JPH1126222A - 高周波用圧粉磁心 - Google Patents

高周波用圧粉磁心

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JPH1126222A
JPH1126222A JP9179295A JP17929597A JPH1126222A JP H1126222 A JPH1126222 A JP H1126222A JP 9179295 A JP9179295 A JP 9179295A JP 17929597 A JP17929597 A JP 17929597A JP H1126222 A JPH1126222 A JP H1126222A
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JP9179295A
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Masao Suzuki
雅雄 鈴木
Masahiro Suzuki
正博 鈴木
Yuuichi Satsuu
祐一 佐通
Shin Nishimura
西村  伸
Akio Takahashi
昭雄 高橋
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Hitachi Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0206Manufacturing of magnetic cores by mechanical means
    • H01F41/0246Manufacturing of magnetic circuits by moulding or by pressing powder

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性と低吸湿性を兼備したバインダを用いた
磁心により、高性能な変圧器やリアクトルの提供。 【解決手段】構造中にキノリン環を含む重合体とビスマ
レイミド化合物を必須成分とする樹脂組成物をバインダ
を用いる磁心。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧粉磁心、特に高周
波用変圧器,リアクトル用圧粉磁心,チョークコイル等
の高周波用圧粉磁心の圧粉,接合,固化に好適な磁性粉
末のバインダおよびその圧粉磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波用変圧器,リアクトル用圧粉磁
心,チョークコイル等の高周波用のコイルに用いられる
磁心は、低鉄損で高磁束密度のものであることはもちろ
ん、それらの磁気特性が高周波でも低下しないことが求
められている。
【0003】そのため、微細な磁性粉末に有機、あるい
は無機の絶縁層をもうけたものに、少量のバインダをく
わえて、圧粉,接合,固化することで圧粉磁心を成形し
ている。ここでバインダとして使用される樹脂粉末は、
該磁性粉末と混合時には固形粉末状で混合が容易で、接
合,固化行程で加熱加圧されるときには溶融流動して磁
性粉末の間を十分に充填する必要がある。従来使用され
てきた代表的なものとしては、エポキシ樹脂,ポリアミ
ド樹脂,ポリイミド樹脂,ポリエステル樹脂,ポリカー
ボネート樹脂,水ガラスなどがある。
【0004】変圧器,リアクトルの高周波化あるいは大
容量化に伴い、そこで使用される圧粉磁心に発生する熱
は益々大きなものになってきている。また、発生した熱
を冷却するために、従来ではおもに冷却水を用いていた
が、装置の小型化が出来ないと言う問題があった。装置
の小型化や大容量化を達成するには、従来の耐熱性の低
いエポキシ樹脂、あるいは熱可塑性樹脂の類などを用い
た圧粉磁心では、熱膨張による応力の発生や長期の熱劣
化などに問題がある。耐熱性に優れたバインダとして、
三次元架橋型シリコーン樹脂を使用した例(特公平7−2
54522 号)などもあるが、硬化条件が特殊になるためそ
のまま適用できない。
【0005】さらに、圧粉磁心の運転中に磁性粉末が酸
化すると鉄損が大きくなり、過剰な発熱の原因となるた
め、バインダ樹脂としては磁性粉末の酸化の原因となる
水分を吸湿しにくい材料である必要がある。吸湿性が低
くまた水分に対する耐性の高い樹脂を使用する例とし
て、フッ素樹脂を使用した例(特公昭59−50138 号)が
あるが、熱可塑性樹脂であり上記した耐熱性の観点から
好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上示したような耐熱
性と低吸湿性を兼備した材料がリアクトルのバインダと
して求められているが、上記の例の樹脂などでは十分で
なかった。変圧器,リアクトルの高性能化のためには、
さらに高耐熱性で低吸湿の低い熱硬化性樹脂粉末をバイ
ンダとして使用する必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】我々は上記課題を解決す
るために鋭意検討を重ねた結果、ポリキノリン、および
多官能マレイミドよりなる熱硬化性樹脂組成物が、優れ
た耐熱性と低吸湿性を兼備し、高性能なリアクトルの磁
心用のバインダとして適用できることを見いだした。
【0008】また、該熱硬化性樹脂は、微粉末を形成し
磁性粉末との混合が容易であるうえ、加熱することによ
り低粘度の溶融体となり、かつ磁性粉末との濡れ性もよ
いので磁性粉末の間を欠陥なく充填することができる。
さらに、熱変形温度の高い耐熱性の優れた樹脂とするた
め300℃以下の加熱により架橋反応を起こす必要があ
るが、これは作業上問題なく適用できる。
【0009】上記課題を解決するための本発明の要旨は
次のとおりである。
