JPH11246397A - 吸熱性外用組成物及びその睡眠導入剤としての用途 - Google Patents

吸熱性外用組成物及びその睡眠導入剤としての用途

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JPH11246397A
JPH11246397A JP10050286A JP5028698A JPH11246397A JP H11246397 A JPH11246397 A JP H11246397A JP 10050286 A JP10050286 A JP 10050286A JP 5028698 A JP5028698 A JP 5028698A JP H11246397 A JPH11246397 A JP H11246397A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷却作用及び鎮静作用のある外用組成物の提
供、身体に直接若しくは間接的に貼付されることにより
催眠効果を発揮する入眠補助剤若しくは睡眠導入剤とし
て有用な外用組成物の提供。 【解決手段】リナロール又はリナリルアセテートの少な
くとも1種またはラベンダーの抽出物を吸熱性組成物中
に含有する外用組成物;最終組成物が30〜95%の割
合で水分を含有している上記外用組成物;吸熱性組成物
が多糖類,水及び必要に応じて多価アルコールを含有す
るか、ポリアクリル酸類,多価金属類,水及び必要に応
じて多価アルコールを含有するものである上記外用組成
物;吸熱性組成物が更に(i)酒石酸,クエン酸,リン
酸,エチレンジアミン四酢酸またはそれらの塩の少なく
とも1種,または(ii)セルロース誘導体のいずれか少な
くとも1方を含む上記外用組成物;睡眠導入剤である上
記外用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リナロール又はリ
ナリルアセテートの少なくとも1種を吸熱性組成物に含
有する外用組成物及びそれを含有する貼付剤に関する。
【0002】また本発明は、上記外用組成物及び貼付剤
の睡眠導入剤としての用途に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、不眠症の治療には、トランキライ
ザーなどの睡眠導入薬が使用されるが、これらの薬剤は
劇物であり、連用による耐性や反跳性不眠などの副作用
も多い。副作用が比較的少ないとされるベンゾジアゼピ
ン系の薬剤さえも、前向性健忘や服用後にもうろう状態
を生じやすい等の副作用が報告されており、このような
副作用がなく、安心して服用できる睡眠薬の開発が求め
られている。
【0004】ところで、ヨーロッパ地方を中心に古くか
ら知られているアロマテラピーによると、様々な精油の
香りによる薬理的・心理的療法が広く伝えられており
(「実践アロマテラピー」:シャーリ・プライス著、高
山林太郎訳、1987年)(「アロマテラピー」:ロバート
・ティスランド著、高山林太郎訳、1985年)、各研究分
野においても、香りが生理・心理状態に与える影響に関
する報告が数多く出されている〔化学技術誌、1990年8
月;フレグランス・ジャーナル、No.86、1987年;フレ
グランス・ジャーナル、No.77、16、1986年;日本神経
精神薬理学雑誌、Vol.15、39-42、1995;FOOD & FOOD I
NGREDIENTS JOURNAL No.156, 1993等〕。また、アロマ
テラピーで用いられる精油による安眠効果に関して、特
開平4−128234号、特開平4−149136号の
報告がある。
【0005】このようなアロマテラピー(芳香療法)に
は、その鎮静効果、殺菌効果、抗炎症効果、鎮咳効果及
びリラックス効果等といった効用に加えて、安全性が高
いこと等からラベンダー精油がよく用いられている。
【0006】しかしながら、特開平4−149136号
(特許公開公報第13頁、実施例2)にはラベンダー精
油には安眠促進効果が殆どないことが記載されており、
また今までラベンダー精油に催眠作用があるという報告
はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みて開発されたもので、ラベンダー精油等に含まれ
るリナロール又はリナリルアセテートの少なくとも1種
を吸熱性組成物中に含有含有する冷却作用及び鎮静作用
のある外用組成物を提供することを目的とする。該外用
組成物は、ヒトの額部や胸部に適用されることにより催
眠効果を発揮する入眠補助剤若しくは睡眠導入剤として
有用である。
【0008】また本発明は、上記外用組成物をシート状
基材に積層してなる貼付剤を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく、鎮静効果があって安全性の
高いラベンダー抽出物に注目して種々研究をすすめてい
たところ、ラベンダー抽出物又はその揮発成分を吸熱性
組成物に配合して外用剤とし、これを上半身、特に頭・
顔部又は胸部に適用すると、体温によってラベンダーの
揮発成分が効果的に鼻腔から作用して、該外用剤の冷却
作用と相俟って、入眠がスムーズに導かれることを見い
だした。本発明はかかる知見に基づいて開発されたもの
である。
【0010】すなわち、本発明は下記(1)〜(8)に
掲げる外用組成物である。
【0011】(1)リナロール又はリナリルアセテート
の少なくとも1種を吸熱性組成物中に含有する外用組成
物。
【0012】(2)最終組成物100重量部に含まれる
リナロールの配合量が0.0005〜0.6重量部であ
り、またリナリルアセテートの配合量が0.0005〜
0.8重量部である(1)記載の外用組成物。
【0013】(3)ラベンダーの抽出物を吸熱性組成物
中に含有する(1)又は(2)記載の外用組成物。
【0014】(4)最終組成物が30〜95%の割合で
水分を含有していることを特徴とする(1)乃至(3)
のいずれかに記載の外用組成物。
