JP5921840B2 - 成膜方法 - Google Patents
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Description
この技術では、基板表面に形成される膜厚分布の移動方向のムラを解消できるものの、基板を移動させるためには大型の真空槽が必要になるという不都合があった。また基板保持部(基板トレー)にも着膜してしまい、ダストが発生するという問題があった。
この技術では、基板表面に形成される膜厚分布の移動方向のムラを解消できるものの、基板と対向する位置でプラズマを着火させるために、着火時の不良な膜が基板に着膜してしまうという問題があった。特に、IGZO等の反応性膜の場合には、膜質のムラになってしまっていた。
また、プラズマが着火してから安定するまでの膜も基板に着膜するため、特にAlOxの成膜では酸素含有量が不安定な膜が着膜して、屈折率にムラができてしまい、所望の特性の膜を得ることができないという問題があった。
本発明は、真空槽と、前記真空槽内に配置され、基板を保持する基板保持部と、前記真空槽内に配置されたターゲットと、を有し、前記真空槽内にスパッタガス及び反応ガスを導入し、前記ターゲット表面にプラズマを生成し、前記ターゲットを反応性スパッタして、前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成するスパッタリング装置を用いた成膜方法であって、前記ターゲット表面に生成される前記プラズマを安定化させるための時間である安定化時間Tを求めておき、前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置である着火位置に前記ターゲットを配置して、前記ターゲット表面に前記プラズマを生成する着火工程と、前記安定化時間Tの間前記ターゲットを前記着火位置に位置させて生成された前記プラズマを安定させる安定化工程と、前記ターゲットを、前記着火位置と、前記基板保持部に保持された前記基板表面と対向する位置である成膜位置とを通る搬送路に沿って一の移動方向に移動させ、前記成膜位置を通過させて前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成する第一の成膜工程と、前記ターゲットを前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置に配置して、前記プラズマを消滅させる消火工程と、を有し、前記安定化工程では、前記プラズマを遷移モードで安定させる成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記第一の成膜工程の後、前記消火工程の前に、前記ターゲットを前記搬送路に沿って前記移動方向とは逆向きに移動させ、前記成膜位置を通過させて前記基板上に薄膜を形成する第二の成膜工程が設けられた成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記安定化工程では、前記ターゲットを移動させながら前記プラズマを安定させる成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記安定化工程では、前記ターゲットを静止させながら前記プラズマを安定させる成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記ターゲットの前記プラズマが着火される位置を、前記ターゲットの移動速度Vと前記安定化時間Tとの積である助走距離以上前記成膜位置から離れた位置に設定する成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記ターゲットを、裏面に配置された磁石装置と一緒に移動させる成膜方法である。
着火位置でプラズマを着火させるため、基板には着火直後の膜や、放電が不安定なときの膜は成膜されない。
本発明の第一例のスパッタリング装置の構造を説明する。
図1は第一例のスパッタリング装置10aの内部構成図である。
本実施例では、ターゲット部19aは一台の単位ターゲット装置30を有している。
単位ターゲット装置30は、平板形状のターゲット31と、ターゲット31が表面に固定されたバッキングプレート32と、バッキングプレート32のターゲット31とは逆の裏面側に配置された磁石装置33とを有している。
磁石装置33は、第一の磁石部材33aと、第一の磁石部材33aの周囲を取り囲んで環状に設けられた第二の磁石部材33bとを有している。
第一、第二の磁石部材33a、33bのうちバッキングプレート32の裏面と対向する部分には互いに異なる極性の磁極が配置され、一方の磁極から出て他方の磁極に入る磁力線により、ターゲット31の表面には磁力線が形成されるようになっている。
真空槽11には、真空槽11内にガスを導入するガス導入装置13と、真空槽11内を真空排気する真空排気装置12とがそれぞれ接続されている。
なお、電圧は実施形態によって直流/交流を適宜選べばよい。
移動装置40aは、ここではリニアモーターであり、搬送路43に沿って延設されたレール41と、レール41上に配置された可動部42とを有している。
