JPH11257858A - 遠心薄膜乾燥機 - Google Patents

遠心薄膜乾燥機

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JPH11257858A
JPH11257858A JP10058493A JP5849398A JPH11257858A JP H11257858 A JPH11257858 A JP H11257858A JP 10058493 A JP10058493 A JP 10058493A JP 5849398 A JP5849398 A JP 5849398A JP H11257858 A JPH11257858 A JP H11257858A
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手 勝 記 井
Masaru Yamamoto
本 優 山
Keijiro Yasumura
村 恵二朗 安
Akira Morikawa
川 彰 森
Kyozo Kawachi
内 恭 三 河
Makoto Sato
藤 信 佐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高粘性の汚泥の処理に対しても十分乾燥処理
が可能で、伝熱面での熱伝達率の低下を確実に防止し
て、安定した処理および稼働率向上が図れる遠心薄膜乾
燥機を提供する。 【解決手段】 縦長円筒状の伝熱胴21の内部に、この
伝熱胴21と同軸に配置れさた回転軸29が設けられて
いる。回転軸29に伝熱胴21の表面に付着した汚泥を
掻き取る切欠ブレード35が取付けられている。切欠ブ
レード35は回転軸29の外表面に突設された台座36
に固定されている。切欠ブレード35は汚泥16を掻き
取る掻取部38と、掻取部38間に位置する切欠部39
とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば食品工業・
化学工業・産業廃棄物処理業・下水処理業およびヘドロ
減容化等に用いられる汚泥乾燥用の遠心薄膜乾燥機に関
する。
【0002】
【従来の技術】図21から図23によって、従来の遠心
薄膜乾燥機の構成を説明する。このうち図21(a)は
遠心薄膜乾燥の全体断面図、図21(b)は図21
(a)のb部の部分拡大図、図21(c)は図21
(c)のc部の部分拡大図、図21(d)は図21
(a)のd部の部分拡大図である。図22は図21
(a)のE−E線に沿う断面図である。
【0003】図21(a)−(d)および図22に示す
ように、従来の遠心薄膜乾燥機は薄肉の伝熱胴1と、伝
熱胴1内に伝熱胴1と同軸に設けられた主軸2とを備
え、主軸2は駆動モータ3およびVベルト3aにより回
転駆動されるようになっている。また、主軸2の上部に
は分配リング5が取付けられており、被処理物投入口と
しての汚泥投入口4から供給された汚泥は、分配リング
5を通って伝熱胴1の内面に均一に分配される。
【0004】また主軸2には、伝熱胴1内に分散された
汚泥を薄膜状にするためのブレート6が軸方向および円
周方向に各々複数段でかつ複数枚取付けられている。こ
のブレード6は伝熱胴1との間でわずかの隙間を保ちな
から動くため、大きな固形分のかみこみが発生すること
がある。このかみこみ等による異常を防ぐため、ブレー
ド6は、ヒンジ7を介して主軸2に取り付けられてお
り、ブレード6は逃げられるようになっている。
【0005】また、主軸2は伝熱胴1の上端部および下
端部に各々設けられた軸受8,9によって支持され、下
端部の軸受9はスポーク10により伝熱胴1に保持さ
れ、スポーク10の下部には汚泥排出口11が形成され
ている。さらに、伝熱胴1の上部には、汚泥から発生す
る蒸発蒸気を廃棄するための排気口12が設けられてい
る。さらに、伝熱胴1の外側には、汚泥の脱水・乾燥を
行うための熱源となる蒸気を通す蒸気ジャケット13が
設けられ、この蒸気ジャケット13には加圧蒸気入口1
4から蒸気が流入するとともに、蒸気ジャケット13内
の蒸気は加圧蒸気出口15から流出するようになってい
る。
【0006】図21(a)〜(d)および図22におい
て、汚泥投入口4から伝熱胴1内に供給された汚泥16
は、主軸2とともに回転する分配リング5によって伝熱
胴1内面に沿うように分散される。さらに、汚泥16は
主軸2とともに回転するブレード6によって掻き取ら
れ、伝熱胴1内面に薄膜状に引き延ばされる。そして、
薄膜状になった汚泥16はその重量と次々に供給される
新しい汚泥の圧力によって、少しづつ下方に進む。その
