JP3483548B2 - 堆積膜形成方法および堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成方法および堆積膜形成装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマCVD法によ
る堆積膜形成方法および堆積膜形成装置に関し、特に、
各種の機能性堆積膜を大面積の基板上に連続的に形成す
る堆積膜形成方法および堆積膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、全世界的に電力需要が急激に増大
し、電力生産が活発になっているが、それにしたがい、
火力発電や原子力発電に伴う環境汚染や地球温暖化の問
題が顕在化してきている。こうした中で、太陽光を利用
する太陽電池発電は、環境汚染や地球温暖化の問題を引
き起こすことがなく、太陽光という資源の偏在も少ない
ので、今後のさらなる電力需要を満たすものとして注目
を集めている。
【0003】ところで、太陽電池発電を実用化するため
には、使用する太陽電池が、光電変換効率が十分に高
く、特性や安定性に優れ、かつ大量生産に適したもので
あることが要求される。また、発電規模からして、大面
積の太陽電池が必要となる。こうしたことから、容易に
入手できるシランなどの原料ガスをグロー放電により分
解することによって、ガラスや金属シートなどの比較的
安価な基板上に、アモルファスシリコンなどの半導体薄
膜を堆積させて形成されるアモルファスシリコン系太陽
電池が提案されている。このアモルファスシリコン系太
陽電池は、単結晶シリコンなどから作製された太陽電池
と比較して、量産性に優れ、低コストであると注目さ
れ、その製造方法についても各種の提案がなされてい
る。
【0004】太陽電池発電では、太陽電池の単位モジュ
ールを直列または並列に接続してユニット化し、所望の
電流、電圧を得るようにすることが多く、各単位モジュ
ールにおいては断線や短絡が生じないことが要求され、
さらに、単位モジュール間の出力電圧、出力電流のばら
つきが少ないことが要求される。そのため、少なくとも
単位モジュールを作製する段階で、その最大の特性決定
要因である半導体層そのものの特性の均一さが要求され
る。また、モジュールの設計を容易にし、モジュールの
組み立て工程を簡略なものとするため、大面積にわたっ
て特性の優れた半導体堆積膜が形成できるようにするこ
とが、太陽電池の量産性を高め、生産コストの大幅な低
減をもたらすこととなる。
【0005】太陽電池の重要な構成要素である半導体層
は、pn接合あるいはpin接合などの半導体接合を含
んでいるが、これら半導体接合は、導電型の異なる半導
体層を順次積層したり、ある導電型の半導体層に異なる
導電型のドーパントをイオン打ち込みあるいは熱拡散さ
せることにより形成される。上述のアモルファスシリコ
ン系太陽電池の作製においては、ホスフィン(PH3)や
ジボラン(B26)などのドーパントとなる元素を含む原
料ガスを、主たる原料ガスであるシランガスなどに混合
し、混合された原料ガスをグロー放電によって分解する
ことによって所望の導電型を有する半導体膜が得られ、
所望の基板上にこれらの半導体膜を順次積層させて形成
することにより、容易に半導体接合が得られることが知
られている。そこで、アモルファスシリコン系太陽電池
を作製するにあたっては、各々の半導体層に対応して独
立した成膜室を設け、この成膜室でそれぞれの半導体層
を形成することが一般的である。
【0006】このようなアモルファスシリコン系太陽電
池の作製に適したプラズマCVD法による堆積膜形成方
法として、米国特許第4400409号明細書には、ロール・
ツー・ロール(Roll to Roll)方式によるものが開示さ
れている。この堆積膜形成方法は、複数のグロー放電領
域を設け、長尺の帯状の基板を、その基板が各グロー放
電領域を順次貫通する経路に沿って配置し、必要とされ
る導電型の半導体層をそれぞれのグロー放電領域で堆積
形成しつつ、帯状の基板をその長手方向に連続的に搬送
させるものである。これによって所望の半導体接合を有
する太陽電池を連続的に形成することができるようにな
っている。なお、この堆積膜形成方法では、各グロー放
電領域で使われるドーパントガスが、他のグロー放電領
域へ拡散、混入することを防ぐため、それぞれのグロー
放電領域をガスゲートと呼ばれるスリット状の分離通路
によって相互に分離し、さらにこの分離通路に例えばA
r,H2などの掃気用ガスの流れを形成するようになって
いる。こうした構成とすることにより、ロール・ツー・
ロール方式による堆積膜形成方法は、太陽電池などの半
導体素子の製造に適するものとなっている。
【0007】一方、アモルファスシリコン系太陽電池の
光電変換効率を向上させるための試みとして、a−Si
Ge:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:F,a−S
iC:H,a−SiC:F,a−SiC:H:FなどのIV族合
金半導体をi型(真性)半導体層と使用する場合に、光
の入射側から、このi型半導体層の禁制体幅(バンドギ
ャップ:Eg opt)を膜厚方向に連続的に適宜変化させる
ことにより、太陽電池としての開放電圧(Voc)や曲線
因子(fill factor:FF)が大幅に改善されることが
見出されている(20th IEEE PVSC, 1988,"A Novel
Design for Amorphous Silicon Solar Cells",
S. Guha, J. Yang, et al.)。
【0008】また、半導体デバイス、電子写真用感光デ
バイス、画像入力用ラインセンサ、撮像デバイスやその
他の各種のエレクトロニクス素子、あるいは光学素子に
対しても、アモルファス半導体、例えば水素および/ま
たはハロゲン(フッ素、塩素など)で補償されたアモル
ファスシリコンなどの堆積膜が提案され、このうちのい
くつかは実用に供されている。こうした堆積膜もプラズ
マCVD法で形成されるのが一般的である。すなわち、
直流、高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって原
料ガスを分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィル
ム、ステンレス鋼、アルミニウムなどの材質である基板
上に薄膜状の堆積膜を形成する方法により形成されてい
る。
【0009】ここで、プラズマCVD法についてさらに
詳しく説明する。プラズマCVD法とは、電磁波などの
エネルギーを特定物質に加えて放電させることにより、
特定物質を化学的に活性なラジカルとし、さらに、ラジ
カルを基板あるいは基体に接触させることにより、基板
上へ堆積膜を形成させる方法をいう。そして、プラズマ
CVD装置とは、プラズマCVD法を実施するために設
計,製作された装置をいう。
【0010】従来、プラズマCVD装置は、成膜ガス導
入口および排気口を有する真空容器である成膜室と、成
膜室に成膜ガス導入口を介して成膜ガスを供給するガス
供給手段と、成膜室内の成膜ガスを成膜ガス排気口を介
して排出するガス排出手段と、成膜室に供給された成膜
ガスを解離させるための電磁波などのエネルギーを供給
するエネルギー供給手段と、堆積膜形成用の基板を成膜
室内へ搬送する基板搬送手段とから構成されている。
【0011】ところで、プラズマCVD法はラジカルの
強い活性に依拠するものであり、ラジカルの生成密度や
基板の温度などを適宜選択することにより所望の堆積膜
形成を行うものであるが、プラズマCVD法において処
理速度を高めたり、大面積に亘って均一な堆積膜形成を
する上で必要なことは、ラジカルを大面積に亘って均一
かつ大量に生成させるプラズマ条件の選択である。
【0012】従来、成膜ガスを解離させるためのエネル
ギーとしては、13.56MHzの高周波(RF)が使
用されていたが、近年、より波長の短い2.45GHz
のマイクロ波を用いることにより、高密度プラズマを効
率的に生成することができ、プラズマCVD法において
堆積膜形成速度の向上が図れる可能性があることから、
マイクロ波を用いたプラズマCVD法が注目され、その
ためのプラズマCVD装置が数多く提案されている。例
えば上述したような各種エレクトロニクス素子、光学素
子などに用いる素子材料としてのアモルファスシリコン
(以下、「a−Si」と記す。)を所望の基板上にマイ
クロ波プラズマCVD装置が各種提案されている。
【0013】例えば、特公昭58-49295、特公昭59-4399
1、実公昭62-36240の各公報などには、方形または同軸
導波管にガス管を貫入させるかあるいは接触させてプラ
ズマを生起させるものが示されている。この種の装置と
しては、図7に示されるものを代表的なものとして挙げ
ることができる。この装置は、概略、真空系、排気系、
マイクロ波導入系で構成されるものである。
【0014】図7において、真空系は、反応容器981
と、ガス輸送管982を介して接続した内径40mm程
度のマイクロ波透過性の管983(例えば石英管)ある
いは窓とで構成されている。管983(あるいは窓)は
第1のガス導入管982と接続し、同時にマイクロ波導
波管984と直交している。そして反応容器981内に
は、第2のガス導入管(不図示)が接続され、この第2
のガス導入管から導入されるガス(例えばシランガス)
は、排気管985とポンプ986とによって構成される
排気系から排気されるようになっている。この装置にあ
っては、第1のガス導入管982から導入されるガス
(酸素ガスあるいは窒素ガス)は、マイクロ波電源98
7から投入されたマイクロ波電力により解離する。マイ
クロ波電力による放電に際しては、摺動短絡板(プラン
ジャー)988を動かしてマイクロ波の入力インピーダ
ンスの整合をとり得るようになっている。かくして生成
