JPH11246969A - スパッタ成膜装置 - Google Patents

スパッタ成膜装置

Info

Publication number
JPH11246969A
JPH11246969A JP6617898A JP6617898A JPH11246969A JP H11246969 A JPH11246969 A JP H11246969A JP 6617898 A JP6617898 A JP 6617898A JP 6617898 A JP6617898 A JP 6617898A JP H11246969 A JPH11246969 A JP H11246969A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
cathode
magnetron
cathodes
magnetic circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6617898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4202459B2 (ja
Inventor
Hiroshi Iwata
寛 岩田
Hidekazu Suzuki
英和 鈴木
Katsuya Yoshioka
勝也 吉岡
Kazuhiro Himori
和弘 檜森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Anelva Corp filed Critical Anelva Corp
Priority to JP06617898A priority Critical patent/JP4202459B2/ja
Publication of JPH11246969A publication Critical patent/JPH11246969A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4202459B2 publication Critical patent/JP4202459B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Physical Deposition Of Substances That Are Components Of Semiconductor Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のマグネトロンカソードを並べて配置し
た真空チャンバで基板を搬送しながらスパッタ成膜を行
う時、基板搬送方向の膜厚分布と膜質分布の均一性と安
定性を向上する。 【解決手段】 チャンバ200 内に複数のマグネトロンカ
ソード11-18 を並べて配置し、搬送中に基板3 にスパッ
タ成膜を行い、マグネトロンカソードの各々は基板搬送
方向に揺動する磁気回路105 を備え、さらにマグネトロ
ンカソードの各々によって決まる位相が所定の位相関係
を満たす構成を備える。複数のマグネトロンカソードの
関係を位相関係という観点から関連づけ、互いの影響が
相殺条件を満たすようにそれらの位相関係を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスパッタ成膜装置に
関し、特に、真空チャンバ内で一列に並べた複数のマグ
ネトロンカソードに対しターゲットに対向させて基板を
搬送し、搬送成膜にて基板表面にスパッタ成膜を行うス
パッタ成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、マグネトロンカソードを用い
た例えばインライン型スパッタ成膜装置が知られている
(例えば特開平7−18435号公報)。このスパッタ
成膜装置では、一般的には、真空チャンバ内に複数のマ
グネトロンカソードを基板搬送方向に一列状に並べ、各
マグネトロンカソードのターゲットに対し順次に対向す
るように基板を搬送してスパッタ成膜を行うように構成
される。各マグネトロンカソードでは、図9に示すよう
に、基板に対向できるように正面にターゲット101を
配置している。ターゲット101は、ボンディングプレ
ート102によってカソードボディー103に固定され
ている。カソードボディー103の裏面には凹所104
が形成され、この凹所104には、磁気回路105が、
矢印(振幅)106に示すごとく基板搬送方向107と
同じ方向に揺動可能に設けられている。磁気回路105
は、ターゲット101の背面に位置し、ターゲット10
1の表面側に磁力線108で示される通りの磁場を作
り、プラズマ109を発生する領域を形成するためのマ
グネトロン磁石ユニットである。図9において、磁気回
路105を揺動させる揺動機構の図示は省略されてい
る。なお磁気回路105を揺動させるのは、ターゲット
101の利用効率を高めるためである。