【0010】第一の発明は、磁性粉末を圧粉,接合,固
化してなる高周波用圧粉磁心において、ポリキノリン、
および多官能マレイミドよりなる熱硬化性樹脂組成物を
磁性粉末のバインダとして使用し成形してなることを特
徴とする高周波用圧粉磁心。第二の発明は、磁性粉末を
圧粉,接合,固化してなる高周波用圧粉磁心において、
ポリキノリン,多官能マレイミド、およびラジカル重合
開始剤よりなる熱硬化性樹脂組成物を磁性粉末のバイン
ダとして使用し成形してなることを特徴とする高周波用
圧粉磁心。
【0011】第三の発明は、バインダとして(A)構造
中に一般式(1)、
【0012】
【化10】
【0013】で示されるキノリン環を含む重合体と、
(B)一般式(2)、
【0014】
【化11】
【0015】(式中、Arは少なくとも2個の炭素を含
む2価の有機基を示す。)で表されるビスマレイミド化
合物を必須成分とする樹脂組成物を用いた請求項1およ
び2で示される高周波用圧粉磁心。
【0016】第四の発明は、バインダとして(A)構造
中に一般式(1)、
【0017】
【化12】
【0018】で示されるキノリン環を含む重合体と、
(B)一般式(2)、
【0019】
【化13】
【0020】(式中、Arは少なくとも2個の炭素を含
む2価の有機基を示す。)で表されるビスマレイミド化
合物を必須成分とする樹脂組成物と、(C)芳香族ジア
ミン,エポキシ化合物,ポリブタジエン化合物等から選
ばれる重合性化合物を用いた請求項1〜3で示される高
周波用圧粉磁心。
【0021】第五の発明は、請求項1から請求項3にお
いて、キノリン環を含む重合体が一般式(3)又は一般
式(4)
【0022】
【化14】
【0023】
【化15】
【0024】〔式中R1及びR2は、各々単独に、アルキ
ル基,アリール基,アルコキシ基,アリルオキシ基,ホ
ルミル基(−COR),エステル基(−COR若しくは−
OCOR),アミド基(−NRCOR若しくは−CONRR),
ヘテロアリール基,シアノ基又は2つがつながって形成
される不飽和結合を含んでいてもよい2価の炭化水素基
を示し(但し、Rは、水素原子,アルキル基又はヘテロ
アリール基を示す。〕、m及びnは、各々独立に0から
5の整数であり、Xは化学結合、−O−,−S−,−C
O−,−SO−,−SO2−,−A−,−(O−A)−q
O−、又は−Q−(但し、qは1から3の整数であり、
Aは、−Ar−(アリーレン基),−Hr−(ヘテロアリ
レン基),−Ar−O−Ar−,−CO−Ar−,−Ar
−S−Ar−,−Ar−SO−Ar−,−Ar−又は−
Ar−Q−Ar−を示し、Qは式(5)
【0025】
【化16】
【0026】(L及びL2 はメチル基,トリフルオ
ロメチル基又は2つがつながって形成される不飽和結合
を含んでもよい2価の炭化水素基を示す)を示し、Z及
びZは、それぞれ独立に、化学結合又はアリーレン基を
示し、Yは、−O−又は−O−A−O−を示す)で示さ
れるキノリン環を含む重合体を用いることを特徴とする
高周波用圧粉磁心。
【0027】第六の発明は、前記第1〜第5の発明にお
いて、一般式(6)又は一般式(7)
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】(式中R1 からR10は水素原子、H,CH
3,CH,F,CF3、を示し、互いに異なってもよい。
nは0又は1から4の整数で互いに異なっていてもよ
い。)を構造中に有するビスマレイミド化合物で表され
る樹脂組成物を用いたことを特徴とする高周波用圧粉磁
心。
【0031】
【発明の実施の形態】 (A)前記一般式(1)で示されるキノリン環を含む重
合体について検討を重ねた結果、(A)前記一般式
(3)及び(A)前記一般式(4)の構造を有したキノ
リン環を含む重合体と(B)前記一般式(2)の構造を
有したビスマレイミド化合物を組み合わせた場合、硬化
過程で(B)前記一般式(2)の構造を有したビスマレ
イミド化合物が均一に溶解して流動し、被接着体と密着
し優れた接着性が得られ、機械特性に優れた樹脂組成物
を提供できることを見出した。
【0032】また、(B)前記一般式(2)で示される
ビスマレイミド化合物の構造について検討を重ねた結
果、キノリン環を含む重合体と(B)前記一般式(6)
の構造を有したビスマレイミド化合物を組み合わせた場
合、最もキノリン環を有する重合体の特徴を損なうこと
無く、硬化過程で(B)前記一般式(2)の構造を有し
たビスマレイミド化合物が均一に溶解して流動し、被接
着体と密着し優れた接着性が得られ、機械特性に優れた
樹脂組成物を提供できることを見出した。
【0033】本発明で用いるキノリン環を含む重合体と
しては、例えば、2−(2−フルオロフェニル)−5−
フルオロ−4−フェニルキノリンから成る重合体、2−
(4−フルオロフェニル)−5−フルオロ−4−フェニ
ルキノリンから成る重合体、4−(2−フルオロフェニ
ル)−5−フルオロ−4−フェニルキノリンから成る重
合体、2−(4−フルオロフェニル)−7−フルオロ−
4−フェニルキノリンから成る重合体、2,4−ジフル
オロキノリンから成る重合体、2,5−ジフルオロキノ
リンから成る重合体、2,7−ジフルオロキノリンから
成る重合体、2,7−ジフルオロ−6−フェニルキノリ
ンから成る重合体、4−(4−フルオロフェニル)−7
−フルオロキノリンから成る重合体、6,6′−ビス
〔2−(2−フルオロフェニル)−4−フェニルキノリ
ン〕から成る重合体、6,6′−ビス〔2−(4−フル
オロフェニル)−4−フェニルキノリン〕から成る重合
体、6,6−ビス〔2−(4−フルオロフェニル)−4
−tert−ブチルキノリン〕から成る重合体、6,6′−
ビス〔4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニルキ
ノリン〕から成る重合体、6,6′−ビス−2−フルオ
ロキノリンから成る重合体、6,6′−ビス−4−フル
オロキノリンから成る重合体、6,6′−ビス〔4−
(4−フルオロフェニル)−2−(2−ピリジル)キノ
リン〕から成る重合体、6,6′−ビス〔4−(4−フ
ルオロフェニル)−2−(メチル)キノリン〕から成る
重合体、6,6′−ビス〔2−フルオロ−4−フェニル
キノリン〕から成る重合体、オキシ−6,6′−ビス
〔2−(4−フルオロフェニル)−4−フェニルキノリ
ン〕から成る重合体、1,4−ベンゼン−ビス−2,2
−〔2−(4−フルオロフェニル)キノリン〕から成る
重合体、1,4−ベンゼン−ビス−2,2−〔4−フル
オロキノリン〕から成る重合体、1,4−ベンゼン−ビ
ス−2,2−〔4−(4−フルオロフェニル)キノリ
ン〕から成る重合体、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロイソプロピリデン−ビス−〔(4−フェノキシ
−4−フェニル)−2−(4−フルオロキノリン)〕か
ら成る重合体等が挙げられる。これらの重合体は、単独
又は2種類以上を組み合わせて使用される。ビスマレイ
ミド化合物としては、例えば、N,N′−エチレンジマ
レイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、
N,N′−ドデカメチレンビスマレイミド、N,N′−
m−キシリレンビスマレイミド、N,N′−p−キシリ
レンビスマレイミド、N,N′−1,3−ビスメチレン
シクロヘキサンビスマレイミド、N,N′−1,4−ビ
スメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N′−
2,4−トリレンビスマレイミド、N,N′−2,6−
トリレンビスマレイミド、N,N′−3,3−ジフェニ
ルメタンビスマレイミド、N,N′−4,4−ジフェニ
ルメタンビスマレイミド、3,3−ジフェニルスルホン
ビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルホンビスマレ
イミド、N,N′−4,4−ジフェニルスルフィドビス
マレイミド、N,N′−p−ベンゾフェノンビスマレイ
ミド、N,N′−ジフェニルエタンビスマレイミド、
N,N′−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,
N′−(メチレン−ジテトラヒドロフェニル)ビスマレ
イミド、N,N′−(3−エチル)−4,4−ジフェニ
ルメタンビスマレイミド、N,N′−(3,3−ジメチ
ル)−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,
N′−(3,3−ジエチル)−4,4−ジフェニルメタ
ンビスマレイミド、N,N′−(3,3−ジクロロ)−
4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N′−
トリジンビスマレイミド、N,N′−イソホロンビスマ
レイミド、N,N′−p,p′−ジフェニルジメチルシ
リルビスマレイミド、N,N′−ベンゾフェノンビスマ
レイミド、N,N′−ジフェニルプロパンビスマレイミ
ド、N,N′−ナフタレンビスマレイミド、N,N′−
m−フェニレンビスマレイミド、N,N′−4,4−
(1,1−ジフェニル−シロクヘキサン)−ビスマレイ
ミド、N,N′−3,5−(1,2,4−トリアゾー
ル)−ビスマレイミド、N,N′−ピリジン−2,6−
ジイルビスマレイミド、N,N′−5−メトキシ−1,
3−フェニレンビスマレイミド、1,2−ビス(2−マ
レイミドエトキシ)エタン、1,3−ビス(3−マレイ
ミドプロポキシ)プロパン、N,N′−4,4−ジフェ
ニルメタン−ビス−ジメチルマレイミド、N,N′−ヘ
キサメチレン−ビス−ジメチルマレイミド、N,N′−
4,4′−(ジフェニルエーテル)−ビス−ジメチルマ
レイミド、N,N′−4,4′−(ジフェニルスルホ
ン)−ビス−ジメチルマレイミド、N,N′−4,4′
−(ジアミノ)−トリフェニルホスフェ−トのN,N′
−ビスマレイミド等に代表される2官能マレイミド化合
物、アニリンとホルマリンとの反応生成物(ポリアミン
化合物)、3,4,4′−トリアミノジフェニルメタ
ン,トリアミノフェノ−ルなどと無水マレイン酸との反
応で得られる多官能マレイミド化合物,トリス−(4−
アミノフェニル)−ホスフェート,トリス(4−アミノ
フェニル)−ホスフェート,トス(4−アミノフェニ
ル)−チオホスフェートと無水マレイン酸との反応で得
られるマレイミド化合物、2,2−ビス〔4−(4−マ
レイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビ
ス〔3−クロロ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−ブロモ−4−
(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−プロピル
−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔3−イソプロピル−4−(4−マレ
イミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔3−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−sec −ブチル−4
−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔3−メトキシ−4−(4−マレイミドフ
ェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−
(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、1,
1−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキ
シ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔3−クロロ−4
−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、
1,1−ビス〔3−ブロモ−4−(4−マレイミドフェ
ノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−
マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビ
ス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フ
ェニル〕メタン、1,1−ビス〔3−クロロ−4−(4
−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−
ビス〔3−ブロモ−4−(4−マレイミドフェノキシ)
フェニル〕メタン、3,3−ビス〔4−(4−マレイミ
ドフェノキシ)フェニル〕ペンタン、1,1−ビス〔4
−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビ
ス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス〔3−5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロ−2,2−ビス〔3−5−ジブロモ−(4
−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、及び
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビ
ス〔3−5−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン等の芳香族ビスマレイミド化合物があ
り、特に上記のものの限定されるものではない。また、
単独又は2種以上の成分を併用することが可能である。
【0034】次に、(A)前記一般式(1)で示される
ポリキノリン重合体と(B)前記一般式(2)で示され
るビスマレイミド化合物以外に、使用目的により(C)
芳香族ジアミン,エポキシ化合物,ポリブタジェン化合
物等から選ばれる重合性化合物を、予め(D)有機溶媒
中に均一に溶解させた後、有機溶媒を除去し、樹脂組成
物を得ることもできる。
【0035】本発明の(C)芳香族ジアミンとしては例
えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4−ジア
ミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−アミノ
フェニル)プロパン、4,4−ジアミノジフェニルスル
ホン,ビス−(4−アミノフェニル)メチルホスフィン
オキシド,ビス−(4−アミノフェニル)ホスフィンオ
キシド,ビス−(4−アミノフェニル)メチルアミン、
1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミ
ン、1,1−ビス(p−アミノフェニル)フラン、p−
キシリレンジアミン、6,6−ジアミノ−2,2−ジピ
リジル,−ジアミノジフェニルスルホン,ビス−(4−
アミノフェニル)メチルホスフィンオキシド,ビス−
(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド,ビス−
(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミ
ノナフタレン、m−キシリレンジアミン、1,1−ビス
(p−アミノフェニル)フラン、p−キシリレンジアミ
ン、6,6−ジアミノ−2,2−ジピリジル、2,2−
ビス〔3−プロピル−4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−イソプロピル−
4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔3−ブチル−4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−sec −ブ
チル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔3−メトキシ−4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−
ビス〔3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕エタン、1,1−ビス〔3−クロロ−4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス
〔3−ブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔3−メチル−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1
−ビス〔3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕メタン、1,1−ビス〔3−ブロモ−4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、3,3−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタン、
