JPH11258579A - 液晶素子およびカラー液晶素子 - Google Patents

液晶素子およびカラー液晶素子

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JPH11258579A
JPH11258579A JP6022798A JP6022798A JPH11258579A JP H11258579 A JPH11258579 A JP H11258579A JP 6022798 A JP6022798 A JP 6022798A JP 6022798 A JP6022798 A JP 6022798A JP H11258579 A JPH11258579 A JP H11258579A
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JP
Japan
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liquid crystal
refractive index
polymer
color
light
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JP6022798A
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Hitoshi Kuma
均 熊
Takamitsu Nagase
隆光 長瀬
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶組成物と高分子との屈折率差による光散
乱を低減できる液晶素子およびカラー液晶素子を提供す
る。 【解決手段】 一対の基板の間に液晶層を設けた液晶セ
ルの液晶分子が基板に平行かつ同一方位に配向する液晶
素子において、液晶層中に高分子領域を設け、この高分
子の屈折率を数1を満足する範囲に設定する。これによ
り、液晶組成物の配向強度を高めることができるととも
に、液晶組成物と高分子との屈折率差による光散乱を低
減できる。従って、液晶セルの偏光板に対する配置が光
散乱防止のために制限されることがなくなるので、素子
設計の自由度を高めることができるうえ、コントラスト
の向上を図ることができる。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶素子およびカ
ラー液晶素子に関し、詳しくは、少なくとも一方が透光
性を有する一対の基板とこれらの基板の間に設けられた
液晶層とを備えた液晶セルを有する液晶素子、および、
制御信号に応じて異なるリタデーションを与える可変リ
タデーション板と、この可変リタデーション板に積層さ
れたニュートラル偏光板と、可変リタデーション板に積
層されかつ色選択偏光軸を有するカラー偏光板とを備え
たカラー液晶素子に関する。
【0002】
【背景技術】近年、電気光学効果を利用した液晶表示素
子として、一対の基板の間にUV硬化樹脂等の高分子の
ネットワークを形成し、このネットワーク中に液晶を分
散させた高分子分散型液晶素子が盛んに研究されてい
る。
【0003】高分子分散型液晶素子は、液晶の配向状態
によって光の透過および散乱を制御するものであり、偏
光板が不要なため、表示が非常に明るいという特徴を持
つとともに、高分子によって二枚の基板を所定の間隔に
保持できるので、液晶配向の機械的強度に優れている。
このような高分子分散型液晶素子の表示のコントラスト
を高めるためには、光の散乱強度を大きくする必要が生
じる。すなわち、光の散乱は、電界の作用により、液晶
の屈折率が高分子の屈折率からずれたときに生じるの
で、このときの液晶と高分子との屈折率差を可能な限り
大きくして散乱強度を高める工夫がされている。
【0004】例えば、高分子の屈折率を、電界を印加し
ないときの液晶の屈折率にほぼ等しくすることにより、
電界無印加時に光を透過させて、電界印加時に光を大き
く散乱させる方法が提案されている(特開平4−972
21号公報)。この方法では、光を透過させるために電
圧を印加し続けなくてもよいので、消費電力を低減でき
る。
【0005】一方、TN(Twisted Nematic)液晶素子
や、STN(Super Twisted Nematic)液晶素子等にお
いては、液晶配向の機械的強度を高めるために、一対の
基板に挟持された液晶層中に高分子の柱を設ける検討が
されている。このような液晶素子に高分子の柱を設けた
場合、液晶と高分子の柱との屈折率差が大きいと、その
界面で局所的な光散乱が発生するので、表示画面のざら
つきが大きくなる。このため、高分子の屈折率を、液晶
の平均的な屈折率に合わせることにより、画面のざらつ
きを抑える方法が提案されている。
【0006】例えば、一対の基板間に、高分子壁に囲ま
れた液晶領域をマトリクス状に形成したTN液晶素子で
は、液晶の常光屈折率をno 、異常光屈折率をne とし
たときに、高分子の屈折率np を、
【0007】
【数3】no ≦np≦(no +ne)/2
【0008】を満足する範囲内、つまり、液晶の常光屈
折率no から当該常光屈折率no と異常光屈折率ne
の中間値までの範囲内に設定する方法が提案されている
(特開平7−104249号公報)。
【0009】すなわち、TN液晶素子の液晶分子は、電
界無印加時にその長軸が二枚の基板間で90度ねじれた
状態に配向し、電界印加時に基板に対して垂直に配向す
るため、高分子の屈折率np を前記数3の範囲に設定す
ることで、いずれの電界モードにおいても光散乱を少な
くできる。
【0010】一方、外部電界に対する高速応答性を有す
る液晶素子として、自発分極をもつ強誘電性液晶や反誘
電性液晶を用いた液晶素子が注目されている。この種の
液晶素子は、電圧印加によって切り替えられる各液晶分
子配列状態(各動作モード)において、液晶分子が基板
