JPH11262629A - 窒素酸化物の浄化方法 - Google Patents

窒素酸化物の浄化方法

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JPH11262629A
JPH11262629A JP10068339A JP6833998A JPH11262629A JP H11262629 A JPH11262629 A JP H11262629A JP 10068339 A JP10068339 A JP 10068339A JP 6833998 A JP6833998 A JP 6833998A JP H11262629 A JPH11262629 A JP H11262629A
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JP
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nitrogen oxides
activated carbon
nitrogen
carbon material
adsorbed
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JP10068339A
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English (en)
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Kazutoshi Haraguchi
和敏 原口
Michiya Nakajima
道也 中嶋
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INT CENTER FOR ENVIRONMENTAL T
International Center for Environmental Technology Transfer
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、酸素共存
下に窒素酸化物を吸着させた大量の活性炭素材を連続
的、且つ安定して急速加熱処理でき、処理対象ガス中に
含まれる窒素酸化物を連続的、且つ効率良く窒素に還元
浄化する方法を提供することである。 【解決手段】 窒素酸化物と、窒素酸化物より多い量の
酸素とを含有する浄化対象ガスを、アルカリ金属を担持
させた活性炭素材に接触させることにより窒素酸化物を
吸着させた後、該窒素酸化物を吸着させた活性炭素材
を、実質的に酸素を含まない雰囲気で350℃以上の温
度に保持された加熱流動層によって急速加熱することに
より、吸着された窒素酸化物を窒素分子に還元すること
を特徴とする窒素酸化物の浄化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大気や燃焼ガス等に
含まれる窒素酸化物の浄化を目的とした分野で用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】産業の拡大に伴い、排出される環境汚染
物質は増加の一途を辿っている。特に窒素酸化物は自動
車需要の急激な増大や、発電所、工場等における石油、
石炭の燃焼量の増加により著しい増加を示し、健康障害
や酸性雨を始めとする地球的規模での汚染源として、そ
の排出量削減は危急の課題となっている。
【0003】近年、過剰酸素共存下の窒素酸化物、例え
ばトンネルや地下駐車場の換気ガスや燃焼排気ガスに含
まれる窒素酸化物にはppmレベルの窒素酸化物が含ま
れていることから、それらを浄化する方法が求められて
いる。
【0004】かかる過剰酸素雰囲気での窒素酸化物を除
去するには、活性炭素材等で吸着して除くことが有効で
ある。例えば吸着材としてはモレキュラ−シ−ブ、シリ
カゲル、活性炭の他、鉄(II)錯体含有高分子樹脂など
が知られている(例えば、公害と対策、27巻、17
頁、1991年)。このうち、活性炭素材を用いた吸着
に関しては、従来より活性炭素材メ−カ−から酸性ガス
用吸着材として、例えば活性炭を水酸化カリウム等のア
ルカリ水溶液で処理したものや、繊維状活性炭素材の細
孔径を制御したもの等が提供されている。
【0005】一方、吸着された窒素酸化物を大気中に再
放出することは窒素酸化物を浄化したことにはならず、
かかる吸着窒素酸化物を浄化することが大きな課題とな
っている。これまで、吸着された窒素酸化物の浄化する
方法としては、吸着窒素酸化物を吸着材から加熱により
脱着したものにアンモニアを還元剤として添加し、20