【0015】(5)吸熱性組成物が、多糖類及び水を含
有する組成物であることを特徴とする(1)乃至(4)
のいずれかに記載の外用組成物。
【0016】(6)吸熱組成物が、ポリアクリル酸類、
多価金属類及び水を含有する組成物である(1)乃至
(4)のいずれかに記載の外用組成物。
【0017】(7)吸熱組成物が更に多価アルコールを
含む組成物である(5)又は(6)に記載の外用組成
物。
【0018】(8)吸熱組成物が、更に(i)酒石酸,ク
エン酸,リン酸,エチレンジアミン四酢酸またはそれら
の塩の少なくとも1種,または(ii)セルロース誘導体の
いずれか少なくとも1方を含む組成物である(6)又は
(7)記載の外用組成物。
【0019】これらの外用組成物は、睡眠導入剤として
用いることができる。
【0020】更に本発明は、上記いずれかに記載の外用
組成物を有する貼付剤である。
【0021】前述するように、従来、ラベンダー精油な
らびにそれに含まれている揮発成分に睡眠導入作用や催
眠作用があるという報告はない。
【0022】本発明者らの更なる研究によると、本発明
の外用組成物は、ラベンダー油に含まれている揮発成分
を効果的に鼻腔から吸入させることにより中枢神経をリ
ラックスさせ、さらに末梢の皮膚血流量を増加させて末
梢皮膚温を上げ、体内深部からの放熱を助長することが
判明した。
【0023】従来から、体温と睡眠リズムとの間に一定
の相関関係があることが知られている。すなわち、就眠
に先だって末梢皮膚温が上昇し始め、それにやや遅れて
直腸温が下降し、睡眠中はこの状態が続く(綜合臨床 V
ol.34 増刊号(1985),14-16)。また、かかる就眠時の体
温リズムの発現には、皮膚血流量を増加させて体内深部
の熱を放散する機構が関与していることが指摘されてい
る(Damm,F.,Doring,G.,ら、「体温とサーカディアンリ
ズム」1973年)。
【0024】本発明の外用組成物は、ヒトの生体リズム
を、このような就眠時の自然の体温リズムに人為的に近
づけることによって、自然により近い睡眠を導くもので
ある。また本発明の外用組成物は、皮膚表面を冷却する
ことによって生体の熱放散機構を補助するものであり、
これによって就眠時の生体リズムに一層近づけて睡眠を
スムーズに導くことができる。更に本発明の外用組成物
によれば、体温によって揮散されたリナロール等のラベ
ンダーの揮発成分の働きによってヒトに鎮静作用を与
え、精神的な面からも安らかな睡眠をもたらすことがで
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の外用組成物は、リナロー
ル又はリナリルアセテートの少なくとも1種を吸熱性組
成物に含有することを特徴とする。
【0026】本発明で用いられるリナロールは、天然に
広く存在するリナロールであればよく、テルピノレン
形,リモネン形といった構造異性体の別やd体及びl体
の別を問うものではない。好ましくは、ラベンダー油に
存在するリナロールと同一のl−リナロールを挙げるこ
とができる。リナリルアセテートも、同様に、天然に広
く存在するリナリルアセテートであればよい。なお、こ
れらは取得の由来によって何ら限定されるものではな
い。
【0027】本発明の外用組成物に含まれるリナロール
の割合は、最終組成物100重量部あたり0.0005
〜0.6重量部、好ましくは0.002〜0.45重量
部、より好ましくは0.003〜0.4重量部である。
【0028】本発明の外用組成物に含まれるリナリルア
セテートの割合は、最終組成物100重量部あたり0.
0005〜0.8重量部、好ましくは0.002〜0.
7重量部、より好ましくは0.003〜0.6重量部で
ある。
【0029】本発明の組成物には、これらの成分が各種
単独で配合されていても、また2種を組み合わせて配合
されていてもよい。
【0030】リナロールのうち、d−リナロールは、一
般にメキシコ産リナロエ油、ボアドローズ油、コリアン
ダー油、オヤイヌコウジュの精油に、またl−リナロー
ルは、一般にホウショウ油、ラベンダー油、ベルガモッ
ト油等の精油に含まれており、さらにリナリルアセテー
トは、一般にラベンダー油、ベルガモット油、プチグレ
ン油、ジャスミン油、イランイラン油、レモン油等の精
油に含まれている。従って、本発明においては、本発明
の効果を阻害しない限り、上記リナロール及び/又はリ
ナリルアセテートとしてこれらの精油を用いることもで
きる。
【0031】かかる精油としては好適にはラベンダー油
を挙げることができる。ラベンダー油にはリナリルアセ
テート及びl−リナロールに加えて、ゲラニオール、ラ
バンズロール、ネロール、α−ピネン、カリオフィレ
ン、1,8−シネオール、カンフェン、l−リモネン、
ジペンネンなど約数百の成分が含まれている。これらラ
ベンダー油の成分は本発明の効果に対して協同的に働く
ことはあっても本発明の効果を阻害するものではないと
認識される。
【0032】ラベンダー油は、一般に、例えばラベンダ
ーの花穂を水蒸気蒸留するか、又はヘキサン、石油エー
テル、アルコール等の溶媒を用いて抽出することによっ
て得ることができる。
【0033】従って、本発明の外用組成物は、上記のよ
うにして抽出されるラベンダーの抽出物を単独若しくは
2種以上組み合わせて、吸熱性組成物に含有する組成物
であってもよい。
【0034】本発明で用いられるラベンダーには、シソ
科のラベンダー属に属するもの及びそれらの変種等が広
く包含される。一般にラベンダーは葉や苞葉の形状によ
り(1)スパイカラベンダー・グループ(Spica-type l
avender group)、(2)フレンチラベンダー・グルー
プ(Stoechas-type lavender group)及び(3)ファー
ンラベンンダー・グループ(Fern-like lavender grou
p, Pterostachys lavender)に分類され、さらに(1)
はコモンラベンダー系(Lavandula angustifolia Mill.
