JPH11256279A - 抗菌性を有するステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性を有するステンレス鋼板及びその製造方法

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JPH11256279A
JPH11256279A JP5690198A JP5690198A JPH11256279A JP H11256279 A JPH11256279 A JP H11256279A JP 5690198 A JP5690198 A JP 5690198A JP 5690198 A JP5690198 A JP 5690198A JP H11256279 A JPH11256279 A JP H11256279A
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JP
Japan
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stainless steel
antibacterial
steel sheet
concentrated
annealing
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Withdrawn
Application number
JP5690198A
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English (en)
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Katsuhisa Miyakusu
克久 宮楠
Naoto Okubo
直人 大久保
Katsumi Nakamura
克美 中村
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Moの抗菌作用を利用し、製造性を損なうこ
となく優れた抗菌性を付与したステンレス鋼を提供す
る。 【構成】 このステンレス鋼板は、鋼材として0.2〜
10重量%のMoを含み、Moが単体又は酸化物として
表面皮膜中に0.2原子%以上で又は表層部に1.0原
子%以上で濃化され、該Mo濃化層が表面に露出してい
る。Moが濃化した表面皮膜や表層部は、600〜12
50℃の焼鈍により形成される。脱スケール工程でMo
濃化層を損なうことがない光輝焼鈍が好ましいが、焼鈍
酸洗されたものでも、後工程で研磨してMo濃化層をも
つ表面層を露出させることによって抗菌性が回復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厨房機器,電気機器,
建築材料,化学機器等の広範囲の分野において、抗菌性
及び耐食性が要求される用途に適したステンレス鋼板及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厨房機器,病院等で使用される各種機材
や、バス,電車等の輸送機関で手摺りとして使用される
パイプ等では、一般環境における耐食性が要求されるた
めSUS430,SUS304に代表されるステンレス
鋼が主として使用されている。しかし、黄色ブドウ球菌
等による院内感染,O−157を始めとする大腸菌によ
る食中毒等が問題となってきている昨今、バス,電車等
の不特定多数の人間が利用する環境においても衛生面の
向上が求められている。これに伴って、各種機械,器具
に使用される材料としても、一般構造材としての特性に
止まらず、定期的な消毒等の汚染防止を図る必要がない
抗菌性等の機能を付与したメンテナンスフリーの材料が
望まれている。抗菌性を付与した材料としては、有機皮
膜やめっきによる抗菌コート(特開平5−228202
号公報,特開平6−10191号公報等),強力な抗菌
作用をもつCuやAgを添加した抗菌ステンレス鋼(特
開平9−195009号公報,特開平9−176800
号公報等)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗菌コートは、皮膜の
消失に伴って抗菌性が低下する。抗菌性が低下した有機
質は、栄養源となって細菌や雑菌を却って繁殖させる虞
れがある。抗菌剤成分を混入した複合めっきを施したも
のでは、めっき層が密着性に不足しがちであり、加工性
を低下させる場合もある。しかも、皮膜の溶解,摩耗,
欠損等に起因して外観が低下すると共に、抗菌作用も低
下する。他方、CuやAgの抗菌作用を利用するステン
レス鋼では、熱間加工性等に悪影響を及ぼすCuやAg
を多量に添加すると、製造性が低下し易い。本発明は、