0℃以上で窒素分子に還元する、いわゆるSCR法が最
も有効な方法として知られている。
【0006】しかしながら、SCR法は装置が大型化す
ることや、漏れを生じた場合に非常に有害であるアンモ
ニアを用いることから、小規模装置や都市部近郊での使
用には困難な場合が多かった。
【0007】我々は、既に過剰酸素共存下の窒素酸化物
(一酸化窒素及び/又は二酸化窒素)を特定の活性炭素
材に吸着して除去した後、該活性炭素材を急速に加熱す
ることにより、吸着させた窒素酸化物を高効率で窒素分
子に還元できる方法を開発した。 本方法はアンモニア
が不要であること、還元反応が短時間で終了すること等
の利点を有する。しかし、実用化の為には、窒素酸化物
を吸着させた活性炭素材を、大量、且つ連続的に安定し
て急速加熱処理する方法を実現させることが必要不可欠
であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、酸素共存下に窒素酸化物を吸着させた大量
の活性炭素材を連続的、且つ安定して急速加熱処理で
き、処理対象ガス中に含まれる窒素酸化物を連続的、且
つ効率良く窒素に還元浄化する方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、課題を解
決すべく鋭意研究した結果、過剰酸素共存下の一酸化窒
素及び/又は二酸化窒素を含む処理対象ガスを活性炭素
材に接触させ、含まれる窒素酸化物を活性炭素材に吸着
させた後、該活性炭素材を実質的に酸素を含まない雰囲
気の加熱流動層により、350℃以上の温度に急速加熱
することにより、吸着させた窒素酸化物を高効率で、連
続的に安定して窒素分子に還元し浄化できることを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、(1) 窒素酸化物と、
窒素酸化物より多い量の酸素とを含有する浄化対象ガス
を、アルカリ金属を担持させた活性炭素材に接触させる
ことにより窒素酸化物を吸着させた後、該窒素酸化物を
吸着させた活性炭素材を、実質的に酸素を含まない雰囲
気で350℃以上の温度に保持された加熱流動層によっ
て急速加熱することにより、吸着された窒素酸化物を窒
素分子に還元することを特徴とする窒素酸化物の浄化方
法、
【0011】(2) 窒素酸化物を吸着させた活性炭素
材を80〜120℃の温度に加熱する前処理を行った
後、加熱流動層により急速加熱することを特徴とする
(1)に記載の窒素酸化物の浄化方法、
【0012】(3) 窒素酸化物を吸着させた活性炭素
材を加熱流動層に連続的に投入、及び排出することを特
徴とする(1)又は(2)に記載の窒素酸化物の浄化方
法、(4) 加熱流動層内での窒素酸化物を吸着させた
活性炭素材の平均滞留時間が5分間以内であることを特
徴とする、上記の(1)〜(3)のいずれか一つに記載
の窒素酸化物の浄化方法、
【0013】(5) アルカリ金属がカリウムであり、
カリウムの担持量が0.5〜10重量%であることを特
徴とする、上記の(1)〜(4)のいずれか一つに記載
の窒素酸化物の浄化方法、
【0014】(6) 加熱流動層の雰囲気が、窒素及び
/又は二酸化炭素を主成分とする不活性ガス雰囲気であ
ることを特徴とする、上記の(1)〜(4)のいずれか
一つに記載の窒素酸化物の浄化方法、
【0015】(7) 加熱流動層の雰囲気が燃焼ガスで
あることを特徴とする(6)に記載の窒素酸化物の浄化
方法、及び、(8) 加熱流動層の雰囲気中に含まれる
酸素が0.3%以下であることを特徴とする(6)又は
(7)に記載の窒素酸化物の浄化方法を含むものであ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明において、処理対象ガス中に存在する酸素
は、該ガス中に含有される窒素酸化物、特に一酸化窒素
より過剰に含まれていることが必要である。共存酸素の
量としては、窒素酸化物が一酸化窒素だけの場合は一酸
化窒素に対して2モル比以上、更に好ましくは10モル
比以上含まれているのが良い。酸素が含まれていない
か、又は等モル比以下の酸素しか含まれていない時は、
一酸化窒素の吸着が生じないか、生じても少ない量であ
り本発明による除去効果が小さくなる。
【0017】処理対象ガスに含まれる窒素酸化物が二酸
化窒素のみの場合は、必ずしも酸素は含まれて無くても
吸着は生じるが、吸着をより高効率に行うためには、二
酸化窒素より過剰の酸素が含まれている方が好ましい。
従って、処理対象ガス中に一酸化窒素と二酸化窒素が共
に含まれている場合も含めて、窒素酸化物に対して少な
くともそれより過剰の酸素が必要であり、好ましくは窒
素酸化物(一酸化窒素と二酸化窒素の合計)の2モル比
