JPH11256258A - Ni基単結晶超合金およびガスタービン部品 - Google Patents

Ni基単結晶超合金およびガスタービン部品

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JPH11256258A
JPH11256258A JP6365698A JP6365698A JPH11256258A JP H11256258 A JPH11256258 A JP H11256258A JP 6365698 A JP6365698 A JP 6365698A JP 6365698 A JP6365698 A JP 6365698A JP H11256258 A JPH11256258 A JP H11256258A
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single crystal
phase
alloy
less
gas turbine
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JP6365698A
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Inventor
Takehisa Hino
武久 日野
Hiroki Yamamoto
浩喜 山本
Kiyoshi Imai
潔 今井
Yutaka Ishiwatari
裕 石渡
Hiroaki Yoshioka
洋明 吉岡
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のNi基単結晶合金を改良することによ
り、より優れた高温強度、耐高温腐食性および耐酸化性
を有するNi基単結晶超合金を低コストで提供し、この
Ni基単結晶超合金をガスタービン部品に適用すること
により、ガスタービンの長寿命化を図ることを目的とす
る。 【解決手段】重量割合で、Co:5〜10%、Cr:4
〜12%、Mo:0.5〜3%、W:3〜8%、Al:
4〜7%、Ti:0.5%以下、Ta:3〜8%、R
u:0.5〜6%、Re:4%以下、Mg:100pp
m以下を含み、残部がNiおよび不可避的不純物からな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温強度、耐高温
腐食性および耐酸化性に優れたNi基単結晶超合金およ
びガスタービン部品に関するものであり、特にRuを添
加し、Ruおよび他添加元素種類ならびに添加量の最適
化を図ることにより相安定性を保持しつつ、より優れた
高温強度を有するNi基単結晶超合金についてのもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンエンジンの高出力、高効率
化にともなう燃焼温度の上昇によってタービン翼は、最
も厳しい使用環境に曝されている。そこで、タービン翼
の材料は、多結晶の普通鋳造合金から、応力軸方向の結
晶粒界を無くし高温強度を高めた一方向凝固合金に、さ
らに、結晶粒界を消失させることにより、熱処理特性低
下の原因であった粒界強化元素を除去し、最適な熱処理
によりγ′相の析出率を高めることで、高温強度をさら
に向上させた単結晶合金へと変遷を遂げてきた。
【0003】近年、耐熱合金の材料としてはNi基耐熱
合金が使用されている。Ni基耐熱合金は、γ相(Ni
マトリックス)中にγ′相(Ni(Al,Ti))を
析出させ、また、γ相およびγ′相にTa、Mo、Wお
よびReなどを固溶させることによって強化させた合金
である。
【0004】また、Niを主成分とする単結晶翼材料に
ついても、より一層のクリープ強度の向上を目指し、開
発が進められてきた。
【0005】第1世代単結晶合金は、Re未添加の合金
であり、この合金には、例えば特開昭59−19032
号公報に記載されているCMSX−2がある。
【0006】また、第2世代単結晶合金では、Reを3
%程度添加して第1世代単結晶合金より約30℃クリー
プ強度が優れている。第2世代単結晶合金には、例え
ば、米国特許第4,643,782号に記載されている
CMSX−4がある。
【0007】さらに、第3世代単結晶合金では、Reを
5〜6%程度含む合金が開発されており、例えば、特開
平7−138683号公報に記載されているCMSX−
10が挙げられる。
【0008】上述のように、合金組成にReを添加して
高温強度の向上を図ってきたが、これらの単結晶合金
は、主として航空機用ジェットエンジン、小型ガスター
ビンの分野でめざましく進歩してきた技術である。とこ
ろが、産業用の大型ガスタービンにおいても、燃焼効率
を向上させるために高温化とすることから、強度の高い
合金が必要とされてきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高温強
度の向上にReの添加を行っていたが、Reは合金中の
拡散温度が遅いこと、およびReは希少元素であり価格
が高いことから、大型である産業用ガスタービン動翼な
どのガスタービン部品に、Reを5〜6%程度含む第3
世代の単結晶合金をそのまま転用するには問題を有して
いた。
【0010】産業用ガスタービンは航空機用ジェットエ
ンジンと比較して、定期点検期間が長いこと、ならびに