このような問題を解消すべく案出されたものであり、ス
テンレス鋼に含まれている状態でもMoの抗菌作用が発
現されることを利用し、製造性を損なうことなく優れた
抗菌性を付与したステンレス鋼を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のステンレス鋼板
は、その目的を達成するため、鋼材として0.2〜10
重量%のMoを含み、Moが単体又は酸化物として表面
皮膜中に0.2原子%以上で又は表層部に1.0原子%
以上で濃化され、該Mo濃化層が表面に露出しているこ
とを特徴とする。なお、本件明細書でいう表層部は、研
磨後の皮膜がない表面近傍を示す。Moが濃化した表面
皮膜や表層部は、0.2〜10重量%のMoを含むステ
ンレス鋼板を600〜1250℃で焼鈍することにより
形成される。焼鈍は、脱スケール工程でMo濃化層を損
なうことがない光輝焼鈍が好ましい。焼鈍酸洗されたも
のでも、後工程で研磨してMo濃化層をもつ表面層を露
出させることによって抗菌性が回復する。また、酸洗を
伴わない焼鈍が施されたステンレス鋼板であっても、研
磨によってMo濃化表面層を露出させた状態で使用でき
る。
【0005】
【作用】ステンレス鋼は、不動態皮膜と称されるCrを
主とする水酸化物で表面が覆われているため、優れた耐
食性を呈する。本発明者等は、このステンレス鋼に対し
て単体で抗菌作用を呈するMoを添加して不動態皮膜に
含まれてるMo量を測定すると共に、黄色ブドウ球菌を
含む液を滴下した後、ポリエチレンフィルムで密着する
方法によって抗菌性を調査した。その結果、Moは、ス
テンレス鋼に含まれている状態でも抗菌性を発現するこ
とが判った。しかし、鋼中にMoを単に添加しただけで
は、抗菌性及びその持続性が十分でない場合がある。そ
こで、本発明のステンレス鋼板では、抗菌性を向上させ
るため、単体又は酸化物としてMoを表層に濃化又は露
出させている。これにより、同じMo含有量であって
も、Mo濃化層が表面に露出していないステンレス鋼板
に比較して抗菌性が格段に高められたものとなる。ステ
ンレス鋼板に単体又は酸化物として含まれているMoが
抗菌性を発現する機構は次のように推察される。単体又
は酸化物状態のMoは、酸化チタン等のセラミックス系
抗菌剤,銀錯体系抗菌剤等と同様にイオンとして溶出せ
ず、ある種の触媒として空気中の酸素又は水中の溶存酸
素を活性酸素に変化させる反応を促進させる。発生した
活性酸素は、菌体の表面構造に損傷を与え死滅させる。
【0006】
【実施の形態】本発明で対象とされるステンレス鋼は、
0.2〜10重量%の範囲でMoを含む限り鋼種が特定
されるものではなく、たとえばSUS430,SUS4
30LX,SUS434等のフェライト系ステンレス
鋼,SUS304,SUS304J1,SUS316等
のオーステナイト系ステンレス鋼,SUS410,SU
S420J2等のマルテンサイト系ステンレス鋼,SU
S629J1等の二相系ステンレス鋼等がある。
【0007】ステンレス鋼板の表層にMoを濃化又は露
出させる手段としては、高温域にステンレス鋼板を加熱
する光輝焼鈍等の熱処理が適している。焼鈍時にステン
レス鋼板が高温雰囲気に曝されると、Moの拡散が容易
に促進され、表層部や表面皮膜にまでMoが濃化され
る。その結果、Moに起因する抗菌作用が付与されたス
テンレス鋼板となる。他方、通常の焼鈍酸洗工程では、
焼鈍によって表層中にMo濃化層が生成しても、酸洗工
程でMo濃化層がスケールと共に除去されるため、酸洗
後のステンレス鋼板の表面にはMo濃化層のない表面皮
膜が生成し、抗菌作用のないステンレス鋼板になる。焼
鈍は、Moの拡散を促進させる上から600℃以上です
ることが好ましい。焼鈍温度が800℃に達しないと、
必要とするMoの拡散に長時間がかかり、生産性を低下
させる。逆に、1250℃を超える焼鈍温度では、ステ
ンレス鋼マトリックスの再結晶が促進され、工業的に使
用される結晶粒度を超える粗大粒組織となる。また、焼
鈍時にスケール層が厚くなり、焼鈍後の酸洗が困難にな
る。
【0008】Moは、焼鈍時に表面のスケール層直下に
濃化する傾向がある。そのため、ステンレス鋼板に光輝
焼鈍又は通常の焼鈍酸洗を施した後、研磨等で表面皮膜
を除去してMoの濃化層を露出させるとき、Moに起因
する抗菌性が発現される。このようなMoによる抗菌性
は、鋼材に含まれるMo含有量を0.2重量%以上と
し、表面皮膜又は表面層に単体又は酸化物として含まれ
るMoを0.2原子%以上又は1.0原子%以上にする
ことによって顕著になる。しかも、Moがイオン化して
溶出し難い元素であるため、抗菌作用は長期にわたり持
続される。本発明で使用されるステンレス鋼板は、0.