以上、更に好ましくは10モル比以上含まれているのが
良い。
【0018】一方、処理対象ガス中に含まれる一酸化窒
素及び/又は二酸化窒素の濃度は特に限定されない。一
般に窒素酸化物として、大気ガスでは数ppm又はそれ
以下の濃度、燃焼排ガスの場合は数十〜数千ppmの濃
度、汚染ガスではppm〜%オ−ダ−の濃度が一般的で
あるが、いずれに対しても適用可能である。
【0019】本発明において、処理対象ガス中に窒素酸
化物と酸素以外に他種の成分ガスが含まれていることも
差し支えない。例えば、二酸化硫黄や水分、又はCO2
やCOまたN2等のほかプロパンやプロペンのような炭
化水素類が共存する場合も本発明は有効である。具体的
には、ボイラ−、エンジン等からの各種燃焼排気ガス、
トンネル内や工場内の窒素酸化物含有の大気ガス、又は
その他の種々の局所空間における窒素酸化物汚染ガス等
が挙げられる。
【0020】本発明において使用される活性炭素材とし
ては、酸素共存下の一酸化窒素もしくは二酸化窒素を高
効率で吸着できるものであり、且つ、以後の急速加熱に
より窒素分子への還元浄化が可能であるものが用いられ
る。具体的には、アルカリ金属を含有した活性炭素材が
好ましい。
【0021】アルカリ金属としては、窒素酸化物の吸着
率が高く、且つ、急速加熱による窒素分子への還元浄化
が高効率で行える点からカリウムを含有したものは特に
好ましい。活性炭素材に含まれるアルカリ金属の量とし
ては、好ましくは0.5〜10重量%が、特に好ましく
は1〜5重量%が用いられる。0.5重量%未満ではア
ルカリ金属添加効果が小さくなり、10重量%以上で
は、アルカリ金属を含む活性炭素材の耐熱性の低下が大
きくなる問題が生じる。
【0022】また、活性炭素材の比表面積としては、窒
素酸化物の吸着率が高ければ良く、特に限定されない
が、好ましくは200m2/g以上のものが、更に好ま
しくは300m2/g以上のもの、特に好ましくは40
0m2/g以上のものが用いられる。200m2/g以下
では一般的に窒素酸化物の吸着率が悪い。
【0023】また、用いる活性炭素材の原料は特に限定
されず、例えば石炭やピッチ類、フェノ−ル樹脂等の熱
硬化性樹脂、オガクズやヤシ殻等の植物素材、またポリ
アクリロニトリル等の有機繊維を出発物質とするものや
炭素繊維を原料とするものなどが挙げられる。
【0024】また本発明において用いる活性炭素材の形
状は特に限定されず、例えば、粉末状、粒状、破砕形状
等の形態を有するもの、もしくはそれらを成形してなる
成形物が可能である。特にガスとの接触及び飛散防止な
どの観点から、かさ密度0.1〜1.0g/cm3の活
性炭素材が有効である。
【0025】本発明において、吸着温度は特に限定され
ないが、50℃以下の温度での吸着が吸着量が大きくて
好ましい。但し、200℃までの範囲においても一酸化
窒素及び/又は二酸化窒素を吸着することが可能である
限り有効である。このような50〜200℃の比較的高
温領域での吸着は燃焼排気ガスに適用する場合において
有効である。
【0026】200℃以上の温度では吸着量が大きく低
下し、また共存する大過剰の酸素と活性炭素材の反応が
大きくなる問題が生じる。また本発明において、急速加
熱前の一酸化窒素及び/又は二酸化窒素の活性炭素材へ
の吸着量は特に限定されない。但し、吸着量があまり少
なかったり、逆に飽和するまで大量に吸着させた場合
は、浄化効率が悪かったり、加熱流動層での急速加熱に
よる窒素分子への還元効率が低下する場合がある。
【0027】本発明においては、処理対象ガス中の一酸
化窒素及び/又は二酸化窒素を活性炭素材に吸着させる
こと、そして加熱流動層により該吸着活性炭素材を加熱
し、吸着された窒素酸化物の少なくとも一部を窒素分子
として還元することが必須である。加熱流動層を用いる
ことにより窒素酸化物吸着活性炭素材は急速に加熱さ
れ、効率良く窒素酸化物は窒素分子に還元される。
【0028】ここで吸着窒素酸化物の還元に必要な急速
加熱は加熱流動層の温度が350℃以上、好ましくは4
50℃〜700℃に保持されていれば達成されるもの
で、急速加熱速度は実施例から推定すると300℃/
分、又はそれ以上である。昇温速度が、例えば通常の加
熱昇温で用いられる1〜30℃/分程度であると、例え
350℃以上の温度へ加熱しても、0〜15モル%しか
本発明にいう吸着窒素酸化物の窒素分子への還元は生じ
ない。
【0029】以上のように、本発明においては吸着した
窒素酸化物を浄化するために350℃以上、好ましくは
450〜700℃に保持された加熱流動層を用いること
を必須とするもので、これにより目的とする急速加熱速