及びその栽培品種等)、ラバンディン系(L.x intermed
ia Emeric ex Loisel.(Lavandula hybrida Reverchon e
x Briq.,L.hortensis Hy))及びその他の系統(例え
ば、スパイクラベンダー(L.latifolia Medik.(L.spica
auct.,non L.))等)のものに分類される。本発明はこ
れらのラベンダーのいずれをも使用することができる。
【0035】また、ラベンダーの由来及び産地も特に制
限されず、フランス、イタリア、イギリス、ロシア、オ
ーストラリア、北アメリカ、北海道などのいずれのもの
であってもよい。
【0036】ラベンダーの抽出物は、リナロールを5〜
60重量%、好ましくは20〜45重量%の範囲で含む
か、又はリナリルアセテートを5〜80重量%、好まし
くは20〜70重量%の範囲で含むものであれば、それ
に含まれる他の成分及びそれらの配合割合等は特に制限
されるものではない。
【0037】本発明の外用組成物は、特に制限されない
が、かかるラベンダーの抽出物を、0.01〜1重量
%、好ましくは0.05〜0.5重量%、より好ましく
は0.1〜0.3重量%の割合で含有していることが望
ましい。
【0038】本発明で吸熱性組成物とは、水を必須の成
分として含有する組成物であって、水分が蒸発する際の
潜熱放出に基づいて吸熱作用を発揮する含水組成物を広
く意味する。かかる組成物に基づいて本発明の組成物
は、常に室温よりも低い温度に保たれており、被験物を
冷却する作用を有する。
【0039】吸熱性組成物に含まれる水分含量は、特に
限定はされないが、本発明の最終組成物100重量部に
含まれる水分含量として、30〜95重量部、好ましく
は40〜95重量部、より好ましくは50〜95重量
部、一層好ましくは75〜95重量部を例示することが
できる。
【0040】本発明で用いられる吸熱性組成物の成分
は、上記特性を有するものであれば特に制限されない
が、本発明の外用組成物をクリーム、ゲル、軟膏、硬
膏、ローション、乳液等の外用剤、好ましくはクリー
ム、ゲル又は軟膏として調製できるものであることが望
ましい。好ましくは、本発明の外用組成物を、抱水性、
放湿性、自己保形性又は粘着性を有するゲル状物として
調製できる成分を有することが望ましい。
【0041】なお、ここで「抱水性」とは、内部に水を
安定的に含む性質を意味するが、より好ましくはさらに
圧縮しても含有水分を滲出しない性質を意味する。
【0042】また「自己保形性」とは、流動性や崩壊性
を顕著には生じず形状を保持している性質を意味する。
【0043】水を含んでかかる性質を奏し得る成分とし
ては、第一に、一般にゲル化剤として用いられる多糖類
を例示することができる。
【0044】具体的には、カラギーナン、アルギン酸、
アルギン酸プロピレングリコールエステル、タラガム、
ローカストビーンガム、グルコマンナン、キサンタンガ
ム、ジェランガム、ペクチン、プルラン等の天然ガム類
を挙げることができる。これらは単独若しくは2種以上
の組み合わせて用いることができる。好ましくはグルコ
マンナン、ローカストビーンガムを例示することができ
る。
【0045】これらの多糖類は、本発明の外用組成物1
00重量部当たりに換算して、通常0.1〜10重量
部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.