レール41から可動部42に移動力が印加されると、単位ターゲット装置30は、可動部42と一緒にレール41の長手方向に沿って移動できるようになっている。
上述の第一例のスパッタリング装置10aを用いた成膜方法を説明する。
ここではターゲット31にはアルミニウム(Al)を用いるが、本発明のターゲット31の材質はAlに限定されない。
真空排気装置12を動作させて、真空槽11内を真空排気して、真空雰囲気を形成する。以後、真空排気を継続して、真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、基板20を基板保持部15に保持させた状態で真空槽11内に搬入し、基板20の表面が防着部材16と補助防着部材17との間の空間に露出する位置に配置して静止させる。このとき、基板保持部15の搬送路43と対向する部分は、防着部材16と補助防着部材17で覆われて、基板保持部15には膜が着膜しないようになっている。
磁石揺動装置34を動作させて、磁石装置33を揺動させる。以後、磁石装置33の揺動を継続する。
単位ターゲット装置30を着火位置51のうち成膜位置52から助走距離以上離れた位置に配置する。
電源装置36からバッキングプレート32に電圧を印加すると、ターゲット31表面に放電が生じて、導入された混合ガスのプラズマが生成され、プラズマ中のArイオンはターゲット31表面に入射して、ターゲット31表面をスパッタする。磁石装置33はターゲット31表面と平行な方向に揺動しており、ターゲット31表面は均一にスパッタされる。
また、ターゲット31は着火位置51に位置し、基板20表面と対向しておらず、プラズマ着火時のスパッタ粒子が基板20表面に到達して、基板20表面の着火位置51側の端部に不良な膜質の膜が着膜することはない。
単位ターゲット装置30は成膜位置52から助走距離以上離れた位置から移動を開始し、プラズマが遷移モードに安定するまでは、ターゲット31は着火位置51の範囲内に位置しており、プラズマが遷移モードに安定する前のスパッタ粒子が基板20表面に到達して、基板20表面の着火位置51側の端部に酸素含有量が不安定な膜が着膜することはない。
また、ここでは電源装置36から供給する電力量を制御してプラズマを遷移モードに安定させたが、ガス導入装置13から真空槽11内に導入する反応ガスの流量を制御してプラズマを遷移モードに安定させてもよい。
プラズマの状態を遷移モードに維持しながら、単位ターゲット装置30の移動を継続し、着火位置51から成膜位置52を通って消火位置53に到達させる。
成膜位置52を通過中にターゲット31から放出されたスパッタ粒子は基板20表面に到達して、基板20表面には所定の酸素含有量のAlOx膜が形成される。AlOx膜の膜厚は搬送路43に沿った方向に均一になる。すなわち、AlOx膜の膜質分布や膜厚分布には搬送路43と平行な方向にムラが発生しない。
次いで、単位ターゲット装置30を搬送路43に沿って第一の成膜工程での移動方向とは逆向きに移動させ、消火位置53から成膜位置52を通って着火位置51に到達させる。
成膜位置52を通過中にターゲット31から放出されたスパッタ粒子は基板20表面に到達して、第一の成膜工程で成膜されたAlOx膜の表面に所定の酸素含有量のAlOx膜が積層される。
次いで、電源装置36からの電力供給を停止し、プラズマを消滅させる。ガス導入装置13からのガスの導入を停止する。プラズマが消滅するときのスパッタ粒子は、ターゲット31表面と対向する防着部材16又は補助防着部材17に付着し、真空槽11の壁面には到達しない。よって、真空槽11の壁面の汚染や真空槽11の壁面からのダストの発生が抑制される。
次いで、真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、成膜済みの基板20を基板保持部15と一緒に真空槽11の外側に搬出する。次いで、未成膜の基板20を基板保持部15と一緒に真空槽11内に搬入して、上述の各工程を順に繰り返し、複数枚の基板20に薄膜を成膜する。
本発明の第二例のスパッタリング装置の構造を説明する。
図3は第二例のスパッタリング装置10bの内部構成図である。第二例のスパッタリング装置10bのうち、第一例のスパッタリング装置10aの構成と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、対応する部分には、同じ符号に添え字bを付して示す。
各単位ターゲット装置301、302の構造は、図2を参照し、第一例のスパッタリング装置10aの単位ターゲット装置30の構造と同じであり、説明を省略する。
レール41に設けられた固定電磁石の磁極をレール41の長手方向に沿って順に変化させると、各可動部421、422の可動磁石にはレール41の長手方向と平行で同一方向の移動力が印加され、各単位ターゲット装置301、302は搬送路43に沿って同一方向に同一速度で移動できるようになっている。
