JPH11263870A - ポリオレフィン樹脂加工物の再生方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂加工物の再生方法

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JPH11263870A
JPH11263870A JP6986698A JP6986698A JPH11263870A JP H11263870 A JPH11263870 A JP H11263870A JP 6986698 A JP6986698 A JP 6986698A JP 6986698 A JP6986698 A JP 6986698A JP H11263870 A JPH11263870 A JP H11263870A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃ポリオレフィン樹脂製品から、再利用可能
なポリエチレン重合体や配合成分を分別回収できる、ポ
リオレフィン樹脂加工物の再生方法を提供する。 【解決手段】 本発明のポリオレフィン樹脂加工物の再
生方法は、ポリオレフィン樹脂加工物細片を溶解パラメ
ータが9.2〜9.8の第1溶剤に接触させたのち抽出
物を含む第1液相からポリオレフィン樹脂を主成分とす
る固形物を分離する工程、前記第1液相から第1溶剤を
除去して得た固体を溶解パラメータが6.6〜7.8の
第2溶剤に溶解して第2液相を得る工程、前記第2液相
に溶解パラメータが13.5〜14.8の第3溶剤を接
触させて液/液抽出を行い、第3溶剤が主成分である第
4液相を残りの第3液相から分離する工程、前記第3液
相から溶剤を分離して低極性有機配合物を回収する工
程、前記第4液相から溶剤を分離して高極性有機配合物
を回収する工程、を含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂加工物の再生方法に関し、更に詳しくは、ポリオレフ
ィン樹脂のスクラップ等を含む加工品から、ポリオレフ
ィン重合体や酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃化
剤等を回収すると共に、これらをリサイクルして再利用
するための再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在は多種多様な合成樹脂が利用されて
おり、それに伴って合成樹脂の廃棄物の種類や量も多く
なっているが、そのまま廃棄することは地球環境の汚染
をもたらすばかりでなく、資源の有効利用の面からも望
ましくない。そのため、合成樹脂廃棄物の中でも再生可
能であるものは、回収して再利用する方法が検討されて
きた。その中でも熱可塑性樹脂は比較的に再利用が容易
であり、特に合成樹脂の成形工程中で発生するスクラッ
プ品等は、選別粉砕するなどして原料の合成樹脂に混合
し、再び加工製品の製造に利用することが普通となって
いる。
【0003】しかし一旦製品として使用された後に廃棄
された合成樹脂は、異物の混入や品質の劣化などがある
と、それを成形材料として使用した加工製品の品質が損
なわれる恐れがある。従って回収した合成樹脂は、その
品質に応じて、再び合成樹脂用の成形材料として利用す
るか、合成樹脂用製造原料として利用するか、又は燃料
などのエネルギー源とするかなど、選別をすることが必
要である。
【0004】そのため、比較的に回収が容易な汎用熱可
塑性樹脂については、回収品を加水分解処理することに
より、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート等
を除去して、ポリオレフィン等の非加水分解性樹脂を分
離回収する方法(例えば特開平5−271328号)な
どが提案されており、また回収した熱可塑性樹脂のう
ち、結晶性樹脂については熱分析装置を用いて温度−吸
熱量特性を測定し、劣化の度合いを評価する技術(特開
平5−322811号)も提案されている。
【0005】一方塩化ビニル樹脂は、可塑剤を配合する
ことにより軟質から硬質までの種々の物性を有する組成
物が得られるため、それぞれ用途に応じた特性を有する
組成物に加工したのち、種々の塩化ビニル樹脂製品とし
て使用されている。従って多様な配合組成を有する塩化
ビニル樹脂製品を回収しても、そのまま再利用するのは
難しいため、製品中の可塑剤を再利用する目的で、ポリ
塩化ビニル製品から可塑剤を抽出する技術(特開昭57
−38834号)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記のような従
来技術では、可塑剤を再利用するに止まり、ポリオレフ
ィン樹脂が劣化した場合の有効利用や処理については、
全く考慮されていなかった。そこで本発明は、廃ポリオ
レフィン樹脂製品などから、ポリエチレン重合体、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃化剤等の配合成分を
分別回収することにより、再利用の途を拡大することが
できる、ポリオレフィン樹脂加工物の再生方法を提供す
ることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のポリオレフィン
樹脂加工物の再生方法は、ポリオレフィン樹脂加工物細
片を溶解パラメータが9.2〜9.8の第1溶剤に接触
させたのち抽出物を含む第1液相からポリオレフィン樹
脂を主成分とする固形物を分離する工程、前記第1液相
から第1溶剤を除去して得た固体を溶解パラメータが
6.6〜7.8の第2溶剤に溶解して第2液相を得る工
程、前記第2液相に溶解パラメータが13.5〜14.
