JPH11258469A - 光ファイバ心線および光ファイバコ―ド - Google Patents

光ファイバ心線および光ファイバコ―ド

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JPH11258469A
JPH11258469A JP11002100A JP210099A JPH11258469A JP H11258469 A JPH11258469 A JP H11258469A JP 11002100 A JP11002100 A JP 11002100A JP 210099 A JP210099 A JP 210099A JP H11258469 A JPH11258469 A JP H11258469A
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JP
Japan
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optical fiber
thermoplastic resin
resin layer
modulus
young
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Application number
JP11002100A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Suetsugu
義行 末次
Masayoshi Yamano
雅義 山野
Hitoyasu Hongo
仁康 本郷
Kyoichi Takeda
恭一 武田
Ryuichi Hirata
隆一 平田
Kazuyuki Tsukitari
一之 月足
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Daiden Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Daiden Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲がり癖がつき難く、しかも、変形し難く、
絡みにくい光ファイバ心線を提供する。 【解決手段】 光ファイバ1の外周に設けられた熱可塑
性樹脂層2は、表面から内側に向かってヤング率が連続
的に低下するように形成されている。表面のヤング率が
大きいことによって、変形し難く、光ファイバ心線が輻
輳しても絡まり難い。また、内側に向けてヤング率が低
下していることによって、曲がり癖がつき難い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ心線お
よび光ファイバコードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバの外周に樹脂被覆を施した光
ファイバ心線や、光ファイバの外周に長さ方向に抗張力
繊維を配置し、その上に樹脂被覆を施した光ファイバコ
ードが用いられている。
【0003】米国特許第5,627,932号明細書に
は、外径1.5mm以下の細径の光ファイバコードの構
造についての記載があり、また、「OECC’96」の
論文番号17P−34には、外径1mm程度の細径の光
ファイバコードの構造が記載されている。
【0004】これら先行技術における光ファイバ心線や
光ファイバコードの被覆層には、柔らかく曲がり癖がつ
き難い材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)が通常用
いられている。ここで使用されているポリ塩化ビニル
は、可塑剤等を含む軟質のものであり、そのヤング率
は、数〜20kgf/mm2 である。
【0005】しかし、柔らかいポリ塩化ビニルを被覆層
とした光ファイバ心線や光ファイバコードは変形し易い
ため、光ファイバ心線や光ファイバコード同士が輻輳す
る場所では、強く絡まり合う現象が発生しやすい。した
がって、光ケーブル端末や接続架で配線作業中に、しば
しば、光ファイバ心線や光ファイバコード同士が絡まり
合う現象が発生する。それによって、作業時間を大幅に
増大させることになり、また、絡まり合った光ファイバ
心線や光ファイバコードをほぐしきらない状態で引っ張
ると、最悪の場合は、破断に至ることもあった。
【0006】これに対して、光ファイバ心線や光ファイ
バコードの外被に、ナイロン等のヤング率が80kgf
/mm2 以上の材料を用いると、絡まり難くはなるが、
曲がり癖が強くつくようになり、ケーブル端末や接続器
での配線に耐えられないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、変形し難く、絡みにく、さ
らには、曲がり癖がつき難い光ファイバ心線および光フ
ァイバコードを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、光ファイバとその外周に設けられた熱可塑性樹脂層
を有する光ファイバ心線であって、前記熱可塑性樹脂層
は表面から内側に向かってヤング率が連続的に低下して
いることを特徴とするものである。
【0009】請求項2に記載の発明は、光ファイバとそ
の外周に設けられた熱可塑性樹脂層を有する光ファイバ
心線であって、前記熱可塑性樹脂は外周からのエネルギ
ー線の照射により硬化された成分を含むことを特徴とす
るものである。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の光ファイバ心線において、前記エネルギー線により硬
化された成分は重合開始剤とエネルギー線重合性の反応
成分を含む樹脂を、外周からのエネルギー線により内層
ほど重合度が低くなるように重合されたものであること