に対して平行かつ同一方位に配向するように構成されて
いる。このため、液晶層の光軸に相当するのは、液晶分
子の軸方向、つまり、液晶の配向方向となる。
【0011】このような一軸性の液晶素子においても、
前述したTN液晶素子等と同様に、液晶層中に高分子領
域を設けて液晶配向強度を高めることが考えられるが、
TN液晶素子等と同様に、液晶と高分子との屈折率差に
よる光散乱が生じて、画面のざらつきが発生することが
予想される。このため、高分子の屈折率を前述した数3
の範囲に設定することが考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶分
子が基板に平行かつ同一方位に配向する液晶素子では、
偏光板を組み合わせた場合、液晶の配向方向(液晶分子
の軸方向)が、入射側偏光板の偏光軸方向と一致すると
きに、大きな光散乱が生じるという問題があった。
【0013】例えば、図4に示すように、一対の基板8
8,89に挟まれた強誘電性液晶層800中に高分子の
島(図示省略)を設けた液晶セル80を、二枚のニュー
トラル偏光板91,92(直交ニコル)で挟み込んだ構
造の液晶素子8では、図4(A)に示すように、液晶層
800を構成する液晶組成物の配向方向(液晶分子81
の長軸方向81A)と入射側偏光板91の偏光軸方向と
が45度の角度で交差するときに、入射偏光は液晶層8
00で90度だけ回転して出射側の偏光板92を透過す
る。
【0014】一方、図4(B)に示すように、液晶層8
00の配向方向(液晶分子81の長軸方向81A)と入
射側偏光板91の偏光軸方向とが一致するとき、90度
の旋光性は消失し、直交ニコル状態では、光は遮断され
る。このとき、入射偏光の感じる強誘電性液晶層800
の屈折率は、液晶組成物の異常光屈折率ne に相当す
る。ここで、常光屈折率no とは、図5に示すように、
液晶分子81の短軸方向81B、つまり液晶分子81の
長軸81A方向と直交する方向に振動する光である常光
線に対する屈折率であり、異常光屈折率ne とは、液晶
分子81の長軸方向81Aと平行に振動する光である異
常光線に対する屈折率である。このため、高分子の屈折
率np を、前述したTN液晶素子と同様に、
【0015】
【数4】no ≦np≦(no +ne)/2
【0016】の範囲とした場合、液晶組成物と高分子
(図示省略)との屈折率差が大きくなるため、光散乱が
発生して光漏れが生じるという不具合があった。
【0017】このような不具合を解消するためには、図
6に示すように、偏光板91,92をそれぞれ液晶セル
80に対して、図4の状態から各面内で90度回転させ
た角度に配置しなければならない。つまり、図6(B)
の光遮断状態において、液晶層800の液晶組成物の配
向方向と入射側偏光板91の偏光軸方向とを直交させ
て、液晶セル80に入射する偏光の感じる屈折率を常光
屈折率no に一致させなければならず、液晶セル80と
偏光板91,92との相対位置が制限されるので、液晶
素子8の設計の自由度が低くなる。
【0018】また、図7に示すように、強誘電性液晶層
800中に高分子の島(図示省略)を設けた液晶セル8
0を、カラー偏光板93とニュートラル偏光板94とで
挟み込んだ(直交ニコル)構造のカラー液晶素子9があ
る。カラー偏光板93は、偏光軸と直交する色選択偏光
軸を有するものであり、偏光軸方向に白色光を透過し、
かつ、色選択偏光軸方向にカラー光を透過するものであ
る。このような液晶素子9では、図7(A)に示すよう
に、強誘電性液晶層800を構成する液晶組成物の配向
方向と入射側のカラー偏光板93の偏光軸方向とが45
度の角度で交差した状態で、入射光が液晶層800で9
0度だけ回転する。そして、出射側のニュートラル偏光
板94と偏光軸方向が一致する白色光のみが当該偏光板
94を通過し、カラー光は遮断される。
【0019】一方、図7(B)に示すように、液晶層8
00の配向方向と入射側のカラー偏光板93の偏光軸方
向とが一致するときには、90度の旋光性は消失し、ニ
ュートラル偏光板94では、カラー光のみが透過されて
白色光は遮断される。このとき、液晶セル80に入射す
る直線偏光の感じる液晶層800の屈折率は、液晶組成
物の異常光屈折率ne となるため、高分子の屈折率np
を、前述した数4の範囲内に設定すると、図6の場合と
同様に、強誘電性液晶と高分子(図示省略)との屈折率
差が大きくなることから、液晶層800で光散乱が発生
する。
【0020】このような白色光の散乱を防止するために
は、図8に示すように、偏光板93,94を、それぞれ
図7の状態から90度回転させ、図8(B)の白色光遮
断状態における液晶層800の配向方向とカラー偏光板
93の偏光軸方向とを直交させて、液晶セル80に入射
する直線偏光の感じる屈折率を、液晶組成物の常光屈折
率no に一致させることが考えられる。しかしながら、
この配置では、液晶セル80に入射するカラー偏光の感
じる液晶層800の屈折率が、液晶組成物の異常光屈折
率ne となり、高分子との屈折率差が大きくなるため、
カラー光が散乱することになる。
【0021】とくに、このようなカラー液晶素子9を、
複数のカラー偏光板と液晶素子とを積層したカラーシャ
ッタ(特開平3−36526号公報)に適用した場合、
白色光およびカラー光のいずれか一方が必ず散乱するた
め、色純度の低下や画面のざらつきが生じるという問題
があった。
【0022】本発明の目的は、液晶分子が基板に平行か
つ同一方位に配向する液晶素子において、液晶と高分子
との屈折率差による光散乱を低減でき、これにより、素
子設計の自由度を高めることができ、かつ、表示のざら
つきを防止できるとともにコントラストの向上を図るこ
とができる液晶素子およびカラー液晶素子を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子の屈折
率を所定の範囲に規定することで前記目的を達成しよう