【0003】上記磁力線108を形成するため、磁気回
路105では、図9に示されるように、基板搬送方向に
て中央にN極が作られ、その両側にS極が作られる。磁
気回路105の構造の代表例を示すと、図10のように
なる。この磁気回路105には、上記N極を有する棒状
の中心磁石110と、中心磁石110の周りを囲むよう
に配置された長方形リング形状の外周磁石111が備え
られる。かかる中心磁石110と外周磁石111は図1
1に示すようにヨーク板112の上に固定され、こうし
てマグネトロン磁石ユニットとしての磁気回路105が
構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図9〜10を参照して
説明された従来のスパッタ成膜装置では、基板搬送方向
と平行な方向に一列に配置された複数のマグネトロンカ
ソードに関し、基板への搬送成膜で、各々のマグネトロ
ンカソードが互いに影響を及ぼし合うことを無視して設
計されており、各々のマグネトロンカソードの磁気回路
105の揺動動作はそれぞれ独立に制御されていた。そ
のため、図12に示すように、基板114の表面には場
所によって膜厚が非常に異なる膜厚分布を持った膜12
3が形成された。
【0005】次に図13〜図16を参照して、従来のス
パッタ成膜装置によれば上記膜厚分布が生じる理由を説
明し、問題点を明らかにする。
【0006】図13に示すようにトレイ113に装着さ
れた例えば2枚の基板114が、基板搬送方向107と
同方向に一列に配置された複数のマグネトロンカソード
に対し、そのターゲットに順次に対向して移動しながら
スパッタ成膜されるとする。このとき、基板の移動速度
は一定速度VS とし、さらに各マグネトロンカソードに
おける磁気回路105の平均揺動速度の大きさVM は基
板搬送速度VS に等しいものとし、同方向をプラス、逆
方向をマイナスで表すものとする。図14は、1つのマ
グネトロンカソード115において、搬送中の基板11
4が成膜される様子を示している。マグネトロンカソー
ド115の構成は、図9を参照して説明した構成と同じ
である。磁気回路105は図9に示すように距離LX
振幅106で揺動運動している。磁気回路105の揺動
運動に同期して磁力線108がターゲット101上を揺
動運動し、プラズマ109が距離LX の振幅118で揺
動運動をすることになる。
【0007】図15を参照して時間経過(時刻1〜3)
に伴う基板114での成膜状態の変化を説明する。時刻
1は、基板114とマグネトロンカソード115の位置
関係において、一定の基板搬送速度VS で移動する基板
114に対して同方向124にVM なる平均速度でプラ
ズマ109が移動することによって、基板上に厚く堆積
した膜119の形成が終わった瞬間である。時刻2は、
上記基板搬送速度と逆方向125の−VM なる平均速度
でプラズマ109が移動することによって、基板上に薄
く堆積した膜120の形成が終わった瞬間である。さら
に時刻3は、上記基板搬送速度と同方向124のVM
る平均速度でプラズマ109が移動することによって、
基板上に厚く堆積した膜121の形成が終わった瞬間で
ある。時刻3の後の時間にも上記の時刻1、時刻2、時
刻3と同じ現象が繰り返される。これにより、図16に
模式的に示すような、基板搬送方向に不均一の(凹凸が
生じた)膜厚分布をもった膜122が形成されることに
なる。ただし実際には、図12に示すように基板搬送方
向に曲面状凹凸の膜厚分布を持った膜123が形成され
る。以上述べたように、従来のスパッタ成膜装置によれ
ば、基板搬送方向に不均一な膜厚分布が発生するという
根本問題が存在した。さらに膜種によっては膜質分布が
不良になるという問題も併せて存在していた。
【0008】上記問題を解決するための従来手法の例と
して、前述の特開平7−18435号公報では、放電電
力を制御し成膜速度を制御して膜厚分布を改善すること
が試みられた。しかし、問題解決の手法として理論的に
議論することは可能であっても、実用上は有効に問題を
解決することはできない。
【0009】また他の解決手法としては、基板搬送方向
における磁気回路105の揺動運動の速度を大きくする
ということも考えられた。上記従来例では磁気回路の揺
動運動については例えば3秒で往復させるようにしてい
たが、これを例えば20倍以上の高速にして揺動させる
という考えが提案された。しかしながら、磁気回路10
5を構成するマグネトロン磁石ユニットはかなりの重量
物(例えば30Kg)であるので、実際上高速の揺動運
動を行わせることは不可能であり、無理に行っても機械
的に破損が生じ、寿命が短くなるという問題が生じた。
【0010】本発明の目的は、上記の問題を解決するこ
とにあり、複数のマグネトロンカソードを並べて配置し
た真空チャンバで基板を搬送しながらスパッタ成膜を行
うスパッタ成膜装置において、各マグネントロンカソー
ドにおける磁気回路の揺動運動の位相関係等を調整し、
