JP2008233273A - 光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバ心線と光ファイバ心線の両外側に配置された鋼線とが、ポリアミド系熱可塑性樹脂からなるシース層により一括被覆されている。前記光ファイバ心線は、石英系ガラスファイバの外周に紫外線硬化型樹脂からなる被覆層を設けたものである。前記被覆層は、ウレタンアクリレートオリゴマーを40〜80重量%配合したベース樹脂からなり、ベース樹脂100重量部に対して、2個又は3個のアルコキシ基とチオール基又はアミノ基とを同一分子内に有するシランカップリング剤を0.5〜2重量部含有し、かつ、平均分子量5000〜30000のシリコーン樹脂又はシリコーンアクリレートを1〜30重量部含有する。
【選択図】 図1
Description
一方、光ファイバを用いたハーネスも提案されている。例えば、特許文献1にはプラスチック系光ファイバケーブルが開示されている。このプラスチック系光ファイバケーブルは屈曲性が高く自在に曲げて配線することが可能なので、短距離の通信に適している。
特許文献2には、石英系のガラスファイバが樹脂により被覆された被覆光ファイバを熱可塑性樹脂によりさらに被覆した光ファイバドロップケーブルについて開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、被覆光ファイバ用の紫外線硬化型樹脂組成物が記載されている。
これは、温度履歴を付与させる際に、熱可塑樹脂成型時に残存していた加工歪が解放され、熱収縮が長手方向に発生し、ケーブル内部の樹脂層界面で最も密着力の弱い部分に剥離が発生するために起こると考えられる。
ピストニングが起こると突き出し部分の光ファイバに力が加わり、伝送損失が大きくなるという問題がある。さらには光源側の受光素子を破損させてしまう恐れもある。
1.光ファイバ心線と前記光ファイバ心線の両外側に配置された鋼線とが、ポリアミド系熱可塑性樹脂からなるシース層により一括被覆された光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバ心線は、石英系ガラスファイバの外周に紫外線硬化型樹脂からなる被覆層を設けたものであり、前記被覆層は、ウレタンアクリレートオリゴマーを40〜80重量%配合したベース樹脂からなり、ベース樹脂100重量部に対して、2個又は3個のアルコキシ基とチオール基又はアミノ基とを同一分子内に有するシランカップリング剤を0.5〜2重量部含有し、かつ、平均分子量5000〜30000のシリコーン樹脂又はシリコーンアクリレートを1〜30重量部含有し、
前記被覆層のヤング率が500〜1000Mpaの範囲内であり、
前記光ファイバ心線の外径が0.10〜0.25mmの範囲内であり、
前記シース層の最小厚みが0.1〜0.4mmであり、前記シース層のヤング率が500〜1300Mpaであることを特徴とする光ファイバケーブル。
2.上記1に記載の光ファイバケーブルをその端末でコネクタ付けしたコネクタ付き光ファイバケーブルであって、
前記コネクタが、前記光ファイバ心線の径と実質的に等しい内径の挿通孔をその一端に有し、前記光ファイバケーブル本体を固定する固定部分を他端に有し、かつ前記挿通孔と前記固定部分との間に前記光ファイバ心線を撓ませる空間を有し、
前記光ファイバケーブルの一端のシース層を除去して、石英系ガラスファイバと前記被覆層とを一体化した状態で前記挿通孔に挿通し、前記光ファイバケーブルを前記固定部分で前記コネクタに固定したコネクタ付き光ファイバケーブル。
図1に示すように、光ファイバケーブル10は、中心に光ファイバ心線13を有しており、その両側に抗張力体として鋼線12が配置されている。光ファイバ心線13と鋼線12とはシース層14により一括被覆されており、長手方向に沿って溝15が光ファイバ心線の配列面の上下に各々形成されている。図1に示されている光ファイバケーブル10では、溝15は断面略V字形状をしている。溝15の先端部分(ケーブルの厚さの薄い箇所)を引き裂いて光ファイバ心線を取り出すことができる。光ファイバ心線の直径は約0.10〜0.25mmとすることができる。また、鋼線の直径は0.2〜0.5mmの範囲とすることができる。光ファイバ心線13は、ガラスファイバ30の外周が紫外線硬化型樹脂からなる被覆層31によって被覆されている。本発明では光ファイバ心線の被覆層は1層のみである。
反応希釈モノマーの配合量は、ベース樹脂100重量部に対して18〜55.5重量部の範囲とすることが好ましい。モノマー配合量が55.5重量部を超えた場合、モノマーの希釈効果が強すぎて、樹脂液の粘度が低くなり過ぎて(水あめより粘度が低くなる)、ダイスコーティングできなくなる。
光開始剤の配合量は、ベース樹脂100重量部に対して0.5〜2重量部の範囲とすることが好ましい。光開始剤の配合量が0.5重量部より少ないと硬化不良に陥り、2重量部より多いと未反応の光開始剤が被覆中に大量に存在するようになるため、硬化塗膜の耐久性が低下する。