8の第3溶剤を接触させて液/液抽出を行い、第3溶剤
が主成分である第4液相を残りの第3液相から分離する
工程、前記第3液相から溶剤を分離して低極性有機配合
物を回収する工程、前記第4液相から溶剤を分離して高
極性有機配合物を回収する工程、を含むことを特徴とす
るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリオレフィン樹脂加工
物の再生方法を適用することができる対象物は、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、又はエチレンやプロピレンを
含む共重合体等のポリオレフィン樹脂の組成物や、その
組成物を使用して成形された加工製品などである。かか
る処理対象のポリオレフィン樹脂加工物は、先ず水等の
溶剤で洗浄することによって塵埃等を除去し、乾燥した
後粉砕するなどにより、処理が容易となる程度に細片化
しておくことが望ましい。
【0009】また、本発明のポリオレフィン樹脂加工物
の再生方法に使用される溶剤は、第1溶剤と第2溶剤と
第3溶剤との3種類であるが、その第1溶剤としては、
溶解パラメータ(以下SP値と略称する)が9.2〜
9.8のものが用いられる。かかる第1溶剤は、例えば
クロロホルムなどの単一成分の溶剤でもよいが、混合溶
剤でもよく、特に限定されるものではない。しかしその
中でも、沸点が余り高くないものが特に好ましい。
【0010】また第2溶剤としては、SP値が6.6〜
7.8のものが用いられる。かかる第2溶剤は単一成分
の溶剤でも混合溶剤でもよいが、例えばエチルエーテル
とペンタン又はヘキサンとの混合溶剤などが好ましく用
いられる。更に第3溶剤としては、SP値が13.5〜
14.8のものが用いられる。かかる第3溶剤も、単一
成分の溶剤でも混合溶剤でもよいが、前記の第3溶剤と
は溶け合わないものであることが好ましい。このような
好ましい第3溶剤として、例えばメタノール、メタノー
ルとエタノールの混合溶剤、あるいはエタノールと水の
混合溶剤などを挙げることができる。
【0011】本発明において、細片化されたポリオレフ
ィン樹脂加工物は、前記の第1溶剤によって抽出される
が、その際に必要であれば攪拌、加熱などを行ってもよ
い。この溶剤による抽出物は殆ど低分子量の有機化合物
であり、ポリオレフィン重合体と無機配合物などを含む
固形物から、第1液相として分離される。この際の分離
方法は特に限定されないが、好ましくは濾過又は遠心分
離などの方法を選択することができる。こうして分離さ
れたポリオレフィン重合体を含む固形物は、物性等を測
定した上利用可能と判断されれば、再び樹脂組成物製造
用材料として利用することができる。
【0012】次にこの第1液相は、これから溶剤を留去
して固体を得、次いでこの固体を前記の第2溶剤に溶解
するが、必要であれば加温してもよく、必ずしも完全な
溶液にならなくても差し支えない。こうして得られた第
2液相は、これに前記の第3溶剤を加えて充分に接触さ
せ、液/液抽出を行った後、第2溶剤を主成分とする第
3液相と第3溶剤を主成分とする第4液相とに分離す
る。この2種の液相を分離して回収するに当たっては、
比重差などを利用することができる。
【0013】その後、第3液相から溶剤を留去して、残
った比較的低極性の有機成分を回収するが、こうして得
られた固形物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、或いは
有機難燃剤などの有機配合物やその残存物等が含まれて
おり、必要に応じて分析を行い、その有効性能が認めら
れたときは、再利用に回すことができる。
【0014】更に、分離された第4液相から溶剤を留去
して、残った比較的高極性の有機成分を回収する。こう
して得られた固形物には、滑剤、界面活性剤などの有機
配合物やその残存物等が含まれているので、必要に応じ
て分析を行い、その有効性能が認められたときは、再利
用に回すことができる。
【0015】なお、本発明のポリオレフィン樹脂加工物
の再生方法において使用され、各工程で発生した廃溶剤
等は、適宜回収して分留するなどにより精製し、本発明
のポリオレフィン樹脂加工物の再生方法において再使用
することができるが、適宜の他の用途に利用することも
できる。
【0016】
【実施例】(第1実施例)3年間使用した後回収された
ポリエチレン被覆電線から被覆部分を分離回収し、細断
した後、洗浄、乾燥して、ポリエチレン樹脂細片を得
た。そして、このポリエチレン樹脂細片10重量部を、
第1溶剤としてクロロホルム(SP値:9.4)200
重量部を用いて常温で抽出し、濾別して固形物と第1液
相とに分離した。回収した固形物を充分乾燥した後、そ
の組成を赤外線分光分析により調べたところ、酸化など
による劣化のない、純度の高いポリエチレンであること
が分かった。従ってこの回収ポリエチレンは、電線被覆
用やその他の用途への再利用の可能な材料であることが
分かった。
【0017】次に、上記の第1液相から第1溶剤である
クロロホルムを留去して、固体を回収した。そして第2
溶剤としてエチルエーテル40重量%とn−ペンタン6