を特徴とするものである。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の光ファイバ心線において、前記熱可塑性樹脂層がポリ
塩化ビニルと前記エネルギー線の照射によって硬化され
た成分が光重合開始剤により重合された重合性モノマー
を含んでなることを特徴とするものである。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載
の光ファイバ心線において、前記熱可塑性樹脂層がポリ
オレフィンと前記エネルギー線の照射によって硬化され
た成分が光重合開始剤により重合された重合性モノマー
を含んでなることを特徴とするものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の光ファイバ心線において、前記熱可塑性樹脂層がアク
リルエラストマーを含んでなることを特徴とするもので
ある。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の光ファイバ心線において、前
記熱可塑性樹脂層の最外部のヤング率が80kgf/m
2以上であることを特徴とするものである。
【0015】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の光ファイバ心線において、前記熱可塑性樹脂層の最内
部のヤング率が20kgf/mm2 以下であることを特
徴とするものである。
【0016】請求項9に記載の発明は、光ファイバと、
その外周に長さ方向に配置された抗張力繊維と、該抗張
力繊維の外周に設けられた熱可塑性樹脂層からなる光フ
ァイバコードであって、前記熱可塑性樹脂層は表面から
内側に向かってヤング率が連続的に低下していることを
特徴とするものである。
【0017】請求項10に記載の発明は、光ファイバ
と、その外周に長さ方向に配置された抗張力繊維と、該
抗張力繊維の外周に設けられた熱可塑性樹脂層からなる
光ファイバコードであって、前記熱可塑性樹脂は外周か
らのエネルギー線の照射により硬化された成分を含むこ
とを特徴とするものである。
【0018】請求項11に記載の発明は、請求項10に
記載の光ファイバコードにおいて、前記エネルギー線に
より硬化された成分は重合開始剤とエネルギー線重合性
の反応成分を含む樹脂を、外周からのエネルギー線によ
り内層ほど重合度が低くなるように重合されたものであ
ることを特徴とするものである。
【0019】請求項12に記載の発明は、請求項10に
記載の光ファイバコードにおいて、前記熱可塑性樹脂層
がポリ塩化ビニルと前記エネルギー線の照射によって硬
化された成分が光重合開始剤により重合された重合性モ
ノマーを含んでなることを特徴とするものである。
【0020】請求項13に記載の発明は、請求項10に
記載の光ファイバコードにおいて、前記熱可塑性樹脂層
がポリオレフィンと前記エネルギー線の照射によって硬
化された成分が光重合開始剤により重合された重合性モ
ノマーを含んでなることを特徴とするものである。
【0021】請求項14に記載の発明は、請求項13に
記載の光ファイバコードにおいて、前記熱可塑性樹脂層
がアクリルエラストマーを含んでなることを特徴とする
ものである。
【0022】請求項15に記載の発明は、請求項9ない
し14のいずれか1項に記載の光ファイバコードにおい
て、前記熱可塑性樹脂層の最外部のヤング率が80kg
f/mm2 以上であることを特徴とするものである。
【0023】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の光ファイバコードにおいて、前記熱可塑性樹脂層
の最内部のヤング率が20kgf/mm2 以下であるこ
とを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の光ファイバ心線
の実施の形態の一例の断面図である。図中、1は光ファ
イバ、2は熱可塑性樹脂層である。光ファイバ1の外周
に設けられた熱可塑性樹脂層2は、表面から内側に向か
ってヤング率が連続的に低下するように形成されてい
る。表面のヤング率が大きいことによって、変形し難
く、光ファイバ心線が輻輳しても絡まり難い。また、内
側に向けてヤング率が低下していることによって、曲が
り癖がつき難い。熱可塑性樹脂層2のヤング率は、最外
部が80kgf/mm2 以上、最内部が20kgf/m
2 以下であるのがよい。
【0025】図1の具体例では、光ファイバ1には、石
英ガラス外径0.125mmに紫外線硬化型樹脂で外径
が0.25mmに保護被覆を施したものを用い、熱可塑
性樹脂層2を外径0.9mmに被覆した。熱可塑性樹脂
層2は、表面から内側に向かってヤング率が連続的に低
下している。
【0026】熱可塑性樹脂層2のヤング率を表面から内
側に向けて低下させるように形成する方法として、外周
からのエネルギー線の照射により熱可塑性樹脂層の表面
から内側に向けて重合度を変化させる方法を採用するこ
とができる。
【0027】一例では、光ファイバの外周に、ポリ塩化
ビニル材料中に紫外線によって重合して硬化する成分を
付与した樹脂層によって被覆を予備形成した後、外周か
ら紫外線を照射して、硬化成分を硬化させる。紫外線の
照射量は、表面側が大きく、内部への透過量は徐々に減
少するから、表面側が重合度が高く、内層へ向けて重合
度が低くなる。重合度が高いほどヤング率は大きいか
ら、樹脂層のヤング率は、表面から内側に向けて低下し
たものとなる。
【0028】例えば、軟質のポリ塩化ビニル材料に、紫
外線硬化成分として紫外線照射によって硬化する成分を
重量比で10部加えた紫外線硬化型ポリ塩化ビニル材料
について紫外線を照射した結果、紫外線照射前のヤング
率は、6〜10kgf/mm 2 であり、紫外線照射後の
ヤング率は70〜90kgf/mm2 となった。なお、
この材料の場合、紫外線の照射により硬化する成分を5
