JP2015037778A - スラリー液の薄膜式蒸発濃縮粉末化システム及び蒸発装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸発濃縮粉末化システムは、流体を貯留するタンク3と、流体の液体分を蒸発させるための蒸発装置5と、タンクと蒸発装置との間に配設された流路7と、流体圧送する圧送ポンプ9を具備し、タンク及び圧送ポンプは、蒸発装置の流体入口39より上の高さ位置に設けられている。また本システムを用いた流体の蒸発処理において、先端が平坦なブレード翼では、各ブレード翼が受ける負荷が過大となり、モータの動力が不安定化、およびブレード翼の異常振動を防ぐため、ブレード翼の先端をフォーク状に形成して、ブレード翼にかかる負荷を分散し、且つ断面を鋤状に形成することでシリンダ内壁面に付着した高濃縮物又は乾燥物を掬い取り易くする。
【選択図】図1
Description
・処理対象の一例である廃液を貯留するための貯液タンク81と、
・熱交換作用によって当該廃液を濃縮又は乾燥するための蒸発装置83(薄膜式蒸発濃縮装置)と、
・タンク81と蒸発装置83との間に配設された送液管85と、
・この送液管85を介してタンク81内の廃液を蒸発装置83の円筒シリンダ98内へ送り込むための送液ポンプ87と、
・蒸発装置で生成された濃厚液又は乾燥物を収容するための容器89と、を有している。
一方、貯液タンク81は、当該タンクへの廃液など補充のし易さなどを考慮して、流体入口91より遥かに低い位置(作業員がいる床面に近い位置)に設けられている。
したがって、貯液タンク81の底部排液口と蒸発装置83の液体入口91との間には、図9に示すような高低差が生じることから、図示する従来システムでは、送液管85の途中に送液ポンプ87を設け、重力に抗して廃液を上方(蒸発装置83の液体入口91の方)へ押し上げるようにして強制圧送している。これにより、貯液タンク81内の廃液を蒸発装置83のシリンダ内へ送り込むことができる。
上述した蒸発濃縮粉末化システムで処理する流体が、固形分を多く含むスラリー状の流体(例えば汚泥など)である場合には、当該流体中の固形分が沈殿し易い(比重が重いために液中で下方に沈降して堆積し易い)ため、タンク81の下側の排出口で堆積物が閉塞を招くといった問題が指摘されていた。そこで本願出願人によって、図9に示すように、貯液タンク81内の流体を攪拌機93で撹拌し続け、待機中の廃液に沈降が生ずるのを阻止して均質状態を維持することが提案された。
上述した蒸発濃縮粉末化システムで用いる蒸発装置83には、円筒状シリンダ98の軸線位置に設けられた回転シャフト95を有している。この回転シャフト95には、シリンダ内壁面付着した濃縮物や乾燥物(処理対象の固形分に由来するもの)を掻取ったり叩き落とすためのブレード97が複数配設されている。このブレード97はそれぞれ、回転シャフト95の回転時に一体となって回動するが、その際に過度の抵抗がブレード97や回転シャフト95に生じないように、揺動自在に(抵抗に応じてスイングするように)設けられている。
また、従来の蒸発装置が具備していた各ブレード97は、図9に示すように、先端が直線状のヘラ形に形成されている。そのため、処理対象の流体の性状によっては、可動式ブレードであっても、掻取りや叩き落とし時の抵抗が大きくなって、回転シャフト95への負担が過大になる場合があった。
そこで、上述した洗浄性の問題点に鑑み、本発明の目的は、蒸発装置に通ずる流路における閉塞(処理対象の流体に含まれる固形分が沈降することによる流路内での詰まり)を防止できる薄膜式蒸発濃縮粉末化システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、蒸発装置が具備するブレードの掻取り効果を向上させて、使用動力の低減を図り、低コストでの運転を可能にする蒸発装置を提供することにある。
スラリー状の流体を貯留するためのタンクと、
前記流体の液体分の全部または一部を蒸発させるための蒸発装置と、
前記タンクと前記蒸発装置との間に配設された前記流体用の流路と、
前記流路を介して前記流体を蒸発装置へ向けて圧送するための圧送手段を具備し、
前記タンクおよび前記圧送手段は、前記蒸発装置の流体入口より上の高さ位置又はほぼ同じ高さ位置に設けられている、ことを特徴とする薄膜式蒸発濃縮粉末化システムによって達成される。