1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロ−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロ−2,2−ビス〔3−5−ジメチル−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔3−5−ジブ
ロモ−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス〔3−5−メチル−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン等が有り、特に上記のものに制限され
るものではない。尚、芳香族系化合物を用いたのは脂肪
族系に比べ耐熱性の点で有利であるためである。
【0036】(C)エポキシ化合物としては例えば、ビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル、3,4−エポ
キシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘ
キサンカルボキシレート、4,4′−(1,2−エポキ
シエチル)ビフェニル、4,4′−(1,2−エポキシ
エチル)ビフェニルエーテル、レゾルシンジグリシジル
エーテル、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エ
ーテル、N,N′−m−フェニレンビス(4,5′−エ
ポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボジイミド)な
どの2官能エポキシ化合物、p−アミノフェノールのト
リグリシジル化合物、1,3,5−トリ(1,2−エポ
キシエチル)ベンゼン,テトラグリシドキシテトラフェ
ニルエタン,フェノールホルムアルデヒドノボラック樹
脂の3官能以上のエポキシ化合物,ヒダントイン骨格を
有するエポキシ化合物,臭素化エポキシ化合物のような
ハロゲン原子を含むエポキシ化合物などの少なくとも1
種が用いられる。
【0037】(C)ポリブタジエン化合物としては例え
ば、1,2−ポリブタジエン,環化1,2−ポリブタジ
エン,エポキシ変性1,2−ポリブタジエン,末端エポ
キシ化1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエ
ングリコ−ル、1,2−ポリブタジエンカルボン酸,ウ
レタン変性1,2−ポリブタジエン,マレイン化1,2
−ポリブタジエン,末端アクリル変性1,2−ポリブタ
ジエン,末端エステル変性1,2−ポリブタジエン化合
物などの少なくとも1種が用いられる。
【0038】これらの組成物は、それぞれの成分を有機
溶媒に溶解した後、有機溶媒を除去することで得られ
る。有機溶媒除去後の組成物を粉砕して微粉末とし磁性
粉末と混合して使用することもできるし、有機溶剤に溶
解された状態で磁性粉末を濡らした後乾燥して溶剤を取
り除いたものを使用することもできる。有機溶媒として
は例えば、メチルセルソルブ,メチルエチルケトン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチル−2−ピロリドン,キノリン,シ
クロペンタノン、m−クレゾ−ル,クロロホルムなどの
うち、少なくとも1種が用いられる。
【0039】本発明に於いて、(A)成分のキノリン環
を含む重合体と(B)成分のビスマレイミド化合物の配
合割合は、両者を合計した固形分全体に対し、(A)成
分のキノリン環を含む重合体を70〜20重量%が望ま
しい。(A)成分のキノリン環を含む重合体を70重量
%以上にすると流動性が乏しくなり、磁性粉末との接着
性や充填性が悪くなる。また、20重量%以下にすると
流動性は優れる反面、磁心の耐熱性および機械特性が劣
る等の問題が生じる。
【0040】さらに、本発明において、低温硬化,短時
間硬化を目的として必要に応じて、有機過酸化物や反応
促進剤等を加えることも可能である。
【0041】また、本発明に於いて(C)成分を加える
場合、全体樹脂成分に対し、40重量%以下が望まし
い。(C)成分を40重量%以上加えると成形性や接着
性に優れる反面、耐熱性に劣るという問題が出てくる。
【0042】また、本発明において用いられる磁性粉末
としては、軟磁性体である純鉄,Fe−Si合金,Fe
−Al合金,パーマロイ,センダスト等の鉄合金粉末で
あればいずれでも良いが、磁束密度が高く、成形性が良
好で価格の安い純鉄を用いるのが望ましい。これらの磁
性粉末は、あらかじめバインダと混合前に防錆処理やカ
ップリング処理、その他絶縁処理等を行っておくことも
できる。
【0043】バインダは、上記磁性粉末に0.5〜5w
t% の範囲で混合することが望ましい。0.5wt%
より少ないと磁心の磁束密度は高くなるが、十分な機械
特性が得られず、反対に5wt%より大きいと機械特性
は向上するが磁束密度が低くなる。
【0044】本発明を実施例を用いて具体的に説明す
る。
【0045】〔実施例1〕6,6′−ビス(2−(4−
フルオロフェニル)−4−フェニルキノリン)、および
4,4′−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2,2−プロピリデン)ビスフェノールからなるポリ
キノリン;PQ1(分子量(ポリスチレン換算);47
000)60g、および、シクロペンタノン280gを
撹拌棒,冷却管,温度計をセットした500用mL3口
フラスコに入れ室温で、1時間撹拌し溶解させた。更に
2,2−ビス((4−マレイミドフェノキシ)フェニ