シランカップリング剤の配合量が0.5重量部より少ない場合、ガラスファイバと被覆層31との間に適当な密着力形成されず、ガラスファイバの突き出しを抑制できない。一方、シランカップリング剤配合量が2重量部より多い場合、シランカップリング剤が、紫外線によるラジカル重合反応過程で連鎖移動剤的な役割を果たし、所望の架橋密度が得られない可能性がある。
また、平均分子量が5000未満の場合、分子サイズが小さいため、ガラスファイバ30と被覆層31との界面にもシリコーン系添加剤が達し、シランカップリング剤とガラスファイバ30表面の脱水重合反応を阻害させてしまい、その結果、ガラスファイバ−被覆層界面の密着力が低下して、ピストニングが発生したり、水の浸入を許してしまうことになる。
一方、分子量が30000以上の場合、ベース樹脂との相溶性が極端に悪くなり、その結果樹脂組成物を製造した段階で白濁等の問題が発生してしまう。
また、シリコーンアクリレートとは、ポリシロキサンの側鎖の一部または末端にアクリレート基を1つ以上導入したものを意味する。シリコーンアクリレートもメチル基、アルコキシ基等の修飾基を有していてもよい。
1重量部より少ない場合には、被覆層31とシース層14との剥離性が低下し、シース層の除去加工性が低下する。また、被覆層31とシース層14との界面における極性が高くなるため、毛細管作用により系外から浸入した水がケーブル内を走り易く、水密性が低下する。一方、30重量部より多い場合には、被覆層31を構成する樹脂の硬化性が低下し、機械特性が低下する。
シース層14のヤング率は、500〜1300Mpaの範囲とすることが好ましく、850〜1200Mpaの範囲とすることがより好ましい。シース層14のヤング率を前記範囲とすることで、ハーネス加工時における衝撃により光ファイバが断芯する等の問題、またハーネス加工性という面でシース材がある程度柔軟でなければならないという問題が各々克服されるという利点が得られる。
本発明の光ファイバケーブルでは抗張力体として鋼線を含むのでシース層のヤング率を500〜1300MPaとするとシース層の厚みは0.1〜0.4mmとすればケーブルとしての機械強度を確保できる。鋼線の直径は0.2〜0.5mmとする。図1に示すように2本を光ファイバ心線からみて対象な位置に配置すると光ファイバ心線にかかる力が均等化されるようになるので好ましい。なお、シース層14の縦方向の厚みは0.5〜0.8mmの範囲とすることが好ましい。
図2はオス型コネクタ20Aを装着したコネクタ付き光ファイバケーブル10Gaと、メス型コネクタ20Bを装着したコネクタ付き光ファイバケーブル10Gbとを嵌合させる前の状態を示す断面図、図3は両コネクタ20A、20Bを嵌合させて両ケーブルを接続した状態を示す断面図である。
なお、オス型コネクタ20Aの位置合せ用凸部24の先端からは、オス型コネクタ20Aに取り付けられている光ファイバケーブル10の光ファイバ心線13の先端がわずかに突出しており、メス型コネクタ20Bの位置合せ用凹部25の内部にはメス型コネクタ20Bに取り付けられている光ファイバ心線13の先端が突出している。
また、挿通孔21と固定部分22との間には、光ファイバ心線13を撓ませる空間23を有するので、光ファイバ心線13の先端は、挿通孔21に沿って軸心を大きくずらすことなく後方へ移動可能な状態となる。従って、オス型コネクタ20Aとメス型コネクタ20Bとを接続した際に空間23において生じる両光ファイバ心線13の撓み部分29が真っ直ぐになろうとして両端面を押し合うので、接続端を固定することなく光学的に確実に接続することができることになる。
図1に示す光ファイバケーブル10と同様の構成の光ファイバケーブルを作製した。ガラスファイバ30としては、石英系ガラスよりなる細径マルチモードファイバ(コア径50μm・クラッド径80μmの)を使用した。被覆層31は、ガラスファイバ30上に下記表1に示す組成の樹脂組成物を塗布して硬化させて形成した。
また、シース層14としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂を使用した。シース層14の最小厚みd0.3をmmとした。
鋼線は、φ0.4(その外周に0.1mm厚で接着剤を塗布したもの)mmのものを使用した。
・ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー:トリレンジジイソシアネート、ポリプロピレングリコール、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体(共重合比は2:1:2)
・N−ビニルピロリドン
・光開始剤:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、商品名:ルシリンTPO
・シリコーンアクリレート
・シランカップリング剤
・酸化防止剤
作製した光ファイバケーブルに対して下記項目について評価を行った。
1)伝送特性
−40〜125℃のヒートサイクル試験を行った後、伝送損失増加量(ヒートサイクル試験前の値からの増加量)を測定した。なお、ヒートサイクル試験は5サイクルとし、各温度での保持時間は2時間以上とした。また、伝送損失測定においては、サンプル長さを50mとし、測定波長を1.3μmとした。