〜50部加えることによって、紫外線照射後のヤング率
を、10〜250kgf/mm2 にすることができる。
【0029】なお、エネルギー線の照射により熱可塑性
樹脂層を重合させるなどにより硬化させる方法を用いる
場合に、熱可塑性樹脂層の厚みが薄いと、表面から内側
に向けての硬化度の変化は僅かであり、実質的には、変
化はないと見れる場合もある。このような場合でも、熱
可塑性樹脂層2のヤング率を、最外部が80kgf/m
2 以上とすることにより、変形し難く、光ファイバ心
線が輻輳しても絡まり難い。また、熱可塑性樹脂層2が
薄いことによって、曲がり癖がつき難い。
【0030】上述したポリ塩化ビニル材料を用いた場合
の実施例について説明する。 ポリ塩化ビニル用のベースレジンとしては、平均重合
度が1300と800の2種類のものを用いた。軟質ポ
リ塩化ビニル用のベースレジンとしては、平均重合度が
300程度から4000を超えるものまで一般に使用さ
れているが、モノマー等の低分子量の添加物を添加する
ため100m/分を超えるような高い製造速度では、押
出し中の樹脂混合物の分離が生じ易い。発明者らの検討
の結果、これに対応するには、平均重合度が2000以
下のベースレジンを用いると、押出し時の流動が安定し
外径変化やコブなどの問題が出ないことが判明した。ま
た、平均重合度が500以下となると押出し後、紫外線
照射による架橋工程に至るまでのガイローラ等への接触
によって著しい変形を受けることが分かった。このた
め、実用的なベースレジンの平均重合度は500から2
000程度が望ましい。 重合性のモノマーとしては、市販の光重合に利用可能
なモノマーを適宜利用できる。具体例では、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシア
ヌレートを用いた。本発明の用途には、これらのような
3官能以上のモノマーが望ましい。 光重合開始剤としては、短波長の紫外線を照射する
と、基材樹脂の酸化が生じ着色が起こることがあるた
め、例えば、以下のいずれかの配合、製法を選択するの
がよい。 選択例1:紫外線の中でも長波長側の365〜440n
mの波長の紫外線を有効に利用できる光重合開始剤を用
いて重合を行なう。紫外線照射装置のランプには、長波
長紫外線の強度の大きいハイパワーメタルハライドラン
プを使用し、さらに望ましくは300nm以下の紫外線
をカットするフィルターを被せるのがよい。 選択例2:光重合開始剤として長波長側の365〜44
0nmの波長の紫外線を有効に利用できる光重合開始剤
を用いるとともに、基材樹脂の紫外線吸収を防ぐために
紫外線を吸収する作用を持つの200〜350nmに強
い吸収を持つ光重合開始剤を合せて用いる。 選択例3:選択例2の光重合開始剤を用いて、選択例1
の紫外線照射装置を用いる。 可塑剤としては、軟質ポリ塩化ビニルに適用できるも
のから任意に選択できる。具体例では、TOTM(トリ
メット酸トリス(2−エチルヘキシル))を用いた。 滑剤としては、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワ
ックス等の公知のものから選択して使用できる。 加工助剤としては、アクリル酸系など適宜選択して、
必要により添加する。 充填材としては、重炭酸カルシウムを用いたが、適宜
の充填剤を選択して用いることができる。 安定剤としては、市販のものなどから任意に選択でき
るが、本発明の用途では、光ファイバ心線や光ファイバ
コードにおける押し出し成形時に、150℃を超える温
度に曝される。この温度で重合性モノマーが反応してし
まうと、その後の紫外線照射による重合の効果を発揮す
ることができなくなる。この反応を抑えるために、熱で
発生するフリーラジカルを除去する必要があり、ラジカ
ル失活剤を用いるとよい。ラジカル失活剤としては、チ
オエーテル系、フェノール系のいずれか、または、それ
らを組み合わせたものを添加する。この際、他のラジカ
ル失活剤を組合せてもよい。ラジカル失活剤の具体例で
は、3,9−ビス[2−〔3−(ターシャリブチル−4
−ハイドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニル
オキシ〕−1,1一ジメチルエチル]−2,4,8,1
0−テトラオクアスピロ〔5,5〕ウンデカン、ペンタ
エリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオ
ネート)、ポリ[{(6−(1,1,3,3,−テトラ
メチルブチル)イミノ−1,2,5,−トリアジン−
2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−
ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などが
ある。 紫外線吸収剤としては、製品使用中の残留光重合開始
剤と残留モノマーの周囲の弱い紫外線による重合で生じ
る物性変化や着色を避けるため、紫外線吸収剤を添加す
るとよい。紫外線吸収材の一例としては、2(2’ヒド
ロキシ3’,5’ジターシャリブチル・フェニル)5ク
ロロベンゾトリアゾールを用いた。
【0031】次に、ポリオレフィンを用いた場合の実施
例について説明する。 ポリオレフィンレジンとしては、ポリプロピレン(P
P)、高分子量ポリエチレン(HDPE)などをベース
に、アクリルエラストマーの一種であるエチレン−アク
リル酸エチル共重合体(EEA)を混合したものをポリ
オレフィンレジンとして使用した。EEAを添加するこ
とにより、モノマーなど極性の高い配合物が、本来溶解
しにくいポリオレフィンから表面にブリードしてくるの
を防ぎ、コンパウンドを安定化する効果と、ケーブル化
後に表面にべたつきが生じるのを防ぐ効果が得られる。
また、ケーブルの表面へのマーキングの接着性が良いと
