    Hz)が、 50≦P/V・f1/3≦200 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(2) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする請求項9に記載の堆積膜形
    成方法。
  11. 【請求項11】 成膜用の材料ガスのそれぞれの成膜室
    内における滞留時間が、2ms以上、50ms以下であ
    ることを特徴とする請求項8乃至10に記載の堆積膜形
    成方法。
  12. 【請求項12】 前記非単結晶半導体薄膜がIV族元素
    からなることを特徴とする請求項8乃至11に記載の堆
    積膜形成方法。
  13. 【請求項13】 前記非単結晶半導体薄膜を前記基体上
    に1nm/s以上の堆積速度で堆積することを特徴とす
    る請求項8乃至12に記載の堆積膜形成方法。
  14. 【請求項14】 前記それぞれの成膜室に前記材料ガス
    を流入させつつ真空ポンプによって排気することにより
    前記それぞれの成膜室内の圧力を0.1Torr以下に
    保持することを特徴とする請求項8乃至13に記載の堆
    積膜形成方法。
  15. 【請求項15】 前記非単結晶半導体薄膜が実質的に真
    性であることを特徴とする請求項8乃至14に記載の堆
    積膜形成方法。
  16. 【請求項16】 帯状の長尺基体を長手方向に移動させ
    ながら、前記複数の非単結晶半導体薄膜を該長尺基体上
    に連続的に形成することを特徴とする請求項8乃至15
    に記載の堆積膜形成方法。
  17. 【請求項17】 複数の成膜室に高周波を導入して気相
    中でプラズマを生起させそれぞれの成膜室中で材料ガス
    を分解することによって基体上に互いにバンドギャップ
    の異なる複数の非単結晶半導体薄膜を堆積する堆積膜形
    成方法において、前記複数の非単結晶半導体薄膜のうち
    バンドギャップが小さい薄膜を堆積する成膜室に導入す
    る高周波の周波数を、前記非単結晶半導体薄膜のうちバ
    ンドギャップが大きい薄膜を堆積する成膜室に導入する
    高周波の周波数よりも小さくすることを特徴とする堆積
    膜形成方法。
  18. 【請求項18】 前記成膜室それぞれの圧力を0.1T
    orr以下、前記高周波の周波数f(GHz)を0.0
    5以上5以下とし、それぞれの成膜室内のプラズマが生
    起している放電空間の堆積V(cm3)、前記高周波の
    電力P(mW)、前記高周波の周波数f(GHz)が、 20≦P/V・f1/3≦500 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(1) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする請求項17に記載の堆積膜
    形成方法。
  19. 【請求項19】 前記放電空間の堆積V(cm3)、前
    記高周波の電力P(mW)、前記高周波の周波数f(G
    Hz)が、 50≦P/V・f1/3≦200 (mW・GHz1/3/cm3) ・・・・(2) の式を満たすように設定して、前記非単結晶半導体薄膜
    を堆積することを特徴とする請求項18に記載の堆積膜
    形成方法。
  20. 【請求項20】 成膜用の材料ガスのそれぞれの成膜室
    内における滞留時間が、2ms以上、50ms以下であ
    ることを特徴とする請求項17乃至19に記載の堆積膜
    形成方法。
  21. 【請求項21】 前記非単結晶半導体薄膜がIV族元素
    からなることを特徴とする請求項17乃至20に記載の
    堆積膜形成方法。
  22. 【請求項22】 前記非単結晶半導体薄膜を前記基体上
    に1nm/s以上の堆積速度で堆積することを特徴とす
    る請求項17乃至21に記載の堆積膜形成方法。
  23. 【請求項23】 前記それぞれの成膜室に前記材料ガス
    を流入させつつ真空ポンプによって排気することにより
    前記それぞれの成膜室内の圧力を0.1Torr以下に
    保持することを特徴とする請求項17乃至22に記載の
    堆積膜形成方法。
  24. 【請求項24】 前記非単結晶半導体薄膜が実質的に真
    性であることを特徴とする請求項17乃至23に記載の
    堆積膜形成方法。
  25. 【請求項25】 帯状の長尺基体を長手方向に移動させ
    ながら、前記複数の非単結晶半導体薄膜を該長尺基体上
    に連続的に形成することを特徴とする請求項17乃至2
    4に記載の堆積膜形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007169785A (ja) * 2005-12-19 2007-07-05 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 有機金属組成物
JP2012523125A (ja) * 2009-06-10 2012-09-27 シンシリコン・コーポレーション 光起電モジュール、及び、タンデム型半導体層スタックを有する光起電モジュールを製造する方法

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