JPH11264029A - アルミニウム精製方法及び精製装置 - Google Patents

アルミニウム精製方法及び精製装置

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JPH11264029A
JPH11264029A JP6723198A JP6723198A JPH11264029A JP H11264029 A JPH11264029 A JP H11264029A JP 6723198 A JP6723198 A JP 6723198A JP 6723198 A JP6723198 A JP 6723198A JP H11264029 A JPH11264029 A JP H11264029A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料溶湯から純度のよい精製塊を連続して引
き上げる。 【構成】 精製容器10に収容した原料溶湯Mの湯面F
を一定高さに維持し、溶湯温度T1 をα−Alの晶出温
度とAl−Siの共晶温度との間に維持し、湯面F上方
の雰囲気温度T2 を(初晶晶出温度−90℃)から(初
晶晶出温度−10℃)の間に維持し、原料溶湯Mに浸漬
した回転冷却体20を底面外周の回転速度として0.5
〜5m/秒で回転させ、回転冷却体20の底面に晶出し
た精製塊Rを連続的に引き上げる。引き上げられた精製
塊Rは、補助冷却管31から吹き付けられる冷気によっ
て冷却され、形状制御棒35で円柱状に整形される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウムスクラップを精製し、純度の高いアルミニウム
を得る方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム溶湯が凝固する際、高融点
金属間化合物が優先的に晶出し、比重の大きな晶出物は
溶湯中を沈降するため、残りの原料溶湯の純度が高くな
る。本発明者等は、この偏析凝固を利用してアルミの純
度を高める精製方法を特開平5−295465号公報で
紹介した。紹介した精製方法では、原料溶湯を収容した
精製容器に冷却体を浸漬し、精製されたアルミを冷却体
の底部に晶出させている。冷却体を精製容器から連続的
に引き上げることによって、精製塊が得られる。このと
き、精製容器外部に電磁撹拌装置を配置すると、溶湯の
撹拌によって精製反応が促進される。しかし、電磁撹拌
装置のセッティングは、設備費を必要とし、精製コスト
を上昇させる原因となる。電磁撹拌装置を省略可能なも
のとして、原料溶湯から晶出した金属間化合物を精製容
器底部に重力落下させ、冷却体近傍を精製に好適な環境
に維持する方法を特開平8−73959号公報で紹介し
た。しかし、冷却体が精製容器内部に維持されたままで
あるため、精製反応を連続化できず、生産性の面で改善
の余地がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、鋳型を用い、精製されたアルミ晶出物を連続的に引
き上げることにより精製反応を連続化することを特願平
9−33952号で提案した。使用される鋳型は、上広
りのテーパを付けた貫通孔の下部に下広りの傾斜底面を
もち、精製容器内の原料溶湯に浸漬される。精製された
アルミは、鋳型の貫通孔を介して挿入されているダミー
バーのヘッドに晶出し、ダミーバーの上昇運動によって
精製容器内から取り出される。しかし、精製容器の内部
に鋳型が配置されることから、使用可能な鋳型のサイズ
に制約が加わり、結果として得られる精製品の外径が制
約される。生産性を上げる上では、可能な限り大径の精
製品を原料溶湯から引き上げることが好ましいが、その
ためには鋳型、ひいては精製容器を大型化する必要があ
る。しかし、鋳型や精製容器を単純に大型化するだけで
は、アルミの精製に有効な反応域を確保することが困難
になり、精製品の収率が却って低下し易い。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、連続的に上昇可
能な回転冷却体を採用することにより、精製反応を連続
化し、且つ生産効率の向上に有効な大径の精製品を得る
ことを目的とする。本発明のアルミニウム精製方法は、
その目的を達成するため、精製容器に収容した原料溶湯
