JPH11253115A - セルロ―ス含有複合体 - Google Patents

セルロ―ス含有複合体

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JPH11253115A
JPH11253115A JP11002863A JP286399A JPH11253115A JP H11253115 A JPH11253115 A JP H11253115A JP 11002863 A JP11002863 A JP 11002863A JP 286399 A JP286399 A JP 286399A JP H11253115 A JPH11253115 A JP H11253115A
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cellulose
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悦雄 鎌田
Nobuyoshi Mochihara
延吉 持原
Koichiro Enatsu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に分散させたときの粘度が低く、か
つ、懸濁安定性に優れるだけでなく、食感、懸濁安定
性、保形性、油脂代替特性、経管流動食の流動性などの
機能が優れるとともに、水不溶性と水溶性の両方の食物
繊維効果を兼ね備えた食物繊維素材、およびそれを含む
食品組成物を提供すること。 【解決手段】 水に分散させたとき平均粒径が30μm
以下となる微細セルロース20〜99重量%と難消化性
デキストリン1〜80重量%からなる複合体、および、
該複合体を含有する食品組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細セルロース含
有複合体に関する。さらに詳しくは、特定の微細セルロ
ースと低粘度水溶性食物繊維を含有し、食感、保形性、
流動食の流動性などの機能が優れるとともに、食物繊維
効果、油脂代替効果にも優れた微細セルロース含有複合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロースは、懸濁安定性付与、
乳化安定性付与、保形性付与、クラウディー性付与、食
物繊維摂取など種々の目的で食品に配合されてきた。し
かし、安定剤等として、セルロースを単独で用いると、
添加効果が不十分であったり、ややざらつきのある食感
が感じられる場合があった。また、腸管内における食物
繊維作用は水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とで異な
るし、自然界の食物繊維が通常水不溶性と水溶性の食物
繊維の複合体であることから、食物繊維素材としては両
者の併用が好ましいと言われている。しかし、食品に配
合するのに適した低い粘度を有し、低粘度で、食感が良
好で、かつ、安定性の良い食物繊維用の素材は見あたら
ない。
【0003】特公昭57−14771号公報では、微結
晶セルロースと、分散剤(ガム類)と崩壊剤を特定の割
合で含有する複合体についての記載があるが、ガム類の
種類によっては粘度が高いため、糊状感のある重い食感
となる場合があった。例えば結晶セルロース製剤として
市販されている「アビセル」(商品名)RC−591
(旭化成工業(株)製)は、結晶セルロースとともに分
散剤としてカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを
含有するが、3%濃度で水に分散させたときの粘度が1
200mPa・sと高かった。
【0004】特公平6−75474号公報では微結晶セ
ルロースとガラクトマンナンガムよりなる組成物が記載
されている。しかし、この組成物に使用されるガラクト
マンナンガムは分解処理を施していない通常のガムであ
り、微結晶セルロースのバインダーとして作用するため
に、組成物を水中で撹拌しても膨潤するのみで、組成物
粒子は崩壊せず、もとの状態を維持する。そのためこの
組成物は脂肪に似た口当たりを与え、食品用の脂肪代替
物として適していると言われている一方で、水中での懸
濁安定性は低かった。
【0005】特開平6−135838号公報には、非水
溶性食物繊維として結晶セルロース、および水溶性食物
繊維としてグアガム酵素分解物を含有する経口経管栄養
組成物に関する発明が記載されている。しかし、この組
成物においては、結晶セルロースとグアガム酵素分解物
が、複合体を形成しておらず、別々に添加されて組成物
を形成しているだけなので、結晶セルロースのざらつき
感を抑えることが充分ではなく、また、チューブの流下
性は充分ではなかった。
【0006】特開平7−173332号公報、特開平7
−268129号公報には粒径10μm以上の粒子が4
0%以下であり、かつ、微粒子量のひとつの尺度である
コロイド分画が65%以上であるところの、微細セルロ
ースと親水性物質および/もしくは水溶性ガムとからな
る複合体が記載されており、親水性物質としてポリデキ
ストロース、水溶性ガムとしてキサンタンガムが例示さ
れている。しかしながら、これらはコロイド分画が高い
ために粘度が高く、飲料等の食品に1%以上配合する
と、食感が重くなり、また、経管流動食に使用した場合
には、充分な速度で流下させることが困難であった。
【0007】一方、上記特開平7−173332号公報
および特開平7−268129号公報には親水性物質と
してデキストリン類が例示されている。デキストリンと
はデンプンを酸、酵素、熱、その他の作用で部分加水分
解する際に生じる一群の中間生成物を意味し、商業上の
意味では乾式法による焙焼デキストリンを指すことが多
い(桜井芳人編、「総合食品辞典(第六版)」(同文書
