JPH11263830A - 炭酸トリメチレンと光学不活性ラクチドとからなる新規コポリマ― - Google Patents

炭酸トリメチレンと光学不活性ラクチドとからなる新規コポリマ―

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JPH11263830A
JPH11263830A JP10353986A JP35398698A JPH11263830A JP H11263830 A JPH11263830 A JP H11263830A JP 10353986 A JP10353986 A JP 10353986A JP 35398698 A JP35398698 A JP 35398698A JP H11263830 A JPH11263830 A JP H11263830A
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    • A61L31/06—Macromolecular materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収性または生分解性のメソ−ラクチド／炭
酸トリメチレンコポリマーを提供する。 【解決手段】 炭酸トリメチレン単位４乃至９０重量％
並びにメソ−ラクチド単位１０乃至９６重量％を含み、
ガラス転移温度が−２０℃〜＋５５℃の範囲にあるコポ
リマー。少割合のラクチド又はラクトンよりなる群から
選ばれた他のモノマー単位を含有してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】産業上の利用分野 本発明は、炭酸トリメチレン（１，３−ジオキサン−２
−オン）と光学的に不活性なラクチド、すなわちメソ−
ラクチドとからなる新規のコポリマー、その製造方法及
びその用途に関する。
【０００２】従来の技術 多くの外科用材の製造に炭酸トリメチレンからなるポリ
エステルが使用できることが知られている。これに関連
して、炭酸トリメチレンのコポリマーの使用に当たって
は、一又は他のコモノマーを適当に選択することによっ
て、生成するポリエステルの性質を所期の用途に適合さ
せるべく修飾することが既にしばしば試みられている。
【０００３】かくして、炭酸トリメチレン（ＴＭＣ）
と、グリコリド又はＬ−ラクチド等のラクチド類とのコ
ポリマーは従来の技術より知られる。
【０００４】例えば、米国特許第4705820 号には炭酸ト
リメチレン単位とグリコリド単位とより構成される所謂
「ランダムポリマー」が開示されている。
【０００５】米国特許第4652264 号は生分解性の繊維性
材料よりなる外科用補填材に関するものである。該繊維
は50％までが炭酸トリメチレン単位よりなり、上記のラ
クチド類を他のコモノマーとして含むコポリマーよりな
るものである。
【０００６】米国特許第4633873 号には、弾性を有する
手術補助具の製造への、炭酸トリメチレン単位とグリコ
リド単位とからなるポリエステルの使用が記載されてい
る。
【０００７】米国特許第4429080 号は炭酸トリメチレン
ブロックとグリコリドブロックよりなるブロックポリマ
ーから製した生分解性の糸又は布地に関するものであ
る。
【０００８】米国特許第4300656 号は、本質的にグリコ
リド単位より構成されたポリマーから作られた外科用材
に関連している。他の適当なコモノマーとして炭酸トリ
メチレン（ＴＭＣ）もまたこれに記載されている。
【０００９】同様に、西独特許公開公報第2850824 号に
は、これも外科用固定用具の製造に使用される、グリコ
リドと炭酸トリメチレン（ＴＭＣ）とから製造されるコ
ポリマーが開示されている。
【００１０】西独特許第2821570 号には生成ポリマーが
特定の性質を得るように、重合化に際し個々のモノマー
を逐次的に加えるコポリマーの製造方法が開示されてい
る。
【００１１】発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の技術には、炭酸トリメチレン（Ｔ
ＭＣ）とメソ−ラクチドとのコポリマーについて具体的
言及したものはない。
【００１２】驚くべきことに、炭酸トリメチレン（ＴＭ
Ｃ）との共重合にメソ−ラクチドをコモノマーとして使