基板搬送方向の膜厚分布と膜質分布の均一性と安定性を
向上したスパッタ成膜装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
スパッタ成膜装置は、上記目的を達成するため、次のよ
うに構成される。第1のスパッタ成膜装置(請求項1に
対応)は、真空チャンバ内に少なくとも2つのマグネト
ロンカソードを並べて配置し、基板をマグネロンカソー
ドに順次に対向させながら搬送し、搬送中に基板にスパ
ッタ成膜を行うように構成され、さらに、マグネトロン
カソードの各々は、スパッタ成膜時に基板に対向する位
置にあるターゲットと、このターゲットの背面で基板搬
送方向に揺動しターゲットの表面に揺動磁場を作る磁気
回路を備え、マグネトロンカソードの各々によって決ま
る位相が所定の位相関係を満たす構成を備えていること
を特徴とする。複数のマグネトロンカソードの関係を位
相関係という観点から関連づけ、各マグネトロンカソー
ドから搬送中の基板への順次のスパッタ成膜において、
互いの影響が相殺条件(各マグネトロンカソードで形成
された膜の厚み等の凹凸変動を解消する条件)を満たす
ようにそれらの位相関係を設定し、基板に堆積される膜
の膜厚分布等を均一性および安定性の点で良好なものと
する。第2のスパッタ成膜装置(請求項2に対応)は、
上記第1の構成において、マグネトロンカソードの各々
における磁気回路の揺動運動を所定の位相関係が満たさ
れるように同期させる制御手段を設け、マグネトロンカ
ソードの各々における磁気回路の揺動運動の位相差が相
殺条件を満たすことを特徴とする。相殺条件は、揺動す
る磁気回路の位相関係に基づいて実現することができ
る。第3のスパッタ成膜装置(請求項3に対応)は、上
記第2の構成において、マグネトロンカソードの個数が
aであるとき、隣接するマグネトロンカソードの磁気回
路の揺動運動の間で360度/aの位相差を持たせるよ
うに構成される。第4のスパッタ成膜装置(請求項4に
対応)は、上記第1の構成において、上記マグネトロン
カソードの各々の間の位置関係によって上記位相のずれ
を設定し、マグネトロンカソードの各々における磁気回
路の揺動運動の位相は同じであるように構成される。磁
気回路の揺動運動は各カソードで同じのままで、カソー
ド間の位置関係を調整することで上記相殺条件を達成す
ることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0013】図1は本発明に係るスパッタ成膜装置の代
表的な実施形態を示し、本装置はインライン型スパッタ
成膜装置である。図1は装置を上から見てその内部構成
を示している。
【0014】まずスパッタ成膜装置の基本的な構成を説
明する。図1で、スパッタ成膜装置を構成するロードロ
ックチャンバ100とスパッタ成膜チャンバ200とア
ンロードロックチャンバ300は、各々ゲートバルブ4
02,403で区切られて直列に配置されている。スパ
ッタ成膜チャンバ200の両側側壁の内面には、本発明
の特徴であるマグネトロンカソード(以下カソードと呼
ぶ)11,12,13,14,15,16,17,18
が基板搬送方向と同一方向(平行な方向)に一列状に並
べて設けられている。一列に並べられたカソードの個数
は、少なくとも2基あればよい。本実施形態では好まし
い例としてそれぞれ4基のカソード11〜14,15〜
18を並べた構成を示している。ロードロックチャンバ
100とアンロードロックシャンバ300はドライポン
プ(図示せず)で排気され、スパッタ成膜チャンバ20
0はクライオポンプ5a,5b,5c,5dで排気され
ている。かかるスパッタ成膜チャンバ200で、2組の
トレイ2に装着された計4枚の基板3が、図1中左側か
ら右側に向かってトレイ搬送機構(図示せず)によって
搬送される。基板3は、搬送中に、カソード11〜14
および15〜18によってスパッタ成膜される。なお4
01は基板を搬入する入口バルブ、404は基板を搬出
する出口バルブである。矢印4は基板の搬送方向を示し
ている。
【0015】次に本実施形態の特徴的な構成を説明す
る。ここでは説明を簡単にするため、図1の下側片面に
設けられたカソード11〜14に関して説明する。図2
は、図1においてA方向から見たカソード11〜14の
配列状態を示している。カソード12〜14は、カソー
ド11との間隔(各々の中心線の間の距離として定義さ
れる)が各々S1 ,S2 ,S3 となるように位置関係が
保持されている。これらの間隔S1 ,S2 ,S3 は任意
に設定できる。例えばS2 がS1 の2倍、S3 がS1
3倍になっている必要は必ずしもない。各カソードの構
成は、前述の図9等を参照して説明した構成と同じであ
る。各カソードでは基板3に対向する側にターゲットが
配置される。以下の説明では、カソードや揺動する磁気
回路の構成に関しては図9に示した符号を用いて説明す
る。