院発行)、p617〜618(1989))。該特許明
細書にはデンプン加水分解物がデキストリン類と併記さ
れていることから、デキストリン類とは焙焼デキストリ
ンのことを意味する。ところで焙焼デキストリンには酸
を触媒にして加熱分解した白色および黄色デキストリン
と、酸を使用せず熱だけで分解したブリティッシュガム
とがあり、これらは難消化性成分を有することが知られ
ている。しかしながら、難消化性成分の含量は最大で4
0%程度であり、半分以上が消化性である。(K.Oh
kuma et.al.,Denpun Kagak
u,37(2),p107−114(1990))つま
り、デキストリン類として一般に知られていたものは消
化性のものであった。しかしながら、本発明で使用の難
消化性デキストリンは後述の通り難消化性であることか
ら、該発明で使用のデキストリン類とは異なる物質であ
り、難消化性であるが故に本発明においては本発明の食
物繊維素材として意味をなす。
【0008】特開平7−70365号公報には粒径10
μm以上の粒子が40%以下であり、かつ、コロイド分
画が50%以上であるところの、微細セルロースとポリ
デキストロースとの複合体に関する記載がある。この複
合体は低粘度であるが、長期間の懸濁安定性に欠けてい
た。また、セルロース粒子が微細であるために乳蛋白等
とインタラクションしやすく、ポリデキストロースがそ
れらを抑える効果に乏しいため、系が凝集する傾向があ
った。また、該発明においてもデキストリン類の使用の
記載があるが、前述と同じ理由で、本発明の難消化性デ
キストリンとは異なる物質であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水に分散さ
せたときの粘度が低く、懸濁安定性に優れるだけでな
く、食感、懸濁安定性、保形性、経管流動食の流動性な
どの機能が優れるとともに、水不溶性と水溶性の両方の
食物繊維の効果を兼ね備えた微細セルロース含有複合
体、およびそれを含む食品を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の微
細セルロースと難消化性デキストリンを含有する複合体
が、水に分散させたときの粘度が低く、また、微細セル
ロースの平均粒径が小さいために、食品に使用した場
合、重い食感を呈することなく、保形性など食品の安定
性にも寄与することを見いだし、本発明をなすに至っ
た。
【0011】即ち、本発明は以下の通りである。
【0012】(1)微細セルロース20〜99重量%と
低粘度水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリ
ン1〜80重量%を含む微細セルロース含有複合体であ
って、該複合体を水に分散させたときの微細セルロース
の平均粒径が30μm以下である上記複合体。
【0013】(2)安定化剤として、キサンタンガム及
び/又はジェランガムを0.1〜3重量%含むことを特
徴とする(1)の複合体。
【0014】(3)微細セルロース含有複合体の3重量
%の懸濁液の粘度が300mPa・s以下である上記
(1)〜(2)の複合体。
【0015】(4)微細セルロース含有複合体のコロイ
ド分画が65%未満である上記(1)〜(3)記載の複
合体。
【0016】(5)微細セルロース20〜99重量%と
難消化性デキストリン1〜80重量%を、水分を含有す
る状態で混合し、次いで、乾燥することを含む微細セル
ロース含有複合体の製造方法。この方法は上記(1)〜
(4)のいずれかの微細セルロース含有複合体の製造方
法として適している。
【0017】(6)解重合処理したセルロース20〜9
9重量%と難消化性デキストリン1〜80重量%を、水
分の含有する状態で混合と磨砕を同時に施し、次いで、
乾燥することを含むセルロース含有体の製造方法。この
方法は上記(1)〜(4)のいずれかの微細セルロース
含有複合体の製造方法として適している。
【0018】(7)上記(1)〜(4)のいずれかの微
細セルロース含有複合体を配合してなる食品。
【0019】(8)上記(1)〜(4)のいずれかの微
細セルロース含有複合体を配合してなる食品であって、
かつ、該複合体は崩壊して、個々の微細セルロースの粒
子の状態で分散している上記食品。
【0020】(9)食品が経管流動食である上記(8)
の食品。
【0021】以下、本発明につき詳しく説明する。
【0022】本発明の微細セルロース含有複合体とは、
単に微細セルロースの粉末と難消化性デキストリンの粉
末を混合したものではなく、粒子1個の中に1個以上の
微細セルロース粒子と難消化性デキストリンとその他の
成分を含有し、かつ、微細セルロース粒子の周囲に難消
化性デキストリンが存在しているという構造を有する粒
子、およびその粒子の群からなる乾燥粉末のことを意味
する。
【0023】本発明の微細セルロース含有複合体は、水
中で撹拌すると、複合体の形態のまま水中に分散するの
でなく、複合体は崩壊して、個々の微細セルロース粒子
の状態で分散するのが特徴である。
【0024】微細セルロース含有複合体を水中で1%濃
度で攪拌して分散させたときの微細セルロースの平均粒
径は、30μm以下であることが必要である。このとき
の粒度分布における粒径10μm以上の粒子の割合は8
0%以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒
径が20μm以下であって、粒径10μm以上の粒子の
割合が70%以下である。さらに好ましくは平均粒径が
3〜10μmであって、粒径10μm以上の粒子の割合
が50%以下である。平均粒径が30μmを超えると、
喫食した場合、口中でザラツキ感が感じられるととも
に、安定性などの機能が低下する。平均粒径が小さいほ
どザラツキ感は改良される傾向にあるが、3μm未満だ