とするものである。具体的には、本発明は、少なくとも
一方が透光性を有する一対の基板およびこれらの基板の
間に設けられた液晶層を備えた液晶セルを有する液晶素
子であって、前記液晶層は、液晶組成物の液晶分子が前
記基板に対して平行かつ互いに同一方位に配向するよう
に構成され、当該液晶層中には、高分子材料からなる高
分子領域が設けられ、前記液晶組成物の常光屈折率をn
o 、異常光屈折率をne としたときに、前記高分子の屈
折率np は、
【0024】
【数5】
【0025】とされていることを特徴とする。
【0026】ここで、常光屈折率no とは、液晶組成物
の光軸となる液晶分子の配列方向(軸方向)と直交する
方向、具体的には、液晶分子の短軸方向に振動する常光
線に対する屈折率である。また、異常光屈折率ne
は、液晶組成物の光軸となる液晶分子の配列方向(軸方
向)と平行に振動する異常光線に対する屈折率である。
【0027】本発明では、液晶セルに入射する直線偏光
の偏光方向と液晶組成物の配向方向(液晶分子の軸方
向)とが直交する場合、入射偏光の感じる液晶層の屈折
率は、液晶組成物の常光屈折率no に一致するので、高
分子の屈折率が前記数5の範囲よりも小さいと、液晶組
成物および高分子の屈折率差が大きくなることから、液
晶組成物および高分子領域の界面で発生する光散乱が大
きくなる。また、入射偏光の偏光方向と液晶組成物の配
向方向(液晶分子の軸方向)とが平行な場合、入射偏光
の感じる液晶層の屈折率は、液晶組成物の異常光屈折率
e に一致するので、高分子の屈折率が、前記数5の範
囲を超えて大きいと、屈折率差が大きくなって、光散乱
が大きくなる。
【0028】従って、高分子の屈折率を数5の範囲とす
ることで、入射光の偏光方向と液晶組成物の配向方向と
が直交する場合およびこれらの方向が平行な場合のいず
れの場合においても、液晶組成物と高分子との屈折率差
による光散乱を確実に低減できる。
【0029】また、高分子の屈折率を所定範囲に制限す
るだけで光散乱を低減できるため、液晶セルに偏光板を
積層する場合、従来のように相互配置が制限されること
がなくなるから、液晶素子の設計の自由度を高めること
ができる。
【0030】さらに、液晶セルに、色選択偏光軸を有す
るカラー偏光板を積層した場合でも、光の振動方向に拘
わらず、液晶組成物の屈折率と高分子の屈折率との差を
小さくできるため、光散乱を確実に低減できる。
【0031】そして、高分子の屈折率は、より好ましく
は、次の数6の範囲であり、この範囲とすることで、液
晶層における光散乱を一層低減できる。
【0032】
【数6】
【0033】また、液晶層中には、高分子領域が設けら
れているので、液晶組成物の配向強度を高めることがで
きる。この高分子領域を構成する高分子材料としては、
ポリスチレンやポリメチルメタクリレート等の熱可塑性
高分子、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化型高分
子、紫外線硬化型の高分子等を採用できる。
【0034】前記基板は、光学的異方性がない透明な材
料により構成でき、例えば、フィルム状に形成された可
撓性を有するものであってもよい。具体的には、ポリエ
ーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PA
r)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリ
スルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド
等のプラスチックにより形成された透明プラスチックフ
ィルムを採用できる。また、基板の表面には、液晶層に
電圧を印加するための透明導電膜、例えば、ITO膜
(酸化インジウム膜)やNESA膜(酸化錫膜)等の透
明薄膜が設けられていてもよい。このような透明導電膜
は、スパッタリング法やイオンビーム蒸着法等の公知の
方法により成膜できる。
【0035】また、透明導電膜上には、上下の基板間の
電気的短絡を防止するために電気絶縁層が設けられてい
てもよい。この電気絶縁層は、一般に用いられている電
気絶縁材料を用いて構成できる。例えば、有機材料で
は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ッ素系熱硬化性樹脂、シリコン系熱硬化性樹脂、シロキ
サン系熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアル
コール樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、シアノエチル
化セルロース等が挙げられる。また、アクリル系または
シリコン系等の紫外線硬化型樹脂を用いてもよい。無機
材料では、酸化珪素や酸化チタン、酸化アルミニウム、
酸化タンタル等の金属酸化物が挙げられる。
【0036】これらの電気絶縁材料を用いて電気絶縁層
を形成するには、有機材料の場合は、溶媒に溶解させた
溶液を塗工する方法を採用すればよい。この場合の溶液
濃度は、有機材料や溶媒の種類により異なるが、0.1
〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%の範囲であ
り、25℃での粘度が1〜10センチポイズの範囲に調
整してあるものが好適に用いられる。この場合に用いる
溶媒としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂では、
メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等が好適
であり、ポリアミド樹脂では、メタノールやエタノール
が好適に用いられる。また、無機材料を用いる場合に
は、金属アルコキシド等を溶媒に溶解させて塗工した
後、適当な温度で焼成して形成する方法が好適である。