5〜3重量部の割合で配合されることが望ましい。
【0046】吸熱性組成物は、上記多糖類に加えて多価
アルコールを含有していてもよい。
【0047】多価アルコールは、ラベンダー精油等の油
性成分を水に分散・乳化させるときのバインダーにもな
り、さらに湿潤性の付与、使用感向上に寄与する。
【0048】多価アルコールとしては、直鎖状や分枝状
等の形状及び分子量等によって特に制限されず、被着体
(冷却対象体)又は被着物(冷却対象物)に対して安全
なものであれば通常使用されるもののいずれをも使用す
ることができる。具体的にはグリセリン、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ブチレングリコール、等が例示され、中でもグリセリン
(濃グリセリンを含む。)、プロピレングリコール、ブ
チレングリコールが好適に挙げられる。
【0049】これらの多価アルコールは、本発明の外用
組成物100重量部当たりに換算して、通常0.1〜3
0重量部、好ましくは5〜20重量部の割合で配合され
ることが望ましい。
【0050】更に、必要に応じてマンニット、エリトリ
ット等の糖アルコール、又はトレハロース等の糖類を配
合することもできる。
【0051】また必要に応じて界面活性剤を配合しても
よい。界面活性剤は、その種類の別を問わず、本発明の
外用組成物に配合されるリナロール又はリナリルアセテ
ートや、精油に含まれる各種香料成分の種類に応じて、
陽イオン系,陰イオン系,両性イオン系及び非イオン系
といった界面活性剤の中から適宜選択して用いることが
できる。なお、これらの界面活性剤は1種を単独で使用
しても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】水を含んで、抱水性、放湿性、自己保形性
を奏し得る成分として、第二に、ポリアクリル酸類及び
多価金属類を挙げることができる。
【0053】なお、ここでポリアクリル酸類とは、ポリ
アクリル酸のみならずその塩を包含する趣旨で用いられ
る。
【0054】ポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩とし
ては、直鎖状又は分枝状の別を問わず、またその分子量
も特に制限されないが、通常分子量1万〜1000万の
ものが用いられる。ゲル強度を高めてより多くの水分を
安定的に保持させるという観点からは、特に100万〜
700万の分子量のものが望ましい。
【0055】なお、ポリアクリル酸として、通常のアク
リル酸を重合して得られる重合体のほか、カルボキシビ
ニルポリマー(例えば、カーボポール(登録商標)等)
等のアクリル酸重合体を一部架橋したものや、ポリビニ
ルアルコール等も好適に使用し得る。
【0056】ポリアクリル酸の塩としては、特に制限は
ないが、好適にはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアク
リル酸カリウムなどのポリアクリル酸の一価金属塩、ポ
リアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジ
エタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミ
ン等のポリアクリル酸のアミン類、ポリアクリル酸のア
ンモニウム塩等が例示される。これらは単独で使用して
もよいし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
より好ましくは、ナトリウム塩である。
【0057】上記ポリアクリル酸及びポリアクリル酸の
塩は、それぞれ単独で使用しても、またそれらを組み合
わせて用いることもできる。分子量が100万以上のポ
リアクリル酸は一般的に入手が困難であることから、ポ
リアクリル酸とポリアクリル酸の塩(例えば、ナトリウ
ム塩)を併用して用いる方が望ましい。但し、将来分子
量100万以上のポリアクリル酸の入手が容易になれ
ば、この限りではない。
【0058】ポリアクリル酸とポリアクリル酸の塩とを
併用する場合のそれらの配合比は、平均分子量が200
万以上、好適には400万以上になるように調整されれ
ば特に制限されないが、具体的には0:10〜9:1
(重量比)好ましくは2:1〜1:2(重量比)の割合
が例示される。
【0059】ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸
の塩は、本発明の外用組成物100重量部あたりに換算
して、通常1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部
の割合で配合されることが望ましい。
【0060】また、本発明で多価金属類とは、多価金
属、その塩及び多価金属化合物を広く包含する趣旨で用
いられる。
【0061】これらの多価金属類としては、二価以上で
あって上記ポリアクリル酸又はポリアクリル酸の塩を架
橋せしめるものであれば特に制限されず、また一種のみ
ならず二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0062】好適にはマグネシウム、カルシウム、亜
鉛、カドミウム、アルミニウム、チタン、マンガン、コ
バルト、ニッケルなどの多価金属、それらの塩又はそれ
らの化合物が例示されるが、皮膚に対する安全性、生産
性、ゲル特性の観点からより好ましくはアルミニウム、
マグネシウム、カルシウム又はそれらの化合物であり、
とりわけアルミニウム化合物が望ましい。
【0063】例えばアルミニウム化合物としては、具体
的には水酸化アルミニウムのような水酸化物、あるいは
塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウ
ム、ステアリン酸アルミニウムのような無機酸又は有機
酸の正塩、もしくはそれらの塩基性塩、アルミニウムみ
ょうばんのような複塩、アルミン酸ナトリウムのような
アルミン酸塩、無機性アルミニウム錯塩及び有機性アル
ミニウムキレート化合物などが例示される。これらのア
ルミニウム化合物は、水溶性、難溶性の別を問わない。