いう利点が有る。このような効果を得るためには、EE
Aの配合量としてベースに対し最小3重量部程度あれば
よく、10重量部の添加により十分な効果が得られる。 モノマーとしては、市販の光重合に利用可能なモノマ
ーを適宜利用できる。具体例ではトリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートを
使用した。本発明の用途には、これらのような3官能以
上のモノマーが望ましい。 光重合開始剤については、ポリ塩化ビニル材料のの
項で説明したものと同様である。 滑剤については、ポリ塩化ビニル材料のの項で説明
したものと同様である。 造核剤としては、押出し成形したポリオレフィンが溶
融状態から固化していく過程でポリオレフィンの結晶を
微細化し、散乱や複屈折を抑制して紫外線の透過度を高
める効果がある。ヒドロキシージ(t−ブチル安息香
酸)アルミニウムなどの金属塩型、ソルビトールなどが
利用できる。具体例では、金属塩型を用いた。充填剤
は用いなくてよい。 安定剤については、ポリ塩化ビニル材料のの項で説
明したものと同様である。 紫外線吸収剤については、ポリ塩化ビニル材料のの
項で説明したものと同様である。
【0032】図2は、本発明の光ファイバコードの実施
の形態の一例の断面図である。図中、図1と同様の部分
には同じ符号を付して説明を省略する。3は抗張力繊維
である。この実施の形態では、光ファイバ1の外周に抗
張カ繊維3を長さ方向に配し、その外周に熱可塑性樹脂
層2を設けたものである。熱可塑性樹脂層2は、図1で
説明した光ファイバ心線の実施の形態における熱可塑性
樹脂層2を同様であり、説明を省略する。抗張力繊維3
としては、具体的には芳香族ポリアミド系の合成繊維
(アラミド繊維)、例えばケブラー(登録商標)や、ポ
リパラフェニリン・ベンゾビス・オキサゾール(PB
O)などを用いることができる。
【0033】図2の具体例では、光ファイバ1には、石
英ガラス外径0.125mmにナイロンの保護被覆を外
径0.9mmとなるように形成したものを用い、その周
囲に、アラミド繊維を外径1.3mmとなるように配
し、熱可塑性樹脂層2を外径1.7mmに被覆した。熱
可塑性樹脂層2は、表面から内側に向かってヤング率が
連続的に低下しているものであることは、図1で説明し
た光ファイバ心線の実施の形態と同様であり、熱可塑性
樹脂層2のヤング率を表面から内側に向けて低下させる
ように形成する方法は、その一例として説明したポリ塩
化ビニル材料中に紫外線によって重合して硬化する成分
を付与した樹脂層、さらに、その具体例についても、こ
の実施の形態において、同様に適用することができる。
【0034】上述した説明では、エネルギー線の照射に
よって硬化する成分として、紫外線の照射によって硬化
する成分を挙げたが、本発明は、これに限られるもので
はない。赤外線の照射によって硬化する成分、あるい
は、レーザの照射によって硬化する成分、あるいは、電
子線の照射によって硬化する成分などを用いることがで
きる。
【0035】また、紫外線,赤外線やレーザ光の照射に
よって硬化する成分を用いる場合には、熱可塑性樹脂層
に着色成分を混合させてもよい。着色成分を含ませるこ
とによって、紫外線,赤外線はレーザ光の透過率を調整
でき、熱可塑性樹脂層の径方向のヤング率の変化の度合
いを調整することができる。
【0036】これらエネルギー線を照射して樹脂層を硬
化させる場合の照射の時期は、押し出し時、または、押
し出し後に、あるいは、押し出し時および押し出し後の
両方の時点など、適当な時点を選択できる。したがっ
て、エネルギー線の照射は、押し出しラインとは別ライ
ンとすることもできる。
【0037】実施例について説明する。この実施例で
は、紫外線によって重合して硬化する成分は、光重合開
始剤と重合性の反応成分、例えば、重合性のモノマーを
含む樹脂を用いた。紫外線硬化成分を配合した樹脂とし
て、軟質塩化ビニル樹脂用のベースレジンを100部、
可塑剤を10〜40部、重合性モノマーを5〜50部、
光重合開始剤を重合性モノマーの0.5〜5.0重量%
の割合で混合したものである。
【0038】ポリ塩化ビニル材料を用いた具体的な実施
例1〜5および比較例1〜3を図5に示す。これらの実
施例では、ベースレジンは平均重合度が1300のもの
を用いて、その100重量部に対する各成分をそれぞれ
の重量部で示す。なお、光重合開始剤1は吸収領域が2
20〜440nmのものであり、光重合開始剤2は吸収
領域が260〜440nmのものである。
【0039】実施例1〜5および比較例1〜3の成分で
の物性を測定するために作成した試験片の作成方法につ
いて説明する。図5に示す各成分をそれぞれの重量部で
添加してポリ塩化ビニルを配合した。この際、反応性の
官能基を少なくとも1個以上有するモノマー又はオリゴ
マー(プレポリマー)と軟質ポリ塩化ビニルに使用され
る公知の可塑剤と安定剤およびラジカル失活剤、光重合
開始剤、滑剤、加工助剤を粉体のものだけ先にヘンシェ
ルミキサーに投入し、撹拌しながら液状のものを投入し
た。温度は80℃を保つようにし、全体がドライアップ
したら撹拌を終了した。次に、この混合物を蒸気圧6k
gf/cm2 の6インチロールによりシート化し、蒸気
圧8kgf/cm2 のプレス(余熱3分/加圧3分)に
より350μmのシートを作成した。その後シート作成
用の紫外線照射設備により架橋硬化させる。この紫外線
照射設備としては、ランプとして1.5KWメタルハラ
イドランプの発光部の長さ125mm、発光パワー12
0W/cmのものを使用し、2650mJ/cm2 の紫
外線を照射した。
【0040】図5における評価のための測定結果につい
て説明する。物性については、JIS K6723、お
よび、JIS K7113に準じて測定した。紫外線照
射前における常温物性(図5では「紫外線照射前」と表