【0016】上記のように配列された4つのカソード1
1〜14に対して、基板3を各カソードのターゲット1
01に対向させながら順次に搬送し、基板表面にスパッ
タ成膜を行う。このとき、従来通りの構成によれば、カ
ソード11〜14の各々の磁気回路105の揺動運動の
間で位相関係に関して前述の通り何も考慮されていない
ため、膜の厚みについて大きな変動が生じた。膜厚分布
の不均一性が増長されるので、以下これを「増長条件」
と呼ぶ。これに対して、本実施形態の構成では以下に説
明するようにカソード11〜14の各々の磁気回路10
5の揺動運動の間で位相関係に関して所定の同期関係が
生じるように設定される。そのため、基板3に堆積する
膜の厚みの変動(凹凸)が相殺され、膜厚分布の均一性
が向上する。以下、膜厚分布を良好にする条件を「相殺
条件」と呼ぶことにする。
【0017】図3を参照して、上記の増長条件と相殺条
件の観点で比較しながら、本実施形態のカソード11〜
14で設定された磁気回路の揺動に関しての同期関係を
説明する。図3では、説明の簡略化のため、2基のカソ
ード11,12による基板成膜に限定して説明する。カ
ソード11,12を基板搬送方向と同方向に並べて設置
し、基板の搬送成膜を行うと、カソード11による成膜
とカソード12による成膜の関係について、基板におけ
る膜厚分布が増長する条件と、相殺する条件が存在す
る。
【0018】増長条件とは、図3の(A)増長条件で示
すようにカソード11で基板3上に厚く堆積した膜部分
6と同じ位置に、カソード12でも同様に厚く堆積した
膜部分6aが形成され、カソード11で基板3上に薄く
堆積した膜部分7と同じ位置に、カソード12でも同様
に薄く堆積した膜部分7aが形成されるという条件であ
る。このときの装置構成上の条件は、基板搬送速度
S 、平均揺動速度の大きさ|VM |、任意の点がカソ
ード11の中心からカソード12の中心まで移動するの
に要する時間t1 、基板搬送方向の揺動周期TX 、カソ
ード11の中心からカソード12の中心までの距離
1 、磁気回路105の基板搬送方向の揺動振幅LX
すると、TX =2LX /|VM |,tX =tX0+t1
1 =S1 /VSの関係から、下記の(1)式が導かれ
る。
【0019】
【数1】 tX =tX0+{S1 |VM |/(2LX S )}・TX …(1)
【0020】上記のtX0はカソード11の磁気回路10
5の揺動周期TX とカソード12の磁気回路105の揺
動周期TX との位相のずれ時間を意味し、0≦tX0<T
X で規定される。またtX はこのずれ時間tX0を加味し
たときの見掛上の時間を意味する。なおtX0は揺動周期
X に関する位相のずれ時間であるので、tX0=nX1
X (0≦nX1<1)と定義できる。よって上記(1)式
は下記の(2)式のように書き換えることができる。
【0021】
【数2】 tX ={nX1+S1 |VM |/(2LX S )}・TX …(2)
【0022】今、図3の(A)増長条件ではカソード1
1とカソード12の揺動周期が同期しているので、nX1
=0となり、|VM |=VS で考えているので、上記
(2)式は下記の(3)式のように簡略化される。
【0023】
【数3】 tX ={S1 /(2LX )}・TX …(3)
【0024】図3では、S1 =4LX として設定してい
るので、(3)式は次の(4)式となる。
【0025】
【数4】tX =2TX …(4)
【0026】一方、上記相殺条件とは、図3の(B)相
殺条件で示すように、カソード11で基板3上に厚く堆
積した膜部分6と同じ位置にカソード12で薄く堆積し
た膜部分7aが形成され、反対にカソード11で基板3
上に薄く堆積した膜部分7と同じ位置にカソード12で
厚く堆積した膜部分6aが形成されるという条件であ
る。図3の(B)相殺条件の場合は、カソード11とカ
ソード12の磁気回路105の揺動周期が1/2周期ず
れているので、(2)式においてnX1=0.5となる。
また|VM |=VS とS1 =4LX は増長条件と同じな
ので、上記(2)式は下記の(5)式となる。
【0027】
【数5】tX =2.5TX …(5)
【0028】上記において、(4)式と(5)式を比較
すると、tX がTX の整数倍のときは膜厚分布が増長さ
れ、(整数+0.5)倍のときは膜厚分布が相殺される
ことが解る。そこで(2)式においてnX1+S1 |VM
|/(2LX S )=kX1と定義すると、kX1が整数倍
のとき膜厚分布が増長され、(整数+0.5)倍のとき
膜厚分布が相殺されることになる。ここで「kX1」は見
掛上の位相差(基板の搬送による影響を加味)を意味す
る。この定義からnX1(一般的にnXi:i=1,2,
3)を求めると、下記の式のようになる。ただし第2式
にはTX =2LX/|VM |を代入した。
【0029】
【数6】 nXi=kXi−Si |VM |/(2LX S ) =kXi−Si /(VS X ) …(6)