【0064】これらの多価金属類は、本発明の外用組成
物100重量部あたりに換算し、通常0.01〜10重
量部、好ましくは0.05〜1重量部、より好ましくは
0.1〜0.5重量部の割合で配合されることが望まし
い。
【0065】上記吸熱性組成物は、上記成分を含有する
ものであればよいが、さらに(i)酒石酸,クエン酸,リ
ン酸,エチレンジアミン四酢酸又はそれらの塩の少なく
とも1種、(ii)多価アルコール及び(iii)セルロース誘
導体からなる群から選択されるいずれか少なくとも1種
を含んでいてもよい。
【0066】酒石酸,クエン酸,リン酸,エチレンジア
ミン四酢酸の塩としては、ナトリウムやカリウム等のア
ルカリ金属塩を好適に例示することができる。好適には
酒石酸である。
【0067】これらの酸又はその塩は、本発明の外用組
成物100重量部あたりに換算して、0.01〜2重量
部、好ましくは0.05〜1重量部、より好ましくは
0.1〜0.5重量部の範囲から適宜選択して用いられ
る。
【0068】多価アルコールとしては、多糖類と組み合
わせて用いられるものを同様に挙げることができる。好
適には、グリセリン(濃グリセリンを含む。)、プロピ
レングリコール及びブチレングリコールが挙げられる。
これらの多価アルコールは、湿潤性の付与や使用感向上
に寄与するとともに、ポリアクリル酸又はその塩等の分
散媒として有用である。
【0069】これらの多価アルコールは、最終組成物1
00重量部あたりに換算して、0〜30重量部、好まし
くは10〜20重量部の範囲から適宜選択して用いられ
る。
【0070】セルロース誘導体は、非ニュートン流体を
示す本発明の組成物の加工性を良好にし、ゲルの安定化
を向上させ、また粘度の調整を簡便にする点で有用であ
る。
【0071】使用されるセルロース誘導体としては特に
制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロ
ースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、メチルセルロース等が挙げられ、これらを1種
又は2種以上組み合わせて用いることもできる。好適に
は、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCともい
う。)が挙げられる。
【0072】これらセルロース誘導体は、最終組成物1
00重量部当たり、0.01〜10重量部、好ましくは
0.1〜5重量部の範囲から適宜選択して用いられる。
【0073】また必要に応じて界面活性剤を配合するこ
とができる。界面活性剤は、前述するようにその種類の
別を問わず、本発明の外用組成物に配合される各種香料
成分の種類に応じて、陽イオン系,陰イオン系,両性イ
オン系及び非イオン系といった界面活性剤の中から適宜
選択して用いることができる。これらの界面活性剤は1
種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0074】なお、本発明の外用組成物には、前述する
各成分に加えて必要に応じて、更に防腐剤、保湿剤、刺
激緩和剤、除菌剤、抗菌剤等を配合することができる。
【0075】前述する多糖類またはポリアクリル酸類及
び多価金属類を吸熱性組成物の成分として用いて調製さ
れる本発明の外用組成物は、とりわけ、組成物100重
量部あたり75重量部以上、好ましくは75〜95重量
部という高い含水率で水分を有することができる。組成
物に含まれる水分は冷却作用の本源であることから、こ
のような高含水性の本発明組成物は吸熱効果、冷却効果
に優れるものである。
【0076】さらに当該組成物は、多量の水分を安定的
に保持することができ、このため圧縮しても含有水分を
滲出することがないうえ、95重量部という高含水率を
有していても、稠度の低下により流動状態になるという
ことがなく、この点で自己保形性に優れるという特性を
有している。また、高い含水状態であっても適度な弾力
性を有し、またそれ自体強い粘着性を有しているため、
他の粘着テープ等の補助材を使用することなく簡便に被
着体に貼付できる。また、被着体を問わず簡便に剥がす
ことができ、しかも被着体に剥がし残りを残さず、また
安全性が高いという点で有用である。
【0077】本発明の外用組成物を身体に直接若しくは
間接的に塗布若しくは貼付すると、体温によって組成物
中に含まれるリナロール、リナリルアセテートといった
ラベンダー類抽出物に含まれる成分が揮散して鼻腔に効
果的に作用し、神経をリラックスさせるとともに、末梢
皮膚血流量を増加させて皮膚からの放熱を促進し、これ
により体内深部の体温が下降する入眠時の生体リズムに
導いて入眠を促すことができる。また、本発明の外用組
成物は、経時的に表面から含有水分が蒸発するため、該
蒸発時の潜熱放出に基づいて吸熱作用を有する。よって
かかる組成物を就寝時に皮膚に塗布若しくは貼付すれ
ば、被着皮膚から気化潜熱の形で熱を奪うことにより上
記の体内放熱作用を補助・促進して、スムーズな入眠を
促すことができる。
【0078】本発明の外用組成物は、特に不安、過労、
憂鬱、興奮などといった精神的原因に基づく不眠若しく
は入眠障害、生体リズムの変調に基づく不眠若しくは不
眠障害等に有用である。
【0079】本発明の外用組成物の適用部位は、特に制
限されるものではないが、ラベンダーの揮発成分を鼻腔
に作用させて効果を生じさせるという目的からは、好ま
しくは鼻に近い上半身の領域部であり、より好ましくは
胸部または顔面・頭部、特に額部である。
【0080】かかる特性に基づいて、本発明はさらに、
上記外用組成物を一定形態に成形してなる貼付剤を提供
する。
【0081】形態は特に限定されないが、取扱い易さ、
携帯、保管等の面からシート状が好ましい。かかるシー
ト状の貼付剤は、上記外用組成物そのものをシート状に
展延したり、また液状の組成物をシート状基材に含浸し
たり、軟膏状、クリーム状若しくはゲル状の組成物をシ
ート状基材に塗布・展延することによって調製すること
ができる。
【0082】ここでシート状の基材としては、本発明の
外用組成物を担持できるものであって、ラベンダー抽出