際、汚泥16は伝熱胴1外側の蒸気ジャケット13に供
給されている加熱蒸気によって加熱される。その後、汚
泥16はその水分が徐々に脱水され、乾燥汚泥となり、
伝熱胴1の下端に設けられた汚泥排出口11より排出さ
れる。一方、汚泥から蒸発した蒸気は排気口12から抽
気し排気される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】遠心薄膜乾燥機に供給
される汚泥は、上述のように遠心薄膜乾燥機の内部で加
熱乾燥し、水分が蒸発していくに従い、伝熱胴1内部を
下方に移動しながら、汚泥の含水率が次第に減少し徐々
に乾燥する。
【0008】上記の遠心薄膜乾燥機による汚泥の処理に
おいて、汚泥が乾燥するに従い、粘性が増加し、図23
(a)〜(c)に示すように汚泥16の形状が変化す
る。ここで図23(a)は、加熱・蒸発領域において汚
泥16が薄膜状に形成され効率良く蒸発が進む状態を示
す。汚泥16が伝熱胴1内部を下方に移動し、乾燥が進
行すると、図23(b)に示すような汚泥の造粒領域と
なる。造粒領域では、ブレード6がヒンジ7部を中心と
して揺動し、ヒンジ部7の摩耗が速まる。さらに、乾燥
が進行すると、図23(c)に示すように、造粒した汚
泥16がブレード6の前面に堆積し、ブレード6ととも
に円周方向に連れ回るようになり、伝熱胴1からの熱伝
達が低下し、乾燥性能が低下する。この状態が続くと堆
積した汚泥16が増加し、ブレード6の連れ周り力(遠
心力に比例)が耐えられなくなる。この場合、堆積した
汚泥16は一瞬のうちにブレード6後方に飛散し、本体
の振動とブレード6の揺動が発生する。このため、従来
はブレード6の交換を頻繁に行うことが予想され、遠心
薄膜乾燥機の稼働率が低下する恐れがあった。
【0009】さらに、汚泥の単機処理量を増やすため、
あらかじめ汚泥16を機械脱水し、濃縮汚泥を遠心薄膜
乾燥機に投入・乾燥する場合がある。この処理の場合、
汚泥16の連れ周りが大きくなる傾向がある。また、汚
泥の供給量を大幅に増加するとブレード6での掻き取り
が不十分になり、乾燥性能が低下するとともに、大きな
帯状の汚泥の排出になり、乾燥汚泥の搬送に影響を及ぼ
す可能性がある。
【0010】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、高粘性の汚泥の処理に対しても十分乾燥
処理が可能で、伝熱胴による熱伝達率の低下を確実に防
止して、安定した処理および稼働率向上を図ることがで
きる遠心薄膜乾燥機を提供すること目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上方から投入
された汚泥を乾燥させて下方から排出する円筒状伝熱胴
と、伝熱胴内に伝熱胴と同軸に配置された回転軸と、回
転軸に固定されるとともに、汚泥を掻き取る掻取部と、
掻取部間に位置する切欠部とを有する複数の切欠ブレー
ドと、を備えたことを特徴とする遠心薄膜乾燥機、およ
び上方から投入された汚泥を乾燥させて下方から排出す
る円筒状伝熱胴と、伝熱胴内に伝熱胴と同軸に配置され
た回転軸と、回転軸に固定されるとともに、汚泥を掻き
取る掻取部と、掻取部間に位置する切欠部を有し、回転
軸の回転により汚泥を上方へ押上げる螺旋ブレードと、
を備えたことを特徴とする遠心薄膜乾燥機である。
【0012】本発明によれば、切欠ブレードの掻取部に
より汚泥を掻き取って汚泥を伝熱胴内面に引き延ばし、
乾燥させることができる。また切欠ブレードの切欠部に
より乾燥して造粒された汚泥をスムースに通過させ、造
粒汚泥の集合拡大を防止して、最適な形状の汚泥を排出
することができる。また回転軸に切欠ブレードが固定さ
れているので、切欠ブレードの揺動を防止することがで
きる。
【0013】また螺旋ブレードの掻取部により汚泥を掻
き取って汚泥を伝熱胴内面に引き延ばし乾燥させること
ができる。また切欠ブレードの切欠部により乾燥して造
粒された汚泥をスムースに通過させ、造粒汚泥の集合拡
大を防止して最適な形状の汚泥を排出することができ
る。また回転軸に固定された螺旋ブレードは、汚泥を上
方へ押し上げるよう回転するので、伝熱胴内における汚
泥の準留時間を長くすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】第1の実施の形態 以下、本発明による遠心薄膜乾燥機の第1の実施の形態
について図1乃至図4を用いて説明する。本実施の形態
において遠心薄膜乾燥機は食品工業、化学工業、産業廃
棄物処理業・下水処理業およびヘドロ減容化等に用いる