【0030】以上に述べた相殺条件を用いて改善した膜
厚分布を模式的に表すと、図4のようになる。すなわ
ち、カソード11によって薄く堆積された膜部分7の上
にはカソード12によって厚く堆積された膜部分6aが
堆積し、カソード11によって厚く堆積された膜部分6
の上にはカソード12によって薄く堆積された膜7aが
堆積し、結果として、各カソードによる成膜での膜厚分
布の凹凸が相殺され、膜厚分布の良好な膜20が形成さ
れる。実際の成膜においても、図5(A)に示すよう
に、カソード11により成膜される膜141とカソード
12により成膜される膜142が膜厚分布を相殺する形
で重なり合い、結果として、図5(B)に示す膜143
のように膜厚分布が改善される。なお以降では、カソー
ド11に対する各カソードの揺動周期のずれ、すなわち
X1,nX2,nX3,…を実際の位相差と呼ぶ。カソード
の個数を3基、4基と増設していくと、nX2,nX3,…
を考える必要性が生じる。
【0031】本実施形態では、上記理論を応用して、ス
パッタ成膜チャンバ200の片面に4基のカソード11
〜14を配置し、基板搬送速度等の揺動位相パラメータ
の値を適宜に設定して成膜を行った結果、図5(B)に
示すように膜厚分布が実際に改善された。また膜種によ
っては膜質変化も低減することができた。
【0032】次に、図3(B)を参照して説明した相殺
条件に基づくスパッタ成膜を、他の発明把握の観点に基
づいて説明する。この説明では、一例として、基板3を
搬送させながら4基のカソード11〜14によるスパッ
タ成膜を完了したとき、カソード11に対するカソード
12〜14の各々に設けた磁気回路105の見掛上の揺
動位相差kを0.25とした場合、すなわち各々の磁気
回路105の揺動で90度ずつ位相差を設定した場合に
おける膜形成の状態の変化を明らかにする。図6は、カ
ソード11〜14による成膜の経過を、カソード11に
よる1層目からカソード14による4層目までの成膜状
態を示している。カソード11〜14の各々によって膜
21〜24が形成されると、膜21〜24の各々は凹凸
を有しているが、各膜の成膜では上記のように磁気回路
105の揺動運動に位相差が設定されているので、カソ
ード11〜14による成膜が完了したとき、当該位相差
に基づいて最終的な膜の表面では凹凸が相殺される。こ
うして膜厚分布が良好な膜をスパッタ成膜を行うことが
できる。
【0033】前述の例では4基のカソードが設けられた
が、一般的にカソードの個数がa基の場合(aは2以上
の整数)にも、その位相差を360度/aとすることに
より、同様に膜厚分布の良好なスパッタ成膜を行うこと
ができる。
【0034】次に、図7を参照して他の相殺条件を説明
する。前述の実施形態では、カソード11〜14の各々
における磁気回路105の揺動運動に所定の位相差を設
定することにより、磁気回路の揺動運動を所定位相関係
を満たすように同期させたものであるのに対して、本実
施形態では磁気回路の揺動運動の位相は各カソードで同
じとし、代わりにカソードの間の距離を所定関係に設定
し位相のずれを設定する。
【0035】この相殺条件の場合には、カソード11と
12の揺動周期のずれはないので、上記(2)式におい
てnX1=0となる。また|VM |=VS は増長条件と同
じだが、S1 =3LX となっているので、(2)式は下
記の(7)式となる。
【0036】
【数7】tX =1.5TX …(7)
【0037】(7)式においても、tX がTX の(整数
+0.5)倍となり、各カソードによる膜厚分布が相殺
されることが解る。本実施形態のよる相殺条件の場合に
は位相制御系が不要となるという利点を有し、搬送速度
に変更がない場合に都合がよい。
【0038】図8は、本実施形態において各カソードに
おける磁気回路の揺動の位相制御を行う制御系の構成を
示し、位相差を順次に生成する制御の流れを示してい
る。
【0039】図8において、サーボモータ31はカソー
ド11の磁気回路105の揺動機構(図示せず)を動作
させる駆動装置であり、サーボモータ32はカソード1
2の磁気回路の揺動機構を動作させる駆動装置であり、
サーボモータ33はカソード13の磁気回路の揺動機構
を動作させる駆動装置であり、サーボモータ34はカソ
ード11の磁気回路の揺動機構を動作させる駆動装置で
ある。サーボモータ31〜34の各々はエンコーダ41
〜44を備えている。
【0040】サーボモータ31の動作はエンコーダ41
を介してサーボコントローラ46へフィードバック53
で戻され、サーボコントローラ46で即座に補正を加え
られた制御データがサーボドライバ45に送られ、そこ
から補正出力52がサーボモータ31へ送られる。これ
によりサーボモータ31の制御ループが作られ、サーボ
モータ31を安定して回転させる。上記フィードバック
53のデータは同時に位相コンパレータ48にも送ら