使用期間が長いことから長時間の組織安定性が必要とさ
れる。
【0011】しかしながら、産業用ガスタービン動翼な
どのガスタービン部品は、航空機用のエンジン用動翼な
どのエンジン部品に比べ大型であり、熱処理を行うこと
は困難であるため、合金中に均等にReを拡散させるこ
とは難しい。このため、Reは長時間の使用により、R
e−Cr−W相などの脆化相であるTCP(Topolo-gic
ally Close-Packed phase)相を析出し、強度を低下さ
せてしまうという問題を有していた。
【0012】また、Reは希少元素であり価格が高いた
めに、コスト上昇の原因となっており、第3世代の単結
晶合金を適用するには問題を有していた。
【0013】一方、単結晶翼は製造過程において入る歪
みにより強度に悪影響を及ぼす再結晶が生じやすく、特
に、産業用ガスタービン動翼のような大きな翼の製造過
程において生じやすい。このため翼形状が大型化すれ
ば、歩留まり率が下がり、製造コストが高騰するという
問題を有してした。
【0014】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、第2世代のNi基単結晶超合金
にRuを添加し、Ruおよび他添加元素種類ならびに添
加量の最適化を図ることで相安定性を保持しつつ、より
優れた高温強度を有するNi基単結晶超合金を低コスト
で提供することを目的とする。
【0015】また、γ基地中に析出させるγ′相を規定
するなどにより、耐酸化性、高温腐食性および長時間の
相安定などの特性に優れたNi基単結晶超合金をガスタ
ービン動翼および静翼などのガスタービン部品に適用す
ることにより、低コストで長寿命化を図ったガスタービ
ン部品を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のNi基単
結晶超合金は、重量割合で、Co:5〜10%、Cr:
4〜12%、Mo:0.5〜3%、W:3〜8%、A
l:4〜7%、Ti:0.5%以下、Ta:3〜8%、
Ru:0.5〜6%、Re:4%以下、Mg:100p
pm以下を含み、残部がNiおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする。
【0017】請求項2記載のNi基単結晶超合金は、重
量割合で、Co:8〜10%、Cr:6〜10%、M
o:1〜2%、W:4〜6%、Al:5〜6%、Ti:
0.5%以下、Ta:4〜6%、Ru:1〜3%、R
e:4%以下、Mg:100ppm以下を含み、残部が
Niおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0018】請求項1および2記載の発明において、合
金組成における各添加元素の効果および組成限定理由を
述べる。
【0019】Co(コバルト)には、Cr(クロム)、
W(タングステン)およびRe(レニウム)などの添加
により生ずる機械的特性に有害な脆化相の析出を抑制
し、かつ耐高温腐食性を向上させる作用がある。本発明
においては、Coの含有量を5〜10%と規定したが、
含有量が5%未満であると上述した効果を十分に得るこ
とができず、また、含有量が10%を超えると、γ′相
の析出を抑制し高温強度を低下させるためである。さら
に好ましくは、Coの含有量を8〜10%とすると良
い。
【0020】Cr(クロム)は、高温腐食性を向上させ
る作用を有する元素である。本発明において、Crの含
有量を4〜12%と規定したが、含有量が4%未満では
所望の耐高温腐食性を確保できず、また、含有量が12
%を越えるとγ′相の析出が抑制されるようになるばか
りでなく、前述したTCP相(σ相)と呼ばれる望まし
くない脆化相が生成し、高温強度を低下させるためであ
る。さらに好ましくは、Crの含有量を6〜10%とす
ると良い。
【0021】Mo(モリブデン)は、γ相に固溶してγ
相を強化する元素である。本発明において、Moの含有
量を0.5〜3%と規定したが、含有量が0.5%未満
では所望の効果を発揮することができず、また、含有量
が3%を越える場合には、脆化相であるTCP相(α−
Mo相)を生じてクリープ破断強度を低下させるためで
ある。さらに、好ましいMoの含有量は、1〜2%とす
ると良い。
【0022】W(タングステン)は、γ相およびγ′相
に固溶して両相を固溶強化する元素である。本発明にお
いて、Wの含有量を3〜8%と規定したが、最低3%は
必要であり、含有量が3%未満では強度が著しく低下
し、8%を越える添加は、α−W、Re−W相およびR
e−Cr−W相などのTCP相を析出し、クリープ破断
強度を低下させてしまうためである。さらに、好ましい
Wの含有量は、4〜6%である。
【0023】Al(アルミニウム)は、高温強度に寄与
するγ′相を生成する主要合金元素であり、また表面に
Al酸化物を形成することによって耐酸化性向上にも寄
与する元素である。本発明において、Alの含有量を4
〜7%と規定したが、Alの含有量が4%未満である
と、良好なクリープ破断強度を得るのに十分な体積率の
γ′相が生成できず、また耐酸化性も低下するためであ
る。また含有量が7%を越えると共晶γ′量が増加し、
溶体化処理が困難になり、クリープ破断強度が低下する
ためである。また、さらに好ましくは、Alの含有量を