ル)プロパンを60g加え、1時間撹拌し目的のワニス
を得た。
【0046】上記ワニスを純水500mL中に、撹拌し
ながら滴下する。再沈した樹脂を濾過したのち、60℃
真空乾燥機中で溶剤及び水を除き樹脂粉末を得た。この
粗粉末を液体窒素で冷却することとボールミルでの破砕
を繰り返し、微粉末とした。あらかじめチタンカップリ
ング処理を施した平均粒径70μmアトマイズ球状鉄粉
に、上記熱硬化性樹脂微粉末を2wt%、さらに離型剤
としてステアリン酸リチウム0.1wt% を加えて混合
した。この混合粉末を金型に投入し、500MPaの圧
力で圧縮成形して200℃4時間硬化反応を行い、外径
50mmφ,内径30mmφ,厚さ25mmのリング状試験片
を作成した。
【0047】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定した。なお、鉄損の測定は、1
5kHz,0.5T で行い、磁束密度の測定は50H
z,30kA/mで行った。その結果を、表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽
中で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。鉄
心の劣化により増大する渦電流損は、固有抵抗により決
まるので、固有抵抗の変化で劣化の度合いを評価した。
その結果を、図1に示す。
【0050】〔実施例2〕防錆剤としてベンゾトリアゾ
ールを用いて防錆処理を施した平均粒径70μmアトマ
イズ球状鉄粉に、実施例1に示した熱硬化性樹脂微粉末
を2wt%、さらに離型剤としてステアリン酸リチウム
0.1wt% を加えて混合した。この混合粉末を金型に
投入し、実施例1と同様にして500MPaの圧力で圧
縮成形して200℃4時間硬化反応を行い、外径50mm
φ,内径30mmφ,厚さ25mmのリング状試験片を作成
した。
【0051】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定した。なお、鉄損の測定は、1
5kHz,0.5T で行い、磁束密度の測定は50H
z,30kA/mで行った。その結果を、表1に示す。
【0052】つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽
中で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。そ
の結果を、図1に示す。
【0053】〔実施例3〕実施例1で得られたワニス5
0gを用いて、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシン)ヘキシン−3(パーヘキシン−25
B,日本油脂製)0.01g 加え均一に溶解させワニス
を得た。このワニスを用い、実施例1と同様にして熱硬
化性樹脂微粉末を作成した。
【0054】さらに、あらかじめシランカップリング処
理を施した平均粒径70μmアトマイズ球状鉄粉に、上
記熱硬化性樹脂微粉末を2wt%、さらに離型剤として
ステアリン酸リチウム0.1wt% を加えて混合した。
この混合粉末を金型に投入し、実施例1と同様にしてリ
ング状試験片を作成した。
【0055】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定した。その結果を、表1に示
す。つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽中で60
%RH,150℃で加速劣化試験を行った。その結果
を、図1に示す。
【0056】〔実施例4〕実施例1で得られたワニス1
00g用いて、ジグリシジルエーテルビスフェノールA
で変性されたエポキシ変性ポリブタジエン6g、4,4
−ジアミノジフェニルメタンを0.42g加え均一に混
ぜ合わせワニスを得た。
【0057】さらに、平均粒径70μmアトマイズ球状
鉄粉に、上記熱硬化性樹脂微粉末を2wt%、さらに離
型剤としてステアリン酸リチウム0.1wt% を加えて
混合した。この混合粉末を金型に投入し、実施例1と同
様にしてリング状試験片を作成した。
【0058】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定し、その結果を表1に示す。つ
づいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽中で60%R
H,150℃で加速劣化試験を行った。その結果を、図
1に示す。
【0059】〔実施例5〕実施例1で示したポリキノリ
ン;PQ1,15gを撹拌棒,冷却管,温度計をセット
した200m 用3口フラスコに入れ、更にシクロペン
タノン70gを加え室温で、1時間撹拌し溶解させた。
2,2−ビス(4−(2−トリフルオロメチル−4−マ
レイミドフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパンを15g加え、1時間
撹拌し目的のワニスを得た。
【0060】以下、実施例1と同様にして、リング状試
験片を作成し、初期の鉄損,磁束密度および固有抵抗を
測定した。その結果を表1に示す。つづいて、同試験片
を用いて、恒温恒湿槽中で60%RH,150℃で加速
劣化試験を行った。その結果を、図1に示す。
【0061】〔実施例6〕6,6′−ビス(2−(4−
フルオロフェニル)−4−フェニルキノリン)、9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンからなる
ポリキノリン;PQ2(分子量(ポリスチレン換算);
45800)60g、および、シクロペンタノン280
gを撹拌棒,冷却管,温度計をセットした500用mL