用することにより、生成するコポリマーの性質を、特殊
な重合技術や取扱い方法を要することなく多くの手段で
容易に左右できることが見出された。
【００１３】課題を解決するための手段 炭酸トリメチレン（1 ，3 −ジオキサン−２−オン）単
位とメソ−ラクチド単位とに基づく本発明の新規コポリ
マーは、炭酸トリメチレン単位を１乃至99重量％の範囲
に含み、より好ましくは炭酸トリメチレン単位を４乃至
90％の範囲に及びメソ−ラクチド単位を10乃至96％の範
囲に含む。該コポリマーは、ラクチド類又はラクトン類
からなる群より選ばれた別のモノマー単位の少量を更に
含有することもできる。
【００１４】使用するラクチドと炭酸トリメチレン（Ｔ
ＭＣ）との比率を変えることによって、本発明のコポリ
マーの力学的諸性質を広い範囲に渡って左右することが
できる。かくして、ラクチドを多量に（＞90％）含むコ
ポリマーは比較的高い剛性を有する材料である。しかし
本発明のコポリマーは延性が大きい（脆性破断が起こら
ない）という特徴がある。
【００１５】ラクチドを中程度の量（ラクチド量約30乃
至70％）含有するポリマーは際立った延性を有する材料
である。破断伸び及び最大引張力下での伸びは、ラクチ
ドの比率が減少するとピークに達する。
【００１６】ラクチドの比率を減少（＜30％）させた場
合には、コポリマーの力学的諸性質は純粋なポリ炭酸ト
リメチレン（ポリ−ＴＭＣ）と実質的に似たようなもの
となるので、ラクチドを30％より多い比率で含むコポリ
マーが特に好ましい。所望の力学的性質（固く強靱な又
は弾性的）に応じて、ラクチドを高い又は中程度の比率
で含有する、アモルファスの性質を示すポリマーが特に
好ましい。
【００１７】本発明のコポリマーは逐次的ポリマー化に
よると同様に、統計的（ランダムな）ポリマー化によっ
ても製造することができる。例えば、ランダムにポリマ
ー化したポリ（メソ−ラクチド−コ−炭酸トリメチレ
ン）ポリマー及びＡＢ−ブロックポリマー、ＡＢＡ−ブ
ロックポリマーをポリ（メソ−ラクチド−コ−炭酸トリ
メチレン）から製造することができる。
【００１８】コポリマー化によって得られる生分解性ポ
リマーはいずれもアモルファスの性質を有するが、ラク
チドの選択とメソ−ラクチドに対する炭酸トリメチレン
（ＴＭＣ）の比率とに応じて、本発明のコポリマーはガ
ラス転移温度を、昇温速度５Ｋ／分の示差熱分析で、約
−20乃至＋55℃の範囲に、より好ましくは−15乃至＋50
℃の範囲に、及び特に好ましくは−13乃至＋45℃の範囲
に示す。本発明のコポリマーの固有粘度値は、クロロホ
ルム中０.1％溶液として25℃にて測定するとき、０.5乃
至３dl／ｇの範囲に、より好ましくは０.6乃至２.5dl／
ｇの範囲に、及び特に好ましくは０.7乃至２.1dl／ｇの
範囲にある。個々のガラス転移温度に応じて、本発明の
コポリマーは個々の弾性的特性を有し、これにより種々
の用途に適合する。
【００１９】更に、反応条件を適当に選ぶことにより、
炭酸トリメチレン単位又はラクチド単位の配列と同様
に、コポリマーの分子量及び組成をも左右することがで
きる。炭酸トリメチレン単位とラクチド単位の配列を左
右することによって、コポリマーから製した外科用材の
生体内での性質を変化させることもまた可能である。
【００２０】生成するポリマーの特定の特徴を変化させ
る他の可能な方法は、例えば、従来の技術より知られる
可塑剤や他の適当なポリマー添加剤を加えること等に見
出すことができる。
【００２１】弾性的性質の観点からは、本発明のコポリ
マーは、以下の態様での用途に特に適している。
【００２２】(1) 外科用縫合材用又は固定用具用の被覆
材 かかる被覆は、縫合材の滑り性能を高めるとともに、よ
り良好な結節性能を与える。
【００２３】本発明のコポリマーは、例えば溶液の形で
又は熱的手段によって、かかる手術補助材に容易に適用
することができる。いずれの方法も従来の技術より知ら
れる。
【００２４】特に有利な特徴の一つは、該コポリマーが
非常に多種の溶媒に可溶なことである。適当な溶媒とし
ては、例えば、クロル化炭化水素のみならず、アセト
ン、酢酸エチル及び炭酸プロピレン（４−メチル−１，
３−ジオキソラン−２−オン）等の生理学的に許容し得
る溶媒が挙げられる。
【００２５】(2) 例えば熱傷や擦過傷を受けた皮膚の治