とコロイド分画が増え、粘度が上がる場合があり、好ま
しくない。
【0025】また、本発明の微細セルロース含有複合体
は低粘性であり、それは3%濃度で水に分散させて測定
したときの粘度が低いこと、好ましくは300mPa・
s以下であることを意味する。粘度が300mPa・s
を超えると、食感が重くなる傾向がある。特に、経管流
動食に配合する場合には、一定の値以上の流動速度で、
具体的には複合体を1.5%程度配合した流動食を、内
径1mmφ以下のチューブで流下させたとき、200g
/hr以上の流動速度で流下させることが困難となり、
また、クランプを絞って流動速度を一定の値、例えば1
70g/hrに調節したとき、クランプ部で流動食が詰
まりやすくなる。粘度は、好ましくは、100mPa・
s以下であり、さらに好ましくは、50mPa・s以下
である。
【0026】難消化性デキストリンとは、例えば酸の存
在下でデンプンを加熱し、焙焼デキストリンとした後、
酵素分解処理したり、あるいはさらにイオン交換樹脂に
て分画を行うことによって得られるもので、食物繊維の
平均分子量が500から3000程度、グルコース残基
がα−1,4、α−1,6、β−1,2、β−1,3、
β−1,6−グルコシド結合で結合し、還元末端の一部
はレボグルコサン(1,6−アンヒドログルコース)で
ある分岐構造の発達した難消化性の物質である。市販品
としては「パインファイバー」(商品名)、「ファイバ
ーソル2」(品名)(松谷化学工業(株)製)などが使
用できる。これらは水溶液の粘度が低いこと、および通
常のデンプン類と異なり、難消化性である点が特徴であ
る。本発明で使用の難消化デキストリンは、水に溶解し
たときに低粘度を示すことが特徴である。難消化性デキ
ストリンを10%濃度に溶解させたときの水溶液の粘度
は300mPa・s以下、好ましくは、100mPa・
s以下であり、特に好ましくは10mPa・s以下であ
る。一般に低粘度の水溶液を与えるデンプンとして、デ
ンプン加水分解物(HCS)、デキストリン、マルトデ
キストリンと呼ばれるものがあるが、これらは消化性で
ある点、本発明で使用される難消化性デキストリンとは
異なる。本発明で使用される難消化性デキストリンは食
物繊維分、つまり難消化性成分を50%以上含有するも
のを使用し、さらに好ましくは70%以上含有するもの
を使用する。
【0027】キサンタンガムは、グルコース残基がβ−
1,4−グルコシド結合で直鎖状に連なった、セルロー
スと同等の分子構造の主鎖を持ち、α−D−マンノー
ス、β−D−グルクロン酸、β−D−マンノースが結合
した三糖が側鎖として、主鎖のグルコース残基ひとつお
きに結合した構造を持つ。この三糖類にはアセチル基と
ピルビン酸基が結合している。分子量は約100万以上
である。
【0028】ジェランガムは1,3結合したβ−D−グ
ルコース、1,4結合したβ−D−グルクロン酸、1,
4結合したβ−D−グルコース、1,4結合したα−L
−ラムノースの4分子の糖を構成単位とする直鎖状の高
分子であり、この1,3結合したグルコース残基にグリ
セリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合し
た、ネイティブ型ジェランガムと呼ばれるものである。
分子量は60万〜70万程度。市販品としては「ケルコ
ゲル」(商品名)LT−100(三栄源エフ・エフ・ア
イ社)などが使用できる。
【0029】本発明の微細セルロース含有複合体は、微
細セルロース20〜99重量%と難消化性デキストリン
1〜80重量%を含有する。微細セルロースが20重量
%未満では、焼き菓子焙焼時の保形性付与などの安定剤
としての効果が十分でない。微細セルロースが99重量
%を超えると、ざらつき感を感じたり、もさもさした感
じになり、食感的に好ましくない。また、難消化性デキ
ストリンが1重量%未満では、複合体を水中で撹拌して
も、個々の微細セルロース粒子に分散しにくい。難消化
性デキストリンが80重量%を超えると、安定剤として
の効果が十分でないというだけではなく、べたついた食
感となり好ましくない。
【0030】本発明の微細セルロース含有複合体は、好
ましくは、微細セルロース40〜90重量%、難消化性
デキストリン10〜60重量%とを含み、特に好ましく
は、微細セルロース50〜85重量%、難消化性デキス
トリン15〜50重量%とを含む。
【0031】本発明の微細セルロース含有複合体には、
微細セルロースと難消化性デキストリン以外に、単糖
類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デンプン類、可溶性
デンプン、デンプン加水分解物、油脂類、蛋白類、食
塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、酸味
料、香料、色素など食品に使用できる成分を適宜配合す
ることは自由である。特に、複合体の分散状態を調整す
るために、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシ
メチルセルロース・ナトリウム、ジェランガムなど、食
品に利用される増粘安定剤や、糖類、可溶性デンプン、
デンプン加水分解物などのデンプン類、ガラクトマンナ
ン分解物、ペクチン分解物、ポリデキストロースなどの
水溶性食物繊維類を単独で、あるいは併用して配合する
ことも効果的である。なおこれらの成分は、複合体製造
時に添加しても良いし、複合体製造後に添加しても構わ
ない。配合量は安定性等の機能と粘度のバランスで適宜
決定されるべきものである。例えば、安定化剤としてキ
サンタンガムを配合する場合は、0.1〜3%以下、ジ
ェランガムは1%以下の配合で好ましい結果を得ること
ができる。特に、それらの配合量として好ましいのは複
合体に対して0.1〜2.5重量%の配合である。