3口フラスコに入れ室温で、1時間撹拌し溶解させた。
更に2,2−ビス((4−マレイミドフェノキシ)フェ
ニル)プロパンを60g加え、1時間撹拌し目的のワニ
スを得た。
【0062】以下、実施例1と同様にして、樹脂粉末、
およびそれを用いたリング状試験片を作成し、初期の鉄
損,磁束密度および固有抵抗を測定した。その結果を表
1に示す。つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽中
で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。その
結果を、図2に示す。
【0063】〔実施例7〕実施例6で示したポリキノリ
ン;PQ2,15gを撹拌棒,冷却管,温度計をセット
した200m 用3口フラスコに入れ、更にシクロペン
タノン70gを加え室温で、1時間撹拌し溶解させた。
2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェ
ニル)−プロパンを15g加え、1時間撹拌し目的のワ
ニスを得た。
【0064】以下、実施例1と同様にして、リング状試
験片を作成し、初期の鉄損,磁束密度および固有抵抗を
測定した。その結果を表1に示す。つづいて、同試験片
を用いて、恒温恒湿槽中で60%RH,150℃で加速
劣化試験を行った。その結果を、図1に示す。
【0065】〔実施例8〕6,6′−ビス(2−(4−
フルオロフェニル)−4−フェニルキノリン),メチル
−2,4−ジヒドロキシベンゾエート,イソプロピリデ
ンジフェノールからなるポリキノリン;PQ3(分子量
(ポリスチレン換算);49000)60g、および、
シクロペンタノン280gを撹拌棒,冷却管,温度計を
セットした500用mL3口フラスコに入れ室温で、1
時間撹拌し溶解させた。更に2,2−ビス((4−マレ
イミドフェノキシ)フェニル)プロパンを60g加え、
1時間撹拌し目的のワニスを得た。
【0066】以下、実施例1と同様にして、樹脂粉末、
およびそれを用いたリング状試験片を作成し、初期の鉄
損,磁束密度および固有抵抗を測定した。その結果を表
1に示す。つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽中
で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。その
結果を、図2に示す。
【0067】〔実施例9〕実施例8で示したポリキノリ
ン;PQ3,15gを撹拌棒,冷却管,温度計をセット
した200m 用3口フラスコに入れ、更にシクロペン
タノン70gを加え室温で、1時間撹拌し溶解させた。
2,2−ビス(4−(2−トリフルオロメチル−4−マ
レイミドフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパンを15g加え、1時間
撹拌し目的のワニスを得た。
【0068】以下、実施例1と同様にして、リング状試
験片を作成し、初期の鉄損,磁束密度および固有抵抗を
測定した。その結果を表1に示す。つづいて、同試験片
を用いて、恒温恒湿槽中で60%RH,150℃で加速
劣化試験を行った。その結果を、図2に示す。
【0069】〔実施例10〕実施例9で得られたワニス
50gを用いて、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシン)ヘキシン−3(パーヘキシン−2
5B,日本油脂製)0.01g 加え均一に溶解させワニ
スを得た。このワニスを用い、実施例1と同様にして熱
硬化性樹脂微粉末を作成した。
【0070】さらに、平均粒径70μmアトマイズ球状
鉄粉に、上記熱硬化性樹脂微粉末を2wt%、さらに離
型剤としてステアリン酸リチウム0.1wt% を加えて
混合した。以下、実施例1と同様にして、リング状試験
片を作成し、初期の鉄損,磁束密度および固有抵抗を測
定した。その結果を表1に示す。つづいて、同試験片を
用いて、恒温恒湿槽中で60%RH,150℃で加速劣
化試験を行った。その結果を、図2に示す。
【0071】〔比較例1〕平均粒径70μmアトマイズ
球状鉄粉に、エポキシ樹脂微粉末を2wt%、さらに離
型剤としてステアリン酸リチウム0.1wt% を加えて
混合した。この混合粉末を金型に投入し、500MPa
の圧力で圧縮成形して150℃4時間硬化反応を行い、
外径50mmφ,内径30mmφ,厚さ25mmのリング状試
験片を作成した。
【0072】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定した。なお、鉄損の測定は、1
5kHz,0.5T で行い、磁束密度の測定は50H
z,30kA/mで行った。その結果を、表1に示す。
【0073】つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽
中で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。鉄
心の劣化により増大する渦電流損は、固有抵抗により決
まるので、固有抵抗の変化で劣化の度合いを評価した。
その結果を、図3に示す。
【0074】〔比較例2〕平均粒径70μmアトマイズ
球状鉄粉に、ポリイミド樹脂(ケルイミド;チバガイギ
製)微粉末を2wt%、さらに離型剤としてステアリン
酸リチウム0.1wt%を加えて混合した。この混合粉
末を金型に投入し、500MPaの圧力で圧縮成形して
200℃4時間硬化反応を行い、外径50mmφ,内径3
0mmφ,厚さ25mmのリング状試験片を作成した。
【0075】上記試験片を用いて、初期の鉄損,磁束密
度および固有抵抗を測定した。なお、鉄損の測定は、1
5kHz,0.5T で行い、磁束密度の測定は50H