示)と紫外線照射後における常温物性(図5では「紫外
線照射後」と表示)について、ヤング率と破断伸びを測
定した。ヤング率(kgf/mm2 )は、2.5%伸び
時の抗張力から測定した。さらに、紫外線照射後のもの
についての熱老化試験(図5では「老化試験」と表示)
を行なった。85℃で14日間行ない、ヤング率と破断
伸びを残率(%)で示した。弱い紫外線を照射した場合
の着色性(図5では「着色性」と表示)は、紫外線を1
200mj照射後の着色性について10段階評価をした
ものである。熱変色試験は、180℃で180分の加熱
後の変色性を10段階評価したものである。また、強い
紫外線を照射して着色性を調べた(図5では「照射試
験」と表示)。294.3wh/m2 の強度の照射を行
なって、照射後の変色性を10段階評価した。
【0041】紫外線照射して配合したモノマーを重合し
たシートの弾性率は、3〜400倍に増大しており、実
施例の組成物での物性変化が得られることが確認でき
た。これに対応して、試験片の紫外線を照射した側と裏
側の表面の硬さが大きく変化していることが確認でき
た。このように本実施例の配合物を利用することで成形
性に優れた軟らかい状態で被覆を行ない、成形後の紫外
線照射により高い弾性率を備えた樹脂材料を準備するこ
とができた。
【0042】一方、比較例1〜3は、各種安定剤の添加
の効果を実施例と比較するものある。ポリ塩化ビニルは
着色性が問題となるので、着色性を比較した結果を図5
中の下3列に示した。外被の着色性を評価する試験であ
り、弱い紫外線を照射した下から3行目の「着色性」で
は、製造中の着色に対応し安定剤が無い比較例の場合で
も実施例と同様に軽微であった。一方、ケーブルの使用
期問に関しては熱による酸化のための着色、紫外線によ
る着色にそれぞれ対応する下から2行目の加速加熱試験
である「熱変色試験」、下から1行目のサンシャインウ
ェザー試験である照射試験の結果は、安定剤、紫外線吸
収剤の必要性をそれぞれ示し、比較例では、実施例に比
べて着色性が劣り、熱的な着色を防ぐためにはチオエー
テル系、フェノール系に加えてヒンダードアミン系安定
剤を添加することが有効であることが分かる。
【0043】ポリオレフィンを用いた具体的な実施例に
ついては、ポリプロピレン(PP)をベースにした実施
例6〜9と、高分子量ポリエチレン(HDPE)をベー
スにした実施例10,11の各成分を図6に示す。ポリ
オレフィン系の実施例では、可塑剤を配合しておらず、
ヤング率はポリ塩化ビニルより格段に大きい。このため
耐側圧性に優れ、特に外力の加わる可能性の高い用途に
有用である。
【0044】試験片のシートの作成については、ポリ塩
化ビニルの場合の説明と同様である。試験結果について
は、「照射前」「照射後」の表示、および、ヤング率と
伸びは図5と同じである。収縮率(%)は、100℃で
1時間加熱後の収縮率を示している。
【0045】紫外線の照射によるヤング率の増加率は、
ポリオレフィンでは、元々の弾性率が高いため、ポリ塩
化ビニル系と比べて小さく10〜30%程度である。し
かしながら、表面の滑り性は改善しており、これはプレ
ス成形後、試験片の表面にわずかにブリードしてきた重
合性樹脂が表面近傍で高硬度の層を形成したためと思わ
れる。一方、実施例6〜11と同じ配合の樹脂をそれぞ
れプレス成形して、紫外線照射を行わなかった比較用の
試験片を100度の恒温槽に1時間放置した場合の面上
での長さ収縮率が1〜3%であったのに対し、実施例6
〜11は、検出感度の0.1%以下とまったく収縮しな
かった。これはケーブルとして本実施例の材料を用いた
場合、周囲の温度変動等によるケーブルの収縮が生じず
長期にわたり安定した特性を維持できることを示す。
【0046】図5,図6で説明した成分を用いて、光フ
ァイバ心線や光ファイバコードの被覆を行なう際のコン
パウンドの調整法や押出し後の紫外線照射装置の一例に
ついて説明する。以下の説明では、ポリ塩化ビニル材料
を用いた場合の説明であるが、材料の成分を除いては、
ポリオレフィンを用いる場合も同様でよい。
【0047】ポリ塩化ビニル材料では、実施例1〜5で
示した成分の被覆用のコンパウンドの調整は、500リ
ッターのヒーターミキサーにより全体量約250kgに
なるように、ポリ塩化ビニル用のベースレジン100重
量部に対し、反応性の官能基を少なくとも1個以上有す
るモノマーまたはオリゴマーと、軟質ポリ塩化ビニルに
使用される公知の可塑剤と安定剤およびラジカル失活
剤、光重合開始剤、滑剤、加工助剤を投入しドライアッ
ブする。その後コンパウンド製造設備の二軸押出機によ
りコンパウンドを製造する。紫外線照射を行なう硬化設
備は、ラインと別でもよい。ランプとして、3.0KW
メタルハライドランプを使用し、発光長250mmで照
射パワー120W/cmのものを用いた。表面から内側
へのヤング率の勾配は、照射光量により変えることがで
き、この照射光量は線材の通過速度、すなわち製造速度
とランプの台数により任意に調整できる。この調整によ
り光ファイバ心線または光ファイバコードの全体として
の曲がりやすさと、表面の硬さを調整することができ
る。
【0048】この樹脂を光ファイバ心線や光ファイバコ
ードの熱可塑性樹脂層として被覆するための押出機は、
細物ケーブルを押し出す従来の一般的な押出機を用いる
こともできる。したがって、製造設備としては、この押
出機に、紫外線を照射する装置を付与するだけでよい。
ここでは、押出スクリュー径が30mmの押出機を使用
し、メタルハライドランプによる紫外線照射設備を、押
出機の第1水槽の後に取り付けて、成形した紫外線硬化
型ポリ塩化ビニルによる被覆に紫外線を照射した。メタ
ルハライドランプの特徴は、通常使用される高圧水銀ラ
ンプに比べ、200〜450nmのスペクトルが連続
し、発光効率が高い上に長波長域の効率も高く、硬化さ