このようにして形成する電気絶縁層の厚さは、対向する
電極間の電気抵抗や液晶層の配向性、光学的特性、使用
材料の誘電率や硬度に応じて、0.01〜1μmの範囲
から選定するのが好ましい。
【0037】前記液晶層を構成する液晶組成物は、複数
の配向状態、つまり、印加する電圧の極性や大きさを変
えて分子配列を変化させることにより得られる複数の動
作モードにおいて、液晶分子が、見かけ上、基板に対し
て平行かつ互いに同一方位に配向するものであれば任意
である。つまり、各動作モードにおいて、全体の液晶分
子を巨視的に眺めたときに、液晶分子軸が優先的に配向
している方向(ディレクタ)が、基板に対して平行かつ
一方向であればよい。このような液晶組成物は、単一種
類の液晶により構成してもよく、或いは、複数種類の液
晶を混合した混合物により構成してもよい。
【0038】また、液晶セルには、偏光板を積層するこ
とができる。積層する偏光板の種類は、特に限定され
ず、例えば、全ての可視光領域をほぼ吸収するニュート
ラル偏光板、特定の波長域のみを吸収するカラー偏光板
等を採用できる。偏光板としては、可撓性を有するフィ
ルム状のもの等を採用でき、具体的には、ヨウ素や二色
性色素を含浸させて偏光性をもたせたポリビニルアルコ
ール(PVA)膜をトリアセチルセルロース(TAC)
フィルムやポリエステルフィルム等の光学的に透明な保
護フィルムで挟み込んだ偏光フィルム、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)フィルム中に二色性色素を分散
してから一軸延伸した偏光フィルム等がある。
【0039】そして、偏光板の液晶素子と接する面に
は、当該液晶素子に貼着するための粘着層が設けられて
いてもよい。この粘着層は、例えば、アクリル系高分子
等からなる粘着剤を予め塗布することにより形成でき、
その厚さは、例えば、10μm〜1000μmである。
この粘着層には、離型フィルムが積層されていてもよ
い。
【0040】また、偏光板の表面には、液晶層に電圧を
印加するための透明導電膜、例えば、ITO膜(酸化イ
ンジウム膜)やNESA膜(酸化錫膜)等の透明薄膜が
設けられていてもよく、これらの薄膜は、スパッタリン
グ法やイオンビーム蒸着法等の方法により成膜できる。
なお、このような透明導電膜を偏光板に設けた場合、前
述した基板の透明導電膜は省略できる。
【0041】そして、偏光板を液晶セルの出射側に配置
した場合、この偏光板の表面には、室内蛍光灯等の外光
の反射を防ぐためのアンチグレア処理やアンチリフレク
ション処理が施されていてもよい。これらの処理は、偏
光板の出射側の表面、具体的には、観測者に最も近い露
出する側の表面に対してのみ行ってもよい。
【0042】以上において、前記液晶組成物は、強誘電
性液晶、反強誘電性液晶、および電界誘起チルトを示す
カイラルスメクティックA液晶より選ばれた少なくとも
一種を用いて構成されていることが好ましい。
【0043】特に、前記液晶組成物は、強誘電性液晶に
より構成することが望ましい。
【0044】ここで、強誘電性液晶とは、強誘電性(自
発分極)を示す液晶のみで構成されたものだけでなく、
強誘電性を示す液晶と強誘電性を示さない液晶との混合
物をも含む。また、強誘電性液晶を構成する液晶の種類
は、単一種類であってもよく、或いは、複数種類であっ
てもよい。例えば、強誘電性液晶としては、強誘電性高
分子液晶と低分子液晶とからなるものを採用できる。こ
の場合、強誘電性液晶全体における強誘電性高分子液晶
の割合は、好ましくは、10〜99wt%であり、より好
ましくは、10〜70wt%である。
【0045】強誘電性液晶を用いた場合、液晶層の厚さ
を強誘電性液晶の螺旋ピッチ以下の厚さに設定するとと
もに液晶を配向させることで、印加電界の極性によって
切り替わる二つの動作モードのいずれにおいても、液晶
分子が基板に対して平行かつ互いに同一方位に配向する
液晶層を構成できる。液晶の配向処理は、公知の方法に
より行えばよい。すなわち、ポリイミド膜表面をラビン
グ処理した膜やシリカ等の無機物の斜方蒸着膜等からな
る配向膜を用いる場合には、例えば、徐冷法により行う
ことができる。また、配向膜がない場合には、導電性を
有する配向ロールを用いて液晶材料に電界を印加しなが
ら曲げ変形による剪断を加える曲げ剪断法(特開平3−
163525号公報)等を採用できる。
【0046】さらに、前記高分子領域は、前記高分子材
料を前記液晶層の1〜30wt%含有させることにより形
成されていることが好ましい。すなわち、高分子材料の
添加量が1wt%未満であると、液晶組成物の配向強度を
充分に向上できない場合があり、30wt%を越えると、
基板と直交する方向からみて、液晶セルの単位面積当た
りの高分子領域が占める比率が大きくなることから、コ
ントラストの低下等の光学特性上の不具合が生じるおそ
れがある。
【0047】そして、前記液晶層は、前記液晶組成物の
配向方向に沿って配列する二色性色素を含んで構成され
ていてもよい。このようにすれば、ゲストホスト効果に
より、ホストの液晶分子配列を電場で変化させることに
よって、ゲストの二色性色素の分子配列も同時に変化さ
せ、これにより、色素の可視光吸収量を電気的に制御で
きる。従って、液晶素子を透過する光の色相を変化させ
ることができるから、カラーディスプレイ等に利用でき
る。
【0048】一方、本発明は、制御信号に応じて異なる
リタデーションを与える可変リタデーション板と、この
可変リタデーション板に積層されたニュートラル偏光板
と、前記可変リタデーション板に積層されかつ色選択偏
光軸を有するカラー偏光板とを備えたカラー液晶素子で
あって、前記可変リタデーション板は、少なくとも一方
が透光性を有する一対の基板およびこれらの基板の間に
設けられた液晶層を備えた液晶セルにより構成され、前
記液晶層は、液晶組成物の液晶分子が前記基板に対して