z,30kA/mで行った。その結果を、表1に示す。
【0076】つづいて、同試験片を用いて、恒温恒湿槽
中で60%RH,150℃で加速劣化試験を行った。鉄
心の劣化により増大する渦電流損は、固有抵抗により決
まるので、固有抵抗の変化で劣化の度合いを評価した。
その結果を、図3に示す。
【0077】表1に磁心の初期特性を示す。初期の特性
は本発明のバインダを用いた磁心(実施例1〜10)>
ポリイミド樹脂を用いた磁心(比較例2)>エポキシ樹
脂を用いた磁心(比較例1)の順に悪い。図1,図2及
び図3は磁心の劣化を示している。実施例1〜10は、
初期の固有抵抗も大きいが、劣化に伴う抵抗値の急激な
低下の開始時間も、バインダとして通常のエポキシ樹脂
や高耐熱性樹脂であるケルイミドを用いた場合に比べ遅
く、また、その低下の度合いもゆるやかで寿命が長いこ
とが分かる。
【0078】
【発明の効果】本発明による磁心においては、熱および
吸湿による特性劣化が従来製法による磁心に比べ少な
く、より厳しい条件下での使用にも信頼性が確保されて
いると考えられる。これは、使用したバインダ樹脂の高
耐熱性、並びに低吸湿性に起因するものと考えられる。
この磁心を用いれば、装置の小型化等の高性能化が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の磁心の固有抵抗値の経時変化を示す
図。
【図2】実施例の磁心の固有抵抗値の経時変化を示す
図。
【図3】比較例の磁心の固有抵抗値の経時変化を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 伸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高橋 昭雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性粉末を圧粉,接合,固化してなる高周
    波用圧粉磁心において、ポリキノリン、および多官能マ
    レイミドを必須成分としてなる熱硬化性樹脂組成物を磁
    性粉末のバインダとして使用することを特徴とする高周
    波用圧粉磁心。
  2. 【請求項2】磁性粉末を圧粉,接合,固化してなる高周
    波用圧粉磁心において、ポリキノリン,多官能マレイミ
    ド、およびラジカル重合開始剤を必須成分としてなる熱
    硬化性樹脂組成物を磁性粉末のバインダとして使用する
    ことを特徴とする高周波用圧粉磁心。
  3. 【請求項3】バインダとして(A)構造中に一般式
    (1)、 【化1】 で示されるキノリン環を含む重合体と、(B)一般式
    (2)、 【化2】 (式中、Arは少なくとも2個の炭素を含む2価の有機
    基を示す。)で表されるビスマレイミド化合物を必須成
    分とする樹脂組成物を用いた請求項1または2で示され
    る高周波用圧粉磁心。
  4. 【請求項4】バインダとして(A)構造中に一般式
    (1)、 【化3】 で示されるキノリン環を含む重合体と、(B)一般式
    (2)、 【化4】 (式中、Arは少なくとも2個の炭素を含む2価の有機
    基を示す。)で表されるビスマレイミド化合物を必須成
    分とする樹脂組成物と、(C)芳香族ジアミン,エポキ
    シ化合物,ポリブタジエン化合物等から選ばれる重合性
    化合物を用いた請求項1,2または3で示される高周波
    用圧粉磁心。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかにおいて、キノリ
    ン環を含む重合体が一般式(3)又は一般式(4) 【化5】 【化6】 〔式中R1及びR2は、各々単独に、アルキル基,アリー
    ル基,アルコキシ基,アリルオキシ基,ホルミル基(−
    COR),エステル基(−COR若しくは−OCO
    R),アミド基(−NRCOR若しくは−CONR
    R)、ヘテロアリール基,シアノ基又は2つがつながっ
    て形成される不飽和結合を含んでいてもよい2価の炭化
    水素基を示し(但し、Rは、水素原子,アルキル基又は
    ヘテロアリール基を示す。〕、m及びnは、各々独立に
    0から5の整数であり、Xは化学結合、−O−,−S
    −,−CO−,−SO−,−SO2−,−A−,−(O−
    A)−qO−、又は−Q−(但し、qは1から3の整数で
    あり、Aは、−Ar−(アリーレン基),−Hr−(ヘ
    テロアリレン基),−Ar−O−Ar−,−CO−Ar
    −,−Ar−S−Ar−,−Ar−SO−Ar−,−A
    r−又は−Ar−Q−Ar−を示し、Qは式(5) 【化7】 (L1 及びL2 はメチル基,トリフルオロメチル基又は
    2つがつながって形成される不飽和結合を含んでもよい
    2価の炭化水素基を示す)を示し、Z及びZは、それぞ
    れ独立に、化学結合又はアリーレン基を示し、Yは、−
    O−又は−O−A−O−を示す〕で示されるキノリン環
    を含む重合体を用いることを特徴とする高周波用圧粉磁
    心。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、一般式
    (6)又は一般式(7) 【化8】 【化9】 (式中R1 からR10は水素原子、H,CH3,CH,
    F,CF3、を示し、互いに異なってもよい。nは0又
    は1から4の整数で互いに異なっていてもよい。)を構
    造中に有するビスマレイミド化合物で表される樹脂組成
    物を用いたことを特徴とする高周波用圧粉磁心。
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