ことができる。
【0015】図1に示すように、遠心薄膜乾燥機は縦長
円筒状の伝熱胴21と、伝熱胴21内に伝熱胴21と同
軸に配置された回転軸21とを備え、縦長円筒状の伝熱
胴21は、上部に汚泥投入口22と汚泥蒸気排気口23
とを有し、下部に汚泥排出口25が形成された円錐コー
ン24を有している。また伝熱胴21の外周側には、加
圧蒸気入口26と加圧蒸気出口27を有する蒸気ジャケ
ット28が配設され、蒸気ジャケット28に供給される
熱媒体、例えば蒸気(約175度)によって伝熱胴21
が加熱されるようになっている。このため、蒸気ジャケ
ット28で囲まれる伝熱胴21の壁面が伝熱面となる。
上述のように回転軸29は伝熱胴21と同軸に配置さ
れ、回転軸29は上下端部においてメカニカルシール付
きの上部軸受30および下部軸受31によって支持され
ている。また回転軸29の上端部はベルト等の動力伝達
機構33を介して電動機32に連結され、この電動機3
2により回転駆動されるようになっている。
【0016】また回転軸29には、汚泥挿入口22にそ
の外周面を対向させて分散環34が設けられ、汚泥投入
口22から伝熱胴21内に供給された汚泥16は、この
分散環34により遠心力により均一に伝熱胴21内面に
分散されるようになっている。また回転軸29のうち分
散環34より下方側の部分、すなわち蒸気ジャケット2
8で囲まれる部分に複数の切欠ブレード35が放射状に
取付けられており、各切欠ブレード35は軸線方向に延
びている。なお、各切欠ブレード35aを軸線方向に沿
って分割して配置してもよい。
【0017】各切欠ブレード35は図2に示すように、
回転軸29の外周面に突設された台座36に、ボルト3
7によって固定され、各切欠ブレード35の先端部はそ
れぞれ伝熱胴21の内面との間に僅かな隙間を形成して
いる。切欠ブレード35と伝熱胴21の内面との間の隙
間は、1〜2mmとした場合、最も安定した乾燥を得る
ことができることが実験により確認されている。
【0018】次に切欠ブレード35について詳細する。
図1乃至図4に示すように切欠ブレード35は汚泥16
を掻き取る掻取部38と、掻取部38間に位置する切欠
部39とを有している。
【0019】また一つの切欠ブレード35の切欠部39
の配置位置は、回転方向前後に配置する他のブレード3
5の掻取部38の位置位置に略対応するとともに、掻取
部38は上下端部においてラップ部40だけ切欠部39
より長くなっている(図4参照)。ここで図4(a)は
切欠ブレードを示す斜視図であり、図4(b)は図4
(a)のB部拡大図である。
【0020】なお、切欠ブレード35は回転軸29の外
周に計4枚(第1列、第2列、第3列および第4列)設
けられ、各切欠ブレード35の先端には、図示していな
いが、例えば超硬合金のチップが取り付けられ、耐摩耗
向上を図っている。
【0021】次にこのような構成からなる本実施の形態
の作用について説明する。伝熱胴21が蒸気ジャケット
28への蒸気供給によって加熱されるとともに、電動機
32により回転軸29が回転する。この状態で処理汚泥
16が汚泥投入口22から伝熱胴21内に供給され、汚
泥16は分散環34によって円周方向に均一に分散さ
れ、その後汚泥16は重力と新しい汚泥16の圧力によ
って伝熱胴21の内周面に沿って流下する。その後、切
欠ブレード35の回転により汚泥16が伝熱胴21の内
面に遠心力で押しつけられ、薄膜状になって蒸気が蒸発
し徐々に乾燥する。汚泥16はその後、下方向に移動し
ながら乾燥し、ある含水率になったときに汚泥16の粒
状化が始まる。粒状化した汚泥16は、さらに、切欠ブ
レード35で掻き回されて乾燥が進み、乾燥した汚泥1
6は、適当な大きさの粒状化した汚泥として汚泥排出口
25より排出される。
【0022】この間、切欠ブレード35は汚泥16を掻
き取るが、この場合切欠ブレード35は、回転軸29に
固定されているため、従来の可動式ブレードに比べ強制
的に汚泥16を掻き取ることができる。このため、均一
に汚泥16の薄膜状態を形成でき、乾燥性能が向上す
る。また、図3および図4に示すように切欠ブレード3
5は切欠部39を有しているため、造粒した汚泥16を
回転方向後方に通過させ、造粒汚泥の集合拡大を防止す
ることができる。さらに、乾燥が進行した場合、造粒し
た汚泥16が切欠ブレード35の前方に多量に堆積する
ことはなく、伝熱胴21からの熱伝達が高まり、乾燥性
能が向上と安定した処理が図れる。
【0023】また、従来の可動ブレードでは、造粒領域
で激しく揺動していたが、本実施の形態によれば、切欠