するプラズマ中のラジカルが、前記第2のガス導入管を
介して導入されるシランガスなどと反応し、基板989
上にSiO2やSiNなどの膜が形成されることとな
る。またこの装置により、光導電性材料や光起電力材料
も数十Å/秒という速い堆積速度で成膜することが可能
である。
【0015】また、米国特許第4517223号明細書や米国
特許第4504518号明細書には、低圧下でのマイクロ波グ
ロー放電プラズマ内で小面積の基板上に薄膜を堆積形成
させる方法が開示されている。この方法では、低圧下で
のプロセスであるため、膜特性の低下の原因となる活性
種のポリマリゼーションを防ぎ高品質の堆積膜が得られ
るだけではなく、プラズマ中でのポリシランなどの粉末
の発生を抑え、かつ、堆積速度の飛躍的向上が図れると
されている。一方、米国特許第4729341号明細書には、
一対の放射型導波管アプリケータを用いた高パワープロ
セスによって、大面積の円筒形基体上に光導電性半導体
薄膜を堆積形成させる低圧マイクロ波プラズマCVD法
及び装置が開示されている。
【0016】マイクロ波プラズマCVD法を用いて大面
積に均質な堆積なくを形成するためには、マイクロ波パ
ワーや原料ガスの空間的密度(濃度)分布を制御して、
均質なプラズマを生起、維持しなければならない。ま
た、ロール・ツー・ロール方式すなわち基板移動成膜方
式においては、堆積膜の膜厚方向に組成分布を持たせる
ためには、空間的組成分布を有するプラズマになるよう
制御する必要がある。
【0017】このようなプラズマを生起・維持するため
には、反応容器(堆積膜形成容器)に複数のマイクロ波
導入手段を設け、これらマイクロ波導入手段から反応容
器に放射伝播するマイクロ波のエネルギー分布を制御
し、あるいは、複数のガス供給手段を設けて反応容器内
の原料ガスの濃度分布を調整することが行なわれる。
【0018】均質なプラズマを長時間にわたって維持す
るためには、反応容器に供給されるマイクロ波エネルギ
ーを一定に維持する必要がある。マイクロ波エネルギー
を一定に維持する方法としては、マイクロ波の進行波エ
ネルギーと反射波エネルギーとをそれぞれモニターし、
進行波エネルギーから反射波エネルギーを減じることに
よって実効的な供給エネルギーを求め、この供給エネル
ギーが一定になるように制御を行なう方法がある。しか
し、進行波と反射波のモニターはマイクロ波電源から反
応容器に至る途中の導波管上で行なわれるので、反応容
器への実際の供給エネルギーを正確に求めることができ
ないという問題点がある。一方、反応容器内のプラズマ
パラメータを探針によってモニターし、各パラメータ値
が一定となるようにマイクロ波電源からのマイクロ波エ
ネルギーを制御する方法もある。しかし、複数のマイク
ロ波導入手段を有する大面積のマイクロ波プラズマCV
D装置では、マイクロ波相互の干渉があるため、大面積
にわたってプラズマをモニターして一様なプラズマを維
持するのは困難である。
【0019】以上の述べたような公知のプラズマCVD
法と基板を移動させながら成膜を行なう基板移動成膜法
とを組み合わせた、移動成膜式マイクロ波プラズマCV
D装置が各種提案されており、代表的には図8に示すよ
うなものである。
【0020】図8において、スリット状開口部954,
955を介して直列に接続された3個の成膜容器951
〜953は、それぞれ真空気密構造をなしている。各ス
リット状開口部954,955には、成膜容器951〜
953間で互いに原料ガスの混入を抑えるために、不活
性ガスを噴射するゲートガス導入手段(不図示)がそれ
ぞれ設けられている。スリット状開口部954,955
の具体例としては、米国特許出願番号204,493号などに
記載されているガスゲートが挙げられる。これら各成膜
容器951〜953およびスリット状開口部954,9
55を貫通するようにして長尺の帯状の基板956が配
置されている。基板956は、長手方向に連続的に搬送
可能なものであって、繰り出し室974内に設けられた
繰り出しローラ957から繰り出され、巻き取り室97
5内に設けられた巻き取りローラ958に巻き取られる
ようになっている。繰り出し室974と巻き取り室97
5は、それぞれ排気装置976,977に連通してい
る。
【0021】各成膜容器951〜953は、それぞれ、
排気口968〜970を介して排気装置971〜973
に連通している。また、各成膜容器951〜953に
は、基板956を加熱するためのランプヒータ959〜
961と誘電体窓965〜967が設けられている。各
誘電体窓965〜967は、マイクロ波電力を成膜容器
内に効率よく透過しかつ真空気密を保持し得るような材
料、例えば石英ガラス、アルミナセラミックスなどで形
成されている。この誘電体窓965〜967の成膜容器
外側には、マイクロ波の伝送路であって主として金属製
である導波管(不図示)が接続され、整合アイソレータ
(不図示)を介してマイクロ波電源(不図示)に接続さ
れている。さらに、図示左右の2個の成膜容器951,
953には原料ガス供給管962,963が設けられ、
図示中央の成膜容器952には原料ガス供給管を兼ねバ
イアス電圧を印加するためのバイアス電圧印加棒964
が設けられている。
【0022】こうした従来のマイクロ波プラズマCVD
装置による堆積膜形成は以下のようにして行なわれる。
すなわち排気装置971〜973により、それぞれ成膜
容器951〜953内を排気して所望の圧力に調整す
る。次いでランプヒータ959〜961に通電して、基
板956の温度を膜堆積に好適な温度に加熱保持する。
このとき基板956は、繰り出しローラ957から巻き
取りローラ958へと好適な速度で搬送されている。原
料ガス供給管962,963と原料ガス供給管を兼ねた
バイアス電圧印加棒964を介して、例えばpin構造
の光起電力素子を形成する場合であれば、それぞれ、シ
ラン(SiH4)ガスとジボラン(B26)ガスの混合
ガスなど、シランガスなど、シランガスとホスフィン
(PH3)ガスの混合ガスなどを成膜容器951〜95
3に導入し、またバイアス印加棒964により適当な直
流バイアス電圧を印加する。それと同時平行的にマイク
ロ波電源(不図示)を作動させて周波数500MHz以
上の好ましくは2.45GHzのマイクロ波を発生さ
せ、そのマイクロ波を導波管(不図示)を通じ誘電体窓
965〜967を介して成膜容器951〜953内にそ
れぞれ導入する。かくして成膜容器951〜953内の
原料ガスはマイクロ波のエネルギーにより励起されて解
離し、基板956の表面にp型半導体層、i型半導体
層、n型半導体層と順次堆積膜が形成されることにな
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
従来の堆積膜形成方法では、例えば電子写真感光体や太
陽電池などのように大面積の基板上に堆積膜を大量に連
続して安定に形成することが難しく、かつコストも高い
ものとなっていた。また、膜厚方向に連続的に組成が変
化する大面積の堆積膜を均一に形成することが困難であ
るという問題点もある。
【0024】すなわち、上述したようにマイクロ波エネ
ルギーを一定に保つための制御方法が不十分であり、大
量の堆積膜を均一に形成することが難しい。
【0025】また、1辺の長さが300mmを越えるよ
うな大面積の部材を作成する場合、反応容器(成膜容
器)は概ね10リットル以上の容量となる。この反応容
器内にシランやゲルマン(GeH4)などの原料ガスを
導入して圧力を5〜20mTorrとしグロー放電を生起さ
せる場合、必要となるマイクロ波電力は2〜4kW程度
であった。そこでグロー放電の生起を容易にするため、
点火用のアーク放電を起こす機構を反応容器内に設ける
という提案がなされている(特開昭59-158323)。しか
しながらこの場合、アーク放電用の電極がスパッタされ
て堆積膜中に不純物として混入し、堆積膜の電気的特性
を劣化させるという新たな問題点を生じていた。グロー
放電の生起を容易にする別の方法として、磁場とマイク
ロ波との相互作用により電子サイクロトロン共鳴(EC
R)を起こさせる方法も一般に知られているが(特公昭
63-67332)、この場合も直径150mm以上の大面積に
わたって均一な磁場を形成するには膨大な装置コストを
必要とし、経済性において甚だ不十分であった。
【0026】さらに、上述のロール・ツー・ロール方式
による堆積膜形成方法では、帯状の基板を連続的に移動
させながら堆積膜を形成するので、基板がグロー放電領
域を通過する間に成膜が行なわれる。したがって堆積膜
の膜厚は、堆積速度とグロー放電領域の通過速度とによ
って比較的容易に制御することができる。一方、膜厚方
向に組成分布を持たせるためには、基板が連続的に移動
しているので、グロー放電領域内の膜形成雰囲気につい
て、基板の移動方向に分布を持たせる必要がある。しか
し、原料ガスの組成、圧力あるいはグロー放電のエネル
ギー密度といった膜形成雰囲気について、再現性よくこ
のような分布を持たせることは困難である。基板を固定
させておく方式の堆積膜形成方法においても、堆積膜の
均一性が損なわれるという理由により、膜形成雰囲気に
分布を持たせることは行なわれていない。
【0027】a−Siなどのアモルファス系堆積膜を形
成する場合、マイクロ波電力のほかに基板にバイアス電
圧による電界を加えることで堆積膜の特性が向上する場
合があることが知られている。しかし、移動成膜式マイ
クロ波プラズマCVD装置における最適なバイアス印加
方法は見い出されていない。図9は、従来の装置におけ
るバイアス電界のかかり方を示す模式図である。ここで
は、成膜容器943のほぼ中央に、帯状の基板941の
表面に対して平行にかつ基板941の長手方向に対して
垂直に延びるバイアス印加棒942が設けられている。
そして図中の矢印は電界を示している。この図から明ら
かなように、成膜容器943の端部付近(図示区間L)
とそれ以外の場所とでは基板941に加わる電界の大き
