JPH11245670A - 燃料タンク - Google Patents

燃料タンク

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JPH11245670A
JPH11245670A JP10051896A JP5189698A JPH11245670A JP H11245670 A JPH11245670 A JP H11245670A JP 10051896 A JP10051896 A JP 10051896A JP 5189698 A JP5189698 A JP 5189698A JP H11245670 A JPH11245670 A JP H11245670A
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JP
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fuel tank
fuel
alloy
alloy film
plating solution
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JP10051896A
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English (en)
Inventor
Yukikazu Moritsu
幸和 森津
Haruhiko Okuno
晴彦 奥野
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Okuno Chemical Industries Co Ltd
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  • Chemically Coating (AREA)
  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐食性を有するPbフリーの、鋼製燃料
タンクの被覆用無電解メッキ液、これを用いて被覆され
た燃料タンク及びその製造法を提供。 【解決手段】鋼製燃料タンクの少なくとも燃料と接触す
る面に無電解Ni−P系合金被膜が形成されていること
を特徴とする燃料タンク、その製造法及び上記Ni−P
系合金被膜を形成させるための無電解メッキ液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガソリン、アルコ
ール、アルコール混合ガソリン等の燃料を収容する燃料
タンク、特に優れた耐食性を有する燃料タンク、該燃料
タンクの製造法及び該燃料タンクに適用して優れた耐食
性を発揮する無電解メッキ液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車、バス、トラック等の
ガソリン等の燃料を収容するタンクは、冷延鋼板表面に
Pb−Sn合金を溶融メッキによって形成させた、いわ
ゆるタンクシートを、プレス成形後、溶接、ハンダ付等
の工程を経て、製造されてきている。このPb−Sn合
金被覆鋼板(ターンメッキ鋼板)を利用した燃料タンク
の車載、その他での長い実績は、上記Pb−Sn合金層
が優れた延展性をもち、後加工のプレス工程でも腐食を
誘引するクラックや剥離を生じないことに基づいてい
る。更に、上記合金被覆鋼板は、ガソリン中の水分や塩
素イオンに対しても優れた耐食性を有し、溶接性、ハン
ダ付性等も良好であることから、燃料タンクに汎用され
てきた。
【0003】しかるに、最近、地球環境にやさしくなる
合言葉のもとに、上記燃料タンク及びこれに収容される
燃料等について変革が求められている。即ち、燃料タン
クについては、Pb使用工業材料を規制する動きの中
で、メッキ作業時の人体に対する危険性や廃棄自動車
(燃料タンク)のシュレッダーダストの取扱い等の面よ
り、Pbを用いないタンク用鋼板乃至タンクの開発が望
まれている。
【0004】燃料自体についても、クリーン燃料化の要
望よりガソリン燃料が見直され、メチルアルコール、エ
チルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル燃料やこれらアルコールを混入したガソリン、いわゆ
るガソホールが開発され、実用化されつつある。かかる