平行かつ互いに同一方位に配向するように構成され、当
該液晶層中には、高分子材料からなる高分子領域が設け
られ、液晶組成物の常光屈折率をno 、異常光屈折率を
e としたときに、前記高分子の屈折率np は、
【0049】
【数7】
【0050】とされていることを特徴とする。
【0051】本発明では、高分子の屈折率np を数7の
範囲とすることで、前述した通り、入射光の偏光方向と
液晶組成物の配向方向とが直交する場合およびこれらの
方向が平行な場合のいずれの場合においても、液晶組成
物と高分子との屈折率差による光散乱を確実に低減でき
る。従って、光散乱によって生じる表示のざらつきを防
止できるとともにコントラストの向上を図ることができ
る。
【0052】このように、高分子の屈折率を数7の範囲
に設定するだけで、光散乱を低減できるため、従来のよ
うに液晶セルおよび偏光板の配置が制限されることがな
くなるから、カラー液晶素子の設計の自由度を高めるこ
とができる。
【0053】さらに、光の振動方向に拘わらず、液晶組
成物の屈折率と高分子の屈折率との差を小さくできるた
め、色選択偏光軸(吸収軸)および非吸収軸が交差する
カラー偏光板を液晶セルに積層しても、光散乱を確実に
低減できる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。 〔第一実施形態〕図1には、本実施形態の液晶素子1が
示されている。液晶素子1は、一対の透光性を有するフ
ィルム状の基板11,12の間に液晶層13を設けた液
晶セル10と、この液晶セル10を挟む一対のフィルム
状の偏光板14,15とを有して構成されている。偏光
板14,15は、それぞれ液晶セル10の入射側および
出射側に直交ニコル状態で積層されている。
【0055】液晶セル10の基板11,12は、図示し
ないスペーサを介して平行に対向配置されている。これ
らの基板11,12間には、スペーサに対応した間隔の
隙間が形成され、この隙間に液晶層13が設けられてい
る。これらの基板11,12の互いに対向する面には、
それぞれITO膜等からなる膜状の透明電極111,1
21が設けられ、各透明電極111,121に電圧を印
加することにより、液晶層13を構成する液晶組成物2
0の配向状態(配向方位)を変化させるようになってい
る。また、これらの透明電極111,121の表面に
は、厚さ0.01μm〜1μmの電気絶縁層(図示省
略)が形成されている。この電気絶縁層の厚さは、使用
する絶縁材料の誘電率や硬度に応じて選定される。
【0056】液晶層13を構成する液晶組成物20は、
強誘電性液晶により構成され、具体的には、強誘電性高
分子液晶および低分子液晶の混合物からなる強誘電性液
晶により構成されている。この液晶層13においては、
液晶分子21が基板11,12に対して平行かつ互いに
同一方位に配向するように構成されている。すなわち、
本実施形態では、液晶層13の厚さが強誘電性液晶の螺
旋ピッチ以下に設定されるとともに、液晶分子21が基
板11,12と平行に並ぶように平行配向処理が施され
ている。
【0057】なお、液晶層13は、液晶組成物20に、
当該液晶組成物20の配向方向に沿って配列する二色性
色素を溶解させることにより構成されていてもよい。
【0058】このような液晶層13中には、高分子材料
からなる高分子領域30が設けられ、この高分子領域3
0は、一対の基板11,12を連結する柱状に形成され
ている。なお、高分子領域30の一部は、透明電極11
1,121の表面に設けられた電気絶縁層(図示省略)
上に粒子状に付着していてもよい。この高分子領域30
を構成する高分子材料は、液晶組成物20よりも少ない
割合とされ、具体的には、高分子材料は、液晶層13全
体の1〜30wt%配合されている。これにより、液晶組
成物20の配向強度を向上できるとともに、コントラス
トの低下等の光学特性上の不具合を防止できる。
【0059】このような高分子領域30を構成する高分
子の屈折率np は、液晶組成物20の常光屈折率を
o 、異常光屈折率をne としたときに、次の数8の範
囲とされている。
【0060】
【数8】
【0061】本実施形態の液晶素子1では、入射側偏光
板14を通過した直線偏光が液晶セル10に入射し、液
晶セル10から出射された光は、その振動方向と出射側
偏光板15の偏光軸方向とが一致した場合にのみ当該出
射側偏光板15を通過する。このとき、液晶セル10に
電圧を印加して電場の極性を切り替えることにより、液
晶分子21(分子長軸)の配向方位は、基板11,12
と平行な面内で変化し、分子配列は二つの動作モード
(配列状態)に切り替わる。すなわち、液晶セル10に
加える電圧の極性を変化させることで、液晶分子21の
配向方向は、基板11,12と平行な面内で所定角度だ
け変化し、これにより、二つの動作モード(配列状態)
の間をスイッチングできる。このような二つの動作モー
ドにより、液晶セル10に入射した入射偏光の透過およ
び遮断が制御される。
【0062】このように構成された本実施形態によれ
ば、以下のような効果がある。すなわち、入射偏光の偏
光方向と液晶組成物20の配向方向(液晶分子21の軸
方向)とが直交する場合、入射偏光の感じる液晶層13
の屈折率は、液晶組成物20の常光屈折率no に一致す
る。また、入射偏光の偏光方向と液晶組成物20の配向
方向(液晶分子21の軸方向)とが平行な場合、入射偏
光の感じる液晶層13の屈折率は、液晶組成物20の異
常光屈折率ne に一致する。従って、高分子の屈折率n
p を前記数8の範囲とすることで、入射光の偏光方向と
液晶組成物20の配向方向とが直交する場合およびこれ
らの方向が平行な場合のいずれの場合においても、液晶
組成物20と高分子との屈折率差による光散乱を確実に
低減できる。
【0063】また、高分子の屈折率を所定範囲に制限す
るだけで光散乱を低減できるため、従来のように、液晶
セル10および偏光板14,15の相互配置が制限され