れ、別のサーボコントローラ49で補正を加え、他のサ
ーボモータ32〜34を駆動するためのサーボドライバ
スレーブ47a,47b,47cに送られる。各々のサ
ーボドライバスレーブ47a,47b,47cからの出
力52a,52b,52cはそれぞれサーボモータ3
2,33,34を駆動させる。
【0041】上記サーボモータ32〜34の各々と連動
したエンコーダ42〜44からはフィードバック53
a,53b,53cが位相コンパレータ48に送られ
る。位相コンパレータ48は、モータ位相設定器51で
各モータ位相設定値に基づき指定された位相差を位相設
定器50を介して受け取り、即座にサーボコントローラ
49に補正値を送ることで制御ループが作られ、サーボ
モータ32〜34は指定された前述の位相差を保ちつ
つ、安定した回転運動を行う。
【0042】以上の制御系により、各カソード11〜1
4の磁気回路105の揺動運動に関し前述の所定位相差
を持った安定した揺動運動を実現できる。その結果、高
いターゲット利用効率を維持しつつ、揺動周期(往復に
要する時間)を長くしてもスパッタ成膜された基板上の
薄膜の膜厚分布と膜質分布を良好なものに改善できるた
め、揺動機構の寿命を大幅に延ばすことが実現できた。
【0043】上記の実施形態ではカソード11〜14に
ついて説明したが、カソード15〜18の動作について
も同様に制御されまたは同様な構成を有する。
【0044】本実施形態では、基板搬送方向の揺動運動
に関して単振動の揺動運動を応用したが、これは必ずし
も単振動に限ることなく、等速度運動のような他の運動
であっても一向に差し支えない。また本発明に係るスパ
ッタ成膜装置は、インライン型には限定されず、バッチ
型あるいは枚葉型のものであってもかまわない。さらに
本実施形態では、スパッタ成膜チャンバに平行に配列さ
れた2組のトレイ2を導入した両面成膜形式のスパッタ
成膜装置を示しているが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、複数のマグネトロンカソードを一列に並べて設置
してなり、各カソードのターゲット背面に配置される磁
気回路を基板搬送方向に対して平行な方向に揺動するス
パッタ成膜装置において、各磁気回路の揺動運動を所定
の位相関係を満足するように同期させ、各カソードごと
に制御できるように構成したため、カソードの持つ利点
である高いターゲット利用効率を維持しつつ、揺動周期
を長くしても、基板上にスパッタ成膜された薄膜の膜厚
分布と膜質分布の特性を向上することができる。さらに
揺動機構の寿命を大幅に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスパッタ成膜装置の実施形態を示
す構成図である。
【図2】カソードの配列状態を示す図である。
【図3】基板の搬送成膜における増長条件と相殺条件を
比較説明する図である。
【図4】成膜状態を説明する断面図である。
【図5】堆積した膜が相殺された状態を示す図である。
【図6】他の観点から成膜過程を説明する経過図であ
る。
【図7】他の相殺条件を説明する縦断面図である。
【図8】各磁気回路の揺動運動に所定の位相関係を与え
る制御系の構成図である。
【図9】従来におけるマグネトロンカソードの構造を示
す縦断面図である。
【図10】磁気回路の平面図である。
【図11】図10におけるA−A線断面図である。
【図12】従来のマグネトロンカソードによる実際の成
膜状態を示す図である。
【図13】トレイに装備された基板の一例を示す正面図
である。
【図14】基板がマグネトロンカソードからスパッタ成
膜を受ける状態を示す図である。
【図15】従来のマグネトロンカソードによる成膜の状
態変化を示す経過図である。
【図16】従来のマグネトロンカソードで堆積された膜
の状態を示す図である。
【符号の説明】
2 トレイ 3 基板 4 基板搬送方向 11〜18 マグネトロンカソード 101 ターゲット 103 カソードボディ 105 磁気回路 200 スパッタ成膜チャンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 檜森 和弘 東京都府中市四谷5丁目8番1号 アネル バ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバ内に少なくとも2つのマグ
    ネトロンカソードを並べて配置し、基板を前記マグネロ
    ンカソードに順次に対向させながら搬送し、搬送中に前
    記基板にスパッタ成膜を行うスパッタ成膜装置におい
    て、 前記マグネトロンカソードの各々は、スパッタ成膜時に
    前記基板に対向する位置にあるターゲットと、このター
    ゲットの背面で基板搬送方向に揺動し前記ターゲットの
    表面に揺動磁場を作る磁気回路を備え、 前記マグネトロンカソードの各々によって決まる位相が
    所定の位相関係を満たす構成を備えたことを特徴とする
