JPH1124719A - 加工用工具移動経路の作成方法及びそのプログラムを記録した媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＣＧデータを利用して３次元形状データを作
成しそれに基づいて加工用工具移動経路を作成する。 【解決手段】 テクスチャマッピングデータにより特定
された画像について、そのテクスチャマッピングデータ
のテクスチャデータとテクスチャの配置データとを評価
することによって、テクスチャデータによって表現され
る３次元形状を特定するための形状データを作成し、そ
して、その３次元形状を加工するための加工用工具移動
経路を形状データに基づいて作成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータグラ
フィック（以下、ＣＧという）にて設定又は作成され画
像データに基づいて工作機械の加工用工具移動経路を作
成する方法及びそれをコンピュータによって実行させる
ためのプログラムを記録した媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、複雑な形状や微細な意匠目的の形
状を３次元ＣＡＤで定義することは、非常に困難である
ため、そのような形状は、３次元ＣＡＤの形状データと
して作成しないのが普通である。複雑な形状を持つモデ
ルを加工する場合には、デザイナーが所望の形状を紙に
描き、そして、それをモデル製作の専門家が見ながら手
作業で加工を行うことが一般である。

【０００３】また近年、意匠デザイナーが複雑な凸凹模
様をもつ形状をデザインする場合には、何にもない滑ら
かな面上にテクスチャと呼ばれる２次元イメージデータ
をＣＧにより張り付け、レイトレーシングなどのレンダ
リング処理をすることにより凸凹の形状がその面上にあ
るかのように表現する手法が利用されてきている。この
ＣＧによる方法においては、テクスチャデータが凸凹の
形状を表していると考え、テクスチャデータをＵＶ空間
で曲面上に張り付け、面の方線方向をテクスチャデータ
の値により操作することにより影（色の濃淡）を付けて
凸凹形状に見える２次元画像を作成している。ところ
が、このＣＧによる方法は、ＣＧという画面上で凸凹に
見えるような画像を作成しているだけであり、３次元形
状データを持っていない。したがって、画像計算後に回
転や拡大して確認することができなかったり、体積計算
などの幾何学的処理ができない。そのため、工作機械で
実際のモデルを作成する場合に、何らかの方法で３次元
形状を作成して加工用工具移動経路を作成する必要があ
った。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
テクスチャが表現する凸凹形状を、球、円柱、円板とト
ーラスの基本形状の集合として３次元ＣＡＤで定義し
て、この形状データを利用してＣＡＭで加工用・具移動
経路を作成して加工する方法が提案されている。例えば
特開平４−２９５９０３号公報にはそのような提案がな
されている。しかし、同公報において提案されている方
法により作成された加工用工具移動経路は、基本形状の
集合で形状を表現しているため、狙った形状を定義する
ことが難しく、ＣＧにより作成された画像どおりの形状
を得ることができないという問題点があった。また、特
開平８−１８００８６号公報には、複雑な形状を持つモ
デルを計測して加工用工具移動経路を作成することが提
案されている。しかし、同公報において提案されている
方法においては、計測という処理が採用されているた
め、マスターとなるモデルが存在しない場合には利用で
きないという問題点があった。

【０００５】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、ＣＧデータを利用して３次
元形状データを作成し、それに基づいて工具移動経路を
作成する加工用工具移動経路の作成方法、及びそれをコ
ンピュータによって実行させるためのプログラムを記録
した媒体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

（１）本発明に係る加工用工具移動経路の作成方法は、
３次元形状を加工するための加工用工具移動経路の作成
方法において、テクスチャマッピングデータにより特定
された画像について、そのテクスチャマッピングデータ
のテクスチャデータとテクスチャの配置データとを評価
することによって、テクスチャデータによって表現され
る３次元形状を特定するための形状データを作成し、そ
して、その３次元形状を加工するための加工用工具移動
経路を形状データに基づいて作成する。テクスチャマッ
ピングデータは例えばＣＧにより作成されるが、そのＣ
Ｇにより作成されたテクスチャマッピングデータを利用
することにより３次元形状を特定するための形状データ
を作成し、そして、その３次元形状を加工するための加
工用工具移動経路を作成することにより、テクスチャデ
ータにより表現された３次元形状の加工用工具移動経路
を自動的に作成することが可能になっている。