物等の揮発成分の透過及び外用組成物の放湿性を妨げな
いように適度な透過・透湿性を有するものであれば特に
制限はなく、種々の織布、不織布及びフィルム等を使用
することができる。上記性質を有する限り、シート状基
材の開孔径については特に制限はないが、通常0.00
1〜5mm程度、好ましくは0.01〜1mm程度を挙
げることができる。
【0083】基材として織布もしくは不織布を使用する
場合、その素材は特に制限されず、綿、麻、羊毛などの
天然繊維、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊
維、ナイロン、ビニロン、スチロール、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アク
リル等の合成繊維、綿、麻、毛等の天然繊維等を挙げる
ことができる。
【0084】基材としてフィルムを使用する場合も、そ
の素材は特に制限されないが、具体的にはスチロール、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン等が挙げられる。この場合、適度な透過・透湿性
を担保するためにメッシュ状のフィルムを用いることも
できる。メッシュの孔径は特に制限されないが、上述す
るように通常0.001〜5mm、好ましくは0.01
〜1mmの孔径を挙げることができる。
【0085】上記シート状基材の厚みについても、外用
組成物の放湿性等を妨げない限りにおいて特に制限はな
いが、使用感、貼付部位への馴染み易さ等の観点から、
通常1〜1000μ、好ましくは10〜500μであ
る。
【0086】また、当該基材は、貼付剤を皮膚に貼着し
た場合に貼着部位の外形状になじむように、適度な伸縮
性を有することが好ましい。
【0087】かかるシート状基材の上に塗布・展延され
て積層されてなる外用組成物の厚みは特に制限されない
が、使用感、吸熱量等の観点から、通常1〜7mm、好
ましくは4〜5mmである。
【0088】本発明の貼付剤は、基本的には、外用組成
物、又は外用組成物及びシート状基材からなるが、取り
扱い性や衛生上の観点から、更に必要に応じて、使用時
に剥離除去される剥離フィルムを外用組成物表面に積層
しておくこともできる。
【0089】かかる剥離フィルムとしては、ポリエステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、塩化ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレートなどを使用すること
ができる。
【0090】また、本発明の貼付剤は、大きさも特に制
限されず、貼着場所等に応じて適宜選択・調製すること
ができる。
【0091】本発明の貼付剤は、前述の外用組成物を用
いて、従来公知の方法に従って製造することができ、例
えば本発明組成物を剥離シートの上に均一に展延塗布
し、その上にシート状基材を重ねる方法が挙げられる。
この場合、より一層強度に定着させるために該積層物を
ローラーによって加圧することもできる。
【0092】本発明の外用組成物及び貼付剤は、就寝時
に胸部又は額等の顔・頭部の皮膚に塗布又は貼着して用
いられて、スムーズな入眠を促す補助剤または睡眠導入
剤として有用である。
【0093】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例
及び実験例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれ
らに何ら限定されるものではない。
【0094】実施例1 下記の処方に従って、本発明の外用組成物を調製した。
【0095】 処方) ポリアクリル酸ナトリウム 6 w/w% 水酸化アルミニウム 15 酒石酸 0.3 メチルパラベン 0.2 天然香料(コモンラベンダー精油) 0.5 脱イオン水 78.0 100 w/w% 製法)1.撹拌混練機に脱イオン水、酒石酸を入れ溶解
する 2.ポリアクリル酸ナトリウム、水酸化アルミニウムゲ
ル、メチルパラベン、ラベンダーを混合し、1.の撹拌
機の中に粉塊をつくらないように添加する 3.添加後、混合物をほんの数分間真空脱泡する。
【0096】実施例2 下記の処方に従って、本発明の外用組成物を調製した。
【0097】 処方) グルコマンナン 1.5w/w% ローカストビーンガム 0.8 濃グリセリン 10.0 パラベン 0.3 天然香料(ラバンディン精油) 0.2 精製水 87.2 100 w/w% 製法)1.濃グリセリンにグルコマンナン、ローカスト
ビーンガムを撹拌混練しながら徐々に加える 2.約半分量の精製水を1.の中にダマができないよう
に加える 3.他の成分を順次加えていき、最後に残りの精製水を
加える。
【0098】実施例3 下記の処方に従って、本発明の外用組成物を調製した。
【0099】 処方) ポリアクリル酸ナトリウム 5 w/w% 水酸化アルミニウム 0.2 酒石酸 0.25 濃グリセリン 10.0 合成香料(ラベンダー) 0.1 (リナロール 20% リナリルアセテート 50% 他の精油成分 30%) 脱イオン水 84.45 100 w/w% 製法)1.撹拌混練機に脱イオン水、酒石酸を入れ溶解
する 2.ポリアクリル酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、
ラベンダー抽出物を濃グリセリンに混合する 3.2.の中に1.を徐々に撹拌混練しながら加える 4.添加後、混合物をほんの数分間真空脱泡する。
【0100】実施例4 下記の処方に従って、本発明の外用組成物を調製した。
【0101】 処方) ポリアクリル酸ナトリウム 7 w/w% 水酸化アルミニウム 0.2 酒石酸 0.3 合成香料(ラベンダー) 0.3 (リナロール 25% リナリルアセテート 45% 他の精油成分 30%) 脱イオン水 92.2 100 w/w% 製法)1.撹拌混練機に脱イオン水、酒石酸を入れ溶解
する 2.ポリアクリル酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、