流体用の流路を内側に有し、外部から加熱される円筒状シリンダと、
シリンダ内の軸線位置に設けられたシャフトと、
シャフトに対して揺動可能に設けられ、前記シリンダ内を回動する可動ブレードと、
シャフトに対して揺動不可能に固設され、前記シリンダ内を回動する固定ブレードと、
を具備し、
前記固定ブレードが上側に位置し、前記可動ブレードがその下側に位置するように、該ブレードが前記シャフトの外周面に設けられている、ことを特徴とする蒸発装置によって達成される。
流体用の流路を内側に有し、外部から加熱される円筒状シリンダと、
シリンダ内の軸線位置に設けられたシャフトと、
シャフトに設けられ、前記シリンダ内を回動するブレードと、を具備し、
前記ブレードは、先端側に複数の切欠きを有するフォーク状に形成されているとともに、断面くの字状に曲がっている形状に形成されている、ことを特徴とする蒸発装置によって達成される。
前記ブレードがシャフト回転方向に複数配設され、
各ブレード先端部位の旋回軌跡が、シャフト回転方向の前後のブレード先端部位の旋回軌跡に一致しないように設けられていることが好ましい。
図1に示す薄膜式蒸発濃縮粉末化システムは、流体の液体分の全部または一部を蒸発させて該流体に由来する濃縮物または乾燥物を生成するためのシステムに関するものである。このシステムの主な用途としては、例えば次に掲げるものが挙げられる。
(1)汚泥の高濃縮減容化
(2)放射能汚染物質(汚染廃液や汚染土壌)の分離・低減・減容化
(1)有機廃液や工場汚泥の減容化
(2)有価重金属又は、有価物の濃縮粉末回収
(3)染色用廃液の残渣、染料、糊分離
(4)排ガス洗浄液からの塩類の分離及び回収
(1)大豆煮汁の廃液濃縮及び有効成分の粉末化
(2)焼酎粕
(3)塩分含有廃水
(1)塗装用洗浄廃液より溶剤回収
(2)合成繊維原料よりDMF、MMAの分離
(3)樹脂からの溶剤、ポリマー廃液からの溶剤、ポリマー分離
(1)セラミック、アルミ酸ナトリウム、酸化鉄の粉末化
(2)農薬、染料の粉末化
(3)糖液の濃縮
(4)薬品の分離精製
以下、処理対象である「流体」の具体例としてスラリー廃液(固体粒子が液体の中に懸濁している状態の廃液)を挙げて、薄膜式蒸発濃縮粉末化システムおよび蒸発装置の具体的実施形態について説明する。
・濃縮処理または粉末化処理の対象となる「スラリー廃液」を一時的に貯留しておくためのタンク3と、
・熱交換作用を利用して、スラリー廃液などの流体物を濃縮または乾燥するための蒸発装置5(薄膜式蒸発濃縮粉末化装置)と、
・タンク3と蒸発装置5との間に配設され両者に通じている流路7と、
・この流路7の途中に介在し、タンク3内のスラリー廃液を蒸発装置5のシリンダ31内へ一定量を送り込むための圧送ポンプ9(定量ポンプ/圧送手段)と、
・蒸発装置5で生成され落下してきた濃厚液又は乾燥物(タンク3からのスラリー廃液由来のもの)を収容するための容器11を有している。
なお、蒸発装置5に入り込む液量が変化すると蒸発条件が変わってしまうが、本実施形態で用いる圧送ポンプ9は、スラリー廃液の蒸発を定常に保って安定運転をするために、スラリー廃液を定量で送るようになっている。
竪型の蒸発装置5は、図3に概略的に示すような内部構造を有しており、熱交換作用によってスラリー廃液を濃縮または乾燥する役割を担っている。
図4に示すように、回転シャフト43の外周面には、ブラケット61,61…が複数固設されており、該ブラケット61,61…は、周方向90゜おきに配置されている。ブラケット61,61…のそれぞれには、ピンにより周方向にスイング自在に軸支されたベース部材63が取り付けられており、該ベース63によってブレード翼51が保持されている。
図5に示すように、固定式ブレード翼52は、ベース部材などを介して回転シャフト43の外周面に固定して取り付けられている。この固定式ブレード翼52は、揺動不可能に回転シャフト43に固定されているため、回転シャフトの稼働中にスイングすることはない。この固定式ブレード翼43の先端と、シリンダ内壁面との間には、微小クリアランス(1mm程度の隙間)が空いている。
図3に示す構成を具備する薄膜式蒸発濃縮装置5において、モータ45を駆動させると、ベルトプーリ機構を介して伝達されたモータ45からの駆動力によって、回転シャフト43が軸受に支持された状態で、高速回転し始める。