の湯面を一定高さに維持し、溶湯温度をα−Alの晶出
温度とAl−Siの共晶温度との間に維持し、湯面上方
の雰囲気温度を(初晶晶出温度−90℃)から(初晶晶
出温度−10℃)の間に維持し、原料溶湯に浸漬した回
転冷却体を底面外周の回転速度として0.5〜5m/秒
で回転させ、回転冷却体の底面に晶出した精製塊を連続
的に引き上げることを特徴とする。
【0005】湯面の上方に引き上げられた精製塊の周面
に補助冷却管から冷気を吹き付け、精製塊を冷却するこ
とが好ましい。また、精製塊の外面に形状制御棒を接触
させながら引上げ操作を継続するとき、形状が整った円
柱状の精製品が得られる。この方法に使用されるアルミ
ニウム精製装置は、注湯口から供給された原料溶湯の湯
面が一定高さに維持されるように過剰量の原料溶湯を排
出する出湯口をもつ精製容器と、原料溶湯に浸漬され、
冷却機構を内蔵した回転冷却体と、回転冷却体の底面に
晶出し、原料溶湯の湯面から上方に引き上げられた精製
塊の周面に冷気を吹き付ける補助冷却管とを備えてい
る。精製塊と補助冷却管との間には、精製塊の形状を整
える形状制御棒を配置することが好ましい。形状制御棒
としては、発熱体を内蔵したものが更に好ましい。
【0006】
【実施の形態】本発明では、たとえば設備構成を図1に
示す精製装置を使用する。ルツボ炉等の精製容器10
は、ヒータ11が埋め込まれた側壁及び底壁をもってい
る。一方の側壁に注湯口12が、他方の側壁に出湯口1
3が設けられている。底壁は一方に傾斜した底面をも
ち、下位側にプラグ14で閉塞される排滓口15が設け
られている。原料溶湯Mは、注湯口12から精製容器1
0に送り込まれ、一部が回転冷却体20に精製塊Rとし
て晶出する。原料溶湯Mは、別途の溶解炉でアルミスク
ラップ等の原料を溶解することにより用意される。精製
容器10に収容された原料溶湯Mを徐々に冷却すると
き、不純物がAl−Fe−Mn−Si系等の金属間化合
物Iとして晶出する。比重の大きな金属間化合物Iは、
原料溶湯M中を炉底に沈降・堆積する。
【0007】精製塊Rの晶出に先立って、金属間化合物
Iを可能な限り原料溶湯Mから分離させることが好まし
い。そのため、溶湯温度T1 が620〜600℃の温度
域にある状態が0.1〜8時間となるように、原料溶湯
Mを緩冷却する。具体的には、原料溶湯Mに浸漬した温
度計16で原料溶湯Mの温度T1 を検出し、湯面Fより
上方に配置した温度計17で湯面Fと炉蓋18との間の
雰囲気温度T2 を検出する。温度計16,17で検出さ
れた溶湯温度T1 及び雰囲気温度T2 は演算器(図示せ
ず)で処理されて制御信号として出力され、溶湯温度T
1 及び雰囲気温度T2 がそれぞれ設定降下速度に沿うよ
うにヒータ11の投入電力を制御する。原料溶湯Mに
は、回転冷却体20が浸漬される。回転冷却体20は、
冷気が送り込まれる給気口21を備えている。給気口2
1から吹き込まれた冷気は、回転冷却体20の内部を循
環した後、熱空気となって排気口22から排出される。
回転冷却体20の底面には、原料溶湯Mから晶出した生
成アルミRが回転中に脱落しないようにトラップ23が
設けられている。
【0008】回転冷却体20は、回転用モータ24の出
力軸に連結された回転軸25に接続されている。回転用
モータ24から突出するアーム26は、昇降用モータ2
7の出力軸に連結されている送りネジ28に螺合される
カップリング29を先端に備えている。回転冷却体20
は、モータ24からの出力でd1 方向に回転し、モータ
27からの出力でd2 方向に昇降する。回転冷却体20
の回転速度及び昇降速度は、それぞれモータ24,27
の出力を調整することにより制御される。溶湯温度T1
が600〜575℃になった原料溶湯Mに回転冷却体2
0を浸漬すると、金属間化合物Iの晶出によって純度が
高められた原料溶湯Mからα−Alが回転冷却体20の
底面に晶出する。晶出したα−Alは、精製塊Rに成長
する。
【0009】精製中には、底面の外周速度が0.5〜5
m/秒となるように回転冷却体20を回転させる。底面
の外周速度が0.5m/秒に達しないと、精製塊Rに不
純物が取り込まれ、精製効率が悪くなる。精製効率は冷
却体の回転速度が早くなるに従って向上する。しかし、
5m/秒を超える外周速度では、回転冷却体20に付着