    スパッタ成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記マグネトロンカソードの各々におけ
    る前記磁気回路の揺動運動を所定の位相関係が満たされ
    るように同期させる制御手段を設け、前記マグネトロン
    カソードの各々における前記磁気回路の揺動運動の位相
    差が相殺条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の
    スパッタ成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記マグネトロンカソードの個数がaで
    あるとき、隣接する前記マグネトロンカソードの前記磁
    気回路の揺動運動の間で360度/aの位相差を持たせ
    たことを特徴とする請求項2記載のスパッタ成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記マグネトロンカソードの各々の間の
    位置関係によって位相のずれを設定し、前記マグネトロ
    ンカソードの各々における前記磁気回路の揺動運動の位
    相は同じであることを特徴とする請求項1記載のスパッ
    タ成膜装置。
JP06617898A 1998-03-02 1998-03-02 スパッタ成膜装置およびスパッタ成膜方法 Expired - Fee Related JP4202459B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06617898A JP4202459B2 (ja) 1998-03-02 1998-03-02 スパッタ成膜装置およびスパッタ成膜方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06617898A JP4202459B2 (ja) 1998-03-02 1998-03-02 スパッタ成膜装置およびスパッタ成膜方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11246969A true JPH11246969A (ja) 1999-09-14
JP4202459B2 JP4202459B2 (ja) 2008-12-24

Family

ID=13308344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06617898A Expired - Fee Related JP4202459B2 (ja) 1998-03-02 1998-03-02 スパッタ成膜装置およびスパッタ成膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4202459B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008108185A1 (ja) * 2007-03-01 2008-09-12 Ulvac, Inc. 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
WO2009093598A1 (ja) * 2008-01-21 2009-07-30 Ulvac, Inc. スパッタ成膜方法およびスパッタ成膜装置
US7744731B2 (en) 2007-06-04 2010-06-29 Canon Anelva Corporation Sputtering apparatus of forming thin film
WO2013183202A1 (ja) * 2012-06-08 2013-12-12 キヤノンアネルバ株式会社 スパッタリング装置およびスパッタリング成膜方法
KR20190113898A (ko) 2017-03-17 2019-10-08 닛신덴키 가부시키 가이샤 스퍼터링 장치

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012184511A (ja) * 2007-03-01 2012-09-27 Ulvac Japan Ltd 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
JP5145325B2 (ja) * 2007-03-01 2013-02-13 株式会社アルバック 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
WO2008108185A1 (ja) * 2007-03-01 2008-09-12 Ulvac, Inc. 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