ることがなくなるから、液晶素子1の設計の自由度を高
めることができる。
【0064】さらに、液晶層13中には、高分子領域3
0が設けられているので、液晶層13を構成する液晶組
成物20の配向強度を高めることができる。
【0065】そして、液晶組成物20に、その配向方向
に沿って配列する二色性色素を溶解させて液晶層13を
構成した場合には、液晶分子配列を電場で変化させるこ
とによって、二色性色素の分子配列も同時に変化させる
ことができるから、色素の可視光吸収量を電気的に制御
できる。従って、液晶セル10を透過する光の色相を変
化させることができるから、液晶素子1をカラーディス
プレイ等に利用できる。
【0066】〔第二実施形態〕図2に示す本実施形態の
カラー液晶素子であるカラーシャッタ4は、前記第一実
施形態の液晶セル10を用いて構成されたものであり、
図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略
し、以下には異なる部分のみを詳述する。本実施形態の
カラーシャッタ4は、制御信号に応じて異なるリタデー
ションを与える二枚の可変リタデーション板41,42
と、これらの可変リタデーション板41,42に積層さ
れたニュートラル偏光板43およびカラー偏光板44,
45,46,47とを備え、これらは互いに平行に重ね
られている。
【0067】本実施形態の可変リタデーション板41,
42は、それぞれ前記第一実施形態の液晶セル10(図
1参照)により構成され、これらと平行なXY座標平面
において、正のDC電圧を印加したときに、ディレクタ
の向きD、つまり液晶組成物20(図1参照)の配向方
向Dがy軸方向と一致するように構成されている。
【0068】光源51側の可変リタデーション板41の
入射側にはニュートラル偏光板43が配置され、その偏
光軸43Pは、y軸方向と平行に設定されている。この
可変リタデーション板41の出射側には、Y(Yellow)
のカラー偏光板44が配置され、その色選択偏光軸(吸
収軸)44Pは、x軸方向と平行に設定され、偏光軸4
4Pと直交するy軸方向が非吸収軸となっている。
【0069】可変リタデーション板42の入射側には、
前記カラー偏光板44と隣接してV(Violet)のカラー
偏光板45が配置され、その色選択偏光軸45Pは、y
軸方向と平行に設定され、この色選択偏光軸45Pと直
交するx軸方向が非吸収軸となっている。
【0070】可変リタデーション板42の出射側には、
R(Red )のカラー偏光板46が配置され、その色選択
偏光軸46Pは、x軸方向と平行に設定され、この色選
択偏光軸46Pと直交するy軸方向が非吸収軸となって
いる。
【0071】このカラー偏光板46の出射側には、B
(Blue)のカラー偏光板47が配置され、その色選択偏
光軸47Pは、y軸方向と平行に設定され、色選択偏光
軸47Pと直交するx軸方向が非吸収軸となっている。
【0072】このようなカラー偏光板43〜47では、
色選択偏光軸43P〜47Pと平行な直線偏光は、光吸
収を受け、これにより、着色光が出射される。また、色
選択偏光軸43P〜47Pと直交する直線偏光は、その
光軸が非吸収軸と一致するため、吸収を受けずにそのま
ま透過し、これにより、無色の光が出射される。
【0073】このように構成された本実施形態のカラー
シャッタ4は、二つの、可変リタデーション板(液晶セ
ル)41,42に選択的に電圧を印加することにより、
発色を制御するようになっている。各可変リタデーショ
ン板41,42に印加する電圧と表示色との関係は、次
の表1に示す通りである。
【0074】
【表1】
【0075】このような本実施形態によれば、前記第一
実施形態と同様な作用、効果を奏することができる他、
以下のような効果がある。すなわち、前記第一実施形態
と同様に、可変リタデーション板(液晶セル)41,4
2の高分子の屈折率np は、前記数8の範囲とされてい
るので、入射光の偏光方向と液晶組成物20(図1参
照)の配向方向とが直交する場合、およびこれらの方向
が平行な場合のいずれの場合においても、液晶組成物2
0と高分子との屈折率差による光散乱を確実に低減でき
る。従って、光散乱によって生じるカラー表示のざらつ
きを防止できるとともにコントラストの向上を図ること
ができる。
【0076】また、高分子の屈折率np を数8の範囲に
設定するだけで、光散乱を低減できるため、液晶セル1
0(図1参照)および偏光板43〜47の配置が制限さ
れることがなくなるから、カラーシャッタ4の設計の自
由度を高めることができる。
【0077】さらに、光の振動方向に拘わらず、液晶組
成物20の屈折率と高分子の屈折率との差を小さくでき
るため、カラー偏光板44〜47を、前記第一実施形態
の液晶セルからなる可変リタデーション板41,42と
積層しても、光散乱を確実に低減できる。
【0078】
【実施例】次に、本発明の効果を、具体的な実施例に基
づいて説明する。 〔実施例1〕本実施例1では、前記第一実施形態に基づ
き、以下の具体的な材料および手順等を採用して前記第
一実施形態における液晶セルを作成した。
【0079】〈1〉材料 基板 ITO膜付きPES(ポリエーテルスルフォン)フィル
ム基板(住友ベークライト株式会社製FST)を採用し
た。 電気絶縁膜 電気絶縁材料として、シアノエチル化プルラン〔信越化
学社製;CR−S〕を用い、二枚の基板の各透明電極
(ITO膜)上に電気絶縁層を形成した。すなわち、前
記シアノエチル化プルランの3重量%濃度のアセトン溶
液をロールコータにより透明電極上に塗布し、140℃
において4分間乾燥して、電気絶縁層を形成した。これ
により形成された電気絶縁層の厚さは、0.1μmであ
った。
【0080】液晶組成物 次の一般式1に示す強誘電性高分子液晶A(出光興産株
式会社製)と、次の一般式2に示す低分子液晶B(出光
興産株式会社製)と、次の一般式3に示す低分子液晶C