アルコール混入ガソリン中において、アルコールは経時
変化して強酸性の蟻酸、酢酸等を生じ、これらが従来の
ガソリンとは異なって強い腐食性を示す。上記Pb−S
n合金被覆鋼板は、かかるアルコール混入ガソリンに対
しては、この耐食性の面で実用困難である。
【0005】このような理由から、当業界においては、
上記Pb−Sn合金被覆鋼板を利用した燃料タンクに代
わって、Pbフリーで、しかも耐食性に優れ、上記アル
コール混入ガソリンに対しても充分な耐食性を有する、
改良された燃料タンクの開発が要望され、種々の研究、
試みが提案されている。
【0006】その例(鋼板の被覆)としては、電気メッ
キによるNi被覆及び該Ni膜中に弗素樹脂を共析させ
る方法(特開平8−232092号公報参照)、電気メ
ッキによりNi−Zn合金を被覆し、その後クロメート
処理を行なう方法(特開平5−106058号公報参
照)、電気メッキによりNi−Zn合金とSnとの組合
せ被覆を行なう方法(特公昭61−51039号公報、
特開平8−49090号公報参照)等がある。更に、S
n−Zn合金を電気メッキにより被覆する方法(特開昭
52−130438号公報)、Sn−Znの溶融メッキ
の改良方法(特開平8−269734号公報等参照)、
多種合金複合電気メッキ被覆法(特開平9−59783
号公報)等も提案されており、当業界では、アルミニウ
ム溶融メッキ法によるアルミニウム被覆も検討されてい
る。
【0007】上記各被覆処理により形成される被膜は、
アルコール混入ガソリンに対しても優れた耐食性を示
し、特に溶融メッキされたZn−Sn合金被膜やアルミ
ニウム被膜は優れたものである。
【0008】しかしながら、上記提案された方法は、全
て燃料タンク用材料としての鋼板についての被覆処理で
あり、得られる被覆処理された鋼板材料は、その後、し
ぼりプレス成形、溶接接合、ハンダ付等の工程を経て燃
料タンクとされねばならず、この後加工の際に発生する
応力によって、せっかく形成させた上記耐食性被膜にク
ラックが発生したり、該被膜が剥離し、これらによって
耐食性が損なわれるという致命的欠点があった。即ち、
上記クラックの発生や剥離によれば、その部分を起点と
して鋼板に錆が発生する欠点は避けられない。特に、最
近の燃料タンクは、複雑な形状に加工されることが多く
なってきており、これに伴われるクラック発生、剥離等
は、より深刻な問題である。
【0009】また、例えば上記溶融メッキにより被覆し
たSn−Znやアルミニウム層は、鉄素地とメッキ層の
界面において、硬くて延展性に欠ける厚膜の合金層を形
成するため、後加工のプレス成形やしぼり加工時のクラ
ック発生及び剥離の危険率は非常に高い。
【0010】しかも、かかるクラックや剥離は、必然的
ではあるが、偶発的に発生するものであり、これらを予
め発見することは困難であり、それ故、上記提案された
方法に従う耐食性被膜の形成方法を採用する場合には、
腐食の発生を確実に回避することは非常に難しい難点が
あった。
【0011】以上のように、地球環境面より叫ばれてい
るクリーン燃料化及びPbフリー化という当業界におけ
る要望に合致し、しかも現在汎用されているPb−Sn
合金被覆鋼板を利用した燃料タンクに代替できる、優れ
た耐食性を有する、改良された燃料タンクは、未だ開発
されていない現状にある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、当業界の要望に合致する優れた耐食性を有するPb
フリーの、燃料タンクの鋼板被覆用被覆材料及びこれに
より被覆された鋼板製の燃料タンクを提供することにあ
る。
【0013】本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、予め
成形された燃料タンクの鋼板に対してこれを特定合金の
無電解メッキ被膜により被覆するときには、上記目的に
合致する耐食性に優れた燃料タンクが得られるという新
しい知見を得、ここに本発明を完成するに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
鋼製燃料タンクであって、その少なくとも燃料と接触す
る面に、無電解Ni−P系合金被膜が形成されているこ
とを特徴とする燃料タンク、特にNi−P系合金被膜中
のP成分量が7重量%以上である上記燃料タンク及びN
i−P系合金被膜の膜厚が3〜15μmである上記燃料