0重量%の混合溶剤を100重量部用い、上記の固体を
溶解して、第2液相を形成した。更にこうして得た第2
液相に、第3溶剤として10重量%の水を含むエタノー
ルを100重量部加えて充分に攪拌混合したのち、これ
を静置して第3液相と第4液相とを上下2層に分離させ
た。
【0018】そして、これから下層のエタノールを主成
分として含む第4液相を分取し、溶剤であるエタノール
等を留去し、更に乾燥させて固形物を回収した。こうし
て得た固形物は重量を測定し、更にペーパークロマトグ
ラフ法により成分を分離して赤外線分光分析を行ったと
ころ、滑剤及びその分解物である高級脂肪酸などの、比
較的高極性の有機物の混合物であることが分かった。そ
してこの固形物は、新品の滑剤の一部に置き換えて、ポ
リオレフィン樹脂組成物の原料として再利用することが
できるものと判断された。
【0019】一方、上記の第4液相を分取した残りの第
3液相は、これからペンタンなどの溶剤を留去し、乾燥
させて塊状の固形物を回収した。こうして得た固形物に
ついて重量を測定し、更にペーパークロマトグラフ法に
より成分を分離し、赤外線分光分析を行ったところ、酸
化防止剤及びその分解物や、紫外線吸収剤などの、比較
的低極性の有機物の混合物であることが分かった。そし
てこの固形物は、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの一部
に置き換えて、ポリオレフィン樹脂組成物の原料として
再利用することができるものと判断された。
【0020】更に、このような溶剤による抽出分離操作
を5回繰り返して、各固形物それぞれの回収量を合計し
たところ、ポリエチレンの収率が99.5重量%、滑剤
等の混合物の収率が0.1重量%、酸化防止剤等の混合
物の収率が0.2重量%であり、総回収率は99.8重
量%であった。
【0021】(第2実施例)3年間使用した後回収され
た難燃ポリオレフィン電線から、被覆部分を剥離して集
めた後、細断してから洗浄、乾燥して、ポリオレフィン
樹脂細片を得た。そして第1実施例と同様の操作手順に
より、上記のポリオレフィン樹脂細片を分別処理した。
そして、第1溶剤による抽出残分であるポリオレフィン
成分について、更にヘキサンによる分別抽出を行った
後、赤外線分光分析及びX線マイクロ分析により、約6
5重量%のポリエチレンと約35重量%のマグネシウム
系無機難燃剤を含む組成物であることを確かめた。この
ことから、この回収材料は難燃ポリエチレン樹脂組成物
の材料として再利用可能なものであると判断された。
【0022】また、第3液相から回収された固形物を、
ペーパークロマトグラフ法と赤外線分光分析による組成
分析をしたところ、滑剤及びその分解物である高級脂肪
酸などの、比較的高極性の有機物の混合物であることが
分かった。また第4液相から回収された固形物を、ペー
パークロマトグラフ法と赤外線分光分析による組成分析
を行ったところ、有機系難燃剤と、酸化防止剤及びその
分解物などの、比較的低極性の有機物の混合物であるこ
とが分かった。そしてこの固形物は、難燃樹脂組成物の
配合原料の一部に置き換えて、補助難燃剤として再利用
することができるものと判断された。
【0023】更に、上記の分別処理操作を5回繰り返し
て、各回収物のそれぞれの回収量を合計したところ、ポ
リエチレンを主とする難燃剤混合物の収率が98.3重
量%、滑剤等を含む混合物の収率が0.5重量%、酸化
防止剤等の混合物の収率が0.6重量%であり、総回収
率は99.4重量%であった。
【0024】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン樹脂加工物の再
生方法によれば、きわめて効率よくポリオレフィン樹脂
が回収できるほか、滑剤や難燃剤等の再利用可能な樹脂
用配合剤を分別回収することができ、資源の有効利用と
環境汚染の防止とを、併せて進めることができる効果が
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂加工物細片を溶解パ
    ラメータが9.2〜9.8の第1溶剤に接触させたのち
    抽出物を含む第1液相からポリオレフィン樹脂を主成分
    とする固形物を分離する工程、前記第1液相から第1溶
    剤を除去して得た固体を溶解パラメータが6.6〜7.
    8の第2溶剤に溶解して第2液相を得る工程、前記第2
    液相に溶解パラメータが13.5〜14.8の第3溶剤
    を接触させて液/液抽出を行い、第3溶剤が主成分であ
    る第4液相を残りの第3液相から分離する工程、前記第
    3液相から溶剤を分離して低極性有機配合物を回収する
    工程、前記第4液相から溶剤を分離して高極性有機配合
    物を回収する工程、を含むことを特徴とするポリオレフ
    ィン樹脂加工物の再生方法。
JP6986698A 1998-03-19 1998-03-19 ポリオレフィン樹脂加工物の再生方法 Withdrawn JPH11263870A (ja)

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