さが変化し、このために基板941の搬送の過程で印加
される電界が変化することになる。特に、成膜容器94
3に入った直後と出る直前にある基板(図示区間Lにあ
るとき)に対しては、成膜容器941のほぼ中央部にあ
る基板と比べ、直流バイアスのかかり方が極度に弱まっ
てしまう。このことにより、成膜容器941の端部付近
で形成される堆積膜の特性は、成膜容器941の中央部
で形成される堆積膜の特性よりも劣ることになる。例え
ば、pin型光起電力素子の形成に当ってバイアス電圧
を印加しながらi層の成膜を行なう場合、p層とi層と
の界面、あるいはi層とn層との界面で特性の悪いi層
が堆積されることになり、光起電力素子としての特性を
大きく低下させることになる。
【0028】さらにまたマイクロ波によって生起するプ
ラズマでは、プラズマにバイアス電圧を印加することに
よりプラズマ電位を制御することが可能であるが、長時
間の連続成膜において安定して高品質の堆積膜を形成す
るに当っては、解決しなければならない問題点が種々残
されている。
【0029】具体的には、マイクロ波プラズマにバイア
ス電圧を印加することにより所望の品質の堆積膜を比較
的大面積にわたって成膜することができるが、バイアス
電圧を印加することによるバイアス電流は、その流れる
壁面の状態に非常に敏感であり、バイアス電流の安定性
が堆積膜の特性を大きく左右することになる。例えば、
マイクロ波プラズマを用いたロール・ツー・ロール方式
による堆積膜形成方法では、成膜容器の一面を構成する
帯状の基板を連続的に移動させながら、所望の膜厚の堆
積膜をこの基板上に形成させる一方、固定されている成
膜容器の内壁には堆積膜が大量に付着することになる。
その結果、例えばバイアス印加棒などによってバイアス
電圧を印加する場合、バイアス電流の流れ込む壁面の状
態すなわち導電性は、移動しつつある基板上では一定で
あるが、成膜容器を構成する壁面上では大きく変化して
くる。この状態で成膜容器内に供給されるマイクロ波エ
ネルギーとバイアス電圧とを一定とすると、見かけ上バ
イアス電流値は一定にはなるが、実際には基板に流れ込
むバイアス電流が増加し、成膜容器の壁面に流れ込むバ
イアス電流が減少することになる。したがって、基板上
に堆積される膜の膜質はバイアス電流の変化に伴い大き
く変化してしてしまい、連続して一定の特性を有する堆
積膜を再現性よく形成することは困難である。
【0030】また、上述のロール・ツー・ロール方式に
よる堆積膜形成方法では、マイクロ波プラズマ領域中に
帯状の基板を通過させるため、プラズマ領域を取り囲む
成膜容器にスリット状の穴を設け、この穴に基板を通す
ようになっている。このため、この穴の部分において基
板と成膜容器との間に隙間が生じ、マイクロ波プラズマ
や原料ガスそのものがこの隙間を通して漏れ易く、安定
して膜形成雰囲気を維持することが困難である。
【0031】本発明の目的は、高品質の堆積膜を大面積
の基板上に、連続かつ特性にばらつきなく、安定して再
現性よく形成することのできる堆積膜形成方法と堆積膜
形成装置とを提供することにある。膜厚方向に組成が変
化しない堆積膜のみならず、膜厚方向に組成の分布があ
る堆積膜も、連続かつ特性にばらつきなく、安定して再
現性よく形成することのできるようにすることも目的で
ある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の堆積膜形成方法
は、マイクロ波電源に接続する方形導波管と一端が前記
方形導波路に接続する円形導波管と前記円形導波管の他
端に設けられた円形誘電体窓とから少なくともなるマイ
クロ波導入手段と、基板に対向する開口部を備え前記マ
イクロ波導入手段からマイクロ波が導入される放電容器
とを有する堆積膜形成装置を使用し、前記基板上に堆積
膜を形成する堆積膜形成方法において、前記円形誘電体
窓の表面に垂直であってかつ前記マイクロ波の進行方向
および前記基板の表面に平行な部分を有するT字形の棒
状部と、前記棒状部の先端部に設けられ前記誘電体窓の
表面に平行である円板部とからなるバイアス電極を前記
放電容器内に設け、前記マイクロ波の波長をλとすると
き前記円板の直径φが、λ/10≦φ≦λ/6を満たす
ようにする。
【0033】本発明の堆積膜形成装置は、基板に対向す
る開口部を有する放電容器と、前記放電容器にマイクロ
波を導入するマイクロ波導入手段とを有し、前記マイク
ロ波導入手段が、少なくとも、マイクロ波電源に接続す
る方形導波管と、一端が前記方形導波路に接続する円形
導波管と、前記円形導波管の他端に設けられた円形誘電
体窓とからなる堆積膜形成装置において、前記円形誘電
体窓の表面に垂直であってかつ前記マイクロ波の進行方
向および前記基板の表面に平行な部分を有するT字形の
棒状部と、前記棒状部の先端部に設けられ前記誘電体窓
の表面に平行である円板部とからなるバイアス電極が前
記放電容器内に設けられ、前記マイクロ波の波長をλと
するとき、前記円板の直径φが、λ/10≦φ≦λ/6
を満たすことを特徴とする堆積膜形成装置。
【0034】
【作用】本発明は、本出願人による特開平3-30419、特
開平3-219081の各公報に記載された発明をさらに発展さ
せ、以下の2つの知見をもとに完成させたものである。 [知見1]…マイクロ波の進行方向に対して、放電容器
内外のインタフェース部分となる誘電体窓の前後に反射
面を設け定在波を形成させれば、簡単で経済的な構造で
放電生起が容易になる。 [知見2]…放電生起後のマイクロ波の反射を抑制して
実効電力を上昇させ、同時にスパークの発生も抑制すれ
ば、高速度で安定な成膜が可能になる。
【0035】本発明者らがこれら知見を空洞共振器に適
用したものは、特開平1-100273、特開平1-100274、特開
平1-198467の各公報に開示されている。ここで本発明の
作用についてさらに詳しく説明する。ここで、「方形導
波管と円形導波管の変換部」を「変換面1」、「バイア
ス電極の円盤部」を「端面1」、「誘電体窓と放電容器
の境界面」を「境界面1」、「マイクロ波の反射波」を
「反射波」ということにする。すなわち、変換面1がマ
イクロ波の進行方向に関して誘電体窓の手前の反射面に
相当し、端面1と境界面1とが誘電体窓の先方の反射面
に相当する。
【0036】まず、[知見2]に関する放電生起後の反
射抑制について説明する。ここで放電生起後に生じた
「プラズマと誘電体窓との境界面」を「境界面2」とい
うことにする。
【0037】放電生起後の状態では、マイクロ波電力の
多くがプラズマに吸収されるため、プラズマにそれぞれ
接触している端面1および境界面1は、マイクロ波の反
射面としては機能しなくなる。したがって、マイクロ波
の反射を抑制するため、境界面2と変換面1とでそれぞ
れ生じた2つの反射波が互いに打ち消し合うようにする
ことが望ましい。
【0038】ここで、この2つの反射波を互いに打ち消
し合う方法について説明する。境界面2で生ずる反射波
の強度は、プラズマ密度と誘電体窓の材質に依存する。
プラズマ密度は、ガス種・ガス流量・放電炉内圧力・投
入するマイクロ波電力で決まり、これら諸量は所望する
堆積膜の膜質・特性と深く関係しているため調節は事実
上できない。したがって、上記反射波を打ち消すために
は、変換面1の構造を調節することが必要である。境界
面2からの反射波が小さい場合は、変換面1を電磁ホー
ンいわゆるテーパー管にすればよい。境界面2からの反
射波が大きい場合には、構造上の工夫が必要であり、そ
の場合の反射波を抑制する方法について以下に説明す
る。
【0039】一般に、マグネトロンから放射されたマイ
クロ波は、方形導波管、円形導波路を介して放電容器に
給電される。方形導波管に接続される円形導波管の径
は、方形導波管の外接円より大きい方がマイクロ波の伝
送には好都合である。そして、変換面1からの反射波の
強度は、方形導波管・円形導波管の内寸を決めると一義
的に決まる。したがって、境界面2からの反射波に対し
て変換面1の反射波を同一振幅で位相がπだけずれるよ
うにすればよい。このように位相を調節するには、いわ
ゆるチューナーを設ければよい。
【0040】チューナーには、内部チューナーと外部チ
ューナーがある。外部チューナーはEHチューナー、ス
タブ・チューナーなどが例示でき、内部チューナーは絞
りやマッチング・ポストなどが知られている。これらの
チューナーのひとつを採用して、上記のような境界面2
からの反射面が大きい場合であっても、打ち消すことが
できる。換言すれば、プラズマ界面でインピーダンスの
整合が悪い場合であっても、変換面1近傍でインピーダ
ンスを整合させることができる。
【0041】次に、[知見2]に関する放電生起後のス
パーク抑制について説明する。
【0042】本発明の装置は、バイアス電極に正のバイ
アス電圧を印加し、放電容器の壁面および基板を接地す
ることにより、プラズマ中のイオンが基板に向かって加
速されるように構成されている。そして、このバイアス
電圧は、所望の堆積膜の膜質を得るように最適化されて
いる。この最適化されたバイアス電圧は、所望する堆積
膜の種類や必要とされる機能(例えば、光起電力や光導
電性、絶縁性など)に応じて異なる。このバイアス電圧
が高い場合、マイクロ波電力によるグロー放電生起後に
間欠的なスパークが発生することが多い。本発明者ら
は、この種のスパークを抑制するには、バイアス電極端
部の表面積を大きくすればよいことを見い出した。以下
に、本発明者らがバイアス電極端部の形状を変えながら
行なった実験(比較実験例1〜7)の結果について説明
する。 [比較実験例1〜7]実験は後述の実施例で図1を用い
て示した放電容器205を用いて行なった。ここで、実
験の共通条件は次の通りである。
【0043】
【表1】 実験の手順は、まず、340sccmのSiH4を放電
容器205内に流しながら定格出力3kWのマイクロ波
電源から一方のマイクロ波アプリケーター213に1.