(みどり化学社製)と、次の一般式4に示す低分子液晶
D(みどり化学社製)とを、5:3:1:1の重量比で
混合した混合物を採用した。この液晶組成物のランダム
状態における屈折率nは、n=1.56である。
【0081】
【化1】
【0082】
【化2】
【0083】
【化3】
【0084】
【化4】
【0085】高分子材料 非液晶性高分子材料である協立化学社製UV硬化型接着
剤XVL−14を採用した。この接着剤の屈折率n
p は、np =1.52である。
【0086】〈2〉手順 液晶組成物と高分子材料とを100:15の重量比で
混合し、この混合物をメチルエチルケトンに溶解して、
28重量%の溶液を得た。 この溶液をロールコータにより一方のフィルム基板に
塗布した後、これと対向する他方の基板を重ねて互いに
貼り合わせて液晶セルを組み立てた。この液晶セルに±
40Vの矩形波電圧を印加しながらフィルム基板の長手
方向に平行に曲げ変形を与え、これにより、液晶組成物
の配向処理を行った。 配向処理の後、メタルハライドランプを用い、180
0mJ/cm2 のUV光を液晶セルに照射することにより、
高分子材料である接着剤を硬化させて液晶層中に高分子
領域を形成した。
【0087】〔実施例2〕本実施例2では、前記実施例
1における条件を以下のように変更したうえで、前記実
施例1と同様にして液晶セルを得た。 〈1〉材料 液晶組成物 前記実施例1の強誘電性高分子液晶Aと、次の一般式5
に示す低分子液晶E(出光興産株式会社製)とを、7:
3の重量比で混合した混合物を採用した。この液晶組成
物のランダム状態における屈折率nは、n=1.48で
ある。
【0088】
【化5】
【0089】二色性色素 日本感光色素社製の二色性色素G−232を採用した。
【0090】〈2〉手順 液晶組成物に二色性色素を4重量%添加し、これと高分
子材料とを100:15の重量比で混合して、この混合
物をメチルエチルケトンに溶解して、27重量%の溶液
を得た。この溶液を用いて、前記実施例1と同様な手順
で液晶セルを作成した。
【0091】〔比較例1〕本比較例1では、前記実施例
1における条件を以下のように変更したうえで、前記実
施例1と同様にして液晶セルを得た。すなわち、高分子
材料(非液晶性)として、UV硬化接着剤である昭和高
分子株式会社製SP1509を採用した。この接着剤の
屈折率np は、np =1.59である。
【0092】〔比較例2〕本比較例2では、前記実施例
1において、高分子材料(非液晶性)として、ポリスチ
レンを採用した以外は、前記実施例1と同様にして液晶
セルを得た。このポリスチレンは、分子量5000で、
屈折率np がnp =1.58のものである。
【0093】〔液晶セルの評価〕以上の実施例1,2お
よび比較例1,2で得た各液晶セルについて、高分子の
屈折率np と液晶組成物の常光屈折率no および異常光
屈折率ne との関係を求めるとともに、散乱光量を求め
て光散乱を評価した。
【0094】すなわち、液晶層の膜厚(厚さ)dをIR
吸収法により測定するとともに、位相差計を用いて+2
0Vの直流電圧を加えながら液晶セルの面内リターデー
ションRを測定し、得られた膜厚dおよび面内リターデ
ーションRと、液晶組成物の屈折率nとから、次の数式
9により常光屈折率no を算出し、数式10により異常
光屈折率ne を算出した。その結果を表2に示す。
【0095】
【数9】
【0096】
【数10】
【0097】
【表2】
【0098】これらの常光屈折率no および異常光屈折
率ne から、高分子の屈折率np が前記数8の範囲内に
あるかどうかを調べた。
【0099】また、実施例1,2および比較例1,2の
各液晶セルの散乱光量は、それぞれ次のような手順で測
定した。すなわち、サンリッツ社製ニュートラル偏光板
LLC2−9218からなる二枚の偏光板をパラニコル
に配置し、液晶セルを介装しないで、直径5mmの平行ビ
ームを透過させたときの透過光量を100%とした。そ
して、これらの偏光板の間に液晶セルを平行に配置する
とともに、検光子となる偏光板の出射側にピンホール板
を配置し、同様にして平行ビームを透過させた。このピ
ンホール板は、前記平行ビームの光軸上にピンホールを
形成したものであり、ピンホールが直径7mmの場合と直
径30mmの場合との各透過光量の差を散乱光量とした。
散乱光量は、450nm、530nm、620nmの各
波長における散乱光量として求めた。その結果を表3に
示す。
【0100】
【表3】
【0101】表2および表3より、実施例1および実施
例2では、高分子の屈折率np が数8を満足する範囲内
とされているため、散乱光量が少ないことがわかる。な
お、実施例1の液晶セルを用いて、ドットマトリクス型
の液晶表示素子を作成してその表示を確認したところ、
ざらつきのない鮮明な画像が得られた。
【0102】一方、比較例1および比較例2では、高分
子の屈折率np が数8の範囲を越えて大きいことから、
実施例1,2よりも散乱光量が多く、光散乱が大きいこ
とがわかる
【0103】〔実施例3〕本実施例3では、前記第二実
施形態に基づいてカラーシャッタを作成し、液晶セルと
して前記実施例1の液晶セルを用いるとともに、光源と
して図3に示すような発光スペクトルを有する白色光源
を採用した。
【0104】〔比較例3〕前記実施例3において、液晶
セルとして前記比較例1の液晶セルを用いた以外は、前
記実施例3と同様にしてカラーシャッタを得た。
【0105】〔カラーシャッタの評価〕実施例3および
比較例3で得られた各カラーシャッタについて、二枚の
液晶セルに印加する電圧をそれぞれ切り替えることによ
り、赤、青、緑の表示を行い、各表示カラーの色度(X
YZ表色系)を測定した。そして、これらの赤、青、緑
の各座標を結ぶ三角形を色度図(座標平面)上に設定
し、その面積を求めた。
【0106】その結果、実施例3のカラーシャッタにお