せる樹脂に対して、内部に入り込み易い特徴がある。
【0049】製造条件は、上述のポリ塩化ビニルの被覆
の場合は、押出機の設定温度を、150〜170℃とし
て、線速15m/分で押し出した。なお、上述のポリプ
ロピレンを用いた場合は、押出機の設定温度は190〜
230℃とした。光ファイバの供給張力は100gと
し、光ファイバコードの場合には、抗張力繊維として用
いたケブラー(登録商標)の供給張力も100gとし
た。巻取張カは、150gとした。紫外線照射のための
メタルハライドランプを、押出機の第1水槽の後に、被
覆の上下方向から照射するよう計2個設置した。積算光
量は、被覆とランプとの離隔距離を10cmで、154
0mJ/cm2 であった。なお、熱可塑性樹脂層の硬化
の度合いは、ランプの出力、離隔距離、または、押出線
速などの製造条件を変えることによっても制御すること
ができる。
【0050】図1および図2の具体例の寸法のものを上
述した装置と条件で試作した結果のヤング率の分布は、
図1の被覆厚が0.325mmのものは、図3に示すよ
うに、被覆層の最外部がほぼ90kgf/mm2 、最内
部がほぼ15kgf/mm2であった。また、図2の被
覆厚が0.2mmのものは図4に示すように、被覆層の
最外部がほぼ90kgf/mm2 、最内部がほぼ20k
gf/mm2 であった。被覆層の断面方向のヤング率の
分布は、表面から内側に向かって連続的に低下してい
る。
【0051】なお、ヤング率は、JIS K7202
(プラスチックのロックウエル硬さ試験方法)にしたが
い、先端が直径5μmの圧子を用いて、変位量と荷重か
ら求めた値である。
【0052】この結果からも分かるように、径方向にヤ
ング率が変化しているのは、紫外線の被覆への透過率
が、被覆の深さ方向に減衰するからであり、したがっ
て、被覆の表面側はヤング率が高く、内側はヤング率が
低くなっている。
【0053】この紫外線の透過率は、被覆の最外層に、
光を吸収する度合いが異なる着色材を塗布する方法や、
フィラーをプラスチック材料中に加える方法によって
も、調整が可能であることから、照射エネルギー(照射
装置出力や離隔距離)、線速などの製造条件以外の樹脂
の配合のみでも、被覆の深さ方向の硬化度合が調整でき
ることが分かる。
【0054】試作した光ファイバ心線および光ファイバ
コードと従来品を比較した結果を説明する前に、光ファ
イバ心線,光ファイバコードについて、腰の強さについ
て説明をしておく。腰の強さは、架台に配線された光フ
ァイバ心線や光ファイバコードの絡まり難くさに関係す
る要因と考えることができる。腰の強さを示すEI積と
絡まり難さとの関係を実験した。
【0055】実験には、図7に示すように、模擬のFT
M架台を用いた。このFTM架台4の寸法は、長さ73
0mm、幅95mm、高さ121mmとして、材質は、
実際のFTM架台と同様に、鉄板に塗装をしたものであ
る。この模擬のFTM架台に長さ2mに切断した光ファ
イバコード5を400本乗せて、一番下にある1本の光
ファイバコード5aを500mm引き抜くときの荷重を
測定した。サンプルとした光ファイバコードは、図8に
示す5種類であり、外被の種類と肉厚を変えて、EI積
が0.4〜3.6kg・mm2 のものを作成した。
【0056】図9に測定結果を示す。ヤング率が小さ
い、すなわち、曲げ剛性が小さくなると、引き抜き力は
大きくなっているが、この原因は、曲げ剛性が小さくな
ると光ファイバコード同士が絡まるためである。特に、
EI積が1.0kg・mm2 以下のときは、光ファイバ
コードの1本を引っ張ると、400本全体が移動してし
まった。この実験から、絡まり難さは EI積に関係
し、ヤング率が大きいほど絡まりにくいということが分
かる。
【0057】また、これらの測定結果と、図3,図4を
参照すると、熱可塑性樹脂層の最外部のヤング率が80
kgf/mm2 以上であるのが、実用上の絡まり難さ
を、実現できることが分かった。したがって、実用上の
絡まり難さ実現するためには、熱可塑性樹脂層の最外部
のヤング率が80kgf/mm2 以上であるのがよい。
また、最内部のヤング率が20kgf/mm2 以下であ
ることにより、曲がり癖がつきにくいことが分かった。
したがって、曲がり癖をつきにくくするためには、熱可
塑性樹脂層の最内部のヤング率が20kgf/mm2
下であるのがよい。
【0058】さらに、本用途の光ファイバコードについ
ては、長期間の敷設の後、配線の接続変更のため光ファ
イバコードに巻き癖が残る場合がある。この場合に、光
ファイバコードに残る巻き癖が強いと、引き換えた敷設
ルートで光ファイバコードが螺旋状に広がって広い空間
を占有し、空間効率が悪くなる他、相互に絡まりやすく
なる問題がある。
【0059】ここで検討に用いた光ファイバコードは、
外径125μmの光ファイバ心線を195デニールのポ
リアミド繊維ケブラー2本とともに、内径0.7mm、
外径1.0mmの外被に収容したものである。ここで比
較例として外被材料をポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリ
ブタジエンテレフタレート、ポリプロピレンとした光フ
ァイバコードを製造し、一方、実施例として本発明の紫
外線架橋処方を施したポリ塩化ビニル、ポリプロピレン
を外被材料に用いた光ファイバコードを製造した。この
際、紫外線架橋処方材料を用いた光ファイバコードの製
造では、1700〜2000mJ/cm2 の紫外線を照
射し、外被の最内層まで架橋を進めた。
【0060】ここで、発明者らは、ポリ塩化ビニルやポ
リオレフィンの応力緩和速度が加熱することにより非常
に早くなることから、一般に光ファイバコードを60度
に加熱すると、数ヶ月以上の長期間放置した場合と同様
の癖が15分程度の加熱時問で残ることを見出し、収容
される際の巻き径である最小半径30mmに巻いて固定