タンクが提供される。
【0015】また本発明によれば、鋼製燃料タンクの少
なくとも燃料と接触する面に、次亜リン酸塩を還元剤と
する酸性無電解ニッケル−リン系合金メッキ液を接触さ
せて、Ni−P系合金被膜を形成させることを特徴とす
る燃料タンクの製造法、特に上記無電解メッキに続い
て、形成されたNi−P系合金被膜上に更にクロメート
処理を行なう上記燃料タンクの製造法が提供される。
【0016】更に本発明によれば、鋼製燃料タンクの少
なくとも燃料と接触する面にNi−P系合金被膜を形成
させるためのメッキ液であって、次亜リン酸塩を還元剤
として含有する酸性無電解ニッケル−リン系合金メッキ
液であることを特徴とする無電解メッキ液が提供され
る。
【0017】本発明により提供される燃料タンクは、斯
界の要望に合致する優れた特徴を有している。即ち、こ
れは成形された鋼製燃料タンクの鋼板に対して所望のN
i−P系合金被膜を形成させたものであるため、従来の
電気メッキや溶融メッキを施工後に成形して得られる燃
料タンクの如き、クラック発生や剥離の問題が伴われる
おそれはない。
【0018】しかも、上記無電解ニッケル−リン系合金
メッキによれば、形成される合金被膜自体が地球環境問
題を伴わないPbフリーである利点を有すると共に、ア
ルコール混入ガソリン等に対しても非常に優れた耐食性
を有するNi−P系合金被膜を形成できるのである。更
に、本発明に従い形成されるNi−P系合金被膜は、良
好なハンダ付性をも有しており、この点でも燃料タンク
の被覆に非常に適している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明燃料タンクにつき、
その製造法よりこれを詳述すれば、本発明燃料タンク
は、例えば代表的には冷延鋼板をプレス成形後、溶接し
て得られる部分的に開口部を持つ燃料タンクの、少なく
とも燃料と接触する面(以下この面を単に内面というこ
とがある)に、無電解メッキにてNi−P系合金被膜を
形成させることにより得られる。
【0020】ここで、用いられる鋼板は、無電解メッキ
にてNi−P系合金被膜を形成させ得るものであれば、
従来よりこの種燃料タンク用材料として知られている各
種のもののいずれでもよく、その成形、溶接等も慣用さ
れる各種の方法に従うことができる。
【0021】本発明によれば、上記燃料タンクの少なく
とも内面を、無電解メッキによりNi−P系合金メッキ
被膜で被覆することが重要である。ここで用いられる無
電解メッキ液は、Ni−P系合金被膜を形成できること
をその必須の要件として、当業者に適宜選択できる。
【0022】より詳しくは、該無電解メッキ液は、その
pHや用いられる還元剤の種類に応じて、種々の市販の
メッキ液を利用して調製することができる。本発明で
は、特に次亜リン酸ソーダや次亜リン酸カリウム等の還
元剤を利用した酸性サイドで使用されるものが、金属の
析出速度が速いため好ましい。
【0023】この酸性無電解メッキ液としては、通常、
硫酸ニッケル、塩化ニッケル等の少なくとも1種のニッ
ケル塩類、次亜リン酸ソーダ、次亜リン酸カリ等の少な
くとも1種の還元剤、グリシン、コハク酸、酢酸、クエ
ン酸、乳酸、リンゴ酸等及びそれらのナトリウム塩から
適宜選ばれる少なくとも1種の錯化剤を主成分とするも
のが好ましい。上記錯化剤としては、乳酸やリンゴ酸の
選択が好ましい。また、該メッキ液には必要に応じて更
にホウ酸、塩化アンモニウム等の少なくとも1種のpH
緩衝剤や、メッキ液の自己分解防止剤としての極微量の
Pb化合物やS化合物を添加配合することができる。上
記自己分解防止剤の添加は好ましい。
【0024】一般に、該メッキ液は、ニッケルイオン
(Ni++)/次亜リン酸イオン((H2PO2-)のモ
ル比が0.25〜1.6の範囲であり、そのpHが約
4.5〜5.6の範囲であるのが望ましい。特に本発明
に好適なメッキ液は、上記ニッケルイオン/次亜リン酸
イオンのモル比が1以下であり、pHが5以下となる組
成を有するのが望ましい。
【0025】その組成としては、例えばニッケル−リン
合金メッキ液の場合、ニッケル塩類をNiとして約2〜
15g/l、還元剤を次亜リン酸イオンとして約2〜2
5g/l及び錯化剤を上記ニッケル塩類に対して2〜3
倍モル程度(単官能基の錯化剤の場合、二官能基の場合
はほぼ当モル〜1.5倍モル程度)としたものを例示で
きる。また、自己分解防止剤は、一般にはメッキ液中に
約0.1〜1.0ppmの濃度で存在させるのが好まし
い。
【0026】本発明酸性無電解ニッケル−リン合金メッ
キ液の好適な代表的組成例としては、例えば 塩化ニッ
ケル(NiCl2・6H2O)16g/l、次亜リン酸ナ
トリウム(NaH2PO2・H2O)24g/l、コハク
酸ナトリウム16g/l及びリンゴ酸18g/lを例示
できる。
【0027】更に、本発明酸性無電解メッキ液中には、
Mo金属を0.5〜2重量%程度共存させることも可能
であり、これによれば、Ni−P−Mo合金被膜を形成
させることができ、該被膜は、Ni−P合金被膜と同様
の優れた耐食性を発揮できる。従って、本発明Ni−P
系合金被膜には、はかかるNi−P−Mo合金被膜も包
含される。
【0028】該Ni−P−Mo合金は、前記本発明無電
解ニッケル−リン合金メッキ液に、更に、例えばモリブ
デン酸アンモニウム等のMo金属化合物を約1〜2g/
l添加することにより調製でき、そのメッキ条件は、無
電解ニッケル−リン合金メッキ液と同様のものとするこ
とができる。
【0029】本発明無電解メッキ液によるNi−P系合
金被膜の形成は、常法に従い実施できる。例えば、一般
にはステンレススチール製の適当な容器に、上記組成と
なるように各メッキ液成分を収容し(市販メッキ液は通
常濃縮液であるため、適宜水道水やイオン交換水等を用
いて希釈等を行なって適当濃度に調製する)、スチール
コイルや投げ込みヒーター等を液中に入れて、液温を8
5〜99℃、好ましくは85〜93℃程度に加熱調整
し、局部加熱を避けるために空気攪拌や機械攪拌により
適宜攪拌しながら、所望の膜厚となるまで、例えば約1
0〜15μm/時間の析出速度条件で、約20分間〜1
時間、被処理物である燃料タンクを浸漬処理することに
より実施できる。尚、被処理物は、均一なメッキ被膜膜
厚が得られるように、上記メッキ中、揺動させるのが望
ましく、これによれば、メッキ中に発生するガスの被処
理物表面からのスムーズな脱離も容易に行ない得る。
【0030】かくして、本発明無電解メッキ液の利用に
よって、燃料タンクの鋼板表面上に、所望の優れた耐食
性を有するNi−P系合金被膜を形成させることができ
る。
【0031】本発明に従う上記Ni−P系合金被膜の無
電解メッキによる被覆処理は、燃料タンクの、少なくと
も、これに収容されるガソリン等の燃料と接触する鋼板
表面部分について行なえば充分である。勿論、上記接触
面のみならず、他の面、即ち燃料との非接触面部分につ
いて行なっても何ら支障はない。通常無電解メッキは、
メッキ液中に被処理素材を浸漬することにより行なわ
れ、かかる浸漬処理によれば、素材の全面に合金被膜が
形成される。本発明でもかかる浸漬処理によって、燃料
タンクの全面に所望の合金被膜を形成されることがで
き、これによって本発明所期の耐食性に優れた燃料タン
クを得ることができる。
【0032】本発明は、自動車用燃料タンクをその主な
目的としているが、本発明燃料タンクは、この自動車用
に限定されるものではなく、例えば自動二輪、農業用機
械類等のガソリンや混合ガソリン等の燃料を収容するた
めの各種の燃料タンクの全てを包含する。更に、本発明
燃料タンクには、更に灯油等を収容した暖房器具類等の
それらも含まれる。
【0033】本発明によれば、上記により形成されるN
i−P系合金被膜中のP成分含量が上昇するほど、形成
される合金被膜の耐食性が向上する。好ましいP成分含
量は7重量%以上、より好ましくは約10〜15重量%
の範囲とするのがよい。かかるP成分含量の合金被膜
は、アルコール混合ガソリン等の燃料タンクとしても充
分に実用可能な優れた耐食性を有する。このP成分含量
の上昇は、建浴組成の変化、特に次亜リン酸塩濃度の上
昇によって行ない得ることは勿論のこと、例えば同一組
成のメッキ液を用いる場合でも、該メッキ液のpHを下
げる(約4.5〜4.8程度)か、或いは液温を低下さ
せることによって実施できる。
【0034】また、上記Ni−P系合金被膜の膜厚も、
耐食性に影響を与え、該膜厚が薄すぎると充分な耐食性
を発揮できないおそれがある。本発明では、上記膜厚は
少なくとも3μm程度、通常5μm程度以上、好ましく
は約5〜10μmとするのがよく、この程度の膜厚によ
って、充分な耐食性を発揮できる。膜厚を厚くすればそ
れだけ耐食性は向上するが、あまりに厚くすると不経済
となる不利があり、通常15μm程度までとされるのが
適当である。
【0035】尚、上記無電解メッキによれば、その施工
時に発生するH2ガスの気泡が素地金属表面に滞留して
脱離せず、そこにピンホールを発生させ、これが孔食の
原因となるおそれがあるが、この欠点は例えば素地金属
表面の平滑化、脱脂、活性化、界面活性剤の利用、クロ
メート被覆等の前処理により、解決できる。
【0036】かかる前処理につき詳述すれば、素地金属
表面の平滑化は、一般的方法に従い、例えば羽布等で金
属表面を研磨することにより実施できる。
【0037】脱脂は、素地金属表面に付着し、メッキに
障害となる圧延油、その他の有機物を除去するために行
なわれるものであり、溶剤脱脂、アルカリ浸漬脱脂、酸
性浸漬脱脂、電解脱脂等を単独でもしくは適宜組合わせ
た常法にて行なうことができる。本発明では特に溶剤脱
脂及びアルカリ浸漬脱脂が好まく採用できる。ここで用
いられる溶剤としては、例えばトリクレン等を、アルカ
リとしては珪酸ソーダを主成分とするもの等をそれぞれ
例示できる。
【0038】酸活性化は、無電解メッキによる金属の析
出をより容易にするものであって、一般的方法に従っ
て、例えば塩酸等の素地金属を侵食しない比較的弱い酸
を用いて実施できる。
【0039】上記脱脂と酸活性化との間に、界面活性剤
溶液に被処理物を浸漬して被処理物表面の気泡を除去す
ることもできる。かかる界面活性剤としては、通常用い
られる各種のもの、例えばナフタレンスルホン酸のホル
マリン縮合物等を使用できる。
【0040】クロメート処理は、常法に従い、重クロム
酸ナトリウム又は無水クロム酸約10〜30g/lの溶
液を用いて、30〜50℃下に、2〜5分程度を要して
行なうことができる。このクロメート処理は、また本発
明に従うNi−P系合金被膜の無電解メッキによる形成
後に、得られる合金被膜上に後処理として行なうことも
できる。この後処理によれば、更に一層耐食性を向上さ
せることができる。
【0041】上記各工程間では、当然に被処理物の水洗
を行なうものとする。
【0042】また、本発明では、素地金属表面への気泡
の付着を防止するために、メッキの初期段階でNiの析
出速度を抑えたメッキ液を利用することもできる。この
メッキ液としては、例えば自己分解防止剤量を増加させ
たメッキ液を使用できる。
【0043】更に、メッキ工程において発生するガスの
液中滞留を防止するために、被メッキ物は適時回転等を
行なわせるのが好ましい。
【0044】かくして、本発明所期の燃料タンクを収得
できる。得られる燃料タンクは、クラック発生や剥離の
問題を伴うことなく、地球環境問題を伴わないPbフリ
ーであって、しかもアルコール混入ガソリン等に対して
も非常に優れた耐食性を有するNi−P系合金被膜で被
覆されている。また該合金被膜自体、良好なハンダ付性
を有しており、これらの点で斯界の要望に合致する燃料
タンクとして非常に有用である。
【0045】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため試験
例及び実施例を挙げる。
【0046】
【試験例1】0.8mmの冷延鋼板を使用し、該鋼板を
トリクレン脱脂、乾燥、浸漬脱脂処理(奥野製薬工業社
製、「エースクリーン801」使用)、水洗、15%塩
酸による活性化及び水洗して、供試鋼板として利用し
た。
【0047】上記供試鋼板を用いて、その表面に以下の
通り無電解メッキを施した。
【0048】(1)Ni−P(P成分含量12%)合金
被膜の形成 奥野製薬工業社製の次亜リン酸塩を還元剤とする無電解
ニッケル−リン合金メッキ液「トップニコロンRD」の
200ml/l液(pH:4.5)中に、供試鋼板を、
88℃下に所定時間浸漬して、厚さ4.0μm、5.4
μm及び11.0μmの各Ni−P合金被膜を形成させ
た。尚、メッキ中液は空気攪拌した。
【0049】(2)Ni−P(P成分含量7%)合金被
膜の形成 奥野製薬工業社製の次亜リン酸塩を還元剤する無電解ニ
ッケル−リン合金メッキ液「トップニコロンTOM」の
200ml/l液(pH:4.7)中に、供試鋼板を、
90℃下に所定時間浸漬して、厚さ11.5μmのNi
−P合金被膜を形成させた。尚、メッキ中液は空気攪拌
した。
【0050】(3)Pb−Sn合金被膜の形成 従来技術に従い、供試鋼板表面にPb−Sn合金被膜
(10%Sn含有、厚さ40μm)を溶融メッキ(37
0℃で7秒間浸漬)により形成させた。
【0051】(4)クロメート処理 上記各合金被膜を形成させた供試鋼板をそれぞれ、重ク
ロム酸ナトリウム25g/lの液中に、40℃下に5分
間浸漬して、供試鋼板のメッキ被膜上にクロメート被膜
を形成させた。
【0052】(5)塩水噴霧試験 JIS Z2371に従って試験、評価した(1サイク
ル24時間)。
【0053】(6)メタノール浸漬試験 100%試薬級メタノールを用い、その中に各合金被膜
を形成させた供試鋼板を25℃、8ヶ月浸漬後、取り出
して、錆の発生を肉眼観察し、錆発生のないものを○、
僅かに赤錆が発生するものを△及び赤錆発生の顕著なも
のを×として評価した。
【0054】(7)メタノール・水混合ガソリン浸漬試
験 混合ガソリンとして、ガソリン80%(v/v%、以下同
じ)、メタノール15%及び水5%(0.1重量%Na
Cl含有)の混合物を用い、該混合液中に各合金被膜を
形成させた供試鋼板を25℃、8ヶ月浸漬後、取り出し
て、錆の発生を肉眼観察し、錆発生のないものを○、僅
かに赤錆が発生するものを△及び赤錆発生の顕著なもの
を×として評価した。
【0055】(8)結果 得られた結果を、メッキ被膜の膜厚、クロメート処理の
有無と共に、下記表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1より、本発明に従う無電解Ni−P系
合金メッキ被膜の形成によれば、得られる被膜は、クロ
メート処理の有無に拘わらず、いずれも優れた耐食性、
特にメタノール・水混合ガソリンに対して優れた耐食性
を有することが明らかである。
【0058】
【実施例1】厚さ0.8mmの冷延鋼板を長さ15cm
の半円形にプレス成形し、このもの2枚を溶接して、直
径約4cmの円筒を作成した。更に、得られた円筒の両
端開口部をプレスして、開口部高さ2cm程度の押しつ
ぶされた開口部を持つ構造体(燃料タンク試料)を得
た。
【0059】このものに、試験例1と同様にして、各合
金被膜を形成させて、合金被膜で被覆された燃料タンク
試料を得た。
【0060】このものについて、試験例1と同様にして
行なった耐食性試験の結果を、表1と同様にして下記表
2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】上記表2より、本発明燃料タンクは、メタ
ノール・水混合ガソリンに対しても優れた耐食性を有す
ることが明らかである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼製燃料タンクであって、その少なくとも
    燃料と接触する面に、無電解Ni−P系合金被膜が形成
    されていることを特徴とする燃料タンク。
  2. 【請求項2】Ni−P系合金被膜中のP成分が7重量%
    以上である請求項1に記載の燃料タンク。
  3. 【請求項3】Ni−P系合金被膜の膜厚が3〜15μm
    である請求項1に記載の燃料タンク。
  4. 【請求項4】鋼製燃料タンクの少なくとも燃料と接触す
    る面に、次亜リン酸塩を還元剤とする酸性無電解ニッケ
    ル−リン系合金メッキ液を接触させて、無電解Ni−P
    系合金被膜を形成させることを特徴とする燃料タンクの
    製造法。
  5. 【請求項5】Ni−P系合金被膜上に更にクロメート処
    理を行なう請求項4に記載の燃料タンクの製造法。
  6. 【請求項6】鋼製燃料タンクの少なくとも燃料と接触す
    る面にNi−P系合金被膜を形成させるためのメッキ液
    であって、次亜リン酸塩を還元剤として含有する酸性無
    電解ニッケル−リン系合金メッキ液であることを特徴と
    する無電解メッキ液。
JP10051896A 1998-03-04 1998-03-04 燃料タンク Pending JPH11245670A (ja)

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JP10051896A JPH11245670A (ja) 1998-03-04 1998-03-04 燃料タンク

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