ブレード35は回転軸29に固定されているため、従来
のようなヒンジ部を有する必要はなく、ヒンジ部の摩耗
を考慮する必要がない。また切欠ブレード35の交換頻
度の低減および遠心薄膜乾燥機の稼働率の向上を確実に
図ることができる。
【0024】第2の実施の形態 次に第2の実施形態について、図5および図6により説
明する。図2の実施の形態は、切欠ブレードの構造が異
なるのみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の
形態と略同一である。図5および図6において、図1乃
至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号
を符して詳細な説明は省略する。
【0025】図5および図6において、回転軸29に突
設された台座42に複数の切欠ブレード43が取付ボル
ト44によって取り付け固定され、切欠ブレード43の
先端部がそれぞれ伝熱胴21の内周面に対して僅かな隙
間を有している。切欠ブレード43は円周方向に等間隔
で6枚設けられている(図6)。
【0026】図6において、各ブレード43は汚泥16
を掻き取る掻取部45と、掻取部45間に位置するとと
もに汚泥16を掻き取らない切欠部46とを有してい
る。この場合、掻取部45の長さL1より切欠部46の
長さL2の方が広くなっている。具体的には、掻取部4
5の長さL1と切欠部46の長さL2はの比はL2/L
1=1.5に設定され、また、掻取部45の長さL1を
L1=35mmとし、切切欠部46が軸方向に細かく分
散されている。また、各切欠ブレード43の掻取部45
は回転軸29の回転方向前後の切欠ブレード43の掻取
部45との間でラップ部47を形成し、回転方向前後3
枚の切欠ブレードの掻取部45によって当該切欠ブレー
ド43の切欠部46を補完するようにしている。
【0027】図5および図6において、切欠ブレード4
3の切欠部46の長さL2が掻取部45の長さL1より
大きくなっているので、切欠ブレード43の掻取部45
の前面に多量に汚泥16が堆積することはなく、切欠部
16の汚泥閉塞を防止できる。なお、実験により切欠ブ
レード43の掻取部45の長さL1と切欠部46の長さ
L2の比はL2/L1=1.2〜1.8に設定すること
が適当であることが確認されている。
【0028】第3の実施の形態 次に第3の実施の形態について、図7乃至図9により説
明する。第3の実施の形態はブレードの構造が異なるの
みであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と
略同一である。図7乃至図9に示す第3の実施の形態に
おいて、図1乃至図4に示す実施の形態と同一部分には
同一符号を符して詳細な説明は省略する。
【0029】図7乃至図9において、回転軸29の外周
面に台座49が突設され、この台座49に切欠のない平
板ブレード50と切欠ブレード51とが取付ボルト52
によって取り付け固定され、平板ブレード50と切欠ブ
レード51の先端部はそれぞれ伝熱胴21の内面に対し
て僅かな隙間を有している。切欠ブレード51は平板ブ
レード50より下方に位置するとともに、切欠ブレード
51は汚泥16を掻き取る掻取部53と、掻取部53間
に位置する切欠部55とを有している。
【0030】図7乃至図9において、比較的含水率が高
く、薄膜になりやすい上方の加熱・蒸発領域に平板ブレ
ード50を設け、下方の造粒しかつ乾燥汚泥の連れ周り
を生じやすい造粒領域に切欠ブレード51を設けたの
で、汚泥16を加熱・蒸発領域において平板ブレード5
0により確実に乾燥させることができ、かつ造粒領域に
おいて切欠ブレード51により確実に適切な形状の汚泥
16を造粒することができる。このことにより適当に粒
状化した乾燥汚泥16を連続して排出することができ
る。
【0031】第4の実施の形態 次に第4の実施の形態について図10乃至図13により
説明する。図4の実施の形態はブレードの構造が異なる
のみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形態
と略同一である。図10乃至図13において、図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を
符して詳細な説明は省略する。
【0032】図10乃至図13に示すように回転軸29
の外周面に、上方から順に切欠のない平板ブレード57
と、切欠を有する切欠ブレード60と、可動可能な可動
ブレード63とが取付けられている。このうち平板ブレ