2〜10重量%のMoを含んでいる。Moは、前述した
抗菌作用の外に耐食性,強度の向上にも有効な合金成分
である。抗菌作用は、Mo含有量の増加に従って強くな
る。しかし、多量のMoが含まれると、製造性や加工性
が劣化する傾向が見られるので、本発明においてはMo
含有量の上限を10重量%に設定した。
【0009】Mo以外の合金成分としては、ステンレス
鋼に通常含まれるCr,Ni,C,Si,Mn,Cu等
がある。これら合金成分の含有量は、鋼種によって異な
るが、C:0.005〜0.50重量%,Si:0.1
〜3.0重量%,Mn:0.1〜4.0重量%,Cu:
0.1〜5.0重量%,Ni:0.05〜15.0重量
%,Cr:10.0〜25.0重量%に調整される。ま
た、炭窒化物形成元素としてTi,Nb,Zrをそれぞ
れ0.01〜1.0重量%,熱間加工性の改善に有効な
B,Ca,希土類元素をそれぞれ0.0005〜0.0
2重量%含ませることができる。Mo含有ステンレス鋼
板を焼鈍するとき、Moが拡散して表面皮膜や表層部に
濃化する。後工程に酸洗が入らない光輝焼鈍を採用する
と、Moが濃化した表面皮膜による抗菌性がステンレス
鋼板に付与される。通常の焼鈍では、脱スケールのため
の酸洗が後工程に入り、Moが濃化した表面皮膜が除去
されるが、この場合には酸洗で生じた表面皮膜を研磨等
で除去してMo濃化表面層を露出させることにより抗菌
性が回復する。Mo濃化表面層を露出させる研磨は、光
輝焼鈍されたステンレス鋼板にも適用できる。
【0010】
【実施例】表1に示した組成を持つ各種ステンレス鋼を
30kg真空溶解炉で溶製し、熱延した。得られた熱延
板を焼鈍し、冷延,大気焼鈍後酸洗又は光輝焼鈍を施
し、最終的に板厚0.8〜1.5mmのステンレス冷延
鋼板を製造した。なお、焼鈍酸洗では、通常の短時間焼
鈍をした後、混酸を用いた酸洗を施した。また、一部の
ステンレス鋼板については、#400のエメリー紙を用
いて研磨した。
【0011】
【0012】得られた各ステンレス鋼板から試験片を切
り出した。試験片を脱脂した後、X線電子分光分析装置
を用いて試料表面にMgKα線を照射し、各ピークの積
分強度から相対感度指数を用いて表面のMo濃度を算出
した。また、各ステンレス鋼板から切り出された試験片
を抗菌性試験に供した。抗菌性試験では、Staphy
lococcus aureus IFO12732
(黄色ブドウ球菌)を普通寒天培地で37±1℃,16
〜24時間前培養した試験菌を普通寒天培地に再度接種
し、37±1℃,16〜24時間培養した菌体を用意し
た。純水で500倍に希釈しpH7.0±0.2に調整
した普通ブイヨン培地に菌体を均一に分散させ、1ml
当りの菌数が2.0×105 〜1.0×106 となるよ
うに菌液を調製した。菌液0.5mlを試験片の表面に
滴下し、その上にポリエチレンフィルムをかぶせて密着
させた。この状態で試験片を、35±1℃,相対湿度9
0%以上の条件下で6時間又は24時間保存した。
【0013】保存後に、SCDLP(Soybean
Casein Digest Broth with
Lecitin and Polysorbate 8
0,日本製薬株式会社製)培地で試験片から菌類を洗い
出し、洗出し液の生菌数を標準寒天培地を用いた混釈平
板培養法(35℃,2日間培養)でカウントした。カウ
ントした生菌数を試験片1個当りに換算した。この試験
方法によるとき、初期の生菌数よりも6時間又は24時
間経過後の生菌数が減少しているほど、抗菌性が強いこ
とが判る。なお、試験に異常がないことを確認するた
め、参照としてプラスチックシャーレに菌液を直接滴下
し、同様に生菌数をカウントした。抗菌性は、試験後に
生菌数が検出されなかったものを◎,参照の生菌数と比
較して95%以上が死滅したものを○,60〜95%未
満の範囲で死滅したものを△,死滅量が60%未満のも
のを×として評価した。表面のMo濃度及び抗菌性の調
査結果を、素材ステンレス鋼板のMo含有量及び製造履
歴と併せて表2に示す。
【0014】
【0015】表2から明らかなように、光輝焼鈍ままの