【0032】本発明の微細セルロース含有複合体は、コ
ロイド分画が低い方が好ましい。コロイド分画が高くな
ると粘度が高くなってしまう。好ましくは85%以下、
より好ましくは65%未満、特に好ましくは5〜50%
である。
【0033】本発明における微細セルロースと難消化性
デキストリンからなる複合体は、微細セルロースと難消
化性デキストリンを単に粉末状態のまま混合したもので
はなく、微細セルロースと難消化性デキストリンを水分
の含有する状態、つまり、スラリー状、ペースト状、ゲ
ル状、ケーク状で混合した後、乾燥して得られるもので
ある。水分のある状態で混合することによって、微細セ
ルロース粒子の表面を難消化性デキストリンとよくなじ
ませることが肝要である。この後、乾燥工程を経ること
によって、おそらく微細セルロース粒子と難消化性デキ
ストリンとの間に相互作用が生じ、水中に攪拌した際に
個々に分散した微細セルロース粒子の表面には、難消化
性デキストリンの一部が付着して残るものと推察され、
その結果として複合体の水分散液は単にそれらを混合し
たものと比べ粘度が低下し、また、チューブを流下する
際のクランプ部での詰まりが低減するのである。乾燥す
る前の混合物の水分含量は、混合物総重量の約30重量
%以上であることが好ましい。水分含量が低いと、微細
セルロースと難消化性デキストリンを充分に混合するの
に時間を要するために好ましくない。より好ましい水分
含量は約50重量%以上である。
【0034】本発明の微細セルロース含有複合体の製法
について具体的に説明する。
【0035】本発明の微細セルロース含有複合体は、例
えば、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀
物もしくは果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を
酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエ
クスプロージョン分解、亜臨界水あるいは超臨界水によ
る加水分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重
合処理して平均重合度30〜375とし、次いで、機械
的なシア(剪断力)をかけて磨砕し、微細セルロースと
した後、難消化性デキストリンを添加して混合後、乾燥
することによって得ることができる。解重合処理したセ
ルロースに難消化性デキストリンを添加後、機械的なシ
アをかけて磨砕と混合を同時に行う、いわゆる湿式共磨
砕した後、乾燥し、微細セルロースを含む複合体とする
ことは特に好ましい。また、本発明の微細セルロース含
有複合体はセルロース系素材に化学的処理を施さずに、
あるいは弱い化学的な処理を施した後、機械的なシアを
かけ湿式磨砕を行うか、あるいは粉砕することによって
得ることができる、木材パルプやバクテリアセルロース
等を原料とした微小繊維状セルロース、あるいは粉末セ
ルロースを難消化性デキストリンと共に水分の存在下で
混合および/もしくは磨砕した後、乾燥し、微細セルロ
ースを含む複合体として得られるものであっても良い。
【0036】湿式磨砕機械は、系に存在する水分量、セ
ルロースの微細化の程度により自由に選択される。
【0037】例えば、平均粒径が8μm以下の微細セル
ロースを得るような充分な機械的シアをかける場合は、
媒体攪拌ミル類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動
ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボール
ミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の
他、高圧ホモジナイザー等が用いられる。高圧ホモジナ
イザーとしては、約500kgf/cm2以上の高圧
で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突
させるタイプが効果的である。これらのミルを使用した
場合の最適磨砕濃度は機種により異なるが、概ね3〜2
5重量%程度の固形分濃度が適している。
【0038】また、平均粒径が5〜30μmの微細セル
ロースを得るような機械的シアをかける場合において
は、おおむね固形分濃度が3〜30重量%程度であるス
ラリー様の系を磨砕するには、コロイドミル、連続式ボ
ールミル、ホモジナイザー、ホモミキサー、プロペラ撹
拌機などの磨砕機、混合機が使用できる。また、それよ
り固形分濃度が高い、おおむね20〜60重量%程度で
あるケーク状のものを磨砕するには、ニーダー、ライカ
イ機、押出機などが使用できる。また、微小繊維状セル
ロースは、セルロース系素材懸濁液を高圧ホモジナイザ
ーで50kgf/cm2以上の圧力で数回パスして、繊
維径を約0.01〜1μmにまで離解にすることによ
り、あるいは、セルロース系素材の懸濁液を媒体攪拌ミ
ル類で数回処理することにより得られる。本発明の目的
のためにはこれらの機種を単独で用いることもできる
が、二種以上の機種を組み合わせて用いることも出来
る。
【0039】微細セルロースと難消化性デキストリンの
混合物の乾燥は公知の方法を使用すればよいが、実際的
には、乾燥される対象物の水分量、状態によって最適な
方法を選ぶべきである。例えばスラリー状であれば、噴
霧乾燥法、ドラム乾燥法、アルコール沈澱法等が使用で
きる。また、泥状物、餅様物には、棚段式乾燥法、ベル
ト乾燥法、流動床乾燥法、凍結乾燥法、マイクロウエー
ブ乾燥等が挙げられる。水中での複合体の溶解性、再分
散性を向上させる点からは、スラリー状にして噴霧乾燥
する方法が好ましい。乾燥コスト低減の点からは、アル
コール沈澱法、プレス法、固形分含量の高い状態で乾燥