ラベンダー抽出物を混合し、1.の撹拌機に粉塊を作ら
ないように添加する 3.添加後、混合物をほんの数分間真空脱泡する。
【0102】実施例5 下記の処方に従って、本発明の外用組成物を調製した。
【0103】 処方) ポリアクリル酸ナトリウム 7 w/w% ポリビニルアルコール 10 カルボキシビニルポリマー 3 水酸化アルミニウム 0.2 酒石酸 0.2 合成香料(ラベンダー) 0.2 (リナロール 35% リナリルアセテート 40% 他の精油成分 30%) メチルパラベン 0.1 グリセリン 5.0 脱イオン水 74.3 100 w/w% 製法)1.撹拌混練機に脱イオン水、カルボキシビニル
ポリマー、ポリビニルアルコール、酒石酸を入れ溶解す
る 2.ポリアクリル酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、
ラベンダー、メチルパラベンをグリセリンに混合する 3.2.を1.の撹拌機に粉塊を作らないように添加す
る 4.添加後、混合物をほんの数分間真空脱泡する。
【0104】実施例6〜9 実施例1〜5(実施例6〜10にそれぞれ対応する)で
調製された各外用組成物を、0.1〜1mm孔径のメッ
シュ状のシート基材(PET製)にそれぞれ展延し、適
当な大きさ(5×13cm)に裁断してアルミニウム製
の袋の中に密封してシート状の貼付剤(パップ剤)を調
製した。
【0105】
【実験例】実験例1 実施例3で調製した外用組成物を不織布に展延して3c
m×3cmに裁断して貼付剤を調製し、これを37℃の
温熱板に貼付し、該温熱板を一定温度(37℃)に保つ
ための必要な熱量を経時的に測定した。結果を図1に示
す。
【0106】実験例2 実験例1で用いた貼付剤をそれぞれ6人のモニターの額
に貼付して、該額部分の降下温度を測定してその平均値
を求めた。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】これらの結果から、本発明の組成物及び貼
付剤が冷却効果、冷却持続性に優れていることが認めら
れた。
【0109】実験例3 寝付きが悪く入眠障害を訴える成人からランダムに3名
を選択し、これらを被験者として、実施例6で調製した
貼付剤(パップ剤)を就寝時に額に貼付してもらい、睡
眠に対する影響を検討した。
【0110】催眠効果は下記の評価項目について、実験
実施以前の状態と比較して5段階で評価した。
【0111】・評価項目:安眠感 評価:(1)ある (2)ややある (3)どちらとも言えない
(4)あまりない(5)ない・評価項目:寝付きのよさ 評価:(1)良かった (2)やや良かった (3)わからない
(4)やや悪かった(5)悪かった結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】表からわかるように、被験者のいずれに対
しても本発明の貼付剤の使用によって催眠効果が認めら
れた。
【0114】実験例4 下記(1)〜(3)の試験により、ラベンダー香気の吸
入及び本発明の貼付剤の使用による、精神安定性
((1)クレペリンテスト、(2)脳波測定)及び末梢
皮膚温の上昇を調べた。
【0115】(1)クレペリンテスト 被験者に計算作業を連続的に行ってもらうことにより、
作業効率、正解率の変化から、精神安定効果を評価する
ことができる。そこで、24〜32才の健常成人15名
から構成されるグループを二群つくり、ラベンダー精油
を含浸して調製した臭い紙から常温にてラベンダー香気
が揮散している部屋と、香りのない部屋とに分かれても
らって、それぞれの部屋において下記に示す作業を行っ
てもらった。前者をA群、後者をB群とする。
【0116】<作業内容>作業は、用紙に印字されてい
る数字を隣同士で加算した後、答えの下1桁の数字を
「行間・加算した文字間」に鉛筆で記入していくもので
ある。検査者の号令に従って、1分毎に行を変えながら
記入用紙(表/裏両方に数字が印字されてある)の表裏
について15分ずつ行う。1分間を1作業とし、連続し
て15回を1セットとした(前半15分→休憩10分→
後半15分)。午前と午後の作業効率の違いを見るた
め、午前と午後の1日2回実施した。結果を図2に示す
香りの無い部屋で作業を行ったB群は、前半の作業に比
べて後半の作業は正解率が低下する(99.6%→9
9.38%)に対して、香気が揮散する部屋で作業する
A群は、後半の作業の正解率が前半に比べて増加する
(99.63%→99.83%)ことが認められた。こ
のことから、ラベンダー精油の香気成分の吸入により、
精神安定が得られることが認められた。
【0117】(2)脳波測定 脳波は、脳の神経細胞の活動を電気的にとらえるもので
あり、その中でもα波は脳波の成分の一つで、一般に、
ヒトが自覚的に「気持ちが落ち着く」という印象をもっ
たときの安静状態では、α波の出現量が増加することが
知られている(「香料が脳機能に与える影響」フレグラ
ンス・ジャーナル、1989年第9号、第20〜26
頁)。従って、脳波のα波出現量を測定することにより
安静効果を評価することができる。
【0118】<実験方法>実験は、恒温恒湿室にて、被
験者6名を対象として行った。
【0119】まず被験者を20分間安静にさせた後、各
被験者の額に実施例6で調製した貼付剤(パップ剤)を
貼って3分間放置し、その後3分間のα波の出現量をBi
o amp 0523S(エヌ・エフ回路製)を用いて測定した。
なお、実施例6で調製した貼付剤(パップ剤)は、貼付
後直ちにラベンダーの香りがしだした。
【0120】具体的には被験者の額に2点の電極を装着
し、その2点における脳波を測定し高速フーリエ変換
後、8〜13Hzのα波出現量を抽出した。対照実験と
して、各被験者について貼付剤(パップ剤)を貼付する
前に、同様にα波出現量の測定を行った。
【0121】<結果>結果を、対照実験と比較して図3
に示す。
【0122】なお、図3中Aは8〜13HZの脳波を解
析し、さらに8〜13HZ域内の詳細なα波分布を示し
たものである。図Aは覚醒状態において、貼付剤(パッ
プ剤)貼付直後にα波の分布が10〜12HZへと移行
してきていることを示す。このことから、貼付剤の使用