3kW程度のマイクロ波電力を投入して、放電を開始さ
せる。そして他方のマイクロ波アプリケーター213に
も同様にマイクロ波電力を投入し、放電させる。次に、
バイアス電極206に80Vの直流バイアス電圧を印加
し、そのときのバイアス電流値をモニターして放電の安
定性を調べる。放電が安定した時点で、表1に示す条件
に設定する。この状態を30分間連続して、帯状の基板
201上にa−Si膜を成膜した場合のスパークの発生
状況とバイアス電流値を以下の表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2から明らかな通り、[バイアス電極両
端に円盤あり」で円盤の外径φが、λ/10≦φ≦λ/
6の場合にスパークが起こらないことが判明した。ここ
でλはマイクロ波の波長である。
【0046】また、比較実験例2と3の場合について、
放電容器の内圧と放電維持電力との関係を調べた。その
結果を図10に示す。ここで放電容器の内圧は、放電後
の値であり、また放電維持電力とは、対向する2つのマ
イクロ波アプリケーターから放電容器内に投入されるマ
イクロ波電力を徐々に減少させた場合の、放電の発光が
不安定となる直前のマイクロ波電力の総和である。な
お、この関係は、バイアス電圧を印加しない条件で測定
した。この図10において、各比較実験例に対応する曲
線の右上に領域が、それぞれの比較実験例での放電維持
可能領域である。また図中の◎印は堆積膜の膜質などか
ら要求される典型的な成膜条件である。
【0047】これら各曲線と◎印で示した成膜条件の位
置関係をみると、比較実験例1の曲線の境界ぎりぎりの
ところに成膜条件が位置していることがわかる。したが
って、所望とする成膜条件に対して、放電維持可能領域
の境界となる曲線が図の左下に位置するようバイアス電
極の形状を最適化すればよい。
【0048】次に、[知見1]に関する定在波の形成に
よる放電生起の容易さについて説明する。
【0049】前述の方形導波管・円形導波管・円形誘電
体窓を介して放電容器内にマイクロ波電力を投入する場
合、上記の変換面1、端面1、境界面1の間に定在波が
形成されることによって、マイクロ波電力によるグロー
放電が生起しやすい状況となる。このとき、端面1の反
射波の強度があるレベル以上でないと放電開始は困難と
なる。
【0050】本発明の装置においては、端面1の反射波
の強度を大きく維持するため、誘電体窓表面に平行な方
向のバイアス電極の断面積が、誘電体窓の最近接部分に
おいて比較的大きくなるよう設計されている。具体的に
は、棒状のバイアス電極の誘電体窓に近い端部に、誘電
体窓表面に平行になるよう円盤が設けられている。
【0051】《本発明の方法および装置によって形成さ
れる堆積膜の例》以上、本発明について説明したが、こ
こで本発明の堆積膜形成方法および堆積膜形成装置によ
って形成される堆積膜の例について説明する。
【0052】このような堆積膜としては、Si,Ge,C
などのIV族半導体薄膜およびこれに価電子制御元素を含
有させたものが代表として挙げられる。このほか、Si
Ge,SiC,GeC,SiSn,GeSn,SnCなどのI
V族合金半導体薄膜、GaAs,GaP,GaSb,In
P,InAsなどの III−V族化合物半導体薄膜、Zn
Se,ZnS,ZnTe,CdS,CdSe,CdTeなど
のII−VI族化合物半導体薄膜、CuAlS2,CuAlS
2,CuAlTe2,CuInS2,CuInSe2,CuI
nTe2,CuGaS2,CuGaSe2,CuGaTe,A
gInSe2,AgInTe2などのI−III−VI族化合物
半導体薄膜、ZnSiP2,ZnGeAs2,CdSiAs
2,CdSnP2などのII−IV−V族化合物半導体薄膜、
Cu2O,TiO2,In23,SnO2,ZnO,CdO,B
23,CdSnO4などの酸化物半導体薄膜、およびこ
れらの半導体薄膜に価電子を制御するための価電子制御
元素を含有させたものを挙げることが出来る。もちろ
ん、これらの薄膜半導体は、非晶質(アモルファス)、
多結晶、微結晶、単結晶のいずれの結晶性のものであっ
てもよい。また、膜厚方向に組成を変化させた堆積膜の
例として、もちろんa−Si:H、a−Si:H:Fなど
の非晶質半導体において、水素および/またはフッ素含
有量を変化させたものである。
【0053】前述の堆積膜を形成するために用いられる
堆積膜形成用の原料ガスは、所望の堆積膜の組成に応じ
て適宜その混合比を調製して成膜空間内に導入される。
【0054】上述のIV族半導体またはIV族合金半導体薄
膜を形成するために好適に用いられる、周期律表第IV族
元素を含む化合物としては、Si原子、Ge原子、C原
子、Sn原子、Pb原子を含む化合物であって、具体的
にはSiH4,Si26,Si38,Si36,Si48,S
510等のシラン系化合物、SiF4,(SiF2)5,(S
iF2)6,(SiF2)4,Si26,Si38,SiHF3,S
iH22,Si224,Si233,SiCl4,(SiC
2)5,SiBr4,(SiBr2)5,Si2Cl6,Si2
6,SiHCl3,SiHBr3,SiHI3,Si2Cl3
3などのハロゲン化シラン化合物、GeH4,Ge26
どのゲルマン化合物、GeF4,(GeF2)5,(GeF2)6,
(GeF2)4,Ge26,Ge38,GeHF3,GeH22,
Ge224,Ge233,GeCl4,(GeCl2)5,G
eBr4,(GeBr2)5,Ge2Cl6,Ge2Br6,GeH
Cl3,GeHBr3,GeHI3,Ge2Cl33などのハ
ロゲン化ゲルマニウム化合物、CH4,C26,C38
どのメタン列炭化水素、C24,C 36などのエチレン
列炭化水素、C66などの環状炭化水素、CF4,(C
2)5,(CF2)6,(CF2)4,C26,C38,CHF3,CH
22,CCl4,(CCl2)5,CBr4,(CBr2)5,C2Cl
6,C2Br6,CHCl3,CHI3,C2Cl33などのハロ
ゲン化炭素化合物、SnH4,Sn(CH3)4などのスズ化
合物、Pb(CH3)4,Pb(C25)6などの鉛化合物など
を挙げることができる。これらの化合物は1種で用いて
も2種以上混合して用いても良い。
【0055】また、上述のIV族半導体あるいはIV族合金
半導体を価電子制御するために用いられる価電子制御剤
としては、p型の不純物として、周期律表第III族の元
素、例えばB,Al,Ga,In,Tlなどが好適なものと
して挙げられ、n型不純物として、周期律表第V族の元
素、例えばN,P,As,Sb,Biなどが好適なものとし
て挙げられる。ことに、B,Ga,P,Sbなどが最適で
ある。ドーピングされる不純物の量は、要求される電気
的、光学的特性に応じて適宜決定される。このような不
純物導入用の原料物質としては、常温常圧でガス状態
の、または少なくとも膜形成条件下で容易にガス化し得
るものが採用される。そのような不純物導入用の出発物
質として具体的には、PH3,P24,PF3,PF5,PC
3,AsH3,AsF3,AsF5,AsCl3,SbH3,Sb
5,BiH3,BF3,BCl3,BBr3,B26,B410,
59,B511,B610,B612,AlCl3などを挙げ
ることが出来る。上記の不純物元素を含む化合物は、1
種用いても2種以上併用してもよい。
【0056】上述のII−VI族化合物半導体を形成するた
めに用いられる、周期律表第II族元素を含む化合物とし
ては、具体的には、Zn(CH3)2,Zn(C25)2,Zn
(OCH3)2,Zn(OC25)2,Cd(CH3)2,Cd(C2
5)2,Cd(C37)2,Cd(C49)2,Hg(CH3)2,Hg
(C25)2,Hg(C65)2,Hg[C≡(C65)]2などが
挙げられる。また周期律表第VI族元素を含む化合物とし
ては、具体的にはNO,N2O,CO2,CO,H2S,SCl
2,S2Cl2,SOCl2,SeH2,SeCl2,Se2Br2,
Se(CH3)2,Se(C25)2,TeH2,Te(CH3)2,T
e(C25)2などが挙げられる。もちろん、これらの原
料物質は1種のみならず2種以上混合して使用すること
も出来る。
【0057】このII−VI族化合物半導体を価電子制御す
るために用いられる価電子制御剤としては、周期律表
I,III,IV,V族の元素を含む化合物などを有効なものと
して挙げることができる。具体的にはI族元素を含む化
合物としては、LiC37,Li(sec-C49),Li2S,
Li3Nなどが好適なものとして挙げることができる。
また、III族元素を含む化合物としては、BX3,B26,
410,B59,B511,B610,B(CH3)3,B(C2
5)3,B612,AlX3,Al(CH3)2Cl,Al(CH3)3,
Al(OCH3)3,Al(CH3)Cl2,Al(C25)3,Al
(OC25)3,Al(CH3)3Cl3,Al(i-C49)3,A
l(i-C37)3,Al(C37)3,Al(OC49)3,Ga
3,Ga(OCH3)3,Ga(OC25)3,Ga(OC
37)3,Ga(OC49)3,Ga(CH3)3,Ga26,Ga
H(C25)2,Ga(OC25)(C25)2,In(CH3)3,
In(C37)3,In(C49)3、V族元素を含む化合物
としてはNH3,HN3,N253,N24,NH43,PX
3,P(OCH3)3,P(OC25)3,P(OC 37)3,P(OC
49)3,P(CH3)3,P(C25)3,P(C37)3,P(C4
9)3,P(SCN)3,P24,PH3,AsH3,AsX3,As
(OCH3)3,As(OC25)3,As(OC37)3,As(O
49)3,As(CH3)3,As(C25)3,As(C65)3,
SbX3,Sb(OCH3)3,Sb(OC25)3,Sb(OC3
7)3,Sb(OC49)3,Sb(CH3)3,Sb(C37)3,
Sb(C49)3などが挙げられる。なお、Xはハロゲン
元素(F,Cl,Br,I)を示す。もちろん、これらの
原料物質は1種であってもよいが、2種またはそれ以上
を併用してもよい。さらに、IV族元素を含む化合物とし
ては前述した化合物を用いることが出来る。
【0058】上述のIII−V族化合物半導体を形成する
ために用いられる、周期律表第III族元素を含む化合物
としては、II−VI族化合物半導体を価電子制御するため
に用いられるIII族元素を含む化合物として上述したも
のをそのまま使用することができ、また、周期律表第V
族元素を含む化合物としては、II−VI族化合物半導体を
価電子制御するために用いられるV族元素を含む化合物
として上述したものを同様にそのまま使用することがで
きる。もちろん、これらの原料物質は1種であってもよ
いが、2種またはそれ以上を併用してもよい。
【0059】このIII−V族化合物半導体を価電子制御
するために用いられる価電子制御剤としては、周期律表
II,IV,VI族の元素を含む化合物などを有効なものとして
挙げることができる。このような化合物としては、上述
したII族元素を含む化合物、上述したIV族元素を含む化
合物、上述したVI族元素を含む化合物をそれぞれ使用す
ることができる。
【0060】上述した各原料ガスは、He,Ne,Ar,
Kr,Xeなどの希ガス、あるいはH 2,HF,HClなど
の希釈ガスと混合して堆積膜形成装置に導入してもよ
い。また、これら希ガスや希釈ガスを原料ガスとは独立
に堆積膜形成装置に導入するようにしてもよい。
【0061】また、これら半導体薄膜の堆積膜を形成す
る場合、堆積膜のバンドギャップ幅を変化させるなどの