できる棚段乾燥法、流動床乾燥法が好ましい。乾燥後の
水分量の上限は、取り扱い性、経時安定性を考慮すれ
ば、15重量%以下が好ましい。特に好ましくは10重
量%以下である。さらに好ましくは6重量%以下であ
る。
【0040】なお、ドラム乾燥法、棚段式乾燥法、ベル
ト乾燥法などにより得られた乾燥物は、薄片状、塊状で
得られるので、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機など
適切な方法で粉砕し、目開き425μmの篩をほぼ全通
する程度に粉末化することが好ましい。
【0041】本発明の微細セルロース含有複合体は、種
々の食品に使用できる。例を挙げると、コーヒー、紅
茶、抹茶、ココア、汁粉、ジュース等の嗜好飲料、生
乳、加工乳、乳酸菌飲料、豆乳等の乳性飲料、カルシウ
ム強化飲料等の栄養強化飲料並びに食物繊維含有飲料等
を含む各種の飲料類、アイスクリーム、アイスミルク、
ソフトクリーム、ミルクシェーキ、シャーベット等の氷
菓類、バター、チーズ、ヨーグルト、コーヒーホワイト
ナー、ホイッピングクリーム、カスタードクリーム、プ
リン等の乳製品類、マヨネーズ、マーガリン、スプレッ
ド、ショートニング等の油脂加工食品類、各種のスー
プ、シチュー、ソース、タレ、ドレッシング等の調味料
類、練りがらしに代表される各種練りスパイス、ジャ
ム、フラワーペーストに代表される各種フィリング、各
種のアン、ゼリーを含むゲル・ペースト状食品類、パ
ン、麺、パスタ、ピザ、各種プレミックスを含むシリア
ル食品類、キャンディー、クッキー、ビスケット、ホッ
トケーキ、チョコレート、餅等を含む和・洋菓子類、蒲
鉾、ハンペン等に代表される水産練り製品、ハム、ソー
セージ、ハンバーグ等に代表される畜産製品、クリーム
コロッケ、中華用アン、グラタン、ギョーザ等の各種の
惣菜類、塩辛、カス漬等の珍味類、経管流動食等の流動
食類およびペットフード類等である。
【0042】本発明の微細セルロース含有複合体は、こ
れらの用途において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安
定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性
改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基
剤、食物繊維基剤、油脂代替などの低カロリー化基剤と
して作用するものである。また、上記の食品がレトルト
食品、粉末食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等のよう
に、形態または用時調製の加工手法が異なっていても本
発明の効果は発揮される。
【0043】本発明の微細セルロース含有複合体を食品
に用いると、低粘性を示すこと、および微細セルロース
の粒子が小さいことのため、喫食時さっぱりして喉越し
が良く、ざらつき感が低減するため、食感が良好である
という優れた特徴がある。
【0044】特に本発明の微細セルロース含有複合体
は、経管流動食用の食物繊維素材として適している。現
在経管流動食においては、水溶性と水不溶性の食物繊維
を同時に配合しようとする試みがあり、実際に商品化さ
れているものもあるが、後述のごとく必ずしも充分な物
性を有していない。つまり、経管流動食は、チューブを
通して人体に投与するものであり、かなり低速に、か
つ、長時間、一定流速で流下する性質が必要であるが、
水不溶性成分が流速を制御するクランプ部に詰まってし
まうケースが見られるのである。現状では時々クランプ
を開けて、詰まりを解消しつつ投与している。本発明の
微細セルロース含有複合体は、低粘度で、かつ、微細セ
ルロース粒子が凝集しにくい性質を有する。そのために
経管流動食に配合した場合、クランプ部にほとんど詰ま
りを生じることがない。しかも、水溶性と水不溶性の食
物繊維を含有していることから、経管流動食用の食物繊
維素材として、きわめて優れた性質を有している。
【0045】本発明の微細セルロース含有複合体を食品
に使用する場合、各食品の製造で一般に行われている方
法と同様の機器を使用して、その食品の主原料の他、必
要に応じて、香料、pH調整剤、増粘安定剤、塩類、糖
類、油脂類、蛋白類、乳化剤、酸味料、色素等と配合し
て、混合、混練、撹拌、乳化、加熱等の操作を行えばよ
い。
【0046】食品中での本発明の微細微細セルロース含
有複合体の含有量は、食品の種類等により異なるが、食
品全体に対して0.01〜15重量%程度が好ましい。
安定剤としての機能を主に考える場合は、0.02〜3
重量%程度が好ましい。また、食物繊維素材(経管流動
食用途を含む)、油脂代替素材としての使用を主に考慮
する場合は、0.5〜15重量%程度が好ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】次に、実施例によって本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、測定は以下のとおり行っ
た。
【0048】<複合体の平均粒径、10μm以上の粒子
の割合> (1)サンプル(固形分)3.0gに蒸留水を入れ、全
量を300gとする。 (2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に
て15000rpmで5分間分散する。 (3)レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製
LA−910)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径
は積算体積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の