療のための、創傷被覆用吸収性フィルム この目的には、本発明のコポリマーは所望により抗炎症
剤又は殺菌剤等の薬物の担体としての役割も果たすが、
他の薬剤を使用することもまた可能である。
【００２６】この種の皮膚の障害においては、従来は、
再生組織に非吸収性の被覆材が取り込まれないように絶
えず注意しながら被覆を施す必要があった。
【００２７】本発明のコポリマーは吸収性であるから、
被覆材の一部が再生面内に取り込まれる様なことがあっ
ても、非吸収性コポリマーであれば痂皮と共に排除され
るはずのところ、組織は再生に伴ってコポリマーを吸収
する。
【００２８】本発明の物質は、その弾性と可溶性の観点
から、噴霧式被覆材として小さな傷を被覆するのに特に
有利である。
【００２９】(3) 弾性的吸収性埋込体 かくして、本発明のコポリマーは、手術に使用される、
例えば、詰物、包帯又はスポンジとして使用することが
できる。この種の手術補助具は様々な手術において必要
とされている。かかる補助具を使用することは手術中又
は手術後にこれらの補助具を除去せんとし、しかも、そ
の補助具の一部が見逃しや偶然により取り残される可能
性がある場合には、特に有利であることは明らかであ
る。すなわち、手術に伴って生じ得る合併症の一つは、
綿球から生じた綿繊維が傷口に取り残され得るというこ
とに起因するものである。他方、本発明のコポリマーで
作った補助具を使用すれば、脱落したいかなる断片も何
ら有害な結果を生じることなく吸収されてしまう。
【００３０】コモノマーの組成又は配列により、大した
労を要さずに生体内におけるコポリマーの該特性、すな
わち分解特性等、を左右できることから、これらのコポ
リマーは、例えば止血用具、顔面補填材、脱腸（ヘルニ
ア）用パッチ、歯科用充填材等、一時的手段として補填
材や被覆材が必要とされる用途にも特に適している。
【００３１】(4) 薬物の制御された放出を必要とする活
性物質の放出システムのための、薬物の担体若しくは容
器又は遅延化材 この種の活性物質放出システムにおいては、容器又は担
体素材が望ましくない、いわんや、薬理学的に有害な残
留物を組織中に残すことなく、活性物質の放出中につれ
又はその後に溶解してしまうことが望ましい。この種の
放出システムは、埋込体としてのみならず、経口投与用
又はエアロゾルの形態での投与用としても設計すること
ができる。
【００３２】本発明のコポリマーに活性物質を充填し、
又は所望の放出特性を達成するために活性物質放出シス
テムを最初から設計する可能な方法は、従来の技術より
知られる。
【００３３】本発明のコポリマーは、とり分け、農薬、
除草剤又は殺虫剤用の、担体、又は容器として使用する
こともまた可能である。
【００３４】その弾性に着目すれば、本発明のコポリマ
ーは、例えば、活性物質の経皮放出システム用のフィル
ムや硬膏の形で使用するのに適している。本発明のコポ
リマーを活性物質の放出用のシステムとして、例えば埋
込体や巨丸の形態等に調製する可能な方法もまた従来の
技術より知られる。
【００３５】本発明のコポリマーは、ランダムポリマー
又はブロックポリマーとして製造され、外科用材は通常
の方法（上記従来技術参照）によって製造される。こう
して製した外科用材はまた同様に使用することができ
る。
【００３６】実施例 以下に示す実施例は本発明を具体的に説明することを目
的としたものであって、これによって本発明を限定する
ものではない。
【００３７】実施例 １（参考例） 炭酸トリメチレン2.５ｇ、Ｄ，Ｌ−ラクチド２.5ｇ及び
２−エチルヘキサン酸錫（II）のトルエン溶液（20ml中
136.5mg）０.25 mlを順次ガラス試験管に加える。試験
管を数回減圧にして溶媒を除去する。試験管を窒素雰囲
気下で溶閉し、190℃に維持した油浴中に吊るして２.5
時間放置する。室温まで冷却した後ガラス試験管を割っ
てポリマーに付着したガラスを除去する。未反応のモノ
マーを除去するため、ポリマーをクロロホルム／石油エ
ーテルから再析出させ、真空乾燥する。
【００３８】ＮＭＲスペクトル（250 MHz-1H-NMR, CDCl
3)による検討から、Ｄ，Ｌ−ラクチドの反応度として96
％及び炭酸トリメチレンの反応度として97％の値を得
る。ポリマーは51重量％が炭酸トリメチレン単位からな