した光ファイバコードを、60度で15分間加熱した
後、巻き付けの押えを開放して、摩擦が小さいタルク粉
の上に置いて、室温にて24時間放置して光ファイバコ
ードの曲率半径として巻き癖の回復状態を評価した。こ
の結果を図10の縦軸に示す。この光ファイバコードの
開放曲率半径が大きいほど曲げ癖の残留は小さく、前述
の問題が少ないといえる。また、開放されたときの曲率
半径が巻き径の2倍まで回復するようであれば、巻き癖
の残留の問題はないことがわかっている。図10の横軸
は、前述のEI積で評価されるコードの曲げ剛性であ
る。
【0061】コード曲げ剛性と開放曲率半径の関係は、
従来の光ファイバコードの材料については、×印で示す
ポリ塩化ビニル、ポリアミド(2種類のナイロン)
,、ポリブタジエンテレフタレート、および、ポ
リプロピレンの結果から分かるとおり、曲げ剛性の小
さいものほど開放曲率半径が大きくなる。〜を曲線
で結んで図示した。これは曲げ剛性の大きな材料からな
る光ファイバコードは、小さな径に曲げる際に大きな力
が必要であるが、一旦曲げられ、その形で応力緩和して
しまうと非常に強い巻き癖が残ってしまうことを示す。
柔軟な軟質ポリ塩化ビニルを材料とする光ファイバコー
ドは、ポリ塩化ビニルのゴム弾性が大きく、巻き癖の回
復特性には優れている。
【0062】しかしながら、前述のとおり光ファイバコ
ードの引抜き特性を考えると、光ファイバコードの曲げ
剛性は、2kgmm2 以上必要であり、従来のコード材
料では、引抜き特性を満足しつつ、巻き癖の良好なコー
ドを製造することが難しかった。
【0063】本発明によると、熱可塑性樹脂にエネルギ
ー線硬化成分を配合し、熱可塑性樹脂被覆を成形後に、
硬化成分を架橋させて網目を作るため、曲げ剛性の増加
を招くことなく、応力緩和しにくい巻き癖のつきにくい
構造を与えることができる。すなわち、図10に示すと
おり紫外線照射による架橋をしない従来のポリ塩化ビニ
ル、ポリブロピレンなどの材料を用いた場合に対
し、○印で示す紫外線照射により架橋をした2種類のポ
リプロピレン,、および、ポリ塩化ビニルでは、
コード曲げ剛性が、引抜き特性上必要な2kgmm2
上を備えながら、解放曲率半径が60mmを超える非常
に癖のつきにくい光ファイバコードを得ることができ
た。
【0064】上記本発明に基づいて試作した光ファイバ
心線と光ファイバコードについて、配線実証試験をして
従来品と比較した。従来品は、試作したものと同じ寸法
であり、熱可塑性樹脂層としてナイロンを用いたもので
ある。もちろん、試作品のような硬化は行なっていな
い。比較結果を図11に示す。EI積については、試作
品が向上しており、配線実証試験でも良好な引き抜き性
を示した。なお、配線実証試験は、2000心の収容容
量のFTM架台にフル実装して再配線の作業性を調べた
結果である。従来品では、絡みによるかたまりが発生し
て、2000心を実装すると、下方に収容された光ファ
イバ心線または光ファイバコードは、再配線が困難であ
るという状況であった。曲がり癖についても、試作品は
良好であった。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1,9に記載の発明によれば、光ファイバ心線または光
ファイバコードにおいて、熱可塑性樹脂層の表面のヤン
グ率が表面から内側に向かって連続的に低下しているこ
とにより、従来から要求されていた曲がり癖が付き難い
構造のまま、絡まり難くすることが初めて可能となっ
た。
【0066】また、請求項2〜6および請求項10〜1
4に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂層が外周からの
エネルギー線の照射により硬化された成分を含むことに
よって形成されているため、ヤング率の調整が容易であ
り、また、製造が容易となるという効果がある。
【0067】また、請求項7,15に記載の発明によれ
ば、熱可塑性樹脂層の最外部のヤング率が80kgf/
mm2 以上であることにより、絡まりにく光ファイバ心
線または光ファイバコードを提供でき、さらに、請求項
8,16に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂層の最内
部のヤング率が20kgf/mm2 以下であることによ
り曲がり癖が付き難い光ファイバ心線または光ファイバ
コードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ心線の実施の形態の一例の
断面図である。
【図2】本発明の光ファイバコードの実施の形態の一例
の断面図である。
【図3】図1の光ファイバ心線の具体例における被覆層
のヤング率の分布を示す線図である。
【図4】図2の光ファイバコードの具体例における被覆
層のヤング率の分布を示す線図である。
【図5】ポリ塩化ビニル材料を用いた実施例および比較
例の説明図である。
【図6】ポリオレフィン材料を用いた実施例の説明図で
ある。
【図7】腰の強さを示すEI積と絡まり難さとの関係の
実験に用いた模擬のFTM架台の説明図である。
【図8】図7の実験におけるサンプルとした光ファイバ
コードの諸元を示す図である。
【図9】図7の実験の測定結果を示す線図である。
【図10】従来の光ファイバコードと本発明に係る光フ
ァイバコードの解放曲率半径とコード曲げ剛性との相関
を示す説明図である。
【図11】本発明による試作品と従来品との比較結果を
示す説明図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…熱可塑性樹脂層、3…抗張力繊
維、4…模擬のFTM架台、5…光ファイバコード。