5〜6%とすると良い。
【0024】Ti(チタン)は、γ′相中のAlと置換
し、得られる相はNi(Al,Ti)となるために、
γ′相の固溶強化に役立つ元素である。本発明におい
て、Tiの含有量を0.5%以下と規定したが、Tiを
過度に添加すると、共晶γ′相の生成またはNiTi
相(η相)の析出を促し、クリープ破断強度を低下させ
てしまうためである。また合金の長時間の裸使用におい
て、合金表面直下に生成するTiの窒化物は低サイクル
疲労特性に対しても悪影響を及ぼし、また耐酸化性に対
しても有害であるためである。
【0025】Ta(タンタル)は、主としてγ′相に固
溶してγ′相を強化するとともに耐酸化性を付与する元
素である。本発明において、Taの含有量を3〜8%と
規定したが、含有量が3%未満であると合金の強度が低
くなり、含有量が8%を超えると共晶γ′相を固溶させ
ることが困難となり、クリープ破断強度が低下するため
である。また、さらに好ましくは、Taの含有量を4〜
6%とすると良い。
【0026】Ru(ルテニウム)は主としてγ相の強化
元素である。本発明において、Ruの含有量を0.5〜
6%と規定したが、含有量が0.5%未満ではその効果
を得られず、密度が高く、含有量が6%を超える場合に
は合金の比重をあげ、比強度を下げること、またWおよ
びMo等と脆化相(Ru−Mo,Ru−W相)を形成し
てクリープ強度を低下させるためである。また、さらに
好ましくは、Ruの含有量を1〜3%とすると良い。
【0027】Re(レニウム)は、主としてγ相の強化
元素であり、耐高温腐食性を高める元素である。本発明
においては、Reの含有量を4%以下と規定したが、R
eの密度が高く、4%を超える添加はRe−W相および
Re−Cr−W相等のTCP相を生成するためである。
また、ReはRuと同様に希少元素であり、過度の添加
は合金の価格を引き上げてしまうため、Reの含有量を
4%以下と規定した。
【0028】Mg(マグネシウム)は、硫黄分を硫化物
として固定し、合金中の耐高温腐食性を低下させるS
(硫黄)を減少させる元素である。本発明においては、
Mgの含有量を100ppm以下と規定したが、100
ppmを超える過度の添加は、粗大化した硫化物が低サ
イクル破断特性に悪影響を及ぼすためである。
【0029】請求項3記載のNi基単結晶超合金は、請
求項1および2記載のNi基単結晶超合金において、重
量割合で、Yを0.5%以下含有することを特徴とす
る。
【0030】本発明においてY(イットリウム)を添加
したが、Yは酸化被膜の密着性を向上させる効果を持つ
元素である。耐酸化性向上のためには、高温で運転中タ
ービン翼上に生成する酸化被膜の密着性を向上させる必
要があるが、Yはタービン翼上に生成する酸化被膜の密
着性を向上させる効果を有する。本発明においてYの含
有量を0.5%以下と規定したが、含有量が0.5%を
超えた場合、特に1%以上の場合は逆に酸化速度を上昇
し、耐酸化性を低下させるためである。
【0031】請求項4記載のNi基単結晶超合金は、請
求項1から3までのいずれかに記載のNi基単結晶超合
金において、重量割合で、Hfを0.5%以下含有する
ことを特徴とする。
【0032】本発明においてHf(ハフニウム)を添加
したが、Hfは、一方向凝固超合金などに添加される粒
界強化元素である。従来のNi基単結晶合金ではまった
く添加されないものであるが、単結晶タービン翼鋳造時
に生成する異結晶や、その後の熱処理および加工により
生じる再結晶の粒界を強化するため、本発明の合金では
非常に少量添加されている。従来のNi基単結晶合金で
は粒界強化元素を含んでいないため、異結晶や再結晶を
もったタービン翼はすべて廃棄されていた。このため
に、粒界強化元素を添加することにより粒界が十分に強
化され、異結晶や再結晶を有するタービン翼でも許容さ
れるようになり、廃棄品の割合を低下させることによっ
て製品の生産性を向上させる。しかしながら、Hfは合
金の融点を下げる働きがあるため、0.5%を超える添
加は局部溶解温度を低下させ、熱処理を困難とするた
め、0.5%以下と規定した。
【0033】請求項5記載のNi基単結晶超合金は、請
求項1から4までのいずれかに記載のNi基単結晶超合
金において、体積率で、γ基地中にγ′相を55%以上
析出させた組織を有することを特徴とする。
【0034】本発明において、Ni基単結晶超合金を製
造する際に施す熱処理により、γ基地中に析出するγ′
相の割合は異なってくるが、γ基地中にγ′相を55%
以上析出させることにより、高温強度、耐酸化性および
高温腐食性などの優れた特性を有するNi基単結晶超合
金を得ることができる。
【0035】請求項6記載のガスタービン部品は、構成
材料が請求項1から5までのいずれかに記載のNi基単
結晶超合金により構成された。
【0036】本発明において、優れた特性を有するNi
基単結晶超合金をガスタービン動翼および静翼などのガ
スタービン部品に適用することにより、ガスタービンの
長寿命化を図ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を表1お
よび図1〜図4を用いて説明する。
【0038】実施例(表1:試料No.1〜3) 本実施例においては、表1に示す試料No.1〜No.