特性改善ガスとして、N2,NH3などの窒素原子を含む
分子、O2,NO2などの酸素原子を含む分子、CH4,C2
6,C24,C22,C38などの炭化水素、SiF4,S
26,GeF4などのフッ化物、またはこれらの混合ガ
スが挙げられる。
【0062】本発明においては、堆積膜の膜厚方向に制
御された組成分布を形成することが可能であるが、上述
した半導体薄膜において組成制御を行うことにより、禁
制帯幅制御、価電子制御、屈折率制御、結晶制御などが
行われる。帯状の基板上に膜厚方向に組成制御された堆
積膜を形成させることにより、電気的、光学的、機械的
に優れた特性を有する大面積の薄膜半導体デバイスを作
製することが出来る。すなわち、堆積形成された半導体
層の膜厚方向に禁制帯幅及び/又は価電子密度を変化さ
せることによりキャリアの走行性を高めたり、半導体界
面でのキャリアの再結合を防止することで電気的特性が
向上する。また、屈折率を連続的に変化させることによ
り光学的無反射面とすることができ、半導体層中への光
透過率を向上させることができる。さらには、水素含有
量などを変化させることによって、構造的変化を与える
ことができ、内部応力が緩和されて、基板との密着性の
高い堆積膜を形成することができる。
【0063】本発明において堆積膜の形成される基板と
しては、特にその材質が限定されるものではないが、例
えば、Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,
Pt,Pdなどの金属、これらの合金やステンレス鋼、
表面を導電処理したポリカーボネートなどの合成樹脂、
ガラス、セラミックス、紙などが通常使用される。
【0064】《太陽電池の構成例》本発明の堆積膜形成
方法および堆積膜形成装置を用いて好適に製造される半
導体デバイスの一例として、光起電力素子すなわち太陽
電池がある。その層構成として典型的なものであるアモ
ルファスシリコン系太陽電池について、図11(a)〜(d)
を用いて説明する。
【0065】図11(a)に示した太陽電池は、基板90
1の上に、下部電極902、n型半導体層903、i型
半導体層904、p型半導体層905、透明電極906
が順次積層され、さらに透明電極906の上に格子状の
集電電極907が形成された構造となっている。この太
陽電池は、透明電極906の側から光が入射されること
を前提としたものである。なお、下部電極902は、各
半導体層903〜905をはさんで透明電極906に対
向する電極のことである。
【0066】図11(b)に示した太陽電池は、基板90
1が透光性のものであって、この基板901の側から光
が入射するものであり、基板901の上に、透明電極9
06、p型半導体層905、i型半導体層904、n型
半導体層903、下部電極902が順次積層された構成
となっている。
【0067】以上の各太陽電池は、pin接合を1組の
み有するものであったが、入射光の利用効率を向上させ
るため、2組のpin接合を積層させることが行なわれ
る。図11(c)は2組のpin接合を有する太陽電池
(いわゆるタンデム型太陽電池)の構成を示すものであ
り、この太陽電池は、基板901の上に、下部電極90
2、第1のpin接合911、第2のpin接合91
2、透明電極906、集電電極907が順次積層された
構成となっている。光は、透明電極906の側から入射
する。各pin接合911,912は、もちろん、n型
半導体層903、i型半導体層904、p型半導体層9
05が積層した構造であるが、i型半導体層904につ
いては、光電変換効率を向上させるために、第1および
第2のpin接合911,912のそれぞれによってバ
ンドギャップや膜厚を異ならせることが行なわれる。
【0068】さらに、光電変換効率を向上させるため、
3組のpin接合を積層させることが行なわれる。図1
1(d)は3組のpin接合を有する太陽電池(いわゆる
トリプル型太陽電池)の構成を示すものであり、この太
陽電池は、基板901の上に、下部電極902、第1の
pin接合911、第2のpin接合912、第3のp
in接合913、透明電極906、集電電極907が順
次積層された構成となっている。光は、透明電極906
の側から入射する。この太陽電池においても、光電変換
効率の向上のため、i型半導体層904のバンドギャッ
プや膜厚は、各pin接合911〜913のそれぞれに
おいて異なるようにされる。
【0069】次に、上述した太陽電池の各構成要素の詳
細について説明する。なお、図11(a)〜(d)に示した各
太陽電池においては、n型半導体層903とp型半導体
層905とを比較すると、p型半導体層905の方が光
入射側に位置するようになっているが、n型半導体層9
03の方が光の入射側に位置するような層構成とするこ
とも可能である。
【0070】まず、基板901について説明する。
【0071】この太陽電池において使用される基板90
1は、曲げやすく湾曲形状を形成し得る材質のものが好
適に用いられ、導電性のものであっても、また電気絶縁
性のものであってもよい。基板901は透光性のもので
あっても、また非透光性のものであってもよいが、基板
901の側より光入射が行われる場合には、もちろん透
光性であることが必要である。具体的には、本発明の各
実施例で使用されるような帯状の基板を挙げることがで
きる。帯状の基板を用いることにより、本発明の方法お
よび装置によって太陽電池を基板上に連続的に形成で
き、太陽電池の軽量化、強度向上、運搬スペースの低減
などを図ることができる。
【0072】次に、太陽電池から電力を取り出すための
電極について説明する。
【0073】この太陽電池では、その構成形態により適
宜の電極が選択使用される。それらの電極としては、下
部電極902、透明電極906、集電電極907を挙げ
ることができる。(ただし、ここでいう透明電極906
とは光の入射側に設けられたものを示し、下部電極90
2とは各半導体層903〜905をはさんで透明電極9
06に対向して設けられたものを示すこととする。)こ
れらの電極について以下に詳しく説明する。
【0074】(i) 下部電極902 下部電極902としては、上述した基板901の材料が
透光性であるか否かによって、光起電力発生用の光を照
射する面が異なるので(たとえば基板901が金属など
の非透光性の材料である場合には、図11(a)で示した
ように、透明電極906側から光を照射する。)、その
設置される場所が異なる。
【0075】具体的には、図11(a),(c),(d)のような
層構成の場合には、電流取り出し用の電極として、基板
901とn型半導体層903との間に、下部電極902
が設けられる。なお、基板901が導電性である場合に
は、この基板901が下部電極902を兼ねることがで
きるので、下部電極902を省略することができる。た
だし、基板901が導電性であってもシート抵抗値が高
い場合には、電流取り出し用の低抵抗の電極として、あ
るいは支持体面での反射率を高め入射光の有効利用を図
る目的で、下部電極902を設置してもよい。
【0076】図11(b)の場合には、透光性の基板90
1が用いられており、基板901の側から光が入射され
るので、電流取り出しおよび光反射用の目的で、下部電
極902が、基板901と対向し各半導体層903〜9
05をはさんで設けられている。
【0077】下部電極902の材料としては、Ag,A
u,Pt,Ni,Cr,Cu,Al,Ti,Zn,Mo,Wなど
の金属またはこれらの合金が挙げられ、これらの金属の
薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリングなど
で形成する。また、形成された金属薄膜が太陽電池の出
力に対して抵抗成分とならぬように配慮されねばなら
ず、下部電極902のシート抵抗値は、好ましくは50
Ω以下、より好ましくは10Ω以下であることが望まし
い。
【0078】下部電極902とn型半導体層903との
間に、導電性酸化亜鉛などの拡散防止層(不図示)を設
けてもよい。この拡散防止層の効果としては、下部電極
902を構成する金属元素がn型半導体層903中へ拡
散するのを防止するのみならず、若干の抵抗値をもたせ
ることで、各半導体層903〜905に生じたピンホー
ルなどの欠陥による、下部電極902と透明電極906
との間の短絡を防止すること、および薄膜による多重干
渉を発生させ入射された光を太陽電池内に閉じ込めるな
どのことを挙げることができる。
【0079】(ii) 透明電極906 透明電極906は、太陽や白色蛍光灯などからの光を各
半導体層903〜905内に効率良く吸収させるため
に、光の透過率が85%以上であることが望ましく、さ
らに、電気的には太陽電池の出力に対して抵抗成分とな
らぬようにシート抵抗値は100Ω以下であることが望
ましい。このような特性を備えた材料として、SnO2,
In23,ZnO,CdO,Cd2SnO4,ITO(In2
3+SnO2)などの金属酸化物や、Au,Al,Cuなど
の金属を極めて薄く半透明状に成膜した金属薄膜などが
挙げられる。透明電極は、図11(a),(c),(d)に示す太
陽電池においてはp型半導体層905の上に積層され、
図11(b)に示す太陽電池においては基板901の上に
積層されるものであるため、相互の密着性の良いものを
選ぶことが必要である。透明電極906の作製方法とし
ては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッ
タリング法、スプレー法などを用いることができ、所望
に応じて適宜選択される。
【0080】(iii) 集電電極907 集電電極907は、透明電極906の表面抵抗値を実効
的に低減させる目的で、透明電極906の上に格子状に
設けられる。集電電極907の材料としては、Ag,C
r,Ni,Al,Ag,Au,Ti,Pt,Cu,Mo,Wなど
の金属またはこれらの合金の薄膜が挙げられる。これら
の薄膜は積層させて用いることができる。また、各半導
体層903〜905へ入射する光量が十分に確保される
よう、その形状および面積は適宜設計される。
【0081】たとえば、その形状は太陽電池の受光面に
対して一様に広がり、かつ受光面積に対してその面積は
好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であ
ることが望ましい。また、シート抵抗値としては、好ま
しくは50Ω以下、より好ましくは10Ω以下であるこ
とが望ましい。
【0082】次に、n型半導体層903、i型半導体層
904、p型半導体層905について説明する。
【0083】(i) i型半導体層904 i型半導体層904を構成する半導体材料としては、a
−Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−SiC:
H,a−SiC:F,a−SiC:H:F,a−SiGe:H,
a−SiGe:F,a−SiGe:H:F,poly−Si:H,p
oly−Si:F,poly−Si:H:FなどのIV族半導体材料
およびIV族合金系半導体材料が挙げられる。このほか、
II−VI族化合物半導体材料やIII−V族化合物半導体材
料などが挙げられる。
【0084】i型半導体層904においては、光電変換
効率などの向上を目的として、膜厚方向に組成を変化さ
せ、バンドギャップに変化を持たせることが行なわれ
る。図12(a)〜(d)に、i型半導体層904におけるバ
ンドギャップの変化の様子(バンドギャッププロファイ