している精製塊Rがちぎれて飛散することや、湯面Fの
変動が激しくなって酸化物が原料溶湯Mに巻き込まれる
こと等の欠陥が発生し易くなる。湯面Fと炉蓋18との
間の雰囲気は、温度計17で検出された雰囲気温度T2
に応じてヒータ11の投入電力を調整することにより、
(初晶晶出温度−90℃)から(初晶晶出温度−10
℃)の温度範囲に維持される。雰囲気温度T2 がこの温
度範囲にあると、回転冷却体20に付着している精製塊
Rに付随してくる純度の低い残湯が少なくなる。(初晶
晶出温度−10℃)を超える雰囲気温度T2では、引上
げ途中で精製塊Rが外面から溶け始め、精製品の回収効
率が低下する。逆に、(初晶晶出温度−90℃)に達し
ない雰囲気温度T2 では、精製塊Rに付着している残湯
の粘性が増加し、分離されることなく精製品に持ち込ま
れる割合が高くなる。
【0010】精製塊Rは、回転しながらモータ27でd
2 方向に引き上げられる。精製塊Rの引上げに伴って原
料溶湯Mが消費されるため、注湯口12から常に原料溶
湯を補給し、所定量の原料溶湯Mを精製容器10内に確
保しておく。過剰量の原料溶湯Mは、オーバーフローし
て出湯口13から外部に排出される。これにより、原料
溶湯Mの湯面Fは、精製容器10内で常に一定の高さに
維持される。精製塊Rの引上げ速度は、目標とする精製
品の純度に応じて定められる。引上げ速度が遅くなるほ
ど、凝固速度も遅くなり精製効率が向上するが、100
mm/時未満では生産性が低くなる。逆に400mm/
時を超える引上げ速度では、生産性は上昇するが、精製
効率が悪くなる。そこで、精製効率及び生産性を考慮し
て、100〜400mm/時の範囲で引上げ速度が決定
される。
【0011】精製塊Rの引上げ中、溶湯温度T1 及び雰
囲気温度T2 を適正に管理することが重要である。溶湯
温度T1 は、α−Alの晶出温度からAl−Si系の共
晶温度(575℃)の範囲に調整され、精製の進行に応
じて精製開始時の温度から徐々に低下させる。他方、雰
囲気温度T2 は、前述したように(初晶晶出温度−90
℃)から(初晶晶出温度−10℃)の範囲に維持され
る。精製の進行に伴って精製塊Rの底面にある凝固界面
Sから回転冷却体20の底面までの距離Hが大きくな
る。距離Hが大きくなると、回転冷却体20の冷却能が
凝固界面Sに及ぼす影響が小さくなる。冷却能の低下
は、冷気を精製塊Rに直接吹き付けることによって補償
される。冷気の吹付けには、精製塊Rの周面に対向する
複数のノズル32を備えたリング状の補助冷却管31が
使用される。補助冷却管31は、必要に応じて上下方向
に多段配置される。ノズル32は、吹き出した冷気が原
料溶湯Mに直接触れて原料溶湯Mを冷却することがない
ように、上向き角度45度程度で設けることが好まし
い。
【0012】補助冷却管31から精製塊Rに冷気を吹き
付けると、雰囲気温度T2 が低下する。そこで、雰囲気
温度T2 の低下を相殺するようにヒータ11に投入する
電力量を増加させ、雰囲気温度T2 を(初晶晶出温度−
90℃)から(初晶晶出温度−10℃)の範囲に維持
し、温度変化を抑制する。このようにして溶湯温度T1
及び雰囲気温度T2 を制御することによりα−Alの晶
出反応が適正に管理される。因みに、雰囲気温度T2
変動があると、変動の影響が湯面Fを介して溶湯温度T
1 に伝わり、凝固界面Sから湯面Fまでの距離hを変動
させる原因になる。距離hの変動は、凝固条件が不安定
であることを意味し、精製効率や得られた精製塊Rの形
状に悪影響を及ぼし、操業を不安定化させる。
【0013】補助冷却管31から吹き付けられる冷気の
流量は、凝固界面Sから湯面Fまでの距離hが常に一定
になるように、精製の進行に応じて変化させる。しか
し、実操業で溶湯温度T1 及び雰囲気温度T2 を高精度
に目標値に一致させることは困難であり、結果として溶
湯温度T1 及び雰囲気温度T2 が波打つように変動し易
い。温度変動の影響を受けた精製塊Rは、円柱状ではな
く、膨らみや凹みのある波状周面をもった形状になる。
形状不安定な精製塊Rは、製品としては精製されている
ものの、後の取り扱いに支障を来す。精製品の形状劣化
は、精製塊Rの外周近傍に配置した形状制御棒35によ
り防止される。形状制御棒35としては、原料溶湯Mに
常に浸漬された状態で使用されることから、原料溶湯M