割合は体積分布における割合(%)で表す。
【0049】<複合体の粘度> (1)サンプル(固形分)9.0gに蒸留水を入れ、全
量を300gとする。 (2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に
て15000rpmで5分間分散する。 (3)BL型粘度計(東京計器製)を用いて、液温25
℃で、ローター回転数60rpmで測定する。粘度の単
位は、mPa・sである。
【0050】<複合体のコロイド分画> (1)サンプル(固形分)0.75gに蒸留水を入れ、
全量を300gとする。 (2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に
て15000rpmで2分間分散する。 (3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤
する。 (4)残りの分散液40mlを遠沈管に移し、2000
rpmで15分間遠心分離する(国産遠心機製H−30
0型)。その上層液10mlを正確に秤量瓶にとり重量
を精秤する。 (5)(3)、(4)の秤量瓶を105℃の乾燥機で1
0時間加熱し、内容物を蒸発乾固する。 (6)(3)の固形分重量を精秤する。(Ag) (7)(4)の固形分重量を精秤する。(Bg) (8)水溶性成分(複合体に含まれる、難消化性デキス
トリンとその他の水溶性物質の合計の比率:S%)の補
正を行い、次式によりコロイド分画を算出する。 コロイド分画(%)=(B−A×S/100)/(A×
(1−S/100))×100 実施例1 市販DPパルプを、7%塩酸中で105℃、20分間加
水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加水
分解セルロースのウェットケーク(固形分含量41%)
を得た。そして、この加水分解セルロースと難消化性デ
キストリン(商品名「パインファイバー」、松谷化学工
業(株)製、10%水溶液をBL型粘度計で、BLアダ
プターを使用して、ローター回転数60rpmで測定し
たときの粘度は2mPa・s)を、それぞれ固形分比で
表2の配合組成となるようにして、ニーダーを用いて3
時間磨砕混練した。次に60℃の熱風乾燥機で乾燥した
後、粉砕して、微細セルロース含有複合体A〜Cを得
た。得られた複合体を水に再分散した時の平均粒径、1
0μm以上の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に
示す。粘度を測定した後、その複合体水分散液を室温に
て3日間静置したところ、上部に離水が発生することな
く、安定な懸濁状態を示した。
【0051】実施例2 実施例1と同様に操作し、加水分解セルロースのウェッ
トケークを得た後、水を添加して固形分10%のセルロ
ース分散液を得た。このセルロース分散液を媒体攪拌湿
式粉砕装置(コトブキ技研工業(株)製、商品名「アペ
ックスミル」AM−1型)で、媒体として直径1mmφ
のジルコニアビーズを用いて、攪拌翼回転数1800r
pm、セルロース分散液の供給量0.4L/minの条
件で、2回通過で粉砕処理を行い、微細セルロースのペ
ースト状物を得た。この微細セルロースの平均粒径は
3.5μmで、10μm以上の粒子の割合は4.7%で
あった。
【0052】この微細セルロースと難消化性デキストリ
ンを、固形分比で60/40となるように撹拌混合し、
総固形分濃度が13%の分散液を調製した。次に、この
分散液をアルミ板上に塗布し、60℃の熱風乾燥機で乾
燥させた。続いて、ハンマーミルを用いて粉砕して、微
細セルロース含有複合体Dを得た。複合体Dを水に再分
散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割合、コロ
イド分画、粘度を表1に示す。粘度を測定した後、その
複合体水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部
に離水が発生することなく、安定な懸濁状態を示した。
【0053】実施例3 実施例1と同様に操作し、加水分解セルロースのウェッ
トケークを得た後、難消化性デキストリンと水を添加
し、微細セルロース/難消化性デキストリン=85/1
5、固形分濃度16%の分散液を調製した。次に、この
分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を
用いて、8000rpmで15分間処理した後、噴霧乾
燥して、微細セルロース含有複合体Eを得た。複合体E
を水に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の
割合、粘度を表1に示す。粘度を測定した後、その複合
体水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部に離
水が発生することなく、安定な懸濁状態を示した。
【0054】実施例4 実施例1と同様に操作し、加水分解セルロースのウェッ
トケークを得た。次に、この加水分解セルロースと、難
消化性デキストリン、キサンタンガム(三栄源エフ・エ
フ・アイ(株))、ジェランガム(商品名「ケルコゲ
ル」LT−100、三栄源エフ・エフ・アイ(株))を
それぞれ固形分比で表1の配合組成となるように配合し
た後、実施例1と同様に混練、乾燥、粉砕操作を行い、
微細セルロース含有複合体F、Gを得た。得られた複合
体F、Gを水に再分散した時の平均粒径、10μm以上
の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に示す。粘度
を測定した後、その複合体水分散液を室温にて3日間静
置したところ、上部に離水が発生することなく、安定な
懸濁状態を示した。