【０００７】（２）本発明に係る加工用工具移動経路の
作成方法は、上記の（１）の方法において、テクスチャ
データ及びテクスチャの配置データを評価することによ
りテクスチャデータの等値線を求め、それぞれの等値線
についてその値に対応したオフセット処理を施した線群
を作成し、そして、その線群間に微小面を作成すること
により、テクスチャデータによって表現される３次元形
状を特定するための形状データを作成する。なお、等値
線は、テクスチャデータはビットマップデータなので、
値が等しいビット点を抽出して繋ぐことにより作成され
る。

【０００８】（３）本発明に係る加工用工具移動経路の
作成方法は、上記の（２）の方法において、テクスチャ
データ及びテクスチャの配置データからエッジデータを
抽出し、そのエッジデータを考慮して微小面を作成す
る。即ち、エッジデータによって生成されるエッジ線を
上記（２）の場合と同様にしてオフセットしたとき、そ
のオフセットされたエッジ線が微小面と交差しないよう
に、微小面を作成する。

【０００９】（４）本発明に係る加工用工具移動経路の
作成方法は、上記の（１）、（２）又は（３）の方法に
おいて、テクスチャが設定されるベース曲面を加工する
ための加工用工具移動経路を求め、ベース曲面を加工す
るための加工用工具移動線路からテクスチャデータによ
って表現される３次元形状の範囲の加工用工具移動経路
を削除し、その削除されたベース曲面の工具移動線路
と、テクスチャデータによって表現される３次元形状を
加工するための工具経路とを合成して加工用工具移動経
路を作成する。

【００１０】（５）本発明に係る媒体は、コンピュータ
に上記（１）、（２）、（３）又は（４）の処理を行わ
せるための加工用工具移動経路の作成プログラムが記録
される。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態に係る
加工用工具移動経路の作成方法の処理過程を示したフロ
ーチャートであり、以下、同図に基づいてその処理を詳
細に説明する。 （１）ＣＧデータの取得（ステップ１） ＣＧにより設定されたテクスチャマッピングデータから
テクスチャデータとテクスチャの曲面上への配置の仕方
を示したデータ（テクスチャの配置データ）を取得す
る。このテクスチャデータは図２に示されるような２次
元イメージデータであり、ＵＶ空間に存在するデータで
ある。

【００１２】（２）等値線の作成（ステップ２） ２次元データであるテクスチャデータを評価してテクス
チャデータの等値線を作成する。テクスチャデータは２
次元のビットマップイメージデータであり、ビットマッ
プイメージの値の等しいポイントを抽出し、それを結ん
で等値線を作成する。図２の例においてはテクスチャデ
ータが４階調（１ａ〜１ｄ）となっており、これについ
いての等値線を作成すると、図３に示されるような３個
の等値線１０が得られる。ところで、テクスチャデータ
が持つ値は、例えばグレースケールの場合は０から２５
５までの値であり、ＲＧＢのカラーデータならば、ＲＧ
Ｂそれぞれが０から２５５までの値となる。作成する等
値線の間隔（：テクスチャデータの間隔）は、形状の許
容誤差や加工する際の工具形状などにより決定すること
も可能である。

【００１３】（３）エッジデータの抽出（ステップ３） テクスチャデータから、テクスチャデータが表現してい
る形状のエッジデータを抽出する。エッジとなる部分
は、急激にビットマップ値が変化している部分と、ビッ
トマップ値はなだらかに変化しているが、等値線が折れ
曲がっている部分とが該当する。図３の例においては、
ビットマップ値が急激に変化している部分は等値線の作
成により抽出されているので、ここでは図４に示される
ように、等値線１０が折れ曲がっている部分を抽出して
エッジ線１１を作成する。

【００１４】（４）等値線の曲面群上への配置（ステッ
プ４） 等値線及びエッジ線をテクスチャの配置データに基づき
ベース曲面群上にＵＶ空間で配置する。上記のステップ
２において作成された等値線１０と、ステップ３におい
て作成されたエッジ線１１とからなる線群（テクスチャ
データ）を、図５に示されるように、ＵＶ空間において
ベース曲面群１２上に配置することにより、図示のよう
な線群１３を得る。このテクスチャデータの配置は、Ｃ
Ｇで拡大、縮小、オフセットや回転が規定されており、
そして、ＣＧデータのテクスチャの配置データに基づい
て座標変換を行って配置する。