度が安定して達成されるほか、大量の吸着活性炭素材を
連続的に急速加熱処理することが可能となった。
【0030】ここで加熱流動層の温度が350℃未満で
は有効な還元が起こらないか、生じても非常に少ない。
また、700℃を越える温度でも吸着窒素酸化物の還元
は問題なく生じるが、加熱流動層のコストが高くなるほ
か、活性炭素材の劣化が進行し好ましくない。
【0031】用いる加熱流動層装置としては、目的とす
る温度に保たれ安定した流動状態を保持した加熱流動部
を有し、且つ、連続的又は間欠的に吸着活性炭素材を該
加熱流動部へ供給することにより、継続して急速加熱処
理することができるものであれば良く、特に装置の形
状、試料供給、取り出し方式などに限定されない。例え
ば、加熱方式は予め加熱したガスのみによるものでも、
加熱ガスと流動部の外部加熱との併用によるものでも良
い。
【0032】また用いる加熱ガスとしても、燃焼ガスや
熱交換による加熱ガス等が用いられ、特に限定されな
い。吸着活性炭素材の供給・取り出しは、例えば加熱流
動部へ上方から吸着活性炭素材を一定量ずつ投入し、且
つそれと同等量を加熱流動部の一部から取り出すことに
より行える。取り出された活性炭素材は冷却装置により
出来るだけ酸素に触れないようにして冷却され、その
後、再利用される。
【0033】本発明において必要とされる吸着活性炭素
材の加熱流動層内の保持時間は短くて良く、具体的には
5分間以内が用いられる。より好ましくは3分間以内、
特に好ましくは1分間以内である。5分間以上では投入
エネルギ−が無駄に多くなるほか、用いた活性炭素材の
消耗が多くなる問題が生じる。ここで、投入した吸着活
性炭素材の平均滞留時間が一定になるように、従来公知
の流動層の装置工夫を行うことが好ましい。
【0034】また加熱流動層の雰囲気としては、窒素を
主成分とする不活性ガス雰囲気、又は、窒素と共に水及
び/又は二酸化炭素を含む雰囲気などが用いられ、実質
的に酸素を含まない雰囲気であることが必要である。こ
こで実質的に酸素を含まない雰囲気とは、雰囲気中に含
まれる酸素が少なく、活性炭素材を大きく消耗すること
の無い雰囲気を意味し、具体的には、酸素濃度が0.3
%以下、好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.
03%以下の濃度である。
【0035】雰囲気中の酸素濃度が多いと活性炭素材の
加熱流動層内での消耗、劣化が激しくなる。一方、雰囲
気中に一酸化炭素や炭化水素等の還元性ガス成分を少量
含むことは差し支えないが、それらや水分量、二酸化炭
素量はより少ない方が好ましい。また、吸着活性炭素材
を80〜120℃の温度に、一旦、加熱した後、加熱流
動層で急速加熱する方法は、吸着活性炭素材中に含まれ
る水分を予め除去するためや急速加熱をより効果的に行
うために有効に用いられる。
【0036】本発明の窒素酸化物の浄化方法により、活
性炭素材に吸着された窒素酸化物(一酸化窒素及び/又
は二酸化窒素)の少なくとも一部が窒素分子に還元され
る。具体的には30モル%以上、好ましくは80〜10
0モル%の吸着窒素酸化物が窒素分子に還元される。
【0037】
【実施例】次いで本発明を実施例及び比較例により更に
具体的に説明する。
【0038】(参考例1)図1に示す装置を用いて、活
性炭素材に窒素酸化物を含む処理対象ガスを接触させ、
窒素酸化物を活性炭素材へ吸着させた。窒素酸化物の吸
着量は活性炭素材の前後の窒素酸化物濃度を連続して測
定することにより得た。図1において、(1)は処理対
象ガス供給装置、(2)は活性炭充填部、(3)は窒素
酸化物検出装置、(4)は入り口側濃度検出用のバイパ
スラインを示す。
【0039】処理対象ガスは窒素ガスをベ−スにして、
20%の酸素と以下に示す濃度の窒素酸化物を含むもの
を用いた。処理対象ガス中の窒素酸化物濃度としては6
ppm、又は1000ppmを用い、また活性炭素材へ
の窒素酸化物吸着量としては6ppm濃度の場合、5×
10-4モル/g−carbonを、1000ppm濃度
では5×10-3モル/g−carbonを用いた。また
吸着条件としては、空間速度6000h-1、温度30
℃、湿度30%を用いた。
【0040】(参考例2)図2に、実施例で使用した加
熱流動実験装置の概要を示す。図2中、(1)は不活性
ガス供給部、(2)はガス加熱部、(3)は水分添加
部、(4)は透明石英容器、(5)はアルミナ粒(3〜
5mmφ)充填部、(6)は外部温度制御部(電機
炉)、(7)はステンレス製網(Sus網)、(8)は
活性炭素材を充填した加熱流動部、(9)は熱電対、
(10)は吸着活性炭素材投入部、(11)は活性炭素