ル)の具体例を示した。図中→印は光の入射側を表わし
ている。
【0085】図12(a)に示したバンドギャッププロフ
ァイルは、i型半導体層904中において、バンドギャ
ップが一定のものである。図12(b)に示したバンドギ
ャッププロファイルは、i型半導体層904の光の入射
側のバンドギャップが狭く、徐々にバンドギャップが広
がるタイプのものである。バンドギャップの形状をこの
ようにすることにより、曲線因子(Fill Factor;FF)
の改善に効果がある。図12(c)に示したバンドギャッ
ププロファイルは、光の入射側のバンドギャップが広
く、徐々にバンドギャップが狭くなるタイプのものであ
り、開放電圧(V oc)の改善に効果がある。図12(d)
に示したバンドギャッププロファイルは、光の入射側の
バンドギャップが広く、比較的急峻にバンドギャップが
狭まり、再び広がっていくタイプのものであり、図12
(b)と(c)とを組み合わせて両者の効果を同時に得ること
ができるものである。このようにバンドギャップに変化
を持たせるためには、異なる半導体を組み合せればよ
い。例えば、a−Si:H(Eg opt=1.72eV)とa
−SiGe:H(Eg opt=1.45eV)とを組み合せる
と、図12(d)に示すバンドギャッププロファイルをも
つi型半導体層904を作製することが出来る。また、
a−SiC:H(Eg opt=2.05eV)とa−Si:H
(Eg opt=1.72eV)とを用いて、図12(c)に示す
バンドギャッププロファイルをもつi型半導体層904
を作製することが出来る。
【0086】また、i型半導体層904に微量に添加す
る不純物の濃度を膜厚方向に変化させることにより、導
電型をi型としたまま、i型半導体層904のフェルミ
レベルに変化を持たせることができる。バンドギャップ
プロファイルが図12(a)に示したものである(すなわ
ちバンドギャップが変化しない)i型半導体層904に
おける、フェルミレベルの変化の様子(フェルミレベル
プロファイル)の具体例を図13(a)〜(d)に示した。図
中→印は光の入射側を表わしている。
【0087】図13(a)は、不純物の添加を行なわない
i型半導体層904のフェルミレベルプロファイルであ
る。これに対し、図13(b)に示したものは、光の入射
側のフェルミレベルが価電子帯寄りで、徐々にフェルミ
レベルが伝導帯に寄るタイプのものであり、光発生キャ
リアの再結合を防ぎ、キャリアの走行性を高めるのに効
果がある。図13(c)に示したものは、光の入射側より
フェルミレベルが徐々に価電子帯に寄るタイプのもので
あり、光の入射側にn型半導体層を設けた場合に、図1
3(b)の場合と同様の効果がある。図13(d)に示したも
のは、光の入射側よりほぼ連続的にフェルミレベルが価
電子帯より伝導帯に変化しているタイプのものである。
これらはバンドギャップが一定の場合を例示している
が、図12(b)〜(d)に示すバンドギャッププロファイル
の場合においても、同様にフェルミレベルを制御するこ
とが出来る。
【0088】これらのバンドギャッププロファイルおよ
びフェルミレベルプロファイルの設計を適宜行うことに
より、光電変換効率の高い太陽電池を作製することが出
来る。特に、これらのバンドギャッププロファイルおよ
びフェルミレベルプロファイルの制御は、図11(c),
(d)に示した、いわゆるタンデム型またはトリプル型の
太陽電池のi型半導体層904に適用されるのが望まし
い。
【0089】(ii) p型半導体層905およびn型半
導体層903 p型半導体層905あるいはn型半導体層903は、前
述したi型半導体層904を構成する半導体材料に、価
電子制御剤を公知の方法でドーピングすることによって
得られる。
【0090】
【実施例】次に本発明の実施例について、図面を参照し
て説明する。
【0091】(実施例1)図1は、本発明の実施例での
堆積膜形成方法の実施に使用されるマイクロ波プラズマ
CVD装置の構成を示す透視概略図である。図2は、図
1を部分的に抜き出した説明図である。このマイクロ波
プラズマCVD装置200は、可撓性に富んだ帯状の基
板201に対して連続的に成膜を行なうためのものであ
る。
【0092】このマイクロ波プラズマCVD装置200
は、排気可能な不図示の真空容器と、この真空容器内に
設けられる放電容器205とを有している。放電容器2
05は、上面を基板201で実質的に構成された概ね直
方体形状の容器である。放電容器205の側壁のうち基
板201の搬送方向に平行な側壁には、マイクロ波導入
用の開口207がそれぞれ設けられている。この開口2
07には、後述するマイクロ波アプリケータ213が挿
入される。
【0093】不図示のマイクロ波電源は、方形導波管2
02、円形導波管203、円形誘電体窓204で構成さ
れるマイクロ波アプリケーター213を介して、放電容
器105に接続されている。円形導波管203は、ほぼ
方形導波管202の外接円となるように、内径が選ばれ
ている。また、円形誘電体窓204は、その実効的な厚
さがλ/2(λはマイクロ波の波長)となっている。円
形誘電体窓204の材質は、アルミナ・セラミックス、
石英、酸化ベリリウムなどマイクロ波の吸収の小さい
(すなわち、誘電正接(tan δ)が小さい)ものが望ま
しい。さらに、開口207とマイクロ波アプリケーター
213とが接触する箇所においては、復元力をもつリン
青銅製のスパイラル状ワイヤーをEMIシールド部材2
11として使用して電気的接触をとることが望ましい。
【0094】基板201としては、金属などマイクロ波
の反射体が選択される。ここで基板201の幅は放電容
器205の幅よりも一般に小さいため間隙が生じ、この
感激からマイクロ波およびプラズマが放電容器205の
外部に漏洩することになる。このことは、放電容器2
05内部の圧力制御、放電の安定維持、放電開始の
容易さ、安全性およびメンテナンス性の観点から好
ましくない。そこで図示した装置では、この間隙の部分
にマイクロ波漏洩防止板212a,212bを設置し、
上記の不都合を回避している。
【0095】図1においては、放電容器205のサイズ
は、例えば220(D)×140(H)×400(W)
[単位mm]であって、350mm幅の基板201に対
応できる。この基板201に対してその幅方向に均一な
成膜を行うため、図1に示す通り、放電容器205の幅
方向の両端に対向するように2つのマイクロ波アプリケ
ーター213を配置し、マイクロ波電力密度が放電容器
205内で均一になるよう成膜条件が設定されている。
この対向する2つのマイクロ波アプリケーター213
は、その対称軸を一致させ、同時に対称軸が基板201
と平行になるよう開口207を介して配置される。そし
てこの対称軸上にバイアス電極206を配置する。バイ
アス電極206は、絶縁ブッシュ221を介して放電容
器205に固定されている。このバイアス電極206は
T字形の棒状構造であって、円形誘電体窓204近傍の
バイアス電極206端部には、図2に示すように、円盤
222が取り付けられている。バイアス電極206は、
直流もしくは交流のバイアス電源208に接続されてい
る。円盤222の直径φは、マイクロ波の波長をλとす
るとき、λ/10≦φ≦λ/6を満たしている。
【0096】放電容器205に成膜用の原料ガスを導入
するために、放電容器205の底面部にガス導入ノズル
209が設けられている。底面にガス導入ノズル209
を設けるのは、放電容器205内にあってガス導入ノズ
ル209と基板201との距離を最大にして、原料ガス
の拡散を促進させ、基板201上に形成される堆積膜の
幅方向の膜質および膜厚の均一性を良好とするものであ
る。
【0097】この放電容器205に導入された成膜ガス
は、マイクロ波電力で解離して所望の堆積膜と反応生成
ガスとになり、その反応生成ガスは、ガス排気口210
を介して不図示の真空ポンプによって排気される。この
ガス排気口210は、放電容器205の側壁面上に多数
設けられた孔である。すなわちこのマイクロ波プラズマ
CVD装置200では、放電容器205の底面部より成
膜用の原料ガスが導入され、反応生成ガスは放電容器2
05の両側面上に設けられた多数のガス排気口210を
介して換気される。
【0098】基板201は、不図示の搬送機構によっ
て、図1中の左上から右下方向へ搬送されている。この
とき、基板201を搬送するための搬送ローラーは、基
板201の非成膜面側のみに接触することが望ましい。
そのためには、米国特許4,485,125号公報に提案されて
いるように、基板201をカテナリー状に徐々に湾曲さ
せて適当な張力を加えればよい。これについては図3を
参照して説明する。
【0099】図3は、図1に示したものと同様のマイク
ロ波プラズマCVD装置229を組み込んだ連続堆積膜
形成装置230の構成を示す図である。
【0100】この連続堆積膜形成装置230は、pin
接合を有する半導体素子を帯状の基板264上に形成す
るのに適したものであり、基板送り出し容器231、第
1のドープ層形成用真空容器232、マイクロ波プラズ
マCVD装置229、第2のドープ層形成用真空容器2
33、基板巻取り容器234を4個のガスゲート210
〜213によって直列に接続した構成となっている。ガ
スゲート240〜243は、各真空容器に導入された異
なる成膜ガスが隣接する真空容器に拡散しないするため
のものでり、ガス分離機能を生みだすために、ガス導入
管254〜257が接続されこれを介して分離用ガスが
流されている。分離用のガスの流量は、隣接する真空容
器間の圧力差・ガスゲートの寸法・分離用ガス種・クロ
スコンタミネーション許容量・真空ポンプの性能などに
依存するので、適宜調整することが望ましい。
【0101】基板送り出し容器231は、帯状の基板2
64を格納して基板巻取り容器234に向けて送り出す
ためのものであり、基板264が巻かれるボビン263
が装着される。また、基板送り出し容器231には、図
示しない排気手段に接続された排気管258が取り付け
られている。さらに、基板送り出し容器231には、圧
力計244、基板264を支持、搬送するため搬送ロー
ラ266が設けられている。なお、ボビン263には、
基板264を送り出すための、図示しない基板送り出し
機構が接続されている。
【0102】第1および第2のドープ層形成用真空容器
232,233は、同一の構造であって、ラジオ周波数
の高周波によるプラズマCVD法によって、p型あるい
はn型の半導体層を形成するためのものである。各ドー
プ層形成用真空容器232,233には、成膜室279,
281を有し、図示しない排気手段に接続された排気管
259,261がそれぞれ取り付けられている。各成膜
室279,281には、それぞれ、真空計245,24
9、高周波電源277,278に接続されたカソード電
極238,239、原料ガスを導入するためのガス導入
管251,253、基板264を加熱するための温度制
御機構235,237が設けられている。さらに、第1
のドープ層形成用真空容器232の両端部には、基板2
64を支持するための搬送ローラ267,268が設け
られ、同様に第2のドープ層形成用真空容器233にも
搬送ローラ274,275が設けられている。
【0103】マイクロ波プラズマCVD装置229は、
図1に示したマイクロ波プラズマCVD装置200を3
台直列に接続して共通の真空容器に格納した構成であ
る。すなわち、図1の装置における放電容器205を成