第二例のスパッタリング装置10bでは、第一例のスパッタリング装置10aに比べて、ターゲット31の数が多いため、一回の成膜工程(すなわち一回の第一の成膜工程又は一回の第二の成膜工程)あたり、より多くのスパッタ粒子を基板20表面に到達させることができ、成膜時間を短縮できる。
本発明の第三例のスパッタリング装置の構造を説明する。
図4は第三例のスパッタリング装置10cの内部構成図である。第三例のスパッタリング装置10cのうち、第一例のスパッタリング装置10aの構成と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、対応する部分には、同じ符号に添え字cを付して示す。
各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023の構造は、図2を参照し、第一例のスパッタリング装置10aの単位ターゲット装置30の構造と同じであり、説明を省略する。
移動装置40cは、各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023を搬送路43’に沿って同一方向に同一速度で移動させ、ターゲット31表面を基板20表面と平行に向けた状態で、成膜位置52を順に通過させるように構成されている。
本実施例では、符号3011〜3013の単位ターゲット装置は一組のターゲット組391を成し、符号3021〜3023の単位ターゲット装置は別の一組のターゲット組392を成している。
なお、一組のターゲット組391、392を構成する単位ターゲット装置の数は三個に限定されず、一個でもよいし、二個以上でもよい。
上述の第三例のスパッタリング装置10cを用いた成膜方法を説明する。
ここでは各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023のターゲット31にはアルミニウム(Al)を用いるが、本発明のターゲット31の材質はAlに限定されない。
準備工程は第一例のスパッタリング装置10aを用いた成膜方法の準備工程と同じであり、説明を省略する。
移動装置40cを動作させて、各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023を搬送路43’に沿って同一方向に同一速度で移動させる。以後、搬送路43’に沿った各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023の移動を継続する。
各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023について行う工程は同様であり、符号3011の単位ターゲット装置3011で代表して説明する。
単位ターゲット装置3011が着火位置51のうち成膜位置52から助走距離以上離れた位置に配置されたとき、電源装置36からバッキングプレート32に電圧を印加すると、ターゲット31表面に放電が生じて、混合ガスのプラズマが生成され、プラズマ中のArイオンはターゲット31表面に入射して、ターゲット31表面をスパッタする。
また、ターゲット31は着火位置51に位置しており、基板20表面と対向しておらず、プラズマ着火時のスパッタ粒子が基板20表面に到達して、基板20表面の着火位置51側の端部に不良な膜質の膜が形成されることはない。
プラズマの状態を遷移モードに維持しながら、単位ターゲット装置3011を、着火位置51から成膜位置52を通って消火位置53に到達させる。
成膜位置52を通過中にターゲット31から放出されたスパッタ粒子は基板20表面に到達して、基板20表面には所定の酸素含有量のAlOx膜が、移動方向に均一な膜厚で形成される。すなわち、AlOx膜の膜質分布や膜厚分布には搬送路43’と平行な方向にムラが発生しない。
単位ターゲット装置3011が消火位置53に配置されたとき、電源装置36からの電力供給を停止し、プラズマを消滅させる。プラズマが消滅するときのスパッタ粒子は、ターゲット31表面と対向する補助防着部材17に到達して付着し、真空槽11の壁面には到達せず、真空槽11の壁面の汚染や真空槽11の壁面からのダストの発生が抑制される。
各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023を搬送路43’に沿って同一方向に同一速度で移動させ続けながら、各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023では上述の着火工程と成膜工程と消火工程とを順に繰り返させると、各単位ターゲット装置3011〜3013、3021〜3023が成膜位置52を通過するたびに基板20表面にはAlOx膜が積層される。
一のターゲット組391の後尾と、その後尾の後方に位置する他の一のターゲット組392の先頭との間の搬送路43’に沿った間隔は、基板20表面の搬送路43’に沿った長さより長くされており、一のターゲット組391の後尾の単位ターゲット装置3013で成膜工程が終わった後に、その後方に位置する他の一のターゲット組392の先頭の単位ターゲット装置3021で成膜工程が始まる。
11……真空槽
15……基板保持部
16……防着部材
20……基板
31……ターゲット
391、392……ターゲット組