材取り出し部、(12)は多成分分析装置(NOやNO
2等のNOx分析装置、堀場製作所製多成分分析装置P
G−250)、(13)はN2O分析装置(堀場製作所
製VIA−510)を示す。
【0041】また、系全体は高純度ヘリウムガスを用い
て内部での未置換ガスの滞留又は外部からの空気の流入
が一切無いことを各実験の前に予め確認し、(12)及
び(13)については別途用意した標準ガスを用いて、
各実験の前後で各成分ガス濃度の検量を行った。(1)
から供給される不活性ガスは窒素ベ−ス、酸素量=10
0ppm、二酸化炭素=100ppmを用いた。また
(3)より供給される水の量は2.8×10-2モル/リ
ットルとした。
【0042】(実施例1)表面積が1000m2/gの
石炭系活性炭素材(1mmφ×2mm)を、2モル/リ
ットルの水酸化カリウム水溶液に浸責後、100℃で5
時間乾燥して、カリウムを2重量%担持した活性炭素材
を得た。得られたカリウム担持活性炭素材50g、及び
窒素酸化物として一酸化窒素(濃度1000ppm)を
用いて参考例1の方法で一酸化窒素を吸着させた活性炭
素材を得た。
【0043】得られた一酸化窒素を吸着させた活性炭素
材を、参考例2の装置を用いて(但し、図2の取り出し
部は蓋をして閉じてある)、加熱流動部へ5gずつ10
回にわけて1分毎に間欠的に投入した。図2中の加熱流
動部の温度は500℃に設定した。
【0044】結果を図3に示す。図3は実施例1におけ
る、窒素酸化物を吸着させた活性炭素材の加熱流動部へ
の投入の際のNO発生量と時間との関係を示す図であ
る。図3の縦軸はNO発生量(ppm)を、横軸は時間
(分)を表す。図の上部に記載した矢印は一酸化窒素を
吸着させた活性炭素材5gの導入時(10回)を示し、
グラフの実線はその際のNO発生量で示し、破線は該活
性炭素材に吸着されたNOが完全に放出された場合のN
O発生量を示す。
【0045】図3の結果より、NOxの放出量は全吸着
NO量の7%で、NO除去率は93%であった。放出N
OxとしてはNOのみが観測された。また、NOxの放
出はほぼ0.5分で終了した。更に、本実験終了後に系
全体を600℃まで10℃/分で昇温したが、新たなN
Oxの放出は無く、活性炭素材に吸着されたNOが50
0℃での流動層内加熱で残っていないことが確認され
た。更に、N2O分析装置でN2Oが観測されなかったこ
とと併せて、図3に示された93%のNO除去分は全て
2に還元され浄化されたと結論された。
【0046】(実施例2)参考例2の装置(加熱流動部
温度は500℃設定)に、実施例1で用いたのと同じ一
酸化窒素を吸着させた活性炭素材を50g/分で連続的
に供給、排出した。平均滞留時間が2分になるよう加熱
流動部容積を設定した。実施例1と同様な流動層排出ガ
スの分析より活性炭素材に吸着されたNOの8%が検出
され、92%が還元された。
【0047】(実施例3〜5)加熱流動部の温度を40
0℃(実施例3)、600℃(実施例4)、700℃
(実施例5)とする以外は、実施例2と同様にしてNO
x浄化試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】(比較例1)実施例1と同じ一酸化窒素を
吸着させた活性炭素材を用いて、加熱流動層の温度を3
00℃とする以外は実施例1と同様にしてNOx浄化試
験を行った。吸着NOの91%がNOとして排出ガス中
及びその後の600℃迄の加熱過程において観測され
た。
【0049】(比較例2)参考例1において加熱部を流
動させることなく、室温に保持した。実施例1と同じ一
酸化窒素吸着活性炭素材、50gを投入後、室温より1
0℃/分で500℃まで昇温加熱し、NOx浄化試験を
行った。吸着の89%がNOとして排出ガス中に観測さ
れた。
【0050】(実施例6及び7)参考例1で用いた窒素
酸化物が一酸化窒素でその濃度が6ppmであること
(実施例6)、窒素酸化物が二酸化窒素でその濃度が1
000ppmであること(実施例7)以外は、実施例1
と同様にしてNOx浄化試験を行った。結果を表1に示
す。
【0051】(実施例8及び9)一酸化窒素吸着活性炭
素材の加熱流動層での平均滞留時間が0.8分(実施例
8)、4分(実施例9)であること以外は実施例2と同
様にしてNOx浄化試験を行った。結果を表1に示す。
【0052】(実施例10)参考例2における不活性ガ
スとして、プロパンの燃焼ガスを用いた以外は実施例2
と同様にしてNOx浄化試験を行った。なお、燃焼ガス
中の酸素濃度は200ppmであった。結果を表1に示
す。
【0053】(比較例3、4及び実施例11)カリウム
担持量が0重量%(水酸化カリウム水溶液での処理無