ード57と切欠ブレード60は、回転軸29に突設され
た台座56,59にそれぞれ取付ボルト58,61を介
して取り付け固定されている。また可動ブレード63
は、回転軸29に突設された台座62にヒンジ64を介
してヒンジ回りに揺動可能に結合されている。平板ブレ
ード57、切欠ブレード60および可動ブレード63
は、各々の先端がそれぞれ伝熱胴21の内面に対して僅
かな隙間を有している。また、切欠ブレード60は汚泥
16を掻き取る掻取部60aと、掻取部60間に位置す
る切欠部60bとを有している。
【0033】図10乃至図13において、比較的汚泥の
含水率が高く、薄膜で蒸発温度まで昇温する上方の加熱
・蒸発領域に平板ブレード57を設け、薄膜で蒸発して
造粒し造粒した汚泥16を効果的に掻き回し乾燥させる
造粒領域に切欠ブレード60を設け、さらに粒状化した
汚泥16が固まりとなり、ブレード前面に堆積し、乾燥
汚泥の連れ回りをしやすい下方の連れ回り領域に可動ブ
レード63を設けている。このため、平板ブレード57
により汚泥16を乾燥させ、切欠ブレード60により適
当な形状に汚泥16を造粒することができ、さらに可動
ブレード63により汚泥16を伝熱胴21内面に沿って
スムースに移送することができる。
【0034】第5の実施の形態 次に第5の実施の形態について図14乃至図16により
説明する。
【0035】第5の実施の形態はブレードの構造が異な
るのみであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の形
態と略同一である。図14乃至図16において図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を
符して詳細な説明は省略する。
【0036】図14乃至図16において、回転軸29の
外周面に、螺旋ブレード66が強固に複数枚固定されて
おり、螺旋ブレード66は汚泥16を掻き取る掻取部6
7と、掻取部67間に位置する切欠部68とを有してい
る。この場合、回転軸29は図16に示すように、螺旋
ブレード66により汚泥16を掻き上げる方向に回転し
ている。
【0037】図14乃至図16において、処理汚泥の性
状によって汚泥16が伝熱胴21内部に滞留しにくい場
合、すなわち伝熱胴21内での滞留時間が短く含水率が
高い汚泥が排出される場合、螺旋ブレード66により一
部押し上げる方向に汚泥16を移動させ、これによって
汚泥16の滞留時間を長くすることができる。このため
汚泥16の乾燥が十分可能になり、連続して安定した乾
燥処理が可能になる。しかも、適当に粒状化した乾燥し
た汚泥16を連続して排出することができる。
【0038】第6の実施の形態 次に第6の実施の形態について図17および図18によ
り説明する。図6の実施の形態は伝熱胴21内に汚泥を
掻き落とす掻落棒70と、ファイバスコープ1とを配置
したものであり、他は図1乃至図4に示す第1の実施の
形態と略同一である。図17および図18において、図
1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一
符号を符して詳細な説明は省略する。
【0039】図17および図18に示すように、汚泥の
固まり69を停止中に強制的に掻き落とす掻落棒70
と、伝熱胴21内を観察するファイバスコープ71が伝
熱胴21内に配設されている。このうちファイバスコー
プ71は伝熱胴21下部に設けられた円錐コーン24に
取付けられている。
【0040】図17および図18において、処理する汚
泥16に固形物あるいは毛の集合体等が混入すると、切
欠ブレード35と伝熱胴21の隙間に汚泥16が狭ま
り、それを起点として切欠ブレード35の前面に乾燥汚
泥が堆積・成長し固まり69を生じさせる(図18参
照)。この場合、伝導部32が過負荷となり、最悪の場
合、運転不能になることが想定される。
【0041】これを防止するために、投入汚泥16に
は、固形物あるいは毛の集合体等が混入しないように前
処理されている。しかしなから固形物あるいは毛の集合
体が若干混入した汚泥16が伝熱胴21内に投入され、
汚泥の固まり69が生じることがある。
【0042】このような事態が生じた場合、回転軸29
の回転を停止した状態で、掻落棒70を伝熱胴21内部
に挿入し、切欠ブレード35前面に堆積した汚泥の固ま
り69を強制的に掻き落とすことができる。このとき、
例えば回転軸29を若干手回ししながらファイバスコー
プ71により汚泥の固まり69の堆積位置を確認して確
実に掻き落とす。汚泥の固まり69はその後、分離し、