ステンレス鋼板B1では抗菌作用が低いのに対し、同じ
光輝焼鈍まま材であっても表面のMo濃度を高めたステ
ンレス鋼板A1,A2では優れた抗菌性を示すことが確
認された。また、研磨したステンレス鋼板では、表面M
o濃度が1.0原子%以上になったときに優れた抗菌性
を示すことが確認された。次いで、十分な抗菌性をもつ
ことが判ったステンレス鋼板A1,A3,A9の試験片
に菌液を滴下した後でフィルムを密着させて6時間保存
した場合、及び上水流中に試験片を3日又は10日浸漬
した後で同様に24時間保存した場合それぞれについ
て、抗菌性試験結果を表3に示す。この試験条件下で
は、抗菌性試験時間が通常の保存時間(24時間)より
短時間(6時間)で抗菌性を発現した場合、抗菌性に速
効性があるものといえる。また、上水に浸漬した後でも
抗菌性の低下が検出されない場合には、抗菌性に持続性
があるものといえる。表3の試験結果から明らかなよう
に、本発明に従ったステンレス鋼板は、何れも6時間後
に生菌数が検出されず、また上水浸漬後でも十分な抗菌
作用を呈することから、抗菌性の持続性及び速効性の点
でも優れていることが判った。
【0016】
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のステン
レス鋼板は、素材のMo含有量を規制すると共に、表面
皮膜又は表層部に単体又は酸化物として含まれるMo濃
度を規制することにより、速効性及び持続性のある抗菌
性が付与されている。このステンレス鋼板は、その優れ
た抗菌性を活用し、厨房機器,病院で使用される各種機
材,バスや電車等の輸送機関の手摺り等として使用され
る。また、Mo添加によって耐食性が改善されているこ
とと相俟つて、パイプ等の水回り機材としてもメンテナ
ンスフリーの好適な材料となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材として0.2〜10重量%のMoを
    含み、Moが単体又は酸化物として表面皮膜中に0.2
    原子%以上で又は表層部に1.0原子%以上で濃化さ
    れ、該Mo濃化層が表面に露出していることを特徴とす
    る抗菌性を有するステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】 0.2〜10重量%のMoを含むステン
    レス鋼板を600〜1250℃で焼鈍し、表面皮膜中に
    0.2原子%以上で又は表層部に1.0原子%以上でM
    oを単体又は酸化物として濃化させることを特徴とする
    抗菌性を有するステンレス鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍後のステンレス鋼板を研磨し、1.
    0原子%以上のMoを単体又は酸化物として含む表層部
    を露出させる請求項2記載の抗菌性を有するステンレス
    鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の焼鈍が光輝焼鈍で
    ある抗菌性を有するステンレス鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の研磨が焼鈍酸洗後に行わ
    れる抗菌性を有するステンレス鋼板の製造方法。
JP5690198A 1998-03-09 1998-03-09 抗菌性を有するステンレス鋼板及びその製造方法 Withdrawn JPH11256279A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1306600A1 (en) * 2000-08-01 2003-05-02 Nisshin Steel Co., Ltd. Stainless steel oil feeding pipe
CN114401635A (zh) * 2019-08-29 2022-04-26 克劳生物技术股份有限公司 抗病原体组合物

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