し)(比較例3)、0.1重量%(比較例4)、5重量
%(実施例11)である活性炭素材を用いる以外は実施
例2と同様にしてNOx脱硝試験を行った。比較例3で
は吸着NOの95%が、比較例4では吸着NOの90%
が排出ガス中に観測された。一方、実施例11では吸着
NOの7%が観測されたのみであった。
【0054】(実施例12)水酸化ナトリウム水溶液を
用いて処理することによりナトリウムを2重量%担持し
た活性炭素材を作成し、該ナトリウム担持活性炭素材を
用いること以外は実施例2と同様にしてNOx浄化試験
を行った。結果を表1に示す。
【0055】(実施例13)実施例1と同じ一酸化窒素
を吸着させた活性炭素材を100℃で15分間加熱した
後、比較例1と同じ方法でNOxの放出量を調べた。そ
の結果、比較例1の場合と同様に90%のNOが観測さ
れ、110℃での加熱によって吸着された一酸化窒素は
殆ど変化していないことが観測された。次いで、このサ
ンプルを用いて、実施例1と同様にしてNOx浄化試験
を行った。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明は、加熱流動層を用いることによ
り、酸素共存下に窒素酸化物を吸着させた大量の活性炭
素材を連続的、且つ安定して急速加熱処理でき、処理対
象ガス中に含まれる酸素共存下の一酸化窒素及び/又は
二酸化窒素等の窒素酸化物を連続的、且つ高効率で窒素
に還元浄化する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 処理対象ガス中の窒素酸化物を活性炭素材に
吸着させる実験装置の概要を示す図である。
【図2】 窒素酸化物を吸着させた活性炭素材を、加熱
流動部により浄化する実験装置の概要を示す図である。
【図3】 実施例1における、窒素酸化物を吸着させた
活性炭素材の加熱流動部への投入の際のNO発生量と時
間との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 20/34

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素酸化物と、窒素酸化物より多い量の
    酸素とを含有する浄化対象ガスを、アルカリ金属を担持
    させた活性炭素材に接触させることにより窒素酸化物を
    吸着させた後、該窒素酸化物を吸着させた活性炭素材
    を、実質的に酸素を含まない雰囲気で350℃以上の温
    度に保持された加熱流動層によって急速加熱することに
    より、吸着された窒素酸化物を窒素分子に還元すること
    を特徴とする窒素酸化物の浄化方法。
  2. 【請求項2】 窒素酸化物を吸着させた活性炭素材を8
    0〜120℃の温度に加熱する前処理を行った後、加熱
    流動層により急速加熱することを特徴とする請求項1に
    記載の窒素酸化物の浄化方法。
  3. 【請求項3】 窒素酸化物を吸着させた活性炭素材を加
    熱流動層に連続的に投入、及び排出することを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の窒素酸化物の浄化方法。
  4. 【請求項4】 加熱流動層内での窒素酸化物を吸着させ
    た活性炭素材の平均滞留時間が5分間以内であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の窒素酸
    化物の浄化方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属がカリウムであり、カリウ
    ムの担持量が0.5〜10重量%であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか一つに記載の窒素酸化物の浄
    化方法。
  6. 【請求項6】 加熱流動層の雰囲気が、窒素及び/又は
    二酸化炭素を主成分とする不活性ガス雰囲気であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の窒素
    酸化物の浄化方法。
  7. 【請求項7】 加熱流動層の雰囲気が燃焼ガスであるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の窒素酸化物の浄化方
    法。
  8. 【請求項8】 加熱流動層の雰囲気中に含まれる酸素が
    0.3%以下であることを特徴とする請求項6又は7に
    記載の窒素酸化物の浄化方法。
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