により鎮静効果が得られることがわかる。図3中Bは、
α波の総出現量を貼付剤(パップ剤)有りと無しとで比
較した図である。図中の数値(指数)はα波出現量の増
加を確認するための指標であり、これから本発明の貼付
剤の貼付によってα波の出現が増加することがわかる。
図3中Cは、全脳波(8〜13HZ領域以外の領域の脳
波も含む)中に占めるα波の割合を貼付剤(パップ剤)
有りと無しとで比較した図である。これからも本発明の
パップ剤の貼付によってα波の出現が増加することがわ
かる。
【0123】以上の結果から明らかなように、本発明の
貼付剤を貼付することによってα波の出現量が増加し、
本発明の貼付剤の使用によって精神安定化効果が得られ
ることが認められた。
【0124】(3)末梢皮膚表面温度の上昇 <実験方法>被験者6名を対象として、恒温恒湿室にて
額に実施例6で調製した貼付剤(パップ剤)を貼り、サ
ーモグラフによって手のひらの温度分布を測定した。
【0125】まずコントロール実験として、各被験者を
20分間リラックスさせて体温が落ち着くのを確認し
て、開眼状態で3分間(安静前、図A中点線で示す)、
更に続けて閉眼状態で3分間(安静後、図A中実線で示
す)、手のひらの温度分布を測定した。
【0126】次いで、その30分間後、再び被験者をリ
ラックスさせて体温が落ち着くのを確認し、それから開
眼状態で3分間(安静前、図B中点線で示す)、その後
額に貼付剤を貼って更に閉眼状態で3分間(安静後、図
B中実線で示す)、手のひらの温度分布を測定した。
【0127】それぞれの結果を図4に示す。
【0128】貼付剤を貼らない条件下での安静状態は、
安静前に比べて温度分布が隆起しただけであったが、貼
付剤を貼った条件下での安静状態では安静前に比べて温
度分布が右側(高温部)にシフトし、皮膚表面の温度が
上昇しているのが観察された。また、貼付剤を使用した
場合の温度分布は(図B実線)、貼付剤を使用しない場
合(図A実線)の温度分布よりも、高温部での隆起が著
しかった。このことは、本発明の貼付剤の使用によっ
て、末梢皮膚の血流量が増加して放熱が生じていること
を意味する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1において、本発明の貼付剤の消費熱量
を測定した結果を示す図である。横軸は測定時間(時
間)を、縦軸は温熱板を37℃に一定に保つために必要
な熱量(×10-4)(cal/cm2・sec・℃)を示す。
【図2】実験例4(1)で行ったクレペリンテストをラ
ベンダー香気存在下、非存在下で行った結果を比較した
図である。
【図3】実験例4(2)で行った、本発明の貼付剤の使
用によるα波出現量を、貼付剤を使用しない場合と比較
した図である。図中Aは8〜13HZの脳波を解析し、
さらに8〜13HZ域内の詳細なα波分布を示したもの
である。図中Bは、α波の総出現量をパップ剤貼付有り
と無しとで比較した図である。図中Cは、全脳波(8〜
13HZ領域以外の領域の脳波も含む)中に占めるα波
の割合をパップ剤貼付有りと無しとで比較した図であ
る。
【図4】実験例4(3)で行った、本発明の貼付剤の使
用による末梢皮膚温上昇を示す図である。図中Aは貼付
剤を貼付しない状態で、安静前(3分間、点線)と安静
後(3分間、実線)における末梢皮膚温を測定した結果
を示す。また図中Bは、安静前(3分間)に貼付剤のな
い状態で末梢皮膚温を測定した結果(3分間、点線)
と、それから貼付剤を貼付した状態で末梢皮膚温を測定
した結果(3分間、実線)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 9/70 370 A61K 9/70 370 372 372 31/19 31/19 35/78 35/78 Q

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リナロール又はリナリルアセテートの少な
    くとも1種を吸熱性組成物中に含有する外用組成物。
  2. 【請求項2】最終組成物100重量部に含まれるリナロ
    ールの配合量が0.0005〜0.6重量部であり、ま
    たリナリルアセテートの配合量が0.0005〜0.8
    重量部である請求項1記載の外用組成物。
  3. 【請求項3】ラベンダーの抽出物を吸熱性組成物中に含
    有する請求項1又は2記載の外用組成物。
  4. 【請求項4】最終組成物が30〜95%の割合で水分を
    含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の外用組成物。
  5. 【請求項5】吸熱性組成物が、多糖類及び水を含有する
    組成物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の外用組成物。
  6. 【請求項6】吸熱組成物が、ポリアクリル酸類、多価金
    属類及び水を含有する組成物である請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の外用組成物。
  7. 【請求項7】吸熱組成物が更に多価アルコールを含む組
    成物である請求項5又は6に記載の外用組成物。
  8. 【請求項8】吸熱組成物が、更に(i)酒石酸,クエン
    酸,リン酸,エチレンジアミン四酢酸またはそれらの塩
    の少なくとも1種,または(ii)セルロース誘導体のいず
    れか少なくとも1方を含む組成物である請求項6又は7
    記載の外用組成物。
  9. 【請求項9】睡眠導入剤として用いられる請求項1乃至
    8のいずれかに記載の外用組成物。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれかに記載の外用
    組成物がシート状基材に積層されてなる貼付剤。
  11. 【請求項11】シート状基材の開孔径が0.001〜5
    mmであることを特徴とする請求項10記載の貼付剤。
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