落下汚泥37として、乾燥機の排出口25より排出され
る。
【0043】本実施の形態において、伝熱胴21内部に
汚泥が堆積・成長し、電動機32が過負荷でトリップし
た場合、乾燥機を分解することなく、確実に閉塞汚泥を
落とし、閉塞前の乾燥機の内部状態に復帰し、乾燥処理
を確実に再開できる。このため乾燥機の可動率の向上に
なる。
【0044】なお、掻落棒70およびファイバスコープ
71は第1の実施の形態に限らず、第2乃至第5の実施
の形態において伝熱胴21内に位置してもよい。
【0045】第7の実施の形態 次に第7の実施の形態について図19および図20によ
り説明する。第7の実施の形態は電動機32にインバー
タ76を介して制御装置78を接続するとともに、電動
機32に流れる電流を電流検出器77によって測定し、
この電流検出器77からの信号に基づいて制御装置78
により電動機32を制御したものである。他の構造は図
1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。図
19および図20において、図1乃至図4に示す第1の
実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明
を省略する。図19および図20において、制御装置7
8は、比較回路79,80,81と乾燥機の正逆転モー
ド切り替え回路82とを備えている。
【0046】図19および図20において、処理する汚
泥16に固形物あるいは毛の集合体等が混入すると、切
欠グレード35と伝熱胴21の隙間に汚泥16が挟ま
り、それを起点として切欠ブレード35の前面に乾燥汚
泥が堆積・成長する(図18参照)。この場合、電動機
32が過負荷となり、最悪の場合、運転不能になること
が想定される。
【0047】これを防止するために、投入汚泥16に
は、固形物あるいは毛の集合体等が混入しないように前
処理されているが、現状をみると、若干混入した汚泥1
6が伝熱胴2に入る前あるいは伝熱胴21内部で合体
し、汚泥の固まり69が生ずることが予想される(図1
8)。
【0048】このような事態が生じる直前に、電流検出
器77により検出される電流値が増加するため、この電
流値を検出し、図20に示す制御を行う。すなわち、電
流検出器77による電動機32の電流値が規定値より少
なければ、電動機32の運転は問題なく続行できる。
【0049】検出値が規定値より多い場合は、異常値と
比較し、検出値が異常値より少ない場合は、電動機32
を運転続行する。検出値が異常値を越える場合は、電動
機32を停止した後、電動機32を逆転モードで回す。
このとき、切欠ブレード32の前面に付着した汚泥は、
大部分が剥離し、排出口25より落下排出される。しか
し、汚泥16の堆積状況によっては、一回で完全に落と
すことができない場合は、電流の検出値が規定値より小
さくなるまで逆転・正転を繰り返す。このときの回転速
度は定格速度の1/3程度でよい。
【0050】図19および図20において、伝熱胴21
内部に汚泥が堆積・成長した場合、電動機32が過負荷
でトリップする以前に、伝熱胴21内部の汚泥16の堆
積状態を推定し、乾燥機を分解することなく、堆積汚泥
を振るい落とすことができる。このため、閉塞前の乾燥
機の内部状態に復帰し、乾燥処理を確実に再開でき、ひ
いては、乾燥機の可動率の向上になる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高粘性の汚泥の処理に対しても十分乾燥処理が可能で、
伝熱面での熱伝達率の低下を確実に防止することができ
る。このため、安定した処理および稼働率向上が図れる
遠心薄膜乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による遠心薄膜乾燥機の第1の実施の形
態を示す構造断面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1に示す遠心薄膜乾燥機の切欠ブレード配置
図。
【図4】図1に示す遠心薄膜乾燥機内部の汚泥の移動を
示す説明図。
【図5】本発明による遠心薄膜乾燥機の第2の実施の形
態を示す構造断面図。
【図6】図5に示す遠心薄膜乾燥機の切欠ブレード配置
図。
【図7】本発明による遠心薄膜乾燥機の第3の実施の形
態を示す構造断面図。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図。
【図9】図7のIX−IX線断面図。
【図10】本発明による遠心薄膜乾燥機の第4の実施の
形態を示す構造断面図。