【００１５】（５）オフセット処理（ステップ５） ベース曲面群上にＵＶ空間で配置された等値線及びエッ
ジ線をテクスチャの値に対応した高さを考慮して等値線
及びエッジ線を持ち上げてＸＹＺ空間での線群を作成す
る。図５においてＵＶ空間に配置された等値線及びエッ
ジ線からなる線群１３を、図６に示されるように、その
線群の値（テクスチャデータ）に対応した高さ分オフセ
ットして、ＸＹＺ空間での線群１４を作成する。なお、
オフセットする方向は、図７に示されるように、ベース
曲面の法線方向１５とする。オフセットする量は等値線
等の値と高さをテーブル状に保持しても、等値線等の値
と高さの関係を関数によって定義しても良い。

【００１６】図８はオフセット量指定によるオフセット
方法を示した説明図である。例えばグレースケールデー
タの場合には０から２５５までの値となるが、図８
（Ａ）に示されるように、最高高さ「２５５」に指定
し、最低高さを「０」に指定すると、テクスチャデータ
の値は「０〜２５５」の範囲となる。オフセット量は、
このテクスチャデータの値に実際の高さデータに変換す
るための係数を掛けることで求められる。また、図８
（Ｂ），（Ｃ）に示されるように、最低高さを負の値に
指定すると、ベース曲面から掘り下げることも可能とな
る。

【００１７】（６）微小面データの作成（ステップ６） ベース曲面群１２上にオフセット処理されて作成された
線群１４間に微小面を作成する。この微小面を作成する
に際しては、線群１４上に例えば等間隔に複数の点を発
生させて、図９に示されるような微小面１９を作成す
る。この微小面１９は図示の例においては三角形である
が、他の形状であっても良い。いずれにしても、この微
小面１９は、オフセット処理された等値線及びエッジ線
１４と交差しないようにする。以上の処理によりベース
曲面群１２上にテクスチャデータによって表現される３
次元形状（テクスチャ形状）２０が生成される。

【００１８】（７）テクスチャ形状の加工用工具移動経
路作成（ステップ７） 図９の３次元形状（テクスチャ形状）２０を加工するた
めの加工用工具移動線路を作成する。この作成に際して
は、工具移動経路のパターンとなる２次元線群（：加工
形状等に応じて予め選択される加工パターン）を微小面
１９からなる３次元形状２０に投影して、図１０に示さ
れるような加工用工具移動経路２１を作成する。

【００１９】（８）ベース曲面群の加工用工具移動経路
作成（ステップ８） ベース曲面群１２を加工するための加工用工具移動経路
を作成する。この作成に際しては、ベース曲面群１２に
ステップ７において使用した２次元線群を投影して、図
１１に示されるような加工用工具移動経路２２を作成す
る。

【００２０】（９）加工用工具移動経路の合成（ステッ
プ９） 図１１のベース曲面群の加工用工具移動経路２２から不
要な部分を除去し、テクスチャ形状の加工用工具移動経
路２１を合成して、図１２に示されるような加工用工具
移動経路２３を作成する。この加工用工具移動経路の合
成に際して、図１３に示されるように、ベース曲面群１
２の加工用工具移動経路２２上に、テクスチャ形状の加
工用工具移動経路２１が存在する部分にはベース曲面群
の加工用工具移動経路２２が不要となるので、その部分
を削除してテクスチャ形状の加工用工具移動経路２１を
挿入して、図示のような加工用工具移動経路２３を作成
する。

【００２１】図１４は上記の実施形態に係る加工用工具
移動経路の作成方法が適用されたシステムの構成を示す
ブロック図である。このシステムは、図示のように、中
央計算機４１、主記憶装置４２、入出力制御装置４３、
マウス４４、キーボード４５、補助記憶装置４６、表示
装置４７及びＦＤ（フロッピーディスク）駆動装置４８
からなり、各々の構成要素はシステムバス２９或いは類
似の機構を通じて接続される計算機システム４０から構
成されている。そして、例えば図１の演算処理を司るシ
ステムプログラムが格納されたＦＤ５０がＦＤ駆動装置
４８により駆動されてその内容が読み出されて補助記憶
装置４６に書き込まれて、中央処理装置２１により上述
の演算処理がなされる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、テクスチ
ャマッピングデータにより特定された画像について、そ
のテクスチャマッピングデータのテクスチャデータとテ
クスチャの配置データとを評価することによって、テク
スチャデータによって表現される形状を特定するための
形状データを作成し、そして、その形状を加工するため
の加工用工具移動経路を形状データに基づいて作成する
ようにしたので、次のような効果が得られる。 （ａ）テクスチャマッピングデータはＣＧにより設定で
きるので、ＣＧにより設定されたデータを利用してシス
テム内部に加工形状を作成して加工用工具移動経路の計
算を行うことで、ＣＧによりデザインされた形状を加工
するための加工用工具移動経路を容易に作成することが
できる。 （ｂ）また、テクスチャマッピングデータによって加工
形状を特定することができ、微細な形状定義をする必要
がないので、加工形状を定義することの難しさが解消さ
れている。このため、３次元ＣＡＤでモデリングが困難
な、複雑で微細な形状を作成することが可能となる。こ
のため、ＣＧによって作成された画像に忠実なモデルを
容易に作成することができる。また、３次元ＣＡＤでモ
デリングが困難な、複雑で微細な形状を加工するための
ガウジの無い加工用工具移動経路を作成でき、また、抜
き勾配などの修正も可能となる。 （ｃ）更に、形状データを修正するのに際しても、ＣＧ
においてテクスチャデータを変更するだけ良く、各種の
加工形状の加工用工具移動経路の作成に容易に対応する
ことができる。 （ｄ）テクスチャデータによって３次元加工形状を作成
することから、その加工形状のデータに基づいて、製品
製造に必要な体積計算などを行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る加工用工具移動経路
の作成方法の処理過程を示したフローチャートである。