フロントページの続き (72)発明者 本郷 仁康 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 武田 恭一 福岡県久留米市南町660番地 大電株式会 社内 (72)発明者 平田 隆一 福岡県久留米市南町660番地 大電株式会 社内 (72)発明者 月足 一之 福岡県久留米市南町660番地 大電株式会 社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバとその外周に設けられた熱可
    塑性樹脂層を有する光ファイバ心線であって、前記熱可
    塑性樹脂層は表面から内側に向かってヤング率が連続的
    に低下していることを特徴とする光ファイバ心線。
  2. 【請求項2】 光ファイバとその外周に設けられた熱可
    塑性樹脂層を有する光ファイバ心線であって、前記熱可
    塑性樹脂は外周からのエネルギー線の照射により硬化さ
    れた成分を含むことを特徴とする光ファイバ心線。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー線により硬化された成分
    は重合開始剤とエネルギー線重合性の反応成分を含む樹
    脂を、外周からのエネルギー線により内層ほど重合度が
    低くなるように重合されたものであることを特徴とする
    請求項2に記載の光ファイバ心線。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂層がポリ塩化ビニルと
    前記エネルギー線の照射によって硬化された成分が光重
    合開始剤により重合された重合性モノマーを含んでなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ心線。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂層がポリオレフィンと
    前記エネルギー線の照射によって硬化された成分が光重
    合開始剤により重合された重合性モノマーを含んでなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ心線。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂層がアクリルエラスト
    マーを含んでなることを特徴とする請求項5に記載の光
    ファイバ心線。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂層の最外部のヤング率
    が80kgf/mm 2 以上であることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の光ファイバ心線。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂層の最内部のヤング率
    が20kgf/mm 2 以下であることを特徴とする請求
    項7に記載の光ファイバ心線。
  9. 【請求項9】 光ファイバと、その外周に長さ方向に配
    置された抗張力繊維と、該抗張力繊維の外周に設けられ
    た熱可塑性樹脂層からなる光ファイバコードであって、
    前記熱可塑性樹脂層は表面から内側に向かってヤング率
    が連続的に低下していることを特徴とする光ファイバコ
    ード。
  10. 【請求項10】 光ファイバと、その外周に長さ方向に
    配置された抗張力繊維と、該抗張力繊維の外周に設けら
    れた熱可塑性樹脂層からなる光ファイバコードであっ
    て、前記熱可塑性樹脂は外周からのエネルギー線の照射
    により硬化された成分を含むことを特徴とする光ファイ
    バコード。
  11. 【請求項11】 前記エネルギー線により硬化された成
    分は重合開始剤とエネルギー線重合性の反応成分を含む
    樹脂を、外周からのエネルギー線により内層ほど重合度
    が低くなるように重合されたものであることを特徴とす
    る請求項10に記載の光ファイバコード。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性樹脂層がポリ塩化ビニル
    と前記エネルギー線の照射によって硬化された成分が光
    重合開始剤により重合された重合性モノマーを含んでな
    ることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバコー
    ド。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性樹脂層がポリオレフィン
    と前記エネルギー線の照射によって硬化された成分が光
    重合開始剤により重合された重合性モノマーを含んでな
    ることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバコー
    ド。
  14. 【請求項14】 前記熱可塑性樹脂層がアクリルエラス
    トマーを含んでなることを特徴とする請求項13に記載
    の光ファイバコード。
  15. 【請求項15】 前記熱可塑性樹脂層の最外部のヤング
    率が80kgf/mm2 以上であることを特徴とする請
    求項9ないし14のいずれか1項に記載の光ファイバコ
    ード。
  16. 【請求項16】 前記熱可塑性樹脂層の最内部のヤング
    率が20kgf/mm2 以下であることを特徴とする請
    求項15に記載の光ファイバコード。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003035629A (ja) * 2001-07-23 2003-02-07 Fujikura Ltd 光ファイバコードの試験方法
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