3の成分組成範囲のNi基単結晶合金を用いた。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、試料No.1〜No.
3の合金は、重量%で、Co:5〜10%、Cr:4〜
12%、Mo:0.5〜3%、W:3〜8%、Al:4
〜7%、Ti:0.5%以下、Ta:3〜8%、Ru:
0.5〜6%、Re:4%以下、Mg:100ppm以
下、Y:0.1%以下、Hf:0.5%以下を含有し、
残部をNiおよび不可避的不純物とした成分を有する。
【0041】比較例(表1:試料No.4〜22) 本比較例では、表1に示す試料No.4〜No.22の
成分組成範囲のNi基単結晶合金を用いた。
【0042】表1に示すように、試料No.4〜No.
22の合金は、本発明の成分組成範囲にない組成を有す
るものである。
【0043】従来例(表1:試料No.23(CMSX
−4)) 本従来例においては、表1に示す試料No.23の第2
世代単結晶合金であるCMSX−4を用いた。CMSX
−4の成分組成は、表1に示すとおりである。
【0044】具体的には、CMSX−4の合金は、重量
%で、Co:9.0%、Cr:6.5%、Mo:0.6
%、W:6.0%、Al:5.6%、Ti:1.0%、
Ta:6.5%、Re:3.0%を含有し、残部はNi
および不可避的不純物から構成される。
【0045】実施例および比較例の成分組成を有する合
金について、各試験片を作成するために、あらかじめ表
1に示す組成になるように、原材料を適切な割合として
真空溶解により精練後、再溶解用インゴットを作り、こ
れを直径100×1000mm程度のメルティングスト
ックに鋳造した。このメルティングストックを必要量に
小割りし、その後、高速凝固法により直径13×100
mm円柱形状の単結晶合金を鋳造した。その後、図1に
示す溶体化処理および時効処理を施した後、加工を施し
て試験片を得た。
【0046】図1は、実施例および比較例の熱処理シー
ケンスを示す図である。
【0047】図1に示すように、実施例および比較例で
ある試料No.1からNo.22までの22種類の合金
は、まず、1260〜1280℃の温度で1時間の予備
加熱を施した後、1280〜1300℃の温度で5時間
の溶体化熱処理を施した。
【0048】溶体化熱処理後、室温まで試験片を空冷
し、γ′相析出を目的とした1段時効熱処理を1100
℃の温度域で4時間行い、その後、空冷した後つづいて
γ′相安定化を目的とした2段時効熱処理を870℃の
温度で20時間実施した後、空冷を行った。
【0049】このようにして得られた試験片に対して、
耐酸化性試験、耐高温腐食性試験およびクリープ破断試
験を実施した。
【0050】耐酸化性試験については、大気雰囲気中下
において950℃の温度で9時間加熱後、1時間冷却と
いう熱サイクルを100回反復し、質量変化を測定し
た。
【0051】また、耐高温腐食性試験では、75%Na
SO+25%NaClの組成を有する温度900℃
に加熱した溶融塩中に試験片を20時間浸漬した後、脱
スケールを行い、重量減少を測定した。
【0052】クリープ破断試験では、試験片を大気中に
て温度1100℃、14kgf/mmの条件下とし、
破断寿命を測定した。その結果を図2〜図4に示す。
【0053】図2は、実施例、比較例および従来例のク
リープ試験結果を示す図である。
【0054】図2に示すように、比較例の合金のうち、
Co添加量の少ない試料No.4の合金は、Re−Cr
−W相の生成によりクリープ破断寿命の低下が見られ
た。また、AlおよびTi添加量の少ない試料No.1
7の合金は、γ′相析出量の低下により、クリープ破断
寿命が低下した。さらに、Cr、Mo、TaおよびWの
添加量の少ない試料No.6、No.8、No.10お
よびNo.15の合金では、固溶強化度が低下すること
によりクリープ破断強度が低下していた。
【0055】逆に実施例の合金に対しAlおよびTiの
含有量が多いNo.18およびNo.19の合金は熱処
理後、未固溶のγ′や共晶γ′が残留し、図2に示すよ
うにクリープ破断寿命が低下した。また、Re、Mo、
WおよびRuの含有量が多いNo.12、No.9、N
o.11およびNo.14の合金は、α−(W,Mo)
相、Re−Cr−W相、Re−Mo相およびRu−Mo
相の析出によりクリープ破断寿命が短くなっていた。さ
らに、Cr添加量の多いNo.7の合金では、針状のT
CP相(σ相)の生成によりクリープ破断寿命が低下し
ていた。
【0056】図3は、実施例、比較例および従来例の酸
化試験結果を示す図である。
【0057】図3に示すように、耐酸化性については、