膜室280とし、3個の成膜室280を隣接するように
してつなげてある。当然のことながら各成膜室280に
は、例えば周波数2.45MHzのマイクロ波電力が投
入され、かつガス導入管252を介して原料ガスが供給
されている。さらに、各成膜室280をまたがって移動
する基板264を保持するための搬送ローラ269〜2
73と、基板264を加熱するための温度制御機構23
6が設けられている。また、各成膜室280ごとに、真
空計246〜248がそれぞれ設けられている。
【0104】基板巻取り容器234は、堆積膜が形成さ
れた帯状の基板264を巻取るためのものであり、基板
送り出し容器231と同様の構成である。すなわち、排
気管262を介して排気され、搬送ローラ276と真空
計250とボビン265を有している。ただし基板26
4を巻取るため、ボビン265には、図示しない基板巻
取り機構が接続されるようになっている。
【0105】以上、この連続堆積膜形成装置230の構
成について説明したが、マイクロ波プラズマCVD装置
229を始めとする各真空容器には不図示の真空ポンプ
がそれぞれ接続され、各真空容器内を独立に真空にする
ことが可能であり、各真空容器内の圧力も真空計244
〜250の信号をモニターすることによって自動的に制
御される。
【0106】基板264は、基板巻取りボビン265を
基板巻取り容器234の外部より駆動することによって
矢印の方向に搬送される。このとき、基板繰出しボビン
263に適宜制動力を加えることにより、基板の送り出
し容器231と基板巻取り容器234の間にある基板2
64の張力を制御することができる。図3に示されるよ
うに、基板264は、各搬送ローラ266〜276によ
って支持されることにより、成膜面側を外側にして湾曲
して基板送り出し容器231から基板巻取り容器234
にまではりわたされるようになっている。このようにし
て移動する基板364は、各ドープ層形成用真空容器2
32,233やマイクロ波プラズマCVD装置229に
おいて、所望の膜質の堆積膜を形成するため温度制御機
構235〜237によって所定の温度に保たれる。各真
空容器内に導入された成膜ガスは、高周波電力あるいは
マイクロ波によって解離させられ、所望する堆積膜と反
応生成ガスに分解される。この反応生成ガスは、前述の
ガスゲートの分離用ガスと共に、排気管259〜261
を介して不図示の真空ポンプで排気される。本装置にお
いては、各ドープ層形成用真空容器232,233では
周波数13.56MHzのRFプラズマCVD法によっ
て堆積膜を形成しているが、もちろん、マイクロ波プラ
ズマCVD法を用いてもよい。
【0107】次に、この連続堆積膜形成装置230の動
作について説明する。連続堆積膜形成装置230の動作
は、概ね、次の手順にしたがって行われる:(1) 所定の
洗浄を完了した基板264の取付け、(2) 大気中での基
板264の搬送、搬送確認および搬送停止、(3) 各真空
容器の排気、(4) 成膜ガスの成膜室279〜281内へ
の導入、(5) 基板264の温度制御、(6) 高周波あるい
はマイクロ波による放電(成膜工程その1)、(7) 基板
264の搬送(成膜工程その2)、(8) 基板264の冷
却および搬送停止、(9) 成膜ガスの導入停止、(10)成膜
室279〜281の窒素リーク、(11)基板264の取出
し。
【0108】以下、上記(1)〜(11)の各手順について詳
しく説明する。
【0109】(1) 所定の洗浄を完了した基板264の取
付け 送り出し側のボビン263に巻付けられた基板264を
所定の位置に取付け、ボビン263を繰出しながら、各
ガスゲート240〜243、各ドープ層形成用真空容器
232,233、マイクロ波プラズマCVD装置229
の各上蓋を全て開き、この順に基板264を通す。そし
て、巻取り側のボビン265に基板264の端部を固定
して、このボビン265で基板264が巻取られるよう
準備する。このとき、搬送ローラー266〜276は全
て、基板264の非成膜面に接触していることを確認す
る。
【0110】(2) 大気中での基板264の搬送(搬送確
認) 基板264の取付けが完了したら、大気中において、基
板巻取り機構(不図示)および搬送ローラー266〜2
76などの支持・搬送手段によって連続的に支障なく帯
状基板264を搬送できるか否か確認する。ここでこの
支持・搬送手段は、前進機能と後進機能とを兼備するこ
とが望ましく、また基板264繰出し量の表示器を具備
することが望ましい。基板264を支障なく搬送できる
ことを確認した後、基板264の繰出し量の表示器を監
視しながら、基板264を初期設定位置まで戻して、そ
の位置で停止させる。
【0111】(3) 各真空容器の排気 基板264を内蔵した各真空容器すなわち各ガスゲート
240〜243、各ドープ層形成用真空容器232,2
33、マイクロ波プラズマCVD装置229の上蓋を閉
じ、真空ポンプを用いて、基板送り出し容器231、各
ドープ層形成用真空容器232,233、マイクロ波プ
ラズマCVD装置229および基板巻取り容器224容
器内の排気を行う。ロータリーポンプおよびメカニカル
ブースタポンプで粗引きした後、油拡散ポンプで本引き
するという手順で、真空容器内部の各成膜室279〜2
81の圧力が、2×10-5Torrに達するまで連続的
に排気を行う。
【0112】(4) 成膜ガスの成膜室279〜281内へ
の導入 ガスボンベ(不図示)からステンレス製のパイプ(不図
示)を介してガスの混合およびガス流量の精密制御を行
うミキシングパネル(不図示)にガスを導き、ミキシン
グパネル内のマスフローコントローラ(不図示)で所定
の流量に制御された成膜ガスをガス導入管251〜25
3を介して成膜室279〜281内へ導入する。このと
き、成膜室279〜281内の圧力が5×10-3Tor
r前後になるように、油拡散ポンプの排気能力および排
気管の排気コンダクタンスをあらかじめ選択するか、あ
るいはこの排気能力および排気コンダクタンスに余裕を
もたせ、自動圧力調整器などで圧力を制御する。
【0113】(5) 基板264の温度制御 成膜ガスを流しながら、温度制御機構235〜3237
で基板264を所定の温度にする。ここで、RF(ラジ
オ周波数)を用いたプラズマCVD装置(各ドープ層形
成用真空容器232,233)に比べてマイクロ波プラ
ズマCVD装置229では、電子密度および電子温度が
ともに高いため、プラズマからの熱で基板264の温度
が上昇しやすい。また、投入するマイクロ波電力に応じ
て、基板264の平衡温度が決まる。例えば、基板26
4として幅430mmの材質SUS430BA(ブライ
トアニール)のものを用い、成膜室380の寸法を22
0D×140H×400W[単位mm]とし、SiH4
を270sccm流しながら内圧5×10-3Torrで
成膜を行なった場合の基板264の平衡温度は、表3に
示す通りである。
【0114】
【表3】 表3に示した平衡温度と同じかまたはそれ以上の温度を
基板264の所望の成膜温度とすることができる。した
がって、基板264の材質、表面処理、成膜室の寸法、
ガス流量、成膜室内の圧力が異なる場合には、適宜同様
にして帯状基板264の平衡温度を測定することによ
り、基板264の所望の成膜温度を設定することができ
る。
【0115】(6) 高周波あるいはマイクロ波による放電
(成膜工程その1) RF(ラジオ周波数)電源またはマイクロ波電源から高
周波を発信させ、同軸ケーブルまたは導波管を介して成
膜室279〜281内にRF電力またはマイクロ波電力
を投入する。そして成膜室279〜281内に放電を生
起させて、その結果生ずるラジカルを利用して成膜室2
79〜281内の基板264の表面に均一な堆積膜を形
成する。
【0116】(7) 基板264の搬送(成膜工程その2) 前述した「高周波またはマイクロ波による放電」により
成膜が開始され、放電で生ずるプラズマ発光が安定な状
態に達した後、基板264の表面上に広く堆積膜を形成
させるため、基板264を搬送する。その搬送速度は、
堆積膜の膜厚、堆積速度および成膜室280の幅で決ま
る。すなわち、堆積膜の膜厚が2000Å、堆積速度が
100Å/secの場合、成膜室280内の滞留時間が
2000÷100=20secであればよい。したがっ
て、図1に示すような1個のマイクロ波の放電容器20
5が1個で成膜する場合、搬送速度は、 220mm÷20sec=11mm/sec =66cm/min≒0.7m/min となる。一方、図3に示すように3個の放電容器205
で堆積速度20Å/secで膜厚2000Åを成膜する
場合、搬送速度は 220mm×3÷100=6.6mm/sec≒0.4
m/min とすればよい。以上のような搬送速度で基板264を連
続的に搬送することにより、基板264の表面上に広く
所望の堆積膜を形成することができる。
【0117】(8) 基板264の冷却および搬送停止 前述のように基板264を搬送しながら連続的に堆積膜
を形成し、送り出し側のボビン263に巻付けられた基
板264の残量がほとんどなくなったら、基板264の
搬送、マイクロ波放電および温度制御を停止する。ここ
で、ボビン263に巻付けられた基板264の残量を検
知するためには、前述した基板264の繰出し長表示器
やボビン263の外径検知などを用いればよい。また、
成膜が完了した基板264を真空容器外部に取出すため
には、予め基板264を冷却しなければならない。この
冷却による堆積膜の剥離を防止するためには、徐冷する
ことが望ましく、マイクロ波放電を止めた後も暫く成膜
ガスを流しておく。
【0118】(9) 成膜ガスの導入停止 成膜ガスを5分程度流した後、成膜ガスの導入を停止し
てHeガスを500sccm程度の流量で流す。基板2
64の表面温度が70℃程度になったところで、Heガ
スの導入を停止した後、残留ガスを排気して成膜室27
9〜281内の圧力が2×10-5Torrに達するまで
排気を続ける。
【0119】(10)成膜室279〜281の窒素リーク 成膜室279〜281内の圧力を2×10-5Torrか
ら大気圧に戻すために、乾燥窒素を成膜室279〜28
1内に導入し、成膜室279〜281内の圧力が大気圧
になったことをブルドン管式圧力計(不図示)で確認し
た後、各不純物形成用真空容器232,233とマイク
ロ波プラズマCVD装置299の蓋を開き、成膜が完了
した基板264を取出す。
【0120】(11)基板264の取出し 基板264の取出し方法は、概ね次の2通りである。
【0121】(a) 1ロール分の基板264を全て巻取り
側のボビン265に巻取り、繰出し側のボビン263を
空にした後、両方のボビン263,265を取出す。
【0122】(b) 繰出し側のボビン263に未だ残量が
あるときには、基板264を切断し、繰出し側のボビン
263を別の基板で巻かれている繰出し用のボビン26
3と交換して、新規の基板264の端部と切断された基
板264の切断部とを接合する。そして、この接合線が
巻き取り側のボビン265近傍にくるまで新規の基板2
64を搬送した後、再びこの接合線で基板264を切断
する。切断後に、成膜後の基板264が巻取られたボビ
ン265を取出し、別の巻取り用のボビン265を取付
ける。
【0123】この2通りの取出し方法のいずれがよいか
は、装置の長さや円筒状の成膜室の数によるため、適宜
選択することが望ましい。
【0124】(製造例1)次に、図3に示した示した連
続堆積膜形成装置230を用いて、アモルファスシリコ
ン膜の連続堆積を行った例を説明する。マイクロ波電力