【0055】実施例5 粉末セルロース(商品名「KCフロック」、日本製紙
(株)製)と、難消化性デキストリンをそれぞれ固形分
比で表1の組成となるように配合し、水を粉末セルロー
スの1.5倍量添加した。続いて、実施例1と同様に混
練、乾燥、粉砕操作を行い、微細セルロース含有複合体
Hを得た。得られた複合体Hを水に再分散した時の平均
粒径、10μm以上の粒子の割合、粘度を表1に示す。
粘度を測定した後、その複合体水分散液を室温にて3日
間静置したところ、上部に離水が発生することなく、安
定な懸濁状態を示した。
【0056】比較例1 表1の配合組成で、実施例1と同様に操作して、セルロ
ース粒子aおよび複合体bを得た。得られた複合体を水
に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割
合、コロイド分画、粘度を表1に示す。粘度を測定した
後、その水分散液を室温にて3日間静置したところ、セ
ルロース粒子aの水分散液においては上部95%に、ま
た、複合体bの水分散液においては上部68%に離水が
発生した。
【0057】比較例2 セルロース粒子aと難消化性デキストリンを粉体混合
し、粉体cを得た。粉体cを水に再分散した時の平均粒
径と10μm以上の粒子の割合、および粘度を表1に示
す。粘度を測定した後、その水分散液を室温にて3日間
静置したところ、上部94%に離水が発生した。
【0058】
【表1】
【0059】実施例6 市販DPパルプを、10%塩酸中で105℃、30分間
加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加
水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量48
%)を得た。(加水分解セルロースの重合度は185) 次に、この加水分解セルロースと、グアーガム酵素分解
物、難消化性デキストリン(商品名「ファイバーソル
2」、松谷化学工業(株)製、10%水溶液をBL型粘
度計で、BLアダプターを使用して、ローター回転数6
0rpmで測定したときの粘度は2mPa・s)、キサ
ンタンガムをそれぞれ固形分比で表4の配合組成となる
ようにして、ニーダーを用いて3時間磨砕混練した。こ
れを60℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細
セルロース含有複合体I、Jを得た。得られた複合体を
水に分散したときの平均粒径、10μm以上の粒子の割
合、粘度を表2に示す。粘度を測定した後、その複合体
水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部に離水
が発生することなく、安定な懸濁状態を示した。
【0060】
【表2】
【0061】実施例7 微細セルロース含有複合体を懸濁安定化、食物繊維強化
等の目的で配合し、栄養強化飲料を作成した。まず、微
細セルロース含有複合体C、D、Gを用い、微細セルロ
ース含有複合体1.0重量%、カゼインナトリウム3.
3重量%、デンプン加水分解物11.0重量%、砂糖
1.4重量%、乳糖0.8重量%、大豆レシチン1.1
重量%、中鎖脂肪酸エステル1.0重量%、サラダ油
1.0重量%、水79.4重量%をTKホモミキサーを
用いて10000rpmで10分間分散した後、高圧ホ
モジナイザーを用いて、150kgf/cm2の圧力で
1パスさせて、均質化した。続いて、耐熱瓶に充填した
後、オートクレーブを用いて、121℃で30分間殺菌
し、栄養強化飲料を得た。B型粘度計を用いて、ロータ
ー回転数60rpmで測定した粘度、沈降物の有無、お
よび飲んだときのざらつき感について評価した。結果を
表3に示す。
【0062】比較例3 複合体のかわりに粉体aを用いる以外は、実施例7と同
様に操作し、栄養強化飲料を得た。B型粘度計を用い
て、ローター回転数60rpmで測定した粘度、沈降物
の有無、および飲んだときのざらつき感について評価し
た結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】実施例8 微細セルロース含有複合体を、保形性付与、食物繊維強
化等の目的で配合し、ビスケットを作成した。まず、微
細セルロース含有複合体D、Gを用い、微細セルロース
含有複合体30重量部、小麦粉300重量部、砂糖10
0重量部、重曹6重量部、食塩3重量部を粉体混合した
後、プラネタリーミキサーに投入し、さらにマーガリン
150重量部、全卵30重量部、水を投入し、5分間混
練した。水は表6に示した量を投入。ここで、混練時に
おける機壁へのドウの付着性を観察した。次に、混練し
たドウを冷蔵庫に1夜置いた後、室温に戻し、厚み15
mm、幅30mm×15mmの大きさに揃えた。続い
て、160℃のオーブンで20分間焼成し、ビスケット
を得た。ここで、焼成時の保形性(ダレの有無)につい
て観察した。最後に食べたときの食感について評価し
た。結果を表4に示す。
【0065】比較例4 複合体としてa、bを用いる以外は、実施例8と同様に
操作し、ビスケットを得た。混練時における機壁へのド
ウの付着性、焼成時の保形性(ダレの有無)について観
察した結果、食べたときの食感についての評価結果を表
4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】実施例9 微細セルロース含有複合体を、油脂代替物、乳化安定剤
等の目的で配合し、低脂肪マヨネーズ風ドレッシングを
作成した。まず、微細セルロース含有複合体Gを8.0
重量%と水37.7重量%をホバートミキサーに投入
し、攪拌・分散した。次いで、撹拌しながらキサンタン
ガム0.3重量%、卵黄10.0重量%を添加した。さ
らに、撹拌しながらサラダ油33.0重量%を添加し、
撹拌を継続した。続いて、食酢7.0重量%、食塩2.