ケーブル外被の除去に使用されるジャケットリムーバ(住電ハイプレシジョン社製ケーブル端末処理工具)を用いて、上記で作製した光ファイバケーブルからシース層を除去して、除去時に、ガラスファイバが破断する等の被覆除去し難い状況が発生した場合を×、これらのような問題が発生しなかった場合を○として評価した。なお、除去長は100mmとした。
温度サイクル機構が備わり、かつ瞬時に昇降温可能な恒温槽内を用いて、-40〜125℃の温度ショック試験を100回実施し、その後の光ファイバ心線の突き出し量を電子顕微鏡で測定した。なお、ヒートショック試験における各温度での保持時間は30分とし、温度転移(例:−40→125℃)は、ほぼ瞬時であった。ガラスファイバまたは光ファイバ心線の突き出し量が30μm未満の場合を○とし、30μm以上の場合を×として評価した。
プラスチックフィルム上に、各被覆層の紫外線硬化型樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布したものを、下記2条件で硬化させた。膜厚は100μmとした。この硬化物に対して、下記の条件でMEK抽出によるゲル分率評価を行い、両者の比率(低硬化度/高硬化度)をとり、0.9以上の値を示すものを十分に硬化しているものと判定した。
硬化条件:
低硬化条件=紫外線照射光量 100mJ/cm2
高硬化条件=紫外線照射光量 1000mJ/cm2
MEK抽出条件:
サンプルをMEK水溶液中に60℃×16時間放置し、抽出前後の重量を計測する。
1mの光ファイバケーブルの一端を水に漬け、水面に4.9×104(Pa)の気圧を24時間かけて、他端に水が伝わるか否かを目視確認し、水が無ければ○、水が有れば×と判定した。
表1に示すように、本発明に係る光ファイバケーブル(実施例1〜6)は、いずれの評価項目においても優れた性能を示すものであった。また、いずれの実施例ともハーネス組み立てや配索時の取り扱い性は良好であった。一方、比較例1はシリコーンアクリレートの平均分子量が小さく被覆層の外表面に存在するシリコーンアクリレートが少ないので、シース除去性および水密性が悪い。比較例2は、シリコーンアクリレートの平均分子量が大きすぎ、被覆層の外表面近くに多く分布し過ぎるため被覆層とシース層との滑りが大きくなりピストニングが悪化する。また、比較例2については、上記評価項目については問題なかったが、白濁して外観が不良であった。比較例3はシリコーンアクリレートの量が少なすぎるのでシース除去性および水密性が悪い。比較例4はシリコーンアクリレートの量が多すぎるので、硬化性が悪い。また、被覆層とシース層との滑りが大きくないピストニングが悪化する。比較例5は、シランカップリング剤の量が少なすぎるので、ガラスファイバと被覆層との滑りが大きくピストニングが悪化する。またガラスファイバと被覆層の密着力が弱くなるのでそこに水が浸入し易いので水密性が悪化する。比較例6は、シランカップリング剤の量が多すぎるので、硬化性が悪い。
13 光ファイバ心線
14 シース層
30 ガラスファイバ
31 被覆層
32 第2被覆層
Claims (2)
- 光ファイバ心線と前記光ファイバ心線の両外側に配置された鋼線とが、ポリアミド系熱可塑性樹脂からなるシース層により一括被覆された光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバ心線は、石英系ガラスファイバの外周に紫外線硬化型樹脂からなる被覆層を設けたものであり、前記被覆層は、ウレタンアクリレートオリゴマーを40〜80重量%配合したベース樹脂からなり、ベース樹脂100重量部に対して、2個又は3個のアルコキシ基とチオール基又はアミノ基とを同一分子内に有するシランカップリング剤を0.5〜2重量部含有し、かつ、平均分子量5000〜30000のシリコーン樹脂又はシリコーンアクリレートを1〜30重量部含有し、
前記被覆層のヤング率が500〜1000Mpaの範囲内であり、
前記光ファイバ心線の外径が0.10〜0.25mmの範囲内であり、
前記シース層の最小厚みが0.1〜0.4mmであり、前記シース層のヤング率が500〜1300Mpaであることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1に記載の光ファイバケーブルをその端末でコネクタ付けしたコネクタ付き光ファイバケーブルであって、
前記コネクタが、前記光ファイバ心線の径と実質的に等しい内径の挿通孔をその一端に有し、前記光ファイバケーブル本体を固定する固定部分を他端に有し、かつ前記挿通孔と前記固定部分との間に前記光ファイバ心線を撓ませる空間を有し、
前記光ファイバケーブルの一端のシース層を除去して、石英系ガラスファイバと前記被覆層とを一体化した状態で前記挿通孔に挿通し、前記光ファイバケーブルを前記固定部分で前記コネクタに固定したコネクタ付き光ファイバケーブル。
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