を投入する手段としては、図2に示したものを用いた。
成膜手順は上述の通りであり、成膜条件を表4に示す通
りである。
【0125】
【表4】 このようにして得られた堆積膜について、膜厚のばらつ
き(膜厚分布)、堆積速度、赤外吸収スペクトル、RH
EED(反射高エネルギー電子回折)および膜中の量の
定量とを行なった。その結果を表5に示す。なお膜厚分
布は、1m間隔で28点の膜厚を測定し、そのばらつき
から調べた。
【0126】
【表5】 なお、赤外吸収スペクトルの測定には反射型FT−IR
装置(パーキン・エルマー社製、1720X)を用い、
RHEEDの測定には日本電子製JEM−100SX、
水素の定量には金属中水素分析計(堀場製作所製、EM
GA−1100)を用いた。
【0127】(製造例2)製造例1と同じ装置を同じ手
順で操作し、SiH4ガスを流量150sccmで、G
eH4ガスを流量120sccmで、Heガスを流量8
0sccmで成膜室280内にそれぞれ導入し、成膜室
280内部の圧力を11mTorrに保持し、マイクロ
波の実効電力1.3kWで成膜する以外は同様の堆積膜
形成条件で、アモルファスシリコンゲルマニウム(a−
SiGe:H)膜の連続堆積を行った。そして、製造例
1と同様に、基板264を取出して各種測定を行った。
その結果は表5に示すとおりであり、a−SiGe:H
膜特有の吸収パターンが認められた。
【0128】(実施例2)上述の実施例1には種々の変
形実施例が可能である。図4は、基板がΩ字状に湾曲し
ながら搬送される例を示している。
【0129】可撓性に富む帯状の基板291は、搬送ロ
ーラ292で進路を曲げられ、搬送リング293a,2
93bに両端を支えられながら円筒状の成膜室294す
なわち放電容器を形成し、再び搬送ローラー295で進
路を曲げられもとの進路に戻る。このように基板291
で形成された成膜室294は、その両端部からマイクロ
波アプリケータ213が挿入され、成膜室294内部で
マイクロ波プラズマ放電が生起するようになっている。
さらに、上述の実施例1の場合と同様に、対向するマイ
クロ波アプリケータ213間に、バイアス電極206が
配置されている。
【0130】この装置では、基板291のプラズマにさ
らされる面が円筒面であり、バイアス電極206がその
中心軸上に置かれているため、バイアス電界が対称に作
用し、より均一な成膜が行える。この装置の動作は、図
1に示したものの動作と本質的に同じなので、説明を省
略する。
【0131】(実施例3)図1に示したものでは放電容
器205の形状が角型であったが、図5に示したもので
は、断面がU字型の放電容器297が使用されている。
【0132】堆積膜が形成される基板(不図示)は、放
電容器297の開口部に沿って、放電容器297の長手
方向とは直角の方向に移動する。放電容器297の長手
方向の両端には、マイクロ波導入用の開口298が設け
られ、ここにマイクロ波アプリケータ213が挿入され
るようになっている。実施例1の場合と同様に、対向す
るマイクロ波アプリケータ213の間に、バイアス電極
206が設けられている。
【0133】この装置では、開口298とマイクロ波ア
プリケーター113との電気的接触には、アルミ環29
9をEMIシールド211(図1)の代用として使用し
ている。マイクロ波プラズマCVD法の場合、60Å/
sec〜100Å/secという高速の堆積速度で成膜
が行われ、放電容器297の壁面上にも同じ速度で堆積
膜が形成される。したがって、その堆積膜を除去するた
め、放電容器297が着脱容易である必要がある。そこ
でEMIシールドに比べて着脱容易であるアルミ環29
9をマイクロ波漏洩防止のために設けてある。この装置
の動作も図1に示したものと本質的に変わるところはな
い。
【0134】(実施例4)以上の実施例1〜3では帯状
の基板上に堆積膜を形成していたが、バイアス電極の形
状の工夫によって良質な堆積膜を得る本発明の手法は、
円筒形の基体上に堆積膜を形成する場合にも有効であ
る。図6に示すものは、円筒形の基体185の上に堆積
膜を形成する装置の概略断面図である。
【0135】真空気密可能な堆積膜形成容器181の側
面には排気管184が一体的に形成され、排気管184
の他端は図示しない真空ポンプに接続されている。堆積
膜形成容器181の上面と下面の中央部にはそれぞれマ
イクロ波アプリケータ183が取り付けられている。マ
イクロ波アプリケータ183の先端側は、誘電体窓18
2となっている。堆積膜形成容器181の中心部を取り
囲むように、堆積膜の形成される6本の円筒状の基体1
85が相互に平行になるように配置されている。基体1
85はそれぞれ回転軸188によって保持され、かつそ
の内部には同軸状に円筒状の発熱体187が配設されて
おり、この発熱体187によって内部から加熱されるよ
うになっている。回転軸188は、堆積膜形成容器18
1に対して回転自在に取り付けられ、一端が減速ギア1
90を介して基体185回転用のモータ189に接続し
ている。
【0136】堆積膜形成容器181内の各基体185と
各誘電体窓182とで囲まれた部分が成膜空間186で
あり、各マイクロ波アプリケータ183からのマイクロ
波によって、この成膜空間186にマイクロ波グロー放
電が生起する。放電空間186の中央部に、基体185
と平行に、バイアス電極191が設けられている。バイ
アス電極191は、上述の実施例1〜3と同様に、対向
するマイクロ波アプリケータ183の中心軸上に設けら
れ、かつ先端の誘電体窓185に対向する部分には、円
盤が設けられている。バイアス電極191は、外部のバ
イアス電源192に接続されている。またバイアス電極
191は中空の管状構造であって、多数のガス放出孔を
有し、成膜空間186に原料ガスを放出するガス放出手
段をも兼ね、図示しない原料ガス供給源にも接続されて
いる。
【0137】この堆積膜形成装置は、金属製の基体18
5の上に比較的抵抗の高いあるいは絶縁性の堆積膜を形
成する場合に特に有効である。従来のこの種の堆積膜形
成装置では、基体の上端部あるいは下端部からしばしば
スパーク(火花放電)が飛ぶことがあったが、図6に示
すような構成とすることにより、スパーク発生頻度が減
り、安定した放電が得られるようになる。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、バイアス
電極の端部形状を工夫することにより、大面積用のマイ
クロ波プラズマCVD装置において、高品質であって均
一な膜質を有する部材を大量に高速度にかつ安定して経
済的に形成できるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例でのマイクロ波プラズマCVD
装置の透視概略図である。
【図2】図1の装置のバイアス電極近傍の部分拡大図で
ある。
【図3】図1の装置を組み込んだ連続堆積膜形成装置の
構成を示す図である。
【図4】基板がΩ字型に湾曲して搬送される変形実施例
を示す透視概略図である。
【図5】断面がU字型の放電容器を使用する変形実施例
を示す透視概略図である。
【図6】円筒形の基体上に堆積膜を形成する変形実施例
を示す模式断面図である。
【図7】従来のマイクロ波プラズマCVD装置の構成を
示す模式断面図である。
【図8】従来の移動成膜式マイクロ波プラズマCVD装
置の構成を示す模式断面図である。
【図9】従来のマイクロ波プラズマCVD装置における
バイアス電界のかかり方を示す模式図である。
【図10】放電容器の内圧と放電維持電力との関係を示
す特性図である。
【図11】(a)〜(d)はそれぞれ太陽電池の構成を示す概
略断面図である。
【図12】(a)〜(d)はi型半導体層のバンドギャッププ
ロファイルを示す図である。
【図13】(a)〜(d)はi型半導体層のフェルミレベルプ
ロファイルを示す図である。
【符号の説明】
181 堆積膜形成容器 183,213 マイクロ波アプリケータ 185 基体 191,206 バイアス電極 192,208 バイアス電源 200,229 マイクロ波プラズマCVD装置 201,264,291 基板 202 方形導波管 203 円形導波管 204 円形誘電体窓 205,297 放電容器 209 ガス導入ノズル 222 円盤 230 連続堆積膜形成装置 231 基板送り出し容器 232 第1のドープ層形成用真空容器 233 第2のドープ層形成用真空容器 234 基板巻取り容器 240〜243 ガスゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 芳里 直 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 越前 裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 杉山 秀一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−138475(JP,A) 特開 平3−72083(JP,A) 特開 平4−26764(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 H01L 21/205 H01L 21/31 H05H 1/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波電源に接続する方形導波管と
    一端が前記方形導波路に接続する円形導波管と前記円形
    導波管の他端に設けられた円形誘電体窓とから少なくと
    もなるマイクロ波導入手段と、基板に対向する開口部を
    備え前記マイクロ波導入手段からマイクロ波が導入され
    る放電容器とを有する堆積膜形成装置を使用し、前記基
    板上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、 前記円形誘電体窓の表面に垂直であってかつ前記マイク
    ロ波の進行方向および前記基板の表面に平行な部分を有
    するT字形の棒状部と、前記棒状部の先端部に設けられ
    前記誘電体窓の表面に平行である円板部とからなるバイ
    アス電極を前記放電容器内に設け、 前記マイクロ波の波長をλとするとき前記円板の直径φ
    が、 λ/10≦φ≦λ/6 を満たすようにすることを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】 基板に対向する開口部を有する放電容器
    と、前記放電容器にマイクロ波を導入するマイクロ波導
    入手段とを有し、前記マイクロ波導入手段が、少なくと
    も、マイクロ波電源に接続する方形導波管と、一端が前
    記方形導波路に接続する円形導波管と、前記円形導波管
    の他端に設けられた円形誘電体窓とからなる堆積膜形成
    装置において、 前記円形誘電体窓の表面に垂直であってかつ前記マイク
    ロ波の進行方向および前記基板の表面に平行な部分を有
    するT字形の棒状部と、前記棒状部の先端部に設けられ
    前記誘電体窓の表面に平行である円板部とからなるバイ
    アス電極が前記放電容器内に設けられ、 前記マイクロ波の波長をλとするとき、前記円板の直径
    φが、 λ/10≦φ≦λ/6 を満たしていることを特徴とする堆積膜形成装置。
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