Al含有率が低いNo.17の合金およびTi添加量の
高いNo.19の合金では、耐酸化性が低下した。ま
た、YおよびHfを添加していない合金およびS濃度が
高い合金についても耐酸化性に有効な酸化被膜の剥離が
おこり、耐酸化性が低下していた。
【0058】図4は、実施例、比較例および従来例の高
温腐食試験結果を示す図である。
【0059】図4に示すように、耐高温腐食性について
は、Crの含有量が低いNo.6およびReの添加量の
少ない合金について、高温腐食量が増加して耐高温腐食
性の低下がみられた。
【0060】これに対して、実施例における合金はA
l、Ti、W、Ta、Mo、RuおよびReの合金元素
をバランスよく添加しているため、熱処理後の未固溶
γ′相およびγ′共晶の残留がなく、また脆化相である
α−(W,Mo)およびRe−W、Re−Mo、Re−
Cr−W相の析出も見られず、図2に示すようにクリー
プ破断寿命が従来例の合金にくらべ優れた値を示した。
また、Crの含有率を耐食性を保持するのに必要量添加
していること、またYおよびHfを添加し、S濃度を低
くしたことにより、図3および図4に示すように、耐高
温腐食性および耐酸化性についても比較例の合金に対
し、良好な結果を示した。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明によるNi基単結
晶超合金およびガスタービン部品によれば、優れたクリ
ープ破断寿命、耐高温腐食性および耐酸化性を有し、こ
のNi基超合金をガスタービン翼などのガスタービン部
品に適用することにより、ガスタービンの長寿命化に大
きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における、実施例および比較
例の熱処理シーケンスを示す図。
【図2】本発明の実施形態における、実施例、比較例お
よび従来例のクリープ試験結果を示す図。
【図3】本発明の実施形態における、実施例、比較例お
よび従来例の酸化試験結果を示す図。
【図4】本発明の実施形態における、実施例、比較例お
よび従来例の高温腐食試験結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 裕 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 吉岡 洋明 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合で、Co:5〜10%、Cr:
    4〜12%、Mo:0.5〜3%、W:3〜8%、A
    l:4〜7%、Ti:0.5%以下、Ta:3〜8%、
    Ru:0.5〜6%、Re:4%以下、Mg:100p
    pm以下を含み、残部がNiおよび不可避的不純物から
    なることを特徴とするNi基単結晶超合金。
  2. 【請求項2】 重量割合で、Co:8〜10%、Cr:
    6〜10%、Mo:1〜2%、W:4〜6%、Al:5
    〜6%、Ti:0.5%以下、Ta:4〜6%、Ru:
    1〜3%、Re:4%以下、Mg:100ppm以下を
    含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを
    特徴とするNi基単結晶超合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のNi基単結晶超
    合金において、重量割合で、Yを0.5%以下含有する
    ことを特徴とするNi基単結晶超合金。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    Ni基単結晶超合金において、重量割合で、Hfを0.
    5%以下含有することを特徴とするNi基単結晶超合
    金。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    Ni基単結晶超合金において、体積率で、γ基地中に
    γ′相を55%以上析出させた組織を有することを特徴
    とするNi基単結晶超合金。
  6. 【請求項6】 構成材料が請求項1から5までのいずれ
    かに記載のNi基単結晶超合金により構成されたガスタ
    ービン部品。
JP6365698A 1998-03-13 1998-03-13 Ni基単結晶超合金およびガスタービン部品 Pending JPH11256258A (ja)

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