ける各表示カラーの色度座標は、 赤(0.593,0.371) 青(0.194,0.119) 緑(0.283,0.617) となり、色度図上の三角形の面積は、0.088であっ
た。
【0107】また、比較例3では、各表示カラーの色度
座標は、 赤(0.557,0.375) 青(0.199,0.134) 緑(0.295,0.626) となり、色度図上の三角形の面積は、0.0765であ
った。
【0108】また、カラーシャッタの透過スペクトル
を、液晶セルおよび偏光板のジョーンズ行列の積から算
出し、これを基にXYZ表色系における各表示カラーの
色度座標を計算して、各色度座標を結ぶ三角形の面積を
求めた。その結果、各表示カラーの理論上の色度座標
は、 赤(0.607,0.364) 青(0.183,0.128) 緑(0.311,0.623) となり、色度図上の三角形の面積の理論値は、0.09
0となった。
【0109】色度図上の三角形の面積について、この理
論値と、実施例3および比較例3の各実測値とを比較す
ると、実施例3の三角形の面積の実測値は、理論値とほ
ぼ同じであり、カラーシャッタの液晶セルを構成する液
晶層中の高分子の屈折率npが前記数8を満足する範囲
内とされているため、コントラストの高い所期の性能を
有するカラーシャッタが得られることがわかる。一方、
比較例3の三角形の面積の実測値は、理論値よりも大幅
に低く、液晶層の高分子の屈折率np が数8の範囲外と
なっているため、光散乱が生じて所期のコントラストが
得られないことがわかる。
【0110】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
液晶セルの一対の基板の間に設けられた液晶層中に高分
子領域を設け、この高分子の屈折率の範囲を所定範囲に
規定することで、配向強度を高められるとともに、液晶
組成物と高分子との屈折率差による光散乱を確実に低減
できる。また、光散乱を低減するために液晶セルおよび
偏光板の相互配置を規定する必要がなくなるので、素子
設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態を模式的に示す断面図。
【図2】本発明の第二実施形態を模式的に示す分解斜視
図。
【図3】本発明の実施例3で用いる光源の発光スペクト
ルを示す線図。
【図4】従来の液晶素子を示す斜視図。
【図5】従来の液晶素子を構成する液晶分子を示す図。
【図6】従来の他の液晶素子を示す斜視図。
【図7】従来のカラー液晶素子を示す斜視図。
【図8】従来の他のカラー液晶素子を示す斜視図。
【符号の説明】
1 液晶素子 4 カラーシャッタ(カラー液晶素子) 10 液晶セル 11,12 基板 13 液晶層 20 液晶組成物 21 液晶分子 30 高分子領域 41,42 可変リタデーション板 43 ニュートラル偏光板 44,45,46,47 カラー偏光板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透光性を有する一対の
    基板およびこれらの基板の間に設けられた液晶層を備え
    た液晶セルを有する液晶素子であって、 前記液晶層は、液晶組成物の液晶分子が前記基板に対し
    て平行かつ互いに同一方位に配向するように構成され、 当該液晶層中には、高分子材料からなる高分子領域が設
    けられ、 前記液晶組成物の常光屈折率をno 、異常光屈折率をn
    e としたときに、 前記高分子の屈折率np は、 【数1】 とされていることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した液晶素子において、 前記液晶組成物は、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、お
    よび電界誘起チルトを示すカイラルスメクティックA液
    晶より選ばれた少なくとも一種を用いて構成されている
    ことを特徴とする液晶素子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載した液晶素子において、 前記液晶組成物は、強誘電性液晶からなることを特徴と
    する液晶素子。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれかに
    記載した液晶素子において、 前記高分子領域は、前記高分子材料を前記液晶層の1〜
    30wt%含有させることにより形成されていることを特
    徴とする液晶素子。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれかに
    記載した液晶素子において、 前記液晶層は、前記液晶組成物の配向方向に沿って配列
    する二色性色素を含んで構成されていることを特徴とす
    る液晶素子。
  6. 【請求項6】 制御信号に応じて異なるリタデーション
    を与える可変リタデーション板と、 この可変リタデーション板に積層されたニュートラル偏
    光板と、 前記可変リタデーション板に積層されかつ色選択偏光軸
    を有するカラー偏光板とを備えたカラー液晶素子であっ
    て、 前記可変リタデーション板は、少なくとも一方が透光性
    を有する一対の基板およびこれらの基板の間に設けられ
    た液晶層を備えた液晶セルにより構成され、 前記液晶層は、液晶組成物の液晶分子が前記基板に対し
    て平行かつ互いに同一方位に配向するように構成され、 当該液晶層中には、高分子材料からなる高分子領域が設
    けられ、 前記液晶組成物の常光屈折率をno 、異常光屈折率をn
    e としたときに、 前記高分子の屈折率np は、 【数2】 とされていることを特徴とするカラー液晶素子。
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