KR101083443B1 (ko) 2007-03-01 2011-11-14 가부시키가이샤 알박 박막 형성 방법 및 박막 형성 장치
US7744731B2 (en) 2007-06-04 2010-06-29 Canon Anelva Corporation Sputtering apparatus of forming thin film
JPWO2009093598A1 (ja) * 2008-01-21 2011-05-26 株式会社アルバック スパッタ成膜方法およびスパッタ成膜装置
WO2009093598A1 (ja) * 2008-01-21 2009-07-30 Ulvac, Inc. スパッタ成膜方法およびスパッタ成膜装置
WO2013183202A1 (ja) * 2012-06-08 2013-12-12 キヤノンアネルバ株式会社 スパッタリング装置およびスパッタリング成膜方法
CN104364418A (zh) * 2012-06-08 2015-02-18 佳能安内华股份有限公司 溅射装置和溅射成膜方法
KR20150023629A (ko) * 2012-06-08 2015-03-05 캐논 아네르바 가부시키가이샤 스퍼터링 장치 및 스퍼터링 성막 방법
KR20170010070A (ko) * 2012-06-08 2017-01-25 캐논 아네르바 가부시키가이샤 스퍼터링 장치 및 스퍼터링 성막 방법
KR20190113898A (ko) 2017-03-17 2019-10-08 닛신덴키 가부시키 가이샤 스퍼터링 장치
US11328913B2 (en) 2017-03-17 2022-05-10 Nissin Electric Co., Ltd. Sputtering device

Also Published As

Publication number Publication date
JP4202459B2 (ja) 2008-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2009093598A1 (ja) スパッタ成膜方法およびスパッタ成膜装置
CN101528972B (zh) 薄膜形成方法及薄膜形成装置
KR20090106629A (ko) 스퍼터링 방법 및 스퍼터링 장치
US5626727A (en) Sputtering apparatus and method
KR101986920B1 (ko) 스퍼터링 장치 및 스퍼터링 성막 방법
JP2008184625A (ja) スパッタ方法及びスパッタ装置
JP4551487B2 (ja) 磁石ユニットおよびマグネトロンスパッタリング装置
JPH11246969A (ja) スパッタ成膜装置
JP3514488B2 (ja) マグネトロンスパッタ方法及び装置
JP5921840B2 (ja) 成膜方法
US9994950B2 (en) Method for depositing a piezoelectric film containing AIN, and a piezoelectric film containing AIN
JP6251588B2 (ja) 成膜方法
JP4290323B2 (ja) スパッタ成膜方法
WO2014024344A1 (ja) スパッタリング装置
KR101001658B1 (ko) 마그네트론 스퍼터 코팅 기판 제작 방법 및 이를 위한 장치
CN111527236B (zh) 溅射方法及溅射装置
WO2011007580A1 (ja) 基板処理方法
JP2004043934A (ja) プラズマスパッタリング薄膜形成方法及び成膜装置
JP4453850B2 (ja) スパッタ成膜装置およびスパッタ膜形成方法
JP4005172B2 (ja) 両面同時成膜方法および装置
JPH1046334A (ja) スパッタ成膜装置
JP7256645B2 (ja) スパッタリング装置及び成膜方法
JPH0449516B2 (ja)
JP2011503351A (ja) スパッタコーティング装置及びコーティング方法
JPS6328985B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081007

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081009

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111017

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121017

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131017

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees