JP2021007524A - 高体温時の認知機能改善具 - Google Patents

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彰 永松
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Abstract

【課題】本発明は、高体温時の認知機能低下に有用で、簡単に使用できる、認知機能改善具を提供することを目的とする。【解決手段】吸熱作用を有する水性ゲルを備えた高体温時の認知機能改善具。【選択図】なし

Description

本発明は水性ゲルを備えた高体温時の認知機能改善具に関する。
近年、気温の上昇や真夏日数の増加により、暑熱環境に曝されることが多くなっている。暑熱環境下では、体温が上昇したり、これに伴い認知機能が低下することが知られている(非特許文献1)。特に、深部温度の上昇は、熱中症にも関係していることが知られており、熱中症の患者数や死亡者数は増加傾向にあることから、熱中症は社会問題となっている。このことから、今日の暑熱環境下では、深部温度が上昇しやすく、従って、認知機能が低下しやすいといえる。
暑熱環境から身を守る対応策として、水分補給、塩分補給、冷房器具の活用等が挙げられている。また、深部体温を速やかに下げることができる点で、水風呂による全身冷却が特に効果的であるといわれている。しかし、全身冷却は大がかりであり、使い勝手がよいとはいえない。また、これまでに、深部体温を低下できる内服薬も報告されており、例えば、ニコチン酸を有効成分として含有する深部体温低下剤が報告されている(特許文献1)。
このように暑熱環境に曝されて体温が上昇しやすい今日において、高体温時の認知機能を改善できる手段を提供することは重要である。
特開2009−235050号公報
大城岬ら、日本生気象学会雑誌、53(3)、3(S21)、2016
本発明は、高体温時の認知機能低下に有用で、簡単に使用できる、認知機能改善具を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、吸熱作用を有する水性ゲルを、深部体温を高めた被験者の体表に接触させることにより、該被験者の認知機能を改善できることを見出した。また、吸熱作用を有する水性ゲルを、深部体温を高めた被験者の体表に接触させることにより、該被験者の深部体温を低下できることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。
項1.吸熱作用を有する水性ゲルを備えた高体温時の認知機能改善具。
項2.前記水性ゲル中、水の含有量が50〜95質量%である、項1に記載の認知機能改善具。
項3.冷蔵庫または冷凍庫で冷却後に使用される、項1または2に記載の認知機能改善具。
項4.前記水性ゲルが不凍性である、項1〜3のいずれかに記載の認知機能改善具。
項5.前記水性ゲルが、体表に接触後から10分間に亘る吸熱エネルギーが10J/cm以上であり、総吸熱エネルギーが3kJ以上である、項1〜4のいずれかに記載の認知機能改善具。
項6.深部体温低下用として使用される、項1〜5のいずれかに記載の認知機能改善具。
本発明によれば、簡単に、高体温時の認知機能を改善することができる。また、本発明によれば、深部体温を低下することができる。
図1は、試験例2の結果を示す。 図2は、試験例3の結果を示す。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明は、吸熱作用を有する水性ゲルを備えた高体温時の認知機能改善具を提供する。
認知機能改善具
本認知機能改善具は、吸熱作用を有する水性ゲルを備えている限り制限されない。
水性ゲルとは、抱水性、自己保形性、粘着性を有する。抱水性とは、内部に水を安定的に含む性質を意味するが、より好ましくは更に圧縮しても含有水分を滲出しない性質を意味する。自己保形性とは、静置させた状態において、流動性や崩壊性を顕著には生じず、形状を保持している性質を意味する。粘着性はヒトの皮膚に対して粘着性を有することを意味する。このような水性ゲルとして、ゲル化剤と水とを含む水性ゲルが例示される。
ゲル化剤として、水性ゲルに抱水性、自己保形性、粘着性を備えさせることができ且つ体表(皮膚)に適用できる限り制限されず、有機ゲル化剤、無機ゲル化剤等が例示される。
本発明を制限するものではないが、有機ゲル化剤として、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール、ゴム系ポリマー、増粘多糖類、カルボキシビニルポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー等が例示される。
本発明を制限するものではないが一例を挙げると、ポリアクリル酸系ポリマーとして、架橋型ポリアクリル酸、部分中和型ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合体、これらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等)等が例示される。
ゴム系ポリマーとして、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン系共重合体、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン系共重合体、ポリスチレン−ポリエチレン−ポリブチレン−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリエチレン−ポリプロピレン−ポリスチレン共重合体等が例示される。
増粘多糖類として、カラギーナン、タラガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、プルラン、グアガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、マンナン、ゼラチン、寒天、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースフタレートメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースヒドロキシメチルエチルセルロース等が例示される。
有機ゲル化剤として、好ましくはポリアクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール、これらの塩等が例示され、より好ましくはポリアクリル酸系ポリマー、その塩等が例示される。
無機ゲル化剤として、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、カオリン、スメクタイト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ベイデライト、ノントロナイト、サウコナイト、ステベンサイド、ラポナイト、アルミニウムミョウバン等の複塩、増粘性シリカ等が例示される。無機ゲル化剤として、好ましくは水酸化アルミニウム等が例示される。
これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ゲル化剤の含有量は制限されないが、水性ゲル中、例えば1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%が挙げられる。
この限りにおいて制限されないが、体表への優れた粘着性を示す観点からは、前記水性ゲルは、有機ゲル化剤を含んでいることがより好ましい。また、優れた自己保形性を示すという観点からは、前記水性ゲルは、有機ゲル化剤と無機ゲル化剤の両方を含んでいることがより好ましい。両方を含む場合、水性ゲル中の有機ゲル化剤と無機ゲル化剤の含有量は、使用する有機ゲル化剤と無機ゲル化剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、有機ゲル化剤100質量部あたり、無機ゲル化剤が0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部が挙げられる。
水は、イオン交換水、蒸留水、水道水等が例示される。水の含有量は、水性ゲルが、体表と接触させて吸熱部として使用できる限り制限されないが、水性ゲル中、例えば50〜95質量%、好ましくは55〜80質量%、より好ましくは55〜70質量%が挙げられる。
水性ゲルには、必要に応じて、任意の他の成分を更に含有していてもよい。本発明を制限するものではないが、該他の成分として、1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、清涼化剤、pH調整剤、防腐剤、着色料、香料、保湿剤、保型剤、刺激緩和剤、界面活性剤、キレート剤、酵素、動物・植物抽出物等の天然抽出物、抗菌剤、徐菌剤、抗炎症成分、疲労回復剤、鎮痛剤、前記アルコール以外の溶剤、糖アルコール等が例示される。これらは、目的等に応じて適宜選択すればよく、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その配合量も適宜決定すればよい。
本発明を制限するものではないが、水性ゲルを不凍性の水性ゲルとする観点からは、水性ゲルは1価アルコール、2価アルコール及び3価アルコールを更に含有することが好ましい。本発明において不凍性の水性ゲルとは、水性ゲルを、冷凍庫内(−20℃)で24時間静置保存した後、冷凍庫内から取り出し、速やかに(120秒以内に)体表に適用した(接触させた)場合に、体表への形状追従性があることを意味する。このように、不凍性の水性ゲルは凍結が抑制されている。
<1価アルコール>
1価アルコールは、皮膚への適用が可能である限り制限されないが、好ましくは1価の低級アルコール、より好ましくは炭素数1〜5の1価アルコールが例示される。
炭素数1〜5の1価アルコールとして、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール等が例示される。1価アルコールとしてより好ましくは炭素数1〜4の1価アルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等、特に好ましくはエタノール、イソプロパノール等が例示される。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
1価アルコールの含有量は制限されないが、水性ゲルが1価アルコールを含有する場合、水性ゲル中、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%が例示される。
<2価アルコール>
2価アルコールは、皮膚への適用が可能である限り制限されないが、好ましくは2価の低級アルコール及びポリエチレングリコール、より好ましくは炭素数2〜6の2価アルコールが例示される。
炭素数2〜6の2価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等が例示される。また、ポリエチレングリコールとして、平均分子量180〜2000のポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール300)等が例示される。ポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格2006に収載されている試験法で測定される値である。2価アルコールとして、より好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール等、更に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール等が例示される。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
2価アルコールの含有量は制限されないが、水性ゲルが2価アルコールを含有する場合、水性ゲル中、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは9〜20質量が例示される。2価アルコールとしてポリエチレングリコールを含有する場合も該値を充足する。
水性ゲルが、1価アルコールと2価アルコールとを含有する場合、これらの配合比は制限されないが、1価アルコール100質量部あたり、2価アルコールは好ましくは10〜1500質量部、より好ましくは100〜1000質量部、更に好ましくは150〜500質量部が例示される。
<3価アルコール>
3価アルコールは、皮膚への適用が可能である限り制限されないが、好ましくは3価の低級アルコール、より好ましくは炭素数2〜6の3価アルコールが例示される。炭素数1〜6の2価アルコールとして、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール等が例示され、より好ましくはグリセリン等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
3価アルコールの含有量は制限されないが、水性ゲルが3価アルコールを含有する場合、水性ゲル中、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは9〜20質量%が例示される。
また、本発明を制限するものではないが、水性ゲルが、1価アルコールと3価アルコールとを含有する場合、これらの配合比は制限されないが、1価アルコール100質量部あたり、3価アルコールは好ましくは10〜1500質量部、より好ましくは100〜1000質量部、更に好ましくは150〜500質量部が例示される。
水性ゲルは、ゲル化剤、水、更に必要に応じて前記他の成分を混合して水性ゲルを形成させることにより製造することができる。
これらの水性ゲルにおいて、より好ましい水性ゲルとして、体表に接触後から10分間に亘る吸熱エネルギーが10J/cm以上である水性ゲルが例示される。
また、これらの水性ゲルにおいて、より好ましい水性ゲルとして、総吸熱エネルギー3kJ以上で体表に適用(接触)させて使用される水性ゲルが例示される。
更に、これらの水性ゲルにおいて、より好ましい水性ゲルとして、体表に接触後から10分間に亘る吸熱エネルギーが10J/cm以上であって、総吸熱エネルギー3kJ以上で体表に適用(接触)させて使用される水性ゲルが例示される。
ここで、体表に接触後から10分間に亘る吸熱エネルギーが10J/cm以上とは、水性ゲルを体表に接触させた状態下で接触開始から10分間に亘る、体表への水性ゲル接触面の単位面積あたりの、水性ゲルの吸熱エネルギーが10J/cm以上であることを意味する。
また、総吸熱エネルギーが3kJ以上であるとは、体表に接触後から10分間に亘る総吸熱エネルギーが3kJ以上を意味し、すなわち、水性ゲルを体表に接触させた状態下で接触開始から10分間に亘る、体表への水性ゲル接触面における、水性ゲルの総吸熱エネルギーが3kJ以上であることを意味する。
該吸熱エネルギー及び総吸熱エネルギーの値は、水性ゲルを体表に接触させる対象者(対象動物)の深部体温(食道温)を38.2℃とした値である。深部体温(食道温)は、鼻から食道温センサーを入れる従来公知の食道温測定方法により測定する。
単位面積あたりの吸熱エネルギーとして、より好ましくは10〜253.5J/cm、更に好ましくは30〜100.6J/cmが例示される。総吸熱エネルギーとして、より好ましくは3〜35kJ、更に好ましくは9〜23kJが例示される。
また、より好ましくは単位面積あたりの吸熱エネルギーが10〜253.5J/cm、総吸熱エネルギー3〜35kJが例示される。
水性ゲルの単位面積あたりの吸熱エネルギー(J/cm)、水性ゲルの総吸熱エネルギー(J)は、次の式に従い算出される。
単位面積あたりの吸熱エネルギー(J/cm
=総吸熱エネルギー(J)/水性ゲルの体表への接触総面積(cm
総吸熱エネルギー(J)
=比熱(J/g・℃)×温度変化(℃)×水性ゲル質量(g)+気化熱(J/g)×単位面積当たりの水性ゲル減少質量(g/cm)×水性ゲルの体表への接触総面積(cm
ここで、比熱(J/g・℃)は、示差走査熱量測定(DSC、Differential Scanning calorimetry)に従い算出される値(基準物質としてサファイアを使用)である。
温度変化(℃)は、体表へ水性ゲルを接触してから10分後の水性ゲルの表面温度から、体表へ水性ゲルを接触させる直前の水性ゲルの表面温度を減じることにより算出される。
水性ゲル質量(g)は、体表へ水性ゲルを接触させる直前の水性ゲルの重さである。
気化熱は、熱重量示差熱分析(TG/DTA、Thermo gravimetry/dfferential thermal analysis)に従い算出される値である。
単位面積当たりの水性ゲル減少質量(g/cm)は、体表へ水性ゲルを接触させる直前の水性ゲルの重さから、体表へ水性ゲルを接触してから10分後の水性ゲルの重さを減じ、これを水性ゲルの体表への接触総面積(cm)で除すことにより算出される。
水性ゲルの体表への接触総面積(cm)は、水性ゲルが体表に接触している総面積である。
このような単位面積あたりの吸熱エネルギー及び/または総吸熱エネルギーを充足する水性ゲルは、前記水性ゲルの説明に基づいて、前記単位面積あたりの吸熱エネルギーを充足するように水性ゲルを適宜製造すればよい。また、このようにして製造した水性ゲルを備える認知機能改善具を、前記総吸熱エネルギーとなるように体表に接触させればよい。当業者であればこのような製造、接触を適宜行うことができる。
本発明において水性ゲルのpHは、皮膚への適用が可能である限り制限されないが、優れた自己保形性を備える観点から、好ましくは弱酸性〜酸性である。このようなpHとして、室温(25℃)で、好ましくは4〜6.5程度、より好ましくは4.5〜6程度が例示される。
水性ゲルは、支持体を何ら用いることなく、水性ゲルの状態のまま認知機能改善具として使用してもよいが、体表への接触や取り扱い性を簡便にする等の観点から、例えば、水性ゲルを支持体に積層させたものを認知機能改善具として使用することが好ましい。この観点から、認知機能改善具として、より好ましくは水性ゲルが支持体に積層されてなる認知機能改善具が例示される。
<支持体>
認知機能改善具が支持体を備える場合、支持体としては、水性ゲルを積層できる限り制限されない。認知機能改善具が体表に接触させて使用されるのに使い勝手が良い観点から、支持体はシート状が好ましい。この観点から、支持体の素材として、好ましくは不織布、織布、樹脂フィルム等が例示される。
不織布、織布はいずれも、認知機能改善具における使用に足る強度や耐久性等を備えている限り、任意の不織布、織布を使用することができる。
不織布や織布の繊維素材として、好ましくはナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成繊維、綿、麻、絹、紙等の天然繊維、合成繊維と天然繊維との混合繊維等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
不織布や織布の目付も制限されないが、好ましくは10〜500g/m、より好ましくは20〜400g/m、更に好ましくは50〜200g/mが例示される。
樹脂フィルムは、認知機能改善具における使用に足る強度や耐久性等を備えている限り、任意の樹脂フィルムを使用することができる。樹脂フィルムとして、好ましくは熱可塑性樹脂フィルムが例示される。
可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が例示され、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂フィルムの厚みは制限されないが、好ましくは0.01〜10000μm、より好ましくは0.1〜2000μm、更に好ましくは10〜1000μmが例示される。
支持体は、単層構造であっても積層構造であってもよい。積層構造としては、好ましくは前記不織布、織布、樹脂フィルム等から選択される同種または異種のシートが2枚以上で積層されているものが例示される。
支持体の厚みも制限されず、例えば支持体がシート状である場合、シート状支持体の厚みは、好ましくは0.01〜50mm、より好ましくは0.1〜30mm、更に好ましくは0.5〜20mmが例示される。
支持体の形状や大きさも、体表に接触させることができる限り制限されず、接触対象となる体表を考慮して適宜設定すればよい。
水性ゲルの支持体への積層は制限されないが、取り扱いが簡便である点から、好ましくは、水性ゲルは支持体シートの一方の面に積層されている。水性ゲルが積層されている該一方の面(水性ゲル積層面)が、体表に接触させる面(体表接触面)となる。水性ゲルは、該一方の面の少なくとも一部に積層されていればよく、該一方の面の全体(全面)に積層されていてもよい。
支持体に積層される水性ゲルの厚みは制限されないが、好ましくは0.01〜50mm、より好ましくは0.1〜30mm、更に好ましくは0.5〜20mmが例示される。
水性ゲルが積層された支持体は、水性ゲルを支持体に積層させることにより製造できる。該積層は、支持体に水性ゲルを積層することにより行ってもよく、水性ゲルが積層された支持体が後述の剥離層を更に備える場合は、剥離層に水性ゲルを積層し、次いで、積層された水性ゲルを支持体に密着させることにより行ってもよく、その方法は問わない。
水性ゲルを備える支持体には、その水性ゲル積層表面に、更に必要に応じて、剥離可能な剥離層が設けられていてもよい。剥離層を設けることによって、取り扱い性が向上し、また、例えば水性ゲルから水の蒸発等を防ぐことができる。剥離層は使用時に剥離除去される。
剥離層の素材は、水性ゲルに積層でき且つ水性ゲルから除去できる限り制限されず、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂フィルム、シリコン加工等の剥離性付与加工を施した紙等が挙げられる。
このような水性ゲルを備えた認知機能改善具は、使用前に、常温、冷蔵庫、冷凍庫のいずれかに保管すればよいが、認知機能をより効果的に改善させる観点からは、冷蔵庫や冷凍庫等(例えば−25℃〜10℃程度)において冷却しておくことが好ましく、冷凍庫(例えば−25〜−15℃程度に)において冷却しておくことがより好ましい。冷蔵庫や冷凍庫に保存される場合、通常、使用直前に冷蔵庫や冷凍庫から認知機能改善具を取り出し、取り出した後、速やかに皮膚に接触される。認知機能改善具は、取り出してから、好ましくは300秒以内、より好ましくは120秒以内に体表に接触される。
なお、認知機能改善具が冷蔵庫や冷凍庫から取り出して使用される場合、本発明において前記単位面積あたりの吸熱エネルギー、総吸熱エネルギーの値はいずれも、これらから取り出して120秒以内に認知機能改善具を体表に接触させた場合の値である。
認知機能改善具の使用方法
本認知機能改善具は、認知機能改善具に備えられた水性ゲルを、対象者(対象動物)の体表(皮膚)に直接適用して(接触させて)使用される。本発明を制限するものではないが、例えば、水性ゲルがシート状である場合、水性ゲルを体表に直接貼付して使用される。貼付することにより水性ゲルが体表に密着する。
本認知機能改善具は、水性ゲルを体表に一定時間接触させた状態で使用される。水性ゲルの体表への接触時間は制限されず、認知機能の改善が認められるまで使用すればよいが、例えば1〜50分、より好ましくは5〜30分、水性ゲルを体表に接触させた状態を保つことが例示される。特に、前記吸熱エネルギー及び総吸熱エネルギーを有する水性ゲルによれば、認知機能を効果的に低下できることから、好ましくは1〜50分、より好ましくは5〜30分、更に好ましくは7〜13分、水性ゲルを体表に接触させた状態を保つことが例示される。
認知機能改善具の身体への適用部位は制限されず、体表の任意の部分に水性ゲルを接触させて使用すればよく、1箇所に適用してもよく、複数個所に適用してもよい。認知機能をより効果的に改善する観点からは、脇の下、首、額、太ももの付け根の少なくともいずれかに水性ゲルを接触させることが好ましく例示され、脇の下、首、額の少なくともいずれかに接触させることがより好ましく例示される。水性ゲルは、身体部位の2箇所以上に接触させることが好ましい。本発明を制限するものではないが、2箇所以上の例示として、両脇の下、両脇の下と首、両脇の下と額、首と額、両脇の下と首と額、片方の脇の下と首等が挙げられる。
この限りおいて制限されないが、水性ゲルは、1回あたり例えば体表36cm以上に接触させることが好ましく、より好ましくは52.5〜650cm、更に好ましくは52.5〜455cm、特に好ましくは195〜325cmに接触するように適用することが例示される。なお、該面積は、例えば水性ゲルを両脇の下及び首に適用する場合、両脇の下及び首への水性ゲルの適用面積(接触面積)の合計である。また、水性ゲルが、前記総吸熱エネルギーを充足する場合、前記総吸熱エネルギーは、該適用面積(接触面積)の合計におけるエネルギー量である。
また、本認知機能改善具が、前記単位面積あたりの吸熱エネルギー及び総吸熱エネルギーを充足する場合、例えばその形状がシート状であれば、1枚毎の本認知機能改善具において、その水性ゲルが前記単位面積あたりの吸熱エネルギー量を充足していればよく、該認知機能改善具を1枚または複数枚で体表に接触させた時に前記総吸熱エネルギー量を充足するものである。本認知機能改善具がシート状以外の形状の場合も、同様に説明される。
本認知機能改善具によれば、水性ゲルを体表に接触させることにより、高体温に低下した認知機能を効果的に改善することができる。このことから、本認知機能改善具によれば、簡便な方法で高体温に低下した認知機能を改善することができる。
また、本認知機能改善具によれば、後述の実施例に示す通り、暑熱環境等において上昇した深部体温を低下することができる。このことから、本認知機能改善具はまた、本深部体温低下の用途に有用であり、これは暑熱負荷の早期軽減、悪化予防にも用いることができる。このことから、本発明はまた、吸熱作用を有する水性ゲルを備えた深部体温低下具を提供するといえる。該深部体温低下具を構成する水性ゲル等、その製法等については、本認知機能改善具と同様に説明される。
このことから、本認知機能改善具は、暑熱環境等における認知機能低下を抑制したい対象者(対象動物)(以下、単に対象者と記載する場合もある)、低下した認知機能の回復を求める対象者等に好ましく用いることができる。また、認知機能の低下は、深部体温の上昇に伴い生じることも知られていることから、本認知機能改善具は、体温、特に深部体温が上昇しやすい対象者、深部体温が上昇した対象者、熱中症が疑われる対象者、熱中症状態にある対象者等にも好ましく用いることができる。
なお、平常時(非暑熱環境下)の認知機能、体温等には個体差があるため、暑熱環境等において低下する認知機能の程度や体温上昇の程度は対象者により異なる。このことから、本認知機能改善具が適用される対象者の認知機能低下の程度や体温は制限されず、目安として、深部体温(食道温)が好ましくは36.6℃以上、より好ましくは38.2℃以上が例示される。
なお、深部体温は、脇の下や手足等における体の表面温度(皮膚温)とは異なる。例えば、深部体温と皮膚温には、睡眠導入時、深部体温は低下しやすいのに対して、皮膚温は高くなりやすいといった相違がある。この観点から、本発明を制限するものではないが、本認知機能改善具は、特に、深部体温が上昇しやすい対象者、深部体温が上昇した対象者、熱中症が疑われる対象者、熱中症状態にある対象者等に好ましく用いることができるともいえる。
本発明において対象者(対象動物)は、ヒト、ヒト以外の哺乳動物が例示され、ヒト以外の哺乳動物としては、サル、チンパンジー等の動物が例示される。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1:認知機能改善具の作製
表1の組成に従い、1価アルコール、2価アルコール、3価アルコール、ゲル化剤を混合して混合物1を得た。別途、表1の組成に従い、酒石酸、青色1号、水を混合して混合物2を得た。次いで、表1の組成に従い、混合物1及び2を混合し、得られた混合物がゲル状を呈しはじめたことを確認できた時点で、該混合物の厚みが2mmになるように、該混合物をポリエステル製の不織布(横130mm、縦50mmの長方形/枚)の片面全体に積層した。次いで、積層した混合物上にポリプロピレン製の剥離層を更に積層し、得られた積層体をアルミラミネートフィルムに収容して密封し、60℃で24時間静置し、次いで、常温に戻すことにより、水性ゲルを備えた認知機能改善具を作製した。
該水性ゲルは、冷凍庫内(−20℃)で24時間静置保存しても凍らない不凍性の水性ゲルであり、冷凍庫内で24時間静置保存後、冷凍庫内から取り出し、120秒以内に体表に接触させた場合であっても、体表への形状追従性があるものであった。
試験例2:認知機能改善
試験手順
本試験について説明してインフォームドコンセントを得た成人13人(男性、20代)を被験者とした。本試験は倫理委員会の承認を得て行った。
まず、被験者に加温スーツ(50℃で全身を温めるスーツ)を着用させて安静に横たわらせ、着用前の深部体温と比較して、深部体温が1.5℃上昇するまで(約30分間)加温を続けた。深部体温が1.5℃上昇した時点で加温スーツを脱がせて、該被験者の額、首、両脇の下に、試験例1で作製した認知機能改善具を剥離層を剥離除去して接触させて、30分間安静に着席させた。
ここで認知機能改善具は、予め冷凍庫(−20℃)で4時間冷却しておき、接触直前に、冷凍庫から取り出し、速やかに収容袋から取り出し、剥離層を剥がし、水性ゲルの表面全体が額、首及び両脇の下の体表(皮膚)に接触するように、冷凍庫から取り出した後120秒以内に貼付した。この際、認知機能改善具を額に1枚、首に2枚、両脇の下に2枚(片脇の下に1枚ずつ)接触させた。吸熱部の体表への接触総面積は合計325cm(130mm×50mm×5枚、1枚あたり水性ゲル14.5g)であった。
認知機能については、本分野で認知機能評価試験として従来公知の、脳波事象関連電位を利用したGo/No―go課題を用いて、試験を行った。具体的には、青色視覚刺激(Go)と赤色視覚刺激(No―go)を提示した。提示確立は、青色視覚刺激(Go)50%、赤色視覚刺激(No―go)50%とし、提示刺激間隔は3秒とした。瞬きによるノイズを除去して、Go刺激、No−go刺激が40回提示された時点で測定を終了し、40回分の脳波を加算平均処理して、事象関連電位を得た。
また、本試験では、加温スーツ着用前から認知機能改善具貼付後30分の間、深部体温を測定した。通常の手順に従い鼻から食道温センサーを入れて測定した食道温を、深部体温とした。加温スーツ着用前の深部体温は平均36.6℃(36.3〜36.9℃)であった。同時に、通常の手順に従い心拍、皮膚温(額温度、頚部温度、腋窩部温度)を測定した。皮膚温は、認知機能改善具の付近で(貼付部分とは重ならないように)測定した。
なお、深部体温が1.5℃上昇した状態は熱中症の初期状態に相当する。認知機能改善具を貼付しない以外は、前述と同様にして深部体温を1.5℃上昇させ、安静に着席させて試験を行った場合をコントロールとした。
結果
Go/No―go課題により得た脳の認知機能の変化を図1に示す。図1において、左のグラフは、運動遂行(Go刺激)に基づく変化、右のグラフは運動抑制(No−go刺激)に基づく変化を示す。
図1において、縦軸は、認知機能の低下や回復の程度を示し、加温前の認知機能を100%とし、深部体温が1.5℃上昇した時の認知機能を0%としたものである。図1において横軸は、加温前、深部体温が1.5℃上昇した時、体表に認知機能改善具を接触させてから10分経過時を示す。
図1に示す通り、深部体温が上昇した場合、上昇前と比較して、運動遂行(運動遂行過程の活動)及び運動抑制(運動抑制過程の活動)の低下が認められた。これは、深部体温の上昇に伴い、脳の認知機能が低下していることを示す。このように認知機能が低下した被験者に対して前記認知機能改善具を接触させた場合、コントロール(認知機能改善具を接触させなかった場合)と比較して、運動遂行及び運動抑制の回復が認められた。
このことから、本認知機能改善具によれば、高体温時に低下した認知機能を改善できることが分かった。特に、本認知機能改善具によれば、深部体温が上昇することにより低下した認知機能を改善できることが分かった。
また、結果には示さないが、コントロールと比較して、認知機能改善具を接触させた場合において、深部体温(食道温)が速やかに低下した。この際、脈拍に異常は認められなかった。このことから、本認知機能改善具によれば、深部体温も簡便且つ効果的に低下できることが分かった。
なお、結果には示さないが、認知機能改善具接触10分後の額温度、頚部温度(皮膚温)は、認知機能改善具を接触させた場合と接触させない場合(コントロール)とで温度変化の挙動に相違は認められなかった。認知機能改善具接触10〜30分後の額温度、頚部温度も、認知機能改善具を接触させた場合と接触させない場合とで温度変化の挙動に相違は認められなかった。
また、結果には示さないが、認知機能改善具接触10分後の腋窩部温度(皮膚温)は、認知機能改善具を接触させた場合はむしろ、認知機能改善具を接触させない場合(コントロール)よりも、高温になっていた。認知機能改善具接触10〜30分後の腋窩部温度についても同様の結果であった。これは、腋窩部に認知機能改善具を適用することにより、腋窩部における熱の発散が妨げられ熱がこもったことに起因すると推測された。
本試験に使用した認知機能改善具において、水性ゲルの単位面積あたりの吸熱エネルギー、総吸熱エネルギーを算出したところ、水性ゲルを体表に貼付した直後から10分間の水性ゲルの吸熱エネルギーは単位面積(接触単位面積)あたり50.25J/cmであった。また、水性ゲルを体表に貼付した直後から10分間の水性ゲル貼付部分の総吸熱エネルギーは16331.25Jであった。
水性ゲルの単位面積あたりの吸熱エネルギー、総吸熱エネルギーは、それぞれ次の式に従い求めた。
単位面積あたりの吸熱エネルギー(J/cm
=総吸熱エネルギー(J)/水性ゲルの体表への接触総面積(cm
総吸熱エネルギー(J)
=比熱(J/g・℃)×温度変化(℃)×水性ゲル質量(g)+気化熱(J/g)×単位面積当たりの水性ゲル減少質量(g/cm)×水性ゲルの体表への接触総面積(cm
ここで、比熱は、示差走査熱量測定(DSC、Differential Scanning calorimetry)に従い基準物質をサファイアとして算出した値であり、2.9J/g・℃であった。温度変化は、水性ゲルの接触直前の温度が−20℃、接触10分後の温度が32℃であったことから、52℃であった。水性ゲル質量は14.5gであった。気化熱は、熱重量示差熱分析(TG/DTA、Thermo gravimetry/dfferential thermal analysis)に従い算出した値であり、1963J/gであった。単位面積当たりの水性ゲル減少質量は0.55g/cmであった。水性ゲルの体表への接触総面積は325cmであった。
以上のことから、本認知機能改善具によれば、熱中症状態といった高体温に伴い低下した認知機能を改善できることが分かった。また、本認知機能改善具によれば、深部体温も低下できることが分かった。
試験例3:深部体温低下
試験手順
本試験2において被験者であった13人を含む成人16人(男性、20代)を被験者とした。被験者に本試験ついて説明し、インフォームドコンセントを得た。本試験は倫理委員会の承認を得て行った。
試験例2と同手順で、深部体温を1.5℃上昇させ、次いで、認知機能改善具を額、首、両脇の下に接触させて、安静に着席させた。本試験においても、試験例2と同様にして深部体温、心拍、皮膚温(額温度、頚部温度、腋窩部温度)を測定した。コントロールも試験例2と同様のものとした。
結果
認知機能改善具接触後の深部体温の変化を図2に示す。図2において左のグラフは、認知機能改善具接触直後(0分)から30分間に亘る深部体温の変化(図中、接触)とコントロールの深部体温の変化(図中、コントロール)を示す。図2において右のグラフは、認知機能改善具接触10分後の深部体温の変化を示す。図2において縦軸は、食道温変化を示し、深部体温を1.5℃上昇させた時の温度を0で示した。
図2に示す通り、コントロールと比較して、認知機能改善具を接触させた場合において、深部体温(食道温)が速やかに低下した。この際、脈拍に異常は認められなかった。
このことから、本認知機能改善具によれば、熱中症状態といった高体温にある対象者の深部体温を簡便且つ速やかに低下できることが分かった。
なお、結果には示さないが、皮膚温はいずれも試験例2と同じ挙動を示し、脈拍に異常は認められなかった。本試験で使用した認知機能改善具の、水性ゲルを体表に接触させた直後から10分間の単位面積あたりの吸熱エネルギー、総吸熱エネルギーは試験例2と同じであった。
以上のことから、本認知機能改善具によれば、熱中症状態といった高い深部体温に伴う脳の認知機能を改善できることが分かった。また、本認知機能改善具によれば、深部体温の低下と共に、高体温時の認知機能を改善できることが分かった。このことから、本認知機能改善具は深部体温低下具としても有用であることが分かった。

Claims (6)

  1. 吸熱作用を有する水性ゲルを備えた高体温時の認知機能改善具。
  2. 前記水性ゲル中、水の含有量が50〜95質量%である、請求項1に記載の認知機能改善具。
  3. 冷蔵庫または冷凍庫で冷却後に使用される、請求項1または2に記載の認知機能改善具。
  4. 前記水性ゲルが不凍性である、請求項1〜3のいずれかに記載の認知機能改善具。
  5. 前記水性ゲルが、体表に接触後から10分間に亘る吸熱エネルギーが10J/cm以上であり、総吸熱エネルギーが3kJ以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の認知機能改善具。
  6. 深部体温低下用として使用される、請求項1〜5のいずれかに記載の認知機能改善具。
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