6重量%、砂糖0.9重量%、洋辛子粉0.4%、グル
タミン酸ソーダ0.1重量%を添加し、約30分間攪拌
した。続いて、コロイドミルを通過させて乳化し、ドレ
ッシングを作成した。ドレッシングの食感(口に含んだ
ときのなめらかさ、ざらつき、ボディー)および耐熱安
定性(ドレッシングをガラス瓶に入れ、95℃の熱水中
に15分間浸漬したときの乳化の安定性を観察)の評価
結果を表5に示す。
【0068】比較例5 複合体cを用いる以外は実施例9と同様に操作し、ドレ
ッシングを得た。ドレッシングの食感および耐熱安定性
の評価結果を表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】実施例10 微細セルロース含有複合体を、食物繊維強化等の目的で
配合し、経管流動食を作成した。微細セルロース含有複
合体G1.5重量%、デンプン加水分解物14.2重量
%、カゼイン3.1重量%、脱脂粉乳2.1重量%、ト
ウモロコシ油1.0重量%、ヤシ油1.0重量%、塩化
カリウム0.09重量%、塩化ナトリウム0.05重量
%、硫酸マグネシウム0.05重量%、グリセロリン酸
カルシウム0.02重量%、大豆レシチン0.02重量
%、ビタミンC63ppm、ビタミンE20ppm、ニ
コチン酸アミド9ppm、ビタミンB1塩酸塩0.7p
pmを混合し、次いで、60℃の温水76.87重量%
を加え、TKホモミキサーを用いて10000rpmで
5分間分散した後、高圧ホモジナイザーを用いて、15
0kgf/cm2の圧力で1パスさせて、乳化した。次
いで、耐熱瓶に充填した後、オートクレーブを用いて1
21℃で30分間殺菌し、経管流動食を得た。
【0071】次に、ポリ塩化ビニル製の栄養補給バッグ
付属のチューブ(内径3.4mmφ、120cm)の先
に、EVA製の栄養補給用チューブ(内径0.88mm
φ、120cm)を接続し、次いでその栄養補給バッグ
に得られた経管流動食1Lを充填し、クランプを絞って
170g/hrに流下速度を調節し、1.2mの高さか
ら経管流動食を流下させた。バッグに充填した際の外
観、流下時のつまり発生の程度、流速の変動、等につい
て調べた結果を表6に示す。
【0072】比較例6 複合体cを用いる以外は実施例10と同様に操作し、経
管流動食を得た。得られた経管流動食は実施例10と同
様に評価し、その結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
【発明の効果】本発明の微細セルロース含有複合体は、
微細セルロースと低粘度水溶性食物繊維である難消化性
デキストリンを特定の配合比率で含有するため、水に分
散させたときの粘度が低く、かつ、懸濁安定性に優れ
る。このため、本発明の該複合体を含有する食品は、食
感、保形性、経管流動食へ配合した場合のチューブの流
下性などの機能が優れるとともに、食物繊維効果、油脂
代替効果等にも顕著な効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江夏 浩一郎 宮崎県延岡市旭町6丁目4100番地 旭化成 工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細セルロース20〜99重量%と、難
    消化性デキストリン1〜80重量%を含む微細セルロー
    ス含有複合体であって、該複合体を水に分散させたとき
    の微細セルロースの平均粒径が30μm以下である上記
    複合体。
  2. 【請求項2】 安定化剤としてキサンタンガムおよび/
    もしくはジェランガムを0.1〜3重量%含むことを特
    徴とする請求項1記載の複合体。
  3. 【請求項3】 微細セルロース含有複合体の3重量%の
    懸濁液の粘度が300mPa・s以下である請求項1ま
    たは請求項2記載の複合体。
  4. 【請求項4】 微細セルロース複合体のコロイド分画が
    65%未満である請求項1〜3記載の複合体。
  5. 【請求項5】 微細セルロース20〜99重量%と難消
    化性デキストリン1〜80重量%を、水分を含有する状
    態で混合し、次いで、乾燥することを含む微細セルロー
    ス含有複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 解重合処理したセルロース20〜99重
    量%と難消化性デキストリン1〜80重量%を、水分の
    含有する状態で混合と磨砕を同時に施し、次いで、乾燥
    することを含む微細セルロース含有複合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかの一項に記載の
    微細セルロース含有複合体を配合してなる食品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかの微細セルロー
    ス含有複合体を配合してなる食品であって、かつ、該複
    合体は崩壊して、個々の微細セルロースの粒子の状態で
    分散している上記食品。
  9. 【請求項9】 食品が経管流動食である請求項8に記載
    の食品。
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