【図２】テクスチャデータの例を示す図である。

【図３】図２のテクスチャデータから求めた等値線の説
明図である。

【図４】図２のテクスチャデータによって表現される形
状のエッジ（等値線の折れ曲がり部）の説明図である。

【図５】等値線及びエッジ線をベース曲面群上に配置し
た状態の説明図である。

【図６】図５の等値線及びエッジ線のオフセット処理の
説明図である。

【図７】図６の等値線等のオフセット方法の説明図であ
る。

【図８】オフセット量指定によるオフセット方法の説明
図である。

【図９】微小面の作成の説明図である。

【図１０】テクスチャ形状の加工用工具移動経路の説明
図である。

【図１１】ベース曲面群の加工用工具移動経路の説明図
である。

【図１２】合成した加工用工具移動経路の説明図であ
る。

【図１３】加工用工具経路の合成方法の説明図である。

【図１４】上記の実施形態に係る加工用工具移動経路の
作成方法が適用されたシステムの構成を示すブロック図
である。

フロントページの続き (72)発明者 平野 悠 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ３次元形状を加工するための加工用工具
   移動経路の作成方法において、テクスチャマッピングデ
   ータにより特定された画像について、そのテクスチャマ
   ッピングデータのテクスチャデータとテクスチャの配置
   データとを評価することによって、前記テクスチャデー
   タによって表現される３次元形状を特定するための形状
   データを作成し、そして、その３次元形状を加工するた
   めの加工用工具移動経路を前記形状データに基づいて作
   成することを特徴とする加工用工具移動経路の作成方
   法。
2. 【請求項２】 前記テクスチャデータ及び前記テクスチ
   ャの配置データを評価することによりテクスチャデータ
   の等値線を求め、それぞれの等値線についてその値に対
   応したオフセット処理を施した線群を作成し、そして、
   その線群間に微小面を作成することにより、前記テクス
   チャデータによって表現される３次元形状を特定するた
   めの形状データを作成することを特徴とする請求項１記
   載の加工用工具移動経路の作成方法。
3. 【請求項３】 前記テクスチャデータと前記テクスチャ
   の配置データとからエッジデータを抽出し、前記エッジ
   データを考慮して前記微小面を作成することを特徴とす
   る請求項２記載の加工用工具移動経路の作成方法。
4. 【請求項４】 前記テクスチャが設定されるベース曲面
   を加工するための加工用工具移動経路を求め、前記ベー
   ス曲面を加工する加工用工具移動線路から前記テクスチ
   ャデータによって表現される３次元形状の範囲の工具移
   動経路を削除し、その削除された前記ベース曲面の加工
   用工具移動線路と、前記テクスチャデータによって表現
   される３次元形状を加工するための加工用工具移動経路
   とを合成することを特徴とする請求項１、２又は３記載
   の加工用工具移動経路の作成方法。
5. 【請求項５】 コンピュータによって加工用工具移動経
   路を作成するためのプログラムを記録した媒体であっ
   て、前記プログラムは、テクスチャマッピングデータに
   より特定された画像について、そのテクスチャマッピン
   グデータのテクスチャデータとテクスチャの配置データ
   とを評価することによって、前記テクスチャデータによ
   って表現される３次元形状を特定するための形状データ
   を作成し、そして、その３次元形状を加工するための加
   工用工具移動経路を前記形状データに基づいて作成する
   ことを特徴とする加工用工具移動経路の作成プログラム
   を記録した媒体。