上述した実施形態では、図4や図5に示すように先端が真っ直ぐで平坦なブレード翼を用いていたが、このブレード翼の先端形状が定規のように平坦であるが故に、シリンダ内で生成される乾燥物や濃縮物の性状によっては、蒸発装置の運転に支障を招く虞があった。
すなわち、蒸発装置での処理を予定している流体のなかには、シリンダ内で熱交換作用を受けて、粘稠度が著しく高い濃縮物となってシリンダ内壁に付着したり、或いは、著しく硬く固まった乾燥物となってシリンダ内壁面に強固に付着するものもある。このような「粘稠度の高い濃縮物」や「硬く固まって付着した乾燥物」をシリンダ内壁から掻取ったり叩き落とす場合に、ブレード先端形状が定規の様に平坦だと、回動時の各ブレード翼が受ける抵抗や衝撃が過度に大きくなって、モータの動力が不安定になったり、また、周方向に並んだブレード翼に対する負荷がアンバランスになって、稼働時の蒸発装置に異常振動が発生するといった問題が生じうる。
そこで、シリンダ内壁に付着した濃縮物の粘稠度が高かったり、或いは、付着した乾燥物が硬く固まっていたとしても、ブレード翼に対する負荷を分散しつつ、シリンダ内壁から確実に濃縮物や乾燥物を掻取ったり叩き落とすことができる実施形態を発明した。以下、この実施形態の具体的特徴について説明する。
そして図7に示すように、固定式ブレード翼52についても上記と同様に、断面「くの字状」(鋤状)に曲がった形状に形成され、且つ、先端側がフォーク状に形成されている。
なお、可動式ブレード翼51、固定式ブレード翼52は、前述した実施形態と同様に、シリンダ内の熱交換領域の可動翼ゾーンと固定翼ゾーンに配置されている(図3参照)。
5 蒸発装置(薄膜式蒸発濃縮粉末化装置)
7 流路
9 圧送ポンプ(圧送手段)
11 容器
13 攪拌機
15 送液管
16 送液管
30 天板
31 シリンダ
33 ジャケット
35 スチーム供給口
36 スチーム排出口
39 流体入口(廃液入口)
41 排気口
43 回転シャフト
45 モータ
47 分散板
51 可動式ブレード翼(可動ブレード)
52 固定式ブレード翼(固定ブレード)
55 先端歯
56 切欠き
61 ブラケット
63 ベース部材
81 貯液タンク
83 蒸発装置
85 送液管
87 送液ポンプ
89 容器
91 流体入口
93 攪拌機
95 回転シャフト
97 ブレード
98 円筒シリンダ
Claims (4)
- スラリー状の流体を貯留するためのタンクと、
前記流体の液体分の全部または一部を蒸発させるための蒸発装置と、
前記タンクと前記蒸発装置との間に配設された前記流体用の流路と、
前記流路を介して前記流体を蒸発装置へ向けて圧送するための圧送手段を具備し、
前記タンクおよび前記圧送手段は、前記蒸発装置の流体入口より上の高さ位置又はほぼ同じ高さ位置に設けられている、ことを特徴とする薄膜式蒸発濃縮粉末化システム。 - 請求項1に記載のシステムで用いる蒸発装置であって、
流体用の流路を内側に有し、外部から加熱される円筒状シリンダと、
シリンダ内の軸線位置に設けられたシャフトと、
シャフトに対して揺動可能に設けられ、前記シリンダ内を回動する可動ブレードと、
シャフトに対して揺動不可能に固設され、前記シリンダ内を回動する固定ブレードと、
を具備し
前記固定ブレードが上側に位置し、前記可動ブレードがその下側に位置するように、該ブレードが前記シャフトの外周面に設けられている、ことを特徴とする蒸発装置。 - 請求項1に記載のシステムで用いる蒸発装置であって、
流体用の流路を内側に有し、外部から加熱される円筒状シリンダと、
シリンダ内の軸線位置に設けられたシャフトと、
前記シャフトに設けられ、前記シリンダ内を回動するブレードと、を具備し、
前記ブレードは、先端側に複数の切欠きを有するフォーク状に形成されているとともに、断面くの字状に曲がっている形状に形成されている、ことを特徴とする蒸発装置。 - 前記ブレードは、シャフト回転方向に複数配設され、
各ブレード先端部位の旋回軌跡が、シャフト回転方向の前後のブレード先端部位の旋回軌跡に一致しないように設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の蒸発装置。
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