40a、40b、40c……移動装置
43、43’……搬送路
51……着火位置
52……成膜位置
Claims (7)
- 真空槽と、
前記真空槽内に配置され、基板を保持する基板保持部と、
前記真空槽内に配置されたターゲットと、
を有し、
前記真空槽内にスパッタガス及び反応ガスを導入し、前記ターゲット表面にプラズマを生成し、前記ターゲットを反応性スパッタして、前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成するスパッタリング装置を用いた成膜方法であって、
前記ターゲット表面に生成される前記プラズマを安定化させるための時間である安定化時間Tを求めておき、
前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置である着火位置に前記ターゲットを配置して、前記ターゲット表面に前記プラズマを生成する着火工程と、
前記安定化時間Tの間前記ターゲットを前記着火位置に位置させて生成された前記プラズマを安定させる安定化工程と、
前記ターゲットを、前記着火位置と、前記基板保持部に保持された前記基板表面と対向する位置である成膜位置とを通る搬送路に沿って一の移動方向に移動させ、前記成膜位置を通過させて前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成する第一の成膜工程と、
前記ターゲットを前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置に配置して、前記プラズマを消滅させる消火工程と、
を有し、
前記着火工程と、前記安定化工程と、前記第一の成膜工程と、前記消火工程と、を行って前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成した後に、前記基板保持部に保持された前記基板を別の基板と交換する基板交換工程が設けられた成膜方法であって、
前記スパッタリング装置は、一個又は二個以上の前記ターゲットからなる第一、第二のターゲット組を有し、前記第一のターゲット組が前記第二のターゲット組よりも先に前記搬送路に沿って移動するように配置され、
前記第一のターゲット組の後尾の前記ターゲットと、前記第二のターゲット組の先頭の前記ターゲットとの間の前記搬送路に沿った間隔を、前記基板の前記搬送路に沿った長さより長くしておき、
前記第一のターゲット組の後尾の前記ターゲットが前記成膜位置を通過して前記基板保持部に保持された前記基板に薄膜が形成された後、前記第二のターゲット組の先頭の前記ターゲットが、前記着火位置から前記成膜位置に移動する前に前記基板交換工程を行う成膜方法。 - 真空槽と、
前記真空槽内に配置され、基板を保持する基板保持部と、
前記真空槽内に配置されたターゲットと、
を有し、
前記真空槽内にスパッタガス及び反応ガスを導入し、前記ターゲット表面にプラズマを生成し、前記ターゲットを反応性スパッタして、前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成するスパッタリング装置を用いた成膜方法であって、
前記ターゲット表面に生成される前記プラズマを安定化させるための時間である安定化時間Tを求めておき、
前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置である着火位置に前記ターゲットを配置して、前記ターゲット表面に前記プラズマを生成する着火工程と、
前記安定化時間Tの間前記ターゲットを前記着火位置に位置させて生成された前記プラズマを安定させる安定化工程と、
前記ターゲットを、前記着火位置と、前記基板保持部に保持された前記基板表面と対向する位置である成膜位置とを通る搬送路に沿って一の移動方向に移動させ、前記成膜位置を通過させて前記基板保持部に保持された前記基板表面に薄膜を形成する第一の成膜工程と、
前記ターゲットを前記基板保持部に保持された前記基板の外周より外側の位置に配置して、前記プラズマを消滅させる消火工程と、
を有し、
前記安定化工程では、前記プラズマを遷移モードで安定させる成膜方法。 - 前記第一の成膜工程の後、前記消火工程の前に、前記ターゲットを前記搬送路に沿って前記移動方向とは逆向きに移動させ、前記成膜位置を通過させて前記基板上に薄膜を形成する第二の成膜工程が設けられた請求項2記載の成膜方法。
- 前記安定化工程では、前記ターゲットを移動させながら前記プラズマを安定させる請求項1乃至3のいずれか1項記載の成膜方法。
- 前記安定化工程では、前記ターゲットを静止させながら前記プラズマを安定させる請求項1乃至3のいずれか1項記載の成膜方法。
- 前記ターゲットの前記プラズマが着火される位置を、前記ターゲットの移動速度Vと前記安定化時間Tとの積である助走距離以上前記成膜位置から離れた位置に設定する請求項1乃至5のいずれか1項記載の成膜方法。
- 前記ターゲットを、裏面に配置された磁石装置と一緒に移動させる請求項1乃至6のいずれか1項記載の成膜方法。
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