による侵食に対して抵抗力のあるSiC−Si34
のセラミックス製が使用される。
【0014】形状制御棒35は、回転中の精製塊Rの周
面に接触し、成長方向に沿った表面を若干削り取る。こ
れにより、円柱状に整形された精製品が得られる。削取
りにより、生産量はその分だけ減少するが、精製塊Rの
表面に付着している不純物の多い溶湯が少なくなるので
精製効率が向上する。形状制御棒35は、耐久性を向上
させ精製品外周部の急冷を防止するため、それ自体が発
熱していることが好ましい。この点では、発熱体内蔵型
の形状制御棒35の使用が好適である。発熱体内蔵型で
は、温度差に起因して形状制御棒35に加えられる熱衝
撃が緩和されるため、形状制御棒35に割れ等の欠陥発
生が抑制される。また、精製塊Rの外周部を急冷するこ
とがないので、形状不揃いのない良好な形状をもつ精製
品が得られる。更には、精製塊Rの外周部冷却速度を遅
くするため、濃縮液が精製塊Rデンドライトアームスペ
ーシングにトラップされることが防止され、精製効率も
向上する。所定長さに成長した円柱状の精製塊Rは、回
転冷却体20の回転速度を精製時よりも落とし且つ引上
げ速度を精製時よりも上げて原料溶湯Mから引き上げら
れる。これにより、精製作業を終了する。精製中に原料
溶湯Mから沈降分離して炉底に堆積した金属間化合物I
は、適宜プラグ14を外し、排滓口15から排出され
る。精製塊Rが付着している回転冷却体20は、精製塊
Rが冷却する前にそのまま別の炉に搬送され、加熱され
る。精製塊Rは、加熱によって溶融し、回転冷却体20
から分離する。溶融した精製塊Rは、所定の鋳型に流し
込んで製品とされる。精製塊Rから分離された回転冷却
体20は、精製装置に返送され、再使用される。以上の
作業によって、精製塊が連続的に且つ工業的規模で生産
される。
【0015】
【実施例】アルミニウムスクラップを溶解し、750℃
の原料溶湯Mを用意した。上部内径638mm,下部内
径621mm,深さ約800mmの黒鉛ルツボを精製容
器10として使用し、原料溶湯Mを精製容器10に供給
した。回転冷却体20としては、底面の外径が200m
mのものを使用した。また、補助冷却管31としては、
直径27.2mmのSUSステンレス鋼管でできた直径
400mmの円形状リングの内側に上向き45度の角度
で20個のノズル32を開口したものを、炉蓋18の底
面から20mm下方の位置に配置した。
【0016】原料溶湯Mを605℃で120分静置した
後、溶湯温度T1 =595℃まで冷却した。流量250
0リットル/分で冷気を供給しながら、回転冷却体20
を冷却後の原料溶湯Mに浸漬し、精製を開始した。精製
中、炉蓋18の底面から370mm下方に湯面Fが常に
位置するように、注湯口12を介して原料溶湯Mを補給
した。底面の外周回転速度が1m/秒となるように回転
冷却体20を回転させ、雰囲気温度T2 を510℃に制
御した。そして、雰囲気温度T2 及び溶湯温度T1 の変
化をみながら、表1に示す引上げ速度で回転冷却体20
を原料溶湯Mから引き上げた。精製塊Rが湯面Fから7
0mm上昇したとき、流量1000リットル/分で冷気
を精製塊Rの外周に補助冷却管31のノズル32から吹
き付けた。冷気の流量は、溶湯温度T1 及び雰囲気温度
2 に応じ徐々に3500リットル/分まで増加させ
た。得られた精製塊Rを分析したところ、引上げ条件に
応じて表2に示すように成分が異なっていた。
【0017】
【0018】
【0019】引上げ速度が遅い引上げ条件1では、表2
にみられるように精製効率は良いものの、溶湯温度T1
が下がりすぎたため精製塊Rが下開きに成長した。そし
て、引上げ開始後104分経過した時点で補助冷却管3
1に精製塊Rが接触したため、引上げ作業を中止した。
引上げ速度が早い引上げ条件2では、逆に溶湯温度T1
が上がりすぎ、精製塊Rが下細りになった。そして、引
上げ開始から33分経過した頃から精製塊Rが湯面Fか
ら離れるようになったため、引上げ作業を中止した。得
られた精製塊Rは、引上げ速度が早い分だけ引上げ条件
1で得られた精製塊Rに比較して低い精製効率を示し
た。
【0020】引上げ条件1及び2による結果は、何れも
溶湯温度T1 及び雰囲気温度T2 の正確な制御を欠くた
め、精製品の安定した生産ができないことを示してい
る。これに対し、SiC−Si34 系セラミックスで
できた直径15mmの形状制御棒35を補助冷却管31
の内側に1本セットして精製する引上げ条件3では、精
製塊Rが下開き方向に成長したが、精製塊Rの外周面が
形状制御棒35に接触して削り落とされたため、100
分間継続して精製塊Rを安定条件下で引上げることがで
きた。次いで、回転冷却体20の回転速度を30rpm
に下げ、引上げ速度を100mm/分まで上昇させ、精
製塊Rを湯面Fから引上げ、操業を終了した。得られた
精製塊Rは、形状が整った円柱状の精製品であり、精製
効率も良好であった。引上げ条件3の結果から、溶湯温
度T1 及び雰囲気温度T2 の変動が精製塊Rの形状に及
ぼす影響が形状制御棒35で吸収され、操業が安定化す
ることが判った。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、湯面高さ,溶湯温度及び雰囲気温度を制御しながら
安定条件下で回転冷却体の底面に精製塊としてα−Al
を晶出させ、回転冷却体の上昇によって精製塊を原料溶
湯から連続して引き上げている。このようにして引上げ
作業が連続化されるため、生産性良く精製塊が得られ
る。また、形状制御棒で周面形状を整形しながら精製塊
を引き上げるとき、得られた精製品の形状が安定化し、
精製効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用する精製装置の概略
【符号の説明】
10:精製容器 11:ヒータ 12:注湯口
13:出湯口 14:プラグ 15:排滓口 1
6,17:温度計 18:炉蓋 20:回転冷却体 21:給気口 22:排気口
23:トラップ 24:回転用モータ 25:回転軸 26:アーム
27:昇降用モータ 28:送りネジ 29:カップリング 31:補助冷却管 32:ノズル 35:形状制御
棒 M:原料溶湯 R:精製塊 F:湯面 I:金属
間化合物 S:凝固界面 H:凝固界面から回転冷却体底面までの距離 h:凝固界面から湯面までの距離 T1 :溶湯温度 T2 :雰囲気温度 d1 :回転冷却体の回転方向 d2 :回転冷却体の昇
降方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 寛 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精製容器に収容した原料溶湯の湯面を一
    定高さに維持し、溶湯温度をα−Alの晶出温度とAl
    −Siの共晶温度との間に維持し、湯面上方の雰囲気温
    度を(初晶晶出温度−90℃)から(初晶晶出温度−1
    0℃)の間に維持し、原料溶湯に浸漬した回転冷却体を
    底面外周の回転速度として0.5〜5m/秒で回転さ
    せ、回転冷却体の底面に晶出した精製塊を連続的に引き
    上げることを特徴とするアルミニウム精製方法。
  2. 【請求項2】 回転冷却体の底面に晶出し湯面の上方に
    引き上げられた精製塊の周面に冷気を吹き付ける請求項
    1記載のアルミニウム精製方法。
  3. 【請求項3】 精製塊の外周面に形状制御棒を接触させ
    ながら引上げ操作を継続する請求項1又は2記載のアル
    ミニウム精製方法。
  4. 【請求項4】 発熱体が内蔵された形状制御棒を使用す
    る請求項3記載のアルミニウム精製方法。
  5. 【請求項5】 注湯口から供給された原料溶湯の湯面が
    一定高さに維持されるように過剰量の原料溶湯を排出す
    る出湯口をもつ精製容器と、原料溶湯に浸漬され、冷却
    機構を内蔵した回転冷却体と、回転冷却体の底面に晶出
    し、原料溶湯の湯面から上方に引き上げられた精製塊の
    周面に冷気を吹き付ける補助冷却管とを備え、回転冷却
    体の上昇により精製塊を連続的に引き上げるアルミニウ
    ム精製装置。
  6. 【請求項6】 精製塊と補助冷却管との間に形状制御棒
    が配置されている請求項5記載のアルミニウム精製装
    置。
  7. 【請求項7】 形状制御棒には発熱体が内蔵されている
    請求項6記載のアルミニウム精製装置。
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