る。粗生成物は固有粘度値（クロロホルム中０.1％溶液
として25℃にて測定）１.05 dl／ｇを示す。精製したポ
リマーはガラス転移温度＋９℃（ＤＳＣ、昇温速度５Ｋ
／分）を示す。
【００３９】実施例 ２乃至４ 炭酸トリメチレンとメソ−ラクチドとからなる各種組成
の統計的コポリマーを実施例１の方法により製造した。
【００４０】炭酸トリメチレンとメソ−ラクチドとから
なる統計的ポリマー（バッチサイズ５ｇ、触媒；２−エ
チルヘキサン酸錫（II））
【００４１】 1) Ｓｎの ppm値 2) dl／ｇ値 クロロホルム中０.1％溶液として25℃に
て測定。値は粗生成物のもの。
【００４２】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 ＦＩ Ａ６１Ｌ 17/00 Ａ６１Ｌ 27/00 Ｙ 27/00 31/00 Ｐ 31/00 15/01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】炭酸トリメチレン単位を４乃至９０重量％
    並びにメソ−ラクチド単位を１０乃至９６重量％含有
    し、昇温速度５Ｋ／分にて示差熱分析により測定すると
    きガラス転移温度が−２０乃至＋５５℃の範囲にあるこ
    とを特徴とする炭酸トリメチレン単位とメソ−ラクチド
    単位とに基づくコポリマー。
  2. 【請求項２】昇温速度５Ｋ／分にて示差熱分析により測
    定するときガラス転移温度が−１５乃至＋５０℃の範囲
    にあることを特徴とする請求項１記載のコポリマー。
  3. 【請求項３】昇温速度５Ｋ／分にして示差熱分析により
    測定するときガラス転移温度が−１３乃至＋４５℃の範
    囲であることを特徴とする請求項１記載のコポリマー。
  4. 【請求項４】ラクチド類又はラクトン類から選ばれた他
    の１種のモノマー単位を更に含有することを特徴とする
    請求項１乃至３のいずれかに記載のコポリマー。
  5. 【請求項５】クロロホルム中０．１％溶液として２５℃
    において測定するとき固有粘度値が０．５乃至３ｄｌ／
    ｇの範囲にあることを特徴とする請求項１乃至６のいず
    れかに記載のコポリマー。
  6. 【請求項６】クロロホルム中０．１％溶液として２５℃
    において測定するとき固有粘度値が０．６乃至２．５ｄ
    ｌ／ｇの範囲にあることを特徴とする請求項５記載のコ
    ポリマー。
  7. 【請求項７】クロロホルム中０．１％溶液として２５℃
    において測定するとき固有粘度値が０．７乃至２．１ｄ
    ｌ／ｇの範囲にあることを特徴とする請求項５記載のコ
    ポリマー。
  8. 【請求項８】炭酸トリメチレンとメソ−ラクチドとを触
    媒の存在下にて重合させ、そして生成物を単離すること
    を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載するコポ
    リマーの製造方法。
  9. 【請求項９】炭酸トリメチレン及びメソ−ラクチドへ、
    さらにラクチド類又はラクトンから選ばれた他の１種の
    モノマーの少量を加え、触媒の存在下にて重合させ、そ
    して生成物を単離することを特徴とする請求項４記載の
    コポリマーの製造方法。
  10. 【請求項１０】請求項１乃至７のいずれかに記載のコポ
    リマーよりなる、外科用縫合材料又は外科用固定用具の
    ための被覆材。
  11. 【請求項１１】請求項１乃至７のいずれかに記載のコポ
    リマーよりなる、フィルム又はスプレー被覆材の形の吸
    収性創傷被覆材。
  12. 【請求項１２】請求項１乃至７のいずれかに記載のコポ
    リマーよりなる、吸収性外科用埋込体。
  13. 【請求項１３】請求項１乃至７のいずれかに記載のコポ
    リマーよりなる、担体、マトリックス又は容器の形の薬
    学的活性物質のための賦形材。
  14. 【請求項１４】請求項１乃至７のいずれかに記載のコポ
    リマーよりなる、担体又は容器の形の農薬、殺虫剤又は
    除草剤のための賦形材。
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