【図11】図10のXI−XI線断面図。
【図12】図10のXII −XII 線断面図。
【図13】図10のXIII−XIII線断面図。
【図14】本発明による遠心薄膜乾燥機の第5の実施の
形態を示す構造断面図。
【図15】図10のXV−XV線断面図。
【図16】図14に示す螺旋ブレードの詳細図。
【図17】本発明による遠心薄膜乾燥機の第6の実施の
形態を示す構造断面図。
【図18】図17のXVIII −XVIII 線断面図。
【図19】本発明による遠心薄膜乾燥機の第7の実施の
形態を示す構造断面図。
【図20】図19に示す制御装置の制御方法の流れを示
す説明図。
【図21】従来の遠心薄膜乾燥機の構成を示す構造断面
図。
【図22】従来の遠心薄膜乾燥機の断面図。
【図23】従来の遠心薄膜乾燥機の乾燥汚泥の現象を示
す説明図。
【符号の説明】
21 伝熱胴 22 汚泥投入口 25 汚泥排出口 28 ジャケット 29 回転軸 35 切欠ブレード 36 台座 38 掻取部 39 切欠部 40 ラップ部 46 切欠部 47 ラップ部 50 平板ブレード 51 切欠ブレード 57 平板ブレード 60 切欠ブレード 63 可動ブレード 66 螺旋ブレード 70 掻落棒 71 ファイバスコープ 78 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 川 彰 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 河 内 恭 三 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 佐 藤 信 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上方から投入された汚泥を乾燥させて下方
    から排出する円筒状伝熱胴と、 伝熱胴内に伝熱胴と同軸に配置された回転軸と、 回転軸に固定されるとともに、汚泥を掻き取る掻取部
    と、掻取部間に位置する切欠部とを有する複数の切欠ブ
    レードと、 を備えたことを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
  2. 【請求項2】一つの切欠ブレードの切欠部の配置位置
    は、他の切欠ブレードの掻取部の配置位置に略対応して
    いることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
  3. 【請求項3】切欠ブレードの掻取部長さをL1とし、切
    欠部の長さをL2とした場合、 L2/L1=1.2〜1.8となっていることを特徴と
    する請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
  4. 【請求項4】複数の切欠ブレードより上方側に、回転軸
    に固定され汚泥を掻き取る複数の平板ブレードを設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の遠心
    薄膜乾燥機。
  5. 【請求項5】複数の切欠ブレードより下方側に、回転軸
    に対して可動に取付けられ、伝熱胴内面に沿って汚泥を
    移送する複数の可動ブレードを設けたことを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれか記載の遠心薄膜乾燥機。
  6. 【請求項6】伝熱胴内に、堆積汚泥を掻き落とする掻取
    棒を配設したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    か記載の遠心薄膜乾燥機。
  7. 【請求項7】回転軸は、正逆転自在の駆動装置により駆
    動されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記
    載の遠心薄膜乾燥機。
  8. 【請求項8】上方から投入された汚泥を乾燥させて下方
    から排出する円筒状伝熱胴と、 伝熱胴内に伝熱胴と同軸に配置された回転軸と、 回転軸に固定されるとともに、汚泥を掻き取る掻取部
    と、掻取部間に位置する切欠部を有し、回転軸の回転に
    より汚泥を上方へ押上げる螺旋ブレードと、を備えたこ
    とを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
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